アラサー・バツイチ女のリアルな物語
「いらっしゃいませ!」
「おっ!彩乃ちゃん!今日も元気いいね!」
私、伊藤彩乃。30歳。
バツイチの出戻り。
子供なし。
離婚して以来彼氏もなし。
昼間は旅行代理店でアルバイト。
夜は両親が営む小さな居酒屋を手伝っている。
声をかけてくれたのは常連客の中嶋さん。
父の古くからの友人でもある。
「いつものやつよろしく!」
「毎度どうも😄」
中嶋さんはいつも、焼酎の烏龍茶割りを頼む。
いつもは一人で来るが、今日はお連れ様も一緒だ。
会社の部下になるという中村さん。
「お飲み物は?」
「俺は生中で」
「かしこまりました!」
今日のお通しは、母特製の切り干し大根の煮物。
常連客には、なかなか評判が良い。
カウンター席に座る2人の元にお通しと焼酎、生中を運ぶ。
「お待たせしました~」
これが、中村さんとの出会いになった。
*人生初めての小説です。至らないところもありますが、読んで下さると嬉しいです😄
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子供達はじいじに「じいじ!パパとあーちゃんと遊園地に行ってウサギ抱っこしたの!」
「これ買ってくれたの!」
2人同時にじいじに話し掛けている。
じいちゃん子なのかな?
お父さんは子供達を相手にニコニコしながら話を聞いている。
お母さんは私と中村さんに冷たい麦茶と、切ったカステラを持って来てくれた。
「お仕事は何をされているの?」
「旅行代理店の内勤営業です」
「ご実家、居酒屋さんをされているみたいね」
「はい😄小さいですが」
「ご兄弟は?」
「一人っ子です」
矢継ぎ早に質問をしてくるお母さん。
中村さんには3つ年上のお兄さんがいる。
転勤族らしく、今は実家から3時間程離れたところに住んでいる。
お母さんと色んな話をする。
最後に「こんな息子ですが、仲良くしてやって下さいね😄またいつでも遊びにいらしてね」
「こちらこそ💦すみません、ごちそうさまでした!お邪魔しました!」
その時、龍輝くんが「あーちゃん、もう帰るの?一緒にトランプやろ🎵」とトランプを持って来た。
中村さんが「あーちゃんは明日お仕事だから帰るの!いっぱい買ってもらったんだから、ちゃんとありがとうしないとダメだよ!」と言うと龍輝くんは「あーちゃん、ありがとう!バイバイ😄✋➰」と手を振ってくれた。
小春ちゃんも「あーちゃん!バイバイ😄」とお兄ちゃんの横で手を振ってくれた。
ご両親も玄関先まで見送ってくれた。
「送ってくるから」
中村さんはそう言って、私と一緒に家を出た。
「今日はありがとう!あいつらも嬉しそうだった😄」
「2人共可愛かったな💕」
「また機会があれば、あいつら連れて来てもいいかな?」
「もちろん!」
「ところで、明日の夜って時間ある?」
「大丈夫だけど…何かあった?」
「明日、良かったら一緒にご飯どうかな?」
「喜んで✨」
「じゃあ、明日は2人でゆっくりご飯食べよう!」
そんな話をしているうちに家に着いた。
居酒屋は開店前の準備をしていた。
「ただいま~」
「おかえり、今日は団体客が入ってるから着替えたら手伝ってもらえるか?」
お父さんが忙しそうに仕込みをしながら話し掛けて来た。
「わかったよ!着替えて来るわ!」
私は店から家に入る。
郵便受けに郵便物を見つけて取り出す。
私宛の封書。
開けてみると、直哉と理奈の結婚式の招待状だった。
「行きませんよ😒」
そう言いながら部屋に戻り着替える。
その日は忙しく、あっという間に時間が過ぎた。
片付けも終わり「はぁ~疲れた😫」
ソファーにゴロンと転がる。
携帯を見ると中村さんから2件メールが来ていた。
「居酒屋さんを手伝っている時間かな?頑張って✊」
もう1件は「お休み中」という題名で龍輝くんと小春ちゃんが仲良く並んで眠っている写メ。
思わず笑顔になる😄
もう遅いから返信はしない。
また明日会える❤
携帯を見ているうちにそのまま落ちたらしく、気が付いたら朝になっていた。
朝、化粧をしていたら携帯が鳴る。
右目だけアイラインを入れた状態で携帯を開く。
理奈だった😅
う~ん…出ようかどうしようか瞬時に悩み、出ない事に決めて左目にアイラインを入れる。
また携帯が鳴る。
無視無視!
また鳴る。
しつこいな💢
仕方ない…出るか💧
「もしもし?」
「彩乃~おはよう!やっと出た😄」
「ごめん、これから仕事に行かなきゃならないんだけど」
「結婚式の招待状届いた?」
「うん、来たね」
「彩乃は強制出席だから出欠のハガキ入ってなかったでしょ?必ず来てね!」
「ごめん、結婚式には行けないんだ」
すると理奈は急に不機嫌になり「はぁ?どうせ暇でしょ?彼氏とデートする時間はあるのに、私と直哉さんの結婚式に来る時間がないっておかしくない⁉」
「悪いんだけど忙しいから切るね」
「ちょっ…彩乃…」
理奈が話している最中だったけど電話を切った。
それからも何度も鳴るけど無視。
すると今度は旅行代理店にまで電話をして来た💧
「彩乃が出席するっていうまで毎日電話するから」
「店には電話して来ないでよ」
「じゃあ結婚式来てよ」
はぁ…思わずため息が出る。
「行かないし、今度電話してきたら営業妨害で警察に連絡するから」
そう言うと理奈は無言のまま電話を切った。
直哉と私はこんなにラブラブですよ~彩乃、羨ましいでしょう❤
そう言って見せつけたいんだろうけど、はっきり言って迷惑💢
何か朝から疲れちゃった😅
夜になり、中村さんとデート❤
一緒に晩御飯を食べる。
今日はパスタ。
私はシンプルにカルボナーラ、中村さんはペペロンチーノを食べる。
色んな種類のパスタがあったけどお互い冒険はやめて食べ慣れたものにした(笑)
そして、コンビニに寄って飲み物を買ってから中村さんの車はラブホ街へ。
今日は勝負下着を着用してきたし、ムダ毛の処理も完璧✌
でも中村さん…いつもと様子が違う。
車から降りてから無言のまま。
いつもなら手をつないでくれるのに、今日はない。
「何かあったのかな…」
ご飯を食べている時も、余り笑顔はなく元気がない様にみえた。
部屋に入る。
比較的広めでシンプルな作りの部屋。
大きなテレビがあり、反対側にテーブルとソファーが置いていて、奥には大きなベッドがドーンと置いてある。
中村さんはソファーに座り買って来たペットボトルのお茶を飲む。
「彩乃ちゃんに話があって…」
「えっ⁉話しって何?」
真面目な顔の中村さん。
別れ話でもされちゃうの⁉
ドクン!
心拍数が一気に早くなる。
しばらく無言の中村さん。
もう心臓が跳ねて口から飛び出してきそうだし…倒れそう💦
早く言ってよ…
覚悟を決めて「話しって…何だろう?」と聞き返す。
中村さんは真面目な顔をしたまま話し出した。
「彩乃ちゃん…俺…来月から一年間、東京の支店に行く事になったんだ…」
えっ⁉
「今日、部長に言われてね…子供らは親に任せて単身赴任みたいな形になるけど…彩乃ちゃんとは遠距離になっちゃうから、報告しようと思って」
「東京かぁ…😞でも、ほら!今みたいに頻繁には会えないけど携帯あるし!会えない分、たまに会うと新鮮味があると思うし!」
動揺し、良くわからない事を言う私。
「彩乃ちゃん…遠距離は寂しくないの?」
「寂しいけど…仕事だし、一生会えない訳じゃないから!😄」
精一杯の笑顔で答える。
本当は寂しいよ😢
ずっと一緒にいたい。
でも、一年間の我慢!
「彩乃ちゃん、突然なんだけど」
そう言って中村さんはカバンから何かを取り出した。
シンプルな模様の紙袋に入っている。
「開けてみて」
私は素直に紙袋を開ける。
わぁ~✨
ネックレスだ!
「実は俺とお揃いなんだ!今日、仕事を早く切り上げて買いに行って来たんだ😄遠距離になるから、身近に感じれるかな?と思ってね」
早速着けてみた。
細長い長方形の先に小さなダイヤが一つ、シンプルについている。
「なかなか似合うじゃん😁」
「ありがとう!」
「俺はもう着けてる😁」
そう言って、ワイシャツの襟のところからチラっと取り出した。
お揃いのネックレス。
大事なネックレス。
中村さんとは遠距離になるけど、このネックレスが中村さんとの絆。
絶対に外さない!
