アラサー・バツイチ女のリアルな物語
「いらっしゃいませ!」
「おっ!彩乃ちゃん!今日も元気いいね!」
私、伊藤彩乃。30歳。
バツイチの出戻り。
子供なし。
離婚して以来彼氏もなし。
昼間は旅行代理店でアルバイト。
夜は両親が営む小さな居酒屋を手伝っている。
声をかけてくれたのは常連客の中嶋さん。
父の古くからの友人でもある。
「いつものやつよろしく!」
「毎度どうも😄」
中嶋さんはいつも、焼酎の烏龍茶割りを頼む。
いつもは一人で来るが、今日はお連れ様も一緒だ。
会社の部下になるという中村さん。
「お飲み物は?」
「俺は生中で」
「かしこまりました!」
今日のお通しは、母特製の切り干し大根の煮物。
常連客には、なかなか評判が良い。
カウンター席に座る2人の元にお通しと焼酎、生中を運ぶ。
「お待たせしました~」
これが、中村さんとの出会いになった。
*人生初めての小説です。至らないところもありますが、読んで下さると嬉しいです😄
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✒あとがき✒
こんな拙い小説に最後までお付き合い下さいまして、本当にありがとうございました✨
途中、体調不良や子供の都合等でなかなか更新が出来なかった事をお詫び致しますm(__)m
「結婚」「不倫」「離婚」「連れ子再婚」
という今までの経験を書いてみました。
文章で表現する難しさを知りました😫
直哉と離婚した時は、結構人生に絶望感たっぷりだったんですが、拓実さんとの出会いで人生が変わりました✨
連れ子再婚には正直戸惑いもありましたが、今はこの子達の笑顔に囲まれて幸せを感じています💕
今、きっと読んで下さっている方で色々悩んでる方も多いと思います。
でも、いつか必ず「出口」があるはずです!
今は辛くて悲しいかもしれません。
真っ暗かもしれません。
でも、いつか絶対光は見える!
そう思います😄
旦那と親友を失うというのは本当に辛かったし、苦しかったですが、今はこうして最高の幸せが訪れました。
苦労したからこそ、光がすごく輝いて見えると思います!
なんて、偉そうな事を言ってますが、気持ちがわかるからこそ…肩の力を抜いてリラックスですよ!
ミクルの場所でしか応援出来ませんが…
皆様に幸せが訪れます様に✨
あやの
色んな人に助けてもらい、こうして家族で生活が出来る。
旅行代理店のみんなにもたくさん迷惑をかけてしまったけど、みんなに協力してもらい何とか頑張ってくれた。
小さな旅行会社だけど、だからこそ団結力が強いのかもしれない。
今、育児や家事、仕事の合間をみて「旅行業務取扱管理者」の資格をとろうと勉強中。
勉強は難しいけど、いつかは資格を取得したい!
「龍輝!今日は写生会でしょ⁉画板持ったの⁉ほら~忘れてる😫」
「小春!ま~たパンの耳だけ残して💢ちゃんと食べなさい!」
「ほらほら!遅刻するよ!はい😄行ってらっしゃい😄✋光輝も保育園に行くよ!はい!帽子かぶって!」
最初は保育園に預けると泣いていた光輝も、今は泣かなくなった。
「拓実さん!今日はミーティングの日だから、少し遅くなるかも💧」
「じゃあ、光輝の迎えは俺が行くよ😄」
「ありがとう✨行ってらっしゃい!」
「彩乃ちゃんも仕事頑張って!じゃあ、行って来ます✋」
いつもの朝の光景。
にぎやかで慌ただしいけど、幸せを感じる時間。
中村彩乃。
今日も一日頑張ります!
この幸せが、ずっとずっと続きます様に!
そして、龍輝と小春!
初めて会った時…覚えてる⁉
龍輝も小春も一番最初は、不安そうな顔をしていたね。
「あーちゃん」から恥ずかしそうに「お母さん」と呼んでくれた日の事は忘れないよ!!
血のつながりはないけど…周りで「大変ね」と好奇な目でいる人もいるけど、そんなのは関係ない!
接し方に悩む時もあった。
預かった母子手帳でお母さんの名前が「ママ」になっているのを見て「ママ」に嫉妬した事もあった。
「ママ」の事を思い出しながらママの話をする時、どうしたらいいのかわからない時もあったけど、ママがいたからあなた達が誕生した。
寂しい思いをさせてしまう事もあるけど、休みの日はまた大好きなトランプで遊ぼうね!
ただ、宿題はちゃんとやってからね😄
龍輝はゲームばかりしたらダメだよ!
小春は好き嫌いが多いから少しでも直そうね!
誰が何を言おうが思おうがあなた達はお母さんの我が子なんだから!
光輝!
元気に生まれてくれて来てくれてありがとう!
誕生した瞬間のあの感動は忘れないよ!
お腹にいた時の手術も良く頑張ったね✨
お兄ちゃん、お姉ちゃんの仲間に入りたくていたずらしてお兄ちゃんやお姉ちゃんに怒られては泣いて。
やっぱり兄弟。
お兄ちゃんの赤ちゃんだった時の写真と何となく似てるね😄
今はまだ何を話しているのか良くわからないけど、もう少ししたら言葉になって来るかな?
子供3人が並んで寝ている姿を見てると、自然と笑みが出る。
笑っている姿を見ると幸せだし頑張れる😆
これからも元気に成長してくれます様に✨
中嶋さん!
お父さんと仲良しで、お父さんがまだサラリーマンだった時には良く一緒に飲みに行ってましたね。
私が小さい頃は、お年玉をくれたりサンタさんになってくれたり、誕生日プレゼントをくれたりしましたね😄
小学生の時にプレゼントしてくれた大きなくまのぬいぐるみは、まだ大事にとってます✨
高校に合格した時にはお祝いで、バス通学になる私に可愛いパスケースをくれましたね😄
成人した時は、私に焼酎のボトル1本くれました。
このボトルが、飲んべえ彩乃の始まりです(笑)
娘の様に可愛がってくれて、時には叱ってくれるもう一人のお父さん。
そんな中嶋さんも、もうすぐ定年。
定年退職したら、趣味の野球観戦をしながら孫の和希くんと一緒にのんびりしたい、と言っていたな😄
少し糖尿気味だと言っていたから、一人暮らしだと難しいかもしれないけど食生活には気をつけて、いつまでも元気でいて下さい!
そして、拓実さんのお父さん!お母さん!
気さくな両親で、麻雀ゲームが好きなお父さん。
そんなお父さんに文句を言いながら、孫の龍輝がやっているマリオにはまるお母さん(笑)
編み物が得意で、孫達にセーターや帽子を編んでくれるお母さん。
昔、歌手を目指していただけあり歌がうまいお父さん。
定年退職した今は、近所のカラオケサークルの仲間と良く歌いに行っている。
こんな私でも、快く嫁として迎え入れてくれて感謝しています✨
ありがとうございます!
拓実さん!
色々あったけど、私は拓実さんの奥さんになれて本当に良かったと思ってる😄
東京に行ってた時は、ヘルスのねーちゃん呼んだり、久保さんの登場とかでどうなるかと思ったけど、今はそんな心配もなくなり家族のために一生懸命頑張ってくれてるね。
拓実さんのおかげで、可愛い3人の子供にも恵まれました❤
家事は余り得意ではない拓実さんだけど、どんな時でも子供達の面倒をみてくれる素敵なパパ✨
怒ると怖いパパだけど、ちょっぴり面倒くさがりなパパだけど、みんなパパの事が大好きなんだよ❤
毎日、本当にお疲れ様!
感謝の気持ちでいっぱいです✨
由佳!
中学の時、同じクラスで後ろの席になり、由佳が私に「消しゴム貸して」から始まった付き合いだね(笑)
由佳のサバサバした性格と姉御肌で面倒見の良さに私が惚れたんだよね。
高校は全く違ったけど、いつも一緒にいたね😄
高校生の時に人生初めて告白し玉砕した時も、由佳は優しく慰めてくれたね。
成人式の夜に飲みに行き、飲み過ぎて吐いてトイレで爆睡してたね。
理奈との事も、直哉との事も迷惑かけっぱなしでも嫌がらずに話を聞いてくれたし、助けてくれたね。
光輝の出産の時もずっと一緒にいてくれて、とても心強かった😄
誰よりも私を思ってくれて誰よりも私を知ってる、大事な親友。
由佳のおかげで、今の私がいると言っても過言じゃない!
本当にありがとう!
そして、これからもよろしくね!
それからは相変わらずの毎日。
「キムチチャーハンと焼き鳥の塩、お持ちしました~!」
「彩乃ちゃん!生ビール3つ追加ね!」
「はぁ~い😄ありがとうございます!」
「ねーちゃん!注文いいかい!」
「はぁ~い!今、行きまぁ~す😄」
今日も忙しく、狭い店内をあちこち動く。
「彩乃ちゃん!今日も忙しそうだね😄」
「あっ!中嶋さん😄こんばんは😆」
相変わらずの中嶋さん。
「中村くんは?」
「今日は子供3人の相手してます😄」
「そうか😄ちゃんとパパやってるんだな😁彩乃ちゃん!いつものやつね!」
「ありがとうございます!」
週末はおかげ様で満席。
お父さんもお母さんも汗だくになりながら忙しそう💦
お父さんもお母さんも、もう還暦を越えたし、いつまでこの居酒屋を構えていられるかわからないけど、この居酒屋がある限り「看板娘」は続けたい😄
たくさんの思い出がつまった居酒屋。
拓実さんと初めて会ったのもこの居酒屋。
小さいし、もう古くなってきちゃったけど、お父さんとお母さんが苦労して頑張って構えた居酒屋。
幸い、お父さんもお母さんも特に病気もなくいたって元気😄
最近は休みの日は孫と遊ぶのが楽しみになっているみたいで、休みには朝早くから起きて孫が来るのを待っている。
「いつかは孫を抱っこさせてあげたい」
大人になってからの私の夢が叶った✨
いっぱい苦労もかけたし、衝突する事もあったけど、孫と笑顔で遊んでいる姿を見ると嬉しい気持ちになる。
少しは親孝行出来たかな?
ありがとう❤
お父さん!
お母さん!
いつまでも元気でね!
あれから1年余りが過ぎた。
光輝も無事に1歳の誕生日を迎えてよちよち歩きを始め、いたずらして目が離せられなくなった。
小春も、春からピカピカの一年生✨
お兄ちゃんと同じ小学校に通う。
お兄ちゃんと机を並べて、じいじとばあばに買ってもらったランドセルを嬉しそうに背負っている。
保育園で仲が良かったはなちゃんとみくちゃんも同じ小学校に通うらしく「小学校でも、はなちゃんとみくちゃんと一緒だよ!」とまだ卒園もしていないのに、はしゃぐ毎日。
子供の成長って、本当に早いなぁ😄
今日はとても楽しみにしていた事がある。
何と今日は由佳の結婚式!
由佳もお嫁さんになる😄
相手はお付き合いをしていた西村さん。
拓実さんも一緒に披露宴に招待された。
会社関係や友人、親族等約60人程の披露宴。
友人代表でスピーチをする私。
由佳が私の結婚式の時に緊張した気持ちが良くわかる😱
カミカミな上、緊張の余り声が裏返った💦
久し振りに飲むお酒もいい感じに体に回る。
「由佳!おめでとう😄」
「彩乃!ありがとう!」
西村さんはお父さんが何年か前に亡くなられたそうで、親族席にはテーブルにはお父さんの写真が飾られていた。
由佳は2回お色直しをし、合間に2人の色んな写真がスクリーンに流れる。
あっ💡
これ、中学校の卒業式の写真だ💕
懐かしいな😄
私と理奈と3人で校門の前で笑顔でピース✌をして写っている。
ちょいちょい若かりし頃の私もスクリーンに流れるため、拓実さんが「彩乃ちゃんって、この頃はまだ痩せてたんだね😁」とからかう。
中学時代の友人も来ていて、プチ同窓会場にもなりとても楽しかった。
でも、理奈の姿はなかった。
新居は、うちのすぐ近く。
多分、ちょいちょい行き来する様になるな(笑)
結婚後も同じ会社で働くらしい。
由佳!本当におめでとう❤
ん?
ちょっと待てよ…?
今まで何の音沙汰もなく、直哉と離婚してかなり経っているのに、今頃手紙って…😅
まぁ、旅行代理店という場所で働いているから、お客さんとして来店するのは仕方ないとして。
でも…まっ、いっか😄
直哉は直哉で理奈と結婚し、ゆいちゃんの父親として頑張って行く。
それで良かったじゃん。
私は私で、拓実さんと可愛い3人の子供達とこれからの人生を歩んで行く。
一時は将来を誓い合った仲だけど、今はお互い違う伴侶と共に生きていく。
直哉、もう迷わずに理奈とゆいちゃんとこれからの人生を共に歩んで行ってね!
私の時みたいに、理奈を悲しませたらダメだよ!
直哉はもうパパなんだから、フラフラしないで一家の大黒柱としてしっかりするんだよ!
理奈とゆいちゃんを守るんだよ!
ちょっと頼りなくて、優柔不断なところがあるから余り理奈をイライラさせたらダメだよ!
理奈も、しばらく会ってないけど元気みたいだね。
心療内科にちゃんと通って心の病気が少しでも良くなります様に。
ゆいちゃんのママ、ちゃんと頑張ってる?
私もママになったよ!
お互い子育て頑張ろうね😄
お客さんとして来た時には、いい旅館紹介してあげるし、素敵なツアーも案内してあげる😆
ゆいちゃんも一緒にね!
お子様向けのいい場所も教えてあげる!
正直、まだ理奈との溝はあるけど、またいつか会える日があれば…ねっ😄
心の中で返事をする。
旅行代理店に復帰直後、久美子さんから「そういえば、手紙預かっているわよ!」と真っ白い封筒を手渡された。
差出人は書いていない。
住所は旅行代理店で、旧姓の「伊藤彩乃様」で届いていた。
この、特徴のある文字。
もしかして…直哉⁉
早速開封。
「お元気ですか?新しい苗字知らないので、旧姓の伊藤で手紙を送ります。仕事頑張ってますか?たまに旅行代理店の前を通りますが最近見掛けないね。辞めたのかな…」
そっか。
産休中だったから見掛ける訳ないか😅
「実は、俺も再婚する事になりました」
あら、良かったじゃん。
「相手は…理奈なんだ、ゆいと会ったら俺にそっくりでね、足の指の形まで俺に似ていて「この子は間違いなく俺の娘だ!」と思ったら、いとおしくなって。理奈は今、心療内科に通いながら心の病気を治している。前の理奈に戻り始めているし、お袋もゆいが可愛いみたいでさ、お袋と理奈とゆいと頑張って行くよ」
そっか。
直哉、理奈と再婚したのか。
直哉のお母さんは、孫を心待ちにしていたからな。
ゆいちゃん、直哉に似てるなら尚更可愛いだろうな。
お父さんもきっと、天国で見ていてくれているかな?
「彩乃には本当に色々迷惑をかけてしまった。彩乃も再婚し、きっと幸せに暮らしている事でしょう。俺が彩乃を幸せにしてあげられなかった分、今の旦那に幸せにしてもらえ!」
十分幸せです❤
「報告がてら、手紙を送ります。元気でな!本当にありがとう!」
結局、直哉と理奈は結婚したか。
手紙を読んで、今までの事が頭をよぎる。
色々あったけど…直哉も理奈もゆいちゃんもお幸せに😄
直哉はきっと、一つのけじめとして私に手紙を書いたんだろう。
もう関係ない相手だけど、たまにふと「直哉も理奈も何してんのかなぁ?」と思い出す事があった。
とりあえず…元気ならそれだけでも良かったよ😄
私も旅行代理店に復帰する日が来た。
産休中も、何度か光輝を連れて旅行代理店に顔を出しに行っていた。
「可愛い❤」
みんな光輝を抱っこ。
接客以外滅多に笑わないあの春美さんが、光輝を抱っこして「可愛いね😄」と微笑んでいた。
支店長は「可愛い!可愛い!」を連発。
支店長にも確か小学生になる息子さんがいた。
でも離婚して、元嫁さんが息子さんを引き取っているからなかなか会えなかったはず。
だからきっと、息子さんと重ね合わせいるのかもしれない。
赤ちゃんって周りを笑顔にする力を持っているのかな😄
どんな人でも、赤ちゃんを抱っこすると笑顔になる。
光輝も抱っこされて笑顔。
私まで笑顔になる😄
直哉と離婚して、この旅行代理店に勤務して支店長をはじめ、久美子さんや千絵さん、春美さんやひとみさん他、色んな人に迷惑をかけてしまった💧
産休中も、私の仕事を振り分けてやってもらった。
出産祝いも、みんなでお金を出しあって光輝の服と離乳食器セットと、引っ張ると音がなるジャングルジムみたいなおもちゃも頂いた。
復帰したらみんなに恩返ししていかなきゃ!
光輝はお姉ちゃんと同じ保育園に通う事に。
これから更に忙しくなるけど、彩乃かーちゃん頑張るよ✌
拓実さんも「いよいよ仕事復帰だね😄頑張って💕」とエールをくれた。
みんながいるから頑張れる✨
家族だもん😆
「彩乃~!元気だった⁉」
久し振りに聞く由佳の声。
由佳は約3ヶ月、長野に出張に行っていた。
「やっと帰って来たよ~」
メールのやり取りはしていたけど、こうして話すのは久し振り。
「中村家にお土産があるんだ🎵向こうに行ってる時に一緒だった同僚と休みの時に高速バスに乗って、東京行ったりしてね~😄」
楽しそうに話す由佳。
「今日って時間ある?」
「あるよ😄」
「子供達は?」
「上の2人は日中はいないけど、光輝と私はずっと休みだからね😁」
「そっか💦そうだよね😄ちょっと顔出すわ!」
電話から1時間もしないうちに家に来た。
光輝はおすわりをマスターし、はいはいにチャレンジ中。
「いやぁ~❤しばらく見ないうちに成長したね❤おすわりしてる!😄」
由佳は光輝の成長ぶりに感激の様子。
そして嬉しい一言が🎵
「こんな私にも彼氏が出来ました😆」
「由佳!おめでとう❤」
話を聞くと、一緒に長野に出張に行っていた同じ会社の同僚。
2つ年下らしく、名前は西村さん。
写メを見せてもらったけどなかなかの男前。
「カッコいいでしょ❤」
「カッコいいけど…拓実さんには負けるな(笑)」
「いやいや😁私の彼氏の方がカッコいいって(笑)こんな私でも彼女にしてくれた奇特な人だよ~!大事にしないとね😄」
何か由佳は幸せそう😆
由佳は仕事一筋でしばらく来たから、親友の朗報に私も本当に嬉しかった。
「近いうちに彩乃に紹介するよ!」
「楽しみにしてる😄」
由佳は性格がはっきりしてるし、どちらかというと男性的な感じで姉御肌だけど、恋愛中の由佳はとても女の子らしくなる。
それがまた可愛い😍
年下の彼氏か😄
初めてじゃないかな、年下は。
良かったね!由佳✨
そんなある日、家族で食事をしていた時のこと。
今日は家族みんなが大好きなクリームシチュー😄
光輝も本格的に離乳食が始まり、じゃがいもを潰したやつをモグモグ食べていた。
その時に突然小春が「ねぇパパ!どうしてパパはママと別れたの⁉」と言い出した。
「小春!突然どうした😲」
びっくりした様子の拓実さん。
最近、小春は「何で」「どうして」と質問して来る事が多くなった。
「何でママいなくなったの?」
小春は少し、寂しそうに話す。
「うーん…参ったな💧」
拓実さんは困っている。
「…ママはいなくなったけど、お母さんがいるじゃないか!」
拓実さんはそう答えた。
「光輝は赤ちゃんの時にお母さんいるけど、小春が赤ちゃんの時はママいなかったよ?どうして?」
「どうしてって…」
拓実さんは、どう説明したらいいのかわからないみたい。
すると龍輝が「小春!ママはね、俺と小春を置いて出て行ったんだよ!俺と小春はママに捨てられたんだ!ママなんか死んじゃえばいいんだ!」と突然叫んだ。
「龍輝!何て事を言うの!」
私は思わず龍輝を怒った。
「死んじゃえばいいなんて言うもんじゃないでしょ⁉ママは今はいないけど、無事に健康にあなた達を産んでくれたんだから、こうしてみんなでご飯が食べれるんだよ?学校にも行けるんだよ?なのに、そんな風に言ったらダメ!」
私の話しに、龍輝も小春も静かになった。
拓実さんも黙ってしまった。
きっと、この子達に申し訳ない気持ちなんだろう。
龍輝も小春も、ママに甘えたい時にママがいなかったから寂しかったんだろう。
特に小春は、2歳の時にはママがいなかった。
この子達の気持ちを思うと辛くなる。
ママに甘えられなかった分、私に目一杯甘えて来る。
光輝を抱っこしてると、ヤキモチを妬く小春。
「小春も抱っこして~!」
私の足に抱きつく小春。
「小春は重たいなぁ😄」
そう言いながらも抱っこすると嬉しそうにしている。
それを羨ましそうに見ている龍輝。
「龍輝も抱っこするかい?」
聞くと「俺は重たいし、もう一年生だからいいよ」と遠慮する。
抱っこじゃなく抱き締めてあげると、恥ずかしそうな顔をしながら喜ぶ龍輝。
厳しい事も言うかもしれない。
時にはひっぱたく事もあるかもしれない。
それはね、あなた達が大好きだからなんだよ!
確かにきれいごとでは済ませられない事もあるけど、誰に何て言われようと、あなた達は大事な大事な我が子。
これからは…これからも寂しい思いはさせないし、ウザいと思われてもくっついてやる!
覚悟しとけよ!
「彩乃ちゃん!悪いけど、そこの段ボールをこっちに持って来てくれるか?」
「はいはぁ~い😄」
「おい!龍輝!そこのカバンよけてくれ!」
「はぁ~い!」
「小春は…光輝と遊んでろ😄」
「うん!光輝!こっちで遊ぼっ❤」
今日は、龍輝と小春がうちにお引っ越し🎵
今までも、ちょいちょいうちに「お泊まり」と称してうちに来ていた。
前にも話したけど、拓実さんの両親が「いきなりだと彩乃ちゃんも子供達も戸惑うと思うから「お泊まり」として徐々に慣らしていけばいいよ😄」という言葉に甘えて、産後の私の体調も落ち着いた今、やっと家族5人で生活が出来る日が来た。
私も、2人の「お母さん」として何とか若葉マークがとれたかな?
「お母さん😄今日からみんなでここに暮らすんだよね?」
龍輝が嬉しそうに話して来る。
「そうだよ~😄」
龍輝はもう小学生。
うちから学校に通う事になる。
「でも、俺と小春がいなくなったら、じいじとばあば2人だけになっちゃうから寂しくなるね😢」
「大丈夫だよ!寂しくなったらじいじとばあばのところにいつでも行けるから!」
拓実さんの実家は近い。
「小春は寂しくないよ!パパもお母さんもずっと一緒にいるから😄」
「ありがとう😄そうだね!ずっと一緒だよ!」
今日からは、とても賑やかになりそう😆
優しくて甘えん坊なお兄ちゃん。
妹の前では威張っているし喧嘩もするけど、何かあったら体を張ってでも妹や弟をかばう。
でも泣き虫で、少し臆病。
マイペースな妹。
相変わらず人見知りをするけど、お兄ちゃんにライバル心を持っていて、負けず嫌いな一面も。
弟が泣くと「うるさ~い!😫」と言いながらも一生懸命面倒を見てくれる。
まだ赤ちゃんの弟。
赤ちゃんなりに自己主張がはっきりしている。
やっと寝返りをマスターし、たまに得意気に寝返りをする。
近いうちにはいはいもマスターするかな?
こんな3人の子供達との生活。
はしゃぎ疲れて眠る子供達。
すやすやと眠る顔を見ていると、思わず笑顔になる😄
私にはあなた達がいる!
まだまだ未熟なお母さんだけど、頑張るからね!
龍輝!
小春!
光輝!
愛しているからね❤
パパも❤
それからは拓実さんがタバコや香水の臭いをつけて帰って来る事はなくなった。
精神的にも穏やかになり、拓実さんの携帯を見る事もなくなった。
そんなある日、由佳から「友美ちゃんに赤ちゃんが生まれた!」との連絡があった。
予定日より2週間程早い出産だったけど、母子共に元気だと言う事で赤ちゃんを見に行く事になった。
そういえば…あの後どうなったのか聞いてないや😅
「ねぇ、由佳⁉」
「ん~?」
運転している由佳は前を見ながら返事をする。
「友美さんと旦那さんってどうなったの?」
「あれ⁉彩乃、知らなかったっけ⁉」
「うん、あの後すぐに光輝が生まれてバタバタしてたし、この間もそんな話しなかったし💦」
「そうだったね💦旦那のお姉さんはかなりご立腹だったけど、友美ちゃんは浮気相手のあのいさぎよさに免じて執行猶予でって話しになった」
「執行猶予?」
「そう、今度また浮気したら離婚だって」
「という事は、今回の事は許すって事?」
「そうなるね😅」
「旦那さん、家族みんなに責められて自分がした事を反省したみたい。友美ちゃんに謝罪して、友美ちゃんが「今回は許すけど、次はないからね」という意味で執行猶予がついたらしいよ」
「そうだったんだ」
執行猶予か。
でも、あのねーちゃん口は悪かったけど潔かったな😅
友美さんと赤ちゃんが入院している病院に着いた。
「わぁ~彩乃さん!来てくれたんですか⁉赤ちゃんも!可愛い❤」
友美さんが光輝に「こんにちは😄」と挨拶。
光輝の代わりに「こんにちは😄」と私が挨拶(笑)
友美さんの赤ちゃんは女の子で「れな」ちゃんというらしい。
新生児室でれなちゃんを見つける。
懐かしい❤
可愛い赤ちゃんがねんねしている。
光輝も泣く事もなく、赤ちゃんを見ている。
少し、ふくよかになった友美さん。
「15キロも太っちゃいました😫れなを生んでから体重計ってもまだ8キロ増えたままで…💦」
「私も産後すぐ10キロ増えたままだったけど、今は妊娠前より3キロ増までになったから、きっと友美さんも大丈夫!」
「ホントですか⁉頑張って戻します!」
笑顔の友美さん。
「2人の会話に入れない」
ボソッと由佳が呟く。
「子供産んでないのに体重増えた私は、どう言い訳したらいいの😫」
由佳の呟きに私も友美さんも爆笑😄
友美さん、元気そうで良かった💕
「落ち着いたら、また女子会しましょ!あっ💦男子いるけど💦」
私が光輝を指差す。
光輝はタイミング良くニコっと笑った。
「他にも仕事あるじゃない!そんな疑われる様な仕事じゃなくても…」
由佳が少し怒った様に話す。
「そうなんだけど…中野の話を聞いていたら、もうそれしか頭になくて…いつかはちゃんと話そうと思ってたんだけど、仕事が仕事だからなかなか言えなくて😅」
それで、この間の中野さんとのメールで「いつかは嫁に話そうと思ってる」って言ってたんだな。
「もう辞めるよ…彩乃ちゃん、誤解させてごめん」
由佳が「おねーちゃんと送迎中によろしくやってたって事はないよね」と念をおす。
「そんな事する訳ないし、もし万が一そんな事をしてバレたらヤバいし💦」
どうやら店から「女の子には手をつけるな!」と言われていたのだろう。
「本当に裏切りはないのね?」
「ないない!本当にない!俺、彩乃ちゃん以外どうでもいいし!家族がいる一家の大黒柱があっちこっちとフラフラしてたら、中村家は崩壊してしまう!森川さん!俺、彩乃ちゃんを幸せにするって誓ったよね⁉裏切る事や悲しませる事はしないって!」
少しの沈黙の後「あっ…今回悲しませちゃったね」と申し訳なさそうに話す。
「拓実さん…」
「何?彩乃ちゃん…」
「私のためにありがとう…誤解してごめんなさい…でももう…その仕事は辞めて欲しい…」
涙をこらえながら声を震わせながら話す。
「もう辞める!ヘルス嬢の送迎って、良く考えたら誤解されても仕方ないよね💦俺が浅はかだった💦彩乃ちゃんの気持ちも考えず…本当に申し訳ない!」
拓実さんはそう言って土下座をした。
「拓実さん!顔をあげて💦」
私は慌てて拓実さんに駆け寄る。
由佳が「彩乃!拓実さんを信じようよ😄ちょっと選ぶ仕事を間違えたんだね💦」
「うん、そうだね😄」
「何だぁ~結局、あんた達夫婦のラブラブを見せ付けられただけかぁ~😫あー私も早く嫁に行きてーなぁ😱少し幸せ分けて~!」
そう言って、由佳が私に抱きついた。
さっきまでの雰囲気が一変。
爆笑に変わった。
拓実さん…そこまでして私を喜ばそうとしてくれたんだね。
なのに疑ってしまって😢
その日は久し振りに拓実さんと愛し合った。
久し振り過ぎて恥ずかしかったけど、拓実さんは何度も何度も「彩乃ちゃん!愛してるよ」と言いながら、私を愛してくれた。
私も愛してる…
その日で拓実さんは、ヘルスの送迎の仕事を辞めた。
少しの沈黙の後、拓実さんはゆっくりと話し始めた。
「誤解されても仕方ない…俺、ここの店に通っている訳でもないし、お客さんでもないんだ」
言ってる意味がわからない。
「じゃあ、どうしてこの店から連絡があるのよ💢」
「中野からの紹介で…ここの店の女の子の送迎をしているんだ…お客さんが指定したホテルや自宅に女の子を送迎する仕事をしている…仕事が仕事だから、彩乃ちゃんが嫌がると思って黙ってた。会社に副業をしているのがバレたらヤバいし、中嶋さんにも内緒にしてる」
「副業…?どうして…?」
特に生活が困窮している訳ではない。
車のローンはあるけど、後は特にローンはない。
何とか今の拓実さんの給料だけでも、贅沢をしなければそれなりにやっていける。
私も、もう少ししたら旅行代理店に戻る予定だし、何故副業をするのか理解出来なかった。
確かに「あと2万円あれば違うかなぁ?」と家計簿をつけながらボソッと言った事はあったけど…💧
独り言のつもりだったけど、もしかしたら聞こえてた⁉😅
「どうしても彩乃ちゃんにあのバックを買ってあげたくて…今の小遣いじゃ、誕生日までに間に合わないし、この間中野と飲んだ時に中野が副業でこのヘルスの送迎をしているのを聞いて、たいした額ではないけど小遣い程度は稼げると言ってたから、中野にお願いしたんだ」
バックとは、メチャクチャ可愛いけど高くて手が出せなかったブランドのバック。
「余り物欲がないのか、余り自分の物を欲しがらない彩乃ちゃんがしばらくあのバックから離れなかったから、かなり欲しいんだと思って…本当は誕生日プレゼントで黙って買って驚かそうと思ってたんだけど、バレちゃったね💦」
恥ずかしそうに頭をかく拓実さん。
「じゃあ、このポイントカードと割引券は?」
由佳が拓実さんに聞く。
「あぁ…これはヘルスのねーちゃんにもらったんだよ」
「本当に?」
「本当だよ、車にチャイルドシートつけて指輪をしていたら誰でも家庭を持ってるってわかるじゃん!名前は知らないけど、若いねーちゃんに「今度奥さんとどうですか?」ってくれたんだ」
「…」
黙る由佳。
「拓実さん!この間さ~拓実さんの車を南のコンビニの近くで見掛けたんだよね😄」
南のコンビニの裏が、属に言うラブホテル街。
「えっ?あっ…そうなんだ…声を掛けてくれれば良かったのに」
なんて言いながらも、少し動揺している拓実さん。
「拓実さんの会社って、あっちだっけ?」
「いや…俺も営業で色々回ってるからね😅」
「あんな時間に営業回るの?」
「えっ?」
「私が見掛けたのは夜10時過ぎだよ?そんなに遅くに営業回ってるんだぁ~」
「…」
由佳の話しに、黙ってしまった拓実さん。
そして、深いため息をついた。
「彩乃ちゃん…森川さんにも言わなきゃならないね」
拓実さんは、またため息をつき話し始めた。
「俺…」
話し始めた時に、拓実さんの携帯が鳴る。
由佳がすかさず拓実さんの携帯を手に取り、着信を見る。
そして鳴っている携帯を私に見せた。
そこには「ソフィア」と表示されていた。
「ソフィアってデリヘルなんでしょ⁉知ってるんだから!拓実さん、そこのお店のねーちゃんと残業だって嘘ついて楽しく遊んでるんでしょ⁉信じらんない!もう裏切らないって誓ったのに!これだけラブホに通ってたって事でしょ⁉」
私は耐えられずヒステリックに叫び、ラブホのポイントカードと割引券を拓実さんの前に突き付けた。
と同時に「ソフィア」からの電話が切れた。
「違うんだ!」
拓実さんが答える。
「違うのに、どうして風俗の店から電話が来るの⁉これだけ証拠が揃っているのに、まだすっとぼける気⁉ヘルスのねーちゃんとさぞかし楽しく過ごしてるんでしょうね💢」
私が半分泣きながらまたヒステリックに話をする。
由佳も「拓実さん、全部正直に話しなよ」と言ってくれた。
拓実さんは「だから違うんだ!」と強い口調で話す。
「ただいま~😄あっ!森川さん、こんばんは😄」
何も知らない拓実さんが帰宅。
「こんばんは😄お邪魔してます😄」
「今日、由佳から光輝の服とかいっぱいもらったの!このケーキも😄」
「いやぁ…いつも申し訳ない💦」
拓実さんが由佳と話す。
「私が勝手にやってるんでお気になさらず✋」
今日の晩御飯は、この前うちの親からもらって冷凍していた焼き肉。
たくさんもらったから、今日はうちで焼き肉パーティーにしよう🎵
由佳もご飯支度を手伝ってくれる。
「焼き肉なら飲みたくなるね😁でも、車だから飲めないや⤵」と残念そう(笑)
由佳が私にボソッと「ご飯食べ終わったら…作戦実行ね」
そう、拓実さんが帰って来る前に由佳と「作戦」を考えていた。
たいした事ではないけど、それとなく聞き出す作戦。
ご飯支度も終わり、焼き肉パーティーが始まった。
拓実さんが「森川さんには申し訳ないけど、ちょっと失礼して」と缶ビールをプシュ!
「あー…うまいだろうな~いいなぁ~😫」
由佳が悔しそうにしている。
その姿を見て、私も拓実さんも爆笑(笑)
楽しい焼き肉パーティーになった。
お腹もいっぱいになり、拓実さんはほろ酔い。
由佳も後片付けを手伝ってくれた。
そして、落ち着いてから由佳が「そういえば拓実さん!この間さ~」と話を切り出した。
いよいよ作戦実行である。
「ねぇ彩乃!今日、拓実さんに聞いてみようよ!このまま悶々としたままだったら精神的に参っちゃうよ!子供達もいるんだし、彩乃が何かあったらどうすんの⁉私が一緒にいるからさ、拓実さんから話し聞こっ!ただ、風俗に通っている事が事実なら…彩乃はどうしたい?」
「うーん…」
どうしたい?と聞かれてもどうしたらいいのかわからない。
ただ、真実が知りたい。
真実を知った上で、どうしていくか考える。
「彩乃!光輝が泣きやまないよ😫」
光輝が由佳に抱っこされながら泣いている。
「ミルクかな💦」
慌ててミルクを作る。
由佳が「今、ママがまんま作ってくれてまちゅよ~!」と言いながら光輝をあやしてくれる。
美味そうにミルクを飲む光輝。
その姿を見て、涙が出て来た。
みるみる光輝の顔が涙でにじむ。
「彩乃…」
由佳がそんな私を見て、どうしたらいいのかわからない様子。
「彩乃!今日ちゃんと拓実さんと話し合おう!ねっ!ほら、泣いてたら光輝が不安になるよ!ママは笑顔が一番!もうお昼過ぎたしピザでもとるか😄」
「でも…」
「彩乃、ピザ好きじゃん😄うまいもの食べて、元気だそうぜ~✌」
そう言って、由佳は早速宅配ピザに電話を掛けた。
光輝はミルクを完食し、ご機嫌の様子。
由佳は、拓実さんの話を避ける。
ピザを食べながら、バカ話しをして2人で盛り上がった。
由佳との楽しい時間。
でも、常に頭の中は「ソフィア」の事が占領していた。
その時に私の携帯が鳴る。
拓実さんからの帰るコール。
「拓実さん、帰って来るって」
「今日は…長い夜になりそうだね」
いよいよ「ソフィア」について拓実さんと話し合う時が来た。
「うーん…彩乃の話を聞いていて思った事は…拓実さん、グレーだな😅」
「グレー⁉どういう意味⁉」
「相手は素人じゃなくて、風俗嬢じゃないかなぁ?」
「えっ?」
東京に行った時に一度だけヘルス嬢を部屋に呼んだ前科がある。
もしかしてまた風俗に…?
「ソフィアってもしかして風俗の店かもよ⁉」
そう言いながら由佳は携帯を開き、調べ始めた。
だって、あの時に「もう悲しませる事はしない!」って誓ったハズなのに…😫
私は風俗の世界は知らないけど、由佳の前の彼氏みたいにはまる人ははまるみたいだし、最近拓実さんともご無沙汰だし…💦
拓実さんも「男」だからムラムラ来る事もあるよね。
「あった!」
由佳が私に携帯を見せてくれた。
「デリバリーヘルス・ソフィア」
そこには顔にモザイクがかかり、エッチな格好をしているスタイルが良い女の子の写真があった。
「彩乃、拓実さん…ここに通ってるな、きっと」
「あっ!ねぇ、でもさ…こっちから電話を掛ける事はあっても、そういうお店から電話がかかって来る事はあるの⁉」
そう、発信履歴しかないのなら由佳の話を信じたかもしれないけど「ソフィア」から着信もある。
しかも、中野さんも関係しているみたいだし。
「そこなんだよね…」
由佳も不思議に思っているらしい。
「予約したけど来ないから店から電話したとか?」
由佳がそう話す。
「でも、予約って出来るの⁉」
「知らない😅」
「あっ!そうだ!」
私は、拓実さんの携帯に登録してあった「ソフィア」の番号と由佳が調べてくれた番号を照らし合わせる。
しかし、拓実さんが登録していた番号は何処にもなかった。
由佳と一緒に色々調べてみたけど、結局登録していた番号についてはわからず⤵
でも、ソフィアというのは風俗のお店っていうのはわかった。
そして、拓実さんの財布に入っていたポイントカードと割引券も由佳に見せた。
「これ、ラブホのやつじゃん!」
やっぱり😢
いつもと変わらない朝。
「今日、ゴミの日だったよね?これとこれだけでいいのかな?」
「ありがとう💦うん、これだけ😄」
いつも拓実さんがゴミを収集場まで持って行ってくれる。
「じゃあ、行って来ます!光輝!バイバイ😄」
私は光輝を抱っこして玄関までお見送り。
まだバイバイが出来ない光輝の右手を持って、上下に動かしながら「パパ!仕事頑張ってね😄」と光輝の代わりに私が喋る。
拓実さんを見送り、光輝のおむつを取り替えようとしていた時に私の携帯が鳴る。
「もしもし⁉彩乃~!おは~😄」
由佳からだった。
「由佳!おはよう😄」
「今日さ~休みなんだけど暇なんだよね😁遊びに行ってもいい?」
「いいよ!光輝と待ってるわ😄」
由佳とはしばらく会っていなかったから、久し振りにゆっくり話すのもいいな💕
1時間後、由佳が紙袋を3つも下げてやって来た。
「こんなにどうしたの⁉」
「これは光輝へのプレゼントでしょ~😄これは彩乃へのプレゼントで~、これはこれから一緒に食べようぜ~😁」
テーブルの上に3つ並べられた紙袋。
「こんなにたくさん💦」
「たいしたもんじゃないんだけどさ😄」
早速開けて見ると、光輝のプレゼントは可愛い服と私へのプレゼントは可愛いマザーズバッグ。
「ありがとう💕何か申し訳ない💦こんなにたくさん買ってもらって😅」
「毎日彩乃が頑張っているごほうび😁私へのごほうびはこれ❤」
もう一つの紙袋はケーキだった。
「早速食べようか?由佳!コーヒーと麦茶しかないけど、どっち飲む?」
「じゃあ、コーヒーで😄」
「わかったよ!」
コーヒーをいれている時、由佳が「光輝!由佳おばちゃんだよ~😄」と光輝を抱っこ。
光輝もニコニコしていてご機嫌😄
早速、ケーキを頂きながら由佳と久し振りに話す。
「拓実さんの事も相談してみようかな?」
そう思い、由佳に拓実さんの怪しい行動や怪しい電話の存在を話す。
由佳はケーキを食べながら黙って聞いてくれた。
その日の夜は、光輝を寝かしつけていたら私も一緒に眠ってしまい、光輝の「腹減った!」のフニフニ泣く声で目が覚めた。
ふと隣を見ると、私に背中を向けた状態で爆睡中の拓実さん。
起こさない様にソーっと起き、光輝にミルクを作りに台所へ向かう。
「ふわぁぁぁ~」
大きなあくびをしていると寝室から「ゴトン!」という音がした。
慌てて寝室に行くと、拓実さんの携帯がベッドから落ちていた。
夜中で静まり返っているからか、すごく音が響いてびっくりしてしまい、あくびが途中でおさまった。
落ちた衝撃なのか、携帯がパカッと開いていて液晶部分が明るくなっている。
拓実さんは気付かずに爆睡中。
光輝にミルクをあげながら拓実さんの携帯をチラ見する。
ちょうどご飯の時にかかって来た電話は「ソフィア」だった。
だから出なかったのか💦
メール画面を見てみる。
私が寝てから中野さんから「今日は無理か?」と一言だけのメールが来ていた。
送信を見るとすぐに中野さんに「嫁にバレかけてる💦そのうちに嫁に話そうとは思ってるけど…今日は悪い😅」
…中野さんと何かやってるのかな。
いずれ私に話すって事は、浮気とかそういうのではないのかな。
考えれば考える程、訳がわからなくなる😖
「いつかは私に話してくれる」
この言葉を信じて、余り拓実さんを詮索しない様にしようかな?
いつかはわからないけど…
何も見なかった事にして、拓実さんの携帯を枕元に戻した。
「…彩乃ちゃん」
「なに?」
「…申し訳ないけど、先に鍋食べてもいい?」
「えっ?」
「せっかくの美味しい鍋も美味しくなくなっちゃうから」
「…」
「食事の時くらいは楽しい話をしようよ、光輝も寝てるしゆっくり食べれるんだし」
「…」
「ところで彩乃ちゃん!もうすぐ誕生日だよね?何か欲しいものある?」
「…話をすりかえないでよ💢」
「欲しいものあるなら言ってみて😄」
全然話を聞いてない上、話をすりかえられた😱
「それよりも…」
「あっ💡そういえば彩乃ちゃん、ハンドバッグが欲しいって言ってたよね?ほら!この間、ショッピングモールに行った時に「これいいなぁ~💕」ってしばらく見てたじゃん!」
「…可愛いけど高いし」
「あのハンドバッグ、絶対彩乃ちゃんに似合うと思うんだよな😄」
「でも高いからいらない」
「最近、子供達の面倒ばかりでなかなか自分の物買ってないでしょ?誕生日くらい好きなの買いなよ!」
「うん…」
すっかり話題が変わってしまい、これ以上言うに言えなくなってしまった😱
「今度の休みに、またショッピングモールに行ってみようか😄」
「でも…」
「じゃあ~決定という事で!ほら!彩乃ちゃん!鍋食べないと煮詰まってしょっぱくなるよ!食べよ食べよ!」
うまくごまかされて終わってしまった。
鍋も食べ終え、片付けをしていると光輝が起きた。
拓実さんが面倒をみてくれている。
今でいう「イクメン」な拓実さん。
家事はお世辞でも得意とは言わない拓実さん。
でも子供の面倒は、どんなに疲れていても文句ひとつ言わずにしてくれる。
本当にありがたい。
拓実さん。
パパとしても旦那としても本当に本当に大好きだし、頼りにしてるし、かけがえのない存在。
だからこそ、嘘を言ってまで帰りが遅い理由を知りたいの。
話をそらすって事は、やましい事があるから?
正直に話して欲しいよ…
茶碗を洗いながら、拓実さんを見る。
ご機嫌な光輝と笑顔で一緒に遊んでいる。
私の考え過ぎなのかな…
このモヤモヤ、何とかしたいよ😫
今日の晩御飯は鍋。
昼間、お母さんが持って来てくれた鶏モモ肉をいっぱい入れた特製鍋🎵
お父さん直伝のレシピだから、きっとうまいはず!
拓実さんが、いつも通りに帰宅。
「ただいま~😄あっ!今日は鍋なんだ🎵」
「うん、お父さんのレシピをマネして作った😄」
「じゃあ、絶対うまいじゃん!先にシャワー入って来る!」
その間にテーブルに鍋をセットし、いつでも食べれる様にしておいた。
「いただきます😆」
今日は久し振りにビール一本飲むかな?
1本くらいならいいよね?
「彩乃ちゃん!美味しいよ!」
「良かった😄」
拓実さんはモクモク食べている。
その時に拓実さんの携帯が鳴った。
でも、携帯を手に取るけど出ようとはしない。
「出ないの?」
「うん…今食事中だし後でかけなおす」
「別に気にしないで出ればいいじゃん」
話しているうちに電話が切れた。
「ねぇ、ひとつ聞いてもいい?」
「なに?」
鍋を食べながら返事をする。
「最近、帰りが遅い時にタバコや香水の臭いをつけて帰って来るけど…いったい何をしているの?」
ストレートに投げ掛けてみた。
本当はもっと様子を見ようと思ったんだけど、電話に出ようとしない拓実さんを見て、つい聞いてしまった。
一瞬、動きが止まった。
更に続けて聞いてみた。
「拓実さんが残業だって言ってた時も、仕事してるはずの時間帯に中嶋さんがうちの店に来たんだけど?中嶋さんが仕事サボって飲みに来てるの?」
拓実さんは無言のまま。
「いつかは聞かないといけない事だし、どういう事なのかきちんと説明をして欲しい…ストレートに聞くけど、浮気してるの?他に女がいるの?あと、このポイントカードと割引券は?」
拓実さんの財布から出しておいた、あのポイントカードと割引券を私の財布から出して見せた。
「それとも…またヘルス呼んでるの?」
拓実さんは黙ったまま。
「黙ってないで、ちゃんと説明してよ!」
つい口調が強くなる。
拓実さんは目をつぶり、観念したかの様に口を開いた。
一つ気になりだしたら、全てが気になる😫
普通に帰って来る事もあったけど、遅く帰る時は決まってタバコと香水の臭いをスーツにつけてきた。
そんなある日、拓実さんが携帯を充電したまま忘れて出勤した。
…ちょっとだけならいいよね?
拓実さんの携帯を開いた。
拓実さんの携帯を見る事に罪悪感はあったけど、どうしても「証拠」が欲しかった。
まずは着信履歴を見てみる。
ソフィアという名前と友人の中野さんの名前が目立つ。
ソフィアって何⁉
番号は携帯みたいだけど…
後は、仕事の電話と思われる番号。
発信履歴も見てみる。
同じくソフィアと中野さんの番号が目立つ。
一体何だろう…?
発信も着信も夕方から夜に集中している。
メールも見てみる。
中野さんから「どうだった?」とか「また後で✋」の一言のメールが目立つ。
女じゃないの?
「どうだった?」ってどういう意味⁉
全然わかんない😲
浮気じゃない…?
仕事関係以外で登録されている怪しい女性はいない。
ソフィアというのが気になるけど…
その時!
私の携帯が鳴り、ビクン!となる。
拓実さんが会社の電話から掛けて来た。
「彩乃ちゃん!俺、携帯忘れてってるよね?」
「うん、充電したままだよ💦」
「携帯なきゃ仕事にならないから、これから取りに帰るから💦」
「うん、わかった!」
拓実さんが帰って来る前に、このソフィアの番号だけ控えておこう。
私の携帯に番号を登録。
拓実さん…一体夜な夜な何をしているの?
それからすぐに拓実さんが携帯を取りに帰って来た。
「今日は帰り早いよ😄」
「わかったよ!行ってらっしゃい😄」
拓実さんは再び仕事に戻って行った。
夜11時過ぎ。
拓実さんが帰って来た。
光輝はねんねしていたけど、私はシャワーを浴びてパジャマ姿のまま、拓実さんを待っていた。
「彩乃ちゃん?起きてたの⁉寝てると思ったから連絡しなかったのに…😅」
「おかえりなさい😄遅くまでお疲れ様!」
とりあえず今日は深くは聞かない。
実家に帰って中嶋さんに会った事も話さない。
少し様子を見たかった。
拓実さんがいつもの様に着替えに寝室に向かう。
その時に、タバコは吸わない拓実さんからほのかにタバコの臭いがした。
そして…香水の香り。
今は、何も嗅いでないし知らない!
グッと目をつぶり、自分に必死に言い聞かせる。
いつもの彩乃を演じよう。
「ご飯は?」
「ごめん、軽く食べて来たんだ😅」
「明日は早いの?」
「うーん…わかんないや💦」
「もし遅くなる様なら連絡ちょうだいね😄」
「わかったよ!彩乃ちゃん、もう遅いし、光輝にいつ起こされるかわかんないから休んだ方がいいよ💦俺はビール一杯飲んだら寝るから😄」
「ありがとう!先に休ませてもらうね!お休み😄」
目一杯の笑顔で拓実さんと話す。
布団に入ってもなかなか寝付けず⤵
ドア越しに拓実さんの様子を見ると、右手で缶ビールを持ちながら左手で携帯をいじっていた。
「誰かとメールしてるのかな…もしかして浮気相手⁉」
嫉妬心に火がついた。
でも、今日は何にも聞かないって決めたんだから我慢しなきゃ😣
まだ拓実さんを信じたい気持ちもあるけど、怪しい行動が目立ち始めた今、どうしたらいいのかわからない自分もいる。
もし、本当に他に女がいるなら…我慢するか離婚するか。
でも、もし離婚したら龍輝と小春は?
いくら養子縁組をしてるとはいえ、離婚したらやっぱり実の父親に親権が行くんだよね?
嫌だ!
子供達と離れたくない!
せっかく「お母さん」になれたのに…。
色々考えていると、拓実さんがビールを飲み終えてトイレに向かった。
ヤバい💦
そろそろ布団に入らなきゃ💦
寝たフリをしていたら、拓実さんが寝室に来た。
私と光輝の様子を見てから布団に入り、そのまま拓実さんはすぐに寝息をたて始めた。
私も睡魔には勝てずに、そのまま眠ってしまった。
「ただいま~😄」
「おかえり😄光輝~!」
お母さんが返事をする。
「私じゃなくて光輝かい😅」
お父さんもその声に厨房から戻って来た。
「お~光輝😄」
「お父さんも私じゃなく光輝かい😫」
一人で突っ込んで見る(笑)
じいじとばあばの顔になる。
光輝は首が座り、抱っこも楽になったからお父さんも怖がる事なく抱っこ。
すぐに店が開店する時間になり、お父さんが名残惜しそうに厨房に戻る。
お母さんが「ご飯は食べてくのかい?」と聞いて来た。
拓実さんは遅くなるから食べてくかな?
お父さんが適当にご飯を作ってくれた。
居間でテレビを見ながら早目の夕飯。
店が賑やかになって来た。
ご飯を食べ終わり店を覗く。
見た事がある常連さん達が早速飲んで談笑している。
ちょっと挨拶して来ようかな😄
光輝を抱っこして、常連さんに挨拶。
「おぉ~彩乃ちゃん!久し振りだったね!無事に赤ちゃん生まれたんだね~抱っこしてもいいかい?」
「はい😄」
常連さん達は、順番に光輝を抱っこ。
一回りして光輝が返って来た。
「育児忙しいと思うけど、たまには店に顔出してよ😄やっぱり彩乃ちゃんは看板娘だ!」
「ありがとうございます😆」
そう言ってくれるとすごく嬉しい✨
その時、中嶋さんが来た。
「おっ?彩乃ちゃん!久し振りだね😄」
「中嶋さん!ご無沙汰してました!出産祝い、ありがとうございます!」
「いやいや~おっ!赤ちゃんか!抱っこしてもいいかい?」
「はい😄」
中嶋さんも光輝を抱っこ。
「中村くんはいないのかい?今日は定時に急いで帰って行ったから、今日は彩乃ちゃんいないと思ってたから驚いたよ😄」
何ですと😱
遅くなるんじゃなかったのか💢
ひきつった顔の私を見て、中嶋さんは「どうした?」と声を掛けて来た。
「いや、何でもないです💦」
浮気…確定って事⁉
そんなぁ😫
疑い出したらキリがないのはわかっているんだけど…
あの時にすれ違った時、何故かわからないけどモヤモヤした😅
直感ってやつなのかな💧
真面目で誠実な拓実さんに限ってないとは思うけど…
そういえば最近、子供達の世話や色んな事に忙しくて拓実さんとちゃんとした時間を作ってなかったな。
夜の営みも、光輝が生まれてから何回もないや😅
いつも優しい拓実さんに甘えすぎてた💦
たまには、ゆっくり夫婦の時間を過ごすのもいいかも❤
あっ💡
今日は寒いから、拓実さんが好きな鍋にしよう🎵
野菜も愛情も栄養もたっぷり入れてあったまって、たまには一緒にお風呂に入っちゃおっかな😆
なんて考えてたら、拓実さんが財布を取りに帰って来た。
「ごめんね💦慌てて支度したら、財布忘れちゃった😅」
「怒られなかった?」
「大丈夫😁じゃ、行って来るね!」
「行ってらっしゃい😄」
玄関で拓実さんを見送る。
夕方くらいになり「今日、もしかしたら遅くなるかも💧」とメールが来た。
「晩御飯は?」
「うーん…いらないかな😅」
「そっか、わかったよ😄仕事頑張ってね!」
「ありがとう😄」
そっか…晩御飯いらないのか⤵
せっかく鍋にしようと思って材料買ってきたんだけど仕方ないや😢
よくよく考えてみると、最近残業が増えたな。
疑う訳じゃないけど…実家に行ってみようかな?
もし、中嶋さんが来ていたら…
残業って嘘って事になるよね。
いつも残業の時は、中嶋さんが一緒だから。
「あっ!もしもし?お母さん⁉今日、光輝連れて帰っていい?」
「いいけど…今日店あるわよ?」
「いいの😄中嶋さんにも光輝見せたいし!」
「そう😄いいわよ!」
「じゃあ、夜帰るね!」
電話を切ってから、早速支度をする。
スヤスヤねんねしている光輝。
思わず笑顔になる。
「パパ、大丈夫だよね?」
ねんねしている光輝に話しかける。
きっと、私の勝手な思い込みだよ。
浮気なんてしてないよね?
中嶋さんがいない事を願って実家に向かった。
こんな夜中に何の用事だろう?
拓実さんの電話が鳴ったの全然知らなかった💦
うーん、ダメだ…眠い⤵
今日は何だか疲れちゃったな💦
そう思っているうちに眠ってしまった。
翌朝、「彩乃ちゃん!ヤバい!遅刻遅刻!」と慌てた拓実さんの声で目が覚めた。
私も飛び起き時計を見ると、もう会社の始業時間の10分前だった。
夫婦揃って寝坊してしまった😱
「彩乃ちゃん!俺、もう行くから!」
慌てて支度をして、起きてからものの5分で出勤して行った。
あちゃ~😫
昨日は何時まで電話をしていたか知らないけど、あの時点でもう夜中だったしな😅
怒られなきゃいいけど💧
なんて思いながら、拓実さんのスーツが入っているタンスを見ると、かなり慌ててたのかぐちゃぐちゃになっていた。
「あらまぁ」
そう言いながら直していたら、昨日着ていたスーツから財布が出て来た。
「大変!拓実さん、財布忘れてってる!」
慌てて拓実さんに電話をするけど、電話には出ない💧
困ったな😅
ところで、今どのくらい小遣いあるのかな?
そう思いながら財布を開けた。
ん?
なんだこれ…
知らないポイントカードと500円の割引券。
良く見てみても店名が書いていない。
何か怪しいぞ😒
ポイントカードと500円の割引券を財布から抜き取り、自分の財布にしまった。
拓実さんが、いつも通りに帰宅。
「ただいま😄」
「おかえりなさい😄」
いつも、帰宅したら真っ直ぐスーツから部屋着に着替えに寝室に行く。
着替えたらすぐにお風呂に入り晩御飯。
いつも通りの拓実さん。
やっぱり考え過ぎだったのかな😅
晩御飯を食べながら拓実さんに聞いてみる。
「今日、由佳と隣町のショッピングセンターに行って来てね、光輝のガラガラのおもちゃ買ってくれたの😄」
「そうか!良かったな~光輝😄」
そう言ってねんねしている光輝に話しかける。
「その時に、拓実さん見たよ~!会社の人なのかな?女性が隣に乗ってたけど…」
「うん、そう…松村の事かな?まだ新人だから一緒に回っててね😄」
特におかしな様子はない。
やっぱり、ただの同僚なのかな💦
由佳も言ってたし、疑ったら拓実さんに悪いな😅
会社の事は、中嶋さんに聞いたらすぐにわかるし、嘘はないだろうな。
安心したら一気にお腹がすいて来た💦
全て完食し、後片付けをして光輝と3人で就寝。
夜中1時過ぎ、光輝が「腹減った!」とフニフニ泣き出したため、眠い目をこすりながら起きた。
あれ?
隣にいるはずの拓実さんがいない😱
トイレかな?
まずは先に光輝にミルクを飲ませなきゃ💦
ミルクを作り、光輝に飲ませる。
まだ拓実さんは戻らない。
拓実さんは、頑張っている時はトイレが長い。
「お腹痛いのかな…」
そう思っているうちに光輝のミルクタイムは終わり、光輝は再び夢の世界へ💤
哺乳瓶も洗い終わり、トイレに行ってみる。
あれ?
トイレの電気がついていない💦
トイレを開ける。
誰もいない💧
拓実さん、何処に行ったの⁉
急いで携帯を手に取り、拓実さんに電話をする。
「もしもし⁉」
「あっ…彩乃ちゃん…ごめん、兄貴から電話が来て光輝を起こしちゃ悪いと思って車の中で話してたんだ💦」
その言葉にベランダのカーテンの隙間から駐車場を見ると、確かに拓実さんの車の中に人影が見える。
「こんな時間にお兄さん、何の用事なの⁉急用⁉」
「うん、ちょっとね💦これキャッチだからまた後で」
そう言って拓実さんは電話を切った。
産後の経過も赤ちゃんも問題なし✨
無事に退院し、赤ちゃんにとっては初めての我が家についた。
赤ちゃんの名前が決まった。
いくつか候補にあがったけど、お兄ちゃんの「龍輝」の「輝」をとって「光輝」と名付けた。
退院後はしばらくは実家に帰るつもりだったけど、居酒屋のため夜はうるさく光輝がゆっくり出来ないんじゃないか?という事で、お母さんが昼間手伝いに来てくれる事になった。
いやいや、育児って大変💦
昼夜関係なく「腹減った!」と泣いて、やっと寝たと思っても私が眠れず、ウトウトしかけたらまた泣いて😅
だから、お母さんが来てくれている時に少し寝かせてもらって体力を養う。
だいぶ光輝との時間も慣れて来たある日。
由佳が「今日休みなんだ🎵光輝に会いに行っていい⁉」と連絡が来た。
「もちろん!」
由佳が光輝のおもちゃを買ってくれるというから、喜んで出かける事に(笑)
車で40分程離れた隣町にある大型ショッピングセンターに向かう。
途中、信号待ちをしていると拓実さんの車を見つけた。
おや?
隣に乗っている女性…誰⁉
何か楽しそうに笑ってるけど…💧
いや、拓実さんの会社に女性はたくさんいるし仕事中のはず。
きっと同僚だよ…
帰って来たら聞いてみよう。
「…聞いてる⁉」
「えっ?」
由佳の声で我に返った。
「さっきから呼んでるのに…どうしたの⁉」
「あ、いや…」
今見た事を話す。
由佳は「仕事中でしょ⁉私も男性社員と2人で回る事もあるし、1日中一緒にいたらそりゃ~会話もするだろうし、拓実さんに限ってそういう事はないと思うなぁ😄」
「そうだよね😅」
「考え過ぎ😁」
由佳のその言葉で少し安心はしたけど、何か変なモヤモヤが残った。
その後は由佳と光輝と色々見て回り、由佳にガラガラのおもちゃを買ってもらって光輝は嬉しそう🎵
夕方、由佳とお別れして家に帰る。
光輝にミルクをあげていると、拓実さんから帰るコール。
いつもの拓実さん。
やっぱり私の考え過ぎだったのかな😅
こんな誠実で真面目な拓実さんに限って…ないよね?
