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『彼女が泣いた夜』

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にゃご( dLyQh )
10/09/03 19:14(更新日時)

ヲタクな彼女と陸上バカな僕の話。


読んで頂けたら嬉しいです。



     

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No.1157922 09/07/02 07:34(スレ作成日時)

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No.51 09/08/17 02:33
にゃご ( dLyQh )

不思議の国だった。


正確には違う表現も出来ると思うけれど、語彙力のない僕はそういうしかない。




部屋に入ってすぐ目についたのはめちゃめちゃデカいプラズマテレビ。


そして大量の漫画とDVDの集団とゲーム機と箱入りフィギュア。


そして壁にはたくさんのポスターと風景写真。


に加えてベッドの上にはドデカいぬいぐるみ二体。


更には床に転がるビールの空き缶たち。


こ、これがヲタクというものなのか!?



僕は不躾にもかなりキョロキョロしていたと思う。有沢さんが照れた顔で僕を見た。


「居心地悪いくらいごちゃごちゃでごめんね?」


「え?いやごめん。そんなことない。フィギュアなんて初めて見た」



慌てて答えた。


「あぁそれカッコイイでしょー!!」


「これガンダム?とあとは…」


「FFのプレイアーツ! ザックスとセフィロス。私ザックス大好きなんだぁ」


彼女は「ザックス」を愛おしそうに眺めながら、それはそれは生き生きとして答えるだった。


     

No.53 09/10/14 09:30
にゃご ( dLyQh )

そしてその後見舞いに来たはずなのに、有沢さんと可穂さんの勢いに押され、何故か飲み会が始まった。


有沢さんは既にだいぶ飲んでいるようで、僕たちの買ってきたチーズたらを嬉しそうにほうばっている。


僕は女の子の部屋で女の子2人と飲むなんて人生で初めてで、少しテンパっていた。


気が付いたらいつも以上のペースでビールを飲んでいる。やばいかな、これ…。


そう思いながら、僕は有沢さんをチラリと見た。


可穂さんいわく朝と雨と冬に弱いと言う彼女は予想していたよりずっと元気に見えるけれど、カラ元気なようにも見える。でも可穂さんは何も聞かない。


なんでだろう?
「大丈夫?」の一言もないなんて。



僕は考えようと、頭を働かせようとしたけれど どうも上手くいかない。


頭がボーっとしている。


飲みすぎ?
もう?










「陸くん!」


「…へ?」


「信じらんない、寝てるなんて。聞いてた? 今から迎えに行ってくるから」


誰を?と聞こうとしたけれど、僕がのそのそと尋ねる前に可穂さんはさっさと出て行ってしまった。


    

No.54 09/10/16 20:05
にゃご ( dLyQh )

可穂さんが出て行って、なんだか突然部屋の空気がシンとなった。

外から聞こえる雨音と、でっかいプラズマテレビから流れるガンダムらしきアニメが急に鮮明に聞こえ出した。



そこでようやく僕は気付いた。僕は今、この部屋に有沢さんと2人きりなのだ。

その事実に気付き、急に酔いが抜けていくのが分かった。



「大丈夫?」

僕が口を開く前に有沢さんが沈黙を破った。

「あ、うん。平気。…ゴメン。可穂さんは誰を迎えに行ったの?」

「やっぱ聞いてなかったんだぁ。矢倉くんだよ。バイト終わったらしいから」

「え?こんな時間に?雨も強くなってきたのに大丈夫なのかなぁ」

僕がそう言うと有沢さんは窓の外に目をやった。

「ほんとだね。雨、強いね」

有沢さんは既に気付いていた事を、今気付いたかのように、その事実を踏みしめるようにそう言った。そして小さく呟いた。



「雪にならないかなぁ」



その声はあまりに小さかったのに、何故かハッキリ届いた。僕は「そうだね」とも「なんで?」とも言えずに、ぼんやりと窓を眺める有沢さんの横顔を見ていた。


しばらくしたあと有沢さんは急にこちらを振り返った。


「ね、ゲームやらない?」

No.55 09/10/17 01:51
にゃご ( dLyQh )