その日はいっぱいいっぱい愛し合う。
遠距離になる寂しさを埋める様に…
その日からは少しでも時間があれば会う毎日。
休みが合えば朝からずっと一緒。
龍輝くんや小春ちゃんも一緒に会う事もある。
そんなある日。
旅行代理店の仕事を終え帰宅していると、後ろから「彩乃」と声を掛けられて振り向くと直哉だった。
「直哉⁉久し振りだね、理奈とは仲良くやってる⁉」
「…理奈の事で相談があるんだけど」
「えっ?」
「ちょっと時間あるか?」
「いや…うん」
悩んだ。
やましい気持ちは全くないけど、元旦那に会うとわかれば中村さん、嫌な気持ちになるだろう。
「また今度でもいい?今日はちょっとこの後予定が入ってて」
「明日は?」
「まぁ、そのうちに」
私は再び歩き出した。
理奈の事が頭をよぎる。
直哉と会った、なんてわかったらまた理奈から執拗な嫌がらせが始まるのが嫌だ😱
直哉は追い掛けて来る事はない。
私はそのまま自宅に帰る。
今日は中村さんは残業のため、私は居酒屋の手伝いがあるため会えない。
私は着替えて、いつもの看板娘をこなした。
久し振りに中嶋さんが来店。
「中嶋さん!久し振りですね😄」
「お~彩乃ちゃん😄元気だったかい?」
「しばらくみえてないからどうしたのかな?って心配してましたよ」
「あはは(笑)実はね、しばらく孫を預かっててね😄夜は和希と一緒に遊んでたんだよ」
息子さんのお嫁さんが事故にあい入院していて、息子さんが夜勤の週だったため夜は和希くんを見てくれる人がいないので、中嶋さんが面倒をみていたらしい。
「しばらく孫と遊んでたらここに来れなくてね~昨日、息子が迎えに来て孫を連れて帰ったけど夜はずっと一緒にいたから、じいちゃんは寂しいよ😫」
そう言って、いつもの焼酎の烏龍茶割りをグイっと飲む。
「そうだったんですか」
「ところで…中村くんとはうまくいってるのかい?」
「えっ?」
「中村くんが報告して来たよ😄彩乃ちゃんと付き合ってるって😁ちゃんと彩乃ちゃんからもおじさんに言わないとダメだな~(笑)」
「すみません😅」
「彼は仕事も真面目だし、いい青年だよ!あっ、聞いた?来月から東京に行くって…」
「聞きました😞」
「寂しくなるねぇ…寂しい時はおじさんが相手するよ😁」
「あはは(笑)お願いします😁」
相変わらずの中嶋さん。
お母さんとも雑談を交わし、閉店までいた中嶋さん。
「帰っても孫いないから、今日からは一人寂しくねんねするよ😞⤵」
とつぶやき帰って行った。
その後、閉店後の片付けをして部屋に戻る。
翌朝、中村さんにメールをするのが日課になっていた。
「おはよう☀昨日、中嶋さんが来店して中村さんが東京に行って寂しい時は相手してくれるって😁」
すぐに返信が来た。
「彩乃ちゃんおはよう✨中嶋さんなら安心だ(笑)是非相手してもらって😁」
「あとね、昨日の仕事帰りに元旦那から理奈の事で相談があるって会社帰りに会って言われた」
「信じてるから大丈夫だよ!コソコソされたら嫌だけど、こうして言ってくれたしね😄その代わり、何かあったらすぐ連絡を✋」
「ありがとう」
支度をして旅行代理店に向かう。
仕事を終えて店を出ると今日もやはり直哉がいた。
「ごめん彩乃、待ち伏せして」
「多分いるだろうと思っていたから」
「理奈の事でちょっと…」
「いいよ、相談に乗ってあげる」
向かいの喫茶店に入る。
飲み物を注文し「早速なんだけど…」と直哉が口を開く。
「理奈、彩乃に大変な事をしたらしいね」
「あぁ…前にね~何かにとり憑かれたみたいに「あんたさえいなければ、私は直哉さんと幸せになれた」って言いながら蹴られてね、3日間仕事休んだくらいの怪我をしたよ😞」
「理奈は俺と彩乃がまだ続いてると思ってるみたいでね、毎日毎日「彩乃とは連絡してないよね⁉」とか言われてさ、束縛が酷くて」
「そう」
「こうして会ってたなんてバレたら何をされるか…」
「で、相談って何?私は悪いけど愚痴を聞きに来た訳じゃないのよ」
「あ…そうだよね。相談っていうのは、どうやったら理奈と別れられる⁉」
「はぁ?」
「だって理奈のお腹には直哉の赤ちゃんがいるんでしょ?結婚式も挙げるんでしょ?何を今更…」
「前の理奈なら何の迷いもなく結婚してた。でも、今の理奈は…嫌いだ。一緒にいても苦痛でしかない。お袋は「あんな女との再婚は、絶対許さない!」と会う事すら頑なに拒否してるし、理奈は勝手に話を進めているし…」
「直哉、ずいぶん勝手だね。今の理奈が嫌だから別れたい⁉自分で何とかしなさいよ」
私は席を立つ。
「彩乃!ちょっと待って💦」
「何でもう関係ない元旦那の色恋沙汰の面倒までみなきゃいけないの⁉」
「彩乃しか相談出来なくて」
その時に直哉の携帯が鳴る。
理奈かららしい。
「うん…うん…えっ?」
そう言って喫茶店の外を見る直哉。
あらぁ…携帯を耳に当てた状態の怖~い顔をした理奈が覗いて、こっちを見てる💦
こりゃ~面倒な事になりそうだ😱😱😱
理奈が喫茶店に入って来た。
「やっぱり彩乃とまだ付き合ってたんだ」
「違うんだ!俺が彩乃を無理矢理…」
パーン‼✋💥
理奈が直哉の顔を平手打ち。
そしてコップに入っていた水を直哉にぶっかけた!
他のお客さんが一斉にこっちを見る。
その隙に、私は逃げる様に喫茶店を出た。
この喫茶店に来る度に何かあるな😅
逃げながら中村さんに連絡。
中村さんに簡単に事情を説明、すると中村さんは「これからすぐ向かうから!」と言ってくれた。
直哉も理奈も、あの喫茶店から出てきた様子はない。
走ったため、はあはあと息があがる。
落ち着いた頃に中村さんが来てくれた。
「直哉と理奈がまだあの喫茶店にいると思うんだ」
「様子を見てきてあげようか?」
「ありがとう」
中村さんは近くまで車を走らせ、車を降りて喫茶店の中を覗く。
すぐに戻って来て「まだ中にいたよ。店員さんが止めに入ってるみたいだけど彼女の怒鳴り声が聞こえた😅」
「もう関わりたくないな」
とりあえず車を走らせる。
郊外のコンビニの駐車場に停めたと同時に私の携帯が鳴る。
「理奈だ…」
「出てみたら?何かあっても俺がいるし」
「うん…」
私は電話に出る。
スピーカーにして、中村さんにも聞こえる様にしておいた。
理奈は興奮状態で「何逃げてんだよ💢戻って来なさいよ!」
「嫌だ」
「はぁ?あっ!直哉さん、待って!」
そう言って電話が切れた。
直哉は、理奈が私と話している隙に逃げたのだろう。
理奈の怒りの矛先は私に来るな、そう直感した。
中村さんは呆れた様子で「彼女には参っちゃうね😅」と苦笑い。
その時にまた理奈からの着信。
「俺がいるし、出てみたら?」
中村さんにそう言われてまたスピーカーにして電話に出る。
「もしもし?」
「ねぇ、直哉さんはどこ⁉居場所知ってるんでしょ?教えてよ!」
「知らないよ💢」
「嘘!今一緒にいるんでしょ?代わってよ💢」
「知らないって言ってるでしょ⁉あんたいい加減にして💢あんたがそんなんだから直哉が逃げるんじゃないの?巻き込まないで💢」
「何よそれ!いいから早く代わりなさいよ💢」
その時中村さんが私の携帯を取り「もしもし」と話し出した。
「も…もしもし⁉」
戸惑う理奈。
「今、彩乃ちゃんが一緒にいるのは直哉という人ではなく中村といいます。前に一度会ったかな?彩乃ちゃんは俺と付き合ってから直哉という人とは一切関係ありません。これ以上いらぬ疑惑をかけられるなら出るところに出て、第三者を交えてしっかりお話しましょうか」
「…」
理奈は無言のまま電話を切った。
「ありがとう」
「いやいや…彩乃ちゃんの友達を悪く言う訳じゃないけど…大変だね😅」
「あはは😅(苦笑)」
「また何かあったらすぐ来るから!ごめん、今日は帰らなきゃならなくて💦」
「忙しいのにごめんなさい😫」
そういえば、今日中村さんのお母さんがいないって言ってたな。
子供達が待ってるのに、申し訳ない事しちゃったな😞
うちまで送ってもらい、中村さんと別れた。
今日は居酒屋はお休み。
両親もいない。
今日は2人で仲良くディナーだって言ってたな。
仲が良いのは素晴らしい✨