夕方になり、拓実さんのお母さんと龍輝くんと小春ちゃんが来た。
「お母さん!赤ちゃんは?」
龍輝くんも小春ちゃんも、赤ちゃんに興味津々。
「今ね、赤ちゃんはね、他の赤ちゃんと一緒にねんねしてるから静かにしないと赤ちゃん起きちゃうからね😄」
そう言って、新生児室がある方向に指をさし「お母さんと一緒に赤ちゃん見ようか😄」と、一緒に新生児室のガラス越しに赤ちゃんを見る。
「お母さん見えないよ?どれ?」
龍輝くんからはちょうど影になって見えなかった。
「ん?どれどれ😄」
私は龍輝くんから赤ちゃんが見える位置にずれた。
「あっ!いた!」
龍輝くんはすぐに見つけて叫んだ。
「小春は見えないよ😫」
小春ちゃんは背が足りなくて見えなかった💦
「よし!よっこいしょ!」
そう言って小春ちゃんを抱っこした。
「見えるかい?弟だよ!小春ちゃん、お姉ちゃんになったんだよ!」
「あっ!見えるよ!おーい!お姉ちゃんだよ!」
小春ちゃんはそう言って赤ちゃんに手を降っている。
「可愛い❤」
赤ちゃんに釘付けの2人。
拓実さんのお母さんが「彩乃ちゃん!お疲れ様😄無事に生まれて良かったわね😄」と声を掛けてくれた。
「はい😄おかげさまで!」
「この子達も昨日から「赤ちゃんまだ?」ってずっとうるさくてね(笑)今日は赤ちゃんに会える!って張り切って保育園から帰って来てね😄楽しみだったみたいよ😄」
「そうなんですか😄」
お母さんと話してる間も2人は赤ちゃんから視線を話さない。
「あっ!お母さん!赤ちゃん泣いちゃったよ😫」
そう言って龍輝くんが私に駆け寄って来た。
「大丈夫だよ😄」
「お腹すいたんじゃないの?お母さん、ミルクあげなくていいの?」
「さっき飲んだから大丈夫😄」
「あっ…また寝ちゃった」
そう言って龍輝くんは、またさっきいた場所に戻った。
拓実さんのお母さんもニコニコしながら「可愛いね😄」と赤ちゃんを見ている。
龍輝くんも小春ちゃんも、きっとこうして元嫁から生まれて来たんだろうな。
私は2人を生んでないけど、こうして実際に子供を生んで出産の大変さというのがすごくわかった。
子供って、本当に「宝」だな😄
ますます龍輝くんも小春ちゃんもいとおしく感じる。
「龍!小春!そろそろ帰るよ!」
お母さんが2人を呼ぶ。
「彩乃ちゃん😄産後すぐで疲れてるだろうからもう帰るね!拓実来るんでしょ⁉」
「はい、来ると思います😄」
「じゃあ、拓実に後で電話ちょうだいって伝えておいてくれるかしら?😄」
「わかりました!」
抱っこしている小春ちゃんをおろし、龍輝くんと小春ちゃんは「赤ちゃんもお母さんもバイバイ😄✋」
そう言って帰って行った。
生まれたての赤ちゃんとご対面。
ちっちゃいなぁ❤
さっきまでお腹にいたなんて信じられない😲
恐る恐る抱っこをする。
ふにゃふにゃしている😄
さっきまでの苦しみが嘘みたい😆
お父さん、お母さん、由佳、拓実さんとも初対面。
「ヤバい😆可愛い❤初めまして~由佳おばちゃんだよ❤」
由佳はちっちゃい我が子を抱っこ。
お父さんもお母さんも拓実さんも覗き込んで孫を見ている。
お母さんは涙を流しながら「頑張ったね」と言いながら赤ちゃんを抱っこ。
お父さんも抱っこ。
黙って孫の顔をじっと見つめている。
そして「何か猿みたいだな」と呟く。
でも、口元がにやけていた。
拓実さんが持って来たデジカメで写真を取りまくる。
もう朝日が眩しくなっていた。
「彩乃!おめでとう!そしてお疲れ様だったね😄彩乃の出産に立ち会えて本当に嬉しかった!もっといたいけど、彩乃も少し休まないとね!私は仕事に行って来るわ~💦」
「全然寝てないじゃん💦大丈夫⁉」
私が聞くと「大丈夫!眠くなったら、外回り行って来ま~すって言ってサボって寝るから😁また来るね!」
「由佳、本当にありがとう😄」
「こっちこそありがとう!」
お父さん、お母さん、拓実さんにも挨拶をして由佳は帰って行った。
お父さんもお母さんも由佳が帰ってから、無事に生まれて安心したのか急に睡魔が襲って来たらしく「一旦帰るから」と言って帰って行った。
拓実さんも眠そう。
「少し休んだら?」
「うん…」
「今日仕事は?」
「休みもらった😄」
「そっか😄じゃあ、ゆっくり休めるね」
「彩乃ちゃん!ごめん、俺一回帰って寝る💦」
「うん😄」
拓実さんも帰った。
私も少し休みたいけど興奮しているのか、なかなか眠れない😞
でも、出された朝食を食べたら睡魔が襲って来て、それからしばらくは爆睡出来た。
いつの間にか、日付が変わっていた。
「由佳、明日仕事じゃないの⁉」
陣痛の合間に由佳に話し掛ける。
お母さんも「由佳ちゃん!もう夜中だし…明日仕事ならもう帰った方が…」と話していると由佳が「おばさん!私、彩乃と一緒にいたいんです!彩乃がこんなに頑張ってるのに…」涙声で話す。
「彩乃!私、邪魔なら帰るけど、私はこんなに頑張っている彩乃をほっとけない!私の心配より、赤ちゃんと自分の事だけ頑張って!」
由佳は真っ赤な目で目一杯の笑顔で言ってくれた。
「由佳…ありがとう」
お母さんも「由佳ちゃん、ありがとう」と涙目になっていた。
みんなも疲れているのに、陣痛で苦しんでる私のために励まし応援してくれる。
お父さんはずっと無言だけど、たまに私の顔をタオルで拭いてくれたり、飲み物をストローで飲ませてくれたりしてくれる。
お母さんは、ずっと腰をさすったりお尻をぐっと押してくれる。
由佳は泣きながらも私の手をギュッと握ってくれたり「頑張って!」と声を掛けてくれる。
拓実さんは、拓実さんの実家に連絡したり様子を見に来る看護師さんや先生と話したりしている。
みんなみんなありがとう!
陣痛は辛いし苦しいけど、私頑張るから!
赤ちゃんも今、みんなに会おうと一生懸命なんだよね。
ママ頑張るから、どうか無事に生まれて来てね!
みんな待ってるからね!
看護師さんが様子を見に来る。
「中村さん!そろそろ分娩室に行きましょうか」
「という事は、もう生まれるんですか⁉」
由佳が話す。
「そうですね、もう赤ちゃんの頭が見えてますから、あと少しです!」
由佳はパァ~と顔が明るくなる。
ものの数メートルの距離だけど、看護師さんにつかまらないと歩けない。
陣痛の痛みでちょっと歩いては立ち止まる。
「中村さん!頑張って!もう少し!」
看護師さんがそう言って、陣痛で痛がる私を支えてくれる。
やっとの思いで分娩台に乗ると先生が来た。
「はい!いきんで!」
「うーん」
目一杯いきむ。
何度かいきむと、ふっと楽になった。
「ホギャ…フギャ…」
声が聞こえた。
「おめでとうございます!中村さん!元気な男の子が生まれましたよ!」
「フンギャ~!」
赤ちゃんの産声も聞こえた。
「生まれたーっっっ!!」
拓実さんの叫び声が聞こえた。
この病院は、陣痛室と分娩室は隣同士でカーテンみたいなので仕切られている。
陣痛室も分娩室も狭いけど一応個室。
ただ、壁が薄いのか隣の部屋の声が聞こえる。
「彩乃!大丈夫⁉」
「由佳、来てくれたんだ😄今のところはまだそんなに…」
「そっか😅」
お母さんが「由佳ちゃん!わざわざ来てくれてありがとう😄良かったら、ここに座って!」と隅っこに置いてあったパイプ椅子をずらして来た。
「おばさん💦すみません!」
由佳は軽く頭を下げて椅子に座った。
お父さん、お母さん、拓実さん、由佳の4人に見つめられ、ちょっと恥ずかしい😅
「赤ちゃんはどっち似でしょうね😄」
「元気に生まれて来てくれるといいですね!」
お父さん以外の3人は、赤ちゃんについて色々話している。
お父さんは椅子に腰掛け腕を組み、目をつぶっている。
私も会話に参加し「明日には会えるかな?」なんて話している余裕があった。
由佳が来て2時間。
腰の鈍痛はあるものの、生まれる気配は全くなし。
「赤ちゃん、恥ずかしがってるのかな😅」
なんて話していたその時!
突然突き上げられる様な痛みが体を突き抜ける。
「うおぉ~😲」
思わず唸る。
お母さんと由佳が同時に「彩乃⁉」と声を掛けてくれる。
「いよいよ来たかも…」
その声に目をつぶっていたお父さんが目を開けた。
いきなり激しく襲って来る陣痛の波。
「痛いよ💢」
キレる私。
「彩乃!キレたって仕方ないでしょ!頑張って!」
お母さんが腰をさすりながら励ましてくれる。
由佳も「彩乃!頑張って!」と手を握ってくれた。
「あ~痛い!痛~い!」
野生に還ったかの様に絶叫する私。
髪の毛がうっとうしい💦
汗で顔にくっつく。
お父さんも拓実さんも、絶叫している私を見てオロオロ。
「俺はどうしたらいいんだ💢」とキレるお父さん。
「お父さん!キレてないで彩乃の顔をタオルで拭いてあげて!」
「よし!」
お父さんはタオルでゴシゴシ私の顔を拭く。
お母さんはこのメンバーの中で唯一の出産経験者。
いざという時は頼りになる。
由佳は「彩乃!頑張って!」と手を握り、陣痛と闘っている私を見て目を真っ赤にして泣いていた。
陣痛が来る度に由佳の手をギュッと握るため、由佳の手は真っ赤になっていたけど、由佳はそれでもずっと離さず握ってくれている。
拓実さんは看護師さんと何やら話しているが、私の叫び声で会話は良く聞こえない。
「中村さん!子宮口は5センチまで開いてますから、もう少しで生まれますよ!」
「あとどのくらいですか⁉」
陣痛と闘いながら、看護師さんに聞く。
「明日になるかな?」
え~⁉
この痛みが明日まで続くの⁉😱
耐えられるかな😫
看護師さんに用意されたワンピースのパジャマみたいなやつに着替えていると、拓実さんがすごい勢いで病室に入って来た。
「彩乃ちゃん!大丈夫⁉…あれ?以外に普通だね😅」
「あっ、拓実さん😄今のところは😅」
「お産が始まってるって言うから、陣痛で苦しんでるんじゃないかって思って急いで来たんだ💦」
「あはは😅何かまだ実感がない💧」
「これからだね😄」
腰に鈍く重い痛みはあるけど、まだ全然平気。
化粧してあるから洗面所で化粧を取り、一緒に歯磨きもする。
その時に、お父さんとお母さんが仕事着のまま息を切らして病室に来た。
「彩乃!生まれそうなんだって⁉」
お母さんが息を切らしながら話す。
「あっ、お父さんお母さん😄」
「あっ!じゃないわよ💦大丈夫なの⁉痛みは?」
「まだ大丈夫!でも、腰に鈍い痛みがあるからこれからかな」
「お産が始まってるって言うから心配で…」
やっぱりお産が始まってるって言われたら、そりゃ慌てるよな😅
まだ余裕な私を見て両親は「今日は店閉めて着替えて来るから」と一度帰る。
拓実さんはスーツ姿だけど「彩乃の両親が戻って来たら、一旦着替えに帰るから😄」と、それまで付き添ってくれた。
「中村さ~ん!お食事ありますけど食べれそうですか?」
看護師さんがご飯を持って来てくれた。
「はい😄頂きます😄」
「彩乃ちゃん、今のうちに食べておいた方かいいよ!いっぱい食べて😄」
「拓実さんは?」
「俺は着替えに帰った時に何か適当に食べるから大丈夫✌」
「ごめんね💦お先に💦」
私は晩御飯を食べる。
きちんと完食し、拓実さんが持って来てくれたせんべいも3枚食べた。
「これだけ食べたら、きっと出産に耐えれるね😁」
「そうだね😄」
「今日か明日には赤ちゃんと会えるね!」
「彩乃ちゃん!頑張ってよ!」
「ありがとう😄」
それから程なくして、着替え終わった両親が来た。
「彩乃!どうだ?」
「お父さん!まだ何でもなさそう💦」
「そうか…」
そう言って、近くにあった椅子に座る。
「お父さん!お母さん!あの俺、一回着替えに帰ります!また来ますから!」
拓実さんはそう言って病室を出た。
今のうちに由佳にも連絡しようかな…
まだ話してるかな…
メールなら大丈夫かな?
私は由佳に「間もなく出産😄」とメール。
すぐにメールが返って来た。
「マジで⁉」
それからすぐに由佳が来てくれた。
叩かれても宮田さんのだんまりは続く。
その時、下半身の異変に気付く。
「ごめん友美ちゃん、トイレ貸して💦」
「あっ、はい😄」
トイレの場所を教えてもらいパンツを下ろすと、パンツ一面に真っ赤な血が😱
「ヤバい…どうしよう…慌てて来たから病院に行きたくても母子手帳は家だ😫帰れる雰囲気じゃないし…でも…どうしよう😱」
トイレで色々考える。
「いや、赤ちゃんに何かあったら大変!」
意を決して由佳に「こんな時にごめん、ちょっと…」
由佳を玄関に呼び出した。
「由佳あのね、今トイレに行ったら出血してて…」
「えっ?それってヤバいんじゃないの⁉呼び出してごめん!早く病院に行かなきゃ💦送ってくよ!」
「いや、タクシーで帰るよ💦こっからならしれてる距離だし」
「何かごめん…」
由佳は自分が無理矢理呼び出したから出血したと思っているみたい。
「由佳のせいじゃないから気にしないで!痛みは何にもないし😄友美さんの側にいてあげて!」
「彩乃…本当ごめん😫」
「大丈夫!私はこのまま帰るね😄」
「もしヤバかったらすぐに言って!すぐ行くから!」
「ありがとう😄」
ハンドバッグだけ取りにリビングに戻り、静かに部屋を出た。
タクシーはすぐにつかまり自分のアパートへ。
一応、拓実さんと親にも連絡するか。
病院に連絡をすると「今すぐ来て下さい」と言われたため、準備してあったお産入院セットを持ってタクシーで病院に向かう。
タクシーに乗っている間に拓実さんから連絡があった。
「彩乃ちゃん!大丈夫⁉痛みは⁉辛くない⁉中嶋さんに言ったらすぐに病院に行け!って言われたから、これからすぐに病院に向かうから!」
一気に話し、電話が切れた。
予定日はまだ先だから、のんびり構えてたけど、もしかしたら赤ちゃん生まれて来るのかな?
出血は「おしるし」ってやつなのかな?
結構な出血だったから、赤ちゃん大丈夫かな😞
色々考えていると病院に着いた。
時間外だったため、救急の入り口から入った。
「先程電話した中村と言いますけど…」
救急受付の人に名前を告げると「少しお待ち下さいね」と内線を押した。
すぐに看護師さんが来てくれて「痛みはありますか?歩けそうですか?」と聞かれて「痛みはないし歩けます」と答えると、看護師さんがお産入院セットを持ってくれて、ゆっくり診察室に向かう。
診察の結果は「お産始まってますね、このまま入院して下さい」
えっ?
お産が始まってる?
さっきから腰が何となく痛かったけど、これってもしかして陣痛⁉
いきなり過ぎてまだ心の準備が出来ていないけど…いよいよ赤ちゃんに会える時が来た!
ちょっとした騒動に男性店員が「どうなさいましたか⁉」と駆け付けた。
「あっ💦いえ💦ちょっとした痴話喧嘩で💦すみません😣」
入り口の近くにいた私は、咄嗟に言い訳をする。
男性店員さんは「すみません、他のお客様のご迷惑になりますので…」と丁寧だけど少しきつめに話す。
「すみません💦」
平謝りの私。
これ以上店にいずらくなり、会計を済ませてから友美さん夫婦のマンションへ向かう事になった。
宮田さんのお兄さんは仕事をこれ以上あけられないと言う事で、専業主婦である宮田さんの実姉さんが来てくれる事になった。
お兄さんとはお店でお別れし、由佳の軽自動車に4人乗り友美さんのマンションに着いた。
車内は無言。
宮田さん夫婦が後部座席に座っているけど、お互い窓の外を眺めている。
「車、何処に停めたらいい?」
由佳が友美さんに聞く。
「あっ、今旦那の車がないので202って書いてあるあそこに停めて大丈夫です」
「オッケー!」
由佳は指定された場所に車を停めた。
すると、マンションの裏から1歳くらいの子供を抱っこした、少しぽっちゃりとした女性が現れた。
友美さんが「お姉さん」と言いながら車を降りた。
宮田さんは「面倒くせーな」とボソッと呟き車を降りた。
「シン!兄ちゃんからさっき電話があったんだけど…あんたは何を考えてんの⁉💢」
「…」
また無言の宮田さん。
「とりあえず部屋に…」
友美さんはそう言うと、部屋を案内してくれた。
部屋は2LDKで、友美さんが好きなキャラクターのぬいぐるみがリビングに沢山並べられていた。
それ以外は必要最低限のものしかない、大変シンプルな部屋。
宮田さんのお姉さんの子供は、ぬいぐるみに興味を示し、ハイハイ選手権なる競技があるなら絶対優勝してるんじゃないか?と思わせるすごい早さのハイハイでぬいぐるみに近付き遊び出した。
それを見てお姉さんが「友美ちゃん!舐めるからヨダレでベロベロになっちゃうけど💦」と申し訳なさそうに言う。
「大丈夫です😄まーくん!いっぱい遊んでいいからね😄」と言って、ぬいぐるみをいっぱいまーくんの近くに持って来た。
まーくんは早速ぬいぐるみにかぶりつく。
「この子がおとなしいうちに…で、私は詳しくは知らないから誰か教えてくれないかしら?」
由佳が「ご挨拶遅れました」と先に簡単に挨拶をした後に、さっきの出来事を話す。
お姉さんはまーくんの様子を見ながら黙って由佳の話を聞いていた。
話が終わると、お姉さんは「シン!」と言って座っている宮田さんの前に行き顔をひっぱたいた。
「宮田、お前の仕事は俺と安田と木村くんとでやるから、まぁ…退勤までに戻って来いな😅」
佐田さんがそう言うと、安田さんは「ごゆっくり😅森川ちゃん!悪いけど俺ら仕事があるから戻るわ😅」と言って帰って行った。
一人残された宮田さん。
さっきから一言も話さず、ずっと携帯をいじっている。
「宮田さん、ねーちゃんも安田くん達も帰った事だし、詳しく話を聞かせてもらえないかなぁ?」
「…」
宮田さんは話し掛ける由佳を無視し、ひたすら携帯をいじる。
「不倫なんかして恥ずかしくないの?」
「…」
「友美ちゃんの気持ち、考えた事あんの⁉」
「…」
「ねぇ!宮田さん!聞いてるの⁉返事くらいしなさいよ💢」
「…」
相変わらず無言で携帯をいじる宮田さんに、由佳がぶち切れた😠
由佳は立ち上がり、宮田さんの携帯を取り上げて友美さんに渡した。
すると宮田さんは「何すんだよ💢黙ってりゃいきがってよ💢お前には関係ねーだろーよ💢コノヤロウ💢」
そう言って宮田さんは由佳の髪を掴んだ。
由佳は「女に手を出すなんて上等じゃねーか💢ほら!殴れ殴れ💢」
髪を掴まれたまま挑発する由佳。
その時に、個室のふすまが突然開いた。
「シン!お前は何をやってんだ!」
いきなり怒鳴り声が聞こえた。
「…兄貴」
えっ⁉
宮田さんのお兄さん⁉
作業着を着て、背が高く坊主頭でガタイが良い男性。
「友美ちゃんから連絡が来たんだよ💢お前、その女から手を離せ💢」
「…チッ」
舌打ちと共に宮田さんは、由佳から手を離した。
由佳は乱れた髪と服を直しながら「私、友美ちゃんの先輩になります森川と言います。こちらは私と友美ちゃんの友達の中村さんです」と挨拶。
「はじめまして」
宮田さんのお兄さんと簡単にご挨拶。
「友美ちゃんから連絡を受けたんだけど、仕事が終わらず遅くなってしまいました。来てみたら…森川さん、弟が失礼しました」
そう言って頭を下げた。
「いえ、私もカッとなってきつく言ってしまいましたから💦」
由佳も頭を下げた。
宮田さんはまた黙ってしまった。
「ねぇ、ねーちゃん!宮田さんが結婚してるの知らなかったの?」
由佳がねーちゃんに話し掛けた。
「知らないよ💢結婚してるの知ってたら付き合ってないし💢」
何故かキレてる😅
ねーちゃんはタバコを出しくわえたけど「あっ…妊婦がいるから吸えないか」とタバコをしまった。
そして「あたしバカだけどさ、不倫や浮気する男が一番嫌いなんだよ💢嫁がいるのに他の女に手を出す野郎って猿以下の下手物だね💢騙しやがって💢💢💢」
ねーちゃんは口は悪いけど常識はあるらしい。
「ねーちゃん!なかなか賢いじゃない!宮田さんは既婚者で、奥さんは今妊娠中なの!もう宮田さんとは会わないって約束出来る?」
由佳の問いかけにねーちゃんは「約束も何も、既婚者だとわかった今、もう気持ちは冷めたよ、気持ち悪い男💢ねぇ、言っとくけどあたし悪くないよ、あたしから誘った訳じゃないし!みやちゃんから誘われて結構タイプだし、今彼氏いないしいっかな~って感じで付き合っただけ!もう連絡もしないし会わないし!」
そして携帯を取り出し「みんなの前で今、みやちゃんの携帯番号とアドレス削除するから見てて!」
そう言ってねーちゃんは目の前で削除ボタンを押した。
「これであたしからは連絡出来ないから」
何かこのねーちゃん…すごいな💦
竹を割った性格って、こういう事を言うのかな😅
宮田さんは、ただただ黙っている。
「ねぇ、もうあたし関係ないから帰っていい?これ以上面倒くさいのは嫌だ!」
そう言って、カバンを持って立ち上がりあっという間に帰って行った。
と思ったらまた戻って来た。
「奥さん!元気な赤ちゃん生んでね!悪かったね…」
そして帰って行った。
ねーちゃんが帰ってから、まるで嵐が去って行ったみたい。
静かな空間になっていた。
「こんにちは😄」
由佳が営業スマイルでご挨拶。
私も「先日はどうも」とご挨拶。
安田さんは「おう!待ってたぞ😄」と笑顔。
友美さんは無表情、無言のまま黙って宮田さんとねーちゃんを見ている。
「はぁ?何で?意味わかんねーし💢」
宮田さんはフリーズ状態からパニック状態になり、いきなり逆ギレ。
ねーちゃんも状況が読めないみたいで、きょとんとしている。
安田さんが「あれ?言わなかったっけ?みんなで食事しようなって…自慢の彼女をみ・ん・なに紹介してくれるんだよな?これでみ・ん・な揃ったな😁」
安田さんはみんなを強調して話す。
宮田さんは「俺は嫁が来るなんて聞いてねーし💢」と、とうとうキレてテーブルを叩いた。
その時、ねーちゃんの目がつり上がり「みやちゃんって結婚してたの⁉バツイチじゃなくて⁉どういう事💢」
どうやら、結婚していた事は隠していたらしい😅
「違う!はなちゃん!違うんだ!」
「何が違うのよ💢嫁って誰よ💢あんた⁉」
そう言って私を見て睨んだ。
「私は違います」
「じゃああんた⁉💢」
今度はそう言って友美さんを睨んだ。
友美さんは少しうつむきながら「はい」と答えた。
「妊婦?」
「…はい」
そう友美さんが答えると、ねーちゃんが黙った。
安田さんも佐田さんも黙ってその様子を見ている。
後部座席にいる友美さんをバックミラー越しに見る。
さっきまでのにこやかな友美さんから一転、うつろな目で真っ直ぐ前を見つめている。
そして、視線を下に移しお腹をさすっている。
由佳も私も友美さんも無言。
カーステレオから音楽だけが流れていた。
しばらく無言の時間が続く。
それを遮る様に由佳の携帯が鳴る。
メールらしく、忙しく親指が動く。
そして携帯を閉じて「よし、今だ!行こう!友美ちゃん!いいね!」
「はい」
友美さんは静かに答える。
車のエンジンを止めて一斉に車から降りて店内へ。
店員さんが迎えてくれる。
「待ち合わせです😄」
由佳が言うと、店員さんは「かしこまりました!」と笑顔で去った。
「友美ちゃん、行くよ!」
由佳が友美さんの肩をポンポンと叩く。
安田さんからのメールで場所はわかっているのだろう。
由佳、友美さん、私の順番で一列に並んで歩く。
革靴がいっぱい並んでいる場所の前に着いた。
一つだけ、ピンヒールがある。
ふすまで仕切られた個室。
由佳が深呼吸をして、友美さんを見て頷く。
友美さんも頷いた。
そして由佳が一気にふすまを開けた!
一斉に視線がこっちに向く。
手前に入口に背中を向けた状態で安田さんと佐田さんが座って、奥に宮田さんとねーちゃんが座っていた。
宮田さんは友美さんを見つけた瞬間、目を丸くしてそのままフリーズしてしまった。
そこは個室がある和食屋。
遅めのお昼を皆で一緒に食べようという話しになっているみたい。
既に安田さんと佐田さんは来ていた。
「お久し振りです😄」
安田さんが挨拶してくれた。
「こんにちは😄」
前に一度会っているため、さほど緊張はない。
友美さんはいない様子。
「由佳、友美さんは?」
「何かね、急用が出来たから遅れるって連絡があった」
「そっか」
先に安田さんと佐田さんが店に入る。
私と由佳と友美さんは宮田さんとねーちゃんが来てから勝手に合流予定。
何故私が来たのか聞いてみたら、ねーちゃんの顔を知ってるのは私しかいないためらしい。
一応確認で、今日連れて来る予定の人がスーパーで一緒にいた人がどうか見て欲しいと言われた。
由佳と由佳の車の中で話しながら待機していると、ギャル仕様の黒い軽自動車が駐車場に入って来た。
降りて来たのは、宮田さんとスーパーで一緒にいたねーちゃん。
「由佳!スーパーで見たのはあの人で間違いないよ!」
「オッケー」
由佳は安田さんにメールをする。
すぐに返信が来た。
腕を絡めて店に入る宮田さんとねーちゃん。
まだ友美さんは来ていない。
友美さんがいなくて良かった😅
その時に友美さんから連絡。
「これから向かいます!」
いよいよ、運命の時間が来る。
それから10分くらいで友美さんがタクシーでやって来た。
友美さんは由佳の車の後部座席に乗り込んだ。
「あっ、彩乃さん!お久し振りです😄」
「こんにちは😄」
「だいぶお腹大きいですね😄」
「友美さんも少し出て来たね😄」
「はい!お互い元気な赤ちゃん生みましょうね!」
そう言ってニコニコ笑う。
穏やかな会話もここまで。
由佳が話を切り出した。
「友美ちゃん、前にも話したんだけど旦那に女がいるみたいなの」
「はい、実は由佳さんから言われる前からそうじゃないかな?と思ってました。その時から腹は決まってますから大丈夫ですよ!私はお腹の子と2人で生きてく覚悟です。由佳さんも彩乃さんも、私のためにありがとうございます!」
涙はなかった。
母は強し…なのかな。
友美さんの気持ちを思うと気持ちがわかるだけに胸が痛い😞
私も直哉が理奈と不倫していた時は、半端じゃなく辛かった。
友美さんとも不倫だったけど…💧
うーん、複雑⤵
それから3日が経った。
今日は雨☔
雨の日は余り外に出たくないな💦
今日は買い物に行かないで家にあるもので何か作ろう😄
イモに玉ねぎ…あっ💡今日はカレーにしよう🎵
なんて思いながら冷蔵庫を開けている時に携帯が鳴る。
「もしもし~由佳!」
「彩乃!今は暇かい⁉」
「暇といえば暇だけど…」
「今日これからって時間ある⁉」
「えっ⁉これから?支度する時間をくれれば出れるけど…」
外出の予定がなかったため、ジャージで素っぴんだった。
「1時間後に迎えに行くから!」
「何かあったの⁉」
「友美ちゃんの旦那と話をするの!詳しくは後で!んじゃ~1時間後に!」
そう言って電話が切れた。
何だか良くわからないけど、どうやらこの間の事での話しみたい。
急いで支度をするけど、お腹が重くて動きが鈍い😅
軽く化粧もして、髪もそれなりに整えた。
鏡を見ていると携帯が鳴る。
「彩乃!支度出来た⁉」
「大丈夫だよ!」
「もう少しで着くから!」
「オッケー😄」
それからすぐに由佳から「着いた!」と連絡。
由佳の車に乗り込んだ。
「彩乃!いきなりごめんね💦」
「別に大丈夫だよ😄」
「実はさ、あの電話の後に安田くんに連絡したんだよね、そしたら仲間には「女がいる」って自慢していたらしくてさ、私の話を聞いた安田くんが今日「その自慢の女に会ってみたい」って言ったら「お~いいぞ💡」って言ってたらしいんだ!うちらの罠なんだけどね😠」
「という事は、宮田さんは何にも知らないであの女を連れて来るって事⁉」
「そういう事!安田くんの他に佐田さんもいる。友美ちゃんもね」
「えっ?友美さん、大丈夫なの?」
「本人にはそれとなく伝えてあるんだ😅」
「そうなんだ…」
由佳と話しているうちに、目的地に着いた。
「もしもし!由佳⁉今、電話大丈夫⁉」
「お~彩乃✨大丈夫だよ😄」
「あのさ、早速なんだけど…」
ついさっきスーパーで遭遇した出来事を由佳に報告。
「あのやろう💢」
由佳がキレた。
「友美ちゃんを裏切るなんて許せん💢💢💢彩乃!わかったよ!大丈夫!私が浮気野郎を懲らしめてやるから!」
話を聞くと、あの飲み会で一緒だった由佳と仲が良い安田さんに協力をしてもらうらしい。
「不倫は絶対許さない!彩乃の元旦那といい、友美ちゃんの旦那といい、一体何を考えてるんだ💢」
由佳が電話口で吠える。
「彩乃!報告ありがとう!実はさ、この間友美ちゃんと電話で話した時に「最近、旦那の帰りが遅くて😢」って話していたばかりなんだ!まさか…不倫とはね💢」
「そうだったんだ💦」
スーパーで一緒にいたねーちゃんはかなり派手で友美さんとは対照的。
髪は金色に近い茶髪、つけまつげにキラキラネイル。
細いけど乳はある。
かったるそうな話し方。
年齢的には20歳前後かな?
男性にはモテそうな女性だったな。
もしかしたら、夜の飲み屋系のお仕事をしている人かもしれない。
もし、飲み屋のねーちゃんだったとして、お客さんとねーちゃんというだけの関係だけなら…一万歩譲ってまだ許せるかもだけど…😅
男性って、奥さんが妊娠中に浮気する人が多いと聞いた事がある。
一部の男性なんだろうけど。
私も妊婦だけど、拓実さんはそんな様子は全くない。
もしこの事が友美さんの耳に入ったら…妊娠中だし、体調崩さなきゃいいけど😫
それからしばらく経ったある日、いつもの様に近くのスーパーに買い物に出掛けた。
「おっ?今日はサンマが安いぞ😍」
なんて思いながら、買い物カートを押していたら見た事がある人が反対側から歩いて来た。
友美さんの旦那さんだ!
という事は、友美さんがいるのかな?
と思った瞬間!
ミニスカートをはき、乳がはみ出そうな服を着た若いギャル風の女の子が「みやちゃ~ん❤」と甘ったるい声を出して友美さんの旦那さんにくっついた。
Σ(゜д゜;)
こんな顔をして見ていた私と友美さんの旦那さんと目が合った。
友美さんの旦那さんも
Σ( ̄◇ ̄*)💦
こんな顔をして私を見た。
「こ…こんにちは😅」
気まずい雰囲気の中、私が声を掛けた。
「え~と…あの…」
宮田さんの目が泳ぐ。
見ちゃいけないものを見てしまった私。
「みやちゃ~ん!この妊婦だ~れ~?」
ギャルねーちゃんが宮田さんを見る。
「あ…うん、ちょっとね💦」
そう言ってギャルねーちゃんから少し離れた。
そして「ちょっといいですか?」と私の腕を軽く引っ張り、人気がいないエリアに連れて行かれた。
「友美の友達でしたよね?」
「はい」
「友美には黙っていてもらえませんか⁉」
「うーん…無理かもしれないです」
「頼みます!」
「頼まれても…不倫はいけないですよ?友美さんのお腹に赤ちゃんがいるんですよね?…てか、まだ結婚してそんなに経ってないですよね⁉友美さん可哀想💢」
「…」
黙る宮田さん。
「言うか言わないかは私が決めます。不倫はいけません。そういう人は庇えません💢」
丁寧な話し方ではあるけど、かなり強い口調で話した。
宮田さんは諦めたのか、私から離れて買い物をやめてさっさと店を出て行った。
一緒にいたねーちゃんが「待ってよ~」と言いながら追いかけて行く。
不倫は絶対許さない💢
直哉の時で思い知らされた。
不倫する人の気持ちが理解出来ないし、される側の気持ちなんてわかんないんだろうな。
友美さん…知っているのかな💦
由佳に相談した方がいいよね。
買い物カートに入れた椎茸とサンマだけを買い、急いでアパートに帰った。
何かのんびり買い物している気分ではなかった。
そして椎茸とサンマを冷蔵庫に無造作に突っ込み、由佳に電話を掛けた。
それからは穏やかで平和な日々✨
「普通」がこんなにも幸せなんて😆
妊婦検診も手術後の経過も問題なく順調!
後は、出産を待つだけ😄
そんなある日、由佳が休みで「一緒にランチに行かない⁉」と誘われて快諾、由佳が車で迎えに来てくれた。
だいぶお腹も大きくなっていたため、何となく窮屈に感じる。
由佳が「この間、会社の人から割引券もらったところがあってさ🎵ランチ半額なんだって😆」
「お~✨いいねぇ😆」
そこはランチバイキングのお店。
まだオープンして間もなくのお店で、オーガニック料理がメイン。
お腹の赤ちゃんにも良さそう✨
やはりオープン直後という事もあり、店内は賑わっていた。
ドリンクも選べる。
見ても食べても満足❤
久し振りに由佳とゆっくり色んな話をする。
由佳が「前にさ、私に言い寄って来た取引先の気持ち悪いおっさんがいるって話ししたっしょ⁉あのおっさん、私以外にもセクハラしてて訴えられたらしいんだ!最近見ないから牢屋に連れて行かれたかな…女をなめるから罰だよ罰!」
「セクハラこそ苦痛なものはないよね💦」
「ホントさ😠だから今は平和に過ごしてる😄🎵」
渡辺さんの事も聞いてみた。
「あぁ…渡辺さん⁉いい人だな~って思ってたんだけど、ご飯食べ終わってから「森川さんっていい乳してますよね」なんて言われたらさぁ~、普通は体目的なのって思わない⁉そんなに軽い女じゃないし💢」
「そうだよね😅」
「私は多分、一生独身の様な気がする😢この性格じゃなぁ💧はっきり言っちゃうから、いつかは誰かに刺されるんじゃないかな😅私、ごますりや持ち上げる事が出来ないし、思った事ははっきり言っちゃうし、敵は多いだろうな💧」
「私はそんな由佳が大好きだよ!たくましくて😁」
「たくましい!何よりの褒め言葉❤電球だって、タイヤだって一人で交換出来るし、米だって一人で持てる😁一人でも生きていく自信あるから、もうこの際彼氏は作らず一人でたくましく生きる!最近はなよなよした男子が多すぎ!男らしいって言葉が私語になりそう😁」
そう言って笑っている。
「でも、たまにふと寂しいと思う時があるんだよね、年も年だし、親は「早く嫁に行け」ってうるさいし😫難しいな⤵」
揺れる女心。
由佳の近状が聞けて良かった😄
その後、ショッピングセンターに行き、雑貨屋さんや洋服を見る。
どうしても赤ちゃん用品店が気になり、由佳と一緒に色々見て歩く。
由佳と楽しい時間を過ごした。
「うん、結果から言うと久保さんからのストーカー行為はなくなるよ😄」
「というのは⁉」
「うん、何かね俺が警察に届け出したから警察が久保さんに警告してくれるんだって!警告に従わなければ今度は禁止命令が出て、それでも今回みたいな事があれば懲役か100万くらい罰金を払うらしいよ!さすがの久保さんも刑務所は嫌でしょ💦」
「じゃあ、もう大丈夫って事だよね⁉」
「そう✌」
「良かったぁ😆」
とりあえず、久保さんからは解放されそう😄
由佳は「良かったじゃん!これで安心して赤ちゃん生めるね!」と私のお腹をさすり「早くおばちゃんに顔見せてね❤」と話し掛ける。
それからしばらく由佳と拓実さんと3人で話していた。
そして由佳が「彩乃も退院直後で疲れてるだろうし、拓実さんもお疲れだろうから私帰るね!」とソファーから立ち上がる。
拓実さんが「森川さん!わざわざ来てもらってありがとう!良かったら…飲んで!」
冷蔵庫から缶ビール6缶パックを買い物袋に入れて由佳に渡した。
「気を使わなくていいのに💦でも…有難くもらってくかな😁じゃあまた!」
由佳はそう言って帰って行った。
ふと時計を見ると、もう夜中の1時。
由佳、明日も仕事なのに…遅くまでごめん😫
でも、これで心身共に穏やかな日が過ごせるかな?
拓実さんもお疲れ様。
ぐっすり眠っている拓実さん。
久し振りに拓実さんの隣で眠る。
私に背中を向けて爆睡中の拓実さん。
拓実さんは布団に入る時は季節関係なくパンツ一枚で寝る。
そんな拓実さんの背中を見る。
何か安心する😄
腰まで下がっていた掛け布団を肩まで引き上げる。
その時、拓実さんは寝返りをして私の方を向いた。
いつもありがとう!
拓実さんの寝顔を見ながら私も眠りについた。
「彩乃!大丈夫⁉」
由佳がコンビニの袋をぶら下げて来てくれた。
袋から飲み物とお菓子を取り出し「良かったら~😄」と言って、スナック菓子の袋を開けた。
私はお菓子を頂きながら、久保さんの話をした。
由佳もお菓子を食べながら聞いてくれた。
そして「拓実さん、恐ろしい人に好かれちゃったね💦話を聞いているだけで怖いわ😱」と苦笑。
由佳と話していると気が紛れる。
由佳はそんな私の気持ちを察したのか「彩乃!大丈夫だよ😄拓実さんは何にも悪くないんだし、後は警察がきちんとしてくれるから!」
「うん…そうだね」
「大丈夫!そんな顔してると、お腹の赤ちゃんも不安になっちゃうぞ!彩乃ママ!頑張って😄」
「由佳、ありがとう!」
「あっ!そうだ!あのさ、友美ちゃんもママになるんだよ!」
「えっ?そうなんだ!」
「この間、うちの近くのスーパーでばったり会ってさ~旦那さんもいて、ちょっと話してたんだ😄まだお腹は目立ってはなかったけどママの顔だったよ!いいなぁ~みんなママになって…私も赤ちゃん欲しい~!」
そう言って笑っている。
その時に、拓実さんが帰って来た。
「おっ?森川さん、来てたんだ😄」
「彩乃からご指名を頂きお邪魔してます😄」
「ようこそ😁さっきから彩乃ちゃんに電話しても繋がらなかったから、どうかしたか?と思って慌てて帰って来たんだよ💦」
そう言われて、慌てて携帯を取り出す。
あっ😅
由佳に電話した時に、何かの拍子でマナーモードのボタンを押してしまっていたらしい💦
着信3件になっていた。
「ごめん💦マナーモードになってた😅」
「そうでしょ😞」
「ところで…どうだったの⁉」
私は拓実さんに問い掛けた。
「あの人の事でね、私達が呼ばれたのはこれで3回目になるんだよ」
え~っ⁉
「あの女性、ストーカーの常習犯なんだよね、あなた達が今回の事で被害届を出したら女性を警察に連れて行くけどどうする?」
「…お願いします」
拓実さんが答える。
「わかりました。ではあなたも一緒に警察に行きましょうか」
「わかりました」
拓実さんは支度をする。
「彩乃ちゃんは退院してすぐで大変だから、家で休んでて!すぐに帰って来るから!」
拓実さんはそう言って警察官と共に出て行った。
私は玄関から、パトカーに乗り込む拓実さんを見送る。
住宅街にパトカーが停まり、しかも警察官と一緒にパトカーに乗り込む拓実さん。
何人かが、野次馬で見ていた。
まるで拓実さんを犯罪者の様に見ている。
また隣の住人が玄関からその様子を見ている。
そして「お宅のご主人、何かやらかしたの⁉」と興味丸出しで聞いて来た。
「何でもありません」
私はそう言って部屋に戻った。
はぁ…
ソファーに座り、ため息をついた。
由佳、仕事終わったかな。
カバンから携帯を取り出し由佳に電話をする。
「もしも~し😄」
いつもの由佳の声。
「もしもし、由佳~!仕事終わった?」
「うん、今ちょうど家に着いたところ!退院したの⁉」
「うん、今日無事に退院したよ!ねぇ由佳…いきなりで申し訳ないけど、これからうちに来れる⁉」
「えっ?あ…うん、行けるけど…何かあったの?」
「うん…」
簡単に事情を説明。
「わかった、着替えたらすぐに行くから待ってて!」
1人で部屋にいるのが怖かった。
誰かに一緒にいて欲しかった。
由佳には申し訳ないけど…
15分後、由佳が来てくれた。
ドンドン!
今度は、玄関のドアを叩く音が聞こえた。
「警察です!」
その声で、拓実さんは慌てて玄関を開ける。
警察官4人、うち女性警察官が1人。
右隣の住人がちょっとした騒ぎに、玄関から顔を出している。
拓実さんと目が合うと、住人は顔を引っ込めた。
「ちょっとお話し聞きますね」
40代くらいの警察官と若い警察官がうちに入って来た。
私と拓実さんの名前や生年月日、職場等を聞かれた。
その間に女性警察官ともう1人の警察官が、久保さんをパトカーに連れて行った。
警察官に久保さんのストーカー行為について話をする。
証拠として、さっきまで拓実さんに掛かって来た着信履歴と前にポストに投函された茶封筒の手紙を見せた。
若い警察官が手紙を読む。
40代くらいの警察官が、色々聞いて来た。
悪い事をした覚えは全くないけど、警察ってどうも緊張してしまう😅
過去に一度だけ、速度超過で警察にお世話になった。
その時はトイレに行きたくて、目の前のコンビニしか目に入らず、その手前で取り締まりをやっていたのが見えなかった。
その時「すみません、逃げも隠れもしませんから、先にトイレに行かせて下さい!」と涙ながらに懇願。
警察官に苦笑いされたものの、ダッシュでトイレに。
すっきりしたところで「どうして速度超過したのですか?」と聞かれて「トイレに行きたくて😅」と素直に答えた。
「気持ちはわかるけど、だからと言って超過はダメだよ」と優しく諭されながら切符を切られた。
警察官にお世話になるのはそれ以来だなぁ。
そんな事を思いながら、拓実さんと警察官の話を聞く。
すると、警察官が驚く事を言った。
アパートに帰り、ほっと一息。
その時、拓実さんの携帯が鳴る。
「誰だろ…仕事かな?」
どうやら知らない番号らしい。
「はい、もしもし中村です!」
「…はい?そうですけど…えっ?久保さん⁉」
私は、その声に反応し拓実さんを見た。
「うん…そうだけど…はっ?何で知ってんの⁉いや…つうか行かないし」
「だから、俺は久保さんとは関係ないから迷惑💢」
「はぁ?無理だし💢」
「いい加減にしてもらえないか?切るぞ💢」
段々と口調がきつくなる拓実さん。
顔つきも変わって来た。
電話を切っても、また掛かって来た。
何回も何回も…。
拓実さんは「うるさい💢」と携帯をサイレントに切り替えた。
すると今度は、家の電話が鳴る。
私が出ると無言でガチャ切り。
拓実さんが出ると何やら話すらしく、拓実さんはとうとう切れて電話線を引き抜いてしまった。
すると今度は、家のチャイムが鳴る。
覗き穴から覗くと、久保さんが無表情のまま何かのリズムをとっているかの様に一定の間隔でチャイムを鳴らす。
ピンポーン…ピンポーン…
居留守のまま1分が経過。
ピンポーン…
鳴り止まないチャイム。
ピンポーン…ピンポーン…
2分が経過。
「彩乃ちゃん、警察を呼ぼう!」
そう言って拓実さんは110番をした。
まだ鳴り止まないチャイム。
頭が痛くなって来た。
しかし、チャイムの音に耳が慣れて来たのか、最初よりうるさくはなくなった。
はぁ…
ため息しか出て来ない。
ピンポーン…
……
チャイムが鳴り止んだ。
「お父さんもお母さんも支度するけど、彩乃はゆっくり休んでなさいね」
「ありがとう」
お父さんは外に一服しに行った後に仕事着に着替えて厨房に入った。
お母さんは、釣銭を作りに銀行に向かう。
私は…何してようかな?
久し振りにパソコンでも開くかな😄
その時にお父さんから「彩乃!予約表を作り直してくれ!」と注文が入る。
「わかったよ~」
私は予約表を作り直してプリントアウト。
すぐ終わってしまい、また暇になった。
うーん、暇だけど…たまにはいっかぁ❤
居間でテレビを見ながらゴロゴロ。
そのうちに眠ってしまった。
お母さんが爆睡してる私に、タオルケットを掛けてくれた。
携帯が鳴る。
拓実さんだった。
時間を見るともう夜7時近い。
店は開いている時間。
賑やかな音が聞こえる。
「もしもし」
「彩乃ちゃん!寝てた?」
「うん😅」
「そうでしょ😁今、仕事終わったんだ~これから迎えに行くから!」
「わかったよ!」
私は少し寝惚けながら、帰る支度をする。
店を覗く。
ちょうどお母さんがいたため「拓実さんが仕事終わったみたいだから帰るね😄」と声を掛ける。
「わかったわよ!気をつけてね😄」
「ありがとう」
拓実さんが迎えに来た。
ゆっくり車に乗る。
そのまま真っ直ぐに拓実さんの実家に向かう。
龍輝くんと小春ちゃんが玄関まで走って来た。
「お母さん!退院おめでとう!」
2人同時に言ってくれた。
「ありがとう😄」
「今日はね、お母さんが退院するからごちそうなんだよ!お母さんが好きなケーキもあるんだよ!」
「ありがとう!」
居間に行くと、まるでおせち料理の様なごちそうが並んでいた。
「彩乃ちゃん!退院おめでとう😄」
両親から退院祝いを頂いた。
「何かこんなにしてもらって…すみません💦」
「無事に退院出来て、私達も嬉しいのよ😄さっ!早速頂きましょ🎵」
早速、ごちそうを頂く。
龍輝くんも小春ちゃんも、美味そうにごちそうを食べる。
何か…幸せだな💕
こうしてみんなで美味しいごちそうを囲んで、みんなに退院を祝ってくれて。
楽しい時間は、あっという間に過ぎ帰る時間になる。
小春ちゃんはもう眠たいのか、目をこすっている。
「お母さん帰るね、今日はどうもありがとう😄」
「お母さんバイバイ」
龍輝くんはまだ元気。
両親にもお礼を言い、拓実さんの実家を後にした。
いよいよ退院。
仲良くなった同室の山本さんともお別れ。
「中村さん😄退院おめでとう!私も明後日退院が決まったの😄大変だと思うけど…早く解決出来るといいね!」
「ありがとうございます😄」
お父さんとお母さんが迎えに来てくれた。
拓実さんは朝一番に「ちょうど退院の時間は会議があって…抜け出せそうもない😢」というメールが来ていた。
仕事なら仕方ない。
お母さんは退院手続きのため、少し席を外した。
お父さんが「荷物はこれだけか?忘れ物はないか?」と周りの扉や引き出しを開けていた。
お父さんが山本さんに「娘がお世話になりました」と挨拶。
「いえ💦こちらこそ😄」
山本さんも笑顔で挨拶してくれた。
退院手続きも終わり、久し振りに我が家のアパートに帰って来た。
ちょうどお昼になった時に拓実さんから電話。
「彩乃ちゃん!会議で迎えに行けなくてごめん😫もう退院出来た⁉」
「うん!お父さんとお母さんに迎えに来てもらって、今アパートに帰って来たの😄」
「そっか😄今、これからうちに帰るから!」
「わかったよ!」
「彩乃、拓実さん帰って来るのか?」
お父さんが入院の時に持って行った荷物を居間に置きながら話し掛けて来た。
「そうみたい」
「じゃあ、お昼は皆で寿司でも食べるか!おい、恵美子!寿司でいいか?」
お母さんは「あら😄お寿司いいわね😄彩乃の退院祝いね」
そう言って、お母さんが電話帳を開き宅配寿司に電話をする。
程なくして、拓実さんが帰宅。
「あっ、お父さんお母さん!お迎えすみませんでした💦」
拓実さんが申し訳なさそうに話す。
「いいのよ😄拓実さんもお仕事ご苦労様😄お昼お寿司をとったのよ!一緒に食べましょ!」
「ありがとうございます!」
拓実さんは、少しネクタイをゆるめながらソファーに腰掛けた。
お父さんと拓実さんも、普通に談笑している。
という事はお父さん、久保さんの件は理解してくれたのかな?
お寿司が届いた。
お母さんが「彩乃!退院おめでとう!あとは出産までゆっくりね😄」と言ってくれた。
久し振りのお寿司はうまい❤
4人で談笑しながらの楽しいお昼になった。
夜は、中村家での退院祝い。
今日1日で一気に太りそう😱
お父さんとお母さんは居酒屋の仕事、拓実さんも仕事に戻らなきゃならないという事でお開きに。
退院直後でもし万が一何かあったら困る、という事で拓実さんが帰るまで実家に行く事にした。
お母さんが売店で買って来たお茶をくれた。
「拓実さんも良かったら」
「すみません💦ありがとうございます」
「早速なんだけど、こんな手紙が届いたんだけど…」
「あっ、さっき読みました」
「どういう事かしら?彩乃からもストーカーというのは聞いたけど、拓実さんからもきちんと話を聞きたくて」
「はい…」
拓実さんは、久保さんの話をする。
私は拓実さんの隣で話を聞く。
私と同じ内容の話で、お母さんは「話はわかりました。拓実さん、お聞きしますが彩乃とは別れるつもりはないのね?」
「誓ってありません!」
「わかりました。しつこい様だけど、この手紙の内容は事実ではないのね?」
「はい!全くの嘘です!」
「…拓実さんを信じます。お父さんにも伝えておきます」
「ありがとうございます」
「じゃあ彩乃、お母さんは帰るから…明日退院だよね?明日また来るから」
「うん、わかった」
そう言ってお母さんは帰って行った。
拓実さんは「あ~もう😫」と言いながら、髪を両手でグシャグシャにした。
「もう久保さんをこのままにしておく訳にいかない💢出るところに出ようか」
「出るところって?」
「警察だよ、ストーカー法ってやつで捕まえてもらうんだよ、そしたら久保さんも懲りるんじゃないか?」
「そうだね…」
私が退院したら、一緒に警察に相談をしに行く事にした。
「彩乃!」
その声で目が覚めた。
お母さんだった。
「体調はどう?」
「うん😄だいぶいいよ!」
「そう…ところで拓実さんはまだ仕事かい?」
「うん、多分…」
「彩乃、今朝うちの店の扉にこれが挟まっていたんだけど、どういう事かしら?」
お母さんは封筒を持っていた。
見た事がある茶封筒。
「中村拓実さんはお宅の娘さん以外に本命の女がいます。拓実さんは離婚も考えています。お宅の娘さんが拓実さんと別れてくれずに拓実さんは悩んでいます。今娘さんは入院中みたいですが、退院したら本命の女と結婚するため離婚するそうですからご了承下さい」
わお😲
久保さん、とうとううちの実家にまで手紙を書いたのか😱
「拓実さん、浮気しているの⁉お父さんはこの手紙を読んで激怒していたけど…」
「あのね、実はね…」
私はお母さんに、久保さんの事を話した。
お母さんは黙って話を聞いていた。
そして「拓実さん、うちの仕事も嫌な顔一つしないで手伝ってくれて、彩乃はとてもいい人に嫁いでくれたってお父さんと話していた時にこの手紙が来たから驚いたのよ。まさか…ってね。拓実さんからもきちんと話をして欲しいのよ。今日来るかしら?」
「いつも、もう少ししたら来てくれるけど…」
「そう、来るまで待たせてもらおうかしら」
「店は?」
「今日はお母さんが戻るまで陽子ちゃんが手伝ってくれているのよ」
陽子ちゃんとは、お父さんの一番下の妹。
たまに手伝いに来てくれる。
お父さんも実妹なら安心だろう。
お母さんが「ちょっとお茶でも買ってくるわね」と、下の売店に行った。
そして、入れ替わりで拓実さんが来た。
「拓実さん、久保さんうちの実家にこんな手紙を…」
そう言って、お母さんが持って来た手紙を見せる。
拓実さんは「…彩乃ちゃんの家にもか💢実はうちの実家にも同じ様な内容の手紙が来たんだよ💢それでお袋が怒って電話をかけて来たんだ😫」
その時に、お母さんが戻って来た。
「拓実さん⁉ちょっと話が…」
お母さんは談話室を指指した。
私も拓実さんと一緒に談話室に向かう。
病室に戻ると、山本さんが心配そうに「さっき彼女、にやけながら鉢植え取りに来ていたけど…」と話して来た。
「すみません😅何かご迷惑おかけして💦」
「いいのよ😄でも、話を聞いていたらかなり手強そうね😅」
「そうなんです😞」
「ストーカーって基本的に自己中心的な人が多いって聞くわ💦私がこんなに愛しているんだから、相手も愛してくれて当たり前、でも相手が自分に興味を示してくれないと「どうしてわかってくれないの?」って間違えた方向に行ってしまうって良く聞くけど…何でも都合良くとらえてしまうのね😅」
まさにその通りかも💧
「何か解決方法ないですかね?」
「うーん😞相手を納得させる事だよね?」
山本さんと色々考えたけど結局解決方法はわからず⤵
「ごめんね、力になれなくて」
「とんでもない!色々ありがとうございます😄」
その時に、山本さんの娘さんがお見舞いに来たため、話しは終わった。
山本さん、色々ありがとう!
心配かけてごめんなさい😫
久保さん。
どうやったらわかってもらえるのだろうか?
うーん…💧
わかってもらうのは無理かな😅
じゃあ、どうしたらいい?
久保さんって、もしかしたら男性とお付き合いした事がないのかな。
想像や夢と現実の区別がつかなくなっているみたいだけど…。
色々考えていたら、久し振りに頭を使ったからか睡魔に襲われ、いつの間にか眠ってしまった💤
先に拓実さんと久保さんが病室を出る。
「山本さん、ご迷惑をかけてすみません💦」
「いや、全然構わないんだけど…何か大変ね😅」
「すみません😞」
「余計なお世話なんだけど…ここの心療内科の先生、すごくいいって聞いた事あるわよ!彼女…一度診てもらった方がいいかもね😅」
「そうですよね😅」
山本さんに迷惑かけちゃったな💦
遅れて談話室に向かう。
拓実さんと久保さんは、テーブルを挟み向かい合わせに座っていた。
「久保さん、前に言ったよね?俺は久保さんに全く興味もなければ、どうでもいいって。こういう事をされるのも迷惑だったね」
強めの口調で拓実さんはゆっくり話す。
「それは同じ会社だったからですよね?」
「会社が一緒でも違っても同じ!久保さん!もう本当に勘弁して欲しい!」
「言ってる意味がわかりません😄私はこんなに愛されて幸せ者ですね😆照れなくてもいいんですよ!可愛いなぁ❤」
日本語が通じなくなってる😱
それか、かなりのポジティブ思考⁉
「あっ🎵今日、親に結婚したい人がいるからって伝えてあるのでうちに行きましょ!うちの親、すごい喜んでくれてました😄」
はぁ…
拓実さんは大きなため息をついた。
どうやら、何を話しても無駄だと思ったみたい。
その時に拓実さんの携帯が鳴る。
どうやら仕事の電話の様子。
「俺、仕事に戻らなきゃならないから…久保さん、頼むから鉢植え持って今すぐ帰ってくれないか?」
「拓実さんがそう言うならそうします😄」
久保さんは、あっという間に談話室からいなくなり、病室の鉢植えを持っていなくなった。
「拓実さん!一緒に帰りましょ🎵今日は拓実さんが大好きなハンバーグなんですよ😄」
「えっ⁉いや…俺、今仕事中だし、ハンバーグは別に特別好きでもないし…久保さん、前の時でわかってもらえたんじゃないの⁉」
「何の事ですか?さっ!拓実さん!一緒に帰りましょ🎵」
「久保さん!」
拓実さんは久保さんを怒る。
「怒った顔も素敵です😍」
おいおい💧
更にパワーアップしてしまったじゃないか😱
「あの、久保さん…」
「拓実さん!何ですか⁉」
「これ以上つきまとうなら警察呼ぼうか?」
「警察⁉私、何にも悪い事してないですよ?」
「…じゃあ、病院に掛かろうか?」
「かかってますよ?やだ~拓実さん!どうして病院にかかってるの知ってるんですか⁉やっぱり拓実さんは私を見てくれているんですね😍」
「久保さん…」
「よしえって呼んで下さい!久保さんなんて他人行儀な呼び方は嫌です!」
「えっ…?つうか他人だし💧」
「今は他人ですけど、近いうち身内になるじゃないですか!言ってくれましたよね?奥さんと離婚して必ず迎えに行くからって!」
「はぁ?いつ⁉」
「この間です😄」
良くわからないけど、もしかしたら夢と現実の区別がつかなくなっているのかも😅
同室の山本さんが、こっちを苦笑しながら見ている。
山本さんが聞いていても、明らかに久保さんの言動が理解出来なかったんだろう。
山本さんと目が合う。
山本さんは苦笑しながら首を左右に振った。
「久保さん、まずあっちの談話室に行こうか?」
私が斜め向かいにある談話室を指さした。
久保さんは素直に応じた。
拓実さんの両親と子供達も帰り、トイレに行こうとベッドから降りようとした時に「中村彩乃さん」とフルネームで名前を呼ばれた。
そっちを見ると…何と久保さんがいた。
「やっと病室見つけました」
そう言って、ベッド脇の棚に「これどうぞ」と鉢植えの花を置いた。
ははは…鉢植えね😅
もっと入院してなさいって意味なのね💦
「明日退院なんですよ」
「別に退院しなくても、病院でゆっくりしていて下さいよ、そうそう奥さんが入院中、拓実さんは私のうちにいますよ」
はぁ?