「ゲ、ゲームっすか?」

「ゲ、ゲームっすよ!」


先程の横顔とは打って変わって満面の笑みで彼女はゲームを並べ始めた。僕はその切り替わりの早さにたじろいでしまう。


「やっぱアクションか格ゲーがいいかなぁ。好きなの選んで?」

目の前に広げられたたくさんのゲームたち。

「あたしトイレ行くから選んでおいてね」

彼女はそう言い置いて、立ち上がった。


有沢さんがトイレかぁ…



……



いやいや今はそんなことはどうでもよくて!



戦国無双
三國無双
ガンダム無双
デビルメイクライ…
メタルギア…
フロントミッション…
鉄拳
スーパーロボット大戦…




だいたい聞いたことがあるようなタイトルだけれど、よく分からない。どれがいいのだろう? まぁパッケージ見て考えたらいいかな。



戦国無双
三國無双…



僕がもう一度ソフト達とにらめっこし始めた時、急にスゴい音がした。





雷だ。



どこかに落ちた。雨も強くなってる。



…またソフトに目をやる。



ガンダム無双
『ガンダムで一騎当千が実現!爽快感がたまらない!』



あ、これ面白そう。確か矢倉が好きな奴だ。



    

No.56 09/10/20 08:02
にゃご ( dLyQh )

遊ぶゲームが決定したので、僕は改めてギッシリと並ぶゲームソフトを眺めた。


すごい量だ… 男友達が持っているであろう平均ソフト数を軽く凌駕している…。 しかもかなり男臭いゲームばかりだ。基本渋い。こういうのが好きなのかな?


一通り眺め終わり、手持ち無沙汰になった僕はガンダムらしきアニメを見始めた。恐らくガンダムに乗った少年パイロットが叫びながら氷の上で戦っている。どっちが味方でどっちが敵?



…あ、撃墜された。


『キラ―!!!!』


落とされたガンダムに乗っていた彼が「キラ」らしい。


そして切なげな音楽が流れエンディング曲に入る。もしかして死んだ? 今の大事な場面?




にしても有沢さん遅すぎやしないか? 一体何分たったんだろう。


外は相変わらず雷がゴロゴロ鳴っているし、雨も強いままだ。






唐突に僕は不安になった。



雨と朝と冬が駄目らしい彼女。
でも…



そして勢いでトイレの前まで駆け込むと、床に座り込んだまま苦しそうに息をする有沢さんがいた。



     

No.57 09/10/20 10:55
にゃご ( dLyQh )

「大丈夫!?」



過呼吸?
いや違う。


息、吸えてない。
何かの発作?



彼女は床にぺたりと座り込んだまま、両手で耳を塞いで小刻みに震えていた。


僕は考えるよりも先に彼女の肩に手をかけ、背中をさする。


「…ゆっくりでいいから。ゆっくり吐いて吸えば大丈夫だから」


「大丈夫、な」


僕の言葉に彼女は首を縦に振って、そしてすがるように、救いを求めるように、僕にしがみついた。


少しのアルコールの匂いと、彼女の柔らかな髪の匂いが鼻をかすめる。


「…俊ちゃん…」


彼女は絞り出すようなほんとに小さな声で、その名前を呼んだ。


「苦しいよ、俊ちゃん…」


瞬間、分かった。
彼女が助けを求める誰か。
僕と声が似ている誰か。


それは僕ではない。
でもそれでも。


「うん、大丈夫だから。ここにいるから。」


彼女がSOSを求める相手はいないけれど、僕は精一杯「俊ちゃん」になろうと思った。


なおも震える彼女の背中をさすりながら、僕はひたすら「大丈夫」と繰り返した。


それしか言えなかった。


どうか早く治まりますように。


そう思って僕は大丈夫、と言い続けた。



      