邪魔者は一人のんびり過ごしますか😆
冷蔵庫の中のものを適当に食べて、お風呂にのんびり入り缶ビールを飲む。
「ぷはぁ😆たまらん❤」
久し振りにゆっくりとした夜を過ごす。
携帯が鳴る。
着信を見ると由佳だった。
「はろ~😆」
「はろはろ~😁今日は店休み⁉」
「休みだよ😄」
「何だぁ~キムチチャーハン食べに行こうと思ったのに😞」
残念そうな由佳。
由佳に「ねぇ、由佳…」
由佳に理奈の事を話する。
由佳は黙って聞いてくれていた。
「困ったやつだねぇ…」
そう言って由佳はため息をついた。
「最近、理奈から何の連絡もないからちゃんとやってるんだとばっかり思ってたよ。もう一切関わらないのが一番!電話も拒否したら?職場に相談出来る人がいたら、その人に話しておいた方がいいかもね」
「うん、ありがとう」
「ところで彩乃、山田さんって覚えてる⁉」
「えっ⁉山田さん⁉」
突然、山田さんの名前が出てきてびっくりした💦
「彼ね、再婚するんだって!聞いたら前の飲み会の時には彼女いたらしいのよ💦付き合って長いらしいよ」
「そうなんだ😅」
ほぅ、やっぱりつまみ食いされただけか😒
本命がちゃんといたんだ。
彼女がいながら、他の女とも…なんて有り得ない😠
彼女には申し訳ないけど、そんなろくでもない男はたいした事はないな😒
もう関係ないからいいけどね。
いつも由佳との電話は長い。
結局、1時間も電話でしゃべってた💦
今度、休みがあえばランチに行く約束をして電話を切った。
それから理奈や直哉とは一切関わらなくなった。
理奈からも連絡はないし、直哉とも会わなくなった。
中村さんが東京に行く日まで1週間になった。
荷造りや仕事の引き継ぎに忙しい中村さん。
それでも合間を見ては会ってくれた。
東京に行く日は、旅行代理店に希望休みを出した。
日にちが近付くにつれて、寂しさが増して来る。
日に日に電話やメールも増えた。
東京に行くのが明日になった。
「もうしばらく会えないんだね😢」
「落ち着いたら彩乃ちゃんを東京に招待するから!」
我慢していた寂しい気持ちが爆発して泣いてしまった。
「彩乃ちゃん…」
中村さんは優しく抱き締めてくれた。
そしていっぱい愛し合った。
お互い裸のまま、しばらく抱き合う。
ぬくもりを忘れないために。
幸せに浸っていると、いきなり中村さんにお腹の肉をつままれた。
「しばらくつまめないから😁」
「嫌だぁ~せっかく幸せに浸ってたのに😫」
あはは~と笑う中村さん。
その笑顔ともしばらくお別れだね😢
中村さんが東京に行く日が来た。
12時50分発羽田空港行きの飛行機。
私以外にも中村さんのご両親、龍輝くんと小春ちゃんも空港に来ていた。
「パパ!」
2人共、パパの側から離れない。
小春ちゃんは「パパ、抱っこ」と抱っこをお願いして、中村さんは小春ちゃんを抱っこ。
中村さんのお母さんから「良かったら一緒にお昼どうかしら?」と声を掛けてくれた。
「ありがとうございます!」
空港内のレストランに入る。
龍輝くんは「あーちゃんの隣に座る!」と子供用のいすを引っ張って来て私の隣に置いた。
小春ちゃんは「小春もあーちゃんの隣がいい!」と椅子をガタガタいわせながら引っ張って来た。
私の右側には龍輝くん、左側には小春ちゃんが座る。
ご飯を食べ終わると、お母さんは伝票を持って真っ先にレジへ向かう。
私は慌てて追い掛け「あの、いくらかかりました⁉」と聞く。
「いいのよ、誘ったのはこちらだし😄」
「いや、でも…」
「いいのいいの!ほら、小春があーちゃんって騒いでるから行ってあげて!」
「すみません💦ごちそうさまです💦」
レストランを出ると、もうギリギリの時間になっていた。
「じゃ…」
中村さんはゲートに入る。
龍輝くんと小春ちゃんは、「パパ!ばいばい!」と何度も叫んで大きく手を振っている。
中村さんも軽く右手をあげる。
私達は中村さんが見えなくなるまで手を振った。
東京に行っちゃった…。
「パパ、東京に行っちゃったね」
龍輝くんが寂しそうにしている。
「龍輝くんがいいこにしてたらパパ帰って来るよ😄」
「本当⁉」
「そうだよ、だからちゃんとじいじとばあばの言う事を聞くんだよ」
「うん!わかった!」
空港でみんなとお別れし、私は1人でバスに乗る。
その日の夜、中村さんから「無事に社員寮に着きました✌」と住所も一緒にメールが来た。
中村さんとの遠距離が始まった。
東京に行くために、頑張ってお金貯めなきゃ!
節約し、貯金を頑張る毎日になった。
あと、次に会う時までにお腹の肉をおとなさなきゃ😅
中村さんが東京に行って、1ヶ月が過ぎた。
毎日メールは欠かさない。
たまに長電話もする。
中村さんからもらったネックレスは肌身離さず着けている。
遠距離も少し慣れて来た。
そんなある日、由佳から連絡があった。
理奈が出産したというものだった。
女の子で、名前は「ゆい」ちゃんというらしい。
理奈が「出産祝いは服とかいらないから、現金か商品券がいい」と言って来たらしい😅
由佳が「彩乃、出産祝いあげるの?」と聞いて来た。
「いや…あげないかな😅」
私も由佳も出産祝いはあげないという事になった。
ところが!
出産してしばらく経ったある日、理奈が店にやって来た。
「ねぇ~彩乃!私、赤ちゃん生まれたのよ~出産祝いもらいに来た😄」
「えっ?」
「普通友達なら出産祝い渡すよね!忙しくんだと思いわざわざ来たのよ😄」
そう言って手を差し出された。
「今、何にも用意してないし…」
「あっ!封筒とか邪魔だからいらないよ!3万でいいよ😄」
「はぁ?」
「えっ?3万もないの?じゃあ、一緒に銀行に行こうか😄」
「ちょっと待って💦…普通こうしてわざわざもらいに来るかな😅」
「彩乃が忙しいんだと思ってわざわざ来てあげたのよ⁉感謝されてもいいと思うけど?」
「悪いんだけど…帰ってもらえるかな😅」
「じゃあ~明日また来るから、その時までには用意よろしく!」
理奈はそう言って帰って行った。
その日の夜、由佳から電話があった。
由佳の会社にも理奈は出産祝いをもらいに行ったらしい。
由佳は「理奈に出産祝いあげないって言ったら「友達なのに!」って泣いて騒いでさぁ…参ったよ😫しかも、会社までタクシーで来たからってタクシー代まで請求されたのよ😅」
「有り得ない😠」
「また会社に来られても困るから…渡すかな😅彩乃と2人でって言って渡すから…お金は後でいいよ」
「ありがとう」
翌日、また理奈が来た。
「さっき由佳からお金もらったんだけど…あれって2人分?」
「そうだけど…」
「2人で3万ってどういう事⁉私、言ったよね?1人3万って…」
「ごめん、理奈。私も由佳もそれが精一杯のお金なの。それ以上は出せないかな」
「そんなにここって給料安いの~?」
大きな声で叫ぶ理奈。
みんなこっちを見る。
「もう本当勘弁して!」
そう言うと理奈は黙って店から出て行った。
久美子さんが「どうしたの?」と声を掛けて来た。
事情を説明。
話を聞いていた久美子さんを始め、周りにいた人達が「出産祝いを金額指定でもらいに来るなんて…」と呆れていた。
2児のママである先輩のひとみさんは「私子供2人生んでるけど、出産祝いを請求した事なんてないよ😅しかも3万って…一万でも多いと思ってたのに」と苦笑い。
「また来たら言ってあげるから!変な友達持ったね😅」
会社のみんなはわかってくれた。
迷惑かけてごめんなさい😫
それから理奈が来る事はなく、平和な日々。
給料日になり由佳にお金を渡すため、由佳に電話をした。
「もしもし?由佳⁉」
「もしも~し!」
由佳の声が良く聞こえないくらい賑やかな音がする。
「どっか遊びに行ってるの⁉」
「うん、今ね会社の人とカラオケに来てて…ちょっと待って!」
どうやら個室から出た様子。
賑やかさが消えた。
「ごめんね~彩乃💦明日でもいい⁉」
「こっちこそ楽しんでるのにごめん💦明日は店あるから…そのうちだね💦」
「じゃあ~明日店に行くわ!」
そう言って電話を切った。
翌日、由佳は店に来てくれた。
用意しておいたお金を渡す。
お母さんが「あら由佳ちゃん!いらっしゃい😄」