「奥さんがいなくて寂しいみたいで、私が拓実さんを癒してあげてますから安心して入院していて下さい」
妄想癖があるのかな😅
「久保さん、悪いんですけど私トイレに行きたいんですよ…」
「それが何か?」
「いや、だから…鉢植え持って帰って下さい」
「いつ帰ろうが私の自由です。指図される覚えはありません。トイレに行きたきゃ勝手にどうぞ」
「…」
私は黙ってトイレに向かう。
私はトイレで拓実さんにメール。
「今、久保さんが鉢植え持って病室に来ていて、私がいなくても久保さんが拓実さんを癒してあげてますからって言われて困ってるの😫」
すぐに拓実さんから返信。
「これから行くから!」
病室に戻ると、久保さんは勝手に冷蔵庫の上の引き出しを開けていた。
「何してるんですか?」
「いえ別に…」
そう言って引き出しをしまった。
私は引き出しを開ける。
たいしたものは入ってないし、財布も小銭入れしか持って来てないから、仮に盗まれても被害は少ないけど…後はティッシュとかしか入ってないから特に何も被害はないみたい。
「…」
無言の2人。
一体、何しに来たのだろう😅
しばらく無言のまま。
その時に拓実さんが来た。
「久保さん!何してんの⁉」
すると久保さんはパァーと顔が笑顔になり「やっぱりここに来たら会えると思ってました!」と立ち上がった。
「鉢植えって…これ何?」
「私から奥さんへの気持ちです😄」
「悪いんですけど、持って帰って」
「拓実さん!あの時でわかったんです!拓実さんには積極的にいかなきゃダメなんだなって!今は同じ職場じゃないし自由ですもんね😄」
あちゃ~😫
また問題勃発か😱
経過も順調で、明日退院になった。
拓実さんの両親と一緒に龍輝くんと小春ちゃんもお見舞いに来てくれた。
「本当はもう少し早くお見舞いに来たかったんだけど、龍輝が風邪をひいてしまってね💦風邪が移ると大変だと思って控えさせてもらってたの…ごめんなさいね😞」
龍輝くんはマスクをしていた。
「お母さん、お腹切ったの?痛くないの?大丈夫⁉」
龍輝くんが心配そうに話して来た。
「もう大丈夫だよ!明日退院して、おうちに帰れるんだよ!」
「本当⁉赤ちゃんも大丈夫なの⁉」
「大丈夫だよ😄早く風邪治そうね😄」
「うん…マスク苦しいよ😫」
「お母さん、パパは来ないの⁉」
今度は小春ちゃんが話して来た。
「パパはお仕事だから、夜に来るよ😄」
「この間、パパうちに来てご飯一緒に食べたよ😄」
「そっか😄」
「早く切ったところ治してね」
「うん😄ありがとう!」
久し振りに会う子供達。
下の売店に行きたいと騒ぎ出し、じいじが売店まで一緒に行く事に。
「彩乃ちゃん、傷口はもう大丈夫なのかしら?手術大変だったわね💦これ、良かったら食べて!あっ💦もう食べれたかしら⁉」
「すみません💦大丈夫です💦ごちそうさまです!」
ケーキ屋のプリンとロールケーキを頂いた。
「拓実から手術の話しは聞いたけど…麻酔がなかなか効かなくて大変だったみたいで…」
「そうなんです😅」
「でも、無事に手術が終わって安心したわ😄今度は出産ね」
「はい😄」
話していると売店から戻った2人が、買ってもらったものを自慢してきた😁
「このお菓子買ってもらった!」
「小春はこれ!」
「良かったね😄いっぺんに食べたらダメだよ!」
「はぁーい!」
2人揃って返事をする。
「彩乃ちゃん、長居も疲れてしまうでしょ💦私達は帰るから、明日退院したらうちで退院祝いやりましょ😄龍!小春!帰るよ!」
「お母さん!バイバイ😄✋➰」
買ってもらったお菓子をぶら下げて、元気に手を振って帰って行った。
「久保さんに会ったって⁉」
拓実さんは早速話を切り出した。
「そうなの、一階で会って満面の笑顔で「手術失敗して死ねば良かったのに」って言われた😫」
「…怖いな」
「また何かある前兆かな」
「俺がいるから大丈夫!彩乃ちゃんは自分の体と赤ちゃんの事だけ考えていればいいよ😄」
「うん…」
もう久保さんの事は終わったと思っていたのに😣
「あっ!そうそう、結婚式で森川さんを口説いてた渡辺いるじゃん⁉ソッコー振られたらしいよ😁」
「え~⁉そうなの⁉」
「あれから一度だけデートしたらしいんだ!その時に渡辺が「森川さんって、いい乳してますよね」って言ったら「乳目当てかい💢」って言われて振られたんだって(笑)」
あはは(笑)
由佳らしい😁
確かに由佳は乳あるし、形もいいしな😄
他にも拓実さんから面白い話を聞く。
きっと久保さんの事を少しでも忘れさせてくれているんだろうな。
話を聞いて心が和む。
「中村さ~ん!体温はかりますね😄」
検温の時間。
看護師さんが体温計と血圧計を持って来た。
「経過も順調ですから、もうすぐ退院出来そうですね😄」
「ありがとうございます😄」
もう少しで退院か😄
いつの間にか、久保さんの事は頭の片隅に追いやられた。
抜糸は痛かったけど無事に終わり、後は回復を待って退院するだけ😄
ゆっくりだけど歩ける様にもなり、売店をうろつく元気も出て来た。
その日も、暇潰しで遊んでみようとイラストロジックの本を買いに売店に行く。
本と一緒に飲み物も買い、病室に戻ろうとエレベーターに向かう途中、誰かが私を見ている気がして視線の方向に顔を向ける。
何とそこには久保さんがいた。
「…こんにちは😅」
「こんにちは」
無表情で返事をする久保さん。
「入院しているんですね」
「そうです」
「手術したんですか?」
「しました」
すると、それまで無表情だった久保さんが突然ニッコリ笑い「手術が失敗して死ねば良かったのに」とサラリと言った。
笑顔のまま、久保さんは人混みに紛れて消えて行った。
…怖かった😫
病院だから万が一何かあっても心強いけど…
でもどうしてこの病院に?
総合病院だから、いてもおかしくはないけど…
病室に帰り、早速拓実さんにメール。
「今、下の売店に行った帰りにばったり久保さんに会って…ちょっと怖かった😫」
すぐに拓実さんから返信。
「マジか😱今日、仕事が終わったら真っ直ぐ病院に行くから、その時に話を聞くよ👂余りチョロチョロしない様に😅」
「はい😞」
久保さんのあの笑顔は、一瞬背筋にサーっと寒気が走った。
拓実さんに言われた通りにおとなしく病室にいよう😅
病室は4人部屋だけど、2人しかいない。
40代前半と思われる山本さんという方が同室。
子宮筋腫の摘出のために入院しているらしく、制服を来たままお見舞いに来る高校生と中学生の娘さんが2人いる。
娘さんが持って来てくれる雑誌を「良かったら暇潰しにどうですか?」と持って来てくれてから、ちょこちょこ話をする様になった。
山本さんのベッドをチラっと覗くと、山本さんはお休みの様子。
静かにしなきゃ💦
久保さんの笑顔を忘れる様に、買って来たイラストロジックをもくもくやる私。
その時、拓実さんが病室に来てくれた。
その日の夜中は傷口が病んで病んで眠れず😞
痛み止めも赤ちゃんがいるから1日2回までと限られているため、痛くても我慢しないといけない😫
痛いから息も荒くなる。
「うぅ…痛いよ😢」
ダメだ💧
我慢の限界😫
ナースコールを押し、看護師さん登場。
「痛くて眠れないんです」
「痛み止め打ちますね」
腕に筋肉注射をされる。
「ちょっと痛いですよ」と言われたけど、切ったところの方が痛いから全然大丈夫!
痛み止めが効き始め、ウトウトしはじめたのはもう朝方だった。
お母さんと拓実さんは、ほぼ毎日来てくれた。
お父さんは仕込みの都合で毎日ではなかったけど、合間を見ては来てくれた。
だいぶ傷口の痛みも落ち着いた時に、仕事帰りに由佳が来てくれた。
「傷口の痛みは落ち着いた?」
「うん😄明日抜糸なんだ!何とか起き上がれる様にはなったけど、傷口がパカッと開きそうで踏ん張れない😅」
「わかるっ!無理はしちゃダメだよ💦」
由佳は高校生の時に盲腸炎を患い、開腹手術をしている。
由佳もその時に同じ事を思ったらしい。
久し振りに由佳とゆっくり話をする。
その時に拓実さんが来た。
「森川さん!こんばんは😄」
「お邪魔してます😄」
「彩乃ちゃん、体調はどう?」
「うん、だいぶ良くなって来たよ😄」
「そっか😄良かった😄あっ!ちょっと飲み物買ってくるから!」
そう言って拓実さんは病室を出て言った。
由佳が「私、そろそろ帰るかな?ちょっと長居し過ぎたね😅また来るから!」
そう言って帰って行った。
入れ替わりで拓実さんが戻る。
「あれ?帰っちゃったの⁉せっかくお茶買ってきたのに…」
拓実さんの手には、ペットボトルのお茶が3本。
いつも優しい拓実さん。
仕事もして、実家の居酒屋手伝って、病院にも来てくれて…疲れてるはずなのに余り疲れを見せない。
拓実さん、無理しないでね。
疲れた時は、ゆっくり休んでね💦
意識が戻ると、病室のベッドの上だった。
「あぁ…手術終わったんだ」
点滴と酸素マスク、おしっこの管がつけられていた。
「彩乃⁉」
お母さんが目覚めた私に気がついた。
「お母さん…」
無事に手術が終わった安堵感で涙が出てきた。
「彩乃、頑張ったね😄」
お母さんは笑顔で、頭を撫でてくれた。
お父さんも心配そうに私を覗きこむ。
「だちょうの卵くらいの大きさの腫瘍だったよ」
うーん💧
だちょうの卵って見た事がないから大きさはよくわかんないけど、にわとりの卵よりは大きそうだ。
私は意識が飛んでいたため見てはいないけど、先生が手術後に摘出した腫瘍を見せてくれたらしい。
ゆで卵みたいに白くて丸かったらしい。
あれ?そういえば拓実さんがいない。
「お母さん、拓実さんは?」
「向こうのご両親に報告して来ますって言って出て言ったわよ😄」
拓実さんの両親も子供達がいるから病院には行けないけど、無事に手術が終わる事を願ってるからね!と言ってくれた。
拓実さんはきっと、無事に手術が終わったと伝えてくれているんだろう。
切ったところが痛いし、突っ張る感じがする。
しばらくして、看護師さんが来た。
「中村さん😄頑張りましたね!」
「ありがとうございます」
「ちょっと赤ちゃんの心音を聞かせて下さいね」
そう言って機械を私のお腹にくっつけた。
かすかに赤ちゃんの心音が聞こえる。
この子も手術を乗り越えてくれたんだ!
この子がいなかったら、もしかしたら腫瘍も見つからなかったかも💦
赤ちゃんも頑張ったね!
ありがとう✨
いよいよ、手術のために入院する事になった。
不安でいっぱいの私に、拓実さんや由佳、両親からも励ましてもらう。
由佳は手術前日に病院まで来てくれた。
「不安な気持ちはわかるけど大丈夫!彩乃もお腹の赤ちゃんも絶対頑張れる!!無事に手術が終わるのを願っているから!」
由佳にそう言ってもらえると、力がわいてきた😄
拓実さんは明日、仕事を休んでくれたみたい。
「中嶋さんも心配していたよ、休みが欲しいとお願いしたら、すぐくれた😄手術頑張れ!彩乃ちゃんなら大丈夫だ!ってエールをくれたよ!」と言っていた。
ありがとう!中嶋さん!
私もお腹の赤ちゃんも頑張るからね!
不安な気持ちも少し落ち着いた。
翌日、10時から手術。
朝、手術着に着替えているとお父さんとお母さんが来てくれた。
「彩乃!先生を信じて頑張って!大丈夫!」
不安そうな顔をしていたのかな…お母さんは笑顔で背中をさすってくれた。
お父さんは黙ったまま。
少し遅れて拓実さんが来た。
担当の先生が来て、手術の内容を話している。
拓実さんが看護師さんに呼ばれた。
そして時間になり手術室へ。
紙パンツに履き替え、ベッドに横になる。
脊椎に麻酔を打つため、背中を丸める。
この注射が半端じゃなく痛い😲💥
注射を打ってしばらく経ってから足を軽く叩かれる。
「感覚ありますか?」
「はい、あります」
「…もう一回打ちますね」
「えっ😱」
どうやら麻酔が効いてないらしい😅
また脊椎注射😱
今度は大丈夫だよね😅
また足を叩かれる。
「感覚ありますか?」
「…あります😅」
「…えっ?」
「すみません😅」
また打たれた⤵
どうやら酒飲んべえの私は、麻酔の効きが悪いらしい💧
やっと麻酔が効いた頃には既に疲労⤵
テレビドラマに良く出てくる、UFOみたいな大きな電気が点灯。
意識があるから、痛みはないけど「何かされてる」という感覚はある。
お腹の辺りにカーテンをしているから、作業風景は見えないけど、メスと思われる金属音がカチャカチャ響く。
異常に喉が乾く。
看護師さんが小さな氷を口の中に入れてくれた。
少し潤された。
途中で具合が悪くなり軽く嘔吐するも、吐いたら楽になった。
辛いよ😫
私はうつろな目で天井を見つめる。
赤ちゃんも頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ!
遠退く意識の中、心の中で呟く。
「…さん!…ですか!」
誰かが私に話し掛ける。
でも、返事をする元気がない。
言葉もはっきり聞こえない。
私…どうなっちゃうんだろう…
何か、すごーくベッドに吸い込まれそうになるよ…
目が開かない…
死んじゃうのかな…
……
旅行代理店の支店長に相談。
本当は8ヶ月後半くらいまで働く予定だったけど、手術をしてもすぐ復職は無理だろうし、すぐに産休に入ってしまうため、手術で入院する時から産休する事になった。
結婚する前に、アルバイトから契約社員に昇格。
また戻る事が絶対条件で産休をくれた。
産休前最後の出勤日に支店長が「ママになって、更にパワーアップした中村さんに期待しています。ゆっくり休んで、元気な赤ちゃんを生んで下さい😄」と優しい言葉をくれた。
旅行代理店のみんなも「出産頑張って!」「産休明けにまた元気に会いましょう!」と言ってくれて、思わず涙が出てきた😢
久美子さんからは、安産のお守りをくれた。
「頑張って!」
そう言って、少し出てきたお腹をさすってくれた。
この旅行代理店のみんなには、本当に色々迷惑もかけてしまったし、お世話にもなった。
無事に出産して、復職した時は今まで以上に頑張って恩返しをしていかなきゃ!
みんな、本当に本当にありがとう✨
私はこの日を最後に産休に入った。
母子手帳ももらい、産婦人科に通う。
3回目の健診の時にエコーをみながら先生が「中村さん、子宮に腫瘍がありますね。卵巣嚢腫でしょう。あっ!腫瘍とは言っても良性ですから安心して下さい😄このままでは赤ちゃんの成長に邪魔になりますからとりましょう!」
「はぁ…」
「お腹の赤ちゃんが安定期に入る5ヶ月目から6ヶ月の間に摘出手術をしましょうか😄」
「どういった手術ですか?」
「お腹を切ります」
「えぇ⁉お腹の赤ちゃんに影響は出ませんか⁉」
「100%出ないとは言えませんが…このまま腫瘍があるとうまく成長出来ませんよ」
本当なら全身麻酔をしての手術になるけど、赤ちゃんがいるため少しでも負担を減らして脊椎麻酔での手術をするそうだ。
手術なんて…人生初めて😱
赤ちゃんがいるのに、お腹を切るなんて😫
赤ちゃんは本当に大丈夫なんだろうか?
心配でどうしようもないけど、腫瘍がある事で成長が妨げられても可哀想だし…
でも、先生を信じて手術をする事になった。
旅行代理店にも報告。
みんな「おめでとう💕」と祝福してくれた。
先輩ママであるひとみさんと寛子さんは「ゆっくり出来るのは出産までよ!子供が生まれてからが大変なんだから!」
「陣痛は辛いけど、生まれた我が子を見たら嘘みたいに痛みが消えるから!」
マタニティー生活や、出産の話しを教えてもらう。
そして翌日、寛子さんから「私が読んでたやつなんだけど、少しでも参考になるかな?と思って」と言って「初めての出産」という本を頂いた。
妊娠から出産、新生児についての事が詳しくイラスト付きで書かれていた。
ありがたい!
これを読んで、出産までどうしたら良いのか勉強しよう!
それにしても悪阻ってこんなに気持ち悪いんだ😫
テレビドラマみたいに、トイレに駆け込む事はないけど、何か胃がムカムカする😱
悪阻に耐えながらの仕事。
久美子さんと支店長の配慮で、安定期に入るまでは簡単な負担にならない仕事を回してくれる事になった。
職場のみんなに感謝✨
拓実さんも、悪阻で苦しむ私を心配してくれる。
居酒屋の手伝いもしばらくお休み。
拓実さんがその間、裏方として頑張ってくれていた。
両親にも妊娠を報告。
お母さんは「彩乃!おめでとう💕これから大事な時期だから無理しちゃダメよ!」と、自分の事の様に喜んでくれた。
お父さんは無言のまま、読んでいた新聞をたたむ。
お父さんを見ると、少し口元がゆるんでいた😄
そして一言。
「しばらく禁酒だな」
そうだね😅
由佳にも報告。
最近、由佳は仕事が忙しいらしく、しばらく連絡がなかった。
「拓実さんとの子供が出来ました❤」
1時間後に由佳から着信。
「メール見た!彩乃!おめでとう❤拓実さんに似ると可愛い子になるね😁」
「そうだね😁私に似ると能面顔だから可哀想(笑)」
「しばらく一緒に飲めないね💦」
「うん😞」
「彩乃と飲めなくなるのは寂しいけど…それよりも体大事にして赤ちゃんのために栄養しっかりとって出産に備えないとね!」
「ありがとう😄」
由佳は、近いうちにお祝いにうちに来てくれるって言ってたな😆
しばらく由佳に会ってないし、話したい事もあるし😄
拓実さんの両親と龍輝くんと小春ちゃんにも報告。
小春ちゃんは「お母さんのお腹に赤ちゃんがいるの?でも、赤ちゃん見えないよ?」と不思議顔。
龍輝くんは、まだ目立たないお腹に耳をくっつけて「あっ!今、グルグルって言ったよ!」とおおはしゃぎ(笑)
「それは、お母さんのお腹の音だよ」と突っ込まれ大人は爆笑(笑)
「早く赤ちゃん生まれないかな😄」と楽しみの様子。
それからすぐに悪阻に襲われた😲
気持ち悪い⤵
でも、これはママになるための試練なんだ!
ママ、悪阻なんかに負けないからね!
そんなある日、体がだるく微熱があるため、旅行代理店に「病院に行きたいので遅刻します」と連絡。
了承をもらい、いつもの掛かり付けの内科に行く。
「今日はどうしましたか?」
「微熱があって、体がだるくて…」
「うーん、喉みせて」
私は大きく口を開ける。
「喉は何でもないねぇ…ちょっとおしっこ採ろうか?」
そう言われて、看護師さんから検尿コップをもらいトイレに。
再び診察室に呼ばれて、先生に言われた言葉は「中村さん、風邪じゃなくて妊娠してるねぇ~」
はい?
先生、今何と?
「うちは内科だから、産婦人科に行った方がいいよ😄」
え~⁉
妊娠⁉
風邪だとばかり思っていた私は、思わぬ言葉に驚きを隠せない😲
と同時に、嬉しさがこみあげて来た😄
今、私のお腹に赤ちゃんがいるんだ!
拓実さんとの赤ちゃん💕
私は、早速その足で産婦人科に行く。
「おめでとうございます!妊娠されてますよ!」
頬がゆるむ😁
メールじゃなくて、拓実さんに直接伝えたい!
旅行代理店の皆には、拓実さんに伝えた後に言おう!
その日の夜、何も知らない拓実さんがいつも通りに帰宅。
ニヤニヤしている私に「何かいい事でもあったの?そういえば、風邪は大丈夫?」と拓実さんは答える。
「実はね…赤ちゃんが出来たの💕」
「…え?」
驚く拓実さん。
「風邪じゃなく、妊娠だったの!」
「本当に⁉彩乃ちゃん!おめでとう!」
拓実さんは笑顔で抱き締めてくれた。
「久保さん、俺が久保さんを勘違いさせる様な行動をしてしまい申し訳ない…今度からは、気を持たせる様な行動は慎みます。また明日から仕事頑張りましょう!」
拓実さんが泣いている久保さんを真っ直ぐ見ながら、優しく伝えた。
久保さんは「…私は拓実さんを諦めきれないです」とボソっと言った。
「好きになった気持ちは簡単に切る事は出来ないと思います。でも、理解して頂いたみたいですから…久保さんには主人みたいな既婚者じゃなく、素敵な男性があらわれますよ😄」
久保さんは「拓実さんにお聞きしたい事があります。もし奥さんと結婚してなかったら、私と付き合ってましたか?」
私の話しは無視かい😱
拓実さんは少し考えて「ごめんなさい、嫁がいなくても付き合いはないと思う…まず、ストーカーをする時点で…無理かな」
「そうですか…」
「仕事の仲間として見たらいい仲間だと思うよ!あっ…こういうのも勘違いさせちゃうのかな…難しいな😅」
「…」
黙る久保さん。
「もう、こういう事はしないよね?」
「…はい」
「約束してくれるよね?」
「…わかりました」
うつむいたまま久保さんは返事をした。
これで…ストーカー事件は解決したのかな💦
私は、一体何しに来たかわからなかったけど😅
それ以来、久保さんからの茶封筒攻撃もなくなり、平和な時間となった。
それからすぐに、久保さんは会社を依願退職したと拓実さんから聞いた。
拓実さんは、この事件以来女性社員さんに対して軽はずみな行動はしなくなったらしい。
「久保さん…でしたよね?一つ聞いてもいいですか?」
「はい、何でしょうか?」
「どこからそんな自信が出てくるんでしょうか?」
「今日、拓実さんからこうしてデートに誘ってくれた事で確信しました」
「今日はデートのお誘いではなく、気持ち悪いストーカーの相手を割り出すために一か八かで手紙を書いただけです。でも、あなたは勘違いをしたみたいで…」
「勘違いじゃありません!」
久保さんは突然叫んだ。
そして「奥さん…もういいんじゃないですか?そんなに拓実さんを追いかけても拓実さんはあなたには戻りませんよ😄拓実さん!私がいますから、拓実さんの本音を話して下さいよ!ねっ!」
拓実さんは「そうだね、ここははっきりと言わないとダメだって事が良くわかったよ」と言って久保さんを見た。
「そうですよ!」
久保さんが笑顔で相槌をうつ。
私は黙って話を聞く。
「久保さん…俺の本音は久保さんの事は正直どうでもいいし、こんな事をされて本当に迷惑です。久保さんと付き合う気なんて全くないし…俺が愛しているのは嫁であって久保さんじゃない。さっきも言ったけど、もう二度とこんな事はしないで欲しい」
すると久保さんは「だから、そうじゃなくて…私を愛してるって言うのを奥さんの前できちんと言って欲しいんです!」と引き下がらない。
「だから言ってる。愛してるのは久保さんじゃなくて嫁だって。もう本当にいい加減にしてもらえるのだろうか?」
「えっ…」
久保さんは驚いた表情をみせた。
「嘘!奥さんに言わされてるだけですよね?」
「違う!」
「じゃあ、どうして優しくしてくれたんですか?今まであんなに優しくしてくれた人いませんでしたよ?私の事が好きだから…」
「もういい加減にしてくれ!」
拓実さんが強めの口調で話す。
「これ以上、つきまとったりこんな事が続く様なら出るとこに出るぞ!」
「そんな…」
拓実さんの言動に、やっと理解をして来た様子の久保さん。
そして泣き出した。
「この間の会社の飲み会の時に、拓実さん…すごく優しかったんです…渡辺さんが「写真撮ってやるよ」と言ってくれた時に、拓実さんは私の肩に手を乗せてぐっと引き寄せてくれました。嫌いなら、そんな事はしません!私を愛してるからです!」
そこで拓実さんが「あっ…いや、あれは渡辺が「もっと寄らないと、顔が切れて写るぞ」って言ってたからそうしただけで…」と困り顔で話す。
久保さんはため息をついて「奥さんにそんな気を使わなくてもいいんですよ!奥さんがいなくても、私がいますから」と拓実さんを見た。
拓実さんは困り顔😅
「最初はうまく思いが伝えられず、ストーカーみたいな事をしてしまいましたが、今日は拓実さんからデートに誘ってくれたんです!これで、拓実さんも私を愛してくれているって確信しました!私は間違えてなかった!って思いました!」
うーん⤵
どう説明したら、わかってもらえるのだろうか?💧
久保さんは「だから奥さん!私達に入る隙はないんですよ!拓実さんにふさわしいのは奥さんではなく私なんです!」
その時、拓実さんは「久保さん…はっきり言わせてもらうけど、俺は久保さんの事は言っちゃ悪いがどうでもいいし、ただの同僚としか思っていない。俺はこの嫁を一生大事にすると決めて結婚したんだ。だからもう二度とこんな事はしないで欲しい」と、真っ直ぐ久保さんを見つめて真面目な顔をして答えた。
すると久保さんは「奥さん!そこまで拓実さんに言わせるなんて、どういう事ですか⁉拓実さん可哀想に…よっぽど奥さんが怖いんですね😢大丈夫ですよ!私がいますから😄」
ダメだ…
どうやら日本語が通じないらしい😫
久保さんの中では、私は拓実さんを愛してるんだから拓実さんも私を愛してくれている。
でも、嫁のせいで拓実さんは本当の事を言い出せずにいる。
何て可哀想なんでしょう。
拓実さんから発する言葉は全て拓実さんの意に反する言葉であり、全て嫁が怖いから嫁が言わせていて、本音は久保さんを愛している…
そう思っているみたい。
拓実さんも困り顔。
会社の人だから、強く言えないのかな。
だったら、どうせ「怖い嫁」である私が言ってやろうじゃないか!
拓実さんと久保さんは、何処かへ歩いて行った。
ここで、私が追い掛けて久保さんが逃げちゃったら困るため、拓実さんからの連絡を待つ事にした。
10分後、拓実さんからメールが届く。
「今、近くのファミレスに入ったよ!ここなら来ても大丈夫!」
私は、見張っていたコンビニを出て、言われたファミレスに着いた。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか⁉」
高校生と思われる店員さんが出迎えてくれる。
「あ…いや、待ち合わせです💦」
「わかりました😄」
店員さんは、また次に来店したお客さんを迎えた。
私は、拓実さんの姿を探す。
一番はしっこの席にいた!
私は、拓実さんと久保さんの席に近付いた。
「はじめまして、中村拓実の家内です😄いつも主人がお世話になっております!」
久保さんは、突然の私の登場に驚いた表情を見せた。
「あなたですか?毎日封筒を投函していくのは…」
久保さんは黙って下を向いてしまった。
「私達はまだ結婚したばかりなんですよね…離婚は全く考えていないですし、はっきり言って迷惑なんです!」
私は、今までストーカーされて来た怒りが込み上げて来て、つい口調が強くなる。
「だって…でも…」
久保さんがうつむきながら何かを話している。
「聞こえないんですけど」
私が言うと久保さんは「じゃあ、どうして私にあんなに笑顔で優しく接したり、飲み会の時に肩を抱いたりしたんですか?私の事が好きだからなんですよね?」
…?
久保さんの言葉に思わずフリーズ😅
更に続ける。
「拓実さんは私の事が好きなのに、奥さんに束縛されていて…だから私のところに来れなかったんだと思っています!だから、拓実さんを解放させて欲しくて、離婚届も同封したのに!早く拓実さんを自由にさせてあげて下さい!そしたら拓実さんは私と幸せになれるんです!私は拓実さんを愛しています!だから拓実さんも私の事を愛してくれています!」
…もしかして、この人は他の人と少し感覚がずれてるのかしら💧
拓実さんは、苦笑いをしながら話を聞いていた。
私は、ポカーンとしていたと思う。
久保さんの話しはまだ続いた。
駅前は、帰宅時間のため賑わっていた。
駅前のケーキ屋さんは、待ち合わせで利用する人が多い。
拓実さん以外にも、時計を気にしながら周りを見渡している人がいる。
私は、ケーキ屋のななめ向かいにあるコンビニで立ち読みをするふりをして様子を伺う。
拓実さんからメールが来た。
「もうすぐ6時になるね…ストーカー来るかなぁ?今は何処にいるの⁉」
すぐに返信。
「今、ななめ向かいのコンビニ!拓実さんが見えるよ!」
すると拓実さんはこっちを見る。
気付いたのか、軽く手をあげた。
緊張してきた。
ストーカーは本当に来るんだろうか?
その時!
私がいるコンビニの前に立ち止まった女性。
じっとして動かない。
後ろ姿だから顔は良く見えないけど、長い黒髪の女性。
ちょうど6時になった。
すると動かなかった黒髪の女性は、いきなり歩き出した。
拓実さんがこっちを見る。
拓実さんの表情が変わる。
そして何かをしゃべっている。
知ってる人⁉
女性はゆっくり拓実さんに近付き、振り返った。
ストーカーは写真の女性だった。
拓実さんと同じ会社の久保さん…
久保さんは嬉しそうな表情で、拓実さんに寄り添う。
拓実さんは刺激を与えない様にと、寄り添う久保さんを払う事はしない。
私は、焼きもちよりもストーカーがわかって良かったという気持ちが強かった。
もちろん、気持ちが悪いので箱に入れたまま押し入れにしまった。
それからも、茶封筒攻撃は続く。
驚く事はなくなったけど、かなり拓実さんに惚れ込んでいる様子のストーカー。
ある日、拓実さんが「ストーカーに手紙を書くか!」と言い出した。
「相手を知らないから送る事は出来ないけど、毎日手紙を届けに来てポストを見るだろうから「ストーカーさんへ」って書いて、返事を書くんだよ!見てくれるかはわからないから、一か八かのかけだけど😅」
そう言って、封筒と便箋を取り出して書き出した。
封筒の宛名は「ストーカーさんへ」
「毎日手紙を届けてくれるあなたへ。どこの誰かは知らないけど、こんな事をしても俺はあなたを知る事は一生ないと思う。もし、俺に気があるならこんな事はしないで正々堂々と会いに来て欲しい。決して怒らない。俺は直接あなたと話したい。明日の午後6時、駅前のケーキ屋の前で待っています。」
拓実さんなりに、相手に余り刺激を与えない言い方で手紙を書いた。
それをポストに入れて、様子を見る事になった。
私も一緒に行く事にしたけど、2人だと遠くから見られた時に帰ってしまう可能性があるため、離れたところから見学する。
翌日、ストーカー宛の手紙がポストから消えていた。
いつもの茶封筒は入っていない。
…手紙読んだかな。
いざ駅前へ!
3日後、拓実さん宛に宅急便が届く。
みかん箱より少し大きいくらいの荷物。
差出人を見る。
佐藤花子さん。
最初は拓実さんの知り合いなのかな?
と気にしなかったけど…
ん?
伝票を見てびっくり😲
佐藤花子さんの電話番号は拓実さんの携帯番号だ…
うちのは自宅の番号が書いてある。
佐藤花子さんの住所を見る。
パソコンで調べると、その住所にはコンビニがあった。
もしかして…茶封筒の人⁉
多分、偽名だろうな。
急に怖くなる。
爆弾でも入ってたらどうしよう😱
拓実さんにメール。
「佐藤花子さんって方から宅急便が届いてるけど」
すぐに返信。
「佐藤花子⁉知り合いにはいないよ?」
やっぱり偽名か。
「みかん箱くらいの大きさの荷物なの。私、これから居酒屋手伝いにいかなきゃならないし…怖いから早く帰って来て😫」
「わかった!すぐ行く!」
居酒屋に行く支度をしていたら、拓実さんが息を切らして帰って来た。
「何なんだ⁉」
拓実さんは早速箱を開ける。
すると中から、男性もののコート、ネクタイ、ブランド物の革靴、指輪、靴下…高そうなものばかりが入っていた。
そして、いつもの茶封筒が入っていて「拓実さんのために奮発しました。是非ご愛用下さい。指輪は私とお揃いです。体は離れていても、心は近くにいますから」
手紙を見て、2人で硬直。
ストーカーって…こんなに恐ろしいんだ…
相手が誰かわからないのに、向こうはこっちを知っている。
もしかしたら、今現在もどこかで見られてるのかも😱
…とりあえず、爆弾じゃなくて良かった😅
翌朝、拓実さんは「今日は俺、午後からしばらく見張ってるから、犯人突き止めたら連絡するから!」
そう言って出勤して行った。
本当は私も一緒に居たかったけど繁忙期な上、久美子さんとひとみさんが風邪でダウンし人員不足で休めず、拓実さんに任せる事にした。
夕方、やっと仕事が一段落したため、携帯を開く。
メールが一件。
拓実さんからだった。
「現在、張り込み中!今のところ、犯人らしき人物は登場してない。もう少し張り込みをしてみるから、何かあればまた連絡をする!」
15時55分に来ていた。
それからはメールは来ていない。
仕事が終わり、再び携帯を開く。
拓実さんからメール。
「今日はもう会社に帰らないとヤバいので、張り込み終了!犯人らしき人物は来なかったよ😞」
じゃあ、今日は茶封筒入ってないのかな?
ダッシュで家に帰り、ポストを開ける。
おっ⁉
今日は茶封筒が入っていない✌
このまま茶封筒を見ない日が続くと思いきや…翌日、また茶封筒が入っていた💧
「昨日は張り込みしていたみたいで、お届け出来ませんでした。まるで探偵ごっこですね。そんなに私の事が気になりますか?中村拓実さん」
手紙を見た瞬間、背筋に寒気が走った。
「えっ…?見られてる?」
怖いより、気持ち悪かった。
それからも毎日、茶封筒がポストに入っている。
ため息しか出なかった。
それからすぐに、拓実さんが「最近、誰かにつけられてる気がするんだよね…」
相手はストーカー⁉
一体誰が…😱
それからすぐに家の電話が鳴る。
うちの電話は、ナンバーディスプレイがついていない昔の電話機😅
「はい!もしもし!」
「…」
相手は無言。
「もしもし⁉」
ガチャ…プープー…
電話は切れた。
5分後、また家の電話が鳴る。
「…もしもし」
「…」
またもや無言。
「一体誰ですか⁉」
「…」
「何とか答えなさいよ💢」
ガチャ!プープー…
また無言のまま切れた。
よし…逆探知だ😒
136をかける。
非通知だったため、相手の番号はわからず💧
茶封筒を投函していく人だろうか…
それとも、嫌がらせなのか…
手紙は多分、私宛なんだろうな。
でも、私の名前はわからない。
だから「奥さん」と手紙には書かれている。
私、誰かに恨まれてるのかな😱
頭の中で一生懸命検索する。
うーん…自分じゃ良くわからない😅
私にとってはそう思わなくても、相手にとっては酷く傷付いてしまったのかな。
でも、私が知ってる人なら彩乃って名前は知ってるはず。
じゃあ、やっぱり私も相手も知らない人⁉
悶々考えている横で、グースカ眠っている拓実さん😅
絶対犯人突き止めてやる!
翌日、仕事から帰りポストを開けると今日も茶封筒が入っていた。
はぁ…
ため息が出る。
「離婚届は書いてもらえましたか?明日は大安ですから、明日提出願います」
もう!いい加減にして!
私は手紙をクチャクチャに丸めて壁にぶつけた。
その時に携帯が鳴る。
拓実さんからの着信。
「もしもし?」
「彩乃ちゃん?今日も手紙入ってた?」
「入ってたよ💢もう!一体何なの⁉」
「今日、15時くらいに一回家に帰ってポストを見た時には入ってなかったんだよね…という事は、15時から彩乃ちゃんが帰る17時半までの間に部屋に行ったって事だよね?」
「そういう事だね」
「俺、明日午後から時間空くから見張ってるよ。もう少ししたら帰るから!」
「わかった!」
明日、拓実さんが午後から見張っててくれるなら、犯人がわかるかもしれない!
捕まえたら、ぶん殴ってやるんだから😠💢
翌日も、仕事から帰るとポストに同じ茶封筒が入っていた。
ダッシュで部屋に入り、早速封筒を開ける。
今度は写真はなく、またしてもパソコンで作成したであろう手紙が入っていた。
「中村拓実さんが愛しているのは、奥さんじゃなく私です。既に破綻した結婚生活を続けるよりも離婚をおすすめ致します」
一体何なんだ⁉
破綻も何も…この間結婚したばかりだし💧
昨日、拓実さんが言ってた久保さんっていう人なのかな?
何でこの部屋知ってるの?😱
気持ち悪い💧
拓実さんが帰宅してから、手紙を見せる。
「今日、久保さんに聞いても「何の事でしょうか?」と言われてさ😅また明日もこんなふざけた手紙が入る様なら…絶対犯人見つけてやる💢」
どうやら、拓実さんは本当に心当たりがないらしい。
また翌日も茶封筒が入っていた。
「警告します。今すぐ離婚して下さい」とご丁寧に離婚届まで同封してあった。
拓実さんは「もういい加減にして欲しい!明日、途中抜け出して様子を見に来て犯人を捕まえてやる!💢」と激怒😠
悪戯にしてはちょっとやり過ぎだし、もし本当に久保さんという人が知らないなら、一体誰が何のためにこんな事をするのか…。
しばらく様子を見る事にした。
「ただいま😄」
何も知らない拓実さんは、いつもと変わらない。
ムスっとして返事をしない私に「彩乃ちゃん?どうかしたの⁉」と不思議顔。
「ねぇ、話があるんだけど…ちょっとここに座ってくれない?」
「えっ?あぁ…うん…」
拓実さんは、スーツ姿のままネクタイを少し緩めながら座る。
「今日、仕事から帰って来たらこれがポストに入ってたんだけど…誰⁉💢」
そう言って、ツーショットの写真と手紙を拓実さんの前に突き付けた。
拓実さんは、覗き込む様に写真を見て「あぁ…久保さん?」と一言。
「久保さん⁉」
「うん、この写真、多分この間の飲み会の時のやつじゃないかなぁ?この写真撮ったのは結婚式に来てくれた渡辺のはず!たまたま席が久保さんの隣で、向かいに渡辺がいたから撮ってくれただけだよ😄」
へっ?
「じゃあ、この手紙は?」
「うーん…まさか久保さん、俺に惚れてるのかな😅この飲み会の時に席が隣で色々話してたからなぁ💦でも俺には、彩乃ちゃんっていう素敵な嫁さんいるし、悪いけど久保さんには全く興味がない😅」
半信半疑の私💧
前科があるのもそうだけど、相手の女性を知らないから色んな想像をしてしまう。
拓実さんは「冗談か、ただの悪戯だよ😄明日、久保さんに聞いてみるよ」と言いながら寝室に着替えに行く。
何か、腑に落ちないというか…納得出来ないというか😞
しかし、この日を境に大変な事態になる。
そんな幸せ絶好調だったある日、いつもの通り旅行代理店から帰宅し、ポストを開ける。
ちらしやダイレクトメールの中に、宛先も差出人も書いていない、ごくごく普通の茶封筒があった。
「何だろう?」
部屋に入り、早速開けてみる。
中からは、拓実さんと私は知らない地味な女性と満面の笑みでツーショットで写っている写真と、パソコンで作成したと思われる手紙が一枚。
「中村拓実さんは、奥さん以外に本命の彼女がいます」
何これ⁉
女性は写真で見る限り、年齢は私と一緒くらい?
厚い前髪で黒髪、胸まであるストレート。
女性は恥ずかしそうな表情をして、少し伏せ目がちに写っている。
一方の拓実さんは、満面の笑みでピースをして写っている。
この女性は誰⁉
ヘルスのお姉ちゃんだけど、一度だけ前科がある拓実さん。
新婚早々、浮気かな😱
いや…でも、拓実さんに限ってそれはないな。
ないと信じたい。
私は、写真をじっと見つめる。
きっと、何かの間違いか悪戯に決まってる!
前科があるとはいえ、拓実さんを信じるって決めたもん!
その時に携帯が鳴る。
「仕事終わった🎵これから帰るね😄」
いつも来る帰るメール。
帰って来たら、徹底的にこの女性の事を問い詰めてやるんだから!!!!!
ハネムーンは特に決めていないけど、温泉が好きな私達は、一度コマーシャルで流れている温泉ホテルに泊まってみたいね💕と言っていた。
旅行代理店のみんなも「彩乃さん!結婚おめでとう!」とお祝いを頂いた。
みんなに祝福されて、改めて幸せをかみしめる。
結婚式も終わり、龍輝くんと小春ちゃんと養子縁組もした。
このままだと「夫の子」のままで、私とは戸籍上は他人のまま。
戸籍には母親の欄に元嫁の名前が記載され、私は「養母」となり、それぞれ「養子」と「養女」になる。
元嫁の名前は消えないんだな😅
養子縁組をした事で、血の繋がりはないけど正式な「お母さん」になった。
いつしか、2人共「あーちゃん」から「お母さん」に呼び方も変わっていった。
最初に照れながらも「お母さん!」と言ってくれた時は嬉しくてテンションが上がった😆
「ママ」は元嫁、私は「お母さん」。
初心者マークのお母さんだけど、早く一人前のお母さんになるからね!
誰が何と言おうと、龍輝と小春は可愛い我が子❤
愛情は誰にも負けないんだから!!
中嶋さんの祝辞。
緊張しているのか、カミカミの中嶋さん(笑)
でも、中嶋さんらしく冗談を交えての祝辞。
会場は爆笑😁
私も拓実さんも思わず吹き出す(笑)
新郎側は中野さん、新婦側は由佳が友人代表のスピーチ。
由佳も緊張していたのか、メチャメチャ早口(笑)
会食になり、由佳が早速来て「ごめ~ん💦緊張の余り何を喋ってるのかわからなくなっちゃった😫」と苦笑い😅
「全然大丈夫!ありがとう😄」
お父さんとお母さんへの手紙。
お父さんもお母さんも私も泣いてしまった😢
お母さんは泣き過ぎて「ひっくひっく」となっている。
泣いてしまい続きが読めなくなったけど、そんな私の背中を拓実さんがずっとさすってくれた。
龍輝くんと小春ちゃんから「おめでとう」と花束贈呈。
みんなで写真も撮り、無事に終わった。
二次会は由佳と友美さん、中野さん、大沢さん、拓実さんの会社の同僚の三上さん、渡辺さんと私と拓実さんで盛り上がる。
渡辺さんが由佳の事を気に入ったらしく、由佳を一生懸命口説く。
由佳もまんざらでもない様子。
このままいい関係になればいいな💕と拓実さんと友美さんと話す。
二次会も終わり、皆帰って行く。
みんなのおかげで、本当に楽しくて素晴らしい結婚式になった✨
いよいよ、結婚式当日になった。
前日から緊張で落ち着かずソワソワ💦
寝るに寝れずに寝不足💧
一方、拓実さんは22時過ぎに「明日は体力勝負だから!」と言いながら爆睡してしまった💤
うらやましい😅
翌朝。
結局、寝不足のまま結婚式に。
レストランの隣にある美容室で髪をセットしてもらい、メイクも着付けもしてもらう。
ベテランさんと思われる女性美容師さん。
手慣れた感じで髪をセット。
メイクもしてもらって、鏡に写る私を見る。
すご~いっ!
さすがプロ!
見慣れた凹凸がない私の能面顔も、あり得ないくらい可愛く見える!
化粧マジック、恐るべし😲
あらかじめ予約してあったウェディングドレスを着る。
お母さんが様子を見に来た。
「お母さん…どう?」
「彩乃!すごくきれいだよ!」
そう言って笑顔になり、感動したのか目頭をハンカチでおさえた。
拓実さんも別室で準備をしているみたいで、龍輝くんと小春ちゃんが隣の拓実さんの控え室とこっちを行ったり来たり。
「パパ、今ネクタイしてた!」とか「靴下はいてた!」とか報告してくれる(笑)
美容師さんに「とてもお綺麗ですよ✨」と言われて照れる😆
結婚式には中村家、伊藤家合わせて30人程。
由佳と友美さん他、友人も何人か呼んだ。
いよいよ結婚式が始まった。
みんな一斉に拍手で迎えてくれる。
既に泣きそうな私😫
両親を見ると、お母さんはニコニコしながら拍手をしてくれているけど、お父さん…泣いてる?
右手で涙を拭っているのが見えた。
拓実さんが無事に出張から帰って来た。
その日は、居酒屋で団体客が入り迎えてあげられなかったけど、中嶋さんと一緒に居酒屋に来てくれた。
「おかえり😄」
「ただいま😄」
中嶋さんが「一番幸せな時だね~見てるこっちが恥ずかしくなるよ😁」と茶化す。
中嶋さんと拓実さんは、カウンターで一緒に飲む。
お母さんが「あら、拓実さん!いらっしゃい😄」と声をかける。
「お義母さん、こんばんは😄」
「今日、彩乃借りてるわね😁中嶋さんもゆっくりね!」
「ありがとう!あっ、恵美子ちゃん、忙しいところ悪いけど枝豆くれるかい?」
「ちょっとお待ち下さいね💦」
狭い店内を汗だくになりながら行き来する私とお母さん。
やっと団体客も帰り、後片付けも終わり中嶋さんと拓実さんとゆっくり話す時間が出来た。
「彩乃~!帰りは拓実さんと一緒に帰るんでしょ⁉」
「うん」
「帰る時に、これ持って帰りなさいね」
そう言って、今日のお通しであるエビマヨをタッパーに入れてくれた。
「ありがとう!」
「彩乃も子供達と一緒に暮らす様になったら、手伝いも難しくなるわね…」
お母さんが言う。
「今日みたいに団体客が入ると、お母さん一人じゃ厳しくてね😞アルバイトさんでも募集するかしら」
「あっ、その時はあいつらはうちの実家に預けますし、彩乃ちゃんにはこのまま手伝ってもらって…良かったら俺もお手伝いしますから😄」
「あら!拓実さんも手伝って下さるなら有難いわ😄ビールの樽を持ち上げるのは苦労するのよ💦」
「任せて下さい😄」
私がこの居酒屋が大好きなのは、拓実さんも良く知っている。
だからきっと辞めさせたくなかったんだろう。
今までアルバイトさんを雇った事がない。
だからもし雇ったとしてもどうしたらいいのかわからないから両親も不安みたい。
その日から、拓実さんは時間があれば裏方を手伝ってくれる事になった。
ご飯もちょうど出来上がる時に「ただいま~」と旦那さまが帰宅😄
旦那さま…ムフフ❤
「おっ😍今日はすごいごちそうだね😄」
「うん、頑張った😄」
「うまそう😍」
「今日から奥さんだしね!」
「だね❤」
ラブラブな夕飯。
その時に拓実さんの電話が鳴る。
「はい!もしもし⁉…あっ、はい…はい…そうですか!わかりました!もう少ししたら行きます!…はい、はい…わかりました!」
「仕事の電話?」
「いや、前に頼んでいた結婚指輪が出来上がったんだって!ご飯食べたら取りに行こうか!」
「本当⁉」
前に一緒に結婚指輪を作りに行った。
安いやつだけど、指輪の裏に「TAKUMI&AYANO」という文字を彫ってもらうのに少しお時間を下さい!と言われて待っていた。
それが出来上がったのだ。
ご飯を食べて、早速指輪を取りに行く。
店員さんが「大変お待たせして申し訳ありませんでした💦」とピカピカの指輪を持って来てくれた。
にやける私😁
家に帰り2人で指輪交換。
左手薬指にはめられた結婚指輪。
「タイミング良く指輪が出来て良かったね😄明日からの出張は指輪をつけてくし一度つけたら二度と外さない!」
拓実さんはそう言って、左手を上にかざして指輪を見る。
明日から出張で、1週間いないけど…もう寂しくないよ😄
その日もいっぱい愛し合う。
翌日、朝が早かったけど頑張って起きてお見送り。
拓実さんがいない1週間は仕事の毎日になった。
翌日。
両家に今日入籍する事を伝え、証人の欄に名前を書いてもらう。
そして、2人一緒に市役所に向かい、婚姻届を提出。
晴れて2人は夫婦になった。
「今日から中村彩乃だね😄」
「うん😆」
中村さんはそのまま仕事に向かう。
私は今日はお休み😄
中村さんを見送った後に実家に向かった。
「今、入籍してきたから!」
「彩乃、おめでとう😄」
嬉しそうなお母さん。
お父さんは買い出しのためいなかった。
私は、アパートに戻る。
明日から出張かぁ。
今日はごちそう作って待ってようかな❤
買い出しに行き、夕方からご飯を作り帰りを待つ。
そうだ!
由佳にも連絡しなきゃ!
私は由佳に「今日から中村彩乃になりました❤」とメール。
すぐに由佳から電話があり「おめでとう✨今度は幸せになるんだよ😄」
「ありがとう😄今度、是非うちに遊びに来て!」
「もちろん!ビール一箱抱えて行くわ😁」
「楽しみにしてる😁」
「私もあやかりたいなぁ~彩乃も友美ちゃんも結婚して、独身が減ってく~😫」
「由佳も絶対幸せになれるよ😄」
「なりたい💦ていうか、休憩終わるから仕事戻るね!また連絡する!」
そう言って電話を切った。
「結婚式直前なんだけど、明後日から1週間出張になったんだ😞行く人がいなくてどうしても…って頼まれてね。そこで彩乃ちゃん!」
そう言って中村さんは、仕事用のカバンから封書を取り出した。
「彩乃ちゃん、予定より少し早くなるけど明日出しに行こうか」
婚姻届だった。
「俺…こうして彩乃ちゃんと生活してみて、彩乃ちゃんが一生懸命頑張っている姿を見てきて「俺は幸せ者だな」って感じたよ😄あいつらの事も頑張ってくれているし…出張に行く前に俺の嫁さんになって欲しくて…一生大事にするから!」
籍を入れるのは決まっていたけど、改めてプロポーズされたら嬉しい😆
「…書いてくれる?」
「もちろん!これからは中村彩乃としてよろしくお願いします!」
私と中村さんは一緒に婚姻届を書いた。
証人はお互いのお父さんに書いてもらう事になっている。
「…彩乃ちゃんも中村になるんだから、もう中村さんは無しね💦」
「あっ…そうでした😆じゃあ~拓実さんで!」
「拓実でいいよ😄」
「じゃあ~拓実で😆ところで、出張ってどこに行くの?」
「東京」
「また東京⁉遠いね😞また悪さしないでよ😱」
「もうしないよ😅」
「今日は読者最後の夜になるのかぁ…もっとごちそう作れば良かった😫」
明日には伊藤から中村彩乃になる!
本当は中村さんの誕生日に当たる日に入籍しようと思っていた。
でも…あれ?
明日ってそういえば…中嶋さんが中村さんを連れて飲みに来てくれた日?
偶然なのか、中村さんの意図的なものなのか…
独身最後の夜、いっぱいいっぱい愛し合った。
「彩乃…愛してるよ」
そう言いながらいつも以上に激しい中村さん。
「あぁ…私も愛してる」
腕を背中にからませる。
初めて中村さんの分身を受け入れる。
熱い時間を過ごしてから、「彩乃ちゃん…幸せにするからね❤」とチューをしてくれる。
独身最後の夜はラブラブな夜を過ごした。
いよいよ、結婚式も近付いて来た。
お昼休みに中村さんから「今日は彩乃ちゃんに素敵なプレゼントがあるよ💕」とメールがきていた。
プレゼントって何だろ😆
楽しみに家に帰ると、既に中村さんは帰宅していた。
「ただいま~😆」
「おかえり!」
「プレゼントってなぁに⁉」
「ん?まぁ~後でゆっくり😁」
「何だぁ~楽しみに帰って来たのに😞」
私は、ふてくされながら着替えに寝室に入る。
「これからご飯作るから待っててね💦」
「うん、急がないからゆっくりでいいよ!」
私はエプロンをしながら冷蔵庫を開ける。
おや?
駅前のケーキ屋さんの箱があるぞ?
もしかして…プレゼントってこれかな?
ここのケーキ屋さんのケーキ、大好きなんだよな😍
あえて見なかった事にして言われるまで何にも言わないでおこう😆
居酒屋の看板娘たるもの、料理が下手ではつとまらない!
自慢じゃないけど、料理だけは自信がある。
レパートリーは少ないし、豪華な手の込んだものは無理だけど、冷蔵庫にある材料で適当に作るのは誰にも負けない自信がある(笑)
ただ、冒険し過ぎて多国籍なのか無国籍なのか…和でも中華でも洋でもない中途半端なものが出来上がる。
「何これ?」とたまに不思議そうに言われるけど「美味しいよ😄」と言ってくれる中村さん。
幸せを感じる瞬間✨
ご飯を作り、後片付けをしていると「彩乃ちゃん!気付いていると思うけど、今日はデザートがあるよ😄」
やった!
やっとケーキに触れてくれた!
待ってましたとばかりに私はケーキを冷蔵庫から取り出す。
「片付けが終わったら、一緒に食べよ❤」
私は急いで片付けを終わらせ、お皿とフォークを持って行く。
美味そうなケーキが並んでいる。
「好きなのどうぞ😄」
「わ~い❤ありがとう✨」
私は、早速ケーキを頬張る。
その時に「彩乃ちゃんに話があるんだ…」と真剣な顔の中村さん。
私は、ケーキを食べるのを途中でやめて中村さんを見た。
「風の噂で、彩乃が再婚すると聞きました。
彩乃と離婚してからは不運続きで…後悔の毎日です。未だにお袋は彩乃の話をします。あの時に理奈に走らなかったら、まだ彩乃と仲良く幸せにやっていたのかな?
彩乃が再婚すると聞いて、急に彩乃が遠くへ行ってしまう気がしてたまらず手紙を書きました。
会うと後悔から泣いてしまいそうだから…。
彩乃と一緒だった時が人生で最高に幸せな時でした。離婚してから彩乃の大事さに気付き、今でもやり直したいと思う勝手な俺です。
しばらくはお袋と2人で、静かに暮らします。彩乃、再婚おめでとう!今度は幸せになれよ!」
という内容に、今は取得していた大型免許を活かしてトラックの運転手をしているらしく、今月やっと正社員になったと書いてある。
運転が好きな直哉だから、良かったのかな?
理奈の事も書いてあった。
異常な言動もなくなり、新しく彼氏が出来たみたいでパタリと音信不通になった。
理奈も今の彼氏と再婚をする予定だと書いてあった。
前に一緒に歩いていた人かな?
あれから理奈とは会ってもないし連絡もしてないけど、理奈もママとして頑張っているのかな。
直哉と離婚してしばらく経ったけど、私は直哉と離婚したのは後悔はない。
私は直哉との時にはなれなかったお母さんになったよ!
期間は短かったけど、直哉は一時でも愛した人。
直哉もいつかは幸せになってね!
結婚式場も決まった。
小さなレストランを貸し切った。
近い身内と、どうしても呼びたい友人だけの結婚式。
由佳に友人代表のスピーチをお願いした。
理奈は呼ばない。
中村さんは、引っ越しを手伝ってくれた中野さんと大沢さん、会社で仲が良い同僚2人を呼ぶみたい。
中嶋さんには、祝辞をお願いした。
中嶋さんは「そんな大役、俺でいいのかい?」と恐縮していたけど「中嶋さんじゃなきゃダメです😞お礼に焼酎ボトル一本サービスしますから🎵」と言うと「そうかい?😁おじさん頑張っちゃうよ(笑)」とOKをくれた(笑)
花束贈呈は龍輝くんと小春ちゃん。
私にとっては初めての結婚式。
ささやかでも、思い出に残るものにしたい!
そう思い、手作り出来るものは全て手作業で頑張った。
その方が思い出に残ると思って…。
そんな中、私宛に封筒が届く。
実家宛に届く郵便物は転送されて来る。
差出人が書いていない、真っ白い白い封筒。
誰だろ⁉
恐る恐る開けてみると…
右上がりの独特の特徴がある文字。
直哉だ…
筆無精の直哉が便箋6枚にびっしりと文字が書いてある。
早速読んでみた。
その後も、保育園でそのお母さんに会う。
お母さんは他のお母さん達と井戸端会議。
みんな私を見ているところをみると、この間の話しでもしているのだろうか?
私は軽く頭を下げても、チラっと見られるだけ。
…面倒くさいな😅
余り関わらない様にしよっと💦
中村さんも「気にしない方がいいよ😄」と言ってくれた。
継母ってだけで好奇な目で見られ、何をしても「継母だからねぇ」と言われるけど、私は私😄
言いたいやつは勝手に言ってて!
まだ修行中の身だけど、誰に何と言われようと、私は龍輝くんと小春ちゃんのお母さんだもん!
中村さんも色々協力してくれる。
心強いし、だから頑張れる😄
そんな中、ちょっとした事件が起きた。
龍輝くんが保育園で、お友達を叩いて軽い怪我をさせてしまい、一緒にお友達に謝りに自宅へと向かった。
叩いた理由は、お友達が龍輝くんが遊んでいたおもちゃをいきなり奪って自分が遊び出した。
「順番なんだよ!」と言う龍輝くんを無視し、奪ったおもちゃで遊ぶお友達。
なかなか返してくれないため「早く返して!」と叫ぶと、そのおもちゃを投げつけて来たため、龍輝くんが頭にきて叩いてしまったらしい…
保育士さんがそう教えてくれた。
お友達の自宅で謝罪をした。
龍輝くんもちゃんと「ごめんなさい」をした。
でも、お友達はお母さんの後ろに隠れたまま。
するとその子のお母さんが「お宅って継母なんですよね…だから躾がなってないから平気でうちの子を叩いたりするんですよ!迷惑です!」と怒鳴りつけてきた。
それにカチン💢ときてしまった私。
「継母ですが、だからなんでしょう?失礼ですが…順番も守れない挨拶も出来ないお宅の子よりは躾はなっていると思いますが?本当のお母さんなんですよね?」
「あんたね💢うちを誰だと思ってるのよ💢役員会の会長をしているのよ?」
「はぁ…それが何か?良くわからないので、これで失礼します😄」
何かを叫んでいたけど、私と龍輝くんは玄関のドアを閉めて帰って来た。
龍輝くんは「はるきのお母さん怒ってたよ?」と不安そうな顔をしている。
「大丈夫だよ😄ちゃんとごめんなさいしたんだから!偉かったね😄」
そう言って、龍輝くんの頭をクシャクシャと撫でた。
役員会の会長だから、何をしても何を言っても許されるんだろうか…。
帰ってから中村さんとご両親にも報告。
両方共に「あー…あのお母さんね😅」とご存知の様子。
保育園のママさんのお付き合いって大変なんだね。
龍輝くんと小春ちゃんと一緒に住むのは、もう少し先。
中村さんのお父さんとお母さんが「あの子達も、いきなり環境が変わるのは可哀想だと思うし、あなた達もしばらくは2人で過ごしたいと思う。だから最初のうちは、そっちに「お泊まり」という事で徐々に慣らしていった方がいいと思う」と言ってくれたので、少しの間甘えさせてもらう事にした。
龍輝くんと小春ちゃんと一緒に住むまで、私も母親修行をしなければ…
2人が通う保育園にも「新しいお母さん」として報告、迎えに行く様にした。
時間があれば、2人と会い色んな話を聞く。
龍輝くんは野球と戦隊ヒーローとトランプ遊びが大好き、小春ちゃんはお絵かきとプリキュアとピンクが大好き。
少しずつだけど、2人の事をもっともっと知ろうと頑張った。
お泊まりに来た時も「あーちゃんと寝る!」と私の隣を取り合いして喧嘩した2人。
じゃんけんで龍輝くんが勝ち、私に抱きついて甘えながら眠る龍輝くん。
スヤスヤと眠る姿は本当に可愛い😄
小春ちゃんは、いじけながらもパパと眠る。
私も、少しでも「ママ」に近付ける様に…
そんな私を支えてくれている中村さん。
龍輝くんと小春ちゃんがいない時は、新婚生活の様に甘い暮らし💕
毎日がとても楽しかった。
「引っ越しお疲れ様!そして、中村の再婚にかんぱ~い!」
中野さんが音頭をとり乾杯🍺
中野さんは独身だけど、大沢さんは既婚者。
奥様は看護師をしているらしく「今日は夜勤でいないんだ😁」と話していた。
子供さんはまだいないみたいで「授かり物だからね、いつかは欲しいけど😄」と言っていた。
中野さんは私に「誰かいい人いない?俺の職場、男しかいないから出会いがなくて…」と聞いてきた。
「どんな人がタイプですか?」
「うーん…料理が上手で、良妻賢母で相武紗季ちゃんみたいに可愛い娘😆」
「…少なくても、私の周りにはいないですね😅」
大沢さんは「お前、理想高過ぎ(笑)いる訳ないじゃん!いてもお前とは付き合わないよ😁」
「理想は高く!」
「だから彼女出来ないんだよ(笑)」
中村さんも大沢さんも笑っている。
この3人は、本当に仲がいいんだな😄
みんなお酒も入り、段々と陽気になる。
そんな時に中野さんが「中村!前の嫁よりずっといい嫁さんつかまえたな😁」と言って来た。
「彩乃ちゃん…だったっけ⁉こいつ、ちょっとすっとぼけたところがあるけど、本当いい奴だから!」
「はい😄」
「たまに俺らと飲みに行くけど、許してやってな😁」
「わかりました😆」
大沢さんも「中村を頼むね~!」と笑顔。
みんなにこうして祝福されて、本当に私は幸せ者だな❤
そして解散。
引っ越しを手伝ってくれたお礼を言って、中野さんと大沢さんと別れた。
私と中村さんは、一緒に新居に帰る。
中村さんと休みが合った時は、部屋につけるカーテンを見に行った。
好みがわかれた😅
中村さんはシック系、私は可愛い系やカントリー系。
他にも、鍋や食器等も買う。
こうして、中村さんと一緒に色々見て歩いて買い揃えて行くのって、楽しいしすごく幸せを感じる😄💕
中村さんとの幸せな生活を想像してにやける😁
でも、現実に戻ると…家電も揃えなきゃならないし、他にも色々買わないと…💧
ひぇ~😱
こりゃ、お金がいくらあっても足りないや😫
一気には無理だから、必要最低限のものだけ買い揃えた。
いよいよ引っ越しの日。
お父さんとお母さんも手伝ってくれた。
一緒にマンションに到着。
業者さんに荷物を置くところを伝える。
中村さんは明日休みのため、明日に荷物を運んでくるらしい。
買った家電も到着。
真新しいものに囲まれて、新生活がスタートになる。
翌日、中村さんが友達と一緒に荷物を運んで来た。
友達は中村さんの高校時代の同級生で、中野さんと大沢さん。
中野さんはトラックで配送の仕事、大沢さんは路線バスの運転手さん。
トラックは中野さんの会社から借りたらしい。
たまたま休みが合って、暇だったから手伝いに来た😁なんて言ってたけど…
中野さんも大沢さんも、すごく一生懸命手伝ってくれた。
大沢さんはタオルをねじりハチマキの様に頭に巻いていた。
手伝ってくれたおかげで、一気に片付いた。
手伝ってくれたお礼にご飯でも…という話しになり、近くの居酒屋さんに行った。
龍輝くんが通う小学校の近くで、手頃なマンションを見つけた。
築10年、広めの2LDKで駐車場付き😄
中村さんの実家も近く、大きなスーパーやドラッグストア、ファーストフード店、コンビニも徒歩圏内。
ここに決めた😄
お互い仕事の都合もあるため、期日を決めて荷物を運べる時に運ぶ。
あっ💡
また、パクちゃんにお願いしようかな!