No.58 10/02/05 16:25
にゃご ( dLyQh )

雨も風も止めばいい。
雷なんて鳴らなければいい。








そう思った。

No.59 10/02/05 16:43
にゃご ( dLyQh )

 


「…それで?」


「それでって…、そのあとは別に…」


「そのまま押し倒し、ムリヤリ…」


「な、わけねーだろ!!!」


矢倉がひどい冗談を言うので、僕は思わずデカい声を出してしまった。


「そのあとは、ただ…」


「あーもーいじらしいな。俺は可穂ちゃんから特命授かってんの。あのあとお前が逃げるから、可穂ちゃん、俺に飛びかかってくんの。『アイツ一体何したの!?』って鬼の形相で。怖いのなんのって。
当のハルカちゃんはいつもの調子で『なんでもない。ちょっと立ち眩みして』とか言うけど、あなた明らか泣いた後でしょ、ソレ!って感じで。
だから何があったか聞いてこいってしつこーく言われてんだよ。」


矢倉はそうまくし立てると、一息ついてビールを飲んだ。


そうなのだ。
僕は逃げたのだ。


言い逃げしたのだ。




あのとき、思わず僕は口走っていたんだ。






「大丈夫。僕が守るから」


「…1人にしないから」





肩越しにそう言ったあと、有沢さんと目が合って、彼女は「…鷹野くん」と僕の名前を呟いた。



それと同時に矢倉たちが帰ってきたのだ。

No.60 10/02/05 17:00
にゃご ( dLyQh )

途端に僕は恥ずかしさから、その場から立ち去りたくなった。そして2人に入れ替わるように、僕は駿馬のごとく逃げ出したのだった。



「…まぁ、いいや。つまりまとめると突然ハルカちゃんが発作を起こし、それを陸が宥めてたってことだろ」


「うん、そういうことになるかな」


「…発作、かー。……心配?」


「当たり前だろ。凄い苦しそうだったんだから」


「ハルカちゃん、陸にお礼が言いたいって言ってたから近いうちメール来るかもよ」

「え!?マジで!?」


お礼?お礼されるようなことをしたんだろうか…。ていうか僕の気持ちバレてるよな、バレ…ああ。


「なかなかいい感じなんじゃん?」


矢倉はそう言ってニヤニヤ笑ったけれど、それは違う。


彼女にはいるのだ。想いを寄せる誰かが。




それなら僕は、このまま彼女を好きでいていいのだろうか。 この気持ちを、彼女に伝えてもいいのだろうか。



距離が近付いた分だけ怖くなる。彼女のことをもっと知りたい。


でも、知りたくないーーーーー

No.61 10/02/05 23:37
にゃご ( dLyQh )

*          




結局、数日経ってもメールは来ず、勿論電話もなかった。


僕から送るにしても、試しに書き並べた言葉はどれも陳腐なもののように感じて、送れなかった。

だって「元気してる?」なんて、そんなの
、馬鹿みたいだ。何か、もっと別の、彼女にかけるべき言葉はほかにあるんじゃないか。
そう思った。


でもだからといってウダウダ言ってられない。


僕は考えを振り払った。
そう、そんな事を考えている場合ではないのだ。今僕が立ち向かうべきはこの言い様もない苦しさだ。



『おら!!ラスト3だぞー!気ぃ抜くなぁー!!』


遊佐コーチがそう叫んだ。
コーチは奮い立たせるつもりで言ったんだろうけど、逆効果だ。
まだ3本もあるのか…
恐らく、全員がそう思ったはずだ。


2月の海風吹きすさぶ、この砂浜で僕ら短距離班は過酷メニューに取り組んでいた。


200m×15本=計3000m


やべぇ、苦しい。
振り払いきれなかった雑念からか、前半はオーバーペース。そのツケが回って後半はぐだぐだ。1本走りきるのがやっとという情けない状態に持って行ってしまった。最悪だ。