「おばさん、こんばんは😄」
「キムチチャーハン、食べて行くかい?」
「えっ?いいんですか?」
由佳の目の色が変わる。
「お父さん!由佳ちゃんのキムチチャーハンお願い!」
お母さんはお父さんに声を掛ける。
「お待たせ😄今日は特別サービス!ゆっくりしていってね😄」
特別…それはいつもはつかない焼豚を乗せている(笑)
「ありがとうございます!頂きま~す✨」
由佳は嬉しそうにキムチチャーハンを食べる。
「由佳、飲むか😁」
「いいですなぁ❤」
私は生ビールを2つ作る。
「私のおごり❤かんぱ~い🍺✨」
「ぷはぁ~幸せ😆❤」
由佳は美味そうにビールを飲む。
10時半も回り、由佳はほろ酔いで「帰るね~キムチチャーハン、ごちそうさまでした!」と追加注文した分を支払い帰って行った。
由佳も私も、理奈の言動に頭にきていた。
関わりたくない!と思って携帯は拒否しても、会社に来て泣いたり怒鳴ったりするし、しつこく会社に電話が来るため困っていた。
由佳は、理奈の事で部長に呼ばれ説教されたらしい。
お互い、このままならクビになる可能性もある。
理奈に強く言えば、嫌がらせの嵐。
言わないと突然会社に来ては騒いでいく。
私も由佳も精神的に疲れていった。
私と由佳は理奈を「一緒にご飯食べようか」と呼び出した。
理奈は「もちろんおごりだよね?」と聞いて来たから「そうだよ」と答えると喜んで待ち合わせ場所に来た。
赤ちゃんはいない。
理奈は「何食べさせてくれるの?ホテルのランチ?」
私と由佳は無言のまま由佳の軽自動車を停めてある駐車場へと向かう。
理奈はハンドバッグを振り回しながらついてくる。
「食事場所には車で移動するから乗って」
由佳はそう言って、理奈を後部座席に乗せる。
理奈は何の疑いもなく車に乗る。
私は助手席に乗り、由佳の運転で車を走らせた。
車は市街地を抜けて、山道に入る。
理奈は「由佳~どこ行くの?ドライブなら必要ないよ」と言っているけど、私も由佳も無言のまま。
携帯もつながらない山道に来た。
登山客用の駐車場に車を停めた。
「ちょっと!何なのよ💢」
理奈は怒りだした。
「理奈、ちょっと話があるんだ」
由佳が口を開く。
「私達だけじゃ理奈はすぐキレるから、ちょっと人を呼んだの」
直哉と理奈の元旦那の晴彦さん。
以前、理奈から晴彦さんの勤務先を聞いていた。
由佳が晴彦さんの会社に電話をし事情を説明、晴彦さんは理解を示してくれて協力してくれた。
直哉には私が連絡をし「逃げてばかりじゃなく、少しは強くいかんかい💢」と渇をいれて連れて来た(笑)
理奈は状況をまだ飲み込めないみたいで戸惑っている。
「さあ理奈、もう一度聞く。会社に来て思い通りな返事がなかったら泣いて騒いでいったり、会社に電話してくるのはやめてもらえないだろうか?」
理奈は黙っている。
「あら~?さっきまでの勢いはどうしたの?さっきは「由佳や彩乃が忙しいっていうから私から行ってあげただけ!」って言ってたけど~?」
黙ったままの理奈。
「それが原因でクビになりそうなのって言っても「そんな事知ったこっちゃないし」って言ってたの誰だったかなぁ~?」
由佳は理奈にわざと嫌味たっぷりで話す。
「出産祝いを金額一人3万円って指定でわざわざ取りに来て、今そんなにないって言ったら「一緒に銀行に行こうか」って…そんなのあり?」
私も理奈に話す。
理奈はずっと黙ったまま下を向いている。
私と由佳は、今までの理奈の悪態を全て晴彦さんと直哉の前で暴露した。
理奈は「もうやめて…」と泣き出した。
それでも私と由佳の話は止まらない。
晴彦さんも直哉も黙って話を聞いていた。
「もう本当にやめて…」
直哉や晴彦さんがいなければ絶対上から目線で見下した言い方をするくせに、今の理奈は「私は友人2人に攻撃されてる可哀想な女」を演じているのがわかる。
私も由佳も、それが更に腹がたった。
話も終わり、少しの沈黙の後に晴彦さんが口を開いた。
「理奈と結婚したのは、理奈から俺との子供が出来たと言われたからだったんだけど、出会った初日に理奈からホテルに誘われて…ぶっちゃけ、こんな可愛い子とやれるならと思って誘いに乗った。それが間違いだった。まさかその時に、俺じゃない人の子供がお腹にいたんだよな」
そう言って、直哉をチラっと見る。
「おかしいとは思ったけど理奈の事は好きだったし結婚した。でも…聞いたんだよ、電話の内容を…相手は誰かは知らないけど…」
お腹の赤ちゃんは晴彦さんではない、晴彦さんと結婚したのは収入が良いから。
偶然にも晴彦さんと直哉の血液型は同じ。
お腹の赤ちゃんが大きくなるまでに見つけたいい相手。
だから会った初日に関係を持っておけば言い逃れは出来ないと考えた。
その時直哉はつなぎのアルバイト。
とても食べていけない。
だから直哉がまたちゃんとしたところに就職し、収入が安定したら晴彦さんに離婚をせまり慰謝料と養育費を請求をしたい。
そういった内容だったらしい。
それを聞いた晴彦さんが激怒し離婚した。
私も由佳も直哉も、晴彦さんの話を聞き絶句する。
話を聞いていると晴彦さんは、見た目はコワモテだけど、内面はとても優しくて理奈を愛していたんだなというのが伝わって来た。
「理奈という女性に出会い、色んな意味で女性というのを勉強させられた」
晴彦さんは言う。
すると理奈は直哉を見て「私はやっぱり直哉さんじゃなきゃダメだって言うのがわかったのよ!」と突然叫んだ。
直哉は理奈の声にびっくりし理奈を見たものの、言葉は発しない。
「ゆいの父親は直哉さんなの!あんなに可愛いのに、父親がいないなんて可哀想!ねぇ直哉さん!ゆいのためにも私と結婚しよ?ねっ?そのために晴彦とも離婚したの!」
そう言いながら直哉に抱きついた理奈。
直哉は理奈を振り払い「…悪いけど、あんな話を聞かされて…理奈とうまくやっていく自信はない。」
そう言って目を伏せた。
「どうしてよ💢ゆいはあなたの子なのよ⁉」
理奈は必死に直哉にしがみつくけど、直哉からの答えは「もう二度と理奈には関わりたくない」だった。
すると、怒りの矛先が私と由佳に向けられた。
「あんた達が余計な事をするから!」
そう言って近くにいた由佳の顔をひっぱたいた。
すると今度は晴彦さんが理奈の顔をひっぱたいた。
理奈は「何すんのよ💢」とキレ出した。
「理奈、お前は最低な人間だ!」
「どこが最低なのよ!」
「こんだけの人に迷惑をかけて…わからないのか!」
「迷惑なんてかけてないでしょ⁉晴彦!もう関係ないんだから消えてよ💢」
晴彦さんは「お前が消えれば平和になるんだよ」
そう言って理奈をもう一度ひっぱたいた。
理奈は泣き出し、直哉に助けを求める。
でも直哉は助ける事はなく、黙って見ている。
私も由佳も黙っている。
理奈は「みんな何なの⁉よってたかって私を追い詰めて楽しいの⁉」
そう叫ぶが、理奈の悪あがきだった。
結果、私と由佳に対しては金輪際会社に来ない、電話をしないという約束をさせ、直哉や晴彦さんにも会う事はしない約束をさせ、そして一度心療内科に行く事を約束させた。
晴彦さんが持っていたレポート用紙に約束を書かせて拇印を押させた。
晴彦さんはかなり理奈の事で思い詰めたらしく、こうしてみんなの前で吐き出せて楽になったと言っていた。
直哉は「俺はしばらくはお袋と静かな暮らしをしたい」と言っていた。
理奈は結局、周りに誰もいなくなった。
理奈の一件も落ち着いた頃、中村さんに会いに東京に行く事になった。
お互いに希望休みを3日間取り、久し振りに会う約束をした。
私は、その日のために一生懸命貯金して頑張った。
そしてその日がやって来た。
東京へは、理奈と由佳と3人で20歳の成人祝いで行った時と、前の会社で同期で仲が良かった美穂ちゃんの結婚式で行ったくらい。
何年振りになるだろ💦
迷子になりそう😱
羽田空港まで、中村さんが迎えに来てくれる予定。
久し振りに会う中村さん。
昨日から楽しみで全然眠れず、胸がいっぱいで朝御飯も喉を通らない。
地元の空港でお土産を買い、チェックインも済ませていざ東京へ!
