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友達イジョウ恋人ミマン

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ユミ( wROHh )
08/02/06 19:56(更新日時)

友達イジョウ恋人ミマン

No.1156204 08/01/31 14:10(スレ作成日時)

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No.51 08/02/02 12:49
ユミ ( wROHh )

❤51❤
「私はこっち!」

2つの曲を聞き終えると、峰さんは後の方の曲を迷わずに選んだ。

「関口さんは?」
「えっ!?」

えっ、今真野さん、『関口さん』って言ったよねっ?

私の名前、覚えててくれたんだぁ!

なんか、スッゴく嬉しいっ!

「あのっ、どっちがいいか聞いてんだけど…💧」

真野さんにそう言われて、ハタと我にかえる。

そうだ、そうだ、感激に浸ってる場合ではない💧

「あっ、えっとぉ、私も、今のやつの方が…」
私にはこれだけ言うのが、精一杯。

「そっか、サンキュー!」
真野さんは、嬉しそうに森下さんたちの所に戻っていった。

No.52 08/02/02 13:41
ユミ ( wROHh )

❤52❤
「私も今の峰さんみたいに、真野さんとお話ししたいです!」
私は思わず、峰さんの腕を力一杯つかんで、そう言っていた。

「よっしゃっ、私に任せときっ!」
峰さんは、そんな私の手を握りしめて、そう言ってくれた。

「まず、私にTEL番、教えて!」
「あっ、はい」
私はスケジュール帳のページを1枚やぶると、そこに自分のTEL番号を書いて、峰さんに渡した。

「私たち、結構グループとかで遊びに行くんだけど、関口さん、いつでもOK?」 「はい、あの、あんまり夜遅くなければ…」

「あっ、それは大丈夫。うちら、そんな夜中に遊び歩いたりみたいな事、しないから💧
健全なグループ交際よ(笑)」

「でも、毎日稽古があって、時間ないですよね?」
「まぁ、今はね。でも、多分そろそろ休みがありそうな気がするんだ。
結構みんな頑張って、早いペースで、劇が仕上がってるから…」
「そうなんですか?」
「去年に比べればね。まぁ、またその時んなったら、TELするよ」
「はいっ、ありがとうございます!」

「もし、関口さん1人で心細かったら、友達連れてきたっていいし」
「はい」


その時は、良子にお願いして一緒に来てもらおう。

No.53 08/02/02 13:58
ユミ ( wROHh )

❤53❤
そのチャンスは案外早く巡ってきた。

あれから2日後。

峰さんが言った通り、稽古が思ったより順調に進んでるので
「明日、1日休みにしよう」と、新谷さんが言ってくれたのだ。

その日の夕方、早速、峰さんからTELがあった。

「関口さん、明日なんだけど、大丈夫?」
「はいっ、もちろん大丈夫です!」
「じゃあ、10時に吉岡駅で待ち合わせという事で!」

「あのっ、他には誰がくるんですか?」
「うんとぉ、男はぁ、ほらっ、僚と一緒に音響やってる2人!」


その2人とは、森下 優希さん(塩商2年)と小島 卓くん(掘高1年)の事だ。

「で、女はぁ、根沢 美雪と佐藤 香織。2人とも、私と同じ塩高の2年だよ」

No.54 08/02/02 14:06
ユミ ( wROHh )

❤54❤
私は峰さんのTELの後、良子にTELした。

もちろん、明日の事を頼む為に。

やっぱり、あんまりよく知らない人たちと遊びに行くのに、1人では心細いもん。

「明日?私は大丈夫だよ」
「ホント、ありがとう!
助かるよぉ」
「いや、いや、いいって事よ。
ちょうど私も暇で困ってたしっ」

「でっ、10時に吉岡駅で待ち合わせなんだけど…」
「じゃあ、9時に私と小谷駅で待ち合わせでいいんじゃない?」
「うん、わかった」

No.55 08/02/02 14:42
ユミ ( wROHh )

❤55❤
次の日。

私が小谷駅へ着くと、良子はまだ来ていなかった。

時計を見ると、8時40分。

そして、8時50分。

「ゴメ~ン、遅くなっちゃって!待ったぁ?」
良子は慌てて、走ってくる。
「ううん、大丈夫だよ」

私は吉岡駅に着くまでの間に、真野さんの事や、峰さんの事、演劇の稽古の事などを話した。

「私は早く、その真野さんとやらに会ってみたいわ!」
「もうねぇ、ホント、カッコイイんだよぉ」
「そんなにカッコイイのぉ?あんたの趣味って、おかしいからなぁ」
「ひっどぉい!」

そうこうしてるうちに、吉岡駅に到着した。

No.56 08/02/02 14:58
ユミ ( wROHh )

❤56❤
改札口を出ると、まだ峰さんたちの姿は見えなかった。

「私たちが1番早かったみたいだね」
「つうか、私はその中の誰も知らないんだからね。
頼むよ」
「あっ、そうか…」

しばらくすると、峰さんが2人の女の人とこっちに歩いてくる。

「あっ、関口さん、お待たせっ!」

そこで、お互い自己紹介。

「何っ、山根さんって、私と同じ名前じゃん!?」


「そうですねっ!私は、良い子の良に、子供の子なんですけどぉ」
「私は、涼しいに子供の子!」

こんなやってお喋りしてると、男3人がやってきた。

私たちはみんな揃って
「おっそ~いっ!」

すると、男3人もみんな揃って
「わり~っ!」

No.57 08/02/02 18:13
ユミ ( wROHh )