No.62 10/02/07 00:03
にゃご ( dLyQh )

200mペース走はいつもならこんなにも苦しくないのに。


『陸っ!身体沈んでるぞ!』


名指しで叫ばれた。コーチの言ってることはよく分かる。でも身体が思うように動かない。足が、腕が、腰が、言うことをきかない。あぁ駄目だな、こりゃ。重てぇな。



息苦しさの中で、瞬間、彼女の泣き顔が脳裏に浮かんだ。



彼女の白い肌に流れる涙。
救いを求めるように空虚を見る彼女の瞳。僕ではない、誰かを呼ぶ、彼女の声。




何故僕は、こんな時まで彼女のことを思い出しているんだろうーー?



こんなはずじゃない。
こんなの、おかしい。
今は走ることだけ考えればいいはずだろ?
ほかのことなんて、考えられる余裕僕にはないだろ?



『おーし。ラスト1本ー!! 死ぬ気でいけーーー!! 最後まで残ってた奴、3本追加なー』



遊佐コーチがガラガラ声でそう言い、隣にいる野村が「…殺す気か」と呟いた。

No.63 10/02/07 00:35
にゃご ( dLyQh )

野村の呟きをよそに、僕はその場に倒れ込んだ。


視界一面、空が見えた。


空が、青い。
やっぱり青い空がいい。
こんな空の下、MAX速度で空気を切るように走れたら最高だ。


そうだ、それが気持ちいいんだ。まるで空を早送りするように走れる100Mがいいんだ。



走らなきゃ。



遠くで、コーチが笛を吹くのが聞こえた。


「おら、行くぞ」


野村が声を掛けてくれたので、僕は残りHPを振り絞って跳ね起きた。



よっしゃ!!



そこからどうやって走りきったのかはあまり覚えていないけれど、とりあえずゴールした時に前に誰もいなかったのは確かだ。
でもコーチ曰く、「短距離選手として最悪な走り方だった」と言われた。



「むしゃくしゃしてんなー。今日は、ダメダメだな」


コーチは倒れ込む僕を見下ろしながら言った。


「…はい」


「…溜まってんのか?」


「は…いえ!」


何を言うかこの人は。

No.64 10/02/07 01:01
にゃご ( dLyQh )

「反省点は?」


「…前半、オーバーペースでした」


「違うだろ。陸上を八つ当たりに使うな、それだけだ」


「…八つ当たり」


「思い当たるんだな? まぁラストだな、あれは、まだ気持ちの入った走りだったな」


「はい、すみませんでした!」


僕は思わず飛び起きて頭を下げていた。コーチはそんな僕を一瞥して、最後にゴールした1年の波岡に制裁を加えに行った。





*





「はい、解散!」



ダウンを終えて、一同解散となった。



「陸ぅー疲れたーお腹空いたーなんか食べたいーけど炭水化物食べたらガチ吐くー」


ナカちゃんが間延びした声ですり寄ってきた。僕はアミノ酸飲料を口にしまま答えた。


「これ、いる?」


「いらねーよ。俺はお好み焼きが食べたいんだって!」


「うわ、キツ。食ったら吐くんだろ?」


「食って吐くからいいんだよ。ほかの奴には断られたから、あとお前しかいないんだよ。な、行こや」


「…アホだろそれ。てかわり。俺、もうちょっと走ってから帰るわ」


「げ、マジ?」


「マジ」


「…さすが体力馬鹿。アホだろ…」


「軽くだよ、軽く」

No.65 10/09/01 12:11
にゃご ( dLyQh )

駄文                




長らく停滞してましたが、ぼちぼち更新したいな、と思います。読んでくださってる方がいるのかも分かりませんが、日陰に自己満足を綴ります。


自分の文を読み返すと うわ何だこれ… となるのはデフォですね。初っぱな漢字間違いが痛々しい。



半ノンフィクションでいこうと思っていたのに、いまや完全なるフィクション。あちゃー。

No.66 10/09/01 12:22
にゃご ( dLyQh )