飛行機は窓側の席を指定。
天気も良く、上空からの東京が見えて来た。
無事に羽田空港に到着。
飛行機から降りてすぐに携帯の電源をON!
中村さんからのメールが来ていた。
時間を見たら、今から20分程前。
「羽田空港の到着ロビーにいます😆」
思わず顔がにやける😁
もうすぐ中村さんに会える!
荷物がコンベアに乗って出てくるところに出てきた。
出入口付近を見ると…中村さんも、こちらを気にして見ている。
いた~!
全然変わらない😍
私は大きく手を振ると中村さんは気付いたらしく、笑顔で手をあげてくれた。
荷物を受け取り、中村さんの元へ。
会いたかったよ!
「彩乃ちゃん!お疲れ様😄」
中村さんは笑顔で出迎えてくれた。
私は、中村さんと一緒に電車に乗る。
さすが東京。
電車からの景色は建物ばかり。
電車を乗り換える。
その時に中村さんは私の荷物を持ってくれた。
相変わらず優しいな💕
中村さんがいる寮の最寄り駅に着いた。
そこから歩いて7~8分。
会えなかった分、ずっと話をしている。
2階建ての木造アパート。
1階の一番端の部屋が中村さんの部屋。
6畳1Kの部屋。
荷物が少ないので広く感じる。
掃除もしていて、綺麗な部屋。
荷物を隅っこに置く。
テレビの脇に、龍輝くんと小春ちゃんのツーショットの写真、その隣に私と中村さんがふざけて撮ったアップの写真が飾ってあった。
「もっと違う写真あったのに~😞」
「この写真の彩乃ちゃんの表情が好きなんだ😁」
楽しい時間は過ぎるのが早い。
「せっかく東京に来たんだから、東京を満喫しよう!」
そう言って、私と中村さんは早速出掛けた。
日本一の歓楽街、新宿歌舞伎町。
渋谷のセンター街とハチ公。
若者の街原宿。
人の多さにびっくり😲
次の日は、秋葉原に池袋。
東京駅と銀座。
お昼はもんじゃ焼きを食べて、東京を満喫した。
夜は中村さんの部屋でゆっくり😆
久し振りに中村さんと愛し合う❤
楽しい時間は、あっという間に過ぎた。
帰る日になった。
帰り支度をしていると、私の旅行カバンの下からキラキラ光るものを見付けた。
「何だろう…」
拾い上げてみると…ピアスだった。
中村さんはピアスしないし…私は穴は開いているけど、今回はピアスはしてきていない。
…誰の⁉
私は、拾ったピアスを「これは誰の?」と中村さんに見せた。
中村さんの顔が一瞬ひきつったのを見逃さなかった。
私は、動揺する気持ちをおさえて冷静を装い「中村さんはピアスしないよね?」
「あぁ…それはこの間、東京の友達が彼女を連れて来た時に落としたのかな?」
目が泳いでる。
絶対嘘だ😱
「本当に?」
私は本当の事は聞きたいけど聞くのが怖い気持ちと闘いながら、中村さんに聞いた。
中村さんは黙っている。
「お願いだから、本当の事を言って!私、今日帰っちゃうんだよ?このまま嘘をつかれたままは嫌だ!」
半泣きで叫ぶ私。
中村さんはしばらくの沈黙の後に「彩乃ちゃん…ごめん…実は…」
「実は…彩乃ちゃんに会えない寂しさで…」
「他に女がいるの⁉」
私が中村さんの話を遮ぎって叫んだ。
中村さんは下を向きながら「いや…特定の人じゃなくて…ヘルスを…一度だけ…」
ヘルス⁉
ヘルスって…風俗⁉⁉
「ヘルス…💧」
「あっ、本番はしてないんだ💦どうしても我慢出来なくて…そういう問題じゃないよね」
中村さんがヘルス…
反応に困った⤵
他に女がいるなら、もう会わないと聞いた時に決めていた。
でも…風俗💧💧💧
このピアスは、そのヘルスのお姉ちゃんのやつって事⁉
ショックだった。
風俗でも、私と違う女性とそういう事をしたんだ。
割り切れない😫
「彩乃ちゃん!本当にごめん!」
呆然と立ち尽くしている私に中村さんが土下座をしてきた。
「一度だけなんだ!彩乃ちゃんに会えない寂しさからなんだ!俺は彩乃ちゃんを本当に愛してる!」
中村さんは土下座をしたまま話して来た。
私はショックの余り、言葉が出てこない。
その代わり、涙がポロポロ流れて来た。
これから電車に乗って羽田空港まで行かなきゃならないのに…
楽しかった筈の2泊3日が、小さなピアスの発見によって台無しになってしまった。
「もう二度とこういう事はしないと誓うから!」
「…少し時間を下さい。空港の見送りは結構ですから」
私は、ポロポロ流れて来る涙をふきながらそう答えた。
少し落ち着いた。
取れたメイクも直した。
中村さんは「彩乃ちゃん、やっぱり空港まで送っていくよ。じゃないと俺…一生後悔する」
またしばらく会えない。
ここで意地を張ってたら私も後悔しそう。
空港まで送ってもらう事にした。
空港に向かう電車の中では中村さんはずっと私の手を握る。
乗り換える時も、荷物を持ってくれたり切符を買ってくれたり…。
空港に着いた。
まだ時間があったため、搭乗手続だけをして荷物を預けて喫茶店に入った。
コーヒーを飲みながら「彩乃ちゃん…簡単に許してもらおうとは思わないけど、もう二度と風俗は呼ばないし行かないと誓うよ」と中村さんが話す。
「…」
私は中村さんとヘルスのお姉ちゃんの事を想像する。
また嫉妬心に火がついた。
「しばらく時間をちょうだい」
「…わかった」
「由佳と親と会社の人達にお土産買いたいの」
「…一緒についてっていいか?」
「うん」
私達は喫茶店を出て、お土産屋さんを巡る。
私はお土産を買いすぎて、大きな袋いっぱいになってしまった💧
いよいよ時間になった。
複雑な気持ちのまま、中村さんとのお別れ。
あちこちで最後のお別れをしている人達。
泣いている人もいた。
中村さんは私をギュッと抱き締めて「しばらく会えないから」と耳元で囁く。
「彩乃、愛してる」
いつもは「彩乃ちゃん」なのに…呼び捨てにされて胸がキュン💓となった。
私は手を振り、搭乗口へと向かった。
手荷物検査も私の検査も終わり、飛行機に乗る前のロビーの椅子に座る。
早速由佳にメールをした。
「今日帰ります✈あと…中村さんの事で由佳に相談があるんだけど💧」
すぐに由佳から返信。
「何時頃に着く予定⁉夜なら暇してるから、空港まで迎えに行こうか?」
「7時に到着予定なんだけど…」
「7時かぁ…今日仕事だからちょっと待ってもらう形になるけど、それで良ければ😄一緒に晩御飯食べようか🎵」
「ありがとう😄着いたら連絡するね!」
「はぁ~い✋」
中村さんの事、由佳に聞いて欲しかった。
何年か振りの東京とはお別れし、無事に帰って来た。
飛行機から降りて、携帯の電源をON!