❤57❤
その日の夜。

いつもは私からTELするのに、今日は珍しく良子の方からかけてきた。

「今日、楽しかったねっ!」「うんっ!で、真野さん、どうだった?カッコよかったでしょ?」
「確かに!最初3人揃って来たけど、すぐ分かったもん!他の2人には、悪いけど💧」
「はは…💧」

「でもさぁ、あんなにカッコよきゃ、もう彼女とかいるんじゃない?」
「!?」
…………
………
……

「?お~い!もしも~し!聞いてるかぁ!?」
「…えっ?あっ、ゴメン」
「どうしたの?」
「だって、良子が変な事言うから…」
「変な事?」


「…やっぱいるよね、彼女」「あぁ、その事ね…
明日、峰さんにでも聞いてみたら?」
「そうだね…」

No.58 08/02/02 18:25
ユミ ( wROHh )

❤58❤
私は良子の言った1言で、それまでの浮かれた気分が、どっかに吹っ飛んでしまった。

『彼女』

やっぱ、あれだけカッコよきゃいるよねぇ…
それに、カッコイイだけじゃなくって、性格もいいし…

ホントに明日、峰さんに聞いてみようかな…

あ~っ、でもなんかあっさり“いるよ!”って言われそうでコワイ…

でも、知りたい!

もし、いなかったら…

いなかったら、どうする?

告る?

ううん、そんな勇気ないっ!

じゃあ、いたら?

諦める?

そんな事、無理!

!?

ちょっと待って!
なんで私、真野さんの事、こんなに考えてるのっ!?

『彼女』っていう言葉で、なんでこんなに動揺してるのっ!?

それは、真野さんが好きだから!

そうだっ、私は真野さんがホントに好きなんだ。

今まで分からなかった自分の気持ちが、ようやく分かった。

No.59 08/02/02 18:35
ユミ ( wROHh )

❤59❤
「私、真野さんの事、好きみたい!」
「はっ!?」

私はあの後、さっき切ったばっかりなのに、良子にTELしていた。

どうしても、今、話しておきたくて。

「何、急にどうしたの?」
「私ねぇ、さっきのTELの後、ずっと考えてて、やっと分かったの。
私、真野さんの事、好きなんだって」

「あんたさぁ…」
「何?」
「アホ?」
「えっ!?」

「今頃自分の気持ちに気付いてんのっ!?
私はとっくに、あんたの気持ち、気付いてたよ💧」
「そっ、そうなの?💧」
「そうなの!」

「私明日、思いきって真野さんに彼女いるか、峰さんに聞いてみる!」

No.60 08/02/02 19:01
ユミ ( wROHh )

❤60❤
「関口さん、昨日あんまり僚と話してなかったけど、やっぱ緊張してた?」
「そっ、そうですね💧
でもっ、楽しかったです!」
「そっか、そう言ってもらえると、嬉しいよ。
また、次の時も一緒に行く?」
「はい、是非!」

今だっ!

頑張れ、若菜っ!

よしっ!

「あっ、あのっ、真野さんって、かっ、彼女、いるんですかっ?」

うわっ、聞いてしまった…

多分、今の私、超顔まっ赤だ。
心臓だって、バクバクしてる。

「彼女~?う~ん…」

いるっ?

いないっ?

どっちっ?

「ゴメン、私にはそこまで分かんない…」

ガクッ…

「そっ、そうですか。分かりました…」

それから私は、黙ったまま舞台で使う『通知表』を作り続けた。

峰さんも、私に気をつかってか、話しかけてこない。

せっかく勇気を出して、聞いたのに…

No.61 08/02/02 19:08
ユミ ( wROHh )

❤61❤
「もうこうなったら、直接本人に聞くしかないねっ!」
「えっっ!?」

またしても、良子に報告のTEL。

「そんな事っ、出来ないよぉ」
「思いきって聞いてみなよ!もしかしたら、いないかもしれないじゃん!」
「そりゃ、そうだけどぉ…」

「当たって砕けろ!
もし、砕けた時は私が慰めてやるよ」
「良子ぉ…」

「だから、頑張れ!」
「……よしっ!明日、本人に聞いてみる!」

No.62 08/02/02 19:41
ユミ ( wROHh )

❤62❤
昨日、ああは言ったものの、いざとなったらなかなか、切り出せない。

ただでさえ、まともに話しできないのに、“彼女いますか?”なんて、聞ける訳がない。

しかも、今日から、ステージを使っての通し稽古だし…

キャストは実際に衣装を着て、メイクしてステージに立つ。

照明や音響は、実際に装置を使ってやってみる。

それ以外の裏方は、本番では黒子になるので、それもその通りやってみる。

一体全体、こんな状況の中で、どうやって聞きゃあいいのよぉ。

No.63 08/02/02 19:46
ユミ ( wROHh )

❤63❤
今までバラバラにやっていたので、なかなかそれぞれのタイミングが合わない。

演出の新谷さんは、台本片手にあちこち動き回り、指示をする。

各校の先生たちも、観客席から見ている。

真野さんの事で頭が一杯の私は、何度もミスをし、新谷さんや先生たちに叱られた。

No.64 08/02/02 19:56
ユミ ( wROHh )

❤64❤
真野さんだって見てるのにぃ…
(しかも、音響装置は観客席の上のかなり高い所にあるので、よく見える💧)

恥ずかしい…

こんなんじゃ、例え彼女がいなかったとしても、ダメだよね…

はぁ…

「………さん!」
……
「…関口さんっっ!」
…!?