早速、パクちゃんに電話をする。
「もしもし、伊藤さん⁉久し振り😄」
「パクちゃん!元気だった⁉今、電話大丈夫⁉」
「大丈夫だよ😄」
「あのね、私また引っ越しするんだけど…またお願い出来るかな?」
「もちろん!」
荷物が極端に増えてなければ、前と同じ金額でいいよと言ってくれたため、またお願いする事にした。
一応、一度荷物を見たいというので日時を約束し、電話を切った。
中村さんは、友達の会社から2トントラックを借りて自分で運び出すと言っていた。
いよいよ中村さんとの同棲生活が始まる!
ちょうどお昼でもあるため、ご飯を食べる事にした。
うちの親に初めて会う龍輝くんと小春ちゃん。
やっぱり小春ちゃんは人見知りなのか、ばあばの後ろに隠れてしまった💧
龍輝くんは「あーちゃんのお父さんとお母さん!こんにちは😄」ときちんと挨拶。
「あら、ちゃんと挨拶出来て偉いね😄」とお母さん。
人見知りが全くない龍輝くんは、お母さんと仲良くなった。
でも、お父さんは見た目が少し怖いからか、余り近寄らない😅
それが面白くないお父さん。
一緒に遊ぼうと「おい!龍輝!こっちおいで!」と両手を広げるけど龍輝くんに無視されてしまった(笑)
それを見て、私とお母さんは爆笑😁
少し場が和んだ。
時期に小春ちゃんも、ばあばの後ろから気にして顔を出す様になり、最後にはお兄ちゃんと店を走り回り怒られた💧
中村さんのご両親と私の両親も、お互いに色々話をする。
お腹もいっぱいになり、挨拶も終わり解散。
車の中でお父さんが「なかなかいいご両親じゃないか」と笑顔だった。
お母さんも「彩乃を大事にしてくれそうね」と笑顔。
良かった💓
仕事をしながら、新居を探す。
龍輝くんは今度小学生になるため、学校に近いところで探していた。
籍を入れる前に、お互いの生活パターンを知りたいと思い、同棲する事にした。
寂しそうにしていたお父さんも、最近は娘の二度目の門出に嬉しそう😁
そんな中、私の両親と中村さんの両親と龍輝くん、小春ちゃんと会う日が来た。
お父さんは着なれないネクタイに窮屈そう💦
前日には床屋にも行き、髪もスッキリ✂
お母さんも、いつもははかないスカート姿。
私もお気に入りの服を着て、待ち合わせ場所でもある個室がある和食屋さんに向かった。
お母さんは「髪型おかしくないかしら?」「この服変じゃない?」「このカバンじゃなくて、こっちのカバンに…」とバタバタやっているうちに時間ギリギリに💧
待ち合わせ場所に行くと、既に中村さん一家は到着していた。
「はじめまして。彩乃の父です」
お父さんは車から降りて早速の挨拶。
「母です😄」
お母さんもお父さんに続いて挨拶。
中村さんのご両親も挨拶。
みんな一緒にお店に入った。
中村さんと美味しいディナーも食べて、いっぱい愛し合う。
とても幸せな誕生日を過ごした。
結局、指輪は小指にはめる事にした。
結婚式はお互い2回目の結婚で、中村さんは前回がそれなりに盛大にやったらしいので身内と本当に仲が良い友達だけの小さなものにしようと思った。
色々と式場やレストランを見て回った。
お互い貯金もいくらかあったので、はみ出すものは貯金で何とか出来るかな?
私は、直哉の時は挙式をしていないから、両親は挙式して欲しいと言っていた。
そんなある日、中村さんと結婚式場を見ていると、理奈がゆいちゃんをベビーカーで押しながら歩いている姿を見掛けた。
相変わらずスタイルが良い理奈。
隣には、笑顔で一緒に歩くスーツ姿の知らない男性がいた。
「あれって…」
中村さんが理奈に気付いた。
理奈と男性は2人にこやかに一緒に歩いている。
「新しい彼氏かもね」
ゆいちゃんは、ベビーカーでスヤスヤとねんねしている。
理奈は私達に気付いていない様子。
あえて声は掛けない。
これで直哉も、お義母さんと2人で静かに暮らせている事だろう。
両家の親にも認めてもらい、中村さんとの結婚へと向けて準備を始めて行く。
そんなある日、私の誕生日を迎えた。
由佳はちょうどその日は出張に行ってて「誕生日おめでとう❤出張で長野にいるから一緒に祝ってあげられないけど、代わりに中村さんにいっぱい祝ってもらいな~😁」と由佳らしいお祝いメールが届いた。
今日は中村さんと一緒にディナーを食べる約束😄
中村さんが奮発して、ホテルのレストランを予約してくれた。
「誕生日おめでとう😄」
「ありがとう」
少し照れながら、ボーイさんが注いでくれたシャンパンで乾杯🍷✨
シックな雰囲気のレストランで、ガラス越しに見える夜景がとても綺麗✨
そして、龍輝くんと小春ちゃんからもプレゼントを預かっていると言って渡してくれた。
龍輝くんからはお祝いの手紙、小春ちゃんからは「あーちゃん」の絵のプレゼント。
「あーちゃん、たんじょうびおめでとう。またあそぼうね、しごとがんばってね」
と龍輝くんからの手紙。
小春ちゃんは画用紙いっぱいに私が笑っている顔を書いてくれた。
「ありがとう😄」
嬉しいプレゼントににやける私😁
「俺からも…」
そう言って中村さんは小さな包みを私に手渡す。
「もしかして…指輪⁉」
「うん😄」
早速開けてみると、シンプルな指輪がキラリ✨
「はめてみて」
中村さんが照れ臭そうに笑いながら言う。
早速左手薬指にはめる…が!
頑張っても第一関節までしか入らない😱
「えっ?😱」
「…入らないね😅」
小指にはめたらぴったりだった。
「嘘だぁ~😱」
「小指でも良くない?これ😄」
私は左手小指に指輪をはめて、中村さんに見せる。
中村さんは苦笑い😅
「何だぁ~せっかくサプライズでかっこよく決めるつもりが、これじゃコントじゃん💦」
そんな事ないよ😄
すごく嬉しいよ❤
ありがとう✨
「君は、中嶋くんと同じ会社だったな?」
まずはお父さんが口を開いた。
「はい…中嶋さんは直属の上司になりまして…いつもお世話になりっぱなしです💦」
「転勤もあるのか」
「いや…転勤はないですけど、長期出張はたまに…」
それからもお父さんは「子供がいるんだって⁉いくつなんだ?名前は?」
「ご両親は何をされてるんだ⁉」
「どうして前の嫁とは別れたんだ⁉」
「ご兄弟は?」
「趣味は?」
色々質問をする。
中村さんは、時たま額の汗を拭きながら一生懸命お父さんの質問に答えていく。
お母さんは、笑顔で黙って聞いている。
「こんな娘ですが、彩乃は私達の大事な一人娘です。色々苦労もかけられましたが、何とか人並みに育ってくれました。
ちょっとだらしなくて、気が強くワガママなところもありますが中村さんがうまく彩乃を引っ張って行ってくれると嬉しいです。よろしくお願いします」
お父さんはそう言って、お母さんと一緒に頭を下げた。
「とんでもない💦こちらこそよろしくお願いします!」
中村さんも頭を下げた。
「彩乃さんを幸せにします!絶対に悲しませる事はしません!彩乃さんと結婚を認めて頂きたく伺いました!よろしくお願いします!」
中村さんは両親に頭を下げたまま言った。
「こちらこそ、よろしくお願いします😄今度は是非、ちびちゃん達も連れて来て下さいね😄」
お母さんが言う。
「はい!」
お父さんは少し寂しそうな顔をしていたけど…認めてくれてありがとう!
お父さん!大好きだよ❤
「はぁ~い😄」
私は玄関に走る。
「お…おはよう💦」
ビシッとスーツを着た中村さん。
手にはお菓子の折を持っている。
緊張のせいか、表情が固く額にはびっしょり汗をかいている😲
「わざわざ来て頂いて…どうぞ入って下さい!」
お母さんが笑顔でお出迎え。
「す…すみません💦お邪魔致しますです💦」
緊張のせいで、日本語を間違える中村さん(笑)
手と足が一緒に動くロボットみたいに、ぎこちない動き。
居間に通され、待っていたお父さんにも挨拶。
でも、無表情のお父さんに目が泳ぐ中村さん。
「コーヒー飲めるかしら?」
台所からお母さんが叫ぶ。
「あっ…はい!飲めます!」
すると、お母さんは伊藤家で一番おしゃれなコーヒーカップにコーヒーをいれて持って来た。
「お砂糖か何か入れるかしら?」
「いえ💦ブラックで大丈夫です!」
緊張しまくりの中村さん。
お父さんと私、お母さんの分のコーヒーも用意されて、お父さんとお母さん、私と中村さんで向かい合わせで座る。
中村さんの緊張が伝わり、私まで緊張して来ちゃった😫
ドキドキしながらの挨拶が始まった。
今日は居酒屋が休み。
中村さんが結婚の挨拶に来るという事で、前日から落ち着かなかった。
前日、中嶋さんが「中村くんから聞いたよ!彩乃ちゃん!おめでとう😄中村くんなら、おじさんもオススメの好青年だ!仕事も真面目に頑張っている。何かあっても、おじさんが助けてあげられるしね😄」と、焼酎を一杯ごちそうしてくれた。
「ありがとうございます😄」
「何かあったら、すぐにおじさんに言うんだよ!」
「はい😆」
中嶋さんは嬉しそうに話す。
中嶋さんもきっと、心配してくれていたんだろうな。
私が赤ちゃんの時からお世話になっている中嶋さん。
小さい頃は、お年玉や誕生日プレゼントをくれた。
お父さんが居酒屋を構えた時には、一番に来てくれて応援してくれた。
いつも気にしてくれて、心配してくれて、色んな話しも聞いてくれて…くだらない親子喧嘩した時も話を聞いてくれて。
お父さんみたいな存在の中嶋さん。
中嶋さんと話しているとホッとする。
そんな中嶋さんから太鼓判をもらった中村さん。
中村さんに話したら「安心したよ😄」と嬉しそう!
いよいよ今日、中村さんが挨拶に来る。
お父さんもお母さんも、何となく忙しない。
そして約束の時間。
ピンポーン!
インターホンが鳴る。
中村さんが来た!
まず、両親に改めて報告。
お母さんは喜んでいたけど、お父さんは「まだ早いんじゃないのか?しかも連れ子がいるんじゃ難しいだろう」と難色を示す。
「今度、中村さんに会って欲しい。そして子供達にも…」
「今度の休みに連れて来なさい」
お父さんはきっと、娘である私の事が心配で仕方ないんだと思う。
でも、お父さんの親友でもある中嶋さんの部下だから、信用はしたいけど寂しい気持ちもあるのかな。
話しは変わるけど、私は両親が結婚して7年目にしてやっと生まれた子供。
3度の流産を経験し、やっと私が授かった。
私がお母さんのお腹に宿った時は、今は亡き祖父母は泣いて喜んだという話を聞いた。
私が生まれた時は、滅多に泣かないお父さんが私の産声を聞いた瞬間に号泣したらしい。
小さい頃に「お姉ちゃんを生んで!」とお願いをしていた私。
「無理言うな!」と怒られていたけど、もしかしたらお兄ちゃんかお姉ちゃんがいたかもしれないと知ったのは20歳を越えてから聞いた。
この両親の元に生まれてこれたのは、本当に感謝している。
口は少し悪いし、見た目も少しだけ怖いけど、いざという時はとても頼りになるお父さん。
口数は少ないけど、いつも優しくあたたかく見守ってくれているお母さん。
今度は幸せになって、安心させてあげるからね!
中村さんなら絶対、幸せにしてくれる!
ご利益はあった😄
それからすぐの中村さんとのデートの日、中村さんが「もう元嫁が現れる事はないよ」と言った。
「えっ?もう本当に関係ないの⁉」
「うん😄元嫁に新しい男が出来た!「もう金輪際、中村家に連絡をしたり来たりするのはやめて欲しい」と伝えると「二度と行かない」と…ただ、口約束だとまた別れた時に騒がれても嫌だから、会って誓約書を書かせた。もう大丈夫!」
…こんなにすぐに彼氏が出来るんだ😅
それはそれは…💧
でも、嫌がらせがなくなるなら良かったかな😅
「元嫁はもうこれで関係なくなったから!これで改めて彩乃ちゃんにプロポーズ出来るね😁」
「プロポーズ?」
「そう、俺と結婚して下さい!子供達のお母さんになって下さい!」
「はい😄」
「ありがとう!大事にするから!」
その日から、結婚準備で色々忙しくなる。
「知り合い?」
由佳が聞いて来た。
「うん、直哉と仲良かった人」
「そうなんだ」
雰囲気で察したのか、由佳はそれ以上聞いて来る事はなかった。
二次会に参加したけど、高木さんの姿はなかった。
何か意味深な感じの高木さんは気になったけど、楽しい時間を過ごした。
それからしばらく経ったある日、友美さんから「沖縄のお土産買って来ました😄」と店に来てくれた。
左手薬指には指輪がキラリ✨
「幸せのお裾分けです❤」
「ラブラブでうらやましいな😄」
そんな会話をしていたけど、友美さんは「まだ他に行かなきゃいけなくて💦」と忙しそうにしていた。
友美さんの笑顔が幸せなんだな、と思う。
幸せをお裾分けしてもらい、私も少しはご利益があるかな?
そんな中、友美さんと宮田さんの結婚式を迎えた。
地元ではお洒落で有名なホテルでの挙式。
由佳と一緒に式場へ向かう。
私は、美穂ちゃんの結婚式の時に奮発して買った黒のフリフリキラキラ膝丈ワンピースを着た。
三十路女が着たら痛いかなとは思ったけど、お母さんからはとても好評で「今だけよ!お母さんの年になったら着れないんだから」と強く勧められて、それに決めた。
お母さんには「友達の結婚式」という風に言ってある。
まさか「直哉の元不倫相手」なんて言えない😅
一方、由佳は濃いブルーのシンプルワンピースに同じブルーのボレロ。
軽く浮いていた私(笑)
でも…いっかぁ(笑)
披露宴は50人くらい。
こじんまりしていたけど、とても素敵な結婚式だった。
両親への手紙で、友美さんが泣きながら手紙を読んでいると、由佳は「友美ちゃん!おめでとう!」と泣き出した。
それを見て、私も貰い泣き😢
友美さんと宮田さんの嬉しそうでもあり、幸せそうな笑顔が印象的だった。
ハネムーンは沖縄に行くと言っていたな😄
幸せそうでうらやましい❤
いつか私も…中村さんと幸せになりたいな😄
由佳は「次は彩乃かなぁ?いつかは私も!ていうか、私みたいな女でもいいって言ってくれる物好きな人いるかなぁ…😞」としょげる。
「由佳なら絶対いい人出来るって!私が男なら絶対由佳と結婚するもん🎵」
「あはは(笑)それを聞いて安心した😄今は仕事が恋人だから、フラれない様に頑張るよ💦」
その時に「すみません…」と声を掛けて来た男性がいた。
あれ?
どっかで会った事がある…
あっ!
直哉と仲が良かった高木さんだ!
そっか💦
直哉と友美さん、同じ会社だったし高木さんは同僚だから、いてもおかしくないよね💦
「ナオの嫁さんだった方ですよね…?」
「そうです。以前は色々お世話になりました」
「いえ、こちらこそ…友美ちゃんと友達なんですか?」
「あっ…はい」
「そうなんですか」
どうやら高木さんは、直哉と友美さんの関係を知っているらしい。
だから私がこの場にいるのが不思議だったんだろうな。
高木さんはそれ以上、深く聞く事もなく「じゃ…失礼します」と会釈をして去って行った。
由佳は黙って見ていた。
森川面接官はとても厳しい。
中村さんは、背筋をピンと伸ばして由佳と話をしている。
ただ、最初だけ(笑)
20分もしたら面接からただの飲み会に化した😁
由佳から「合格!」をもらうと「ありがとうございます!」と喜ぶ中村さん(笑)
「彩乃を悲しませたら、ただじゃおかないからね💢」と由佳が言う。
中村さんは「誓います!悲しませる事は一切しません!」
と敬礼ポーズをとった。
それからも由佳と中村さんは一緒に飲みながら談笑。
私は仕事をしながら、合間を見て邪魔しに行く。
すっかり仲良くなったところでお開き。
中村さんと由佳は、うちの両親に挨拶をして帰って行った。
お母さんが「なかなか素敵な方じゃない😄」と嬉しそう😄
でも、お父さんは何も言わない。
店も終わり、部屋に戻ると由佳と中村さんからメールが来ていた。
「中村さん、いい人じゃない!あの人なら彩乃の事を任せても安心かな?あと、元嫁の事を早急に何とかしてね😠と言っといたから!中村さんと仲良くね❤」と由佳からのメール。
「由佳ちゃんはいい友達だね😄」と中村さん。
にやける私😁
その日は気分良く就寝した。
由佳と中村さんの面接の日が来た。
私は、旅行代理店の仕事があったため仕事が終わったら由佳と中村さんに連絡をする事になった。
仕事を定時に終わらせ、さっさと帰って来た私。
早速由佳と中村さんに連絡をする。
中村さんは「緊張するなぁ~💧」と言っていたけど、由佳は「楽しみ❤」とテンションが高い(笑)
先に由佳が店に来た。
「あら、由佳ちゃん😄」
お母さんが出迎える。
「今日は面接なんです😄」
「面接⁉」
不思議顔のお母さん。
その時に中村さんも店に来た。
「あっ!中村さん!こっちこっち!」
私が手招きする。
由佳は椅子から立ち「はじめまして😄彩乃の友達の森川と申します」と名刺を渡す。
中村さんも「はじめまして、中村と申します」と名刺交換。
2人は手慣れた感じで名刺交換。
何か仕事みたい😅
中村さんが「ご両親にもご挨拶を…」と緊張した表情でお母さんの方を向く。
手には、有名なお菓子屋さんの折りが袋に入っている。
お母さんには言っていたため「お母さん!この人が中村さん😄」と紹介。
お母さんはじっと中村さんを見た後に「中嶋さんと同じ会社の方でしたよね?彩乃がいつもお世話になって…」と頭を下げる。
中村さんは恐縮しながら「こちらこそ、彩乃さんにはお世話になって…宜しければこれ、お召し上がり下さい」とお菓子を渡した。
「あら、お気遣いなく💦」
そう言いながらも、お菓子を受け取り家に入るお母さん(笑)
いよいよ、面接が始まった。
心配だった私は、佐々木さんが戻って来るのをひたすら待った。
どのくらい待っただろう。
すごく長く感じた。
佐々木さんが戻って来た。
「私、実家もないし彩乃ちゃんにこのままお世話になる訳にいかないから…行政のお世話になる事にした。会社も辞めて…いわゆるシェルターに避難する。誰にも言わないで!」
「わかりました」
「彩乃ちゃん…本当に色々ありがとう!ご両親にもありがとうと伝えてね…今日、会社に行って加藤部長に事情を説明して辞めさせてもらう」
「そうですか…」
私と佐々木さんは一緒に会社に向かう。
車の中は静かだった。
佐々木さんはずっと一点を見つめ動かない。
佐々木さんは精神的にも肉体的にも限界を迎えているのだろうとわかる。
いつも後ろで結んでいる長い髪。
昨日、髪をほどいた姿はああちこちが円形脱毛になっていた。
だから、いつも後ろで結んでいるんだなと感じた。
結果、佐々木さんは会社を依願退職しシェルターに入る。
シェルターに入ると、連絡がとれなくなると言っていた。
結局、佐々木さんとはそれ以来会っていないけど、ふと元気かな?と思い出す。
今回の事で、佐々木さんの事を思い出した。
元気ならいいけど…
うちの両親も、原因は良くわからないけどたまに派手な喧嘩をする。
それでも、お父さんはお母さんを殴ったところを見た事もないし、お母さんから聞いた事もない。
とことんまで話し合う。
柔道をやっていたお父さんがお母さんを殴ったりしたら、大変な事になる。
だから、男性が女性に暴力をふるうのが理解出来なかった。
力ではかなう訳がない💧
なのに、力で捩じ伏せて黙らす、言う事を聞かせる。
まるで奴隷だよな😫
だいたいそういう男性って「殴る様な事を言うお前が悪い」とか言う。
違うだろ💢といつも思う。
佐々木さんも、今日逃げて来た女性も逃げたいけど逃げられない状況で我慢して我慢して…限界まで来てしまったのかな。
翌朝、佐々木さんと一緒に佐々木さんちに向かう。
まだ顔は腫れ上がっているため、その顔で外を歩くのは気の毒なので、お父さんから車を借りて佐々木さんちに向かった。
5階建てのマンションの2階が佐々木さんの部屋。
飛び出して来たため鍵がない。
インターホンを鳴らす手が震えていた。
ピンポーン…
音と共に旦那さんが鍵を開けた。
と同時に「こんな時間まで何をしてたんだ?あっ?💢」と怒鳴りながら、佐々木さんの胸元を掴んだと思ったらドスっ!と鈍い音が聞こえた。
殴られたのだ。
「何をしてるんですか!」
思わず叫んで、しゃがみ込んでいる佐々木さんに駆け寄った。
多分、私はすごい顔で旦那さんを睨んでいたんだと思う。
旦那さんは「あっ…いや…」と苦笑いをしながら手を引っ込めた。
「私は、なつみさんと同じ会社の伊藤といいます。昨日はうちに泊まりました。これから一緒に出掛けますので、なつみさんの貴重品を取りに来ました。入れて頂けませんか⁉」
私は強い口調で話す。
旦那さんは何も言わずに、その場から居間に移った。
佐々木さんの財布と免許証は手付かずでカバンに入っていたけど、携帯電話は旦那さんが見たのであろう。
旦那さんの携帯と一緒にテーブルに置いてあった。
佐々木さんは無言のまま支度をする。
旦那さんも私がいるからなのか無言のまま。
佐々木さんの支度も終わり、一緒に出る。
そのまま車に乗り込み、真っ直ぐ市役所に向かった。
市役所の駐車場に着き、佐々木さんは「色々ありがとう…相談しに行ってみるね」そう言って、マスクで顔を隠し目深に帽子を被り市役所に入って行った。
「この間、市役所に行った時にもらった案内書の中にこれがあってね…」
そう言いながら、寝室から出てきたお母さんの手には紙が一枚握られていた。
「DVで悩んでいませんか⁉」という見出しで「悩んでいたらお電話下さい!」という案内だった。
佐々木さんは、じっと紙を見ている。
その後も旦那さんの話を聞く。
四六時中監視されている感じで、全く自由がないと訴える佐々木さん。
旦那さんは自分が絶対で、佐々木さんが一言何か言うもんならキレて殴る蹴る…
その後は優しくなり「悪かった」と謝るから、佐々木さんは許してしまう。
でもまた些細な事で殴られ蹴られ…の繰り返し。
旦那さんは浮気もしていて「男は他に女を作ってくる位がいい。他の女を知る事でお前の大事さがわかる。嫁は、そんな旦那を黙って尽くして当たり前」と良くわからない持論を語るらしい。
そのくせに、佐々木さんが同僚の男性の携帯番号がメモリに入っているだけで激怒。
聞けば聞くほど、こんな男性っているの?っていう疑問がわく。
佐々木さんも「こんな人だとわかっていたら結婚しなかった」と泣き出す。
話をしたら、いくらかスッキリしたのか少し笑顔になった佐々木さん。
話を聞いてあげる事しか出来ないけど、いくらでも聞きます!と言ったら、嬉しそうな顔をしていた。
その日はもう遅いため、うちに泊まる事になり、翌朝私も一緒に佐々木さんちに行く事になった。
夜中の1時半過ぎ、突然家のチャイムが鳴る。
居酒屋も閉店し、片付けている最中だった。
「こんな時間に誰だろ…」
怖いからとお父さんがドアの覗き穴から覗く。
そして、お父さんが慌てて鍵を開けると、裸足でTシャツ、ジャージ姿で顔を腫らして震えている佐々木さんがいた。
「どうしたんですか⁉」
「彩乃ちゃん!助けて!」
佐々木さんは泣きながら私に抱きついて来た。
お父さんは「まずは部屋に…」と言い、居間に通した。
佐々木さんは相当殴られたのだろう。
白いTシャツには、無数の血痕がついていた。
顔も一瞬見ただけでは、誰かわからないくらい腫れ上がっていた。
普段から、旦那さんからの電話にうんざりしていた私は胸が痛かった。
「こんなになるまで殴られて、どうして離婚しないんですか?」
「何度も何度も離婚したいと言ってるのよ、でも絶対離婚しないと言って殴られて…」
「家を出たらどうですか?」
「そんな事をしたら殺されてしまう」
「そんな事を言ってたら何にも解決しないじゃないですか!佐々木さん!しっかりして下さい!」
「じゃあ、私はどうしたらいいの⁉」
そう言って泣き出してしまった。
佐々木さんには実家がない。
両親は既に他界され、住んでいた家は借家だったため大家さんに返し、兄弟もいない。
頼れる人がいないのだ。
「警察に相談したらどうですか?こんなになるまで殴られて…傷害罪で訴えればいいんですよ😠」
その時にお母さんがタオルと麦茶を持って来てくれた。
「彩乃の会社の方ですか?いつも彩乃がお世話になっております」
「こんな時間にすみません」
「それはいいんだけど…ひどく殴られて可哀想に…」
「ねぇ!お母さん、警察に行った方がいいよね!」
「そうね…あっ!ちょっと待って!」
お母さんは何かを思い出した様に、寝室に入って行った。
直哉は、どうしようもないやつだったけど、顔があんなになるまで殴ったりはしなかったな😅
そういえば…
話しは変わるけど、前の会社で佐々木さんという女性がいた。
旦那のモラハラ、DV、束縛で精神的に崩壊してしまい会社を依願退職した時はまるで別人になっていた。
顔を腫らしての出勤は日常茶飯事、毎日会社に旦那から「出勤してますか?」とか「今日は何時までの勤務ですか?」と連絡があり、仕事が終わる頃には必ず旦那が迎えに来ていた。
飲み会に誘っても「旦那同伴じゃないと許してもらえない」と言っていた。
仕事以外の外出は必ず旦那同伴、友達と遊びに行くと言えば「浮気か?わざわざ遊びに行かなくても家に呼べばいい。どうしても行きたいなら俺同伴」と言われ、携帯に電話して出ないと怒られ、メールも5分以内に返信しないと怒られるそうだ💧
佐々木さんは、円形脱毛症と胃潰瘍、下痢と嘔吐を繰り返し半年で15キロも痩せた。
離婚すると言えば、狂った様に殴られ蹴られ…
一回だけ、近かった私の家に逃げて来た事があった。
その時の佐々木さんも裸足だった。
少し経ち、女性も落ち着いた。
お母さんがコップに水と氷を入れて女性に渡すと、女性は「すみません」と言いながら水を口にした。
「お騒がせして申し訳ありませんでしたm(__)m私、この店の隣のアパートに住んでて…彼氏からの暴力に耐えられなくなり逃げて来ました」
うちの隣には、2階建ての独身者用のアパートがある。
大家さんが裏に住んでいて、たまにうちの居酒屋を利用してくれる。
「ご迷惑おかけしました💦すみません」
女性はペコリと頭を下げて店を出ようとした。
中嶋さんが「まさか家に帰るのかい⁉このまま警察に行きなさい!あなた、このまま家に帰ったら本当に殺されてしまうよ!」
「でも…そんな事をしたらそれこそ何をされるか…」
その時、うちの玄関のチャイムが鳴る。
私が出ると、お巡りさんが何人か立っていた。
お父さんが連絡をしたらしい。
店からだと目立つから、自宅からとお願いをした。
女性はお巡りさんと中嶋さん、おっちゃん達に諭されて、その姿のままパトカーに乗って行った。
裸足だったため、今は使っていないペタンコサンダルを女性に渡した。
女性がお巡りさんと一緒にいなくなると、おっちゃん達は「どんな理由であれ暴力はいけないな😠あのねーちゃん、大丈夫かな」と心配している。
それからすぐに、おっちゃん達は帰って行った。
中嶋さんも帰り、店もすぐに閉めた。
その日の夜は、中村さんは会社の同僚と飲みに行くらしく、私は店に出ていた。
今日も暇だな😅
平日だしな。
お客さんは近所の顔見知りのおっちゃん達が集まり、小上がりで飲んでるグループと中嶋さんだけ。
いつもの様に、カウンター越しで中嶋さんと話していると、出入口からすごい勢いで若い女性が走って入って来た。
突然の事に驚き、私を含め小上がりのおっちゃん達も中嶋さんも一斉に出入口に顔を向ける。
「助けて!助けて!」
泣きながら若い女性は訴える。
良く見ると、靴ははいておらず裸足のまま、顔は腫れ上がり鼻血が出ていた。
中嶋さんが「お嬢さん!どうしました⁉」と慌てて女性のもとに駆け寄る。
小上がりのおっちゃん達も「おい!大丈夫か⁉」と駆け寄る。
騒ぎにお父さんとお母さんも厨房から出てきた。
女性は体を小刻みに震わせながら「彼氏に別れ話をしたら殴られて…あきらに殺させる!」と言いながら泣き出した。
その話を聞いた小上がりにいたおっちゃんの一人が、外に出て周りを見渡している。
女性が言う「あきら」という人を探している。
そして「あいつか⁉」と指を指した方向に明らかに挙動不審な男性を発見。
おっちゃんは「おい!」と声を掛けると、男性はダッシュで走って何処かへ行ってしまった。
お母さんが「ちょっと店、一旦閉めるから」とのれんを外しに外へ出る。
お父さんが小上がりに女性を座らせ「彩乃!タオルを持って来てあげなさい」と言い、私は慌てて家に入り洗面所から濡らしたタオルと乾いたタオルを何枚か持って女性に渡した。
女性は泣き止まない。
中嶋さんもおっちゃん達も私も、黙って泣き止むのを待った。
他愛もないメールでも、必ずくれる。
仕事が終わってから見るメールは、楽しみの一つ。
夜中になるため、返信は朝になる。
今日は龍輝くんと小春ちゃんの笑顔の写メール付き😄
お風呂に入り、横になり携帯をいじっている間に寝てしまったらしく、由佳からの電話で目が覚めた。
「おはよう~!まだ寝てた?」
「うん…」
「起こしてごめ~ん!💦これから車を取りに行ってもいい⁉」
「えっ?あっ…うん」
そうだった💦
すっかり忘れてた😫
私は、預かった鍵を持って下に降りる。
まだ両親は寝ている。
静かに玄関まで行き、由佳を待つ。
ボサボサ頭だけど仕方ない😅
由佳が来た。
「寝てるところごめんね💦今日、早く行かなきゃならなくて😫昨日はありがとう!おじさん、おばさんにもお礼を言っておいて!じゃあ~仕事行って来るわ!」
そう言って、慌ただしく車に乗り込み走って行った。
まだ眠たかった私は、部屋に戻り再び横になる。
この二度寝がいけなかった💧
久美子さんからの電話で起こされた😱
「すみません💦すぐ支度して行きます!」
もう既に出勤時間から30分が過ぎていた。
慌てて支度をし、急いで家を出る。
途中で携帯を充電したまま置いて来た事に気付いたけど、取りに帰る時間がないため携帯を諦め、旅行代理店に着いた。
既に1時間以上の遅刻💧
「すみませんでした💧」
「寝坊するとは…夜更かしもほどほどにしなさい」
着いて早々、春美さんに怒られた💧
みんなにも謝る。
「大丈夫!寝坊は誰にでもあるから😄」
「本当すみませんでした😫」
大変な朝になってしまった😅
いつもはお昼に中村さんにメールをするけど、今日は携帯を忘れて来たため、何となくつまんないお昼休みになる。
仕事が終わって、真っ直ぐ家に帰ると中村さんから3件のメール。
「連絡ないけど、どうしたの⁉」という内容のもの。
心配かけちゃったな💦
中村さんに謝罪メール。
そして、由佳が面接したいって言ってた事も一緒にメールをする。
中村さんは「わかったよ😁」と言ってくれた。
由佳とも話をして、休みが重なる1週間後が面接日になった。
「彩乃も飲まない⁉」
「ん~じゃ、一杯だけ飲むかな🎵由佳!今日は私のおごり✌」
「マジで⁉彩乃!愛してる~❤」
喜ぶ由佳😄
私も自分の分のビールを用意。
「かんぱ~い❤」
「ぷはぁ~たまらん😆」
いつもの由佳😄
そして、お気に入りのキムチチャーハンも出来上がり、お母さんが持って来てくれた。
「今日はお父さんから😄」
「えっ⁉いいんですか⁉」
「カステラのお礼…って言うにはお粗末なものだけど、由佳ちゃんが気に入ってくれているみたいだから、是非食べていって!」
「ありがとうございます!」
今日はチャーハンの上には目玉焼きが乗っている。
「頂きま~す😆」
美味そうに食べる由佳。
「やっぱりうまいっ!」
「ありがとう😄」
由佳はあっという間に完食し、サラダや焼き魚を注文。
「こりゃ~いつまで経っても痩せないな😫」
そう言いながらも飲んで食べての由佳。
結構飲んだな~😲
私も、一杯だけなんて言いながら「一杯」飲んじゃった💦
夜も11時を過ぎ、由佳は「明日も仕事だし帰るね~!今日はありがとう!ごちそうさまでした!」と言ってタクシーを呼んで帰って行った。
由佳の車は、うちの車庫でお泊まり。
一応、念のため車の鍵は預かった。
店は暇なため、早目の閉店。
部屋に戻ると、中村さんからメールが来ていた。
「あのおやじ、最初に伺った時は別に普通だったんだけど、それから度ある事に私を指名してきて、ヘラヘラしながら私を見て来て、気持ち悪いったらありゃしない😱」
一気に喋る由佳。
「うーん…私なら次を見付けて辞めるかな😅」
「だよねぇ…😞」
「それか、上司に相談してそのおやじの会社には絶対行かない様に配慮してもらうとか…」
「私じゃないと嫌だって言うのよ…アホかって💢」
由佳の怒りは相当みたい。
そりゃそうだよな😫
面倒な人に好かれてしまったな😅
「やっぱり辞めるしかないかぁ~辞めたくないけど😞」
由佳は、20歳からずっと今の会社で頑張っている。
今では女性でただ一人の主任になり、後輩の指導にあたったりしている。
由佳本人は「すっかりお局様(笑)だってみんな結婚して辞めてくんだもん💦」
なんて前に話してた事がある。
仕事も任され、上司や後輩からも信頼されている由佳。
愚痴は良く聞くけど、辞めたいとは言わない由佳が辞めるって言うって事は相当な事。
いつも由佳からは色んなアドバイスくれているのに、由佳がピンチの時に何のアドバイスも出来ない私😫
でも、絶対何か良い方法があるはず!
由佳が「ねぇ、店で一杯飲みたいな😁」
「えっ⁉でも車でしょ⁉」
「車だけ一晩泊めて😁明日の朝は、うちのおやじにここまで乗せて来てもらうから!」
「由佳がそれで良ければ、うちは構わないけど…」
「じゃあ~決まり🎵飲まずにやってられるか!!!」
由佳は早速、下に降りて裏口から店に入る。
今日は暇らしく、お客さんは一組しかいない。
「あら由佳ちゃん😄ご飯食べてくの?」
「はい!キムチチャーハンお願いします!」
お母さんが早速厨房にいるお父さんに伝えに行く。
「彩乃!ビール!」
「りょーかい!」
私は早速、生ビールを由佳の前に置く。
「元嫁はただ、嫉妬してるだけじゃない⁉これもまた勝手な私の憶測なんだけど…元嫁は多分、子供がいるから子供を理由に男と別れたら中村さんに戻れると思ってたんじゃない?言い方は悪いけど保険みたいな…でも、彩乃という新しい彼女が出来た事で戻れなくなった。だから嫌がらせをして彩乃を今の座から引きずり出すつもりだった。でも彩乃が諦めないため行動に出た。違うかなぁ?」
由佳は難しい顔をしながら話す。
「どうなんだろうね💦」
「だってさ、中村さんが「また男作ったらいなくなる」みたいな事を言ってたんでしょ⁉だったらきっとそうだよ」
元嫁は綺麗な人だし、まだ若いし、きっと男はほっとかないだろうな。
「そんな女、ほっときゃいいんだよ、ほとぼり冷めたら嫌がらせもなくなるだろうしね😅逆に構うと益々酷くなりそう😱」
そうしようかな💦
「ところでさ、話しはガラリと変わるんだけど…会社の取引先のおじさんには参っちゃってさ😫」
話を聞くと、取引先の社長さんが由佳の事を気に入り、結婚もしてる50代のおじさまなのに、由佳をホテルに誘うらしい。
丁重に断ると「取引はなかった事に…」と言われて、由佳は会社の上司に相談。
上司は大事な取引先なので由佳に「一回くらい付き合ってあげて欲しい」と言われたそうだ😱
毎日しつこく連絡があり、今日も連絡があり断ると「部長さんに代わって頂きたい」と言って来たらしく、言われた通りに部長に変わると、すごい剣幕で「森川という従業員のしつけがなってないんじゃないのか?」と怒鳴られたらしい💧
由佳は、あんなオヤジとホテルなんて死んでも絶対嫌だ!
でも、このままなら理奈の件もあり解雇される可能性が高い。
彩乃ならどうする?という話しだった。
その後、由佳に中村さんとの事を話す。
元嫁の事、龍輝くんや小春ちゃんの事も、プロポーズされた事も全て。
由佳は「うーん…まず、私は中村さんに会った事がないから、私が面接しよう!彩乃を本当に大事に想ってくれているのか…親友をバツ2にはしたくない😅」
そういえば、中村さんと由佳は会った事がないな💦
「履歴書持たす?」
「その方が嬉しいね😁」
「休みが合えばいいんだけどね」
「彩乃んちの店でいいじゃん!彩乃は仕事しながらになるけど、時間とれるんじゃない?私はそれでも全然構わないよ~😄」
「あっ💡そうだね!」
後で中村さんに連絡してみよう!
「あとさ、連れ子ちゃんがいるのは大変だと思うけど…私さ、思うんだけど彩乃は今のままでもいいと思うんだ!変に好かれようとしたりするのは疲れちゃう💦ママが一番なのは仕方がないと思うの。
きれいごと抜きで連れ子ちゃんを我が子同然で愛すのはかなり難しいと思うし、彩乃の両親にしたら他人の子だし…悪いけど私には無理かな。っていうか、私は連れ子ちゃんを育てる自信がない💦
彩乃に中村さんとの子供が出来ても、連れ子ちゃん達を同様に愛せる?結婚したらずっと育てていかなきゃならないんだよ?やっぱり他人の子供っていうので気を使わない?例えば我が子には叱れても、連れ子ちゃんには気を使って本気で叱れないとかない?」
「正直、気は使うよ…嫌われない様にとかね」
「継母は大変だと思う。でもね、彩乃が本気で色んな覚悟で中村さんと一緒になるなら全力で応援するし、協力もする。でも悩んでるなら止めた方がいい。連れ子ちゃん達が可哀想だよ…今はママかもしれないけど、彩乃が継母になり連れ子ちゃん達にたくさん愛情を注いだら、大人になったら絶対感謝される日は来る!」
「うん…」
「彩乃が継母になって、もしくじけそうになったら私に話してみ!多少の力にはなれると思うから!きつい事言ったかもしれないけど、彩乃が心配なのよ😞絶対無理はしない!一人で悩まない!何かあったら、必ず私に言う事!」
「はい😅」
ありがとう、由佳。
「この間、会社で使っているサンダルが壊れてさ、仕事帰りに買い物に行ったんだ、そしたら彩乃の元旦那とバッタリ会って声を掛けられてね…」
直哉の事か。
あれから会ってないけど…
「最近会った?」
「全然」
「何かね、すごく痩せて疲れ切った表情をしていて、最初声を掛けられた時一瞬誰だかわからなかったの💦」
そうなんだ…💧
「元旦那に「あの…理奈と彩乃の友達でしたよね…?」って言われて「あっ!彩乃の旦那だった方ですよね?」って聞いたら「そうです」って。少し立ち話をしていたんだけど、元旦那が「もしお時間あるなら、少しお付き合い頂けませんか?」って言われて、断るのも悪いと思って近くのファミレスに入ったのよ」
由佳は頼りにされると断れないからな💦
「理奈からの電話とメールが酷くて、精神的に壊れてしまったらしい。でも私からしたら悪いけど自業自得。彩乃を捨てて理奈を選び、理奈がそんなんで今度は別れられなくて悩んでますって…おかしいでしょ😒冷たいかな、私😅」
「いや、全然!」
「元旦那がね「どうやったら理奈と縁が切れるでしょうか?」と相談されたから「無理でしょうね」って言って来た。ゆいちゃん…だっけ⁉赤ちゃんもいるし、赤ちゃんの父親である以上縁なんて切れる訳がない」
まだ続いてるんだ😅
「あれから理奈からの良くわからない電話やメールはなくなったから安心してたけど、元旦那には未だにしつこいみたいだね。言ってたよ。「俺がバカだった。彩乃を裏切り傷付けた罰なんだな…彩乃の大事さが身にしみた。出来れば彩乃とまたやり直したい」って」
今更後悔しても遅いんだよな💧
戻る気なんて全くないし、今の私には中村さんがいるし…中村さんがいなくても戻らないな😅
「要は、理奈と別れて彩乃とやり直したい、そのためにはどうしたらいいのか?っていうのを私に相談して来たって事なんだよね…でも「両方無理」ってキッパリ言って来た。だって無理だもん」
相変わらず都合良いな、直哉は。
由佳が言ってる通り、無理なもんは無理です!
由佳がお菓子を2つ持って来た。
由佳が好きなチーズケーキと、お母さんが好きなカステラ。
「彩乃んちのおじさん、おばさんにはお世話になってるから😄給料日前でお金ないから、たいしたもんじゃないけど💦」
「そんな事ないよ💦わざわざありがとう😄」
お母さんが「あら由佳ちゃん!いらっしゃい😄」と出迎えた。
「お母さん、由佳がカステラお土産で持って来てくれた」
「あらまぁ!由佳ちゃん!そんな気を使わないで💦」
「いつもお世話になってるから…」
「何だかごめんなさいね💦」
でも大好きなカステラに何だか嬉しそうなお母さん😁
「ゆっくりしていってね😄」
「ありがとうございます!」
由佳と私は、部屋に向かう。
「汚いけど😅」
「わかってる😁」
由佳はテーブルにチーズケーキを置き、袋からペットボトルのお茶を2本取り出した。
「まずはチーズケーキ食うか😄」
「食べる~😆頂きます✨」
チーズケーキを頬張る。
「ん~やっぱりうまい❤」
ご満悦の由佳。
私も美味しく頂く。
チーズケーキも食べ終わり、由佳が「あのさ~早速なんだけど…」と話をして来た。
すっかり長居してしまった。
「あーちゃん、トランプやろ😄」
龍輝くんがトランプを持って来た。
「もうあーちゃんは帰らなきゃならないんだ。だからトランプはまた今度な」
「もう帰るの~?」
「明日もお仕事があるんだよ」
「はぁ~い😞」
寂しそうな2人。
「気をつけて帰ってね😄」
「お邪魔しました💦」
両親と龍輝くん、小春ちゃんが見送ってくれる。
中村さんが家まで送ってくれる事に。
「これから由佳ちゃんと約束があるんだよね?」
「うん…」
「いきなり結婚の話をしてごめん。いずれは…近いうちに改めてプロポーズするから覚悟しておいてね😁」
「どうしようかな(笑)」
「え~💦」
「ウソウソ😁でも、その前に元嫁の事…」
「わかってるよ」
そんな話をしているうちに家に着いた。
「今日は由佳ちゃんとゆっくりね😄」
「ありがとう」
お礼を言って車を降りた。
玄関に手を差し出そうとした時に携帯が鳴る。
由佳からだった。
「もしもし~彩乃!今、仕事終わった~!これから行ってもいい?」
「お疲れ!私も今、帰って来たとこ😄」
「あと15分くらいかなぁ~?」
「うちに上がる?」
「彩乃がOKなら!」
「うちは大丈夫だよ!じゃあ~待ってるね😄」
「じゃあ~また後で!」
電話を切ってから、ふと気付く。
部屋の掃除してないや😱
汚いけど…由佳が座れるスペースはあるから…いや、少しは片付けないと💦
慌てて部屋に行き、バーっと片付ける。
慌ててる私にお母さんが「誰か来るの?」と話し掛ける。
「ごめん、由佳が来るんだ💦」
「あら、由佳ちゃん来るの?」
「店は由佳が帰ってからでもいい?」
「いいわよ😄」
その時にインターホンが鳴る。
由佳が来た!
保育園に迎えに行く時間になった。
「あいつらを迎えに行くかな!彩乃ちゃんも一緒に行こうか😄」
「えっ?一緒に行ってもいいの?」
「もちろん!行ってる保育園がどんなところか知って欲しいし😄」
私も一緒に保育園に向かう。
車で5分程のところにあった。
可愛い子供達がパパやママの迎えを待っている。
「あっ!パパ!あれ?今日はあーちゃんも一緒なの?」
龍輝くんが驚いた表情で私を見た後、私と手を繋ぎ「あーちゃんが来るなんて嬉しい😄」と繋いだ手を振っている。
小春ちゃんが後から来た。
「あーちゃん!」
手を振っている。
保育士さんにバイバイをして、車に乗り込む。
龍輝くんと小春ちゃんが保育園での出来事を話す。
「今日はね、りくとゆうきと遊んだの!」
「小春はね、お絵かきしたの!」
楽しそうに話をする2人。
「そうか」と話を聞く中村さん。
家に着き、元気に「ただいま~!」と玄関に入る龍輝くんに小春ちゃん。
用意してあったおやつを食べた時に、中村さんが「おい!ちょっとこっちに来い!」と2人を呼んだ。
「もしあーちゃんがお母さんになったらどうだ?」
「あーちゃん、お母さんになるの?」
「お母さんになったら嬉しいか?」
「うん!あーちゃんがお母さんになったら、ずっと一緒にいるんだよね?」
「そうだよ」
「ママじゃなくなったママよりあーちゃんがいい!」
「小春も!」
2人は嬉しそうに話す。
そんな2人を見て、私も嬉しくなる。
テーブルを挟み、私と中村さん、向かいには両親が座る。
お母さんが「帰って来たばかりで何にも用意してなくてごめんなさいね💦」と言いながら、麦茶とお土産のお菓子を出してくれた。
「すみません💦お気遣いなく💦」
恐縮する私。
帰宅早々お疲れのところ申し訳ない💧
「早速なんだけど…俺、彩乃ちゃんと近々結婚しようと思ってるんだ。彩乃ちゃんのご両親には、居酒屋がお休みの時に時間があればご挨拶に行こうと思っている」
中村さんが話すと、お母さんが「彩乃ちゃんが来てくれるのは嬉しいんだけど…まずはあんた、麻衣子ちゃんの事どうするのよ」
「どうするのって…戻る気はないし」
「実はこの間、麻衣子ちゃんから電話が来てね、あんたとよりを戻しました。龍輝と小春を近いうち会いに行きますって言ってたのよ。あの子達、やっとママの事は落ち着いて来たのに…」
「あいつは俺に新しい彼女が出来て面白くないだけなんだよ💢男と別れて寂しくなったんだろ?また新しい男が出来たらいなくなるよ。子供より男を選ぶやつだから」
「麻衣子ちゃんには子供達を任せるのはちょっと怖いのよね…」
まだ赤ちゃんだった小春ちゃんを家に放置して、朝から晩まで男と会ってた事が良くあったらしいから…恐ろしい話しだ😱
「あいつはまた男見つけるよ…男切れた事がないから」
その時お父さんが「彩乃ちゃん、麻衣子ちゃんの事が落ち着いたら是非ご両親にご挨拶をさせて頂きたい。私達はあなたが来てくれるのは本当に嬉しい事です」
「ありがとうございます!両親には伝えておきます」
緊張するなぁ💧
結婚の挨拶は2回目だけど😅
まずは元嫁の事を解決しないと、先には進めない。
何とかしないとな💦
「もしもし?彩乃⁉ごめん、忙しかった?」
「大丈夫だよ!」
「今日の夜って時間ある?」
「大丈夫だよ!」
「私、まだ仕事中なんだ💦終わったら連絡するね!」
「わかったよ!」
「由佳ちゃん?」
電話を閉じた私に中村さんが話し掛ける。
「うん、何か私に話があるっていうから夜、由佳と会って来るね😄」
「わかったよ😁」
それから中村さんの卒業アルバムを見つけた。
…何かガラ悪いよ😅
「ヤンキーだったの?」
「違うよ💦ビーバップが流行ってた時期だから、だいたいみんなこんな格好してんじゃん😁」
「あっ、本当だ(笑)」
「懐かしいな、もう10年以上前だもんな」
他のアルバムも見せてもらう。
元嫁との結婚式の写真が出て来た。
嫉妬する私。
「まだ未練あるみたいだね。幸せそうに笑ってるね😒」
中村さんは「あれ?捨てたつもりだったのに、まだ残ってたんだ💦」とあっさり写真を破いてゴミ箱に捨てた。
あっさり過ぎて苦笑いする私😅
その時に、玄関が開く音がした。
中村さんの両親が帰って来た。
「帰ってるの~?」
下から叫ぶお母さん。
私は慌てて下に降りてご挨拶。
「ゆっくりしていってね😄」
「ありがとうございます😄」
親戚の家に行ってたそうで、お土産として頂いたお饅頭をくれた。
その時に中村さんが「今、あいつらいない間にちょっと話があるんだ」と両親に話す。
両親は察した様子で、無言でテーブルに座った。
中村さんが「少しゆっくりしながら彩乃ちゃんと話がしたい。今日、俺の親いないんだ😄子供達は保育園だし、俺んちに来るか!」
そう言って中村さんちに向かった。
途中、お菓子や飲み物を買う。
中村さんちに到着。
中村さんちには何度か来た事はあるけど、中村さんの部屋は初めて。
2階には2つ部屋があり、1つはお兄さんの部屋。
とてもシンプルな部屋だった。
奮発して買ったらしい大きなテレビ、隣の棚にはCDやDVDが綺麗に並べてある。
反対側にはベッドが置いてある。
その隣に中村さんが使っていた学習机が置いてあり、パソコンや機械が置いてあった。
「何にもないでしょ😁」
「すごいシンプルな部屋だね」
「ごちゃごちゃしてるのが苦手で、この間いらないものを一気に捨てたら尚更すっきりした(笑)」
私の部屋より全然綺麗にしている😅
中村さんも私も部屋の真ん中に置いてあるテーブルに座る。
買って来た飲み物を飲む。
少し、お互い無言の時間が流れる。
「彩乃ちゃん…」
口を開いたのは中村さん。
「彩乃ちゃん…元嫁のせいで気分悪くさせてごめん…元嫁とはまた一緒に暮らしたいとは思わないし、顔も見たくない。心配ないよ!元嫁の事が落ち着いたら結婚しようか」
「えっ?」
「中村彩乃になって欲しい😄」
「でも…」
「でも…何?」
「子供達はどう思うかな」
「きっと喜ぶよ!今日話そうと思ってるんだ」
「子供達が喜んでくれて、みんなが歓迎してくれるなら…でも、ママを選ぶなら…」
「ママを選ぶ事はないな、絶対喜ぶよ!」
「だといいけど…」
「彩乃ちゃん!俺は彩乃ちゃんに嫁さんになって欲しい!嫌か?」
「嫌な訳ない!でも…」
「元嫁の事は心配ない!俺は彩乃ちゃんを愛しているんだ!」
そう言って私をギュッと抱き締めた。
「ありがとう」
私は嬉し泣き。
チューされて、いい雰囲気になった時に私の携帯が鳴る。
「ごめん😅」
私は慌ててカバンから携帯を取り出す。
由佳からだった。
焼き肉屋さんでランチセットを注文。
美味そうに焼かれているお肉。
いつもなら迷わず食らい付くんだけど、今日は食欲がない。
大好物なのに…お腹もメチャクチャ空いてるはずなのに、全くと言っていい程喉を通らない。
「食べないと元気出ないよ」と中村さんは言うけど…食べたいけど食べられない😫
その時に中村さんの携帯が鳴る。
元嫁かららしい。
「ごめん、ちょっと…」
そう言って焼き肉屋の出入口に向かった。
はぁ…
深いため息が出る。
うーん!
悩んでいても仕方ない!
今は焼き肉に釣られてみよう!
ちょっと焦げちゃった焼き肉を頬張る。
一口食べたら食欲が復活してきた。
中村さんがいない間に一気に平らげた。
その時に中村さんが戻って来た。
「あれ?彩乃ちゃん、もう食べたの?」
「もうじゃなくて、それだけ長電話してたって事じゃないの?😁」
「あはは😅」
苦笑いする中村さん。
あえてこの場では何も聞かない。
中村さんもご飯を食べ終えて焼き肉屋さんを後にした。
すぐに中村さんが走って来た。
「彩乃ちゃん…ごめん…俺、彩乃ちゃんの気持ち考えてなくて…」
「いや…別に…」
「彩乃ちゃん、気張らなくていいんだよ!俺は彩乃ちゃん、すごくやってくれてると思う。俺が東京に行ってる間もあいつらに会いに行ってくれてるし、いつもあいつらを気にかけてくれている。今も十分頑張ってくれている。その姿がすごく嬉しいんだ!でも…もし、それが彩乃ちゃんにとってプレッシャーになるなら…もっと楽になって欲しい」
中村さんの「十分頑張ってくれている」という言葉がすごく嬉しかった。
他人の私が子供達に出来る事は、どうしても限られてしまう。
でも「これでいいのだろうか?」という不安がついて回った。
嫌われないだろうか…とか、ママ代わりになれるのかな…とか色んな不安があった。
どこかで認めて欲しかったのかもしれない。
でも、中村さんの一言で少し不安がとれた。
「少し笑顔になったね」
中村さんがそう言う。
「彩乃ちゃんが好きな焼き肉でも食べに行こうか😁」
焼き肉と言う言葉に反応する私。
車に戻り、近くの焼き肉屋に向かった。
涙が溢れる。
ファミレスを出て、近くの公園に着いた。
小さい子供を連れてお散歩しているママ、子供と一緒に遊んでいるママ。
ベビーカーに乗っている赤ちゃんが泣いている。
ママは赤ちゃんをあやすけど泣き止まない。
途中にあったベンチに座りミルクをあげると、赤ちゃんは美味そうにミルクを飲む。
一緒にいたスカートをはいた女の子が、赤ちゃんの頭を撫でている。
私は、子供を生んだ事も育てた事もない。
龍輝くんも小春ちゃんも、ママが大変な思いをして生んで、あーやってミルクを飲ませて育てて今の子供達がいるんだよな。
その時に私の携帯が鳴る。
中村さんからだった。
「もしもし」
「何処にいるの⁉」
「近くにいるけど…」
「今行くから、場所教えて!」
「元嫁は?」
「もう帰った」
「…近くの公園」
「わかった!今から行くから!」
そう言って電話が切れた。
そんな私も、内心は複雑な気持ちだった。
私は中村さんの嫁ではなく彼女の立場。
何の権限もない。
中村さんの事は好きだし、本当に愛してる。
愛してる人の大事な大事な子供達の事も可愛いと思うし、私なりに大事に思っている。
でも…子供達はどう思っているんだろう。
小春ちゃんはたまにママの話をする。
「ママはね、可愛くて優しいんだよ!」
「ママとね、遊園地に行ってね、映画も一緒に行ったんだよ!」
小春ちゃんにとってはママとの大事な思い出。
一方、龍輝くんはママの話しは一切しない。
小春ちゃんがママの話をすると「ママの話しはするな!」と小春ちゃんを叱る。
その代わり、龍輝くんは目一杯私に甘えてくる。
きっとママに甘えられない代わりに私に甘えてくるのかもしれない。
まだ年長さんなのに、ママへの思いをしまい込んでいるんだろうな。
胸がしめつけられる思い。
きっと中村さんもわかっている。
だからこそ、元嫁を子供達に会わすのを頑なに拒んでいるんだろうと思う。
子供達の事を考えれば、私は身を引いた方がいいのかもしれない。
中村さんも子供達も大事だからこそ、そうした方がいいよね。
色んな考えが頭を駆け回る。
考えれば考える程、冷静さが失われていく。
「中村さん…少し時間を下さい!」
私はそう言って、思わずファミレスを飛び出した。
まるで、あの時の理奈と同じ感じ😱
自分の思い通りにいかないと、思い通りにするために手段は選ばない。
自分さえ良ければ、周りの事なんて関係ない。
そんな感じがする。
「あんたは龍輝や小春の出生体重言える?どんな風にして生まれたか知ってる?所詮他人のあんたは知る訳ないし!」
「確かに私はお腹を痛めて生んだ訳ではありません。出生体重も知らないです。血の繋がりもありません。でも、龍輝くんと小春ちゃんを誰よりも愛していますし、誰かさんの様に放置して出掛けるなんて出来ません!今は一緒に遊んでくれるおばさんかもしれませんが、あなたの様な母親よりは母親出来る自信はあります」
「何よ💢私はあの子達を生んだのよ?」
「そうですね、子供達を無事に生んでくれた事は感謝致します。生みの親ですからね。血の繋がりも大事ですが、信頼関係も大事だと思います。龍輝くんがママの話をした時の顔知ってます?あなたは彼らの心の中に大きな傷を負わせたんですよ?今更ママだよ!と会ったところで、彼らの傷が治るとは思いません。むしろ広げてしまうと思います。」
「あんたに何がわかるって言うのよ!」
「わかりますよ、私は彼らを愛してますから。あなたの知らない今の子供達を私は知ってますから」
パシーッ!