由佳から「間に合った✌出口にいるぞ🎵」というメールが来ていた。
到着ロビーを見ると、由佳は制服姿で私を探している様子。
私は大きく手を振ると、由佳も手を振ってくれた。
「おかえり😁」
「ただいま😆」
「すごいお土産だね💦」
「由佳のもあるよ😄」
「ありがとう❤」
「一つ荷物持つよ」
そう言って由佳はお土産が入った紙袋を持ってくれた。
由佳の軽自動車が停めてある駐車場まで歩く。
由佳は「中村さんと何かあったか?今日はパスタが食べたいな😁」
「オッケー(笑)」
由佳がお気に入りのパスタ屋さんに着いた。
セットメニューを注文、早速由佳に中村さんがヘルスのお姉ちゃんを呼んだ事を話す。
しかも会社の寮に💧
由佳からの答えは、東京で「彼女」を作ったり、頻繁にお姉ちゃんを呼ぶなら別れると思うけど、私に会えない寂しさで一回だけ、しかも謝りもう呼ばないと誓ってくれたなら、今回は目をつぶってもいいんじゃないか?だった。
悩んだけど…今回は中村さんを許すと言ったら偉そうだけど、割り切ろう。
次はないけどね😠
由佳は「前に付き合っていた雅志って覚えてる⁉あいつは風俗バカだったのよ💧借金してまで風俗行って、病気もらって来てさ💢嫌な気持ちは良くわかるなぁ」
由佳が前に付き合っていた人。
大手企業に勤めていて真面目そうな人だったけど、風俗に目覚めてしまって良く行っていた。
もうだいぶ前の話しだけど、由佳は結婚を考えていた相手だけに辛かったと言っていた。
話しは変わり、由佳と色んな恋愛の話しで盛り上がっていると、店員さんが「お待たせしました~」とパスタを持って来た。
「頂きます😆」
デザートも完食し、由佳に家まで送ってもらい、東京のお土産を渡して由佳と別れた。
今日店はお休み。
家に帰ると、両親はご飯を食べ終えて片付けをしているところだった。
「ただいま~😄」
「おかえり」
「これお土産」
「あら、美味そうじゃない!ありがとう😄」
お母さんが茶碗を洗っている手を止めてお土産を手に取る。
「疲れたでしょ、お風呂に入って早目に休んだら?」
「ありがとう」
私は部屋に戻り、荷物を旅行カバンから出す。
携帯を開くと「新着メール2件・着信2件」と表示されていた。
見てみると、全て中村さんからで「無事に着きましたか?」
あっ😱
連絡するの忘れてた😅
慌てて中村さんに電話をする。
「遅くなってごめんなさい💦無事に着きました!由佳に迎えに来てもらって、ご飯食べに行ってて…」
「あっ、そうなんだ😅連絡がないから、どうしたのかと思って」
「ごめんなさい」
「それから…今回の…」
「風俗のお姉ちゃんを呼んだ事⁉二度とお姉ちゃんを呼ばないと誓ってくれたら許してあげる」
「誓います!本当にごめんなさい😢」
「絶対だよ!」
「約束します」
本当は嫌だったけど、もう二度としないと誓ってくれたし、これ以上は責めないでおこう。
「あと、龍輝と小春が彩乃ちゃんに会いたがってて…彩乃ちゃんの携帯番号を教えてもいいだろうか?」
「もちろん!」
空港で一緒に中村さんをお見送りしてから会っていない。
パパがいなくて、寂しく過ごしているのかな。
明日は、お疲れ休みを1日とった。
今日は何か疲れたな💦
早目に布団に入った。
それから何日か経ったある日、知らない番号から電話が来た。
「もしもし」
「あーちゃん😄」
可愛い声が聞こえた。
「小春だよ、あーちゃんにいつ会えるの?」
「小春ちゃん!元気だった?」
「うん😄あーちゃんに会いたい」
すると今度は「あーちゃん!」と思わず一瞬電話を耳から離した程の大きな声で龍輝くんが出た。
「あーちゃん!何やってるの?」
「あーちゃんはお仕事してたんだよ😄」
「いつ会えるの?パパもあーちゃんもいないから寂しいんだよ!」
「ごめんね😫」
すると今度は、中村さんのお母さんが出た。
「もしもし、突然ごめんなさいね💦この子達がどうしてもっていうんで😅」
「あっ💦いや、全然大丈夫です!」
「都合つく時にでも、この子達に会いに来て下さらないかしら?ご迷惑じゃなければ…」
「全然迷惑じゃないです!明後日仕事休みなので、お邪魔しても構わないですか?」
「大丈夫ですよ😄ごめんなさいね、せっかくのお休みなのに…」
「大丈夫です!では明後日よろしくお願いいたします!」
前に一度しか行った事がないため、家までの道のりを聞き電話を切った。
早速、中村さんにも報告。
中村さんは「本当に申し訳ない💦子供らをお願いします」と言っていた。
久し振りに会う龍輝くんに小春ちゃん。
お土産にお菓子を買っていこうかな😄
その日が来た。
朝10時に約束。
時間ぴったりにチャイムを鳴らすと、玄関に向かってバタバタと走って来る音がする。
龍輝くんと小春ちゃん、2人で出迎えてくれた。
嬉しい😆💕
小春ちゃんから早速、紙をくれた。
「あーちゃんと小春とお兄ちゃんとパパの絵」を書いてくれた。
クレヨンでとっても可愛らしく、上手に書けている😄
何故か、パパの頭から花が咲いている(笑)
聞くと「パパが東京に行く前に花をいっぱい持って来たから」だそうで、多分花束を手に持っているのを書きたかったのだろう。
うまく書けずに、頭から花が咲いている絵になってしまった様子😁
「小春ちゃん😄ありがとう!」
そう言って受け取ると、嬉しそうにはにかむ小春ちゃん。
龍輝くんは「あーちゃん!こっちだよ!」そう言って、私の手を引っ張り居間へと連れて行かれる。
「おはようございます!お邪魔します💦」
「わざわざすみません💦どうぞ、ゆっくりしていって下さいね😄」
中村さんのご両親にご挨拶をして早速2人と遊ぶ。
トランプをしたり、コマを回したり、お絵かきしたり😄
お昼はお寿司をとってくれた。
龍輝くんも小春ちゃんも、を美味そうに食べている。
そんな可愛らしい姿を写メにおさめる。
私と龍輝くん、小春ちゃんの3ショットも一緒に撮り帰る時間になった。
2人共「帰らないで!」と言っていたけど、じいじとばあばに怒られてしまった💧
また会う約束をして、お礼を言ってお別れした。
家に帰ってから、中村さんに報告。
写メを見て「待ち受けにする😆」と喜んでいた。
ある日、中村さんから「朗報!」と連絡が来た。
何と、来月帰って来る事が決まったそうだ。
「1年の予定だったけど早く帰れる!」
嬉しい😆❤
帰って来たら、風俗の心配はなくなるし、近くにいる安心感がある。
まだ1ヶ月先の話しだけど、嬉しさでテンションアップ⤴⤴⤴
帰って来る日に希望休みをお願いした。
そんなある日、珍しく友美さんからメールが届く。
「お久し振りです😄実は私、結婚する事になりました❤相手は、あの飲み会で一緒だった宮田さんです!宮田友美になります😆」
へぇ~✨
友美さん、結婚するんだ😄
結婚したら寿退社して、しばらくは専業主婦をするらしい。
そして「結婚式を挙げますので、由佳さんと一緒に来て下さい!」
行かせてもらいますよ✌
普通なら元旦那の不倫相手だった人の結婚式に行くって有り得ない話しだけど、友美さんには幸せになって欲しいと心から思う。
そんな事は関係なしに、友美さんを祝福したい✨
友美さん!おめでとう❤
中村さんが帰って来る日まで、あと1週間に迫った。
その日はお休みで、自転車に乗って近くのスーパーに親からのおつかいで買い物に来た。
かごいっぱいに主に雑貨類を買い物して、信号待ちをしていた時、白い車がこっちに向かってタイヤをキー!と言わせながらすごい勢いで走って来た。
と思ったその瞬間!
強い衝撃と共に、私の体が宙に浮いた。
「痛いっ…!」
ドスン!
地面に強く叩きつけられ、自転車は数メートル先に飛ばされた。
えっ?
私、車にはねられた⁉
一瞬、何が起きたかわからない。
周りにいた人達が「大丈夫ですか⁉」と駆け寄って来た。
右足に痛みが走る。
白い車のフロント部分は丸くえぐれた様につぶれていた。
誰かが救急車を呼んでくれたらしく、私の目の前に救急車が停まる。
「私のカバンは⁉」
パニックになっている私のその声に、ぶつかった衝撃で飛ばされた自転車にかけてあったカバンを若い男性が持って来てくれた。
事の事態をよく理解しないまま、私は救急車に乗せられて病院へ。
右足のすねの骨が、綺麗にスパン!と折れていた。
もちろん、そのまま入院に😢
なんてこった😱
連絡を受けた両親が、息を切らして病院に駆け付けた。
「彩乃!」
お父さんもお母さんも仕事着のまま。
私は足の痛みが酷くて泣きそうになる。
「とりあえず生きてて良かった…彩乃が車にはねられたって聞いて…生きた心地がしなくて…本当に良かった」
お母さんが涙を流しながら私もギュッと抱き締めた。
「おい恵美子、今日は彩乃についていてやれ」
お父さんはお母さんにそう話す。
「必要なものはあるか?持って来るから」
「とりあえず…着替えとか洗面道具とか」
「わかった、後でまた来るから」
そう言ってお父さんは帰って行った。
何せ、足が痛い😲
折れているんだから当たり前なんだけど…変な汗をかいている。
お母さんは身の回りの世話をしてくれる。
「お母さん」
「ん~?どうした?」
「足が痛い😫」
「まだ骨折で済んで良かったわよ💦」
お父さんが荷物を持って来てくれた。
思わぬ事故に巻き込まれてしまい、長い入院生活を過ごす事になってしまった😫
痛み止めが効いているのか、痛みが少し落ち着いた。
お母さんにカバンを取ってもらい、中身を確認。
財布も免許証も携帯も大丈夫😆
でも、お気に入りだったカバンは持つところが取れて使えなくなってしまった😫
お母さんが入院手続きをしてくれている間に、会社に入院の報告。
由佳にも連絡。
中村さんにも連絡。
痛みが和らいでいるうちに連絡しておかなきゃ💦
すぐに由佳と中村さんから連絡があった。
会社の久美子さんからも連絡があった。
そのうちにお父さんが戻って来た。
「今日と明日は店閉めるから、何かあったらすぐ来れるから…痛みはどうだ?」
お父さんは心配そうに話す。
「足もだけど、体中が筋肉痛みたい😫」
「無理はするな」
そう言って、ベッドの脇に持って来てくれた荷物を置いた。
みんなに心配かけちゃった😢
骨よ!早くくっついてくれ!