「…はっ、はいっっ!」
「はいじゃないでしょっ、いつまでそこに立ってんの!もう次のシーンに入ってるでしょっ!」

私は慌てて、袖に引っ込む。

「そっちじゃないっ、逆っ!」
「すっ、すいませんっっ!」

…あちゃあ💧
また、やっちゃった…

こりゃダメだ…💧

No.65 08/02/03 08:41
ユミ ( wROHh )

❤65❤
はぁ…
ど~んと、自己嫌悪…
私って、なんでこんなに情けないんだろう…

一通り稽古が終わった後、私は新谷さんに、こっぴどく叱られた。

私が1人で落ち込んでいると

「どうした?なんか、考え事でもしてた?」
真野さんだ!

“あなたの事、考えてたんです!”

な~んて、とても言えない…

「たっ、ただボーッとしてただけです…」

…………
………
……

私は恥ずかしくて、真野さんの顔をまともに見る事ができず、うつむいた。

No.66 08/02/03 08:50
ユミ ( wROHh )

❤66❤
「ボーッとねぇ…
まぁ、今はいいけど。な~んて言ったら、新谷さんに怒られるけど。
とにかく、本番はボーッとしないように頼むぜ」

そう言うと、真野さんは私の頭をなぜてくれた。

うわっ、なんか超嬉しいんだけどっ!

もしかして、これって脈ありかもっ!?

ちょうど今、ここにいるのは私たちだけ!

聞くなら今しかないっ!

頑張れっ、若菜っっ!

当たって砕けろっ!

いっ、いや、砕けたらイヤだ…💧

……

え~いっ!

「あっ、あのっっ!」

No.67 08/02/03 08:59
ユミ ( wROHh )

❤67❤
「あっ、そうだ!関口さん!」
「えっ!?」

私が聞くよりも先に、真野さんが口を開いた。

「今、誰もいないから、ちょうどいいや」

えっ!?

え~っっ!?

これって、もしかして!?

真野さんも私の事?

なんだか期待してしまう。

「なんかすっげぇ、恥ずかしいんだけど…」

あっ、やっぱり!


やった~っ!

私は1人で、喜んでしまう。

だって、だって、これってどう考えても“愛の告白”ってやつじゃないっ!

No.68 08/02/03 09:07
ユミ ( wROHh )

❤68❤
「あのさ…」
「はい」

ドキドキ

ドキドキ

「この前みんなで遊びに行った時、一緒に来てた関口さんの友達、山根さん、だっけ?」

…えっ!?

良子!?

なんで、ここに良子が出てくんの!?

「そっ、そうですけど…」

何、何、一体なんなのっっ!

「オレさぁ…」

まっ、まさかっ!?

いやっ、その続き、聞きたくないっ!

やめて~っ!

No.69 08/02/03 09:17
ユミ ( wROHh )

❤69❤
「オレ、山根さんに一目惚れってゆうか、そのぉ…」 「……」
「TEL番、教えてもらえないかな?」

サイアク…

真野さん、良子の事、好きになっちゃったんだ…

良子、かわいいもん。
性格だっていいし…

私、まさかこんな展開、想像してなかった…

1人で勘違いして、舞い上がっちゃって、バカみたい…

「…?関口さん?」

…はっ!?

「あ~っ、良子だったら、もう彼氏いるんでダメですよぉ」

ウソ。

良子に彼氏なんて、いない。

それは、私だって知ってる。

良子が真野さんの事、ちょっと気に入ってるのも知ってる。

だけど…

No.70 08/02/03 09:25
ユミ ( wROHh )

❤70❤
「もう、ラブラブなんですよぉ」

真野さんの顔が一瞬、歪んだ。

良子に彼氏がいるって聞いて、ショックだったみたい。

でも、私の方がもっと、もっと、も~っとショックなんだよ。

「そっ、そっか…それなら、仕方ねぇな…諦めるか…いきなり失恋とは、カナシイけどな」

ゴメン、真野さん、ゴメンナサイ。

私、ウソついて…

でも、2人が付き合うのなんて、絶対イヤだっ!

…だけど、こんな私はもっとイヤだ。

No.71 08/02/03 09:45
ユミ ( wROHh )

❤71❤
「あっ、そういえば、関口さんもオレになんか用があるんじゃなかった?」
「えっ!?」
「さっき何か言いかけたじゃん」

「あっ…」

もう、それはいいんです…

「なっ、なんでもないです」

「そっか、じゃ、みんなんとこ戻るか!」
「そうですね…」

私は真野さんの後を少し離れて、ついていく。

なんで、良子なの?