元嫁が私の頬をビンタする。
「殴って済むならいくらでもどうぞ」
そこへ中村さんが「おい麻衣子、もうお前は中村家では全く必要ないんだよ。子供達には会わさないしお前とよりを戻す気は全くない。これ以上、迷惑をかけるなら俺は弁護士に相談する。」
「何よ!バカにして!死んでやる!」
「死ぬ度胸があるなら何でも出来るな」
悔しそうな顔をする元嫁。
⚠訂正⚠
302の話の中で
「喫煙席を指差した」とありましたが→
「禁煙席を指差した」の間違いです💦
お詫びして訂正致します。
どうもすみませんでした😢
――――――――――――
「子供達に会わせてよ!」
「あいつらを巻き込むな!」
「どうしてよ!」
「お前は勝手過ぎるんだよ!男作ってあいつらを捨てていったくせに、今になって何を母親ヅラしてるんだ?💢男と別れて寂しくなって戻って来てやり直したいだ?ふざけんな💢」
「何でよ!あんただって今違う女いるじゃない!同じ事よ!」
中村さんと元嫁が言い合いを始めた。
それを黙って見ているしか出来ない私。
元嫁は自分の言い分全てを拒否されて、イライラしている様子。
「私はただ、またみんなで暮らしたいだけなの!」
「無理に決まってるだろ💢」
そして「俺はお前とはよりを戻す気は全くない。俺は彩乃ちゃんと結婚しようと思ってる」
えっ?
突然の「結婚」という言葉にビクン!となった私。
「このブッサイクな女のどこがいいのよ!こんな女より私の方がいいに決まってるのに!」
元嫁は私を睨み付け「あんたがいなければ私達はよりを戻せたのに…許せない」
そう言って、グラスに入っていた水を私にぶっかけた!
「何すんのよ!」
私は慌てて席を立ち上がりおしぼりで水を拭く。
「この人と別れてよ!」
「嫌です」
「はぁ~⁉」
今度は私と元嫁のバトルが始まった。
元嫁と中村さんが座る。
中村さんが私の隣に座ろうとした時に元嫁に腕を掴まれて、元嫁の隣に座る事になった。
元嫁がカバンからタバコを取り出し火を点けた。
そして、向かいに座っている私に煙を「フゥー」と吹き掛けた。
煙くて眉間にシワを寄せて隣の席に無言で移動する私。
そんな私を見て、タバコを吸いながらバカにした様にニヤッと笑う元嫁。
中村さんが「煙を吹く方向を考えろ!」と怒鳴るも元嫁は「ここは喫煙席、煙かったらあっちに行けば?」と喫煙席を指差した。
タバコを吸い終わった元嫁が「早速なんだけどさ、あんたブサイクね(笑)私なら自殺もんだわ」
宣戦布告か。
ブサイクとデブは自覚してるから、別に何を言われても気にならないもんね~😜
元嫁は私に「あんたはね、所詮他人なの。龍輝や小春にもなつかれてるみたいだけど、ただの遊んでくれるおばさん。龍輝と小春を生んだのはこの私。あんたは私には敵わないのよ。あんたは龍輝や小春の出生体重言える?どんな風にして生まれたか知ってる?知る訳ないよね~他人なんだから。だからあんたに子供達に会う資格はなし!」
それを聞いた中村さんが、「お前、あいつらに何て言われてるか知ってるか?「ママじゃなくなったママ」って言われてるんだ、龍輝はお前に捨てられたと思ってて、お前の話をする小春にマジギレしてるんだよ、どのツラ下げてあいつらに会うんだ?あいつらの気持ちも考えろ!」
「今だけでしょ、ママが一番に決まってるじゃない」
余裕な元嫁。
その日は私も中村さんも会社を休んだ。
中村さんは子供達を保育園に送ってから私と合流。
元嫁を呼び出した。
30分後、元嫁が来た。
ジーンズにTシャツというラフな格好の元嫁。
髪は胸まであるストレートで、風でサラサラと茶色い髪がなびく。
子供を2人生んだとは思えない華奢な体型。
背は普通だけど、細いからスラッと高く見える。
顔もなかなかの美人さん。
見た目は、サバサバしてそうな感じで想像と全く違った。
「麻衣子…話があるんだ」
元嫁って、麻衣子っていうのね💦
今、初めて知ったよ😅
元嫁は私を見て「良かった、私もこの女に話があるのよ」と言った。
目力がすごい元嫁。
何か負けてしまいそうなビビりな私…
彩乃!負けるな!
自分に言い聞かせる。
元嫁が感情的にならない様に、近くにあった24時間営業のファミレスに入る。
時間が中途半端なため、お客さんもまばら。
飲み物を注文し、話し合いをする事になった。
この日から、元嫁のストーカー行為が始まる。
中村さんが元嫁に言えば言う程、ストーカー行為はエスカレートする。
会社への執拗な電話や会社での待ち伏せは毎日。
会社に婚姻届けを持って来て「書いてくれるまで帰らない」と居座られたらしく、中嶋さんが一喝すると帰るけど、今度は帰る時間に合わせて会社の出入口で待ち伏せ、書いてほしいと言う。
とうとう、矛先が私に向いた。
何をどう調べたのか勤務している旅行代理店にクレームを毎日入れて来た。
「接客がなってない」「あんな女を使ってるなんて終わってる」「あの女をクビにしなければ、クビにするまで毎日電話する」……
とうとう支店長に呼び出されてしまった。
中村さんに相談するも、中村さんも同じ状況でお互いに疲れてしまった😞
元嫁は「婚姻届けを書いてくれないから…書いてくれるまで追いかける」とストーカー行為をやめない。
私は、このままでは旅行代理店をクビになると思い、意を決して元嫁と直接対決をする事にした。
中嶋さんは部下である中村さんに対して、プライベートでも良く会うらしく、何度か元嫁にも会った事があるらしい。
離婚する時も、何度か相談を受けたらしい。
元嫁も中嶋さんに対しては信頼しているので、今も中嶋さんと約束をしていると言ってやっと解放されたと言っていた。
理奈を思い出す。
あれから連絡もないし会ってもいないけど、理奈も自分の思い通りにならないと面倒な事になっていた。
中村さんは元嫁が何て言おうと、よりを戻す気もなければ子供達に会わすつもりはない!と断言していたけど…
元嫁がそれで納得するとは思わない。
でももし…龍輝くんや小春ちゃんがママを選ぶなら、その方がいいのかな。
2人共、とても可愛いとは思うけど…確かに私は2人とは血の繋がりはないし、お腹を痛めて生んだ訳ではない。
やっぱり「あーちゃん」より「ママ」の方がいいのかな。
たまに思い出した様にママの話をするしね。
ママには敵わないかな💦
もし、龍輝くんも小春ちゃんもママを選ぶなら、私は潔く諦めよう!
その方がいいよね。
きっと。
元嫁と離婚したのは、元嫁に新しい男が出来て、育児放棄し男を選んだから。
その男と別れて一人になった今、子供に会いたくて会いたくて仕方がなくなり、やっぱり元に戻りたい。
小春ちゃんの誕生日を口実に会いに行く。
しかし、中村さんには私という新しい彼女がいた。
よりを戻すのに私という存在は邪魔。
そこで、まずは周りから固めていこうと考えた元嫁は中村さんの会社に行き、よりを戻したと伝える。
先によりを戻した、と周りに伝えておけば私を追い出す事が出来ると考えた。
そして、中村さんに「子供を生んだのは私」と母親を強調し、所詮他人の私はママにはなれない。
母親だから子供達と中村さんと一緒にいる権利はあるけど、他人の私にはその権利がない。
中村さんが「俺と子供を捨てて出て行ったのはお前だ」と伝えると「今、あなたに彼女がいるのと同じ、だから文句は言えない。気が済むまで遊んでおいで!」というものだった。
元嫁は束縛も酷く、結婚していた時も自分は浮気していたくせに異常な束縛をしていたらしく、中村さん宛に来たメールは全て元嫁に転送され、電話の履歴も全てチェック。
帰って来たら財布、カバンの中身はチェックされ、小遣いもレシートと中身の金額が違ったら何に使ったかしつこく聞かれる。
本当に会社に出勤しているか、毎日会社に電話。
なのに自分は携帯にはロックをかける、無断外泊はする、金使いは荒い。
中村さんが聞くと逆ギレし話しにならない。
子供や中村さんにかけるお金は惜しいけど、自分には目一杯お金をかける。
そんな毎日が嫌になり、中村さんから離婚を申し出る。
男がいた元嫁は、行き先があるためすんなりOKしたけど今になり…
私も中嶋さんも、中村さんの話を聞き驚きと共に元嫁の自分勝手具合に呆れていた。
慌てて焼酎の烏龍茶割りを作る。
店が忙しくなり、中嶋さんに張り付いてる訳にいかなくなり、狭い店内を行ったり来たり。
お客様が帰るため、レジに入った時に中村さんが来店。
中村さんは、お客様の影になっている私を探しているのか軽く店内を見渡す。
そして、私を見付けると軽く手を上げて中嶋さんの隣に座った。
私はお客様を見送り、すぐにカウンターに戻る。
「彩乃ちゃん!今日はごめん!」
カウンターに両手を乗せてペコリと頭を下げた。
「仕方ないよ、飲み物は何にしましょう?」
「車だから…コーラで」
「りょーかい!」
私は、コーラを冷蔵庫から取り出し中村さんの前に置く。
中嶋さんが「何か食うか?」と中村さんに問いかける。
中村さんはメニュー表を見ながら、いくつか料理を注文。
お父さんに注文書を出しに厨房に行き、すぐにカウンターに戻って来た。
中嶋さんが「どうなってるのか、ちゃんと説明した方が良さそうだね、中村くん」
そう言って中村さんを見る。
「彩乃ちゃんは、小さい頃から知っていて俺の娘みたいな子なんだよ、悲しませる様な事はしちゃいけないな」
そう言って、中村さんの肩をポンポンと叩く。
中村さんは、コーラを飲みながら話し始めた。
「あら彩乃、今日は遅くなるんじゃなかったの?」
お母さんがあれ?みたいな顔をして聞いて来た。
「うん、ちょっとね😅」
「じゃあ彩乃、手伝ってくれないかしら?」
「わかった!着替えてくる!」
むしろ店に出てた方が考えなくていいかも😅
着替えて店に出ると、中嶋さんがいた。
「彩乃ちゃん!もう大丈夫なのかい?彩乃ちゃんが車にはねられたって聞いてびっくりしたよ」
「ご心配おかけしました😞」
「ところで…中村くんとはどうなってる?」
「えっ?」
「いや、実はね…今日中村くんの元嫁が会社に来てね「お騒がせして申し訳ありません、中村と復縁する事になりました」と言って菓子折り置いてったんだよ」
…何だか良くわからないけど、面倒な事になって来たな😅
「おじさんは彩乃ちゃんとうまくいってるもんだと思ってたから驚いてね💦」
「はぁ…一応まだお付き合いはしてるんですけどね」
「じゃあ、あれか⁉中村くんが二股かけてるのか?」
「いや、そういう訳ではないと思いますけどね」
「こんな事を言うのは失礼だけど…中村くんの元嫁さん…何というか精神的な病気を患っている感じなんだ、普通会社に来ないだろ」
そう言って、焼酎の烏龍茶割りをグイっと飲み干す。
中嶋さんの焼酎を作っている時に、中嶋さんの携帯が鳴る。
「中村くんだ」
そう言って中嶋さんは電話に出る。
私は気になって、焼酎を作っている手が止まる。
「中村くん、これから来るみたいだから」
「そうですか」
「彩乃ちゃん、俺の焼酎は?」
「あっ💦すみません😱」
それから何日か経ったある日、中村さんとのデートで待ち合わせ場所にいた。
あれ?
もう待ち合わせ時間なのに中村さんが来ない😅
いつもなら既にいるか、遅れるなら必ず連絡があるんだけど、今日は何の連絡もない。
もう少し待ってみよう。
近くにあったベンチに腰をおろし、携帯のゲームをやりながら中村さんを待つ。
待ち合わせ時間から30分が過ぎた。
未だに中村さんからの連絡がない。
何かあったのかな😱
心配になり、中村さんに電話をする。
一回目は出ないで、留守電サービスに変わった。
……💧
どうしたんだろ⁉
また5分後にかけてみる。
「もしもし⁉彩乃ちゃん⁉」
慌てた様子の中村さん。
「もしもし⁉何かあったの?」
私が話をしている最中に「もしもし」と女性に変わった。
えっ…?
「中村は私の主人です。二度と電話して来ないで下さい」
と言われて電話を切られた。
えー⁉😱
すると、中村さんから電話がかかって来た。
「彩乃ちゃん、ごめん…今日は無理かも」
その一言で電話が切れた。
良くわからないけど、中村さんは元嫁と一緒にいるのは間違いなさそう。
何かモヤモヤした気持ちが残るけど…私は家に戻った。
「パパとばあば、どこに行ったの?」
小春ちゃんが気付いて2人を探し出す。
「今ね、パパとばあばは大事なお話をしているから、こっちでじいじと遊ぶか😄」
お父さんはそう言って、小春ちゃんを膝の上に乗せた。
龍輝くんは、お腹がすいていたのかご飯に夢中。
元嫁か…。
暗い中だったから顔とかは良くわからなかったけど…
せっかくのご馳走なのに、喉を通らない。
程なくして、お母さんと中村さんが戻って来た。
龍輝くんと小春ちゃんの手前、むやみに「ママ」の事を話す訳にもいかない。
楽しい誕生日祝いも終わると、もう8時半を回っていた。
「そろそろ帰るかな?」
その言葉に龍輝くんも小春ちゃんも「え~😫」と残念そう。
「あーちゃんは明日もお仕事だから!」
中村さんはそう伝えると、渋々「はぁい😞」と不満そうな返事をする2人。
あっ😱
入院していた時に頂いたお見舞いのお返し、車に忘れて来た💦
中村さんに伝えると、一緒に取りに行ってくれた。
玄関を開けて周りをみる中村さん。
誰もいない様子。
「帰ったか」
そう呟くと、足早に車に向かう。
私もついていき、お返しを取る。
家に戻ると「あーちゃん退院したからまた一緒に遊園地に行ける?」と龍輝くん。
「行けるよ😄保育園が休みの日に行こうね!」
「うん!」
帰りは中村さんに送ってもらう。
「あーちゃん!ばいばい!」
可愛いお見送りが嬉しい😆
無事に家まで送ってもらった。
玄関を開けると、龍輝くんと小春ちゃんが玄関まで走って来た。
「小春ちゃん!誕生日おめでとう😄」
そう言って、誕生日プレゼントを渡す。
前から欲しがっていたというお人形さん。
小春ちゃんは大喜びで「ありがとう!」と早速遊ぶ。
龍輝くんは「あーちゃん!俺ね、ばあばのお手伝いしてね、あーちゃんのおはしとか並べたんだよ!」
「おー✨えらいね😄」
私はそう言って龍輝くんの頭を撫でると嬉しそうにしている。
バースデーケーキがあり、豪華なご馳走が並ぶ。
「彩乃ちゃん、いらっしゃい😄」
「お邪魔します」
すると中村さんが何やら両親に話をしている。
多分、さっきいた元嫁の事を言っているのかもしれない。
支度も終わり、小春ちゃんの誕生日祝いが始まる。
「🎵ハッピバースデートゥーユー🎵ハッピバースデートゥーユー🎵ハッピバースデーディア小春ちゃ~ん🎵ハッピバースデートゥーユー🎵🎵」
小春ちゃんは嬉しそうに、ローソクの火を吹き消した。
その時に、家のチャイムが鳴る。
中村さんが慌てて出て行く。
多分、元嫁なんだろう。
なかなか帰って来ない。
中村さんの両親も言葉がなくなる。
知らないのは龍輝くんと小春ちゃんだけ。
10分くらい経って、やっと中村さんが戻って来た。
座っているお母さんの肩を叩くと、お母さんは無言で箸を置き一緒に奥の部屋へと消えた。
中村さんとは、会えなかった穴埋めをするかの様に、暇さえあれば会っていた。
そんなある日、小春ちゃんの誕生日を迎えた。
私も招待されて、一緒に晩御飯を食べる事になった。
中村さんと一緒に小春ちゃんの誕生日プレゼントを買い、中村さんちに到着。
車をガレージに入れようとした時、知らない女性が黙ってこっちを見ている。
「ねぇ、女の人がこっち見てるけど…」
車をガレージに納め終わった中村さんに話しかけた。
中村さんは私が指差す方向に目を向けた瞬間、顔が曇る。
「誰?」
「…元嫁」
えぇ~⁉
「今更、何の用だ⁉帰れよ!」
中村さんはいきなり怒鳴りつける。
「新しい彼女?」
「お前には関係ないだろ?」
「今日、小春の誕生日だからプレゼントと思って…」
「いらねーよ!今更、何を母親ヅラしてるんだ⁉いいから帰れよ!」
「…あなたとよりを戻したくて、あの子達とまた一緒に暮らしたい」
「男と別れたのか」
「…」
「もうお前とは関係ない!迷惑だ!二度とうちに近付くな!彩乃ちゃん、行こう!」
中村さんは私の手を引っ張り、中村さんちに入る。
それからこの元嫁に悩まされる事になる💧
リハビリも兼ねて通院。
先生から職場復帰OKと言われて、職場復帰をした。
正社員で勤務している春美さんという50代のお局様がいる。
このお局様に嫌われたら、この旅行代理店で勤務していくのは難しい💧
機嫌が良い時は問題はないけど、機嫌が悪い時は空気は最悪になる。
ちょっとしたミスでも舌打ちされて、深いため息をつかれる。
お気に入りの子とそうじゃない子の態度があからさまに違うし、機嫌が悪いと「私、何かやらかした?」と不安になるため、春美さんの様子を伺いながら仕事をするため疲れてしまう。
復帰初日にその春美さんに呼び出された。
「伊藤さん、あなたが入院して休んでいる間、あなたの仕事をみんなで振り分けてやりました。みんなにお礼を言って下さい」
「はい、申し訳ありませんでした」
「そして、あなたはアルバイトなので休んだ分のお給料は出ませんから」
「はい…」
以前に一度だけ、春美さんと希望休みが重なり、春美さんが希望の日に休みを取れなかった事がある。
法事で休みをとった私の希望が優先されたため、それ以来私への態度が冷たい😅
それからもしばらく良くわからない説教が始まった。
今日は機嫌が悪いのか…💧
髪型が気に入らないとまで言われてしまい、結んでいた髪をほどく事に😅
30分の説教が終わり、やっと自分の席に戻る。
隣にいた千絵さんが「昨日、支店長とやり合ってるから機嫌が悪いのかも」とこっそり教えてくれた。
そうだったんだ😅
何とか職場復帰も果たし、いつもの生活に戻った。
中村さんが帰って来る日を迎えた。
本当なら、空港まで出迎えに行ってた筈なのに、病院のベッドの上で迎えてしまった💧
中村さんからは「着いたら真っ直ぐ病院に行きます」というメールが来ていた。
薬が効いているのか睡魔に襲われてウトウトしていると、「彩乃ちゃん!」という声で目が覚めた。
「中村さん!」
中村さんはスーツ姿のまま、お見舞いに来てくれた。
少し痩せた感じの中村さん。
「おかえりなさい😄」
「ただいま😆」
「まさか病院で再会するとは思わなかった😅」
「だねぇ😅」
足にはギプスをしているため動けない。
中村さんが「お土産だよ!」とお菓子をくれた。
「ありがとう😄」
久し振りに中村さんと色々話をする。
中村さんは「明日、また来るから!」
そう言って帰って行った。
待ちに待った中村さんとの対面。
元気そうで良かった😄
それからも、時間があればお見舞いに来てくれた。
入院生活もしばらく経ち、痛みもだいぶ落ち着いて来た。
いよいよ退院の日。
両親が迎えに来た。
お世話になった看護師さんや先生にお礼を言って、病院を後にする。
やっぱり我が家はいいな😆
中村さんや由佳にも退院報告。
しばらくは自宅療養。
のんびりさせてもらおう!
何日か経った日に、私をはねた白い車の運転手さんが菓子折りとお見舞い金を持ってお詫びに来た。
運転手さんは若い男性で、その母親も一緒だった。
「申し訳ありませんでした!」とひたすら頭を下げる男性。
母親も「息子の不注意で怪我をさせてしまい、本当に申し訳ありません」と頭を下げた。
男性は免許取り立ての18歳。
スピードを出し過ぎて曲がりきれずに私に突っ込んで来たという。
私の両親もいて、親からも色々言われた男性。
ひたすら「すみませんでした!」を連発していた。
涙目の男性と、何度も何度も頭を下げる母親。
入院費は保険から全額出します、という話をして親子は帰って行った。
こっちが恐縮してしまうくらい、腰が低く丁寧に謝罪をして連絡先を教えてくれて帰っていった親子。
会う前までは怒りはあったけど、今は怒りはなくなった。
会社の支店長や久美子さん、千絵さんもお見舞いに来てくれた。
由佳も友美さんと一緒に来てくれた。
由佳は「早く治してよ😄治ったら退院祝いと友美ちゃんの結婚祝いやるぞ😁」と言っていた。
入院生活は暇だなぁ😅
足が痛いから、どっか行くのも車椅子か松葉杖。
だから余りベッドから動かない。
暇なため、お菓子を食べては寝て…の繰り返し💧
退院する頃には太ってそう😱
痛み止めが効いているのか、痛みが少し落ち着いた。
お母さんにカバンを取ってもらい、中身を確認。
財布も免許証も携帯も大丈夫😆
でも、お気に入りだったカバンは持つところが取れて使えなくなってしまった😫
お母さんが入院手続きをしてくれている間に、会社に入院の報告。
由佳にも連絡。
中村さんにも連絡。
痛みが和らいでいるうちに連絡しておかなきゃ💦
すぐに由佳と中村さんから連絡があった。
会社の久美子さんからも連絡があった。
そのうちにお父さんが戻って来た。
「今日と明日は店閉めるから、何かあったらすぐ来れるから…痛みはどうだ?」
お父さんは心配そうに話す。
「足もだけど、体中が筋肉痛みたい😫」
「無理はするな」
そう言って、ベッドの脇に持って来てくれた荷物を置いた。
みんなに心配かけちゃった😢
骨よ!早くくっついてくれ!
連絡を受けた両親が、息を切らして病院に駆け付けた。
「彩乃!」
お父さんもお母さんも仕事着のまま。
私は足の痛みが酷くて泣きそうになる。
「とりあえず生きてて良かった…彩乃が車にはねられたって聞いて…生きた心地がしなくて…本当に良かった」
お母さんが涙を流しながら私もギュッと抱き締めた。
「おい恵美子、今日は彩乃についていてやれ」
お父さんはお母さんにそう話す。
「必要なものはあるか?持って来るから」
「とりあえず…着替えとか洗面道具とか」
「わかった、後でまた来るから」
そう言ってお父さんは帰って行った。
何せ、足が痛い😲
折れているんだから当たり前なんだけど…変な汗をかいている。
お母さんは身の回りの世話をしてくれる。
「お母さん」
「ん~?どうした?」
「足が痛い😫」
「まだ骨折で済んで良かったわよ💦」
お父さんが荷物を持って来てくれた。
思わぬ事故に巻き込まれてしまい、長い入院生活を過ごす事になってしまった😫
中村さんが帰って来る日まで、あと1週間に迫った。
その日はお休みで、自転車に乗って近くのスーパーに親からのおつかいで買い物に来た。
かごいっぱいに主に雑貨類を買い物して、信号待ちをしていた時、白い車がこっちに向かってタイヤをキー!と言わせながらすごい勢いで走って来た。
と思ったその瞬間!
強い衝撃と共に、私の体が宙に浮いた。
「痛いっ…!」
ドスン!
地面に強く叩きつけられ、自転車は数メートル先に飛ばされた。
えっ?
私、車にはねられた⁉
一瞬、何が起きたかわからない。
周りにいた人達が「大丈夫ですか⁉」と駆け寄って来た。
右足に痛みが走る。
白い車のフロント部分は丸くえぐれた様につぶれていた。
誰かが救急車を呼んでくれたらしく、私の目の前に救急車が停まる。
「私のカバンは⁉」
パニックになっている私のその声に、ぶつかった衝撃で飛ばされた自転車にかけてあったカバンを若い男性が持って来てくれた。
事の事態をよく理解しないまま、私は救急車に乗せられて病院へ。
右足のすねの骨が、綺麗にスパン!と折れていた。
もちろん、そのまま入院に😢
なんてこった😱
ある日、中村さんから「朗報!」と連絡が来た。
何と、来月帰って来る事が決まったそうだ。
「1年の予定だったけど早く帰れる!」
嬉しい😆❤
帰って来たら、風俗の心配はなくなるし、近くにいる安心感がある。
まだ1ヶ月先の話しだけど、嬉しさでテンションアップ⤴⤴⤴
帰って来る日に希望休みをお願いした。
そんなある日、珍しく友美さんからメールが届く。
「お久し振りです😄実は私、結婚する事になりました❤相手は、あの飲み会で一緒だった宮田さんです!宮田友美になります😆」
へぇ~✨
友美さん、結婚するんだ😄
結婚したら寿退社して、しばらくは専業主婦をするらしい。
そして「結婚式を挙げますので、由佳さんと一緒に来て下さい!」
行かせてもらいますよ✌
普通なら元旦那の不倫相手だった人の結婚式に行くって有り得ない話しだけど、友美さんには幸せになって欲しいと心から思う。
そんな事は関係なしに、友美さんを祝福したい✨
友美さん!おめでとう❤
その日が来た。
朝10時に約束。
時間ぴったりにチャイムを鳴らすと、玄関に向かってバタバタと走って来る音がする。
龍輝くんと小春ちゃん、2人で出迎えてくれた。
嬉しい😆💕
小春ちゃんから早速、紙をくれた。
「あーちゃんと小春とお兄ちゃんとパパの絵」を書いてくれた。
クレヨンでとっても可愛らしく、上手に書けている😄
何故か、パパの頭から花が咲いている(笑)
聞くと「パパが東京に行く前に花をいっぱい持って来たから」だそうで、多分花束を手に持っているのを書きたかったのだろう。
うまく書けずに、頭から花が咲いている絵になってしまった様子😁
「小春ちゃん😄ありがとう!」
そう言って受け取ると、嬉しそうにはにかむ小春ちゃん。
龍輝くんは「あーちゃん!こっちだよ!」そう言って、私の手を引っ張り居間へと連れて行かれる。
「おはようございます!お邪魔します💦」
「わざわざすみません💦どうぞ、ゆっくりしていって下さいね😄」
中村さんのご両親にご挨拶をして早速2人と遊ぶ。
トランプをしたり、コマを回したり、お絵かきしたり😄
お昼はお寿司をとってくれた。
龍輝くんも小春ちゃんも、を美味そうに食べている。
そんな可愛らしい姿を写メにおさめる。
私と龍輝くん、小春ちゃんの3ショットも一緒に撮り帰る時間になった。
2人共「帰らないで!」と言っていたけど、じいじとばあばに怒られてしまった💧
また会う約束をして、お礼を言ってお別れした。
家に帰ってから、中村さんに報告。
写メを見て「待ち受けにする😆」と喜んでいた。
それから何日か経ったある日、知らない番号から電話が来た。
「もしもし」
「あーちゃん😄」
可愛い声が聞こえた。
「小春だよ、あーちゃんにいつ会えるの?」
「小春ちゃん!元気だった?」
「うん😄あーちゃんに会いたい」
すると今度は「あーちゃん!」と思わず一瞬電話を耳から離した程の大きな声で龍輝くんが出た。
「あーちゃん!何やってるの?」
「あーちゃんはお仕事してたんだよ😄」
「いつ会えるの?パパもあーちゃんもいないから寂しいんだよ!」
「ごめんね😫」
すると今度は、中村さんのお母さんが出た。
「もしもし、突然ごめんなさいね💦この子達がどうしてもっていうんで😅」
「あっ💦いや、全然大丈夫です!」
「都合つく時にでも、この子達に会いに来て下さらないかしら?ご迷惑じゃなければ…」
「全然迷惑じゃないです!明後日仕事休みなので、お邪魔しても構わないですか?」
「大丈夫ですよ😄ごめんなさいね、せっかくのお休みなのに…」
「大丈夫です!では明後日よろしくお願いいたします!」
前に一度しか行った事がないため、家までの道のりを聞き電話を切った。
早速、中村さんにも報告。
中村さんは「本当に申し訳ない💦子供らをお願いします」と言っていた。
久し振りに会う龍輝くんに小春ちゃん。
お土産にお菓子を買っていこうかな😄
携帯を開くと「新着メール2件・着信2件」と表示されていた。
見てみると、全て中村さんからで「無事に着きましたか?」
あっ😱
連絡するの忘れてた😅
慌てて中村さんに電話をする。
「遅くなってごめんなさい💦無事に着きました!由佳に迎えに来てもらって、ご飯食べに行ってて…」
「あっ、そうなんだ😅連絡がないから、どうしたのかと思って」
「ごめんなさい」
「それから…今回の…」
「風俗のお姉ちゃんを呼んだ事⁉二度とお姉ちゃんを呼ばないと誓ってくれたら許してあげる」
「誓います!本当にごめんなさい😢」
「絶対だよ!」
「約束します」
本当は嫌だったけど、もう二度としないと誓ってくれたし、これ以上は責めないでおこう。
「あと、龍輝と小春が彩乃ちゃんに会いたがってて…彩乃ちゃんの携帯番号を教えてもいいだろうか?」
「もちろん!」
空港で一緒に中村さんをお見送りしてから会っていない。
パパがいなくて、寂しく過ごしているのかな。
明日は、お疲れ休みを1日とった。
今日は何か疲れたな💦
早目に布団に入った。
セットメニューを注文、早速由佳に中村さんがヘルスのお姉ちゃんを呼んだ事を話す。
しかも会社の寮に💧
由佳からの答えは、東京で「彼女」を作ったり、頻繁にお姉ちゃんを呼ぶなら別れると思うけど、私に会えない寂しさで一回だけ、しかも謝りもう呼ばないと誓ってくれたなら、今回は目をつぶってもいいんじゃないか?だった。
悩んだけど…今回は中村さんを許すと言ったら偉そうだけど、割り切ろう。
次はないけどね😠
由佳は「前に付き合っていた雅志って覚えてる⁉あいつは風俗バカだったのよ💧借金してまで風俗行って、病気もらって来てさ💢嫌な気持ちは良くわかるなぁ」
由佳が前に付き合っていた人。
大手企業に勤めていて真面目そうな人だったけど、風俗に目覚めてしまって良く行っていた。
もうだいぶ前の話しだけど、由佳は結婚を考えていた相手だけに辛かったと言っていた。
話しは変わり、由佳と色んな恋愛の話しで盛り上がっていると、店員さんが「お待たせしました~」とパスタを持って来た。
「頂きます😆」
デザートも完食し、由佳に家まで送ってもらい、東京のお土産を渡して由佳と別れた。
今日店はお休み。
家に帰ると、両親はご飯を食べ終えて片付けをしているところだった。
「ただいま~😄」
「おかえり」
「これお土産」
「あら、美味そうじゃない!ありがとう😄」
お母さんが茶碗を洗っている手を止めてお土産を手に取る。
「疲れたでしょ、お風呂に入って早目に休んだら?」
「ありがとう」
私は部屋に戻り、荷物を旅行カバンから出す。
手荷物検査も私の検査も終わり、飛行機に乗る前のロビーの椅子に座る。
早速由佳にメールをした。
「今日帰ります✈あと…中村さんの事で由佳に相談があるんだけど💧」
すぐに由佳から返信。
「何時頃に着く予定⁉夜なら暇してるから、空港まで迎えに行こうか?」
「7時に到着予定なんだけど…」
「7時かぁ…今日仕事だからちょっと待ってもらう形になるけど、それで良ければ😄一緒に晩御飯食べようか🎵」
「ありがとう😄着いたら連絡するね!」
「はぁ~い✋」
中村さんの事、由佳に聞いて欲しかった。
何年か振りの東京とはお別れし、無事に帰って来た。
飛行機から降りて、携帯の電源をON!
由佳から「間に合った✌出口にいるぞ🎵」というメールが来ていた。
到着ロビーを見ると、由佳は制服姿で私を探している様子。
私は大きく手を振ると、由佳も手を振ってくれた。
「おかえり😁」
「ただいま😆」
「すごいお土産だね💦」
「由佳のもあるよ😄」
「ありがとう❤」
「一つ荷物持つよ」
そう言って由佳はお土産が入った紙袋を持ってくれた。
由佳の軽自動車が停めてある駐車場まで歩く。
由佳は「中村さんと何かあったか?今日はパスタが食べたいな😁」
「オッケー(笑)」
由佳がお気に入りのパスタ屋さんに着いた。
少し落ち着いた。
取れたメイクも直した。
中村さんは「彩乃ちゃん、やっぱり空港まで送っていくよ。じゃないと俺…一生後悔する」
またしばらく会えない。
ここで意地を張ってたら私も後悔しそう。
空港まで送ってもらう事にした。
空港に向かう電車の中では中村さんはずっと私の手を握る。
乗り換える時も、荷物を持ってくれたり切符を買ってくれたり…。
空港に着いた。
まだ時間があったため、搭乗手続だけをして荷物を預けて喫茶店に入った。
コーヒーを飲みながら「彩乃ちゃん…簡単に許してもらおうとは思わないけど、もう二度と風俗は呼ばないし行かないと誓うよ」と中村さんが話す。
「…」
私は中村さんとヘルスのお姉ちゃんの事を想像する。
また嫉妬心に火がついた。
「しばらく時間をちょうだい」
「…わかった」
「由佳と親と会社の人達にお土産買いたいの」
「…一緒についてっていいか?」
「うん」
私達は喫茶店を出て、お土産屋さんを巡る。
私はお土産を買いすぎて、大きな袋いっぱいになってしまった💧
いよいよ時間になった。
複雑な気持ちのまま、中村さんとのお別れ。
あちこちで最後のお別れをしている人達。
泣いている人もいた。
中村さんは私をギュッと抱き締めて「しばらく会えないから」と耳元で囁く。
「彩乃、愛してる」
いつもは「彩乃ちゃん」なのに…呼び捨てにされて胸がキュン💓となった。
私は手を振り、搭乗口へと向かった。
「実は…彩乃ちゃんに会えない寂しさで…」
「他に女がいるの⁉」
私が中村さんの話を遮ぎって叫んだ。
中村さんは下を向きながら「いや…特定の人じゃなくて…ヘルスを…一度だけ…」
ヘルス⁉
ヘルスって…風俗⁉⁉
「ヘルス…💧」
「あっ、本番はしてないんだ💦どうしても我慢出来なくて…そういう問題じゃないよね」
中村さんがヘルス…
反応に困った⤵
他に女がいるなら、もう会わないと聞いた時に決めていた。
でも…風俗💧💧💧
このピアスは、そのヘルスのお姉ちゃんのやつって事⁉
ショックだった。
風俗でも、私と違う女性とそういう事をしたんだ。
割り切れない😫
「彩乃ちゃん!本当にごめん!」
呆然と立ち尽くしている私に中村さんが土下座をしてきた。
「一度だけなんだ!彩乃ちゃんに会えない寂しさからなんだ!俺は彩乃ちゃんを本当に愛してる!」
中村さんは土下座をしたまま話して来た。
私はショックの余り、言葉が出てこない。
その代わり、涙がポロポロ流れて来た。
これから電車に乗って羽田空港まで行かなきゃならないのに…
楽しかった筈の2泊3日が、小さなピアスの発見によって台無しになってしまった。
「もう二度とこういう事はしないと誓うから!」
「…少し時間を下さい。空港の見送りは結構ですから」
私は、ポロポロ流れて来る涙をふきながらそう答えた。
日本一の歓楽街、新宿歌舞伎町。
渋谷のセンター街とハチ公。
若者の街原宿。
人の多さにびっくり😲
次の日は、秋葉原に池袋。
東京駅と銀座。
お昼はもんじゃ焼きを食べて、東京を満喫した。
夜は中村さんの部屋でゆっくり😆
久し振りに中村さんと愛し合う❤
楽しい時間は、あっという間に過ぎた。
帰る日になった。
帰り支度をしていると、私の旅行カバンの下からキラキラ光るものを見付けた。
「何だろう…」
拾い上げてみると…ピアスだった。
中村さんはピアスしないし…私は穴は開いているけど、今回はピアスはしてきていない。
…誰の⁉
私は、拾ったピアスを「これは誰の?」と中村さんに見せた。
中村さんの顔が一瞬ひきつったのを見逃さなかった。
私は、動揺する気持ちをおさえて冷静を装い「中村さんはピアスしないよね?」
「あぁ…それはこの間、東京の友達が彼女を連れて来た時に落としたのかな?」
目が泳いでる。
絶対嘘だ😱
「本当に?」
私は本当の事は聞きたいけど聞くのが怖い気持ちと闘いながら、中村さんに聞いた。
中村さんは黙っている。
「お願いだから、本当の事を言って!私、今日帰っちゃうんだよ?このまま嘘をつかれたままは嫌だ!」
半泣きで叫ぶ私。
中村さんはしばらくの沈黙の後に「彩乃ちゃん…ごめん…実は…」
「彩乃ちゃん!お疲れ様😄」
中村さんは笑顔で出迎えてくれた。
私は、中村さんと一緒に電車に乗る。
さすが東京。
電車からの景色は建物ばかり。
電車を乗り換える。
その時に中村さんは私の荷物を持ってくれた。
相変わらず優しいな💕
中村さんがいる寮の最寄り駅に着いた。
そこから歩いて7~8分。
会えなかった分、ずっと話をしている。
2階建ての木造アパート。
1階の一番端の部屋が中村さんの部屋。
6畳1Kの部屋。
荷物が少ないので広く感じる。
掃除もしていて、綺麗な部屋。
荷物を隅っこに置く。
テレビの脇に、龍輝くんと小春ちゃんのツーショットの写真、その隣に私と中村さんがふざけて撮ったアップの写真が飾ってあった。
「もっと違う写真あったのに~😞」
「この写真の彩乃ちゃんの表情が好きなんだ😁」
楽しい時間は過ぎるのが早い。
「せっかく東京に来たんだから、東京を満喫しよう!」
そう言って、私と中村さんは早速出掛けた。
理奈の一件も落ち着いた頃、中村さんに会いに東京に行く事になった。
お互いに希望休みを3日間取り、久し振りに会う約束をした。
私は、その日のために一生懸命貯金して頑張った。
そしてその日がやって来た。
東京へは、理奈と由佳と3人で20歳の成人祝いで行った時と、前の会社で同期で仲が良かった美穂ちゃんの結婚式で行ったくらい。
何年振りになるだろ💦
迷子になりそう😱
羽田空港まで、中村さんが迎えに来てくれる予定。
久し振りに会う中村さん。
昨日から楽しみで全然眠れず、胸がいっぱいで朝御飯も喉を通らない。
地元の空港でお土産を買い、チェックインも済ませていざ東京へ!
飛行機は窓側の席を指定。
天気も良く、上空からの東京が見えて来た。
無事に羽田空港に到着。
飛行機から降りてすぐに携帯の電源をON!
中村さんからのメールが来ていた。
時間を見たら、今から20分程前。
「羽田空港の到着ロビーにいます😆」
思わず顔がにやける😁
もうすぐ中村さんに会える!
荷物がコンベアに乗って出てくるところに出てきた。
出入口付近を見ると…中村さんも、こちらを気にして見ている。
いた~!
全然変わらない😍
私は大きく手を振ると中村さんは気付いたらしく、笑顔で手をあげてくれた。
荷物を受け取り、中村さんの元へ。
会いたかったよ!
晴彦さんは「お前が消えれば平和になるんだよ」
そう言って理奈をもう一度ひっぱたいた。
理奈は泣き出し、直哉に助けを求める。
でも直哉は助ける事はなく、黙って見ている。
私も由佳も黙っている。
理奈は「みんな何なの⁉よってたかって私を追い詰めて楽しいの⁉」
そう叫ぶが、理奈の悪あがきだった。
結果、私と由佳に対しては金輪際会社に来ない、電話をしないという約束をさせ、直哉や晴彦さんにも会う事はしない約束をさせ、そして一度心療内科に行く事を約束させた。
晴彦さんが持っていたレポート用紙に約束を書かせて拇印を押させた。
晴彦さんはかなり理奈の事で思い詰めたらしく、こうしてみんなの前で吐き出せて楽になったと言っていた。
直哉は「俺はしばらくはお袋と静かな暮らしをしたい」と言っていた。
理奈は結局、周りに誰もいなくなった。
私も由佳も直哉も、晴彦さんの話を聞き絶句する。
話を聞いていると晴彦さんは、見た目はコワモテだけど、内面はとても優しくて理奈を愛していたんだなというのが伝わって来た。
「理奈という女性に出会い、色んな意味で女性というのを勉強させられた」
晴彦さんは言う。
すると理奈は直哉を見て「私はやっぱり直哉さんじゃなきゃダメだって言うのがわかったのよ!」と突然叫んだ。
直哉は理奈の声にびっくりし理奈を見たものの、言葉は発しない。
「ゆいの父親は直哉さんなの!あんなに可愛いのに、父親がいないなんて可哀想!ねぇ直哉さん!ゆいのためにも私と結婚しよ?ねっ?そのために晴彦とも離婚したの!」
そう言いながら直哉に抱きついた理奈。
直哉は理奈を振り払い「…悪いけど、あんな話を聞かされて…理奈とうまくやっていく自信はない。」
そう言って目を伏せた。
「どうしてよ💢ゆいはあなたの子なのよ⁉」
理奈は必死に直哉にしがみつくけど、直哉からの答えは「もう二度と理奈には関わりたくない」だった。
すると、怒りの矛先が私と由佳に向けられた。
「あんた達が余計な事をするから!」
そう言って近くにいた由佳の顔をひっぱたいた。
すると今度は晴彦さんが理奈の顔をひっぱたいた。
理奈は「何すんのよ💢」とキレ出した。
「理奈、お前は最低な人間だ!」
「どこが最低なのよ!」
「こんだけの人に迷惑をかけて…わからないのか!」
「迷惑なんてかけてないでしょ⁉晴彦!もう関係ないんだから消えてよ💢」
「もう本当にやめて…」
直哉や晴彦さんがいなければ絶対上から目線で見下した言い方をするくせに、今の理奈は「私は友人2人に攻撃されてる可哀想な女」を演じているのがわかる。
私も由佳も、それが更に腹がたった。
話も終わり、少しの沈黙の後に晴彦さんが口を開いた。
「理奈と結婚したのは、理奈から俺との子供が出来たと言われたからだったんだけど、出会った初日に理奈からホテルに誘われて…ぶっちゃけ、こんな可愛い子とやれるならと思って誘いに乗った。それが間違いだった。まさかその時に、俺じゃない人の子供がお腹にいたんだよな」
そう言って、直哉をチラっと見る。
「おかしいとは思ったけど理奈の事は好きだったし結婚した。でも…聞いたんだよ、電話の内容を…相手は誰かは知らないけど…」
お腹の赤ちゃんは晴彦さんではない、晴彦さんと結婚したのは収入が良いから。
偶然にも晴彦さんと直哉の血液型は同じ。
お腹の赤ちゃんが大きくなるまでに見つけたいい相手。
だから会った初日に関係を持っておけば言い逃れは出来ないと考えた。
その時直哉はつなぎのアルバイト。
とても食べていけない。
だから直哉がまたちゃんとしたところに就職し、収入が安定したら晴彦さんに離婚をせまり慰謝料と養育費を請求をしたい。
そういった内容だったらしい。
それを聞いた晴彦さんが激怒し離婚した。
「私達だけじゃ理奈はすぐキレるから、ちょっと人を呼んだの」
直哉と理奈の元旦那の晴彦さん。
以前、理奈から晴彦さんの勤務先を聞いていた。
由佳が晴彦さんの会社に電話をし事情を説明、晴彦さんは理解を示してくれて協力してくれた。
直哉には私が連絡をし「逃げてばかりじゃなく、少しは強くいかんかい💢」と渇をいれて連れて来た(笑)
理奈は状況をまだ飲み込めないみたいで戸惑っている。
「さあ理奈、もう一度聞く。会社に来て思い通りな返事がなかったら泣いて騒いでいったり、会社に電話してくるのはやめてもらえないだろうか?」
理奈は黙っている。
「あら~?さっきまでの勢いはどうしたの?さっきは「由佳や彩乃が忙しいっていうから私から行ってあげただけ!」って言ってたけど~?」
黙ったままの理奈。
「それが原因でクビになりそうなのって言っても「そんな事知ったこっちゃないし」って言ってたの誰だったかなぁ~?」
由佳は理奈にわざと嫌味たっぷりで話す。
「出産祝いを金額一人3万円って指定でわざわざ取りに来て、今そんなにないって言ったら「一緒に銀行に行こうか」って…そんなのあり?」
私も理奈に話す。
理奈はずっと黙ったまま下を向いている。
私と由佳は、今までの理奈の悪態を全て晴彦さんと直哉の前で暴露した。
理奈は「もうやめて…」と泣き出した。
それでも私と由佳の話は止まらない。
晴彦さんも直哉も黙って話を聞いていた。
由佳も私も、理奈の言動に頭にきていた。
関わりたくない!と思って携帯は拒否しても、会社に来て泣いたり怒鳴ったりするし、しつこく会社に電話が来るため困っていた。
由佳は、理奈の事で部長に呼ばれ説教されたらしい。
お互い、このままならクビになる可能性もある。
理奈に強く言えば、嫌がらせの嵐。
言わないと突然会社に来ては騒いでいく。
私も由佳も精神的に疲れていった。
私と由佳は理奈を「一緒にご飯食べようか」と呼び出した。
理奈は「もちろんおごりだよね?」と聞いて来たから「そうだよ」と答えると喜んで待ち合わせ場所に来た。
赤ちゃんはいない。
理奈は「何食べさせてくれるの?ホテルのランチ?」
私と由佳は無言のまま由佳の軽自動車を停めてある駐車場へと向かう。
理奈はハンドバッグを振り回しながらついてくる。
「食事場所には車で移動するから乗って」
由佳はそう言って、理奈を後部座席に乗せる。
理奈は何の疑いもなく車に乗る。
私は助手席に乗り、由佳の運転で車を走らせた。
車は市街地を抜けて、山道に入る。
理奈は「由佳~どこ行くの?ドライブなら必要ないよ」と言っているけど、私も由佳も無言のまま。
携帯もつながらない山道に来た。
登山客用の駐車場に車を停めた。
「ちょっと!何なのよ💢」
理奈は怒りだした。
「理奈、ちょっと話があるんだ」
由佳が口を開く。
それから理奈が来る事はなく、平和な日々。
給料日になり由佳にお金を渡すため、由佳に電話をした。
「もしもし?由佳⁉」
「もしも~し!」
由佳の声が良く聞こえないくらい賑やかな音がする。
「どっか遊びに行ってるの⁉」
「うん、今ね会社の人とカラオケに来てて…ちょっと待って!」
どうやら個室から出た様子。
賑やかさが消えた。
「ごめんね~彩乃💦明日でもいい⁉」
「こっちこそ楽しんでるのにごめん💦明日は店あるから…そのうちだね💦」
「じゃあ~明日店に行くわ!」
そう言って電話を切った。
翌日、由佳は店に来てくれた。
用意しておいたお金を渡す。
お母さんが「あら由佳ちゃん!いらっしゃい😄」
「おばさん、こんばんは😄」
「キムチチャーハン、食べて行くかい?」
「えっ?いいんですか?」
由佳の目の色が変わる。
「お父さん!由佳ちゃんのキムチチャーハンお願い!」
お母さんはお父さんに声を掛ける。
「お待たせ😄今日は特別サービス!ゆっくりしていってね😄」
特別…それはいつもはつかない焼豚を乗せている(笑)
「ありがとうございます!頂きま~す✨」
由佳は嬉しそうにキムチチャーハンを食べる。
「由佳、飲むか😁」
「いいですなぁ❤」
私は生ビールを2つ作る。
「私のおごり❤かんぱ~い🍺✨」
「ぷはぁ~幸せ😆❤」
由佳は美味そうにビールを飲む。
10時半も回り、由佳はほろ酔いで「帰るね~キムチチャーハン、ごちそうさまでした!」と追加注文した分を支払い帰って行った。
その日の夜、由佳から電話があった。
由佳の会社にも理奈は出産祝いをもらいに行ったらしい。
由佳は「理奈に出産祝いあげないって言ったら「友達なのに!」って泣いて騒いでさぁ…参ったよ😫しかも、会社までタクシーで来たからってタクシー代まで請求されたのよ😅」
「有り得ない😠」
「また会社に来られても困るから…渡すかな😅彩乃と2人でって言って渡すから…お金は後でいいよ」
「ありがとう」
翌日、また理奈が来た。
「さっき由佳からお金もらったんだけど…あれって2人分?」
「そうだけど…」
「2人で3万ってどういう事⁉私、言ったよね?1人3万って…」
「ごめん、理奈。私も由佳もそれが精一杯のお金なの。それ以上は出せないかな」
「そんなにここって給料安いの~?」
大きな声で叫ぶ理奈。
みんなこっちを見る。
「もう本当勘弁して!」
そう言うと理奈は黙って店から出て行った。
久美子さんが「どうしたの?」と声を掛けて来た。
事情を説明。
話を聞いていた久美子さんを始め、周りにいた人達が「出産祝いを金額指定でもらいに来るなんて…」と呆れていた。
2児のママである先輩のひとみさんは「私子供2人生んでるけど、出産祝いを請求した事なんてないよ😅しかも3万って…一万でも多いと思ってたのに」と苦笑い。
「また来たら言ってあげるから!変な友達持ったね😅」
会社のみんなはわかってくれた。
迷惑かけてごめんなさい😫
中村さんが東京に行って、1ヶ月が過ぎた。
毎日メールは欠かさない。
たまに長電話もする。
中村さんからもらったネックレスは肌身離さず着けている。
遠距離も少し慣れて来た。
そんなある日、由佳から連絡があった。
理奈が出産したというものだった。
女の子で、名前は「ゆい」ちゃんというらしい。
理奈が「出産祝いは服とかいらないから、現金か商品券がいい」と言って来たらしい😅
由佳が「彩乃、出産祝いあげるの?」と聞いて来た。
「いや…あげないかな😅」
私も由佳も出産祝いはあげないという事になった。
ところが!
出産してしばらく経ったある日、理奈が店にやって来た。
「ねぇ~彩乃!私、赤ちゃん生まれたのよ~出産祝いもらいに来た😄」
「えっ?」
「普通友達なら出産祝い渡すよね!忙しくんだと思いわざわざ来たのよ😄」
そう言って手を差し出された。
「今、何にも用意してないし…」
「あっ!封筒とか邪魔だからいらないよ!3万でいいよ😄」
「はぁ?」
「えっ?3万もないの?じゃあ、一緒に銀行に行こうか😄」
「ちょっと待って💦…普通こうしてわざわざもらいに来るかな😅」
「彩乃が忙しいんだと思ってわざわざ来てあげたのよ⁉感謝されてもいいと思うけど?」
「悪いんだけど…帰ってもらえるかな😅」
「じゃあ~明日また来るから、その時までには用意よろしく!」
理奈はそう言って帰って行った。
東京に行っちゃった…。
「パパ、東京に行っちゃったね」
龍輝くんが寂しそうにしている。
「龍輝くんがいいこにしてたらパパ帰って来るよ😄」
「本当⁉」
「そうだよ、だからちゃんとじいじとばあばの言う事を聞くんだよ」
「うん!わかった!」
空港でみんなとお別れし、私は1人でバスに乗る。
その日の夜、中村さんから「無事に社員寮に着きました✌」と住所も一緒にメールが来た。
中村さんとの遠距離が始まった。
東京に行くために、頑張ってお金貯めなきゃ!
節約し、貯金を頑張る毎日になった。
あと、次に会う時までにお腹の肉をおとなさなきゃ😅
中村さんが東京に行く日が来た。
12時50分発羽田空港行きの飛行機。
私以外にも中村さんのご両親、龍輝くんと小春ちゃんも空港に来ていた。
「パパ!」
2人共、パパの側から離れない。
小春ちゃんは「パパ、抱っこ」と抱っこをお願いして、中村さんは小春ちゃんを抱っこ。
中村さんのお母さんから「良かったら一緒にお昼どうかしら?」と声を掛けてくれた。
「ありがとうございます!」
空港内のレストランに入る。
龍輝くんは「あーちゃんの隣に座る!」と子供用のいすを引っ張って来て私の隣に置いた。
小春ちゃんは「小春もあーちゃんの隣がいい!」と椅子をガタガタいわせながら引っ張って来た。
私の右側には龍輝くん、左側には小春ちゃんが座る。
ご飯を食べ終わると、お母さんは伝票を持って真っ先にレジへ向かう。
私は慌てて追い掛け「あの、いくらかかりました⁉」と聞く。
「いいのよ、誘ったのはこちらだし😄」
「いや、でも…」
「いいのいいの!ほら、小春があーちゃんって騒いでるから行ってあげて!」
「すみません💦ごちそうさまです💦」
レストランを出ると、もうギリギリの時間になっていた。
「じゃ…」
中村さんはゲートに入る。
龍輝くんと小春ちゃんは、「パパ!ばいばい!」と何度も叫んで大きく手を振っている。
中村さんも軽く右手をあげる。
私達は中村さんが見えなくなるまで手を振った。
それから理奈や直哉とは一切関わらなくなった。
理奈からも連絡はないし、直哉とも会わなくなった。
中村さんが東京に行く日まで1週間になった。
荷造りや仕事の引き継ぎに忙しい中村さん。
それでも合間を見ては会ってくれた。
東京に行く日は、旅行代理店に希望休みを出した。
日にちが近付くにつれて、寂しさが増して来る。
日に日に電話やメールも増えた。
東京に行くのが明日になった。
「もうしばらく会えないんだね😢」
「落ち着いたら彩乃ちゃんを東京に招待するから!」
我慢していた寂しい気持ちが爆発して泣いてしまった。
「彩乃ちゃん…」
中村さんは優しく抱き締めてくれた。
そしていっぱい愛し合った。
お互い裸のまま、しばらく抱き合う。
ぬくもりを忘れないために。
幸せに浸っていると、いきなり中村さんにお腹の肉をつままれた。
「しばらくつまめないから😁」
「嫌だぁ~せっかく幸せに浸ってたのに😫」
あはは~と笑う中村さん。
その笑顔ともしばらくお別れだね😢
「困ったやつだねぇ…」
そう言って由佳はため息をついた。
「最近、理奈から何の連絡もないからちゃんとやってるんだとばっかり思ってたよ。もう一切関わらないのが一番!電話も拒否したら?職場に相談出来る人がいたら、その人に話しておいた方がいいかもね」
「うん、ありがとう」
「ところで彩乃、山田さんって覚えてる⁉」
「えっ⁉山田さん⁉」
突然、山田さんの名前が出てきてびっくりした💦
「彼ね、再婚するんだって!聞いたら前の飲み会の時には彼女いたらしいのよ💦付き合って長いらしいよ」
「そうなんだ😅」
ほぅ、やっぱりつまみ食いされただけか😒
本命がちゃんといたんだ。
彼女がいながら、他の女とも…なんて有り得ない😠
彼女には申し訳ないけど、そんなろくでもない男はたいした事はないな😒
もう関係ないからいいけどね。
いつも由佳との電話は長い。
結局、1時間も電話でしゃべってた💦
今度、休みがあえばランチに行く約束をして電話を切った。
「ありがとう」
「いやいや…彩乃ちゃんの友達を悪く言う訳じゃないけど…大変だね😅」
「あはは😅(苦笑)」
「また何かあったらすぐ来るから!ごめん、今日は帰らなきゃならなくて💦」
「忙しいのにごめんなさい😫」
そういえば、今日中村さんのお母さんがいないって言ってたな。
子供達が待ってるのに、申し訳ない事しちゃったな😞
うちまで送ってもらい、中村さんと別れた。
今日は居酒屋はお休み。
両親もいない。
今日は2人で仲良くディナーだって言ってたな。
仲が良いのは素晴らしい✨
邪魔者は一人のんびり過ごしますか😆
冷蔵庫の中のものを適当に食べて、お風呂にのんびり入り缶ビールを飲む。
「ぷはぁ😆たまらん❤」
久し振りにゆっくりとした夜を過ごす。
携帯が鳴る。
着信を見ると由佳だった。
「はろ~😆」
「はろはろ~😁今日は店休み⁉」
「休みだよ😄」
「何だぁ~キムチチャーハン食べに行こうと思ったのに😞」
残念そうな由佳。
由佳に「ねぇ、由佳…」
由佳に理奈の事を話する。
由佳は黙って聞いてくれていた。
直哉は、理奈が私と話している隙に逃げたのだろう。
理奈の怒りの矛先は私に来るな、そう直感した。
中村さんは呆れた様子で「彼女には参っちゃうね😅」と苦笑い。
その時にまた理奈からの着信。
「俺がいるし、出てみたら?」
中村さんにそう言われてまたスピーカーにして電話に出る。
「もしもし?」
「ねぇ、直哉さんはどこ⁉居場所知ってるんでしょ?教えてよ!」
「知らないよ💢」
「嘘!今一緒にいるんでしょ?代わってよ💢」
「知らないって言ってるでしょ⁉あんたいい加減にして💢あんたがそんなんだから直哉が逃げるんじゃないの?巻き込まないで💢」
「何よそれ!いいから早く代わりなさいよ💢」
その時中村さんが私の携帯を取り「もしもし」と話し出した。
「も…もしもし⁉」
戸惑う理奈。
「今、彩乃ちゃんが一緒にいるのは直哉という人ではなく中村といいます。前に一度会ったかな?彩乃ちゃんは俺と付き合ってから直哉という人とは一切関係ありません。これ以上いらぬ疑惑をかけられるなら出るところに出て、第三者を交えてしっかりお話しましょうか」
「…」
理奈は無言のまま電話を切った。
理奈が喫茶店に入って来た。
「やっぱり彩乃とまだ付き合ってたんだ」
「違うんだ!俺が彩乃を無理矢理…」
パーン‼✋💥
理奈が直哉の顔を平手打ち。
そしてコップに入っていた水を直哉にぶっかけた!