何日か経った日に、私をはねた白い車の運転手さんが菓子折りとお見舞い金を持ってお詫びに来た。
運転手さんは若い男性で、その母親も一緒だった。
「申し訳ありませんでした!」とひたすら頭を下げる男性。
母親も「息子の不注意で怪我をさせてしまい、本当に申し訳ありません」と頭を下げた。
男性は免許取り立ての18歳。
スピードを出し過ぎて曲がりきれずに私に突っ込んで来たという。
私の両親もいて、親からも色々言われた男性。
ひたすら「すみませんでした!」を連発していた。
涙目の男性と、何度も何度も頭を下げる母親。
入院費は保険から全額出します、という話をして親子は帰って行った。
こっちが恐縮してしまうくらい、腰が低く丁寧に謝罪をして連絡先を教えてくれて帰っていった親子。
会う前までは怒りはあったけど、今は怒りはなくなった。
会社の支店長や久美子さん、千絵さんもお見舞いに来てくれた。
由佳も友美さんと一緒に来てくれた。
由佳は「早く治してよ😄治ったら退院祝いと友美ちゃんの結婚祝いやるぞ😁」と言っていた。
入院生活は暇だなぁ😅
足が痛いから、どっか行くのも車椅子か松葉杖。
だから余りベッドから動かない。
暇なため、お菓子を食べては寝て…の繰り返し💧
退院する頃には太ってそう😱
中村さんが帰って来る日を迎えた。
本当なら、空港まで出迎えに行ってた筈なのに、病院のベッドの上で迎えてしまった💧
中村さんからは「着いたら真っ直ぐ病院に行きます」というメールが来ていた。
薬が効いているのか睡魔に襲われてウトウトしていると、「彩乃ちゃん!」という声で目が覚めた。
「中村さん!」
中村さんはスーツ姿のまま、お見舞いに来てくれた。
少し痩せた感じの中村さん。
「おかえりなさい😄」
「ただいま😆」
「まさか病院で再会するとは思わなかった😅」
「だねぇ😅」
足にはギプスをしているため動けない。
中村さんが「お土産だよ!」とお菓子をくれた。
「ありがとう😄」
久し振りに中村さんと色々話をする。
中村さんは「明日、また来るから!」
そう言って帰って行った。
待ちに待った中村さんとの対面。
元気そうで良かった😄
それからも、時間があればお見舞いに来てくれた。
入院生活もしばらく経ち、痛みもだいぶ落ち着いて来た。
いよいよ退院の日。
両親が迎えに来た。
お世話になった看護師さんや先生にお礼を言って、病院を後にする。
やっぱり我が家はいいな😆
中村さんや由佳にも退院報告。
しばらくは自宅療養。
のんびりさせてもらおう!
リハビリも兼ねて通院。
先生から職場復帰OKと言われて、職場復帰をした。
正社員で勤務している春美さんという50代のお局様がいる。
このお局様に嫌われたら、この旅行代理店で勤務していくのは難しい💧
機嫌が良い時は問題はないけど、機嫌が悪い時は空気は最悪になる。
ちょっとしたミスでも舌打ちされて、深いため息をつかれる。
お気に入りの子とそうじゃない子の態度があからさまに違うし、機嫌が悪いと「私、何かやらかした?」と不安になるため、春美さんの様子を伺いながら仕事をするため疲れてしまう。
復帰初日にその春美さんに呼び出された。
「伊藤さん、あなたが入院して休んでいる間、あなたの仕事をみんなで振り分けてやりました。みんなにお礼を言って下さい」
「はい、申し訳ありませんでした」
「そして、あなたはアルバイトなので休んだ分のお給料は出ませんから」
「はい…」
以前に一度だけ、春美さんと希望休みが重なり、春美さんが希望の日に休みを取れなかった事がある。
法事で休みをとった私の希望が優先されたため、それ以来私への態度が冷たい😅
それからもしばらく良くわからない説教が始まった。
今日は機嫌が悪いのか…💧
髪型が気に入らないとまで言われてしまい、結んでいた髪をほどく事に😅
30分の説教が終わり、やっと自分の席に戻る。
隣にいた千絵さんが「昨日、支店長とやり合ってるから機嫌が悪いのかも」とこっそり教えてくれた。
そうだったんだ😅
何とか職場復帰も果たし、いつもの生活に戻った。
中村さんとは、会えなかった穴埋めをするかの様に、暇さえあれば会っていた。
そんなある日、小春ちゃんの誕生日を迎えた。
私も招待されて、一緒に晩御飯を食べる事になった。
中村さんと一緒に小春ちゃんの誕生日プレゼントを買い、中村さんちに到着。
車をガレージに入れようとした時、知らない女性が黙ってこっちを見ている。
「ねぇ、女の人がこっち見てるけど…」
車をガレージに納め終わった中村さんに話しかけた。
中村さんは私が指差す方向に目を向けた瞬間、顔が曇る。
「誰?」
「…元嫁」
えぇ~⁉
「今更、何の用だ⁉帰れよ!」
中村さんはいきなり怒鳴りつける。
「新しい彼女?」
「お前には関係ないだろ?」
「今日、小春の誕生日だからプレゼントと思って…」
「いらねーよ!今更、何を母親ヅラしてるんだ⁉いいから帰れよ!」
「…あなたとよりを戻したくて、あの子達とまた一緒に暮らしたい」
「男と別れたのか」
「…」
「もうお前とは関係ない!迷惑だ!二度とうちに近付くな!彩乃ちゃん、行こう!」
中村さんは私の手を引っ張り、中村さんちに入る。
それからこの元嫁に悩まされる事になる💧
玄関を開けると、龍輝くんと小春ちゃんが玄関まで走って来た。
「小春ちゃん!誕生日おめでとう😄」
そう言って、誕生日プレゼントを渡す。
前から欲しがっていたというお人形さん。
小春ちゃんは大喜びで「ありがとう!」と早速遊ぶ。
龍輝くんは「あーちゃん!俺ね、ばあばのお手伝いしてね、あーちゃんのおはしとか並べたんだよ!」
「おー✨えらいね😄」
私はそう言って龍輝くんの頭を撫でると嬉しそうにしている。
バースデーケーキがあり、豪華なご馳走が並ぶ。
「彩乃ちゃん、いらっしゃい😄」
「お邪魔します」
すると中村さんが何やら両親に話をしている。
多分、さっきいた元嫁の事を言っているのかもしれない。
支度も終わり、小春ちゃんの誕生日祝いが始まる。
「🎵ハッピバースデートゥーユー🎵ハッピバースデートゥーユー🎵ハッピバースデーディア小春ちゃ~ん🎵ハッピバースデートゥーユー🎵🎵」
小春ちゃんは嬉しそうに、ローソクの火を吹き消した。
その時に、家のチャイムが鳴る。
中村さんが慌てて出て行く。
多分、元嫁なんだろう。
なかなか帰って来ない。
中村さんの両親も言葉がなくなる。
知らないのは龍輝くんと小春ちゃんだけ。
10分くらい経って、やっと中村さんが戻って来た。
座っているお母さんの肩を叩くと、お母さんは無言で箸を置き一緒に奥の部屋へと消えた。
「パパとばあば、どこに行ったの?」
小春ちゃんが気付いて2人を探し出す。
「今ね、パパとばあばは大事なお話をしているから、こっちでじいじと遊ぶか😄」
お父さんはそう言って、小春ちゃんを膝の上に乗せた。
龍輝くんは、お腹がすいていたのかご飯に夢中。
元嫁か…。
暗い中だったから顔とかは良くわからなかったけど…
せっかくのご馳走なのに、喉を通らない。
程なくして、お母さんと中村さんが戻って来た。
龍輝くんと小春ちゃんの手前、むやみに「ママ」の事を話す訳にもいかない。
楽しい誕生日祝いも終わると、もう8時半を回っていた。
「そろそろ帰るかな?」
その言葉に龍輝くんも小春ちゃんも「え~😫」と残念そう。
「あーちゃんは明日もお仕事だから!」
中村さんはそう伝えると、渋々「はぁい😞」と不満そうな返事をする2人。
あっ😱
入院していた時に頂いたお見舞いのお返し、車に忘れて来た💦
中村さんに伝えると、一緒に取りに行ってくれた。
玄関を開けて周りをみる中村さん。
誰もいない様子。
「帰ったか」
そう呟くと、足早に車に向かう。
私もついていき、お返しを取る。
家に戻ると「あーちゃん退院したからまた一緒に遊園地に行ける?」と龍輝くん。
「行けるよ😄保育園が休みの日に行こうね!」
「うん!」
帰りは中村さんに送ってもらう。
「あーちゃん!ばいばい!」
可愛いお見送りが嬉しい😆
無事に家まで送ってもらった。
それから何日か経ったある日、中村さんとのデートで待ち合わせ場所にいた。
あれ?