なんで、私じゃないの?

かわいくないから?

ボーッとしてるから?

私、当たる前に砕けちゃったよ…

はは…

なんだか、悲し過ぎて涙もでないよ…

No.72 08/02/03 10:10
ユミ ( wROHh )

❤72❤
いつもは、必ずといっていいぐらい良子にTELするのに、その日の夜はなんだかTELするのがイヤで、部屋の電気もつけないまま、ベッドにねっころがっていた。

すると、こういう時に限って向こうからかけてくるんだ。

私は暗がりの中、バックから手探りで携帯を取り出すと、TELにでた。

「どうしたの?」

「どうしたって、何が?」
つい、つっけんどんな言い方になってしまう。

「いや、珍しくTELしてこないから、何かあったのかと思って…」

そうだよっ、おおありだよっ!

「別に…」

「そう…
ねぇ、真野さんに聞いてみた?彼女の事」

………
……

「それがさぁ、やっぱ聞けなかったんだ。
どうしても、勇気がなくって…」

「え~っ、じゃあ、どうすんのぉ?」

「……あっ、ゴメン!
なんか、お母さんが呼んでるみたいっ!じゃあねっ!」
「えっ、ちょっ…」

ピッ…

私はもうこれ以上、真野さんの話をするのがツラくて、ウソついてTEL切っちゃった。

なんか今日の私、ウソついてばっかりだぁ…

携帯を閉じて、握りしめる。

すると、自然と涙が込み上げてきて、次から次へとこぼれ落ちた。

No.73 08/02/03 10:49
ユミ ( wROHh )

❤73❤
次の日、私はカゼだとウソをついて稽古を休んだ。

真野さんに会いたくなくて…

良子にもあれ以来TELしていないし、かかってきても無視している。

良子はなんにも悪くない…

それは私だって、分かってる…

これがたんなる当て付けだって事も…

でも、分かってはいても、どうしたらいいのか分からない…

真野さんにもウソついちゃったし…

なんか、自分で自分がイヤんなっちゃった…

こんな私、サイテイだよ。

このままじゃイケナイよね?

じゃあ、どうすればいいの?

真野さんに謝って、良子のTEL番教えて。

それで、良子にも謝って、真野さんの事、話すの?

そしたらきっと、2人は付き合うよね?

私はそれを見てるだけ?

…!?

イヤッ!

やっぱり、そんなのイヤだっ!

このまま黙っていよう!

私が話さなきゃ、2人には分かんないし…

No.74 08/02/03 11:19
ユミ ( wROHh )

❤74❤
あれからずっと悩み続け、結局私は、2人には黙っている事にした。

今日はちゃんと稽古に行こうと家を出ると、なんと、そこには良子が立っていた。

「良子…」
「あんた、昨日のTELの時なんか様子おかしかったし、何度TELしても出ないから、心配で…」

チクッ!

私の良心が痛む。

良子はこんなに私の事、心配してくれているのに、私はそんな良子にウソをついてる。

「ゴッ、ゴメンッ。ちょっとカゼひいてて…
でっ、でも、もう大丈夫っ!」

また、ウソ…

「そっ、そっかぁ、なら良かった。これから、稽古?」
「うん…」

ズキン!

今度は、かなり胸が痛む。

「頑張ってね。本番、必ず見に行くから」

ズキズキ!

ホントにこれでいいの?

…………
………
……

No.75 08/02/03 11:25
ユミ ( wROHh )

❤75❤
「あっ、関口さん、もうカゼは大丈夫なの?」

みんなが私の事を心配してくれる。

ウソなのに…

ここでもまた、胸がズキズキ…

なんか、ここにいるのがツライ…

自分がウソなんてつくから、いけないんじゃん!

分かってるよっ!

でも、どうしようもできないんだよっ!

「…はい。大丈夫です」

そう言うと、自分の持ち場につく。

とにかく今は、稽古に集中しなくっちゃ!

No.76 08/02/03 11:39
ユミ ( wROHh )

❤76❤
そう思えば思うほど、集中できなくなる。

と、当然ミスをしてしまう。

新谷さんに叱られるっ!

ところが、意外にも新谷さんは
「関口さん、まだ具合悪いんじゃない?ホントに大丈夫?」

と、優しい言葉をかけてくれた。

どうやら、私がまだカゼで具合が悪くて、ボーッとしてると思ったみたい。

そう思った瞬間、何やら熱いモノが込み上げてきた。

「……っ!?」

私はとっさに、その場から逃げ出した。

「関口さん!?」

後ろから新谷さんの声がする。

涙が次から次へと溢れてくる。

私って、サイテイだっ!