他のお客さんが一斉にこっちを見る。
その隙に、私は逃げる様に喫茶店を出た。
この喫茶店に来る度に何かあるな😅
逃げながら中村さんに連絡。
中村さんに簡単に事情を説明、すると中村さんは「これからすぐ向かうから!」と言ってくれた。
直哉も理奈も、あの喫茶店から出てきた様子はない。
走ったため、はあはあと息があがる。
落ち着いた頃に中村さんが来てくれた。
「直哉と理奈がまだあの喫茶店にいると思うんだ」
「様子を見てきてあげようか?」
「ありがとう」
中村さんは近くまで車を走らせ、車を降りて喫茶店の中を覗く。
すぐに戻って来て「まだ中にいたよ。店員さんが止めに入ってるみたいだけど彼女の怒鳴り声が聞こえた😅」
「もう関わりたくないな」
とりあえず車を走らせる。
郊外のコンビニの駐車場に停めたと同時に私の携帯が鳴る。
「理奈だ…」
「出てみたら?何かあっても俺がいるし」
「うん…」
私は電話に出る。
スピーカーにして、中村さんにも聞こえる様にしておいた。
理奈は興奮状態で「何逃げてんだよ💢戻って来なさいよ!」
「嫌だ」
「はぁ?あっ!直哉さん、待って!」
そう言って電話が切れた。
「だって理奈のお腹には直哉の赤ちゃんがいるんでしょ?結婚式も挙げるんでしょ?何を今更…」
「前の理奈なら何の迷いもなく結婚してた。でも、今の理奈は…嫌いだ。一緒にいても苦痛でしかない。お袋は「あんな女との再婚は、絶対許さない!」と会う事すら頑なに拒否してるし、理奈は勝手に話を進めているし…」
「直哉、ずいぶん勝手だね。今の理奈が嫌だから別れたい⁉自分で何とかしなさいよ」
私は席を立つ。
「彩乃!ちょっと待って💦」
「何でもう関係ない元旦那の色恋沙汰の面倒までみなきゃいけないの⁉」
「彩乃しか相談出来なくて」
その時に直哉の携帯が鳴る。
理奈かららしい。
「うん…うん…えっ?」
そう言って喫茶店の外を見る直哉。
あらぁ…携帯を耳に当てた状態の怖~い顔をした理奈が覗いて、こっちを見てる💦
こりゃ~面倒な事になりそうだ😱😱😱
翌朝、中村さんにメールをするのが日課になっていた。
「おはよう☀昨日、中嶋さんが来店して中村さんが東京に行って寂しい時は相手してくれるって😁」
すぐに返信が来た。
「彩乃ちゃんおはよう✨中嶋さんなら安心だ(笑)是非相手してもらって😁」
「あとね、昨日の仕事帰りに元旦那から理奈の事で相談があるって会社帰りに会って言われた」
「信じてるから大丈夫だよ!コソコソされたら嫌だけど、こうして言ってくれたしね😄その代わり、何かあったらすぐ連絡を✋」
「ありがとう」
支度をして旅行代理店に向かう。
仕事を終えて店を出ると今日もやはり直哉がいた。
「ごめん彩乃、待ち伏せして」
「多分いるだろうと思っていたから」
「理奈の事でちょっと…」
「いいよ、相談に乗ってあげる」
向かいの喫茶店に入る。
飲み物を注文し「早速なんだけど…」と直哉が口を開く。
「理奈、彩乃に大変な事をしたらしいね」
「あぁ…前にね~何かにとり憑かれたみたいに「あんたさえいなければ、私は直哉さんと幸せになれた」って言いながら蹴られてね、3日間仕事休んだくらいの怪我をしたよ😞」
「理奈は俺と彩乃がまだ続いてると思ってるみたいでね、毎日毎日「彩乃とは連絡してないよね⁉」とか言われてさ、束縛が酷くて」
「そう」
「こうして会ってたなんてバレたら何をされるか…」
「で、相談って何?私は悪いけど愚痴を聞きに来た訳じゃないのよ」
「あ…そうだよね。相談っていうのは、どうやったら理奈と別れられる⁉」
「はぁ?」
久し振りに中嶋さんが来店。
「中嶋さん!久し振りですね😄」
「お~彩乃ちゃん😄元気だったかい?」
「しばらくみえてないからどうしたのかな?って心配してましたよ」
「あはは(笑)実はね、しばらく孫を預かっててね😄夜は和希と一緒に遊んでたんだよ」
息子さんのお嫁さんが事故にあい入院していて、息子さんが夜勤の週だったため夜は和希くんを見てくれる人がいないので、中嶋さんが面倒をみていたらしい。
「しばらく孫と遊んでたらここに来れなくてね~昨日、息子が迎えに来て孫を連れて帰ったけど夜はずっと一緒にいたから、じいちゃんは寂しいよ😫」
そう言って、いつもの焼酎の烏龍茶割りをグイっと飲む。
「そうだったんですか」
「ところで…中村くんとはうまくいってるのかい?」
「えっ?」
「中村くんが報告して来たよ😄彩乃ちゃんと付き合ってるって😁ちゃんと彩乃ちゃんからもおじさんに言わないとダメだな~(笑)」
「すみません😅」
「彼は仕事も真面目だし、いい青年だよ!あっ、聞いた?来月から東京に行くって…」
「聞きました😞」
「寂しくなるねぇ…寂しい時はおじさんが相手するよ😁」
「あはは(笑)お願いします😁」
相変わらずの中嶋さん。
お母さんとも雑談を交わし、閉店までいた中嶋さん。
「帰っても孫いないから、今日からは一人寂しくねんねするよ😞⤵」
とつぶやき帰って行った。
その後、閉店後の片付けをして部屋に戻る。
その日はいっぱいいっぱい愛し合う。
遠距離になる寂しさを埋める様に…
その日からは少しでも時間があれば会う毎日。
休みが合えば朝からずっと一緒。
龍輝くんや小春ちゃんも一緒に会う事もある。
そんなある日。
旅行代理店の仕事を終え帰宅していると、後ろから「彩乃」と声を掛けられて振り向くと直哉だった。
「直哉⁉久し振りだね、理奈とは仲良くやってる⁉」
「…理奈の事で相談があるんだけど」
「えっ?」
「ちょっと時間あるか?」
「いや…うん」
悩んだ。
やましい気持ちは全くないけど、元旦那に会うとわかれば中村さん、嫌な気持ちになるだろう。
「また今度でもいい?今日はちょっとこの後予定が入ってて」
「明日は?」
「まぁ、そのうちに」
私は再び歩き出した。
理奈の事が頭をよぎる。
直哉と会った、なんてわかったらまた理奈から執拗な嫌がらせが始まるのが嫌だ😱
直哉は追い掛けて来る事はない。
私はそのまま自宅に帰る。
今日は中村さんは残業のため、私は居酒屋の手伝いがあるため会えない。
私は着替えて、いつもの看板娘をこなした。
「彩乃ちゃん…俺…来月から一年間、東京の支店に行く事になったんだ…」
えっ⁉
「今日、部長に言われてね…子供らは親に任せて単身赴任みたいな形になるけど…彩乃ちゃんとは遠距離になっちゃうから、報告しようと思って」
「東京かぁ…😞でも、ほら!今みたいに頻繁には会えないけど携帯あるし!会えない分、たまに会うと新鮮味があると思うし!」
動揺し、良くわからない事を言う私。
「彩乃ちゃん…遠距離は寂しくないの?」
「寂しいけど…仕事だし、一生会えない訳じゃないから!😄」
精一杯の笑顔で答える。
本当は寂しいよ😢
ずっと一緒にいたい。
でも、一年間の我慢!
「彩乃ちゃん、突然なんだけど」
そう言って中村さんはカバンから何かを取り出した。
シンプルな模様の紙袋に入っている。
「開けてみて」
私は素直に紙袋を開ける。
わぁ~✨
ネックレスだ!
「実は俺とお揃いなんだ!今日、仕事を早く切り上げて買いに行って来たんだ😄遠距離になるから、身近に感じれるかな?と思ってね」
早速着けてみた。
細長い長方形の先に小さなダイヤが一つ、シンプルについている。
「なかなか似合うじゃん😁」
「ありがとう!」
「俺はもう着けてる😁」
そう言って、ワイシャツの襟のところからチラっと取り出した。
お揃いのネックレス。
大事なネックレス。
中村さんとは遠距離になるけど、このネックレスが中村さんとの絆。
絶対に外さない!
夜になり、中村さんとデート❤
一緒に晩御飯を食べる。
今日はパスタ。
私はシンプルにカルボナーラ、中村さんはペペロンチーノを食べる。
色んな種類のパスタがあったけどお互い冒険はやめて食べ慣れたものにした(笑)
そして、コンビニに寄って飲み物を買ってから中村さんの車はラブホ街へ。
今日は勝負下着を着用してきたし、ムダ毛の処理も完璧✌
でも中村さん…いつもと様子が違う。
車から降りてから無言のまま。
いつもなら手をつないでくれるのに、今日はない。
「何かあったのかな…」
ご飯を食べている時も、余り笑顔はなく元気がない様にみえた。
部屋に入る。
比較的広めでシンプルな作りの部屋。
大きなテレビがあり、反対側にテーブルとソファーが置いていて、奥には大きなベッドがドーンと置いてある。
中村さんはソファーに座り買って来たペットボトルのお茶を飲む。
「彩乃ちゃんに話があって…」
「えっ⁉話しって何?」
真面目な顔の中村さん。
別れ話でもされちゃうの⁉
ドクン!
心拍数が一気に早くなる。
しばらく無言の中村さん。
もう心臓が跳ねて口から飛び出してきそうだし…倒れそう💦
早く言ってよ…
覚悟を決めて「話しって…何だろう?」と聞き返す。
中村さんは真面目な顔をしたまま話し出した。
朝、化粧をしていたら携帯が鳴る。
右目だけアイラインを入れた状態で携帯を開く。
理奈だった😅
う~ん…出ようかどうしようか瞬時に悩み、出ない事に決めて左目にアイラインを入れる。
また携帯が鳴る。
無視無視!
また鳴る。
しつこいな💢
仕方ない…出るか💧
「もしもし?」
「彩乃~おはよう!やっと出た😄」
「ごめん、これから仕事に行かなきゃならないんだけど」
「結婚式の招待状届いた?」
「うん、来たね」
「彩乃は強制出席だから出欠のハガキ入ってなかったでしょ?必ず来てね!」
「ごめん、結婚式には行けないんだ」
すると理奈は急に不機嫌になり「はぁ?どうせ暇でしょ?彼氏とデートする時間はあるのに、私と直哉さんの結婚式に来る時間がないっておかしくない⁉」
「悪いんだけど忙しいから切るね」
「ちょっ…彩乃…」
理奈が話している最中だったけど電話を切った。
それからも何度も鳴るけど無視。
すると今度は旅行代理店にまで電話をして来た💧
「彩乃が出席するっていうまで毎日電話するから」
「店には電話して来ないでよ」
「じゃあ結婚式来てよ」
はぁ…思わずため息が出る。
「行かないし、今度電話してきたら営業妨害で警察に連絡するから」
そう言うと理奈は無言のまま電話を切った。
直哉と私はこんなにラブラブですよ~彩乃、羨ましいでしょう❤
そう言って見せつけたいんだろうけど、はっきり言って迷惑💢
何か朝から疲れちゃった😅
「今日はありがとう!あいつらも嬉しそうだった😄」
「2人共可愛かったな💕」
「また機会があれば、あいつら連れて来てもいいかな?」
「もちろん!」
「ところで、明日の夜って時間ある?」
「大丈夫だけど…何かあった?」
「明日、良かったら一緒にご飯どうかな?」
「喜んで✨」
「じゃあ、明日は2人でゆっくりご飯食べよう!」
そんな話をしているうちに家に着いた。
居酒屋は開店前の準備をしていた。
「ただいま~」
「おかえり、今日は団体客が入ってるから着替えたら手伝ってもらえるか?」
お父さんが忙しそうに仕込みをしながら話し掛けて来た。
「わかったよ!着替えて来るわ!」
私は店から家に入る。
郵便受けに郵便物を見つけて取り出す。
私宛の封書。
開けてみると、直哉と理奈の結婚式の招待状だった。
「行きませんよ😒」
そう言いながら部屋に戻り着替える。
その日は忙しく、あっという間に時間が過ぎた。
片付けも終わり「はぁ~疲れた😫」
ソファーにゴロンと転がる。
携帯を見ると中村さんから2件メールが来ていた。
「居酒屋さんを手伝っている時間かな?頑張って✊」
もう1件は「お休み中」という題名で龍輝くんと小春ちゃんが仲良く並んで眠っている写メ。
思わず笑顔になる😄
もう遅いから返信はしない。
また明日会える❤
携帯を見ているうちにそのまま落ちたらしく、気が付いたら朝になっていた。
子供達はじいじに「じいじ!パパとあーちゃんと遊園地に行ってウサギ抱っこしたの!」
「これ買ってくれたの!」
2人同時にじいじに話し掛けている。
じいちゃん子なのかな?
お父さんは子供達を相手にニコニコしながら話を聞いている。
お母さんは私と中村さんに冷たい麦茶と、切ったカステラを持って来てくれた。
「お仕事は何をされているの?」
「旅行代理店の内勤営業です」
「ご実家、居酒屋さんをされているみたいね」
「はい😄小さいですが」
「ご兄弟は?」
「一人っ子です」
矢継ぎ早に質問をしてくるお母さん。
中村さんには3つ年上のお兄さんがいる。
転勤族らしく、今は実家から3時間程離れたところに住んでいる。
お母さんと色んな話をする。
最後に「こんな息子ですが、仲良くしてやって下さいね😄またいつでも遊びにいらしてね」
「こちらこそ💦すみません、ごちそうさまでした!お邪魔しました!」
その時、龍輝くんが「あーちゃん、もう帰るの?一緒にトランプやろ🎵」とトランプを持って来た。
中村さんが「あーちゃんは明日お仕事だから帰るの!いっぱい買ってもらったんだから、ちゃんとありがとうしないとダメだよ!」と言うと龍輝くんは「あーちゃん、ありがとう!バイバイ😄✋➰」と手を振ってくれた。
小春ちゃんも「あーちゃん!バイバイ😄」とお兄ちゃんの横で手を振ってくれた。
ご両親も玄関先まで見送ってくれた。
「送ってくるから」
中村さんはそう言って、私と一緒に家を出た。
中村さんは「どうかな」と答えた。
今の子って、ませてるのかな💦
結婚だなんて…😆
「パパとあーちゃんが結婚したら、あーちゃんはママになるの?」
「そうだね」
「ママじゃなくなったママよりあーちゃんがいい!」
龍輝くんは身を乗り出して話す。
「あーちゃん、また一緒に遊ぼうね!」
「そうだね、また遊ぼうね😄」
小春ちゃんはまだ爆睡中。
「龍輝、そろそろ小春を起こしてくれ!」
「うん、わかった!小春!もうおうち着くよ!」
龍輝くんが小春ちゃんを起こす。
中村さんちに着いた。
白い外壁で2階建ての一軒家。
「あがってく?」
「えっ?」
いきなり言われてびっくりした私。
でも、目の前にいてご挨拶しないのも失礼か😅
「突然お邪魔しても大丈夫かな…」
「大丈夫だよ!今日、彩乃ちゃんと一緒なのは知ってるから😄」
「ご挨拶しなきゃね💦」
急に緊張して来た。
龍輝くんと小春ちゃんは一足先に「ただいま~!」と玄関に入って行った。
中村さんはトランクを開けて、子供達の荷物を出している。
「お待たせ、入ろうか」
緊張して、手のひらが汗ばんで来た。
「お邪魔します」
居間に通された。
「初めまして!伊藤と申します!いつもお世話になっております!」
私はペコリと頭を下げた。
「初めまして😄」
中村さんのご両親と初対面。
中村さんってお母さん似なんだ😄
とても気さくなご両親。
快く迎え入れてくれた。
それからしばらく経ったある日、中村さんとデートする事になった。
今日のデートは4人。
そう、中村さんの子供達も一緒に遊園地に行く事になった。
上の子は龍輝くん。
下の子は小春ちゃん。
小春ちゃんは人見知りなのか、最初はパパから離れなかったけど、時間が経つにつれてなついてくれる様になった。
龍輝くんは人見知りは一切なく、最初から話し掛けてくれた。
2人共、私の事を「あーちゃん」と呼んでくれる。
一緒にメリーゴーランドに乗ったり、ゴーカートに乗ったり、ミニ動物園にいるウサギを抱っこしたりと子供中心で回ったけど楽しかった。
園内のレストランでは、お子様ランチを美味そうに食べる2人。
可愛いなぁ💕
小春ちゃんはまだスプーンをうまく使えなくて、プリンをこぼしてしまい泣いてしまった。
中村さんが「何やってんだよ」と言いながらこぼれてしまったプリンを片付けたり、汚れた手や服を拭いている。
龍輝くんは、そんな2人を全く気にする事なくモクモクご飯を食べている。
ご飯も食べ終わり、遊園地を出ると子供達は後ろの席で爆睡。
龍輝くんは口を開けて爆睡中。
「本当は2人だけでのんびりしたかったけど、こいつらに話したら「パパの彼女に会いたい!」ってうるさくてね😅色々迷惑かけて悪かったね」
「いやいや全然迷惑なんてかかってないし、2人共可愛くて😄」
話していると、龍輝くんが「おしっこしたい」と起きたため、途中コンビニに寄りトイレを借りた。
車に戻ると龍輝くんが「あーちゃんとパパって結婚するの?」と聞いて来た。
旅行代理店に出勤すると、みんな想像以上の怪我だったらしく「大丈夫⁉」と心配してくれた。
酔って、階段から転げ落ちたという事にしたけど…嘘ってバレるかな😅
マスクはしていったけど、しばらくはカウンターには出ないで裏方で電話対応やネット対応する事になった。
怪我の具合もだいぶ良くなり、マスクもとれた。
そんなある日、理奈から電話が来た。
何だろう…
恐る恐る電話に出た。
「…もしもし」
「彩乃⁉あたし~理奈!」
「何かなぁ?」
刺激を与えない言い方をする。
「私ね~直哉さんと再婚する事になったの😆彩乃から直哉さんを奪うけど許してね~!あっ!結婚式には呼ぶから絶対来てね!じゃあ~また!」
理奈は一方的に話すと電話は切れた💧
それはそれは…良かったね😅
悪いけど、結婚式には行かないぞ💧
多分、理奈は直哉とのラブラブな姿を見せ付けたいんだろうな。
だから最近、理奈からの嫌がらせがなくなったのか。
悪いけど、そっちの方が嬉しいよ💦
お幸せに。
3日間、旅行代理店の仕事を休んだ。
いくらか腫れはひいたものの、あちこちが青くなっている。
腕も少し上がる様になった。
腕が上がらないため、お風呂に入った時に頭を洗うのが一苦労😅
休み中、久美子さんからメールが来た。
「怪我の具合はいかがですか?明日か明後日辺りには出勤出来そう?」
週末だから忙しいのであろう。
マスクをすればごまかせそう😅
基本的にはデスクワークだから、余り腕を上げる事はないし、これ以上休んでも皆に迷惑がかかってしまう😱
「明日から出勤します」
久美子さんにメール。
すぐに返信があり「わかりました😄でも無理は禁物!辛くなったら必ず言ってね!じゃあ明日からまたお願いします」
明日からまた仕事。
皆に迷惑かけちゃった分、頑張らなくちゃ💦
「もしもし!理奈⁉」
プツン!プープー…
電話が切れた。
「理奈、何だって?」
「警察には行かないで!だってさ、勝手だよね😠」
「それにしても、彩乃の怪我酷いね😞」
「顔の腫れがひくまで、仕事休むよ」
少し由佳と話したら、由佳は帰って行った。
家に戻ると、お母さんが心配そうに「彩乃、誰かに殴られたの?」と聞いて来た。
「うん、ちょっと理奈とトラブってね」
「理奈ちゃんが⁉」
事情は全く知らないお母さんはびっくりしている。
「余り深く聞かないで」
不機嫌な私を察したのか、お母さんはそれ以上聞いて来る事はなかった。
部屋に戻ると、中村さんから電話が来た。
「子供ら、やっと寝てくれた💦体はどう?」
「痛い😫」
「だよねぇ😅」
「心配かけてごめんなさい…」
「理奈さん…悪いけどちょっと精神的な病を抱えているのかもしれないね」
「うん、私もそう思う」
「理奈さんとの接触はしない方が良さそうだね、何かあればいつでも電話を!」
「ありがとう」
中村さんとの電話も終わり、病院でもらった痛み止めの薬を飲み、湿布を貼りその日は早目に就寝した。
「もしもし!理奈⁉あのね彩乃が理奈の事を傷害で警察に相談しに行くみたいだよ!知ってた?何かね防犯カメラがあったみたいで、理奈と彩乃の一部始終を防犯カメラが見てたみたいだよ~!もし、理奈が被害者ならいい証拠になるじゃない」
防犯カメラと言うのは嘘。
由佳が機転を利かせてくれた作り話。
由佳はそう話して、理奈がどう出るか見たかったみたい。
「うん…うん…そうだね…」
相槌を打つ由佳。
5分程で会話は終わった。
「理奈焦ってたよ。「彩乃が警察に相談したら…防犯カメラの画像から…私逮捕されるの?」って言ってたから「そうだね」って答えておいた」
その時に私の携帯が鳴る。
理奈からだった。
由佳が「出てみたら?」と言うから「もしもし」と出てみた。
「彩乃…さっきは本当にごめん!悪気はなかったの。興奮してしまって…お願いだから警察に相談だけは勘弁して」
理奈は今にも泣き出しそうな震えた声。
きっと由佳の「逮捕」という言葉でビビっているのかもしれない。
でも、ここまでされて「はい、わかりましたよ」とはいかない。
「理奈、悪いけど…私これから警察に行くね!しかも由佳に嘘ばかり言ってるしね!」
「ごめん!彩乃に直哉さんをとられたくなくて…」
「だからもう直哉とは関係ないし、お葬式は本当にお父さんの最期を見送りたかっただけ!」
「…」
理奈は黙った。
「彩乃⁉今、理奈から電話があったんだけど…どういう事なんだろ?」
「由佳、理奈は何て言ってた?」
「今日、彩乃から呼び出されたから行ったら「直哉さんをとらないで!」ってすごい剣幕で怒鳴られて殴られたって。彩乃には直哉さんの子供が授からなくて、私には授かったから嫉妬してるみたいなのって言ってた」
「呆れた!」
「で、今の彼氏と二股かけてて彩乃は直哉さんに会いたいために、親の葬式を利用して会ってたって」
「由佳!全くの嘘!」
そう言って、直哉のお父さんのお葬式の事や今日の事を全て話した。
「理奈の話しとずいぶん違うね」
由佳は戸惑っている様子。
「私、理奈を警察に突き出そうかな。嘘ばかりついて腹が立つ💢由佳!これから会える?私の怪我を見て欲しい」
「わかった…」
由佳はそう言って電話を切った。
20分くらいで由佳はうちに到着。
私は、由佳の車に乗り込んだ。
由佳は私の顔を見て「酷い…」と眉をしかめる。
「理奈にやられたの?」
「そうだよ!こんなにしておいて、よくもまぁあんな嘘を💢」
「酷い…ねぇ、理奈に言ってみようか、彩乃が診断書を持って警察に相談しに行くみたいだよって。それで理奈がどう出るか」
そう言って由佳は理奈に電話を掛けた。
小さな個人病院。
私が診察している間に「財布を取りに行くから!」と中村さんは一旦家に帰る。
おじいちゃん先生で、ゆっくりわかりやすく話す先生。
「一応、レントゲンを撮りましょうか」
特に痛い左腕のレントゲンを撮る。
結果、幸い骨に異常はなかったけど、強くひねった可能性が高いらしい。
一応、診断書を書いてもらう。
待合室に戻ると、中村さんがいてくれた。
「どうだった⁉」
「骨に異常はないけど、強くひねったみたい」
「そっか…でも骨折していなくて良かった」
「うん、一応診断書も書いてもらった」
「そうか」
会計を済ませて、中村さんの車に戻る。
身体中が筋肉痛みたいな痛みのため、車に乗るのも一苦労😅
そのまま家に送ってもらった。
「彩乃!どうしたの⁉」
お母さんが私の顔を見て驚く。
「うん、ちょっとね」
「病院は?」
「行って来た」
私はそのまま部屋に戻る。
改めて鏡を見たら…こりゃ酷いな😅
明日、旅行代理店休むかな💧
久美子さんに顔の写メ付きでメール。
「ちょっと怪我しまして、顔の腫れがひくまで2~3日お休みさせて下さい💦」
すぐに久美子さんからメールが来た。
「大丈夫⁉わかりました。支店長にその様に伝えておきます」
…はぁ。
ため息をついたその時、由佳から電話が来た。
中村さんは、少し走らせたコンビニの駐車場に車を停めた。
「何か飲む?」
そう言って中村さんは車から降りた。
降りてすぐポケットに手を当てた瞬間「ごめん💦俺、慌てて来たから財布忘れて来ちゃった😅取りに戻るよ」と車に戻って来た。
「あっ💦わざわざ来てくれたから飲み物くらいなら私出すよ💦」
「申し訳ない💧今度、返すから」
私はお財布を出し、千円を中村さんに渡す。
中村さんはコーヒーとお茶を買って来てくれた。
私は、コーヒーを飲みながら理奈に蹴られた事を話す。
「殴り返せば良かったのに💢」
中村さんはそう言うけど…
お腹に赤ちゃんがいる理奈を殴れなかった。
赤ちゃんは関係ない!可哀想!と思ったら…殴れない😫
理奈が妊婦じゃなかったら応戦してたけど😅
「彩乃ちゃん!病院と警察に行こう!診断書書いてもらって、警察で傷害で突き出そうよ!そしたら彼女も懲りるんじゃない?」
「うん…でも…」
「そこまでされてるんだよ⁉彩乃ちゃん!」
「うん…」
「まだ俺んちの近くの病院やってるから、そこに行こう!」
警察はおいといて…余りの痛さに病院にはかかりたかった。
中村さんち近くの病院で診てもらう事にした。
「もしもし…」
「彩乃ちゃん!今日メールがなかったから、何かあったんじゃないかと思って心配してたんだ💦今、どこにいるの?」
中村さんの優しさが嬉しかった。
声を聞いた瞬間に号泣。
「ど、どうしたの⁉今、どこにいるの?彩乃ちゃん⁉迎えに行くから、場所教えて!」
私は場所を伝えると、中村さんは「今すぐ行くから!」そう言って電話を切った。
私は路地に隠れたまま、中村さんを待った。
こんな顔で表通りに出たら、有名人並みに注目の的になる。
10分後、ジャージ姿の中村さんが迎えに来てくれた。
私は、中村さんの車を見付けると走って表通りに出た。
助手席の窓をノックする。
私の腫れ上がった顔を見て「どうしたの⁉」と驚いている。
「理由は後で話すから…まずはここから逃げたい」
「わかった!」
そう言って中村さんは車を走らせた。
私はしゃがんで、蹴られた足をさすりながら「気が済んだ?」と一言。
その一言が理奈を再び逆上させた。
「何なの?何様なのよ!偉そうに!」
そう叫んで、理奈はしゃがんでいる私をまた蹴り始める。
「痛い…止めて!」
「うるさい!」
そう言って理奈は、ひたすら私を蹴りまくる。
まるで、呪文の様に「あんたさえいなければ…」と呟きながら理奈は私を蹴る。
どのくらい時間が経っただろう。
身体中が痛い。
理奈は「あはは~鼻血が出てる~ざまあみろ!」
最後に近くにあった石を私に投げた。
頭に当たり、激痛が走る。
「二度と直哉さんに手を出さないで!二度と会わないで!」
そう吐き捨てて、理奈はいなくなった。
理奈がいなくなってからも、私はその場から動けなくなりうずくまる。
カバンから手鏡を取り出し顔を見る。
顔は腫れ上がり、鼻血が流れていた。
頭も切れたみたいで、額からも血が流れていた。
動くと身体中が痛い。
私は携帯を取り出して開く。
中村さんから3回着信があった。
私は中村さんに電話を掛けた。
「彩乃!まだ話し終わってないから!待ちなさいよ!」
後ろから、理奈が大声で叫びながら追いかけて来た。
私はイライラしていたため、理奈を無視して早歩き。
「ちょっと!彩乃!」
選挙じゃないんだから、人の名前をそんなに大声で叫ばないでよ💢
ひたすら無視。
理奈が叫ぶため、すれ違って行く人は振り返りながら私を見る。
信号待ちをしていたら、理奈がハアハア言いながら「追い付いた」と私の腕を掴んだ。
「何なの?💢」
「彩乃、こっち来て」
理奈は私の腕を力いっぱい引っ張り、路地に入った。
「なに?」
私は冷たく言い放つ。
理奈は「彩乃は幸せになる権利なんてないのよ」
「何か私に恨みでもあんの?」
「彩乃なんて死ねばいいのに」
そう言って理奈は不気味に笑う。
「直哉さんも、彩乃のどこが良くて結婚したんだろ?デブだしブサイクだし、私の方がずっといい女なのに。子供も母親を選ぶのね、こんな生きる価値すらないブサイクより、私の方がいいってわかってるのよ!」
「…だから何💢」
「彩乃がいなくなれば、私と直哉さんは幸せになれるのよ。お願いだから消えて」
そう言って、私の足を蹴った。
「痛い…」
私は蹴られた足を押さえる。
理奈は「彩乃さえいなければ…」そう言って今度は逆の足を蹴る。
理奈は病んでる。
そう感じた。
次の日、いつもの様に旅行代理店の仕事を終えて店を出ると理奈がいた。
「彩乃に話があるんだ」
「じゃあ、そこの喫茶店に入る?」
前に直哉と入った、目の前の喫茶店に入った。
「理奈、悪いんだけど…この後実家の手伝いがあるから、手短にお願い😅」
「…」
理奈は黙っている。
「ねぇ、話しってなに?」
「昨日、一緒にいた人は彩乃の彼氏?」
「うん…まぁね」
「よく彼氏と元旦那の親の葬式に行けたね」
「えっ?」
「直哉さんに未練あるの?」
「いや、別に未練はないけど…」
「嘘だ!本当は直哉さんに会いたいから、親の葬式という口実を利用して会いに行ったんじゃないの?」
「何言ってるの⁉」
「彼氏がいながら、元旦那に会いに行くなんていやらしい」
「はぁ?理奈が言ってる事、意味がわかんないんだけど」
「彩乃から直哉さんを奪うから」
「奪うも何も…もう直哉とは関係ないし」
「私は直哉さんとの子供がお腹にいるの。彩乃じゃなく私を選んでくれた!直哉さんの子供…」
イライラして来た💢
「理奈!私は直哉とは関係ないから好きにしたら?」
「私と直哉さんが結婚したらやきもち妬いて、嫉妬しないでね」
「嫉妬もしないし、勝手にしたら?💢」
私は席を立つ。
「それとも、彩乃の彼氏を奪おうかな」
「何なの⁉」
「彩乃ばかり幸せになって許せない。離婚したのも彩乃のせい…」
「いい加減にして💢」
私は、自分のコーヒー代をテーブルに叩きつけて店を出た。
家に帰ると、もう店はやっていた。
お母さんは接客中だった。
お父さんに「お葬式行って来た」と様子を話す。
「そうか、今日は店休んでいいぞ」
言葉が少ない。
お父さん同士気が合ったのか、会えば良く一緒にお酒を飲んでいた。
お父さんもお葬式に行きたかったけど、今日は予約が入っていたから行けなかった。
だからきっと、複雑な気持ちでいるんだろう。
私は、部屋に戻り着替えてから由佳に電話を掛ける。
「もしもし?彩乃~?」
「由佳!いきなりなんだけどさ~…」
私は、直哉のお父さんのお葬式の事や理奈の事を一気に話した。
由佳は「理奈…かなり精神的に追い込まれてるみたいだね。もう少ししたら赤ちゃん生まれる頃でしょ?赤ちゃんが可哀想…どうするんだろ。でも、悪いけど私もう理奈には関わりたくない💦」
由佳はもう理奈を見放したみたい。
結局、由佳と違う話しをして電話を切った。
何かモヤモヤした気持ちが残るけど…
その日はお母さんに頼まれた売上金の計算をして就寝した。
「直哉、理奈はちょっと精神的に不安定みたいなの。お腹の子供、直哉の子供みたいだし…お父さんが亡くなってすぐで直哉も大変だと思うけど…」
「彩乃、悪かったね。
理奈…とりあえず今日は帰ってくれないか?落ち着いたら必ず連絡するから…」
理奈は黙ったまま、そのまま何処かに歩いて行った。
直哉もその後すぐに会場に戻った。
中村さんと私は、車に乗り込んだ。
「ごめんなさい、お騒がせして」
「彼女が言ってた理奈っていう人なんだね」
「そうなんだ」
「妊娠中はブルーになりやすいみたいだけど…かなり激しい性格みたいで😅」
「前はあんなんじゃなかったの💦何か変わってしまって」
「あの人と元旦那さんが不倫して…」
「うん…ねぇ、理奈が余計な事を言ってしまって…」
「ん?あぁ…片親っていう事ね、確かに子供にとっては両親揃っていた方がいいからね。でも、片親でも俺は俺なりに頑張っているつもりだから…気にしない気にしない😄とか言いながら俺も彼女に言い過ぎたかな😅」
「全然大丈夫!」
そんな話をしているうちにうちに着いた。
「今日は本当にごめんなさい」
「大丈夫!じゃあ、また」
中村さんは、軽くクラクションを鳴らして帰って行った。
中村さんは、近くにある自販機でお茶を買って来てくれて理奈に渡した。
理奈は興奮状態から落ち着き、お茶を飲む。
「理奈、どうしたの?話してみて」
私が言うと、理奈はいきなり泣き出した。
「晴彦に離婚を突き付けられて、一人になっちゃった…」
「理奈、お腹の子供…直哉の子なんでしょ?」
中村さんは驚いた顔で私を見た。
「だから旦那さんに離婚を突き付けられたんでしょ?ねぇ理奈、いい?理奈はこれからママになるんだよ?お腹の子を守っていかなきゃならないんだよ?一人でも育てていかなきゃならないんだよ?赤ちゃんを不安にさせてはダメ!しっかりして!」
「両親が揃ってないと可哀想じゃない⁉彩乃は他人事だからそんな事が言えるのよ!」
その言葉に中村さんが「失礼ですが、俺はシングルファーザーで子供2人を育てています。確かにママがいなくて寂しい思いをさせてるかもしれませんが、片親でも2人共素直でいい子達ですよ」と静かな口調で話す。
その言葉に理奈は「あなたは仕事してるから収入あるでしょ?私は子供生んだらしばらく働けないのよ!どうやって生きていけばいいのよ💢」と怒鳴る。
中村さんは「母子には手当てが出るはずですし、市役所に相談してみて下さい。父子は手当てないですから、母子は恵まれてると思いますよ」
理奈は黙った。
「詳しい内容はわかりませんが、母子でも立派に育児されている方は沢山います。頑張って下さい」
理奈は黙ったまま。
そこへ、直哉が現れた。
「最期見送れた?」
助手席の窓を開けて、中村さんは私に声をかけた。
「どうしたの?難しい顔をして」
「うん…ごめん、もう一回会場に戻る!」
理奈が気になった。
私は再び会場に戻ると、理奈と直哉が2人で話している。
すると理奈が、何やら叫んで泣いている。
周りの人が理奈を見ている。
私は2人の元に走って行き、「理奈!まずは落ち着こう!」そう声を掛けた。
泣きじゃくる理奈に直哉は「理奈、今、この場所で話す事じゃないだろ⁉今は親父の葬式で…頼むから落ち着いてから話そう!なっ⁉」
理奈は「直哉さんと私の子供なのよ⁉お父さんよりこの子の方が大事に決まってるじゃない!」
私は、理奈に「理奈、場所を考えようよ」と言うと理奈は「彩乃まで何⁉私と直哉さんの赤ちゃんの話しなの!彩乃は関係ないんだから黙ってて!」と声を荒げる。
理奈は、精神的に不安定なのかもしれない。
私は無理矢理、理奈を外に連れ出した。
理奈は泣きながら「離して!」と叫ぶけど、とりあえず理奈を落ち着かせたかった。
私が理奈を引っ張り出す姿を見た中村さんが、慌てて車から降りて来た。
「どうしたの⁉何かあったの?」
理奈は興奮状態で中村さんに「あんた誰よ💢」と叫ぶ。
「いいから理奈、落ち着いて!」
私も理奈に強めの口調で話す。
直哉はお父さんの遺影をじっと見ている。
後ろ姿だから表情までは見えないけど、一切動かない。
お通夜が終わり、お焼香も終わり私は直哉に話し掛ける。
「直哉」
「彩乃…」
直哉の目には、うっすら涙が…。
「彩乃、来てくれてありがとう。俺、親不孝したまま…親父…逝っちゃった」
「…」
かける言葉が見つからない。
「今になって後悔したって遅いんだよな…親父に何一つ親孝行出来なかった」
直哉は涙をこらえる様に両手を握りしめ、下を向いている。
「俺、またこっちに戻って来てお袋の面倒見ながら頑張るよ。お袋、憔悴しきってるから…」
「そう…」
「ありがとう」
直哉は私にお礼を言うと、お母さんのところに向かう。
私は会場の出入口に向かうと、遠くからじっとこちらを見つめる女性がいる。
理奈だった。
お腹もかなり大きくなっていた。
「理奈!」
私は声をかける。
理奈は私を見て「彩乃もお葬式に来たんだ…直哉さんはいた?」
「うん、いたけど…今はやめておいた方が…」
理奈は私の話を聞かずに、そのまま会場に入って行った。
「理奈!」
呼び止めたけど理奈は無視。
会場の中に消えて行った。
その時にパッシングをする車を発見。
中村さんだった。
中村さんにも連絡をする。
「元旦那のお父さんが亡くなって…すごくお世話になったから、これからお葬式に行こうと思って」
「元旦那に会うけど構わないのか?近くで待ってるよ」
「えっ…でも…」
「元旦那に何かされたら困るだろ?話を聞く限り、ちょっとおかしなやつだし」
「ありがとう…」
中村さん、心配してくれているんだ。
会場に着いた。
元嫁がお葬式に…って、どう思われるかな💦
でも、どうしてもお父さんをお見送りしたかった。
恐る恐る会場に入る。
お母さんと直哉がいた。
私は、一般席の一番後ろに並ぶ。
その時にお母さんと目が合う。
お母さんは私のところに来てくれて「彩乃ちゃん、来てくれたのね、ありがとう」と頭を下げた。
泣き腫らした顔をしている。
「お父さん…胃癌だったのよ。具合が悪いと病院に行ったらもうかなり進行していてね…手遅れって言われて…」
そう言ってお母さんはハンカチを取り出し目頭を押さえた。
「そうだったんですか」
胸が痛む。
「お父さん、ずっと彩乃ちゃんの事を気にしてましたよ。今日、来てくれて安心しているんじゃないかしら」
言葉が出ない。
その代わり、涙が溢れ出した。
それからも中村さんは変わらず優しく接してくれた。
そんなある日、いつもの様に旅行代理店の勤務を終えて家に帰ると、お母さんが難しい顔をして「彩乃…これ見て」と新聞を持って来た。
見てびっくりした。
直哉のお父さんの名前が、お悔やみ欄に載っていた。
喪主はお母さんになっていた。
お父さんに最後に会ったのは理奈の家で話し合った時。
まだ63歳だった。
言葉が出てこない。
お父さんには、本当に良くしてもらった。
色んな事を思い出す。
最期くらい、見送ってあげたい。
日にちを見たら、今日お通夜で18時からと書いてある。
「私…お葬式に行って来る」
「そうね」
そう言って、お母さんは慌てて香典を用意する。
急いで喪服に着替えて、香典を用意し会場まで向かった。
仕事も終わり、中村さんとの待ち合わせ場所に着いた。
今日、両親はご飯を食べに行くため留守。
中村さんから「少し遅くなるかも💦」と連絡があったため、あえて待ち合わせ時間より遅れて到着。
10分くらいの待ち時間で中村さんと合流した。
「晩御飯、一緒に食べたくて😄」
「ちびちゃん達は?」
「下の子はもう寝ちゃって、上の子はじいじと遊んでる😄」
「大丈夫なの?」
「全然大丈夫😄」
ならいいけど…パパいなくて寂しくないのかな?
ちょっと罪悪感💧
「今日はラーメンなんてどう?」
「いいっすね😁」
中村さんが良く行くというラーメン屋さんに到着。
私は正油、中村さんはトンコツチャーシューを注文。
ラーメンなんて久し振り🎵
美味しく頂き、今日は私がごちそう😄
いつもいつもごちそうになる訳にいかないし😅
中村さんは「何か女性に出してもらうなんて…」と恐縮していたけど💦
「まだ時間あるけど、この後どうしようか?」
「どこでも🎵」
少しの沈黙の後「じゃあ…」そう言って、車を走らせた。
「彩乃ちゃんの事を大事に思って遠慮していたけど…そろそろ…いいかな」
「あっ…はい」
そう言うと、中村さんはホテル街へ。
初めて中村さんと一夜を共にした。
由佳は、直哉との一件以来理奈とは距離を置いている。
でも、何かあれば理奈から由佳によく連絡はあるみたい。
由佳と話しながら、ふと思う。
直哉と結婚していた時は、直哉との子供が欲しかったけど授からなかった。
でも、理奈には直哉との子供が授かったんだな、とちょっと複雑な気持ち。
法律は詳しくないけど…子供の父親は実際は直哉だけど、戸籍は今の旦那さんになるのかな。
旦那さんはきっと疑いながらも理奈から「あなたとの子供よ」とか言われたから信じて籍を入れたけど、実際は他人との子供だった…
旦那さんの気持ちを考えると、何か辛いな😫
由佳との話しも終わり電話を切ると、すぐ中村さんから電話が掛かって来た。
「何回か電話したんだけどずっと話し中だったけど…」
「あっ、ごめんなさい💦友達と電話してて」
「そうなんだ😄ところで明日の夜って時間ある?」
「明日は店休みだから大丈夫!」
「そうなの?じゃあ明日、会えるかなぁ?」
「もちろん!」
明日も中村さんとデート❤
気分が上がり、理奈の事は一瞬でぶっ飛んでしまった💦
次の日の夜、由佳に電話をした。
「もしも~し!彩乃⁉昨日はデートだったんかい😁」
由佳には、中村さんの事は報告済み😄
「うん!」
「悪かったね~お楽しみ中に、邪魔したね」
「全然いいの😄…で、話しってなぁに?」
「理奈の事なんだけど…」
「理奈、何かあったの?」
「実はね、昨日理奈から泣きながら電話があってさ…旦那から離婚を切り出されたって言ってね…」
「え~⁉だって、籍入れたばかりじゃないの⁉お腹に赤ちゃんもいるし…」
「その赤ちゃんなんだけど…やっぱり父親違うらしいんだ」
「…」
言葉を失う。
「うちらの想像通りみたい」
「…ていうことは…父親は直哉⁉」
「らしいね」
「理奈、きっと誤魔化して来たけど誤魔化しがきかなくなって、それがバレて離婚を突き付けられたんでしょ?どうしたらいいんだろうって相談されたんだけど、私にはお手上げ💦」
「理奈は今、どこにいるんだろ?」
「一人暮らしの友達んちに行くって言ってたけど、それから連絡がないから…」
「そうなんだ」
理奈、それは離婚を突き付けられて当たり前じゃないか⁉
泣いて由佳や友達にすがったって、どうにもならないぞ💧
優しい中村さん。
すごく、私の事を気遣ってくれる。
ますます惚れてしまう😍
多分、子供達にも優しいパパなんだろうな😄
他愛もない話をしていると中村さんが「ごめん…トイレ行きたいんだ💦」
そう言って途中、コンビニに寄った。
その間、携帯を開いて見る。
由佳から着信があった。
留守電に「忙しかった?ごめんね~💦ちょっと彩乃に話があってね…また時間ある時にでも、じゃあね~」
話しって何だろ?
気になるけど時間も遅いし、明日にしよう。
中村さんが「ごめんね~待たせたお詫び」
そう言って、ペットボトルのお茶をくれた。
「いただきます!」
早速、お茶を頂く。
中村さんは「今日も楽しかったよ!別れ惜しいけど、またお店にも行くから!」
「ありがとう😄」
話しているうちに、家に到着。
お礼を言って車を降りた。
店はまだやっている時間。
灯りがついていた。
「ただいま~」
「おかえり」
お母さんが返事をする。
お客さんも何人かいた。
「今日は手伝わなくていいから。明日も仕事なんでしょ?」
「ありがとう」
私はそのまま部屋にあがる。
まだ焼き肉臭い😅
着替えているとメールが来た。
中村さんだった。
「俺も帰って来たよ😄今日は楽しかった、ありがとう✨おやすみなさい💤」
「私も楽しかったです✨綺麗な夜景と美味しい焼き肉ありがとうございました!おやすみなさい😄」
返事を返す。
恋愛って、何かいいな😄
楽しい夜だった。
私も、直哉と別れた経緯を中村さんに話す。
中村さんは、黙って聞いてくれていた。
全て話し終わった後、中村さんは「とんでもない野郎だな💢」とキレていた。
「彩乃ちゃんも苦労したんだね、気持ち…わかるよ」
その言葉に、何故か涙が出てきた。
「彩乃ちゃん、ごめん💦泣かせるつもり全くなかったんだけど💦💦」
オロオロする中村さん。
「こっちこそごめんなさい😫」
すると中村さんが、私の手をギュッと握ってくれた。
「…俺で良かったら、彩乃ちゃんの側にいたい。俺は泣かせる事は絶対にしないから!大事にするから!」
その言葉で、今度は嬉し泣き。
私も中村さんの側にいたい。
中村さんが、ティッシュをくれた。
涙を拭くと…黒い。
マスカラがとれて、黒い涙になっていた。
今日は安いマスカラつけて来たからな😅
まさか、泣くなんて思ってなかったし💧
鏡を見ると…眉毛もとれかかっているし最悪😱
中村さんは、ニコっと笑って「化粧直す?」と冗談混じりで言う。
私は「直してもいい?」と答えて、化粧ポーチを取り出す。
気を使って、中村さんは車から降りてくれた。
あーあ、ブサイクな顔見られたな😫
化粧直しも終わり、中村さんも車に戻って来た。
「結構、いい時間になっちゃったね💦」
時計を見ると23時半を過ぎたところ。
「どうしようか?」
中村さんが私に聞く。
「まだ一緒にいたいけど…明日もお互い仕事だし…」
「うん…余り遅いと、ご両親も心配するよね。帰ろうか」
元嫁とは1年付き合ってできちゃった結婚。
2人目が生まれてから、育児放棄して出掛ける事が多くなり、問い詰めると男がいた。
「出てけ!」と言って、元嫁が荷物をまとめている間、子供達は見ていたけど止める事はなかった。
普通、ママが出て行く事は子供達にとって一大事。
でも泣く事もなく普通に「バイバ~イ」と見送った。
それからたまに「ママは?」と聞かれる事はあるけど泣かれる事はなかった。
親権も「俺がとる」と言ったら、あっさり「いいよ」と言われた。
子供を愛してなかったのかもしれない。
そんな人に子供達を任せられない、だから引き取り育てている。
…というものだった。
中村さんのところも、浮気が原因で別れてるのか。
しかも育児放棄って💢
小さな子供を置いて、男と会ってたって事⁉
信じられない😲
離婚して1年ちょっとになるみたいだけど…中村さんも大変だったんだな。
「服が焼き肉臭いね」
そう言って笑う。
「この後、どうしようか?」
えっ⁉
まさかまさか…?
「伊藤さんとゆっくり話していたい」
「はい…ていうか、彩乃でいいっすよ」
「えっ?じゃあ…彩乃ちゃんで😆あと、敬語やめて欲しいな💦」
メールは毎日してるけど、こうして会うのは久し振りだから、緊張しちゃうな😞
「どっか、ゆっくり出来るところあるかな…」
ドキドキしながら答えを待つ。
しばらく考えてから「あっ!あそこならゆっくり出来るかな?」
中村さんはそう言って、車を走らせた。
どこに行くんだろ。
途中、コンビニに寄り飲み物を買い、しばらく車を走らせる。
街も終わり、山道に入って来た。
すると、ちょっとした駐車スペースがありそこに車を停めた。
そこは、綺麗な夜景が広がっていた。
「わぁ~きれい✨」
「でしょ?結構、穴場だと思うんだけどね😁」
私達は窓を開けて、綺麗な夜景を見る。
私達が住んでいる街の夜景。
何だかロマンチック❤
薄暗い街灯があるだけだけど、街のあかりがうちらの顔を照らす。
中村さんは「ここならゆっくり出来るよね!」と笑顔。
中村さんと色んな話をする。
中村さんが離婚した経緯も聞く。
「急がしたみたいで…ごめんね」
「いえ😄全然大丈夫ですよ~😆」
「前回のデートの続きで、今日は一緒に晩御飯食べようか?何食べたい?」
ふと、山田さんの時を思い出す。
焼き肉食べたいと言って、軽くひかれた💧
だから、中村さんにはひかれたくないから「何でもいい」と答えた。
「じゃあ…焼き肉なんてどう?」
「えっ?」
「えっ?嫌かな💦」
「いや、全然大丈夫!」
「じゃあ~焼き肉で決まり!本当はおしゃれなレストランとかでディナーとかなのかもしれないけど、俺そういう所慣れないせいか食べた気がしなくて😅」
「私も全く一緒!おしゃれなレストランより、庶民的な居酒屋とか焼き肉とかの方が全然いい!」
同じ感覚だった事が嬉しかった。
チェーン店の焼き肉屋さんに到着。
「地味にここ、好きなんだよね😆」
「私も🎵」
由佳や家族とも、何回か来た事がある。
2人で好きなものを選ぶ。
中村さんは車で飲めないので、私も烏龍茶で我慢する。
早速、飲み物が来た。
中村さんも烏龍茶。
「本当は飲みたいけど烏龍茶で…かんぱ~い🍺✨」
注文したお肉が、次から次へと運ばれて来る。
色んな話をしながらお肉を焼いて食べる。
何て楽しい時間なんでしょ❤
美味しいお肉に、お腹も満足🎵
結構食べたなぁ~😲
中村さんもお腹がいっぱいみたい。
今回も中村さんがごちそうしてくれた💦
店を出て、車に乗り込む。
旅行代理店の仕事中、お昼ご飯後は何度も睡魔に襲われる。
久美子さんに「昨日は夜更かししたの?目が座ってるよ」と言われて慌てる。
でも、不思議なもので帰る時間が近づくにつれて目が覚めて来た。
仕事も終わり、携帯を開く。
「新着メール1件」
中村さんからだった。
「今日、仕事が早く終わったので今、家に帰宅して着替えます!職場までお迎えに行きますね😄」
1時間前に来ていた。
私は、急いで店の外に出る。
すると、近くに中村さんの車がハザードをつけて停まっていた。
慌てて中村さんの車に走る。
中を覗くと、中村さんは携帯を開いていた。
「コンコン」
助手席の窓をノックする。
中村さんは窓を開けて、「仕事お疲れ様!乗って!」
「すみません💦」
私は助手席に乗り込む。
「かなりお待たせして、すみません💦」
「いいのいいの!俺が勝手に待っていただけだから!」
私は、家に帰り着替える。
親に「出掛けて来る!」とだけ伝えて、中村さんの車に乗り込んだ。
それから毎日、メールや電話をする。
「今、仕事終わった~!」とか「今、子供らが寝たから自分の時間😆」とか、そんなメールも楽しかった。
お互いの仕事の都合や、中村さんの子供さんの都合で会えない日が多いけど、つかず離れずの心地よい距離でのお付き合い。
なかなか次のデートも出来ずに3週間が過ぎた。
中村さんから「なかなか会えずに申し訳ない😞
明日、子供らがじいじとばあばの敬老会の温泉一泊旅行について行きたいって騒いで、一緒に行く事になったんだ!仕事終わってから会える?」
久し振りに中村さんに会える!
嬉しかった💓
「もちろん会えますよ😄」
「じゃあ、明日仕事が終わったら迎えに行きます!」
「わかりました!」
私は、着ていく服を準備。
久し振りに中村さんに会えるという嬉しさで、なかなか眠る事が出来ない。
結果、寝不足で朝を迎えた。
中村さんと車に戻る。
一緒に撮ったプリクラを見て笑っている。
ふと時計を見ると、もう夕方5時を過ぎていた。
「一緒に晩御飯…といきたいところだけど、子供を保育園に迎えに行かなきゃならなくて💦」
本音は寂しいけど仕方ない。
「わかりました!今日は楽しかったです😄」
「伊藤さん!」
いきなり呼ばれたため、びっくりして思わず「はい!」と返事をする私。
「俺も今日は楽しかったです😄
あの…えっと…子持ちですが…良かったら…俺と…これからも…お付き合いして下さい!」
恥ずかしそうに目を伏せながら話す中村さん。
告白されたなんて、人生初めてでびっくり😲
「今日、短い時間だったけどすごい楽しくて…離婚してから今まで、子供らが一人前になるまでは恋愛しない!って思ってたんだけど…伊藤さんの事をいとおしく思えて来て…子持ちはやっぱり無理だよね😞」
「そんな事ないです!こちらこそ、よろしくお願いします!」
嬉しい!
でも…少し複雑な気持ち。
それは、中村さんの子供さんの事。
パパを奪う様な気がした。
「でも…お子さん達、私の存在をどう思いますかね?」
「あぁ…やっぱり無理だよね😞」
しょげる中村さん。
「いえ、そのうちにお子さん達が嫌がらなければ会わせて下さい!」
「えっ?」
「ダメですか?」
「今度、差し支えがなければお子さん達も連れてどっか出掛けませんか?」
「ありがとう!じゃあ、今日から…彼氏でいいのかな?」
「はい!」
こうして、中村さんとお付き合いする事になった。
ちょっと狭いけど、大人の雰囲気漂うおしゃれなレストラン。
夜はバー🍸になるらしい。
2人共ランチセットを注文。
ランチが来るまで、中村さんと色んな話をする。
茄子嫌いという共通点がわかった(笑)
あと、お酒が好き、温泉が好きという共通点も。
中村さんから「今度、良かったら一緒に温泉に行きませんか⁉」
えっ⁉
「日帰りなんですけど、いい温泉があって…」
あっ…日帰りね😅
一瞬、お泊まり✨かと思った💦
子供いたら、お泊まりはなかなか難しいよね。
「はい😄是非行ってみたい」
そんな話をしていると、ご飯が来た。
うん、美味しい❤
お楽しみのケーキも食べてお腹いっぱい🎵
お財布を出すと「ご馳走しますよ😄誘ったの俺だし」
「すみません💦ごちそうさまです」
お礼を言って店を出た。
何か楽しい❤
中村さんの事をどんどん好きになっていくのがわかる。
中村さんの車に乗って、今度はゲームセンターに到着。
一緒にプリクラを撮ったりUFOキャッチャーをしたりして学生の頃に戻った気分で中村さんと遊ぶ。
自然と笑顔になる。
映画が始まった。
私は、ポップコーンを食べながら真剣に映画をみる。
お客さんもカップルが多い。
満席ではないけど、それなりに混んでいた。
ふと中村さんを見ると、中村さんも真剣に見ている様子。
映画も終盤に差し掛かったその時、中村さんの手が私の手に触れた!
というか当たっただけなんだけど、すごくドキドキして終盤は良く映画の内容がわからない💦
いい年したバツイチ女が、こんな事でドキドキして恥ずかしいけど、すごくすごく心臓がバクバクしてる。
…動悸かな💧
映画が終わった。
ちょうどお昼になる。
「もうお昼になるし、何か食べない⁉」
「はい😆」
中村さんと映画館を出て、レストランに向かった。
もう、車内でもテンション上がりまくりの私。
ドキドキ感がおさまらない。
でも、平静を装う。
そしてレストランに着いた。
20分程待つと、黒のワンボックスが停まり助手席の窓が開いた。
「伊藤さん!お待たせしました!乗って!」
運転席から叫ぶ。
私は、助手席のドアを開けて「すみません💦失礼します」と言って助手席に座る。
車内は綺麗に掃除してあり、後ろの席にはチャイルドシートがつけてあった。
「後ろは子供専用😄」
クマのぬいぐるみも置いてある。
「下の子はあのぬいぐるみを必ず抱えて車に乗ってるんだ」
パパの顔になる。
そんな中村さんも素敵✨
FMのラジオが流れる。
それを遮る様に、中村さんと色んな話をする。
着いたのは映画館。
「伊藤さん、前にこの映画見たい!って言ってたから…もしかして、もう見ちゃったとか⁉」
「まだです😆ありがとうございます!」
中村さんは、わざわざ前売り券を買っていてくれたみたい。
たまに由佳とレディースデーの安い時に一緒に見る時はあるけど、男性と映画なんて…初めてかも😆
お父さんとはあるけど😅
映画が始まる時間まで、あと15分。
飲み物とポップコーンを買い、席に向かった。
その日が来た。
お気に入りの服を引っ張り出した。
朝早くに目が覚めて支度をしたため、待ち合わせ時間より2時間も早く支度が終わった😅
何となくソワソワする。
その様子に「彩乃、ずいぶん可愛い格好してるじゃない…デートかい😁」
「あはは😆中村さんから食事に誘われたの」
「中村さん…?」
「中嶋さんと一緒に来てた…」
「あぁ~!あら、あんた達いつの間にそんな話してたの⁉」
驚くお母さん。
「まっ、楽しんでらっしゃい」
「ちょっと早いけど…行って来ます😄」
お母さんに報告して家を出た。
でも、さすがに早過ぎるな😅
どうしよう💦
その時に中村さんからメールが届く。
「伊藤さん、おはよう☀伊藤さんとのデートが楽しみで、子供達を早目に保育園に預けたのでこれから待ち合わせ場所に向かいます。ゆっくりでいいので待っています。」
「私も支度が終わって、今家を出ました!」
すると電話が掛かって来た。
「今、どこですか?迎えに行きますよ!」
「ありがとうございます💦今はまだうちの近くです。」
「今、そこまで行きますからそこで待っていて下さい!」
そう言って、電話を切った。
そんなある日、中村さんから「伊藤さんがお休みの日に予定がなければ、是非居酒屋さん以外でお会いしませんか?」と誘いのメールが来た。
どうしよう…
嬉しいんだけど…
やっぱり悩んでしまう💧
でも、中村さんの事を好きになっていた私。
山田さんの時に「簡単におちない!」と決めたのに…
すぐ負けちゃう😞
休みはだいたい昼過ぎまで寝て、ゴロゴロしてる事が多い私😅
由佳とも休みが余り合わないし。
「休みは何の予定はないので、是非よろしくお願いします!」
メールを返す。
すぐに返事が来た。
「じゃあ…デートしましょうか😄」
デート❤
その瞬間、変な気合いが入る。
来週のお休みに、中村さんと会う約束をした。
中村さん。
まだ小さい子供さんいるし、そんな恋愛とかしている場合じゃないか😅
考え過ぎ⁉
常連客の中嶋さんの部下だから、上司の行きつけの店の娘だからって事で、連絡をとりたいのかな?
少し男性不信な私。
でも…気になるんだよな、中村さんの事。
メール…してみようかな?
携帯を開く。
何て送信しよう💧
色々作成しては消して、を繰り返す。
結局、「伊藤です😄今日は来店して頂いてありがとうございました!」という普通なメールを送信。
すぐに中村さんからメールが来た。
「また、都合がついたら飲みに行きます😄」
返事が来た!😆
何か嬉しい💓
それから中村さんとのメールのやりとりの日が続いた。
それから何日か経ったある日、中村さんが一人で来店。
「あら、今日は一人ですか?」
「はい😄何か、ここの店落ち着きますね😄中嶋さんが良く来る理由わかります。今日、子供達はじいじとばあばが遊びに連れて行っていないからゆっくり出来ます😁」
「ありがとうございます😄何にしましょう?」
「生中で」
「わかりました😄」
私は、生ビールを準備しお通しも一緒に持って行く。
中村さんとカウンター越しに色んな話をする。
「今日、中嶋さんはお孫さんに会えると楽しみにしてましたよ😄」
じゃあ~今日は来ないかな?
今頃は、一緒に遊んでいるのかもしれない😁
中村さんとは話が合う。
いや、中村さんが合わせてくれてる?
話していてそう感じる。
素敵な人だなぁ✨
その時、山田さんの事がよぎる。
…中村さんを疑う訳ではないけど、簡単に男性を信用しちゃいかん!
素敵な人だけど…
その時、中村さんは名刺をくれた。
裏には携帯番号とアドレスが書いてある。
山田さんと同じだな😫
やっぱり疑ってしまう私。
「良かったらメール下さい😄」
そう言って、中村さんは帰って行った。
カウンター越しで、中村さんと色んな話をしているうちに、中村さんもバツイチと言う事が判明。
現在は、シングルファーザーとして5歳と3歳の2人の子供を引き取り面倒を見ているらしい。
子供の話をしている時はパパの顔になる中村さん。
話を聞いていると、やんちゃ盛りの子供2人のお世話は何だか大変そうだけど、頑張っている中村さんを応援したくなった。
「また、いつでもいらして下さい😄」
「ありがとう😄伊藤さんは聞き上手だから、余計な事までしゃべっちゃったな💦」
「聞き上手だなんて…そんな事ないですよ!」
「今度は一人でゆっくり来ます(笑)」
すると中嶋さんが「おっ?俺は邪魔みたいだね😁」と突っ込んで来た。
「あっ、いえ…そういう訳ではないんですけど💦」と焦る中村さん。
中嶋さんと私は、中村さんの焦る姿を見て爆笑。
明日も仕事という事で、2人は10時半過ぎに帰って行った。
それからしばらくの日々が流れ、相変わらずの毎日。
由佳は仕事が忙しいらしく、たまに「眠い💧」とか「疲れた😫」とかのメールが来る(笑)
そんなある日、いつもの様に看板娘をしていると中嶋さんが来店。
冒頭でも触れた中村さんと一緒にやって来た。
「今日は部下になる中村くんと一緒😄」
中村さんは、私と同じ年。
背がスラッと高く、私が好きな芸能人にちょっとだけ似てる💓
中嶋さんと中村さんはカウンター席に座り、仕事の話をしている。
邪魔しないでおこう💦
今のうちにご飯食べよう!