もう待ち合わせ時間なのに中村さんが来ない😅
いつもなら既にいるか、遅れるなら必ず連絡があるんだけど、今日は何の連絡もない。
もう少し待ってみよう。
近くにあったベンチに腰をおろし、携帯のゲームをやりながら中村さんを待つ。
待ち合わせ時間から30分が過ぎた。
未だに中村さんからの連絡がない。
何かあったのかな😱
心配になり、中村さんに電話をする。
一回目は出ないで、留守電サービスに変わった。
……💧
どうしたんだろ⁉
また5分後にかけてみる。
「もしもし⁉彩乃ちゃん⁉」
慌てた様子の中村さん。
「もしもし⁉何かあったの?」
私が話をしている最中に「もしもし」と女性に変わった。
えっ…?
「中村は私の主人です。二度と電話して来ないで下さい」
と言われて電話を切られた。
えー⁉😱
すると、中村さんから電話がかかって来た。
「彩乃ちゃん、ごめん…今日は無理かも」
その一言で電話が切れた。
良くわからないけど、中村さんは元嫁と一緒にいるのは間違いなさそう。
何かモヤモヤした気持ちが残るけど…私は家に戻った。
「あら彩乃、今日は遅くなるんじゃなかったの?」
お母さんがあれ?みたいな顔をして聞いて来た。
「うん、ちょっとね😅」
「じゃあ彩乃、手伝ってくれないかしら?」
「わかった!着替えてくる!」
むしろ店に出てた方が考えなくていいかも😅
着替えて店に出ると、中嶋さんがいた。
「彩乃ちゃん!もう大丈夫なのかい?彩乃ちゃんが車にはねられたって聞いてびっくりしたよ」
「ご心配おかけしました😞」
「ところで…中村くんとはどうなってる?」
「えっ?」
「いや、実はね…今日中村くんの元嫁が会社に来てね「お騒がせして申し訳ありません、中村と復縁する事になりました」と言って菓子折り置いてったんだよ」
…何だか良くわからないけど、面倒な事になって来たな😅
「おじさんは彩乃ちゃんとうまくいってるもんだと思ってたから驚いてね💦」
「はぁ…一応まだお付き合いはしてるんですけどね」
「じゃあ、あれか⁉中村くんが二股かけてるのか?」
「いや、そういう訳ではないと思いますけどね」
「こんな事を言うのは失礼だけど…中村くんの元嫁さん…何というか精神的な病気を患っている感じなんだ、普通会社に来ないだろ」
そう言って、焼酎の烏龍茶割りをグイっと飲み干す。
中嶋さんの焼酎を作っている時に、中嶋さんの携帯が鳴る。
「中村くんだ」
そう言って中嶋さんは電話に出る。
私は気になって、焼酎を作っている手が止まる。
「中村くん、これから来るみたいだから」
「そうですか」
「彩乃ちゃん、俺の焼酎は?」
「あっ💦すみません😱」
慌てて焼酎の烏龍茶割りを作る。
店が忙しくなり、中嶋さんに張り付いてる訳にいかなくなり、狭い店内を行ったり来たり。
お客様が帰るため、レジに入った時に中村さんが来店。
中村さんは、お客様の影になっている私を探しているのか軽く店内を見渡す。
そして、私を見付けると軽く手を上げて中嶋さんの隣に座った。
私はお客様を見送り、すぐにカウンターに戻る。
「彩乃ちゃん!今日はごめん!」
カウンターに両手を乗せてペコリと頭を下げた。
「仕方ないよ、飲み物は何にしましょう?」
「車だから…コーラで」
「りょーかい!」
私は、コーラを冷蔵庫から取り出し中村さんの前に置く。
中嶋さんが「何か食うか?」と中村さんに問いかける。
中村さんはメニュー表を見ながら、いくつか料理を注文。
お父さんに注文書を出しに厨房に行き、すぐにカウンターに戻って来た。
中嶋さんが「どうなってるのか、ちゃんと説明した方が良さそうだね、中村くん」
そう言って中村さんを見る。
「彩乃ちゃんは、小さい頃から知っていて俺の娘みたいな子なんだよ、悲しませる様な事はしちゃいけないな」
そう言って、中村さんの肩をポンポンと叩く。
中村さんは、コーラを飲みながら話し始めた。
元嫁と離婚したのは、元嫁に新しい男が出来て、育児放棄し男を選んだから。
その男と別れて一人になった今、子供に会いたくて会いたくて仕方がなくなり、やっぱり元に戻りたい。
小春ちゃんの誕生日を口実に会いに行く。
しかし、中村さんには私という新しい彼女がいた。
よりを戻すのに私という存在は邪魔。
そこで、まずは周りから固めていこうと考えた元嫁は中村さんの会社に行き、よりを戻したと伝える。
先によりを戻した、と周りに伝えておけば私を追い出す事が出来ると考えた。
そして、中村さんに「子供を生んだのは私」と母親を強調し、所詮他人の私はママにはなれない。
母親だから子供達と中村さんと一緒にいる権利はあるけど、他人の私にはその権利がない。
中村さんが「俺と子供を捨てて出て行ったのはお前だ」と伝えると「今、あなたに彼女がいるのと同じ、だから文句は言えない。気が済むまで遊んでおいで!」というものだった。
元嫁は束縛も酷く、結婚していた時も自分は浮気していたくせに異常な束縛をしていたらしく、中村さん宛に来たメールは全て元嫁に転送され、電話の履歴も全てチェック。
帰って来たら財布、カバンの中身はチェックされ、小遣いもレシートと中身の金額が違ったら何に使ったかしつこく聞かれる。
本当に会社に出勤しているか、毎日会社に電話。
なのに自分は携帯にはロックをかける、無断外泊はする、金使いは荒い。
中村さんが聞くと逆ギレし話しにならない。
子供や中村さんにかけるお金は惜しいけど、自分には目一杯お金をかける。
そんな毎日が嫌になり、中村さんから離婚を申し出る。
男がいた元嫁は、行き先があるためすんなりOKしたけど今になり…
私も中嶋さんも、中村さんの話を聞き驚きと共に元嫁の自分勝手具合に呆れていた。
中嶋さんは部下である中村さんに対して、プライベートでも良く会うらしく、何度か元嫁にも会った事があるらしい。
離婚する時も、何度か相談を受けたらしい。
元嫁も中嶋さんに対しては信頼しているので、今も中嶋さんと約束をしていると言ってやっと解放されたと言っていた。
理奈を思い出す。
あれから連絡もないし会ってもいないけど、理奈も自分の思い通りにならないと面倒な事になっていた。
中村さんは元嫁が何て言おうと、よりを戻す気もなければ子供達に会わすつもりはない!と断言していたけど…
元嫁がそれで納得するとは思わない。
でももし…龍輝くんや小春ちゃんがママを選ぶなら、その方がいいのかな。
2人共、とても可愛いとは思うけど…確かに私は2人とは血の繋がりはないし、お腹を痛めて生んだ訳ではない。
やっぱり「あーちゃん」より「ママ」の方がいいのかな。
たまに思い出した様にママの話をするしね。
ママには敵わないかな💦
もし、龍輝くんも小春ちゃんもママを選ぶなら、私は潔く諦めよう!
その方がいいよね。
きっと。
この日から、元嫁のストーカー行為が始まる。
中村さんが元嫁に言えば言う程、ストーカー行為はエスカレートする。
会社への執拗な電話や会社での待ち伏せは毎日。
会社に婚姻届けを持って来て「書いてくれるまで帰らない」と居座られたらしく、中嶋さんが一喝すると帰るけど、今度は帰る時間に合わせて会社の出入口で待ち伏せ、書いてほしいと言う。
とうとう、矛先が私に向いた。
何をどう調べたのか勤務している旅行代理店にクレームを毎日入れて来た。
「接客がなってない」「あんな女を使ってるなんて終わってる」「あの女をクビにしなければ、クビにするまで毎日電話する」……
とうとう支店長に呼び出されてしまった。
中村さんに相談するも、中村さんも同じ状況でお互いに疲れてしまった😞
元嫁は「婚姻届けを書いてくれないから…書いてくれるまで追いかける」とストーカー行為をやめない。
私は、このままでは旅行代理店をクビになると思い、意を決して元嫁と直接対決をする事にした。
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