「うっ…」

廊下のつきあたりにつくと、その場にしゃがみ込んでしばらく泣いていた。

No.77 08/02/03 12:21
ユミ ( wROHh )

❤77❤
「関口さん…」

新谷さんが、後を追いかけてきてくれたみたい。

「一体どうしたの?何かあったの?」

そう言いながらハンカチを差し出してくれる。

私はそれを手に取り、涙を拭くと、思いきって新谷さんに話してみようと思った。

私は、何もかも話した。

私が真野さんを好きな事。

でも、真野さんは私の友達が好きな事。

それで、嫉妬して2人にウソをついてしまった事。

それから、昨日のカゼは仮病だった事も…

No.78 08/02/03 12:31
ユミ ( wROHh )

❤78❤
新谷さんは、そんな私の話を最後まで真剣に聞いていてくれた。

私が話し終えると

「やっぱり、その2人にホントの事、話した方がいいかもね」
静かにそう言った。

「ですよね…」
私は自分でも、そう思う。

「2人とも、きっと分かってくれるよ」
「はい…」

なんか、新谷さんに全部話したら、気持ちが楽になった気がする。

良子には夜TELするとして…

真野さんには、稽古が終わったら話さなきゃ!

んっ、稽古!?

やだっ、そういえば今、稽古中じゃなかったっけ!?

No.79 08/02/03 13:10
ユミ ( wROHh )

❤79❤
「すいません、新谷さん、稽古中に…」
私がそう謝ると

「えっ、そういえば、そうだったっけ?忘れてた…💧まぁ、平気、平気!」
新谷さんはそう言って、私の背中をバシバシ叩いた。

新谷さん…
……

こうして私たちは、みんなの待つホールへ戻った。

「ゴメン、ゴメン!
さぁっ、稽古開始!最初っからね!」
新谷さんは、思いっきり元気な声でそう言った。

「すいませんでした」
私も謝ると、自分の持ち場に戻った。

まるで何事もなかったかのように、稽古は進んでいった。

私、もう大丈夫!
だって、決めたんだもん!ちゃんと2人に謝って、ホントの事、話すって!

そして、真野さんの事は諦めるってね。

……でも、それはちょっと自信ないなぁ…

諦められるかな…

……

No.80 08/02/03 13:19
ユミ ( wROHh )

❤80❤
そしてついに、稽古が終了した。

音響室の出入口の所で、真野さんが出てくるのを待つ。

深呼吸をする。

落ち着け、落ち着け…

自分に言い聞かせる。

しばらくすると、他の2人と一緒に真野さんが出てきた。

「すいません、真野さん。ちょっといいですか?」
「えっ、いいけど、何?」
「あっ、あのぉ…ここじゃ、ちょっと…」

私が他の2人をチラッと見ると、その2人も察してくれたらしく

「じゃ、オレらは先に行ってるわ」

と、私たちをその場に残して、立ち去っていった。

No.81 08/02/03 13:55
ユミ ( wROHh )

❤81❤
「あのっ、私、真野さんに謝らなきゃいけない事があるんです!」
「えっ、何っ、突然!?」

私はそこで、軽く深呼吸すると、後はもう一気に話し出した。

「私、ウソついてたんです。良子に彼氏がいるって。ホントは、彼氏なんていないんです。
それに、良子、真野さんの事、カッコイイって言ってました」
「!?」

真野さんは、あまりにも突然な言葉に、何がなんだか分からないといった顔をしている。

しばらくして
「なんでまた、そんなウソを!?」

今度は、怪訝そうに眉を少ししかめている。

私はその先が言えなくなってしまい、真野さんの顔もまともに見る事ができず、うつむいてしまった。

No.82 08/02/03 14:07
ユミ ( wROHh )

❤82❤
「関口さん、ちゃんと訳を話してくれないか?」

真野さんにせかされて、私はうつむいたまま

「…っ、私、真野さんの事が、好きだったんです。
いっ、いえっ、今、今も好きです…」

小さく震える声で、やっとの思いでそう言った。

「……ゴメン。オレ、なんにも知らなくて…
ゴメンな、ホントにゴメン…」

なんでっ!?
謝らないでよ!
余計、せつなくなるじゃない…

謝られれば謝られるほど、自分の失恋が確かなモノになっていくようで、涙が溢れてくる。

でも、思いきって顔をあげて
「これ、良子のTEL番です。きっと、喜ぶと思います」
上着のポケットから、小さなメモ用紙を取り出すと、真野さんに手渡した。

No.83 08/02/03 15:00
ユミ ( wROHh )

❤83❤
今度は、良子に謝らなくっちゃ!

大丈夫、真野さんにだって言えたんだから、良子にも言えるはず!

でも、そう思いながらも、少し手が震えてしまう。

「…っ、良子っ、ゴメン!」私は、良子がTELにでるのと同時に、すぐさま謝った。

「なっ、何っ、急にっ!?」当然の事ながら、良子は驚いている。

ゴックン…

ツバを飲み込む。

「じっ…」
「真野さんの事でしょ?」
「!?」

「実はついさっき真野さんからTELがあって、あんたの事全部聞いたんだ」

え~っ!?
私、真野さんより先に良子にTELして、全てを話さなきゃって思ってたのに!

