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婚活ゲーム

No.18 18/05/06 13:40
賀州夏 ( ♂ MpbYnb )
あ+あ-

千裕玄がお茶をたてる、その所作はどれも無駄がなく美しささえ感じる。
そのお茶は今まで飲んだどんなお茶よりも研ぎ澄まされている様な味だった。
結構なお点前でとでも言えば良かったのがこんな機会は二度とないと思い、思った事をそのまま伝えた。
何度も何度も繰り返された事によっていろいろなものを削ぎ落とし、いろいろなものを得て生まれた味ではないかと思いますと。
「伊達君、君もやってみなさい」
思いもよらぬ返事が来た。
「作法はいいから思う様にやってみなさい」
こんな機会は二度と無いと思い、痺れた足を動かしながら茶釜の前に座る。
無だ、と思ったが俺の心は無になる事は無い、素直にミキに対する想いを込めて体を動かした。
千裕玄は俺がたてた茶を飲むと目をつぶってこう呟いた。
「伊達君、悲しみを知っているからこそ分かる幸せもあるのではないかな、ゆっくりしていきなさい」
それだけ言うと千裕玄は茶室を出て行った。
俺は暫く放心状態だった、緊張から解放された事もあるが自分の心を見透かされた事に驚いていた。
「先生はお茶を入れる人の所作で何でもわかってしまうんです」
「所作ですか?」
「はい、私も全て見抜かれてしまいます」
その後はユウコさんと暫く話し、最後のお客さんが来るという事なので出迎えるユウコさんと帰る俺は門まで歩く、別れるまでに伝える事がある。
「ユウコさん、無理しなくても大丈夫ですよ」
「え?どういう事ですか?」
ユウコさんが戸惑う。
「パジャマに変な下着が入っていたでしょ?」
俺は正直にコトミが仕掛けた下着の事を話す。
「そういう事だったんですね、妹さんの趣味かと思ってお兄さんに見つかるのは可哀想だったので持って帰りました」
ユウコさんは耳を赤くする、本当に優しい人なんだ。
「あ!ハナミズキ」
「綺麗!」
ユウコさんは満開のハナミズキを見上げる、とても絵になる。
「そこにいて下さいね」
俺はスマホを取り出して写真を撮る。
「写真なんて撮ったの久しぶり、花お好きなんですね」
ユウコさんは照れ笑いをする。
「その時、その時を大切にしたいんです、同じ瞬間なんて二度と来ないのわかったから」
「一期一会、私もそう生きたいです」
門をまたいで別れようとした瞬間、ユウコさんが俺の手を握る。
初めて触れたユウコさんの手は温かいというよりとても熱かった。

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