注目の話題
どういう印象なのか?
これが、ありのままの俺
婚活する時の服装

地獄に咲く花 ~The road to OMEGA~

No.498 12/05/31 00:20
鬼澤ARIS ( 20代 ♀ yhoUh )
あ+あ-

「止めて!止めてよ!!何なのこれ…?!うわああぁぁぁぁ!!!」

その想像もしなかった光景に、私は絶叫した。叫びでそれが止まるものなら、いくらでも叫べた。けれど私の叫びは無意味に虚空に消えていくだけで、ルチアの体はその間にどんどん溶けて無くなっていった。


「ああああ、あぁぁ……っ!!!」


それでも喉が枯れるほど叫んだら、やがて涙が溢れてきた。涙はゆっくりと私の頬を伝い、ぽたりと床に落ちた。


「どうして……ルチア。だってあなた…まだリタに想いを伝えてないじゃない。」



どくん。



私の中で鼓動が鳴り響く。
これはあの感じだ――即時にそう思った。

私の中に埋め込んだルチアのオメガ遺伝子が『呼応』している。声にならないもう1つの叫びが、私の中で響いている。それはぐるぐると渦巻く感情となって私の全身を駆け巡っていく。




『悲しい。』



『寂しい。』



…『会いたい。』




ああ、やっぱりそうなんだ。


私はぎゅっと下唇を噛み締める。きっと、この止めどなく溢れる涙はルチアのものなんだ。ルチアはずっと待っていたのに。目を覚まして、リタと会えるその日をずっと待っていたのに。

「リタ………」

せめて、彼が最後の時までそばにいてくれたら。


「リタ…ねぇどこにいるの…迎えに来てあげてよ……ルチアを…だって、まもるっていってたじゃない……約束、したじゃない…」


私はその場にがくりと膝をつく。そして、止まらない涙を流しながら、ルチアが消えていく姿を見ていた。もう、手足は殆ど原型を留めていない。


(そっか……もう、駄目なんだ。)


私は絶望する。多分この後、私も同じ様に消されるんだろうなと思った。


それで、全部終わり。


結局、私の人生に意味なんて無かった。最後まで何も出来なくて。自分の想いを伝えることさえ出来なくて、そのまま終わる。その事が、ただただ虚しかった。








しかしそれは終わりではなかった。




全ては、ここからが始まりだった。
本当の終わりへの、始まり。



その終わりがどんなものなのかはまだ私には分からないが。



そう、この瞬間
刻は満ちたのだ。








――To be Continued――

498レス目(499レス中)

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