予想以上に真野さんのTELが早いのに、驚いた。

「…そいゆう事なの…ゴメン。怒ってる…よね?」
「あったりまえでしょっ!」「ホント、ゴメンナサイ…」「まぁ、あんたの気持ちも分かるから、特別に許してあげよう」
「良子ぉぉ」

No.84 08/02/03 15:14
ユミ ( wROHh )

❤84❤
「私、まだそんなにすぐには真野さんの事、諦められないと思うけど、別に2人の仲は邪魔しないから」
「何、2人の仲って?」
「何って、良子と真野さんの…」
「ちょっと待った。あんた、なんか勘違いしてない?」

「えっ?」
「私“真野さんからあんたの事を聞いた”とは言ったけど、“真野さんと付き合う”なんて、1言も言ってないぞ」

「…えっ!?何、それ、どうゆう事ぉ!?
だって、良子、真野さんの事、カッコイイって言ってたじゃん!?」
「確かにカッコイイとは言った。それは認める。
でも、付き合うつもりはない」

「やだ、良子。私に気なんて使わなくっていいのに…」
「だから、そうでなくって。私には、他に好きな人がいるの…」
「えっ、聞いてない!」
「今、言った!
とにかく、そうゆう事」
「……!?」

私は、しばらく何も言えなかった。

No.85 08/02/03 15:28
ユミ ( wROHh )

❤85❤
「じゃっ、じゃあ、良子、真野さんをふったのっ!?」
「まぁ、そうゆう事になるわな」
「え~っっ!?」

「でも、私真野さんに、“友達としては、またみんなで一緒に遊びに行ったりしたい”って、言ったの」
「そしたら、真野さん、なんて?」
「えっ、“友達じゃイヤだ”って…」
「そりゃ、そうでしょ💧」
「でも、私には他に好きな人がいるからって、言ったら…」
「言ったら?」
「“じゃあ、その中間にしてくれ!”って。
変なの。ねぇ?」
「はは…なんか真野さんらしいっ」
「だねっ」

「ってゆうか、そう言えば、良子の好きな人って誰なの?」
「えっ、言わなきゃダメ?」「ダメ!」
「…和也さん」
「…?和也さんって?」
「もぅ、あんたのお兄さんっ!」
「へっ!?」

そうなの、なんか今さらだけど、私には3つ上の兄貴がいるのだ。

まさか、良子の好きな相手か兄貴とは…💧

No.86 08/02/03 18:16
ユミ ( wROHh )

❤86❤
「関口さん、昨日の話なんだけど…」

真野さんの方から、話しかけてきてくれた。

「あっ、はい。良子から、聞きました」
「なんか、オレの方が先にTELしちゃったみたいでさ💧てっきり関口さんから、オレの話がいってると思ってたから、焦っちまったよ」
「私も、まさか真野さんの方が早くTELしてるとは思わなくって、ビックリしました」
「はは…山根さんも最初、かなりビックリしてたよ」 「でしょうね…💧」

「…山根さんからみんな聞いた?」
「あっ、はい、一応…」
「じゃあ、オレがフラれたって事も…?」
「そっ、そうですね、はい…」

「そっかぁ。なんか山根さん、好きな人がいるらしいんだよね…」
「はぁ…そっ、そうみたいですね💧」

まさか“それは私の兄です”なんて、とてもじゃないけど、言えない…💧

No.87 08/02/03 18:26
ユミ ( wROHh )

❤87❤
私はあの後も、何度か真野さんや峰さんたちと遊びに行ったりして、そのお陰でなんとか男の人とも、普通に(?)話せるようになってきた。

演劇部に入って良かった!

最初は、なかなかみんなの中に入っていけなくて、辞めてしまおうとさえ思ったくらいなのに、今では、楽しくて仕方がない。

でも、どんどん日にちが過ぎ、合同演劇の稽古も、残すところ後わずかになってきた。

こうやってみんなで、ワイワイ騒ぐことも、本番が終わってしまえばできないんだよね…

No.88 08/02/03 18:38
ユミ ( wROHh )

❤88❤
「お~い、みんな、差し入れだぞぉ!」

いよいよ明日にリハーサルを控え、少しずつみんなの中に、緊張感が漂い始めている時、前にも差し入れを持ってきてくれたOB3人がやってきた。

「わ~い、ありがとう!」
「やった~!」

みんなで3人に駆け寄り、早速お菓子やジュースを広げ始めた。

今度は私もちゃんと、仲間入り。

この時、それまでのみんなの緊張感が少し、ほぐれたような気がした。

「いよいよ明日、リハーサルなんだって?」
「そうなの」
「オレらも見に来ていい?」「別にいいけど、その代わり、本番もちゃんと見に来てよ」
「もちろん」

と、これは高橋さんと新谷さんの会話。

そう、明日はリハーサル!ミスしないようにしなくちゃね!