お腹すいた💦
お父さんと2人で厨房でご飯。
お母さんとは入れ替わりでのご飯。
ご飯も食べ終わり、お父さんは一服のため厨房から外に出る。
その時に「彩乃ちゃ~ん!」と中嶋さんに呼ばれた。
「はぁ~い!」
私は中嶋さんのところに行く。
「ご飯食べてた?」
「はい」
「口に何かついてるよ」
「マジっすか⁉」
慌てて鏡を見ると、口に玉子のカスがついていた。
「嫌だぁ~恥ずかしい😫」
中嶋さんも中村さんも笑っている。
中村さんが「中嶋さんからいつも話を聞いていたんですよ😄面白い娘がいるって(笑)なので今日、楽しみにして来ました😄」
「そうなんですか⁉😅」
「年も俺と同じなんですね!出身校はどこですか⁉」
そんな会話をしているうちに、中嶋さんは「若い者同士仲良くしたらいいんじゃないか⁉😁」と茶化す。
その3日後、早速由佳が来た。
「あら、由佳ちゃん😄いらっしゃい!」
「おばさん!この間はすみませんでした💦」
「いいのよ、気にしなくて😄」
「由佳!来てくれたんだ😄」
「今日、親いないんだ😁自分で作るの面倒だから食べに来た!」
「飲み過ぎるなよ😁」
「明日仕事だから、すぐ帰るよ~!でも、まずはビールかな😜今日は私が彩乃にごちそう!」
「じゃ、遠慮なく(笑)」
私は生ビールを2つ準備。
「かんぱ~い🍺🎵✨」
「ん~仕事頑張った後のビールはたまらん❤」
オヤジ化している由佳😆
「今日もキムチチャーハンで」
由佳は、すっかりお気に入りみたい。
美味そうにキムチチャーハンを食べる由佳。
他にサラダやお刺身を注文、由佳と色んな話をする。
「今日はそろそろ帰るかな?」
時計を見ると、夜の10時半を回っていた。
由佳は、前回の分の支払いも一緒にしてくれた。
由佳も帰り、暇だったため早目に閉店。
部屋に戻った。
「理奈さ、何か変わったよね…感じ悪くなった」
「うん」
「何⁉あの上から目線😠彩乃から旦那奪って彩乃が離婚したのに、自分が結婚、妊娠したからってそんなに偉いの⁉」
確かに理奈は「あっ、妊娠した事がない2人にはわからないかぁ~」とか「私だけ幸せでごめんね~」とか「ねぇ~晴彦!2人に誰か紹介してあげて~」とか…
私は聞き流したけど…イラっとはしたな💧
「職場でも、イライラする事が多くてさ💢私、更年期かな😅」
由佳がそう言って深いため息をついた。
「もう理奈とは関わらない!」
由佳は多分、理奈から相当相談を受けていたのだろう。
だけど色んな意味で裏切られた。
だから尚更腹が立っているのかもしれない。
由佳の家に着いた。
「あっ💦彩乃、私昨日の飲み代払ってないよね⁉」
「お母さんが、いつでもいいって言ってたよ😄」
「ごめんね💦近いうちにまた店に行くから、その時に」
「うん、大丈夫だよ😄」
「彩乃、ありがとね!」
そう言って由佳は車から降りた。
由佳が復活したのは、お昼を過ぎた頃。
お母さんが「シャワーでも浴びたら、少しはすっきりするかもよ」と由佳をお風呂場に案内。
「すみません💦」
由佳はお母さんからバスタオルを受け取り、シャワーに入る。
お父さんは買い物に行っていた。
お父さんが帰って来てから「お父さんの車、借りていい?由佳を家まで送るから」
「おう、ぶつけるなよ」
「わかった」
支度も終わり、由佳は「本当にご迷惑おかけしました💦」と両親にペコリと頭を下げる。
お父さんは「由佳ちゃん!また、いつでもキムチチャーハン食べに来て下さい😄」と笑顔で答えた。
由佳を車に乗せて、自宅まで送る。
前は歩いて5分くらいのところに住んでいたけど、道路拡張の規格に引っ掛かり今は郊外に移った。
由佳が「昨日、本当にごめんね💦」とひたすら謝る。
「気にしない!気にしない!」
「おじさん、おばさんにも迷惑かけてしまって…」
「大丈夫だよ!それより、由佳があんなに酔っ払うのは珍しくて、そっちにびっくりしたよ」
「うん…」
「由佳、何かあった?理奈の事⁉」
「うん…」
翌朝。
私が目が覚めると7時半を回ったところだった。
由佳は、掛け布団を抱っこした姿で爆睡している。
今日、お互い休みで良かった😅
私は、由佳を起こさない様に静かに居間に降りる。
まだ両親も寝ているみたい。
コーヒーを落としているとお母さんが起きてきた。
「由佳ちゃんは?」
「まだ寝てる」
「そう」
「お母さんもコーヒー飲む?」
「ありがとう」
「お母さん、昨日の由佳の分は後で…」
「あぁ😄由佳ちゃんの分はいつでもいいわよ」
コーヒーも淹れ終わり、テレビを見ながらコーヒーを飲む。
コーヒーも飲み終わり、部屋に戻ると同時に由佳が起きた。
「由佳、おはよう!」
でも、由佳の返事は「頭痛い…」
あれだけ飲んだら、二日酔いにもなるだろうな。
「彩乃、ごめんね😅私、酔っ払って泊めさせてもらったんだね」
こめかみを押さえながら由佳は話す。
「今、二日酔いの薬持って来てあげるから待ってて!」
そう言って、居間にある薬箱をあさる。
お母さんが「どうしたの?」と聞いて来たから「由佳、二日酔いで頭が痛いみたいなんだ」
「じゃあ、これ」
お母さんは薬箱から薬を取り出し、コップに水を入れてくれた。
由佳は早速、薬を飲み「もう少し休ませてもらっていい?」と言ってまた横になった。
中嶋さんも帰り、店も閉店。
カウンターで酔いつぶれている由佳。
お母さんが「由佳ちゃん、何かあったの?」と心配そうにしている。
「多分、仕事仕事の毎日だったから疲れているのかな💦」
「そうなの…片付けはいいから、彩乃は由佳ちゃんを部屋に連れて行ってあげて!」
「わかった」
由佳を起こすけど反応なし。
すっかり爆睡の様子。
困ったな😅
するとお父さんが由佳をおんぶして、私の部屋まで連れて行ってくれた。
「由佳ちゃんも疲れてるんだろ。ゆっくりさせてあげなさい」
そう言ってお父さんは、また再び厨房に戻って行った。
ジーンズ姿で化粧もそのままだけど…仕方ないや💦
由佳に布団をかぶせる。
私は、寝心地が良いソファーで寝る事にした。
いいだけ飲んで食べて、由佳は「もう満足❤」と幸せそうな笑顔。
2人共、あえて理奈の事には触れない。
その時に、中嶋さんが来店。
私が由佳としゃべっていたため、中嶋さんは「おっ?彩乃ちゃんの友達かい?」と話し掛けて来た。
「そうなんです😄中学生からの親友の由佳です」
「由佳ちゃん!いい名前だね~」
「おじさん、ありがとう😄」
由佳は陽気になっているため、すぐに中嶋さんと仲良くなった。
「若い娘と一緒に飲めるなんて幸せだな😁」
「嫌だ~もう30ですよ~」
「そのくらいが、おじさんには丁度いいよ😄」
「ありがとう!おじさんかんぱ~い🍺」
由佳😅
かなり酔ってるな💦
お母さんが「あら由佳ちゃん、ベロベロじゃないの💦帰れるの⁉もしあれなら、彩乃の部屋に連れて行って横になったら?」
「うん…」
由佳がここまで酔っ払うのは珍しい。
理奈の事が原因かな。
「由佳、うちに泊まってく⁉」
「帰るよぉ~★$☆*&◎」
後半は何を言っているのかわからない😅
ダメだこりゃ💦
結局、由佳はうちに泊まる事になった。
「彩乃の実家、懐かしいな~あっ!テレビが薄くなってる😁」
ブラウン管テレビから、最近地デジ対応のテレビに買い替えた。
学生の頃は、良く由佳と理奈とうちに来ていた。
私がこの実家を出て直哉とのアパートで暮らす様になってからは、店には来たが家には入っていない。
お母さんが「由佳ちゃん!どうぞ、キムチチャーハン食べて行って😄」と声を掛けた。
その声で私と由佳は店に戻る。
お父さんは一生懸命キムチチャーハンを作っている。
「おばさん、すみません💦」
「いいのよ😄いつも彩乃が迷惑かけて。ゆっくりしていってね!」
「ありがとうございます!」
私が「由佳、ビール一杯ごちそうするから一緒に飲むか😁」
「いいの⁉じゃあ~彩乃に甘えようかな😁」
私は、冷え冷えの生ビールを2つ用意した。
「かんぱ~い🍺✨」
「ん~うまい❤」
その時、お父さんがキムチチャーハンを由佳に持って来た。
「いつも彩乃がお世話になってます。ゆっくりしていってね」
「いえ、こちらこそ💦すいません😄」
由佳は「いただきまぁ~す❤」
両手を合わせた。
カウンター席で、ビール片手に大きな口を開けてキムチチャーハンを食べる由佳。
「やっぱりうまい❤」
私も、カウンター越しにビールを飲む。
「ここからのオーダーはお金取るぞ😁」
「もちろん!じゃあ~焼き鳥二人前!塩で!彩乃も食べようぜ~😁」
「お父さん!焼き鳥二人前、塩で!」
お父さんは早速焼き鳥を焼く。
次から次と注文する由佳。
由佳が理奈のアパートを出てすぐに「ねぇ、理奈付き合って2ヶ月目で結婚したのに、妊娠5ヶ月っておかしくない?」
言われるまで、気にしなかった😅
確かにおかしい。
正式に付き合う前に、そういう事をしたのかな?
でも、旦那さんいたから余計な事は聞けない。
由佳が「旦那さんも、おかしいと思わないのかな」
う~ん…詳しいのはわからないけど、納得しているのかな。
由佳に言われれば言われる程気になる😅
まさか…直哉の子供⁉
あはは😅
それはないな。
でも…何か計算が合いそうな気が…💧
由佳も同じ考えだった。
「まさか…だよねぇ😅」
「わからんぞ😒」
だとしたら…とんでもない事になりそうだ😱
由佳が「今日、彩乃んちの居酒屋やってる⁉」と聞いて来た。
「やってるよ😄」
「ねぇ、おじさんのキムチチャーハン食べたい❤」
「お父さんが前に、由佳にキムチチャーハンごちそうしてやるって言ってたよ😄」
「マジで⁉行っていい?」
「いいよ😄」
由佳と一緒に実家に到着。
もうすぐ開店の時間だった。
お母さんが「あら、由佳ちゃん😄久し振りじゃない」と由佳に言う。
「ご無沙汰してました」
「お母さん!由佳がキムチチャーハン食べたいんだって😄」
「あら😄もうすぐ開店だから、彩乃、家に入って待っててもらって!」
「すみません💦お邪魔します!」
由佳は、店側からうちに入る。
理奈は現在、妊娠5ヶ月。
お腹が少し目立って来た。
理奈は細いから、尚更お腹が目立つ。
理奈は嬉しそうに「早く顔が見たくてね」と言いながらお腹をさする。
正式に付き合って2ヶ月での妊娠→結婚した理奈。
超スピード結婚だけど、理奈は幸せそう。
「元気な赤ちゃん産んでね」
そう言って私は、理奈のお腹をさする。
由佳も私と同じくお腹をさする。
理奈が「彩乃が結婚した時は絶対3人の中で、先にママになると思ってたけど、私が一番先にママになるなんてね」
…その言葉にちょっとカチン💢と来たが、旦那さんいるし胎教にも良くないだろうから今は我慢。
私だって赤ちゃん欲しかったけど、直哉が理奈に狂ってダメになったんじゃないか😠
由佳は黙っている。
「長居もあれだから…そろそろ帰る?」
由佳が言う。
「そうだね、お邪魔しました」
旦那さんは軽く頭を下げた。
玄関まで見送ってくれた理奈。
「生まれたら連絡するからね!」
私達は理奈のマンションを後にした。
理奈のマンションは、10階建ての比較的新しいマンションで、2階の201号室。
オートロックのため、入口で201とボタンを押す。
すると、インターホン越しに「はい」と理奈が返事をする。
「森川です」
「由佳⁉今、開けるね!」
ガチャと音がして、入口の自動ドアが開いた。
高そうなマンションだな💦
エントランスも広い。
エレベーターで2階へ。
エレベーターを降りて右に向かい、一番奥が理奈の部屋だった。
理奈が扉を開けて待っていてくれた。
「久し振り!」
笑顔の理奈。
「旦那いるけど、気にしなくていいから😄」
「お邪魔しま~す」
居間は14畳くらいあるのかな?
結構広い。
ダークブラウンのフローリングに白い壁。
前の理奈の部屋とは全く違う、落ち着いた雰囲気の部屋でカウンターキッチン。
何か、こういう部屋って憧れるな😆
奥の部屋から、理奈の旦那さんが出て来た。
旦那さんとは初対面。
あらぁ…ずいぶん、コワモテな感じの旦那さん。
サングラスが似合いそう👓
昔、ヤンキーだったのかな😅
私と由佳は、旦那さんにご挨拶。
すると旦那さんも「初めまして、理奈の旦那の晴彦です」
声も低音で、なかなかいい声をしている。
途中手土産で買って来たチーズケーキと、赤ちゃんの服を渡す。
理奈は嬉しそうに「ありがとう❤」と受け取った。
理奈は先週で仕事を辞めて、今は元気な赤ちゃんを産むための休暇中らしい。
そんな平和な(?)日々が過ぎたある日、由佳と一緒に理奈のお祝いを持って行く日になった。
由佳と待ち合わせをして、赤ちゃん用品店に行く。
まだ性別がわからないため、どちらでも大丈夫な黄色や白系の服を買った。
赤ちゃん用品って、可愛いのがいっぱい❤
服もちっちゃくて、可愛くて全然見飽きない😄
赤ちゃんかぁ。
年齢的にもそろそろかな?
直哉と結婚していた時は子供が授かれば~なんて思ってたけど…
今は、相手がいないんじゃしばらくは無理だな😅
お腹が大きなママや、赤ちゃんを抱っこしているママがほとんど。
あちこちで可愛い鳴き声が聞こえる。
由佳もすれ違い様に赤ちゃんを見ると「可愛い❤」を連発。
由佳も現在、彼氏なし。
「私もいずれは赤ちゃんが欲しいな~」と由佳が呟く。
「まずは相手だな」
「そうだね」
アラサー独身女2人の寂しい会話💧
買った赤ちゃんの服を可愛くラッピングしてもらい、理奈のマンションに向かう。
そういえば、支店長もバツイチ。
あっ!久美子さんもバツイチだ。
結構、周りにバツイチがいるな。
決して喜ばしい事ではないけど…
だから、支店長も久美子さんもわかってくれるのかな。
なんて思っていると会社の電話が鳴る。
支店長から「悪い、出てくれないか?」と言われて慌てて出ると千絵さんだった。
慌てた様子で「すみません!寝坊しました!30分位遅刻します!」
支店長に伝えると笑いながら「顔は作らなくてもいいから、寝癖だけ直して来い!」と言われたので、そのまま千絵さんに伝える。
千絵さんは「わかりました!すみません!」と言って電話を切った。
寝坊した時って、一瞬パニックになる。
まず、何から始めていいのかわからない(笑)
寝坊は誰にでもある。
千絵さんの寝坊は、私がここに働いてから初めてかも。
だから支店長も「寝坊か、仕方ない」と思ったのかな。
しょっちゅうなら多分キレてるだろうけど💧
他の従業員達も次々出勤。
各々、開店準備に取りかかる。
開店直後に千絵さんが出勤。
意外に早くてびっくりした。
「すみませんでした!」と言いながら、事務所に入って来た千絵さん。
支店長が言った通り、素っぴんだけど髪はきちんとまとまっていた。
久美子さんも「私もこの間、彩乃さんが休みの日に寝坊してね、支店長に「夜遊びのし過ぎか?」なんて言われちゃった」と言って笑っていた。
そんな事もあるよ。
みんなにそう言われて、千絵さんはちょっと安心した様な顔をしていた。
千絵さん、どんまい😄
「彩乃ちゃん、頑張ってるね😄」
中嶋さんが運転しながら話し掛けて来た。
「おじさんも離婚した時は大変だったけど、一人になった今は独身をおうかしてるよ😄今は和希が可愛くて可愛くて💕」
和希くんとはお孫さん。
「和希と一緒にいるだけで幸せなんだよ😁」
週に一度は必ず和希くんに会いに行ったり、連れて来たりしているらしい。
何でも買ってあげるから、息子さんに注意されたってしょげてた時もあった(笑)
「何かあったら、何でもおじさんに話してごらん!ダテに年はくってないつもりだぞ」
そんな話をしていると旅行代理店のすぐ近くに着いた。
「送って頂いてありがとうございました!」
「いやいや、おじさんの話しに付き合ってくれてありがとう!頑張ってな!」
「ありがとうございます!」
そう言って車を降りた。
いつもより早い出勤。
既に支店長は出勤している。
「おはようございます!」
「おはよう!今日はずいぶん早いね😄」
「知り合いに送ってもらいまして…」
「そうか😄ところで、前に林さんから聞いたんだけど…」
林さんとは久美子さん。
直哉について相談したやつを久美子さんが支店長に話をしていた。
「まだつきまとっているのか⁉」
「いえ、今はもうなくなりました」
「そうか、もしまた店に来る事があれば今度は俺に言え!」
「すみません、ご迷惑をおかけして…」
いつも従業員の事を心配してくれる支店長。
優しいし、とても頼りになる。
いつもの様に、旅行代理店に出勤途中。
いつもの様にコンビニに寄り、ペットボトルのお茶とガムを買う。
コンビニを出た時に「彩乃ちゃん!」と声を掛けられた。
振り返ると、中嶋さんだった。
「おはようございます😄」
「これから出勤かい?」
「そうなんです」
「おじさんは一仕事終わって、ちょっと休憩でここに寄ろうと思ってね」
「そうなんですか😄」
「職場まで乗ってくかい?通り道だし」
「いいんですか⁉」
「コーヒーだけ買って来るから、ちょっと待ってて!」
中嶋さんは、そう言ってコンビニに入る。
すぐに出て来て「彩乃ちゃん、コーヒー飲むかい?」と一本くれた。
「すいません💦」
中嶋さんは社用車でバンみたいな車。
助手席に中嶋さんのカバンと資料みたいなのが置いている。
「おっ、ごめんごめん」
中嶋さんはそう言いながらカバンと資料を後ろの席に置いた。
「乗って!」
「ありがとうございます」
私は、助手席に乗り込む。
中嶋さんもエンジンをかけて出発した。
次の日の夜、由佳から電話があった。
「理奈、結婚するって聞いた⁉」
「うん、聞いた~!赤ちゃん出来たからって言ってたね~」
「そうらしいね~びっくりしたよ」
そんな話をしていると、由佳が「彩乃、理奈の事許せる?理奈が原因で離婚して理奈…幸せになるんだよ?」
「うん…許すっていうか…もう過去の事だしね、でも前みたいには付き合えないかな😅」
「お祝いあげるの?」
「私の時にもらったしね」
「そっか。彩乃がどう思ってるのか気になってね、掘り返す様な事を聞いてごめん」
「いいの!気にしないで😄」
由佳と2人で、理奈にお祝いをあげる事にした。
由佳は、直哉の一件から理奈とはちょっと距離を置いている。
今度の休みに、理奈のマンションに2人で行く約束をした。
由佳は「ねぇ、山田さんの事なんだけど」
話が変わった。
「この間の飲み会の時に、山田さんといい雰囲気だったけど…どうなった?」
「えっ?いや…別に何にもないよ」
とぼけてみた😅
「そうなの?実は、宮田さんと友美ちゃん、あの飲み会がきっかけで付き合う様になったみたいでさ~😄彩乃はどうなったのかな?と思ってね😁」
そうなんだ😄
あの2人、いい感じだったしね😆
由佳は「じゃ~また連絡するね!」と言って電話を切った。
由佳にも山田さんとの事は言えないな😫
お菓子を一つつまんで部屋に戻る。
携帯を開くと「新着メール3件」
見てみると…久美子さんからと理奈と…山田さんだった。
久美子さんからは、明日の仕事についての確認メール。
理奈からは「彼氏との間に赤ちゃんが出来たため、結婚する事になりました❤」
え~っ😲
まだ付き合ってそんなに経ってないよね💦
いわゆる出来ちゃった結婚ってやつ?
理奈がお母さんになるのかぁ…綺麗なママでいいなぁ。
由佳と一緒にお祝いを考えようかな?
山田さん…
今更何?😒
「山田です。携帯を変えて、連絡したつもりだったけど連絡してなかったみたいでごめんね💦良かったら、また一緒に食事どうですか⁉」
ふぅ~ん。
絶対嘘だな😠
普通、彼女にしたいとか好きだとか思う人には、連絡忘れるって事はないと思うんだけど…
山田さんとエッチしてしばらく経つから、そろそろ男性ならしたくなる時期になりそうだし。
「お誘い頂くのは嬉しいんですが、仕事が忙しくなかなか時間がとれないかもしれませんがお食事だけなら…お食事が終わったら、すぐ失礼させて頂きますが、それでも構いませんか?」
メールを返す。
返事なし。
ほらね、やっぱりやりたいだけなんだよ😒
一回エッチしたら、また出来ると思うのかな?
そんなに軽い女じゃありませんから😠
中嶋さんが「あっ💡そうそう」何かを思い出した様にカバンを開ける。
「昨日まで出張に行っててね、彩乃ちゃんにお土産😄」
そう言って、お菓子の折をくれた。
「もう一つはお父さんとお母さんに」
そう言って、違う種類のお菓子の折をくれた。
「何かすみません💦お土産頂いて…」
「いつも安く飲ませてもらってるからね😄」
お礼を言い、早速両親に伝える。
お母さんが厨房から出て来て「わざわざすみません💦ごちそうさまです」と頭を下げた。
「いやいや、たいしたもんじゃないから✋」
お父さんも厨房から出て来て中嶋さんにお礼を言う。
そっか、出張だったのか。
中嶋さんも帰り閉店。
中嶋さんからもらったお菓子を早速開ける。
あっ!このお菓子、私が前に中嶋さんに「好きなんですよね~」と言ってたやつだ!
覚えていてくれたんだ!
明日来たら、ボトル1本サービスしちゃお🎵
もう、山田さんを追い掛けないし振り向かない!
そんなだらしない男、いらないもんね😠
そう決めたら、忘れるのは早い私。
山田さんの名刺は捨て、アドレスや番号も削除。
今までと変わらない日々になる。
実家の居酒屋も忙しい。
そういえば、最近中嶋さん来ないな。
中嶋さんも奥さんと離婚。
子供3人も独立し、一番上の息子さんには子供も生まれ、孫の写真を嬉しそうに見せてくれる。
孫の写メが送られて来たやつを待ち受けにしたいけど、やり方がわからないと私に待ち受けにする様に言ってたな😁
もうすぐ一歳になるのかな?
自分で「じじバカ」と言っていた中嶋さん。
もしかしたら、孫と一緒に遊んでいるのかも😄
お父さんが、中嶋さんの孫の話を聞いて羨ましそうにしていたな。
いつかは…我が子を抱き締めたい😆
そんな事を考えていると、中嶋さんが来た。
「おっ!彩乃ちゃん!今日も可愛いね😁」
「嫌だ~中嶋さん😁嬉しい事を言ってくれたから、焼酎一杯サービスしますね😆」
「言ってみるもんだね😁」
中嶋さんは笑っている。
「今、中嶋さんの事を考えてたんですよ~最近来ないなって思って」
「ちょっと忙しくてね😅彩乃ちゃん、心配してくれたのかい?おじさんをその気にさせたらダメだよ😁」
いつもの中嶋さんだ😄
元気そうで良かった。
🌸あやのです。
191の内容で、訂正です。
「自然消滅しちょった」→「自然消滅しちゃった」
しちょったって何だよ💢
と思われた方、ごめんなさい😫
引き続き更新していきますので、よろしくお願いしますm(__)m
山田さんから、何の連絡もないまま1週間が過ぎた。
やっぱり私、山田さんにとって用がなくなったんだな。
ただ、やりたかっただけだったんだな…
そのために、あんなに優しくして。
もう男なんて信じない😠
簡単についていかない!
恋愛経験が少ない私。
直哉以外にお付き合いしたのは2人。
1人は元いた会社の同僚の紹介で付き合った。
見た目はワイルドなのに…冬彦さんもびっくり😲筋金入りのマザコンだった。
ママがいないと何にも決められない。
何処に行くにも必ずママ同伴。
ママに今日の行動を報告。
私よりママ優先。
必ずママと比べる。
「ママが作ったプリンが絶対!」みたいな感じ。
私が耐えられずに、半年で破局。
その前は、高校時代~卒業してから。
卒業してからお互いすれ違いが多くなり、自然消滅しちょった。
少しは、男性を見る目を養わなきゃ💦
昨日まで、あんなに優しくてマメにメールもくれていたのに…
きっと、何かしらの事情があるんだよ。
多分、またいつもの様にメールが来るはず!
…とは思うけど不安💧
仕事に集中!
幸い、午後からは忙しく山田さんの事を考える暇がなく仕事が終わった。
仕事が終わり、携帯を開く。
「新着メール1件」
もしかして…山田さん⁉
メールを開く。
…違った😢
結局、山田さんから一度も連絡が来ないまま1日が終わった。
私、何か山田さんに失礼な事をしたのかな?
お洒落なレストランじゃなく、焼き肉屋さんででビールを飲んでたから引いたのかな😢
それとも…久し振りのエッチだったから、「こいつ大丈夫か⁉」と思われたのかな💧
あのメンバーで、一番引っ掛かりやすいと思ったのかな。
由佳は安田さんの友達だから、何かあればすぐ安田さんの耳に入るから手は出せないし…
めぐみさんは仕事柄、下手な事は出来ないだろうし…
友美さんは、宮田さんといい雰囲気だったし…
そう考えると、私しかいなかった。
簡単におちる!と思われたのかな。
おちちゃったけど😅
こんな事、由佳にも相談出来ないや💦
山田さんを信じて、連絡を待とう!
そう思って…思いたい😫
次の日の朝、出勤前に山田さんにメール。
「おはようございます☀昨日はご馳走様でした😄」
いつもなら、すぐ返信が来るのに今日は返信がない。
忙しいのかな?
また、後でメールしてみよう😄
私は、いつもの様に仕事に行く支度を終えた。
携帯を見ても…まだ山田さんからの返信がない。
今日はどうしたのかな?
昨日、結構遅かったし寝坊でもしてるんじゃ…😅
気にしながらも、旅行代理店に出勤。
昼休憩になり、携帯を開く。
「新着メール2件」
山田さんかな?
早速見てみる。
…山田さんじゃなかった💧
あれ~?
今日は一度もメールがないよ😫
どうしたんだろ?
「今日は忙しいんでしょうか?また連絡します」
送信!
えっ…
メールがエラーで戻って来た。
うそぉ~😱
もう一回送信!
…やっぱり戻って来た。
アドレス変えたの⁉
すぐ、山田さんの携帯に電話をする。
「おかけになった電話番号は現在使われておりません」
どうして…
何度電話をしても繋がらない。
もしかして私…やり逃げされた?
いいのかなぁ😅
2人で会った初日にいきなりラブホテル💧
軽い女だと思われてるのかな😫
色々考えている私に、山田さんは「伊藤さん」と言って後ろから抱き締める。
子犬みたいにプルプル震える私。
えーい!
もうここまで来たら、山田さんに身を任せよう!
軽くシャワーも入り、ベッドイン。
慣れた感じの山田さん。
久し振りの私をグイグイリードしてくれる。
あ~ヤバい😆
山田さんと一つになっている幸せ💕
山田さんと何度も熱い時間を過ごした。
熱い時間も終わり「そろそろ帰ろうか」という時間になった。
着替えも終わり、タクシー代としてお金をくれた。
何か援助交際みたい😅
お互い明日も仕事だし、帰る方向も真逆のため一人でタクシーに乗る。
山田さんは見送ってくれた。
無事に家に着いた。
もう頭の中は山田さんの事でいっぱい。
その日は幸せを噛み締めながら就寝した。
たらふく食べて飲んで、山田さんと話して、満足した時間だった。
お財布を出したけど、山田さんは「遅れたお詫びにご馳走するって言ったでしょ?」と断られ、私はお礼を言って店を出た。
山田さんが「この後…どうする?一緒に来て欲しいところがあるんだけど…」と言って来た。
一緒に来て欲しいところ?
何処だろ?
そう思いつつ「いいですよ」と答えた。
山田さんはニコっと笑った後、私と手を繋いだ。
あたたかい山田さんの手。
恥ずかしい様な嬉しい様な…
私は山田さんと手を繋ぎ、山田さんが歩いていく方向に従う。
山田さんは、だんだん無言になって来た。
えっ…?
一緒に行きたいところって…
ラブホテル⁉
ラブホテル街が見えて来た。
私は「ちょっと…」と立ち止まる。
山田さんは無言でどんどんラブホテル街に向かって歩く。
「嫌?」
山田さんが口を開く。
「嫌っていうか…いきなりそういうのは…」
「伊藤さんの事を好きになったんだ、好きな人を抱きたいと思うのはいけない事なのかな」
その言葉に負けた私。
山田さんと一緒にホテルに入った。
店員さんが席に案内してくれる。
飲み物を聞かれて、生ビールを2つ注文。
オススメのホルモンを始め、色んなお肉を頼む。
待っている間に店員さんが七輪みたいなのを持って来て、テーブルの上にセット。
山田さんが「伊藤さんとのデート、お洒落なレストランとかを予想していたんだけどね」と言う。
私は「上品なレストランより、私はこういう庶民的なところの方が好きです😄」と答える。
上品なレストランとかもいいけど…慣れないせいか緊張して食べた気がしない💧
お肉も来て、ビールも来て山田さんと乾杯🍺
お肉を焼きながら、食べながら色んな話をする。
とても優しくて、気を遣ってくれる山田さん。
ヤバい…どんどん好きになってくよ😆
離婚した寂しさ、直哉と離れた解放感もあり、その隙間に山田さんが入り込み、どんどん山田さんが気持ちを占領していく。
離婚してまだそんなに経っていないけど…
私もまた恋愛したいっ!
もう30歳だけど…いい年して😞と思われるかもしれないけど…
山田さんが好き💓
山田さんは「伊藤さんって楽しい人だね😄」
いやん💕
そんな笑顔見せられたら、尚更好きになっちゃう😆
頭がめでたくなっていた。
山田さんは「晩御飯ってまだ?」と聞いて来た。
「まだですよ」
「俺もまだだから、待たせたお詫びに伊藤さんが食べたいものをご馳走するから!」
「いえ、とんでもない💦私の分はちゃんと払いますよ💦」
「いやぁ…そういう訳にもいかないでしょ😁リクエストあります?」
「リクエスト?ん~じゃあ美味しい焼き肉が食べたいです😄」
「焼き肉⁉女性で焼き肉って珍しいね」
「そうですか?😱」
ありゃ、いきなりやっちまったか?
「よし!今日は奮発して食べ放題じゃない焼き肉屋に行こう!あっ、そうだ!ホルモンが美味しいお店があるから、そこへ行ってみましょうか😄ホルモンは大丈夫⁉」
「大好きです😄」
「じゃあ~そこで決まり!」
聞けば、待ち合わせ場所からそんなに離れていない。
焼き肉屋さんに到着。
店内は結構混み合い、賑やかだった。
待ち合わせ場所に到着。
「今、待ち合わせ場所に到着しました!」
山田さんにメールをする。
すぐに返信。
「俺は今、仕事が終わって家に帰っている最中なので、あと20分位かかります💦待たせてごめんね😢」
全然いいよ😆
山田さんが来るまで待ってる🎵
…何か落ち着かない😅
化粧は大丈夫⁉
髪型はおかしくない⁉
手鏡を見ながら、前髪を直す。
携帯を握りしめ、山田さんからメールが来たらすぐ返信が出来る様に準備。
携帯を意識しながら待つ。
その時、携帯が鳴る。
山田さんからのメール。
「今、家を出たからもう少し待ってて💦」
ドキドキして来た💓
きっと私、ニヤニヤしてるんだろうな😁
口元の締まりが悪くなる。
周りをキョロキョロしていると、遠くから山田さんが歩いて来た!
「お待たせ」
「全然大丈夫です😆」
山田さんは、ジーンズにカットソーみたいな服を着ている。
ムフフ❤
お似合いですな🐱
心の中でそう呟き、山田さんと一緒に歩く。
それから山田さんとメールのやり取りをする様になる。
お互い他愛もない内容のものがほとんどだったけど、メールの返信が来ない時は携帯を気にする様になった。
私、山田さんに惹かれ始めてるのかも。
山田さんとのメールのやり取りをし始めて3週間程経った。
山田さんから「明日は実家の居酒屋さんお休みなら、夜会わない⁉」というメールが来た。
「はい😄」
私は返信をして、お互いに仕事が終わったら会う約束をした。
何かドキドキするな😆
こんな気持ち、久し振り💕
明日は何着ていこうかな?
クローゼットを開ける。
明日着ていく服を試着してコーディネートする。
よし!これで行こう!
すごく楽しみにしながら就寝。
朝から気分上昇し、お母さんに「彩乃、何かいい事でもあったのかい」と呆れられた。
仕事も終わり、山田さんにメール。
「今、仕事終わって一旦家に帰って着替えてから待ち合わせ場所に向かいます🏠」
すぐに返信が来て「わかりました!俺も仕事終わってから着替えて向かいますから、少し待っていて下さい😄」
「りょーかいしました!」
私は急いで家に帰り、昨日コーディネートした服に着替えて「出掛けて来る!」と両親に伝えて家を出た。
大盛り上がりのカラオケもお開きになった時には、もう夜中1時を過ぎていた。
各々、タクシーに乗り込む。
私と佐田さんとめぐみさんが同じ方向のため、同じタクシーに乗り合わせる。
由佳と友美さんは2人、宮田さん、山田さん、安田さんは3人で乗り合わせる。
佐田さんとは余り話していないけど、酔っているせいか陽気な佐田さん。
私→めぐみさん→佐田さんの順番で降りる。
タクシー代を割り勘にすると言ったけど、佐田さんは「俺が一番遠いし、女性に出させる訳にいかない」と頑なに割り勘を拒否、今度会った時に何かご馳走すると約束をし、お礼を言ってタクシーを降りた。
実家の居酒屋は閉店後の片付けも落ち着いた時。
「ただいま~」
「おかえり」
お母さんが答える。
私はそのまま真っ直ぐ部屋に行き、山田さんに「伊藤です😄今日は有難うございました✨楽しかったです」とメールをした。
何となく山田さんの事が気になったから。
するとすぐメールが返って来た。
「メール有難う✨こちらこそ楽しかったです😄」
山田さんからもらった名刺をポケットにしまい、みんながいる部屋に戻った。
お酒も入っているせいか、尋常じゃなく盛り上がっていた。
由佳と安田さんがデュエットしている。
佐田さんと宮田さんがノリノリにタンバリンを叩いている。
友美さんとめぐみさんは、体を動かしながらノっている。
私と山田さんが、ノリ切れず取り残された。
「みんな盛り上がってますね」
山田さんが言う。
「そうですよね😄」
「伊藤さんは良くカラオケに来るんですか?」
「由佳とはたまに来ますけど、私下手なんで聞く専門です」
「俺も一緒です💦」
そんな会話をしていると由佳が「はい!そこの2人!次はあなた達の番だよ😁」と勝手に選曲され、マイクを渡された。
うわ~歌うの⁉
由佳は「うまい下手は関係ない!楽しければ何でもオッケー❤」
私と山田さんは、強制的にデュエットを歌わされた。
音程狂いまくりの私😫
山田さん、音痴とか言いながら全然うまい💧
しかも、結構いい声。
みんなは盛り上がる。
直哉はカラオケが嫌いだったから、まずこうして一緒に歌う事はなかった。
何か楽しい😄
「山田さんもお手洗いですか?」
「あっ、いや…部屋じゃみんながいるからなかなか…伊藤さん、今度良かったら2人で一緒にお食事どうですか⁉」
「えっ?いや…はい😅」
突然のお誘いに動揺する私。
山田さんは今日初めて会ったけど、とても感じ良さそうな人。
でも、私は直哉と離婚してすぐでしばらくは1人でいたい。
断ったら失礼になるかな😫
あっ💡
お友達…なら一緒に食事に行っても大丈夫かな😅
考えていると山田さんから名刺をもらった。
裏には携帯番号とアドレスが走り書きしてあった。
「もし、嫌じゃなければ連絡下さい」
そう言って部屋に戻って行った。
私の向かいには山田さんが座っている。
背は低めだけど、髪は短めで縁なし眼鏡をかけた爽やかな感じで、安田さんと同期入社と言っていた。
男性陣で唯一の離婚経験者。
私も女性陣で唯一の離婚経験者。
話を聞くと元の奥さんとの離婚原因は、山田さんの仕事が忙しくて構ってあげられず、奥さんが寂しいと言って他の男性と浮気をしていたらしい。
子供は一度授かったが、流産してしまい、それからは出来なかったと言っていた。
浮気…
寂しいからと言っても浮気しちゃいけないだろう💧
山田さんは「俺も悪かったんだけどね💦」とは言っているけど…
浮気された側の気持ちがわかるだけに、山田さんに同情😢
由佳が「あら、そこの2人ずいぶん仲良さそうじゃない😁」と茶化す。
似た様な境遇の山田さんと2人で話が盛り上がる。
二次会はカラオケに行こう!という話しになり、近くのカラオケ屋さんに行く。
私は音痴だから聞く専門。
由佳は歌がうまい。
意外に友美さんもうまかった。
由佳は盛り上がる曲を選んで歌う。
めぐみさんもノリノリだったけど、私と同じ理由で歌わない(笑)
男性陣も盛り上がる。
私は「ごめん、ちょっとトイレ💦」と由佳に伝えて部屋を出る。
トイレから出ると山田さんもいた。
約束の時間より20分遅れて待ち合わせ場所に着いた。
もう既に、みんな合流して店にいるのか誰もいない。
由佳に「着いたよ😄」とメールをすると、すぐ店から由佳が出てきた。
「ごめんね~遅くなって💦」
「いいのいいの!仕事お疲れ~!今、まだみんな乾杯したところだから😄」
そう言って由佳はみんなの席まで案内してくれた。
友美さんが笑顔で「あっ、彩乃さん!お疲れ様です!お先に飲んでました😄」と言ってくれた。
由佳の友達は、めぐみさんと言うらしく「こんばんは😄」と笑顔で挨拶をしてくれた。
髪はムーミンに出てくるミーみたいに、頭のてっぺんでおだんごにしていて、可愛いチュニックを着ている。
仕事は幼稚園の先生をしているらしい。
優しそうな雰囲気のめぐみさん。
男性陣も4人。
由佳の高校の同級生である安田さんという人の会社の仲間らしい。
仕事は営業。
安田さん、宮田さん、山田さん、佐田さん。
みんな名字に「田」がつく共通点があり、4人はとても仲がいいらしい。
みんな気さくな人達で、一気に馴染む事が出来た。
その日から直哉は店に来る事はなくなった。
それからしばらくしたある日、用事があり元のマンションの前を通った時に何気無く住んでいた部屋を見ると、「空室」の貼り紙がしてあった。
直哉、東京に行ったのかな…
元気ならそれでいいや。
私も元気に頑張るね、直哉。
空室の部屋を見ながら、心の中で呟く。
それからも旅行代理店と居酒屋を掛け持ちする日々。
忙しかったけど、充実していた。
そんなある日、由佳が「もううちら若くはないんだけどさ、合コンがあるんだよね~😄彩乃、来ない⁉」と連絡があった。
「友美ちゃんも来るし、もう一人私の友達いるけど…まぁ合コンというよりはみんなで飲み会みたいな感じかな😄」
「合コンかぁ…行った事ないから行ってみようかな?」
「彩乃は独身なんだし、楽しまないとね😁」
「あはは(笑)ありがとう」
最近、仕事仕事の毎日だったから息抜きしよう😄
私は仕事のため、仕事が終わってから合流する事にした。
「ちょっと来てくれ」
「離して!」
抵抗するけど直哉はすごい力で私の腕をつかみ、グイグイ引っ張る。
私は諦めて、直哉について行く。
連れて来られたのは、小さな公園。
昼間は子供達が元気に遊んでいるであろうブランコや小さなジャングルジムがある。
ジャングルジムの脇にあるベンチに直哉は座る。
私は立ったまま、直哉の隣にいた。
「何よ」
「彩乃、俺あのマンションを引き払って東京に行こうと思ってるんだ」
「そう」
「一緒について来てくれないか⁉」
「ついてかない」
「俺は何をしていたんだろう…と今になって本当に反省しているんだ。彩乃に申し訳ない気持ちでいっぱいで…心から謝るから、一緒に東京について来てくれ!」
直哉は、ベンチから降りて土下座をした。
「…直哉、私は直哉の事を信用出来ないし、また直哉とやっていくつもりはないの。もう戻れないよ…頭を上げて💦」
直哉は土下座したまま動かない。
「浮気なんてしなければ…あの時までは直哉を愛してたんだよ⁉でも…もう無理だよ…東京に行っても元気でね」
私はそう言って、土下座したままの直哉を置いて公園から離れた。
久美子さんと直哉が何かを話している。
何分も経たないうちに、直哉は店から出て行った。
久美子さんが休憩室に戻って来て「しばらくは店に来ないと思う😄」
久美子さんが直哉に何を言ってくれたのかはわからないけど、久美子さんにお礼を言う。
「ストーカーに発展したら怖いから気をつけてね💦何かあれば、またいつでも言って!一応、支店長にも簡単に伝えておくから…お疲れ様でした😄」
そう言って久美子さんは店に戻った。
職場のみんなに迷惑かけてしまって…ごめんなさい😢
私は、店を出て家路を急ぐ。
その時、急に腕をつかまれた。
ビックリして振り返ると直哉だった。
店も終わり、自分の部屋に戻ると「はぁ~疲れた」と持って来た寝心地が良いソファーに座った。
直哉の事を考えるとイライラしてくる💢
早速、ビールをプシュ!と開けて一気に飲む。
お風呂にも入ってすっきり🎵
嫌な事は忘れて、明日からもまた頑張ろう!
次の日。
…また直哉登場😱
帰れないじゃないか💢
どうしよう💧
久美子さんが「また昨日の人がみえてるけど…」と心配そうに私に言って来た。
久美子さんには、全て話してみよう。
私は久美子さんに「ちょっとお時間いいですか⁉」と言って全て話した。
久美子さんは黙って聞いてくれた。
「余り、他の従業員のプライベートな事は聞く方ではないけど、店に毎日来られたら私達も迷惑するから…ちょっと待ってて!」
そう言って、久美子さんは休憩室から出て行った。
「ほらみろ!お前を置いてさっさと帰ったじゃないか、あんな男のどこがいいんだ⁉」
「だから、そこでばったり会っただけだって言ってるでしょ⁉」
「どうなんだか」
「本当にもういい加減にして!私達はもう他人なの!もう関係ないの!これ以上付きまとわないで!」
私は、直哉のしつこさに嫌気をさしていた。
「俺はお前がいなきゃ生活していけないんだよ」
「そんなの私には関係ないし」
「どうしてもダメなら俺は死ぬしかないな」
「じゃあ、死ねば?さよなら」
「俺の事はどうでもいいのか?」
「しつこい💢」
私は腹が立ち、直哉を平手打ちした。
直哉は「何すんだよ💢」とキレていたけど、その隙に猛ダッシュで家に帰る。
途中まで走って、振り返ってみたけど直哉が追いかけて来る様子はない。
もう、店が開く時間。
私は急いで着替えて何事もなかったかの様に看板娘をこなした。
びっくりしているパクちゃん。
「彼は今、そこでばったり会って話していたの!高校の同級生なの!付きまとわないで!」
「そんな偶然、ある訳ないだろ!おい、彩乃!いつまでくだらない過去を引きずって被害者ぶってるんだ?浮気されたから何だ?浮気するくらいの男の方がかっこいいとは思わないか?」
「男っていうのはそういう生き物だ!この男だって、いつかは浮気するんだ!俺の方がいいに決まってる!」
「くだらない過去だと⁉被害者ぶってる⁉本気で言ってんの?」
私も直哉にかみつく。
その時、パクちゃんが「…あの~僕は詳しい事は知りませんけど、伊藤さんとは同級生ってだけで深い関係ではないです。本当にそこでばったり会っただけですから。
僕は本当に愛した人を泣かす事はしないですよ。浮気なんて有り得ない。一緒にされたら心外です」
「パクちゃん…ごめんね」
私はパクちゃんに謝る。
パクちゃんは「いや、いいよ、俺帰るね」
そう言ってパクちゃんはその場を離れた。
あ~もう😠
うるさい💢うるさい💢💢
何なのよもう💢💢💢
不倫する側は「バレなきゃいいや」とか「ちょっとなら」みたいな軽い気持ちかもしれないけど、裏切られた不倫された側の気持ちも考えて欲しい。
理奈とのあんな姿まで見せておいて、また前みたいに楽しく過ごしたい⁉
過ごせる訳ないじゃん😠
直哉にとったら過去の事かもしれないけど、私にとったらどんだけ傷付き信用出来なくなったか。
よりを戻す気なんて全くないし、仮に戻っても絶対また同じ事の繰り返しなのはわかりきっている。
勝手都合良すぎ!
私は何なの⁉
困ったら助けてくれる都合の良い女?
今までは「妻」だったから助けたけど、どうして別れてまで直哉を助けなきゃなんないの⁉
イライラしながら歩いていると「伊藤さん?」と声を掛けられた。
イライラがマックスだった私は「はい💢」と少しキレ気味で声がする方を見るとパクちゃんだった。
「あっ、パクちゃん」
私は一気にイライラが落ち着く。
「鬼みたいな顔をして歩いてるのを見掛けたから…迷惑だったみたいだね」
と去ろうとしたパクちゃん。
「パクちゃん、ごめんごめん💦実はね…」
私は、直哉の事をパクちゃんに話す。
その時に直哉が「彩乃、こいつが新しい男か」と言って近付いて来た。
「こいつがいるから、彩乃は俺のところに戻らないのか⁉」
そう言ってパクちゃんに近付いた。
「だから、用件は?」
「…よりを戻さないか?彩乃と別れて、彩乃の大事さと有難さが身に染みてわかったんだよ…今になって後悔している。なっ!彩乃、また前みたいに楽しく過ごしたい」
「会社辞めたし、収入ないし、女とも別れて生活していけなくなったか?」
「そういう訳じゃ…」
「直哉、良く考えてみて。普通あんな事があったら無理でしょ?」
「…」
「私は直哉とやり直すつもりは全くないし、本当に迷惑!これ以上近寄ったら警察に相談しに行くから」
「…」
黙ったままの直哉。
「じゃ、私帰るから」
席を立とうとした時に、腕をつかまれた。
「離してよ」
「よりを戻してくれるまで毎日来るから」
「それは止めて」
「じゃあ、よりを戻して」
「ふざけないで!」
「ふざけてない!本気なんだ!」
「無理!もういい加減にして!」
私もイライラがピークになり声が大きくなる。
周りの人がこっちを見る。
でも関係ない。
私は、財布から千円を取り出しテーブルの上に置いて、逃げる様に喫茶店を出た。
「お待たせ」
私の声に振り向く直哉。
「悪いな、仕事中に」
「用件は何?今日、これから実家の手伝いあるから手短にして欲しいんだけど」
「…そこの喫茶店入らないか?」
店のすぐ前が喫茶店。
直哉が喫茶店に入る。
私も後をついて喫茶店に入る。
コーヒーを頼み、直哉に「用件は?」と聞いた。
「まぁ、物事には順序ってものがあるからさ、そう焦るなよ」
何を偉そうに😒
「どうして私の勤務先知ってたの?」
「前に通りかかった時に見掛けた」
「そう」
店員さんがコーヒーを持って来てくれたので、早速コーヒーを飲む。
「彩乃、俺会社辞めたんだ」
「そう…で?」
「何とも思わないのか?」
「別に」
「心配してくれるとかないのか?」
「はぁ?何で直哉の心配しなきゃいけないの⁉」
「男でも出来たか?」
「はぁ?」
何を言いたいの?
イライラするな💢
その日の夕方、帰り支度をしていたら久美子さんが「彩乃さん、お客様がみえてるよ」と声を掛けられた。
お客様?
誰だろ…理奈かな?
そう思い、慌てて着替えてから入口を覗くと…パンフレットを立ち読みしている直哉の姿。
え~何で😱
私は、直哉のところに行き「何か用⁉」と強めに言う。
直哉は「仕事終わったのか?ちょっと話があるんだ。携帯替えたのか?繋がらないんだけど」
「…」
「外で待ってるから」
そう言って店から出て行った。
どうする?彩乃。
無視するか?
無視して、またここに来られたら困る💧
付き合うか?
でも、実家の手伝いがある。
手伝いを理由に、さっさと話を切り上げて帰ろう。
そう決めて、店を出た。
今日は間に合わないから、明日携帯を変えるか💧
直哉とは関わりたくない😫
次の日、旅行代理店の仕事帰りに携帯ショップに寄って番号と機種を変えた。
家族、会社、友達にアドレスと番号変更の連絡。
これで、直哉からの連絡はもう来ないだろう。
それからしばらくは平穏な日が続いた。
旅行代理店の仕事も順調、千絵さんや久美子さんの指導も離れて独り立ち。
職場にも慣れて、色んな商品も覚え、接客もする機会も増えた。
そんなある日、仕事中に「彩乃~」と声を掛けられた。
びっくりして声がする方に顔を向けると理奈だった。
「元気だった⁉実は彼氏と一泊で旅行に行こうと思ってね😄良さそうな旅館ある~?」
「あるよ😄」
私は、色んなパンフレットを理奈に見せる。
真剣にパンフレットを見る理奈。
彼氏の誕生日にお互い休みを取ったから、彼氏への誕生日プレゼントで温泉に行きたいらしい。
「ラブラブでいいね」
「うん😄すごく幸せなの💕」
「失礼だけど…また不倫じゃないでしょうね😅」
「あはは😅違うよ、独身だよ」
理奈は苦笑いしている。
パンフレットから泊まりたい旅館をピックアップし、30分かけてやっと決まった。
予約の手続きも終えて「楽しんで来てね😄」
私が言う。
理奈は「ありがとう✨彩乃にお土産買って来るからね!」
そう言って理奈は嬉しそうに代理店を出て行った。
次の日の夜に友美さんからメールが来た。
直哉は自主退職という形で会社を辞めた、というものだった。
部長に呼ばれた時、直哉が予備金を使い込みした事を部長から指摘されると直哉は「きちんと返したからいいじゃないか!」と部長にキレたらしい💧
部長は「そういう問題じゃないだろ!」と激怒、かなり部長とやり合ったらしく直哉が「こんな会社辞めてやるよ💢お前みたいなハゲになりたくないし」と部長に捨て台詞を吐いて、自分の荷物をまとめて帰ったらしい。
直哉は、使い込み以外にも勤務態度は良くなかったみたいで、遅刻や無断欠勤は良くあり、同僚からも反感をかっていたみたい。
同僚で仲の良い高木さんでさえ、最近の直哉に呆れていたという。
友美さんからのメールを見て、私も呆れてしまった。
友美さんにお礼のメールをした。
メールを読んだ直感で「直哉は私を頼ってくるな」と感じた。
もしかしたら、昨日の知らない番号は直哉かも。
友美さんに「この番号知ってます?」と知らない番号をメールで通知。
すぐ友美さんから返信が来て「うちの会社のもう一つの番号ですね」
やっぱり💧
飲み会も終わり、明日も仕事だからと23時前に解散した。
楽しかったな💕
タクシーで家に帰る。
今日、実家の居酒屋はお休み。
家に帰るとお父さんがお風呂からあがった時で、パンツ一枚の姿で冷蔵庫を開けていた。
「おかえり」
「ただいま😄お母さんは?」
「今、お風呂に入ったところだ」
「そうなんだ😄」
「お前、ずいぶん飲んだのか、顔が真っ赤だぞ」
自分じゃ気付かないからわからなかった😅
「結構飲んだかも」
「飲み過ぎるなよ」
「うん、着替えて来る!」
私はそう言って、自分の部屋に戻った。
鏡を見ると…あら、本当に顔が真っ赤。
ゆでダコみたい😣
私は、ジャージに着替えてカバンから携帯を取り出す。
「着信2件、新着メール4件」
着信は知らない番号だけど、同じ番号から2件。
市外局番が表示されてるから、固定電話かな?
留守電もなし。
知らない電話にかけるのは抵抗があったから、そのまま放置。
メールは2分前に友美さんから「今日は誘って頂いてありがとうございました!楽しかったです😄また明日連絡します✉」というものと、由佳からの「今日は楽しかったね!仕事頑張れよ✋」というもの、もう1件はメルマガ、もう1件は理奈だった。
理奈からは「新しい彼氏が出来ました😄」
え~⁉
ついこの間まで直哉を愛してるとか言ってたのに⁉
しばらく彼氏いらないとか言ってたのに⁉
早いなぁ😅
由佳は会社で嫌な事があったみたいで「もぉ~ちょっと聞いて~!」と愚痴る。
「いくらでも聞いてやるぞ😁」
「ありがとう~」
由佳は相当うっぷんがたまってるのか、一気に吐き出してはビールを飲む。
由佳は「いいだけ愚痴ったらスッキリした🎵」と言って笑っている。
そうだ、愚痴りたい時には吐き出してスッキリした方がいい!
飲んで食べて愚痴って忘れちゃえ😜
友美さんも会社のうっぷんを爆発させる。
「私もスッキリしました😄あっ!そういえば直哉さんなんですけど…」
友美さんが思い出した様に直哉の話をする。
「直哉、また何かやらかしたの⁉」
私が聞く。
「やらかしたというか…自分で東京に転勤願いを出しておいて、今になり嫌だと言い出して周りが困ってまして😅」
「困ったやつだねぇ…」
「前の予備金の使い込みの件もあり、今日私が帰って来る時に直哉さん、部長に呼ばれてました。どうなったかは明日わかります」
「最近、直哉からは連絡あるの?」
私が友美さんに聞く。
「いえ、あれから一切ありません。でも良く誰かにメールはしています。誰かはわかりませんけど…」
「どうなったかわかったら連絡ちょうだい!」
そう言って私は自分のアドレスを友美さんに教える。
「わかりました!」
別に直哉がクビになろうがどうなろうが、私には関係ないけど、どうなったかのを知りたかった。
しばらくは、千絵さんがついての仕事になる。
千絵さんがお休みの時は、久美子さんという勤務歴10年のベテランの方がついてくれた。
久美子さんはテキパキ仕事も出来て要領も良く、支店長からも一番用信頼されている方。
色んな事と要領も教わった。
夜は実家の居酒屋での看板娘、忙しい毎日だったけど充実していた。
そんな日々が続いていたある日、由佳が「彩乃の就職祝いやるよ~✨」と連絡があった。
友美さんも一緒に来るみたいで、由佳と友美さんと私の3人で飲みに行く事になった。
理奈は誘っていない。
由佳が言って来た待ち合わせ場所に向かうと、既に由佳と友美さんがいた。
「ごめ~ん💦お待たせ~」
「大丈夫だよ~😄うちらも今来たところだから!」
そう言って、由佳は予約してあった居酒屋に向かう。
私と友美さんはついていく。
和の雰囲気でほとんどが個室になっている居酒屋で、個室は掘りこたつになっていた。
ちょうちんみたいな電気が個室を照らす。
少し薄暗いけど、落ち着いた雰囲気。
結構、お客さんも入っていた。
メニューも豊富でどれにしようか悩む。
まずは飲み物を頼む。
「彩乃!就職おめでとう~✨かんぱ~い!」
「ありがとう!」
私と由佳はビール、友美さんはカルピスサワーで乾杯した。
🌸あやのです。
すみません、ゴールデンウィークで仕事が半端なく忙しく、4日間空いてしまいました😫
ごめんなさい😞
見てビックリ😲
あれ~?削除されてる😱
すみません…こちらのスレは私専用にさせて頂いてもよろしいでしょうか😅
感想スレを立てていますので、何かありましたら感想スレの方にお願いします💡
これからもまた更新していきますので、よろしくお願いします‼
いよいよ旅行代理店に勤務する日が来た。
緊張するなぁ~😣
9時半までに出勤して、掃除して朝礼。
朝礼の時に、支店長から「今日から一緒に頑張ってくれる事になった伊藤彩乃さん」
「よろしくお願いします!」
私はペコリと頭を下げた。
全従業員は支店長入れて10名。
私に指導してくれるのは、荒木さんという私より年下の25歳の女性。
「よろしくお願いします」
荒木さんは「こちらこそよろしくお願いします😄」
感じ良さそうな人で良かった😆
香水つけてるのかな。
クンクン…いい香りがする💕
いかん!
エロいおっさんみたいになってる😱
「荒木さんって呼ばれ慣れてないので、千絵って呼んで下さいね😄ここの人達、みんな下の名前で呼ぶんですよ!彩乃さん!」
そうなんだ。
「わかりました、千絵さん😄」
「はい😄」
千絵さんに色々教わるけど…覚える事がいっぱい💦
頑張って覚えなきゃな😫
3日後、パチンコ屋さんからの封書が届いた。
開けて見ると、履歴書と共に「不採用」の通知が入っていた。
そっかぁ。
ダメなら仕方ないや。
とは思うけど、ちょっとショックな私😢
次の日には運送屋さんから電話が来る。
こちらは採用!
その後すぐに旅行代理店からも連絡が来た。
旅行代理店も採用!
どうしようか悩んだ結果、旅行代理店の内勤を選んだ。
このご時世、使ってもらえるだけ有難い。
旅行代理店は、来月1日から働く事になった。
両親に採用の報告。
両親共に喜んでくれた。
お父さんは「頑張れよ」と言ってくれた。
早速、由佳にメール。
「旅行代理店に決まったよ!」
すぐ返事が来た。
「おめでとう🎂✨良かったね💕落ち着いたら就職祝いやろうぜ~✌」
アルバイトだけど就職も決まり、離婚してから約1ヵ月。
やっと落ち着いた。
旅行代理店の面接も終わり、ホッと一安心。
どの会社も、1週間以内に合否の連絡をします、との事。
やる事はやりきった。
後は、連絡を待つだけ。
由佳に「面接終わった~😆採用になるといいな🎵」とメール。
すぐに由佳から返事が来た。
「採用になったら祝い酒ね❤」
思わずにやける😁
実家に帰ると、親は起きていてこれから仕込みという時だった。
「どうだった?」
「やる事はやりきったから連絡待ち」
「お疲れ様!冷蔵庫にパイあるよ、村田さんの手作りらしいの。お裾分けで頂いたから食べていいわよ😄」
村田さんは近所のおばちゃん。
お母さんと仲が良く、たまに仲間とうちの居酒屋を利用してくれる。
趣味でお菓子を作るけど、これがなかなか美味しい😆
「村田さん頂きま~す❤」
私は早速パイを食べる。
旨い🎵
そんなに甘くないから、いくらでも食べれちゃう😄
…これじゃ、痩せないな😒
パイを食べているとお父さんからパソコンでメニュー表を作り直して欲しいと頼まれる。
両親共にパソコンは使えないので、何かあれば頼まれる。
「わかったよ」
私はパイを食べてから、パソコンに向かう。
メニュー表を作り直して、着替えて開店準備。
忙しい1日になった。
店も閉め、片付けも終わりお風呂に入りいつもの一杯🍺
ん~この一杯がたまらない🎵
明日も面接頑張るか!
ビールも飲み終わり布団に入る。
布団に入りながら、直哉の事を考える。
会社のお金を使い込むとは。
何にそんなにお金がかかるんだろ?
女か?