少しだけ赤く染まった空を仰ぎ見る。



さすがにもう止めにしよう。コーチに言われたことを噛み砕きながら、何かを確かめるようにゆっくり走った。何で僕は走ってるんだっけ?っていう根元的な何か。



凪のように静かな水平線を背に走っていると、何か掴めるような気がしたけれど結局得たのは大きな疲労感と小さな満足感。



分かったことは別に走る理由なんてないのだということ。登山家が口にするソレと同じ。「そこに陸上があるから」だ。僕が陸上を選んだわけじゃない。そこにあるのだから、走らなくてどうする!



それでいいじゃないか。

No.67 10/09/01 12:42
にゃご ( dLyQh )

呼吸を整えてから座り込む。そして飲料水がもうないことに気付く。くそ。


「喉…渇いた」


買いに行くのも何だか面倒でそのまま砂の地面に倒れ込むと、もう空は茜色だった。卵の黄身みたいな太陽が海面に溶けていく様をぼんやり見ていると、突然目の前を覆う影。


差し出されたのは、反射されて微かに揺れるペットボトル。


差し出したのは、困ったような顔して小さく笑う天使みたいな彼女。


一瞬、幻覚かと思って瞬きを繰り返したけれど、幻覚は消えることはなかった。


「はい」


彼女が発した声で我に返った。僕は慌てて起き上がり、促されるままペットボトルを受け取る。


「なんで、ここに?」


いつから。どこで。でかかった質問をギリギリのところで抑える。


「ここ、よく来るの。知らなかった?」


悪戯っ子のように、へへへと笑う。


「…知らなかった」


「いっぱい走ってたね」


僕は見られていた、といういまだ残る恥ずかしさで曖昧に頷き、貰ったスポーツドリンクで喉を潤した。



    

No.68 10/09/01 13:11
にゃご ( dLyQh )

「こないだ、ありがとう」


有沢さんはよっこらせ、と言いながら僕の隣に腰を下ろす。


「鷹野くんのおかげでね、すごく楽になった」


「え?」


「最近、夢見なくなったの。いつも見る夢。雨が鉛のように重くて、いつも歩けなくなって途方にくれてたんだけど、雨降らなくなった」


「うん」


「だから、ありがとう」


言葉通りとれば、喜ぶべきことだ。でもニッコリと微笑む彼女は何故だか泣きそうな顔をしていたから、嬉しい気持ちはポンと弾け飛んだ。


「って、何言ってんだろ私。ごめんね」


「俺の方こそ、ごめん」


「何が?」


「聞いたんだ。可穂さんから。ごめん」


瞬間、分かりやすいくらい彼女の瞳はたじろいで、でもすぐに息をついて態勢を取り戻した。ように見えた。


「全部?」


    

No.69 10/09/03 19:14
にゃご ( dLyQh )

「少しだけ」


可穂さんには口止めされていたというのに、僕はなぜ馬鹿正直に白状しているんだろう。自分の口からするりと出た言葉に自身が一番驚いていた。多分きっと拭いきれない罪悪感をどうにかしたくて、許されたくて謝っているのだ、僕は。


「ごめん。少しだけ話聞いて、有沢さんは俺といるとツラいんじゃないかと…そう思ったけど」
「そんな」


ほとんど被さるように彼女が言った。


「そんなことない。ツラくなんかない」


「本当に?」


「私が勝手にあなたを巻き込んで、勝手に妄想して、落ち込んだり嬉しくなったり、それだけだよ」


「も、妄想?」


「そう、つまりは自演乙★なわけ」


だから平気だよ、と彼女は笑う。
そう言った彼女の横顔は凛として、揺るがない強い意志を思わせ、それが弱さを見せない強いフリにも見えた。



   

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