No.89 08/02/03 18:54
ユミ ( wROHh )

❤89❤
「明日リハーサルなんだけど、なんだか今から緊張してきちゃったよぉ」
「なんで、あんたがそんなに緊張するのよ💧」
「だって、一応、私だって舞台にでるんだよぉ」
「黒子で、でしょ?」
「そうだけど…」

もうほとんど、毎晩の恒例になってしまっている、良子とのTEL。

「本番、見に来てくれるんでしょ?」
「うん。あんたの立派な黒子姿を、よ~く見ててあげる(笑)」
「何それ~(笑)」

「ねぇ、もちろん和也さんも見にくるんでしょ?」
「“オレは勉強があるから、行かない”だってさっ」 「え~っ、残念…」
「ねぇ、良子、ホントにあんなのがいいの?
あんなの、『勉強が趣味』みたいなクソ真面目なヤツだよ💧」
「何言ってんの!そこがいいんじゃない!」
「そうかぁ?…」

私にはどう見ても、真野さんの方がよく見えるんだけどなぁ…

う~ん、人の好みは分からない…

No.90 08/02/03 19:30
ユミ ( wROHh )

❤90❤
次の日。

「いい、みんな。今日はリハーサルだけど、本番のつもりで、気を引き締めてやってね!」
「はいっ!」

まず、新谷さんがみんなに気合いをいれる。

観客席には、各校の顧問の先生の他に、昨日来てくれたOBの3人も座っている。

そして、リハーサルが始まった。

ヤバイ、みんな緊張しているせいか、小さなミスが目立つ。

私も1回、セットの配置を間違えてしまった。

「ダメだっ!もう1回最初から、やり直しっ!
そんなんでどうするっ!
もう明日は本番なんだぞっ!しっかりしろっ、しっかりっ!」

ついに見るにみかねた宮下先生が、私たちを怒鳴りつけた。

他の先生や3人のOBたちも、不安そうに見ている。

そして、2回目。

なんとかミスもなく、最後までやりとげた。

ふぅ…

明日もうまくいくといいけど…

No.91 08/02/03 19:42
ユミ ( wROHh )

❤91❤
そして、ついに本番当日。

まだまだ開演前だというのに、それぞれの家族や友達たちが、続々と集まってきた。

広い観客席は、段々うまっていく。

「若菜っ!」
良子だっ!

「頑張ってね。私、見てるから」
「うん、ありがとう」

良子は、峰さんや真野さんたちにも挨拶すると、ホールに入っていった。

峰さんの友達(もう私の友達でもある)、根沢さんと佐藤さんも来てくれた。

もちろん、あのOB3人組も…

「さあっ、みんな、いよいよだ!もう、ミスは許されない!いいねっ!」
「はいっっ!」

新谷さんもみんなも緊張のせいか、それからは誰も口をきかなかった。

ただ黙々と、最終チェックをする。

開演5分前。

そして、開演のブザーが鳴り、舞台の幕が開く…

No.92 08/02/03 20:28
ユミ ( wROHh )

❤92❤
「お疲れさまでした~っ!」

本番は見事に大成功。

観客席からは、割れんばかりの大拍手。

そして、今から打ち上げ。

ホントは、ここでビールでも飲みたいとこだけど、一応そこはまだ未成年だという事で、仕方なくジュースで乾杯!

なんか、長かったような、短かったような…

もうこれで、他の学校のみんなと会えないのかと思うと、少し悲しくなる。

「3年はこれが最後だけど、2年と1年!また来年も頼むぞ!」
新谷さんがそう言うと、森下さんが
「じゃあ、先輩たちは、差し入れお願いしますねっ」と、言ったからみんな大爆笑!

ホントにこれで終わりなんだね…

No.93 08/02/03 20:39
ユミ ( wROHh )

❤93❤
「若菜っ、お疲れさん!」
「どうも」
「なかなか立派な黒子姿だったぞ」
「なんかそれって、嬉しいのか嬉しくないのか、微妙…💧」

「もうすぐ夏休みも終わりだね」
「げっ、宿題全然やってないっ!」
「あっ、私も…」
「明日から一緒に頑張ろうか…」

「じゃあ、若菜んちでやろう!」
「なんで?」
「決まってるじゃない。
和也さんに会えるからよっ」
「絶対良子、趣味悪い」
「何よぉ。でもホント、あんた私が言うまで気付かなかったの?
私、もう結構前から、和也さんの事好きだったんだけど…」
「全然そんな事、夢にも思わなかったよ」

「まぁ、とにかく、明日10時に若菜んち行くから」
「わかった。待ってるね」

No.94 08/02/04 07:29
ユミ ( wROHh )

❤94❤
ピンポーン

次の日、良子は10時きっかりにやってきた。

玄関のドアを開けて中へ通すと、ちょうどそこに兄貴が現れた。

「おっ、良子ちゃん。いらっしゃい」
「お邪魔しま~す!」

良子ってば、声裏返ってる💧

2階へ上がり、私の部屋へはいると

「やっぱ、和也さんカッコイイ!」
良子の目はウルウルしている。

「そうかなぁ?」

まぁ、私は妹だから、そう思うのだろうけど、確かに、兄貴はあれでも(?)結構もてるのだ。

でも、当の本人は前にも言った通り、『勉強が趣味』みたいな真面目人間だから、女にはあまり興味がないらしい…

あっ、だからって『あっち』って訳じゃあないのよっ!(ちなみに…)

コンコン

「は~い」
ドアを開けると、兄貴がおぼんにジュースを2つのっけて立っている。

「母さんがジュースだって」「あっ、ありがとう」
私はそれを受けとる。

No.95 08/02/04 07:59
ユミ ( wROHh )

❤95❤
「良子ちゃん、もし分かんないとこあったら、教えてあげるから」

「えっ、ホントですかっ!ありがとうございます」

何よっ、それ!妹の私には全然教えてくれないくせに!

