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雨が降っていた2

No.31 17/09/24 23:59
パンダっ子 ( FWvYnb )
あ+あ-

「・・・おばあちゃん・・・」
友香は何か言いかけて、でも結局それしか言わなかった。

「私は幸せに今までの人生を送って来られたと、大抵の人は思うのでしょうね。実際、幸せだったのだし。だけどね、心の中に澱のように何かが溜まっているの。・・・いいえ、何かじゃないわね、それを口に出すのは怖いから普段考えないようにしているのだもの。」

「・・・一旦考え出してしまうと、私にもっと勇気があったらなんて、思っても仕方のない後悔ばかりしてしまう。」
純さんは目を瞑った。瞼がひくひく震えている。涙を堪えているのが伝わって、私の目頭も熱くなった。

「ただ、史織に・・私も愛していると・・言いたか・・った。史織を抱き締めて・・・その・・頬に・・触れたかった・・・」
純さんの閉じた目から、涙がこぼれ落ちた。

私は純さんに掛ける言葉も無くて、でも純さんの哀しみややるせない悔しさも、何となく分かってしまった。史織さんに伝えたくて出来なかった言葉が、抱き締めたくて広げたその腕が、行き場を無くして純さんの心の中に澱として残っている。

友香が純さんの隣りに行き、純さんを抱いた。純さんは友香の肩に額をつけて、友香に背中をさすられるまま、身体中を震わせて泣いていた。

「おばあちゃん・・・誰かに話したかったんだね。おばあちゃんと史織さんの事を、今までずっと言えなかったんだね。おばあちゃん、辛かったよね。史織さんと気持ちが繫がっていたのに、史織さんに言えないまま、永遠に会えなくなってしまったんだもんね。」

友香の声の優しさに、私は胸が詰まった。そうだ。純さんはずっと誰かに言いたかったのだ。愛する史織さんを無くして哀しいと、愛していると打ち明けたら受け入れて貰えたのに、それを言えなかったのが悔しいと、ずっとずっと言いたかったのだ。

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