「私、全部教えてもらおうかなっ!」

良子はまた、目をウルウルさせている。

「あのね…💧そんな事したら、良子がただのオバカだと思われるだけだよ」
私が呆れながら、そう言うと

「そっかぁ。じゃあ、自分で頑張ろう」
良子は早速、テーブルに宿題のプリントを広げ始めた。

No.96 08/02/04 08:11
ユミ ( wROHh )

❤96❤
私たちはなんとか、兄貴に頼らずに宿題を終わらせる事ができた。

ただし、答えがあってるかどうかは別として…💧

「じゃあ、次は学校で会おうね!」
「うん、そうだね」

私は良子を玄関まで送る。

「お邪魔しました!」
良子はそう言うと帰っていった。

と、ほぼ同時に兄貴がやってきた。

「全然オレんとこに聞きにこなかったけど、ちゃんとできたのか?」

「あったりまえでしょ」
私は胸を張る。

「ふ~ん」

兄貴はそれだけ言うと、なんだか自分が頼られなかったのが少し不満げな顔をする。

良子はこれがいいのか…

私は思わず、兄貴の顔をマジマジと眺めた。

「なっ、なんだよ!?」

「別に」

「変なヤツだなぁ💧」

No.97 08/02/04 09:57
ユミ ( wROHh )

❤97❤
そして、ついに2学期が始まった。

クラスのあちこちで、夏休みにあった出来事などをそれぞれでお喋りしていて、クラスの中はとっても賑やか。

中には
「夏休みの間中、部活だったから、どこにも遊びに行けなかった」
と、不満を言う人もいる。

私と良子が真野さんや峰さんたちと遊びに行った事や、合同演劇の事などを話して、盛り上がっていると、クラスの中でも割りと仲のいい3人が走り寄ってきた。

土屋 明美、山本 和美、大橋 玲奈だ。

「ねぇ、ねぇ、2人とも夏休みどうだった?
彼氏とかできた?」

「できないよぉ」
私と良子は、同時にそう答える。

「あんたたち、できたの?」と、良子が逆に聞き返す。

「まぁね!」
今度は、3人が同時にVサインを出した。

「え~っ、いいなぁ」
と、私と良子。

「へっへ~」

彼氏かぁ…

私にもできるのかなぁ…

No.98 08/02/04 10:27
ユミ ( wROHh )

❤98❤
2学期最初の部活の日。

私が視聴覚室へ行くと、もう先輩たちは集まっていた。

「すいません。遅くなりました」

「いいって。それより、合同演劇、お疲れさん!」
新谷さんがにこやかに、そう言ってくれた。

「あっ、お疲れさまでした」私もペコッと頭をさげる。

「で、次は文化祭なんだけど…」
「文化祭、ですか?」
「そう、今度はその練習を始めないとね」
「でも、この人数じゃ…💧」

私はつい、思った事を口に出してしまった。

「そうなのよ。だから、いつも音響や照明は、他の友達にお願いしてるの。
なんか、情けないけどね💧」
と、川島さん。

「で、何をやるか、今から考えるとこなの」
今度は、山崎さん。

すると、丸山さんが
「先輩たちは、もうこれが最後になるから、何かおもしろい劇にしたいなって、思ってるんだよね」

続けて市村さんも
「そうそう、思いっきり笑えるヤツねっ」

No.99 08/02/04 10:44
ユミ ( wROHh )

❤99❤
「喜劇、ですか?」
私が聞くと

新谷さんが
「そうだね。できれば、みんなを笑わせられるようなのがいいよね。
で、当然だけど、関口さんもキャストだからね」
と、私の肩を叩いた。

そして
「まぁ、合同演劇に比べりゃ、小さなもんだけど、それでもしっかり、発声練習をしてもらうからね」
と、続けた。

そういえば、私、入部していきなり合同演劇に参加する事になって、しかも、裏方だったから、発声練習とかって1回もした事がないんだった。

「発声練習って、“あめんぼ あおいな あいうえお”とかってやつですよね?」

私は、そんなのをどっかで聞いた事があるのを思い出した。

「まぁ、それもあるけど、後、活舌や腹式呼吸の練習とかもあるね。
どう、早速少しやってみる?」

そう言うと新谷さんは、私の為に黒板に活舌で言う言葉を書いて、説明してくれた。

No.100 08/02/04 11:02
ユミ ( wROHh )

❤100❤
ある日の日曜日。

私は、良子に買い物に付き合ってほしいと頼まれて、吉岡まで行く事になった。

いつものように小谷駅で待ち合わせすると、良子は、約束の10分前にやってきた。

私たちは、電車に揺られ、吉岡駅に着いた。

「ところで良子、一体何買うの?」
「うん、洋服とか」
「洋服かぁ。私も少し買おうかなっ」

私たちが洋服やかわいい小物などを見ながら、ブラブラしていると、突然、すれ違った男の人に後ろから声をかけられた。

「あれっ、確か、関口さんだよね?」

私がビックリして振り返ると、どこかで見た事のある男の人が立っている。

誰だっけ?

「オレだよ、オレ。覚えてない?合同演劇の…」

相手がそこまで言いかけた時、はっと思い出した。

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