確かに前から金遣いは荒かった。
貯金なんて出来る人ではない。
パチンコはするけどたまにだし、そこまではまる事はしない。
今まではなくなれば、私に言うか親に言って出してもらってた。
でも今は誰も助けてくれない。
これで会社をクビになったら、収入はなくなるから…更に大変だぁ。
親にも返さなきゃならないし、今までのツケが回って来たのだろう。
でも、知らないもんね~😜
そんな事を考えているうちに眠ってしまったらしく、気が付いたら朝になっていた。
時計を見たら7時半。
親はまだ眠っているみたいで静かだった。
携帯を見ると「着信12件」
サイレントにしたまま放置してたから気が付かなかった💧
履歴を見ると、出てきた直哉のマンションの家の電話からだった。
こっちは拒否してなかったな😅
留守電にも「お金貸して!」だの「一生のお願い!」だの色々入っている。
知るか💢
こっちも拒否して、面接の支度を始めた。
「お友達?」
話し終わり、店に戻った私にお母さんが話し掛けて来た。
「あっ…うん😅」
「入ってもらえば良かったのに」
「まだ仕事中で、会社の用事で近くまで来たからちょっと顔を出しただけみたい。だから、会社に戻ったよ」
「あら、そうなの」
お母さんは忙しそうにしながら答える。
店が始まり、お客さんもぼちぼち入り忙しくなる。
看板娘をこなす。
今日も中嶋さんが来てくれた。
「彩乃ちゃん、最近ちょっと太ったかい?」
中嶋さん、それは聞いちゃいけないよ😱
「あはは😅そうみたいですね、今日スーツ着たら苦しくて」
「今の娘はみんな痩せてるからね~😞おじさんは彩乃ちゃんくらいの方が健康的で好きなんだけどな」
そう言って烏龍茶割りをグイっと飲む。
「中嶋さん、慰めてくれてる⁉ありがとうございます」
「いやいや、本当だよ。彩乃ちゃんくらいがちょうどいいと思うよ」
私はスーツは13号。
TシャツならLかLLサイズ。
理奈が細いから、一緒にいると余計にデブに見える。
もう少し痩せたい😫
せめてあのスーツのホックを外さなくてもいいくらいにならなきゃ💦
そんな話しをしていると、あっという間に時間は過ぎて閉店時間になった。
中嶋さんは「明日も面接頑張ってな!」そう言って帰って行った。
中嶋さん、ありがとう!
「警察につきだせば?だって横領じゃん!」
「でも…」
「友美さんは全く関係ないし、あのバカが使い込みしてるんでしょ⁉」
「はい…ていうか、直哉さんが帰って来ないと私も困るんです😫精算の計算が終わらないと帰れなくて😅」
「それは大変!直哉を捕まえないと!でも…お金持って来ないとダメなのか」
「最悪、領収書だけでも欲しいんですけど…領収書も出してくれなくて」
その時、友美さんの携帯が鳴る。
友美さんは慌てて電話に出る。
「直哉さん⁉」
直哉かららしい。
「…うん…はい…わかりました、会社戻ります」
「直哉、何だって⁉」
「お金、何とかなったらしいので会社に帰るそうです。私も会社帰ります。お騒がせしました💦」
友美さんはペコリと頭を下げて帰って行った。
直哉のクビは決定だろうな。
友美さん、上司に相談したらしいし。
離婚してからもこんなに直哉が付きまとうなんて😫
クビになったらなったで、また私のところに「困った」って来るんじゃないだろうか?
こっちが困る💢
私は慌てて、店の入口の鍵を開ける。
「友美さん!どうしたの⁉」
「お仕事中すみません💦ちょっとお話があって…」
「店に入りますか?」
「いえ…ここで構わないです。私もすぐ会社に帰らないといけないので」
店のすぐ近くまで会社の用事で来たので、ここに寄ったらしい。
「早速なんですけど…直哉さんから何か連絡ありませんでしたか⁉」
「あ~今日、お金貸してって電話来てたけど…」
「直哉さん、会社のお金を使い込みまして…今日精算日なんですけど…直哉さんだけ精算してなくて、聞いたら使い込んでしまい精算出来ないって言って会社を出て行ったまま帰って来ないんです」
営業にも行くため、月に3~5万程「予備金」として持たされるらしい。
例えば、営業で使う車を駐車場に停めた時の駐車場代とか、必要なものを買わないといけない時は予備金から出して、月に一回の精算日に領収書と共に友美さんに出さないといけないらしく…直哉はそのお金を使い込んだというのだ。
だから、しつこく私に「お金貸して」と連絡してきたのか。
納得。
いや、納得している場合じゃないな。
友美さんは「私に立て替えて欲しいと言われたけど、断ったらゴミ箱蹴飛ばされて…そのまま帰って来ないので、もしかしたら彩乃さんに何か連絡があるかな?と思いまして」
困ったやつだな😱
運送屋さんの面接も終わるとお腹がすいて来た。
あっ…私、スカートのホック外したまま面接受けてた😱
上着で見えないと思うけど何だか急に恥ずかしくなった。
「大丈夫!」
自分に言い聞かせる。
何が大丈夫なのかわからないけど、そう言い聞かせる。
お腹がすいたので、そのままファーストフード店に入り、ハンバーガーを食べながらまた携帯を見る。
「着信18件」
全部直哉だった。
やっと落ち着いた携帯で直哉の着信拒否を設定。
よし、これでしばらくは静かになるだろう。
明日は、旅行代理店の面接。
…別のスーツ着ていくかな😅
お腹もいっぱいになり、実家に帰る。
実家では仕込みの最中。
「ただいま~」
「面接どうだった?」
お母さんが心配して声を掛けて来た。
「わかんないけど…何か無理っぽいな😞」
「そんな事言わないで、また明日も頑張って!」
「ありがとう」
私は、着替えに部屋に戻る。
別のスーツを出して着てみる。
う~ん…こっちも少しヤバいかな💦
こっちよりはいくらか楽かも。
よし、明日は別のスーツを着て面接に挑もう!
ちょっと休憩した後に、店に出る準備をして店の手伝い。
いつもの様に開店準備をしていると、入口の外から覗いている人がいる。
友美さんだった。
私は携帯とカバンを持って、他のお客さんの邪魔にならなそうな場所に移動して電話に出る。
「もしもし?」
「彩乃⁉やっと出た~」
「直哉に貸すお金ないよ」
「頼むよ!もう彩乃しかいないんだよ」
「もう他人なんだから頼るの止めて欲しいんだけど」
「そんな冷たい事言わないでよ」
「私、今忙しいのよ」
「いつなら暇?」
「…悪いんだけど、もう電話して来ないで💢」
「俺に死ねって言うのか?」
「死にたきゃ死ねば?」
「ずいぶん冷たいな」
「だってもう関係ないし」
「5万、いや3万でもいいから何とかならないか?」
「なりません。じゃ~切るよ」
「ちょ…待って…」
私は、直哉が何か話そうとしている最中に電話を切った。
…やっぱり携帯変えるか。
それまで直哉の着信は拒否設定にしよう。
拒否しようとしている最中にも、直哉からの着信が続く。
私は、うるさい携帯をカバンにしまい喫茶店を出た。
2件はメルマガ。
1件は由佳。
1件は理奈。
1件は直哉。
由佳は「仕事が忙しくて連絡出来なくてごめんね💦その後どう?」と心配してくれている内容のメール。
理奈は「引っ越ししました😄」と新住所を教えてくれた。
直哉は「お金貸して欲しい。彩乃しかいなくて😢」
由佳と理奈には返事をする。
直哉のメールは返事せずに削除。
直哉に貸すお金なんてありません😠
もう関係ないしね。
やっぱり携帯変えようかな😅
その時に電話が鳴る。
直哉からだ。
無視無視!
私は鳴っている携帯を放置してコーヒーを飲む。
切れたと思ったら、何度も鳴る。
うるさいし、しつこいな💢
サイレントにしてあるとはいえ、ピカピカ光る携帯。
ゆっくりメールも見れないじゃないか😠
余りにしつこいため、仕方なく電話に出た。
面接の日。
朝から緊張し、朝御飯が入らない💧
お父さんは市場に行っているため、朝からいなかったけど、お母さんが「頑張って!」と見送ってくれた。
パチンコはしない私。
でも、直哉がたまにパチンコをしたから一緒に入った事はあるけど…だいたいマンガを読んでたり、携帯ゲームをしていたり。
それにしても、パチンコ屋さんって賑やかだな😅
面接も終わり、午後からは運送屋さんの面接。
まだ時間があるため、喫茶店に入った。
あ~ウエストが苦しい😫
ホック外しちゃお💧
面接が終わり、ちょっと一安心した私は喫茶店でコーヒーを飲みながら携帯を開く。
「新着メール5件」
ずいぶんメール来てるな。
早速見てみる。
実家のパソコンで仕事を検索。
前にもネットカフェで仕事を探したけど…夜は居酒屋があるから、日中の仕事を探す。
結婚する前まで、事務員をしていたから、多少はパソコンの知識はある。
時間もだいたい決まっているし、事務職を探してみる。
パチンコ屋さんの事務員。
運送屋さんの事務員。
旅行代理店の内勤。
この3つに絞り電話をする。
3つの会社の面接日時も決まり、履歴書を書く。
このご時世、特に資格もないからダメかもしれないけど…ダメならダメでめげずに頑張ろう👊
両親にも、面接する事を伝える。
お母さんは「彩乃なら大丈夫😄」と言ってくれた。
最初は運送屋さんの面接。
その日の午後にパチンコ屋さん。
次の日の午前中に旅行代理店の面接。
着ていくスーツを試着。
あれ?
ヤバい…ちょっとキツいぞ😱
最近、牛みたいな生活してたからかな😅
はち切れる事はないと思うけど…痩せなきゃ💧
それから2週間余りが過ぎた。
名義も伊藤に戻し、住所変更もした。
離婚って面倒くさい😫
あれから直哉からの連絡も一切ない。
携帯番号やアドレスも変えようと思ったけど、面倒くさがりの私はそのまま継続。
直哉との家族割は解除した。
夕方、理奈から電話があった。
「引っ越しが決まった!」
という内容だった。
パクちゃんの会社を使うみたい。
「かなり安くしてもらったの🎵」と喜んでいた。
理奈もあれから直哉には会っていないらしい。
直哉から何度か電話はあったらしいけど、拒否したって言ってた。
理奈は「これからは仕事が恋人!頑張る!」とも言ってた。
理奈の仕事はアパレルショップの店長。
モデル体型で可愛いから、どんな服も着こなせるしこれがまた似合う。
だから一度だけ、理奈は「街の可愛い女の子」みたいな特集で雑誌に載った事がある。
センスもいいし、愛想もいいから売り上げに貢献し、バイトから正社員の店長にまでなった。
張り切っている理奈。
私も、昼間の仕事見つけなきゃな💧
それからしばらくは、段ボールから出しては片付ける日が続く。
適当に詰め込んだため、片付けに時間がかかった。
夜は居酒屋の手伝い。
そんなある日、支払いがあるため銀行に行きキャッシュカードを入れて残高照会。
あれ?
私、こんなにお金持ってた?
慌てて通帳記入。
えー😱
直哉のお義父さん名義で振込みされてた…。
そういえば、以前急な物入りでお金を借りた時に、私の口座番号を教えたけど…
私は、銀行を出て直哉の家に電話をする。
「もしもし」
お義父さんが出た。
「あっ、彩乃です!」
「彩乃さん、この間は…」と話している最中に「お義父さん!あのお金は何ですか⁉今、銀行で残高照会したら…お金振り込まれてましたけど…」
「私達からのお詫びの気持ちです」
「あんな大金…」
「お金で済まそうと思っている訳ではないが…私達の気持ちです」
何かお義父さん、元気がない。
「でも…」
「頼むから黙って受け取ってくれないか…申し訳ない」
「お義父さん…」
定年退職し、老後のためにと思って貯めていたお金だと思う。
息子とは縁を切る!とは言っても、やっぱりそうはいかないのが親子。
どんな思いで…胸が苦しくなる。
「…わかりました」
お義父さんは黙って電話を切った。
お母さんが「あら、彩乃お帰り😄由佳ちゃんとは楽しめた?」
本当の事は言えず「うん😄」と答えた。
「今日は暇なのよ😅」
お母さんはそう言って厨房に入る。
「お帰り」
「ただいま😄」
お父さんは、ちょうど注文されたキムチチャーハンを作っている最中だった。
「由佳がお父さんが作るキムチチャーハン、最高に美味しいって言ってたよ😄」
「そうか、今度由佳ちゃんにごちそうするからって言っておけ」
「わかった!きっと喜ぶよ」
お父さん、嬉しそう😄
私は、出来上がったキムチチャーハンをお客さんの席に運ぶ。
その日も無事に店を終えて後片付け。
何か今日は疲れてしまったな😅
私は、店の片付けが終わるとすぐ部屋に戻り、そのまま眠ってしまった。
「もひもひ」
パンがうまく飲み込めない状態で電話に出た。
「何か食ってんのか」
「パン食べてる」
私はパンを飲み込み、「何か用⁉」と聞いた。
「まだ理奈んちか?」
「違うけど」
「俺、今日アパートに帰るから」
「そう、だから何⁉」
「来る予定ある?」
「全くない」
「そう、わかった」
と言って電話を切られた。
何だぁ⁉
女でも連れ込むから、私に確認の電話か?
まぁ、別にいいけど。
もう関係ないし。
パンも食べ終わり、実家に着いた。
店を覗くと、今日は暇そうだな。
裏の玄関から入るか。
忙しそうなら店から入ってすぐ手伝う予定だったけど、着替える時間はありそうだな。
私は部屋に戻り、着替えて店に出た。
由佳も「私も明日仕事だし、早番だから朝早いし私も帰るわ~何かあったら連絡するね~じゃまた!」
そう言って由佳は帰って行く。
私も帰らなきゃ。
そうだ!
パクちゃんに電話してみよう!
「もしもし」
「もしもし!パクちゃん⁉伊藤です」
「あっ、伊藤さん」
「この間はどうもありがとう!無事に引っ越し終わりました😄」
「そっか!良かった」
「あのね、私の友達が引っ越ししたいらしいんだけど…少しは安くなるかなぁ?と思って連絡してみた」
「荷物の量にもよるけど…」
「一人暮らしだし、見た限りは私の荷物よりいくらか多いくらい」
「そうなんだ」
私は理奈に連絡先を教えてもいいと許可をもらっていたから、パクちゃんに理奈の番号を教えた。
「後は本人と話してね、私の友達だから安くして~」
「頑張ってみるよ」
パクちゃんと話しているうちに実家の近くのコンビニに着いた。
小腹が空いたので、パンとお茶を買った。
頬張りながら歩いていると私の携帯が鳴る。
着信を見ると、直哉だった。
由佳が低い声で「もしもし⁉俺!今日の夜ってあいてる⁉」
私が「あら~直哉😄直哉から電話なんて珍しい」
「俺、今日行くところないんだ~顔も腫れて可哀想な俺なんだ、愛してるから泊めてくれないか?」
「やだ~直哉ってば💕可哀想な直哉、是非うちに泊まって❤」
私と由佳で、即興でジェスチャー付きでふざけて直哉と女の電話の会話をまねる。
由佳が「こんな会話しているのかもね😁」
理奈が「そうかも😁」
友美さんは「由佳さんと彩乃さん、めちゃくちゃウケる~!」と大笑いしている。
すると直哉が、何処かへ車を走らせた。
理奈が「おっ、今日のご宿泊先が決まったのかな?」
友美さんも「そうみたいですね」と言っている。
女って強いな。
つい何時間前まで、直哉のライバルだった2人が今は一緒に笑っている。
吹っ切れたみたいで良かった。
友美さんは「明日、仕事もあるし直哉さんの荷物もまとめなきゃいけないので…失礼します。今日は本当にありがとうございました!」と言って帰って行った。
私も由佳も「帰ろっか」と言った時、理奈が「彩乃、由佳、本当にありがとう。そして色々申し訳なかった…ごめんなさい」と頭を下げた。
由佳が「理奈、また落ち着いたら…ねっ!」と肩を叩く。
私は「引っ越しの業者に電話してみるからね」と言って、理奈の部屋を後にした。
理奈と友美さんが、由佳のその一言で窓際に集まって来た。
理奈の部屋は2階で駐車場が真正面。
遮るものは何もないから、直哉の車が良く見える。
暗いから表情までは見えないけど、携帯で誰かと話している姿は丸見え。
私は「…女かな」と言う。
私は、直哉のキーケースが気になっていた。
テーブルの上に放り投げた時に、家の鍵らしき鍵が何本かあった。
まだ、他に都合良い女がいるのかもしれない、そう思った。
根拠はないけど、女の勘っていうやつ。
理奈は「あっ!そういえば…私といる時は、何故か必ず携帯の電源切るかサイレントにしていた。サイレントにしていても光るから…良く鳴るな~とは思っていた」
友美さんには仕事だとは通用しない為、友達だと言っては良く電話やメールをしていたらしい。
他にも女がいる…そう確信した。
直哉はまだ話している。
あっ…終わった。
そう思ったら、また電話をかけた。
違う女にでも電話をしているのかな。
女4人、理奈の部屋に残った。
直哉という、とんでもない男に振り回された私達。
私が「しばらく彼氏も結婚もいいや」と言うと、理奈も友美さんも「私も」と口を揃えた。
友美さんは「もう直哉さんに未練はありません。色々ありがとうございました。東京に行くまでの辛抱だと思って、明日からまた仕事頑張ります」
私が「友美さん、今日は呼び出してごめんなさいね」と言うと「いえ、逆にこちらこそありがとうございました!本当の事がわかって良かったです😄」
と、何か吹っ切れた様な笑顔だった。
理奈は「私、どっちにしてもこのアパートから引っ越すんだ。近くで良さそうなところ見つけてね、そっちに行こうと思って」
私は「そうなんだ~あっ!そうだ、引っ越しならこの人を紹介してあげる!」
私は、パクちゃんの名刺をカバンから取り出して見せた。
「私の高校の同級生で、あのアパートから実家に引っ越す時にお願いした会社に偶然勤めててね、かなり安くしてもらったの!連絡してみようか?」
理奈は「本当⁉少しでも安い方が助かる!」
「聞いてみたら、また理奈に連絡するよ」
「わかった!」
「前にくれた連絡先でいいんだよね?」
「うん」
ふと由佳を見ると、ずっと黙って外を見ている。
「由佳、どうかした?」
すると由佳は「あれ、直哉さんの車だよね?」と指を指す。
白のワンボックス。
「そうだね」
「さっきから、ずっと誰かに電話しているんだよね~」
直哉は腫れ上がった顔でタバコを吸っている。
理奈が「タバコ吸ったら帰って」と直哉に言う。
「嫌だ」
「じゃあ~ここに住む?」
直哉は「えっ?いいの?」と声が明るくなる。
「私は荷物全部持って引っ越すから。後はご自由にどうぞ」
友美さんは「うちにも来ないで下さいね。もし来たら警察呼ぶし、会社に全てばらします」
すると直哉は「じゃあ~俺はどうしたらいい?」
私を見た。
「直哉、うちのアパートあるじゃない。私の荷物はないけど直哉の物は全部揃ってるよ。どうせ来月には東京行くんでしょ?」
「…友ちゃん、今から移動願い撤回って出来ない?」
即答で「無理ですね」と冷たい返事が返って来た。
「俺、東京行く理由なくなっちゃった…」
そう言って理奈を見る。
理奈は「いいんじゃない?東京に行けば、可愛い女の子いっぱいいるしハーレムでしょ、きっと」と呆れた口調で話した。
直哉はタバコの火を消した。
理奈は「帰って」と直哉に言う。
直哉は諦めた様に理奈の部屋から出て行った。
お義父さんは理奈に「何か書くものはあるかい?」と言った。
理奈は「はい!」そう言って大きめのメモ帳とボールペンを持って来た。
そして「相田さん、申し訳ないがこれに振込先と連絡先を書いてくれないか」とメモ帳を渡した。
友美さんは慌てて財布からキャッシュカードを出して書き出す。
その間に理奈は直哉の私物をまとめていた。
大きな紙袋に詰められた直哉の私物。
ほとんどが着替えだった。
友美さんが書き終わり、理奈も私物もまとめ終わった。
直哉に「これ、持って帰って」と紙袋を渡す。
友美さんもそれを見て「うちにある直哉さんの私物は、明日会社のカウンターにあげておきますから」と言った。
そして「合鍵返して」と理奈が言うと、友美さんも「うちのも返して欲しい」と言う。
直哉は無言で、ポケットからキーケースをテーブルに投げた。
たくさんの鍵がついていて、何が何の鍵なのか全然わからない。
理奈と友美さんは、部屋の鍵をそれぞれ取り返してもらった。
お義父さんは「相田さん、1週間から10日程お時間頂けますか?」
「全然構いません」
「振込みましたら、ご連絡致します」
「はい」
最後の最後にお義母さんが「本当にうちの息子が皆さんにご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。
お義父さんとお義母さんは帰って行った。
理奈は「直哉さん、ここにいるみんなの前で誓います。もう二度と直哉さんには会いません」
「理奈⁉気は確かか?」
直哉が騒ぎ出す。
お義父さんが「直哉💢ここにいる皆さんに謝れ💢」
「はぁ?だって関係ないやついるし」
と由佳を見た。
由佳は「はい、私は関係ないですね。私、玄関に出ますからどうぞ」
そう言って席を立とうとした時、お義父さんが「いえ、席を立つ必要はありませんよ」
そして、席を立ち上がり直哉のところに行った瞬間、直哉を一発殴った。
今まで、相当怒りを我慢していた様子のお義父さん。
「直哉!💢お前っていう奴は人間のグズだ💢皆さんに謝れ💢恥を知れ!」
今まで聞いた事もないすごい声で直哉を怒鳴る。
直哉は黙る。
「黙ってないで何か言え💢コノヤロ💢」とまた殴られた。
相当、力が入っているのか直哉はかなり痛そうにしている。
直哉が「理奈…」と理奈に助けを求めた。
「お義父さん、止めて下さい!」と理奈が直哉に駆け寄るシナリオでも想像しているのだろうか?
理奈はじっと直哉を見つめたまま、止める事はしない。
直哉は友美さんと私を見た。
私も友美さんも同じ。
黙って見ているだけ。
バ~カ!誰も止めないよ~😜
また、ボコボコに殴られる直哉。
さすがのお義母さんも止める事はしない。
またみるみる腫れ上がる顔。
お義父さんの怒りも落ち着いた頃には、直哉の顔は岩石みたいになっていた。
お義母さんは、息子の余りに酷い言動に言葉を失い、結局一言も話さなかった。
お義父さんが沈黙を破り話し始めた。
「相田さん…だったかな?」
と言って友美さんを見た。
友美さんは緊張した顔で「はい」と答えた。
「あなたは、直哉に妻がいるのを知りながら直哉と付き合っていたんだね?」
「…はい」
「本当なら、離婚が成立してから付き合うのが大人なんだが、あなたも悪いが直哉も悪い」
「本当に申し訳ありませんでした!」
そう言って頭を下げた。
「でも、あなたは話せばわかるお嬢さんだと思う。直哉とはもう金輪際会わないという条件で、直哉があなたから借りたお金、全額お返ししますから金額と振込先と連絡先を教えて頂きたい。」
「でも…」
「直哉には一生かかってでも返してもらいますから」
「…わかりました」
「理奈さん」
今度は理奈の方を振り向きお義父さんが話す。
「はい」
「まだ直哉と続いていたんですね」
「…すみません」
「直哉は病気です。浮気癖というのは、死なないと治らない。あなたは綺麗な方だ。こんな息子よりもふさわしい方が現れると思いますよ」
「…」
「もう二度と直哉に会わないと誓って頂きたい」
「はい!もう二度と直哉さんとは会いません!」
「おい、理奈…」
直哉が口を開いた。
直哉は無言のまま、タバコを吸っている。
その時、インターホンが鳴る。
直哉の両親が来た。
一気に部屋の空気が変わる。
理奈と私は玄関で出迎える。
お義母さんは「いったい何があったの⁉」と心配そうに玄関から部屋を覗く。
理奈が「どうぞ」と部屋の中に入る様に声を掛けると、先にお義父さんが軽く頭を下げて入る。
後に続いて、お義母さんが入って来た。
理奈の部屋のテーブルは丸い。
なので、テーブルを囲む様に私→由佳→友美さん→お義父さん→お義母さん→理奈→直哉→私という順番で座る。
一人暮らしの部屋に大人がこんなに入ると、さすがに狭くなる😅
足を崩しても、隣の由佳や直哉に足が当たる。
我慢我慢😣
由佳が「初めまして。私は彩乃と理奈の中学からの友人の森川と言います」と自己紹介。
「あのですね、実は直哉さん…大変な事をしまして…ねぇ理奈」
そう言って理奈に話をふった。
理奈は直哉の事を話し出す。
友美さんとの事も話す。
直哉は「もうどうにでもなれ」みたいな態度をとっている。
全ての話が終わった。
理奈は後半、泣きながら話していた。
直哉の両親は言葉を失い、何を話していのかわからない様子。
誰も何も話さない。
沈黙の時間が過ぎていく。
友美さんは「…彩乃さんのご実家って、何か商売されているんですか?」と聞いて来た。
「うち、小さな居酒屋なんですよ😄」
「そうなんですか!」
由佳が「彩乃んちの居酒屋メニューは美味しいし、安いし最高だよ😁」
「そうなんですか!」と少し笑顔になった。
「そうだ!友美さん、良かったら今度由佳と一緒に是非店に来て下さい!多少なら安くしますよ😁」
「ありがとうございます!今度是非、由佳さんと一緒に行きます!」
「彩乃んちのキムチチャーハンは最高に美味しいよ!」
「あれ、意外に人気あるんだよ!」
「でしょ?だって旨いもん!」
少し話題がズレて笑顔が戻る。
理奈と直哉は、何か2人で話をしている。
その時に私の携帯が鳴る。
直哉のお義母さんだ。
理奈に渡す。
理奈は、アパートまでの道案内をしている。
もうすぐ着く様だな。
すぐにお義母さんが出た。
「彩乃さん…どうかしたの?何かあったの?」
「すみません…ちょっと待って下さい」
そう言って理奈に代わった。
その間、友美さんは「由佳さん、ありがとうございます。今日、こうして本当の事を知れて助かりました。じゃなかったら…ずっと騙されるところでした」
「そして…彩乃さん。不倫と知りながら直哉さんとお付き合いしてしまい申し訳ありませんでした。」
そう言って頭を下げた。
「頭を上げて下さい💦友美さんも直哉に騙された被害者なんです!私は友美さんを責めませんから」
友美さんは何度も何度も泣きながら頭を下げる。
友美さんに恨みは全くない。
確かに私と結婚している間に直哉と不倫していた相手だけど…それよりも、こんないい娘を傷付けた直哉が許せない💢
由佳は直哉に「何か言う事ないの?」
「別に」
あ~直哉も完全に開き直ってる😠
そこへ理奈が「これから直哉さんの両親、うちに来るって」
そう言いながら私に携帯を返した。
携帯の時計を見ると、もう夕方。
今日は居酒屋休もうかな😅
「ごめん、ちょっと実家に電話していい?」
由佳も理奈も時計を見て、あっ!という顔になる。
「彩乃、ごめん…店始まる時間だよね💦」
「うん…😅」
私は実家に電話をした。
両親は由佳と楽しんでいると思っているため「今日はゆっくりしてこい!」と言ってくれた。
友美さんは財布から名刺を取り出した。
そこにはちゃんと「弁護士・相田光太郎」と書いてあった。
由佳が「彩乃も直哉さんに慰謝料請求したら?理奈には悪いけど…結婚していた時に不倫されてそれが原因で離婚したんだもん。慰謝料請求出来るんじゃないの?」
「そうだね」
「だいたい2~3百万くらいじゃないの?友美さんにも返さなきゃいけないし…あ~これから大変だ~直哉さん」
直哉さんは「慰謝料?ないものは払えない。なぁ理奈、一緒に払っていかないか?」
理奈は「バカにしないでよ💢」
直哉は「バカにはしていない、理奈は友ちゃんに払っていくって言ってたから…」
その時、理奈が直哉を叩いた。
「彩乃、直哉さんのご両親の電話番号わかる?」
「わかるけど…」
「今すぐ電話して!」
「わかった…」
私は携帯を取り出し、お義母さんの携帯に電話をした。
「理奈に惚れ込めば惚れ込むほど、理奈に満足してもらいたい!という気持ちが強くなり、理奈に物で振り向かせてもらおうと思ったけどお金なくて…それで友ちゃんにお願いして給料の振込先変更してもらった」
「友ちゃんが前に貯金が百万円越えたの🎵というのを聞いて…悪魔が囁いた。百万円あれば…理奈を満足させられるって」
「俺は理奈を愛している!だから、理奈に満足してもらえるために友ちゃんを利用して…」
理奈は、話を聞いていたが友美さんのところに行き土下座をした。
「友美さん!知らなかったとは言え、友美さんが一生懸命頑張って貯めたお金を…本当に申し訳ありません!」
友美さんは「理奈さんは何にも悪くありません!頭を上げて下さい!直哉さんを信じた私が悪いんです」
そう言って直哉を睨んだ。
「直哉さん、毎月いくらかで構わないので返してもらえますか?返してもらえないなら、今日このまま弁護士のおじさんのところに行きます…」
「理奈に使ったんだから、理奈が払うべき。だって俺お金ないもん」
「じゃあ~これからおじさんのところに…」
「行きたきゃ行けよ!おじさんおじさんってうるせ~な~💢本当に弁護士やってんのか?なら証明してみろよ」
と、突然キレ出した直哉。
「彩乃と付き合っていた当初は、本当に浮気もなく真面目に仕事していたと思う。その時は、友ちゃんとは面識あったけどただの同僚で…」
友美さんは、軽く頷く。
「彩乃と結婚が決まってあのマンションに引っ越してから俺、真治と飲みに行っただろ?あの時に真治から結婚したら自由がないとかもう恋愛は出来ないとか色々聞かされて、「俺の人生これでいいのか?」と思って、だったらバレなきゃいいやって思って…」
真治とは、直哉の友達で若くして結婚し2児のパパでもある。
現在、奥さんと子供と別居中。
「その後すぐに会社の飲み会があった。たまたま席が隣だった友ちゃんで…その時に…そういう関係になって…彩乃以外の女性と、そういう事をするのは罪悪感より男の本能が優先した」
「このまま家庭に縛られるのは嫌だ、って思って逃げ場を作った。それが友ちゃんだった」
「その時は彩乃も愛してた。だから結婚した。でも理奈がお祝いを持って来てくれた時に一目惚れしたんだ。そしたら周りがどうでも良くなって…」
私達は店を出て、理奈のアパートに向かう。
直哉が逃走しない様に、理奈が直哉のベルトをしっかり握る。
理奈のアパートに着いた。
久し振りに来た。
12畳のワンルームで、ピンクが好きな理奈らしく、可愛くピンクで統一された女の子らしい部屋。
直哉の私物もいくつかあった。
理奈が、可愛いハート柄のコップに冷たい麦茶を入れて持って来てくれた。
「何もないけど」
とポテトチップスも一緒に持って来てくれた。
「何にもいらないからね」
由佳が言う。
友美さんも直哉も、ずっと無言のまま。
「あっ…私、そこのコンビニで何か飲み物買ってくるね💦」
雰囲気に耐えられなくなった私は、財布と携帯だけ持って理奈の部屋を出る。
アパートの隣の隣がコンビニ。
お茶とスポーツ飲料、お菓子を適当に買い、理奈の部屋に戻った。
多分、5分くらいだったと思う。
部屋に入ると、シーンとしていて空気が重たい。
「飲み物…良かったら…」
理奈が「ありがとう、ごめんね急だったから何にも用意してなくて」
「こっちこそ急にごめん」
「お金払うよ💦」
「いや、たいした金額じゃないし、さっきもごちそうになってるし、この位は出すよ」
「ごめんね」
話してるのは私と理奈だけ。
私がまず口を開いた。
「ねぇ直哉、どうして私と結婚したの?」
直哉はしばらく黙っていたけど、ゆっくり話し出した。
「塀の中⁉そんな大袈裟な事を言って脅しのつもりか?友ちゃんが勝手に彼女ヅラしてただけでしょ?」
その言葉に理奈がキレた。
「直哉さん!こんな純粋な娘をそんな扱いして…酷い!私、そこまでして直哉さんと一緒にいたくないし無理!」
「理奈!何を言ってるんだ!こいつが勝手に彼女だと思い込んでただけで、俺は理奈が一番なんだ!」
理奈は直哉の顔をパシっと平手打ちをした。
友美さんは泣いている。
私も由佳も、黙って見ている。
周りのお客さんが、チラチラこっちを見ている。
「…場所変えようか」
私が言う。
「そうだね」
由佳も同意した。
行き先は理奈のアパート。
ここならゆっくり話が出来る。
直哉は、理奈という本命がいながら友美さんとも付き合う。
友美さんと付き合う理由は同じ会社の事務員さんだから、会社で色んな理由で都合をつけてくれる便利な女性。
本命の理奈のために、友美さんを利用する。
転勤願いを出せば、遠距離を理由に友美さんと縁が切れる上、理奈と一緒に東京に行ける。
それまでは友美さんに優しく甘い事を言って味方につける。
友美さんが一生懸命貯めていた貯金に目をつけた直哉。
理奈に喜んでもらうために、友美さんから結婚をほのめかせてはお金をもらう。
友美さんは何の疑いもなく直哉にお金を渡し、直哉はそのお金で理奈にプレゼントをしたり旅行に行ったりしていた事も判明した。
とんでもない男だった直哉。
直哉は観念して、全てを話してくれた。
私と由佳は呆れ顔、理奈は「最低」と怒っている。
友美さんは「私、直哉さんを結婚詐偽で訴えます。私、おじさんが弁護士なんですよ…お金は勉強代だと思って差し上げます。その代わり、塀の中に入って反省してもらいます」
「びっくりしたでしょ、まさか直哉の妻だった人が同席してるなんて」
「…」
友美さんは突然の私の告白に動揺している様子。
「あっ、大丈夫よ、もう直哉とは離婚したので元妻です😄」
「えっ…?離婚したんですか?」
「はい、離婚成立したので直哉はフリーになりました。私は、別にあなたを責めようとか思っている訳じゃないから安心して!」
友美さんの表情は強ばったまま。
由佳が「友美ちゃん、呼び出した理由は本当は違うの。あなたが惚れている直哉さん、あなた以外にもお付き合いしている人がいるの」
「えっ…」
「窓側に座っている女性」
友美さんは理奈を見る。
理奈も友美さんを見る。
理奈は深いため息をつく。
友美さんは直哉に「どういう事⁉」と問い詰めるが直哉は無言のまま。
由佳は「友美ちゃんにはきついと思うけど…直哉さん、東京に転勤願い出したのは知ってるよね?」
「はい、来月20日付けで移動になってました」
「何故だかわかる?」
「…」
「その人と街を堂々と歩きたいから、一緒にいたいから移動願いを出したみたいよ」
「…」
「友美ちゃんは、どうするつもりだったの?」
「直哉さんから「東京ったっていつでも来れるし、落ち着くまでは遠距離になるけど必ず迎えに行くから待ってて」と言われました。だから…遠距離でも待ってるつもりでした」
由佳が友美さんを迎えに入り口まで行く。
そして友美さんと由佳が一緒に来た。
友美さんは背は低め、髪は少し茶髪で長いストレート、ナチュラルなメイクに清楚な格好。
麦わら帽子が似合いそうな女の子だった。
由佳が「相田友美ちゃん」すると友美さんは「初めまして」と挨拶、私は直哉の隣に座る様に席を立つと友美さんは「すみません」と笑顔で直哉の隣に座る。
由佳は「友美ちゃん、直哉さんとは付き合ってるんだよね?」
友美さんは「はい😄離婚したら結婚する約束もしています😄」と笑顔で答える。
由佳は「最近、直哉さんに会ったのはいつ?」
「4~5日前かな?直哉さん、顔がすごい腫れてて…どうしたのか聞いたら「友達と喧嘩した」って言って…びっくりしたんですよ」と直哉の顔を見る。
お義父さんにボコボコにされた日の夜って事か。
「こんな事を聞くのは抵抗あるけど…直哉さんとは体の関係はあるの?」
友美さんは真っ赤になり「由佳さ~ん!そんな事まで聞くんですか?…そりゃありますよ~やだぁ」
と恥ずかしそうに答える。
直哉も理奈も黙って聞いている。
私は「友美さん、初めまして。直哉の妻だった彩乃と言います」と挨拶。
友美さんは「えっ…」と顔を強ばらせた。
理奈が「どうしてそこまで会うのを嫌がるの⁉」
直哉は「どうしてって…」
「会ったら都合悪い事があるの⁉」
「面倒くさい人なんだよ」
「面倒くさいかどうかは知らないけど、私はその友美って言う人に会って事実を聞くまで直哉さんとは戻らない!」
「…」
私は2人のやりとりを途中で店員さんが持って来てくれた飲み物を飲みながら黙って聞く。
今日、やたらと飲み物飲んでるな😅
由佳が帰って来た。
「理奈!友美ちゃん、今からここに来るって!」
直哉がそれを聞いて席を立とうとしたから、隣にいた私は通路側に座っていたから逃げ出さない様にえらそうにふんぞり返り直哉の邪魔をした。
直哉は「チッ…」と舌打ち。
理奈が「直哉さん…信じてるから」と言うと直哉は諦めた様に席に座った。
無言の4人。
直哉はさっきから落ち着きなく、タバコに火を点けては消してを繰り返している。
その時、由佳の携帯が鳴った。
友美さんが着いたのだ。
その時、由佳の携帯が鳴る。
知らない番号みたいで「誰だろ…」と言いながらも電話に出る。
「もしもし…あっ?理奈⁉」
理奈からみたいだ。
「うん…うん…えっ⁉わかった!戻るよ」
「どうしたの?」
「何か、直哉さんとの話がこじれてるから来て欲しいって」
「私も行っていいのかな」
「当たり前でしょ!」
私と由佳はさっきのファミレスに戻った。
戻ると、理奈は「ごめん…」と由佳に言う。
「別に構わないけど、どうしたの?」
また店員さんが来た。
また飲み物を頼む。
理奈が「直哉さんが別れに応じてくれないの」
直哉が由佳に「あんたが余計な事を言うから、理奈が別れたいって言うんだよ💢」
「余計な事ではなく事実を言っただけ。理奈は正しい選択をしているだけだと思いますけど?」
「はぁ?あんた何なんだ?」
「だから理奈の友達です」
「俺と理奈の邪魔をするな!」
「理奈に呼ばれたので来ましたが?私じゃなく、友美ちゃんの方が良かったですか?」
由佳と直哉がやりとりしている時に理奈が「私…その人と会って話してみたい。それで今現在何にもないというのを本人から聞けば…考える」
直哉は「別にそんな必要ないでしょ?俺を信用して!」
「信用したいから本人に確認するの」
「そんな必要ない!」
「どうして?何でもなかったら拒否する理由ないでしょ?」
「…」
由佳が「友美ちゃんに連絡してみる」
「止めてくれ!」
と席を立ったが、由佳は女子トイレに駆け込んだ。
女子トイレなら直哉は入って来れない。
「彩乃⁉聞いてる⁉」
由佳の声で我に帰る。
「ごめん、聞いてなかった」
「あ~これだもん😞」
「ねぇ、由佳。その友美さんっていう人ってどんな人?」
「ん~今時珍しく、汚れを知らないというか…真っ直ぐな性格だから一度世界に入ると、それしか見えなくなるって感じの娘。わかるかなぁ😅」
「何と無くわかる」
「だから、直哉さんは友美ちゃんの事をちょっとつまみ食い…って言ったら言い方悪いけど、その時に直哉さんが言った言葉を真に受けているというか…友美ちゃんは、直哉さんが彩乃と別れたら自分と結婚してくれると思って待ってるの」
「直哉ってモテるんだね」
「何に感心してるのよ😞」
「その友美さん、理奈の存在知ったら…怖そうだね」
「そうなの、だから心配で😫」
私は、こんな猿みたいな男と結婚したんだ…情けない💧
セックス出来れば誰でもいいのかよ😱
うまい事を言って近付いてやる事やったらポイじゃないか!
女をナメんなよ💢
ファミレスを出て私が「由佳、すごいね」と言う。
「何が?」
「あの状況で、すごい冷静だったし強かった」
「当事者じゃないからかな?私自身の事なら、泣いて騒いで酷いよ」と由佳は笑う。
友美という人が気になる。
「友美さんって…」
「友美ちゃん⁉いい娘なのよ、すごく。でも男慣れしてなくて…直哉さんに惚れこんでいて、離婚して一緒になれるもんだと思っていて…もちろん理奈の存在も知らないし」
「それって、いつ頃の話し⁉」
「聞いた話しだと1年前くらいみたいだけど」
1年前…
うちらは入籍前で同棲していた時期だ。
あの頃は直哉は仕事が忙しく、夜中に帰る事が多かった。
…本当に仕事だったんだろうか?
当時は何の疑いもなく、仕事なら仕方ないと遅くなっても文句言わなかったけど…
あっ!
何度か朝帰りした時があった。
その時にって事⁉
私は過去の記憶を頭の中で整理する。
あくまでも予想だけど…直哉、友美さんだけじゃないな。
あの頃、良く携帯が鳴っていた。
仕事が忙しいって言ってたし、コソコソしていた訳じゃなく普通に話していたから疑う事はなかった。
でも、今思うと…夜10時とかに仕事の電話って普通あるの?
緊急時ならまだしも、ほぼ毎日。
あ~😫
私って、どんだけ鈍感だったんだろ?
由佳は「友美ちゃんの事を知ったのは、ごく最近なの。ちょっと用があって電話した時に聞いたのよ。すっごいびっくりしたよ~まさか!そんな偶然が?って思ってね」
直哉って、意外とモテるんだ😅
まぁ、人当たりはいい方だとは思うけど、別にかっこいい訳じゃないのにね。
私は直哉に「良かった、離婚して」と皮肉っぽく言った。
理奈に「こんな直哉でも好きなんでしょ?」
理奈は黙ったまま。
私は「まだ続いていた驚きより、直哉が意外にモテる驚きの方が勝ってる」
あの店に入って来た時の怒りは消えていた。
直哉が「俺は理奈を信じてる!だって俺を受け入れてくれた!」
こいつは本当のバカだな😱
由佳が「理奈の気持ちが聞きたい」
理奈は「由佳…少し時間をちょうだい」
「わかったよ」
私は「お邪魔しました」と一言言うと、由佳は飲み物を飲み干した。
理奈は「あっ…飲み物代払うから」と伝票を取った。
由佳が「いいよ😅」と言ったけど理奈は「私が払うから」と頑なに譲らなかったので、私も由佳もごちそうになる事にして店を出た。
直哉が「失礼だけど、あなた何なの⁉関係ないでしょ?」
「私は彩乃の親友であり、あなたの大事な理奈の友達ですが何か?
言わせてもらいますけど、あなた最低ですよ?私の後輩にも手を出して💢
これ以上、友達を悲しませないで下さい!」
由佳、強いな。
直哉は黙っている。
理奈は「直哉さん、本当なの?」
「違うんだ!」
「何が違うの?」
「理奈と知り合う前なんだ!」
「じゃあ~私と付き合っている時に浮気したって事だね」
私が言う。
直哉はまた黙る。
「理奈、こんな男の為に人生無駄にするの?私は失敗した。理奈も私みたいになるよ」
理奈も黙る。
由佳は理奈に「少し考えてみな、理奈は賢いから答えはわかると思うよ」
そう言って、理奈の肩を叩いた。
由佳は続ける。
「友美ちゃん、言ってました。「同じ会社の人で素敵な人がいるんです!結婚してるんですけど、もうすぐ離婚が成立するみたいで…そしたら結婚してくれるって言われて嬉しかったんです💕」って」
直哉は「あいつは違う!ただ一回やっただけなんだ!」
「へぇ~お盛んですな」
私は直哉を見る。
直哉はハッとした顔で私を見る。
理奈は驚きの余り声にならない様子。
由佳は「直哉さん、私こんな事がなければこの事は誰にも言わないつもりでした。でも、理奈に本当の意味で目を覚まして欲しくて」
理奈は「嘘!直哉さんがそんな事をするはずがない!」
理奈が声を震わす。
由佳は「信用出来ないなら、今友美ちゃん呼ぼうか?」
直哉は「いや…彼女が来るとこじれる」
「彼女の性格を良くご存知で。ねっ理奈、実在する人物なんだよ」
直哉はじっと由佳を見る。
由佳は「彩乃はもう、直哉さんと離婚したから直哉さんとは関係ない。ただ理奈はこれから直哉さんと一緒にいても幸せにはなれないよ。友達の言う事を信じるか、直哉さんを信じるかは理奈次第」
「…あの時は直哉さんとはもう会わないって思ったの。でも、彩乃から直哉さんが東京に行くって聞いて…凄く寂しくなって…その時に直哉さんから連絡があって…最後に会いたいって言われて…」
そこへ直哉が口を挟む。
「俺も最後に理奈に会いたくて連絡した。もし、そこで拒否されたら諦めるつもりだった。でも理奈は受け入れてくれた。
なぁ、彩乃、もう俺達離婚したんだからストーカーみたいな事は止めてもらえないだろうか?もう他人なんだ。ほっといてくれ」
私は「理奈、本当にこんな人でいいの?あの情けない姿見たでしょ?」
理奈は「それでも直哉さんが好きなの。彩乃、ごめん…」
「理奈のごめんはもういい」
そこへ由佳が「直哉さん、こうして直接お話しする機会が出来たのでお聞きしますが、あなた、自分の会社の事務員にも手を出してますよね?」
私も理奈もびっくりして由佳を見た。
「相田友美…知ってますよね?」
直哉は「なんで…」と言って黙った。
由佳は「彼女、私の高校の後輩で同じ吹奏楽部で同じパートで仲良かったんですよ。直哉さん、悪い事は出来ないですね」
私が直哉の隣、由佳が理奈の隣に座った。
テーブルの上には、旅行のパンフレットが何冊かあがっていた。
「へぇ~旅行に行くんだ」
私がそう言うと、理奈は慌ててパンフレットをしまった。
直哉が「どうして…」と驚いている。
そこに由佳が「昨日の夜、2人で飲んでましたよね?」と直哉に聞いた。
「昨日、私会社の飲み会で帰りに2人を見掛けて、今日彩乃とランチでそこの店に出掛けて、また見掛けて…私2人を感知するみたい、ねぇ理奈」と言って理奈を見た。
理奈は黙っている。
私は「ねぇ理奈、この間さぁ、うちに来て涙ながらに「直哉さんとは別れたから」って言ってたのは何⁉あのお金は?」
理奈は黙って下を向いたまま。
すると直哉が「彩乃…」と話し掛けて来たから「うるさい💢私は今、理奈に聞いてんの💢」と強く言うと黙った。
その時に店員さんが飲み物を持って来た。
私は一口飲み「理奈、黙っててもわかんないんだけど💢」由佳は由佳で「理奈、全部本当の事を話したら?彩乃がキレても私がいるから」と諭す様に理奈に言う。
その言葉で理奈は重い口を開いた。
その時!
由佳が「あっ!」と言うので慌てて由佳の方を見る。
「由佳、どうした?忘れ物か何かした?」
「彩乃、あそこ見て!」
指を指された方向を見た。
何と、直哉と理奈が仲良さそうに一緒にファミレスで向かい合わせに座っているのがガラス越しに見えた。
あのやろう💢
別れたっていうのは嘘だったんかい💢
理奈!
あの涙とお金は何⁉
私は頭に来て、そのファミレスに入る。
慌てて由佳がついて来た。
「いらっしゃいませ!」と出迎えてくれた店員さんに「すみません、待ち合わせです」と声を掛けて、私は2人が座っている席に向かう。
「お邪魔してよろしいかしら?」
私の声に同時に2人は私を見て驚く。
理奈は「由佳も…」と手を口にやった。
店員さんがお水を持って来てくれたので、飲み物を注文、由佳も同じやつを頼んだ。
その時に「大変お待たせ致しました~」
店員さんがランチを持って来た。
大きなプレートに綺麗に盛り付けられたランチ。
見た目も味も最高✨
なんだけど、何か気分が…😞⤵
由佳は、そんな私を察したのか話題を変えて会社での面白かった話しをしてくれる。
少し気分が和む。
食後のコーヒーとアイスも完食。
由佳が「ねぇ、彩乃。これから買い物行かない?気晴らし気晴らし!ねっ!😄」
「そうだね」
そう言って私と由佳は会計を済ませ店を出た。
私は、今まであった事を一気に由佳に話す。
うちのアパートで直哉と理奈が頑張ってた事、お義父さんにボコボコに殴られていた事、理奈からお金をもらった事、理奈からのメールの内容、直哉の転勤や理奈の引っ越しとかも全部話した。
由佳は黙って聞いてくれていた。
話し終わった後に由佳が「この話を聞いた後で言いにくいんだけど…」と口を開いた。
「実は昨日、理奈と直哉さんが一緒に歩いているのを見てるんだ」
「えっ?」
「昨日、仕事が終わってから職場の仲間5人と飲みに行ったんだよね。その帰りだから…多分夜12時前くらいだった筈。
彩乃から直哉さんと離婚したって聞いてたから、もう関係ないやって思って声はかけなかったんだけど…2人共飲んでる感じだったよ」
「そうなんだ…」
「だから私、彩乃から話を聞いてちょっとびっくりしたの。昨日私が見たのは何⁉ってね」
「…」
「多分だけど、直哉さんと理奈はまだ続いてると思うよ」
由佳とランチの約束をしていた日曜日。
「今日は由佳とランチ行って来るから!」
「おう、気をつけてな」
お父さんが見送ってくれる。
今日、お母さんは町内会の集まりに参加。
朝からいなかった。
久々に由佳とランチ😄
待ち合わせ場所に行くと、まだ由佳は来ていない。
「着いたよ✌」
メールをすると、すぐに返事が来た。
「ごめん💦10分か15分くらい遅れそう😱今、彩乃にメールしようと思ってたの😣」
「わかったよ~⤴」
私は、携帯でゲームをしながら由佳を待つ。
意外に早く由佳が到着。
一緒にレストランに入る。
「お腹すいちゃった💦由佳は何にする?」
「どうしよう…すごい悩むよね😫」
メニューがたくさんあり過ぎて、なかなか決まらない。
飲み物、デザート付きのセットを頼み私と由佳は話し始める。
荷物を運び終えた。
物置から部屋らしくなった。
また、ここで一から頑張ろう!
その時、下から「彩乃~降りておいで!」とお母さんが叫んでいる。
私は降りて行く。
すると、美味そうなケーキが並んでいた。
「どうしたの⁉」
「お父さんが彩乃にって買って来てくれたのよ」
お父さんは仕込み中。
私は厨房に行き「お父さん、ありがとう!」と声を掛けた。
お父さんは甘いものは苦手。
自分で買うのは珍しい。
お父さんは黙っている。
お母さんは「お父さん、また彩乃と暮らせるのが嬉しいのよ😄彩乃、これからは何かあればお父さんもお母さんも側にいるんだから、何でも言ってちょうだいね!」
嬉しい😢
嫁に行き、1年もしないで出戻った私。
こんな親不幸な娘をあたたかく迎えてくれた両親。
心配かけない様に頑張らなくては。
直哉が帰って来た形跡がある。
着替えを取りに帰って来たのだろうか?
お母さんはテキパキ動く。
見習いたい😅
私もお母さんと一緒に片付けと最後の荷造り。
お母さんがいると、あっという間に終わった。
ちょっと休憩していると、業者さんから電話。
「これからお伺いしても大丈夫ですか⁉」
もうそんな時間か。
「はい!大丈夫です!」
それからすぐに業者さんが到着。
直哉の荷物もあるため、私は持って行くものを伝える。
早いな~💦
あっという間にトラックに荷物が積まれて行く。
ガランとした部屋。
私の荷物って、こうして見たら結構あったんだ💦
そしてトラックは実家へ。
中嶋さんも帰り閉店。
調子に乗って飲み過ぎた😲
お父さんはまだ厨房、お母さんは売上計算している。
私は何もせず、そのまま眠ってしまった。
目が覚めると、もう朝の10時を過ぎていた。
両親はもう起きていた。
「おはよう~」
「おはよう彩乃、今日引っ越しでしょ⁉」
「うん」
「早目に行って、いつ業者さんが来てもいい様にしないと!」
「うん」
「早く支度しなさいよ」
「うん」
まだ半分寝惚けてる私は空返事。
顔を洗い、支度をしているうちに目が覚めて来た。
お父さんは仕込みのため留守番。
お母さんが一緒に来てくれる事になった。
冷蔵庫を見ると、缶コーヒーを見付けて飲む。
そしてアパートに向かった。
ただ、ずっと中嶋さんと話している訳にはいかない。
呼ばれる度に話しは中断。
結局話し終わるまで20分もかかった💧
そのうち、賑やかなお客さんも帰り中嶋さんだけになった。
お父さんもカウンターに出てきて、中嶋さんと話をする。
中嶋さんは「彩乃ちゃん!今日はおじさんがご馳走してやるから飲め!飲め!コップ持って来い!」
「ありがとう!」
私は、小さめのコップを持って行くと「そんなんで足りるのか?」と笑っている。
「頂きます!」
中嶋さんのコップと乾杯し焼酎を頂く。
お母さんは「あら嫌だ、彩乃ったら飲んじゃって」
「恵美子ちゃん、今日くらいいいじゃない😁」
「仕方ないわね~」
「恵美子ちゃんも飲むかい?」
「まぁ、中嶋さんったら!」
そう言って笑っている。
すっかりご馳走になった私。
中嶋さんは深くは聞いてこないけど、とっても聞き上手。
つい余計な事まで話してしまう。
中嶋さんに、今までも色んな話を聞いてもらった。
嫌な顔一つしないで話を聞いてくれた。
何でも話せる、お父さん的存在。
そして開店。
今日は忙しい。
近所の人のたまり場となった(笑)
「彩乃ちゃん!ビールもう3本持って来て!」
「は~い!」
「注文いいか~い!」
「今行きま~す」
「お会計お願いしま~す!」
「ありがとうございま~す!」
…分身が欲しい💧
汗だくになるくらい、狭い店内を動き回る。
お母さんも忙しそうにしている。
少し落ち着いた頃に中嶋さんが来店。
「おっ?今日は賑やかだね😄」
「おかげさまで😌」
「いつものね!」
「今、お持ちしますね」
焼酎の烏龍茶割りを作る。
「彩乃ちゃん、何かあったのかい?」
「えっ?」
「顔に書いてあるよ😁」
「え~💦」
私は、猫みたいに顔を右手で消すふりをした。
「どれ、おじさんに言ってごらん😁(笑)おじさんは何でもお見通しだぞ!」
「嫌だ~何かいやらしく聞こえる(笑)」
中嶋さんはあはは~と大笑い。
簡単に離婚の経緯と離婚した事を話した。
下に降りて行くと、お父さんは仕込み中でお母さんはお釣りを作るのに銀行に行っていた。
「お父さん」
「片付け終わったか?」
「ある程度はね😄」
「そうか」
お父さんは手を動かしながら話して来る。
「何か手伝うよ」
「じゃあ~カウンターの備品を補充してくれ」
醤油や爪楊枝の事。
私は、少なくなったやつをカウンターの中に下げて補充。
綺麗に拭いて、また席に戻す。
高校卒業してから約10年、ずっとやっている仕事だから要領も得ているため、早く終わった。
「終わったよ~」
「じゃあ~飲み物冷やしておいてくれ!」
「はいはい~」
冷たいものを出して、ぬるいものを後ろに入れる。
そして冷たいものを戻す。
その後はトイレ掃除して、床をモップかけて開店準備。
いつの間にかお母さんも帰って来て着替えていた。
「おう、帰ってたのか😄」
「今日、自分の部屋を片付けて明日荷物を入れられる様にしようと思って」
「そうか、店は無理して出なくてもいいぞ」
「都合ついたら出るよ😄」
「わかった」
そう言って、お父さんは自分の部屋に入った。
私はご飯も食べ終わり、早速自分の部屋に行く。
懐かしい😌
直哉と半年同棲してから籍を入れた。
だから約1年4ヶ月振りの自分の部屋。
アパートでは使わないだろう、と置いて行った懐かしいものがそのまま置いてある。
私の部屋は10畳。
2階に2つ部屋があったけど、私が中学生の時に部屋を全部繋げた。
形はL字だけど、慣れれば使いやすい。
物の配置を決める。
初めての一人暮らしを始めるかの様にワクワクする。
出戻りだけど、またここで暮らせる。
両親に感謝。
私は、ある物を片付けてあとは引っ越しを待つだけにした。
ぐっすり眠ったおかげか、目覚めが良かった。
時計を見たら8時半。
10時間もぐっすり眠っていた。
今日は実家に行って、荷物を入れられる様に部屋を片付ける予定。
そのまま居酒屋を手伝う。
支度をし、早速実家に行く。
「ただいま~」
「あら、彩乃」
お母さんが出迎えてくれたが、お父さんがいない。
「お父さんは?」
「車を車検に出しに行ってるんだけど、多分すぐ戻って来ると思うよ」
そういえば、車検がどうのって言ってたな。
「ご飯食べたの?」
「ううん、まだ」
「昨日の余りだけど食べるかい?」
「うん、ありがとう」
両親はもう朝御飯は食べたみたい。
私は、お母さんが出してくれたご飯を食べる。
「明日、引っ越しでしょ?」
「うん」
「手伝うよ、何時からだっけ?」
「明日の午後からって言ってた」
「じゃあ~お昼前に彩乃のマンションに行けばいいね」
「ありがとう」
「お父さんは仕込みがあるから行けないかもね」
「大丈夫!もう、大方終わったし」
その時にお父さんが帰って来た。
引っ越しの金額と日時も決まった。
実家に電話をする。
「もしもし」
お父さんが出た。
「あっ、お父さん⁉私!引っ越しの金額と日時決まったから!」
「おう、いつだ?」
「明後日の午後」
「わかった」
「引っ越し業者の人、高校の同級生で安くしてもらっちゃった😄」
「そうか😄また、機会があった時は同じところを使わしてもらえ」
「うん、じゃ~ね~」
やっと引っ越し出来るな🎵
もう、9割荷造りも終わった。
由佳に電話しようと思ったけど、仕事が忙しいって言ってたから落ち着いてからにしよう💦
たまには、のんびりお風呂に入るかな?
お風呂にお湯をためる。
入浴剤を入れて、ゆっくりあったまる。
気持ちがいいな💕
いつも以上にゆっくりトリートメントをしたりして😆
直哉がいると、ゆっくりお風呂にも入れなかった。
そして、湯上がりの一杯🍺
ん~たまらん❤
至福の一時😄
テレビを見ながらビールを飲む。
最高にゆっくりとした時間を過ごした。
そしてまたソファーで就寝。
この日はぐっすり眠った。
私は「パクちゃん!」と声を掛ける。
パクちゃんは驚いた顔をして「はい、そうですけど…」と恐る恐る答えた。
「私!伊藤彩乃!高校3年間同じクラスだった!覚えてる⁉」
パクちゃんはちょっと考えて「あっ!」と言った。
「伊藤さん⁉気付かなかったよ💦久し振りだね😄」
「東京の大学に行って戻って来たの⁉」
「うん、大学出てから東京の企業で働いてたんだけど…2年前に親父が亡くなって帰って来たんだ」
「そうだったんだ」
見積りに来た筈なのに、思い出話しが弾む。
「伊藤さんなら、同級生割引で安くするよ!」
「そんな割引あるの?」
「今、作った」
「ありがとう(笑)じゃ~決定で😁」
「じゃ、これに書いて欲しいんだけど…」
と言いながら、住所や名前を書く用紙を渡された。
「引っ越しは明後日の午後からで大丈夫なんだよね?」
「うん」
「俺は来ないけど、ベテランさんをつけるから任せて」
「ありがとう!」
「また、何かあれば携帯に連絡するから!」
「わかったよ、ありがとうパクちゃん!」
思わぬ出会いにびっくりしたけど、昔話楽しかったな😄
夕方になり、引っ越し業者から電話が来た。
「これからお見積りに伺っても大丈夫でしょうか⁉」
「はい!構わないです!」
ほどなくして業者の方が来た。
「引っ越しセンターの泊と申します」
と名刺を渡された。
泊さん?
どっかで聞いた事がある名字だな…
名刺を見て思い出した!
高校の同級生だ!
変わった名字だから記憶にあった。
泊 恭生
あだ名はパクちゃん。
卓球部の部長をしていた。
全国大会までいったけど、残念ながら一回戦敗退。
でも、全国大会に出場学校の部長という事で当時の新聞に載った。
余り交流はなかったけど、3年間同じクラスだった。
高校出てから東京の大学に行ったけど帰ってきたんだ。
う~ん💧
結局、直哉と理奈は自滅した気がする。
不倫のドロ沼って、テレビの昼ドラだけだと思っていた。
不倫って、何にも残らないね。
今まで、ドラマは「所詮ドラマ」と思って見ていたけど、実際にこうして旦那と親友が不倫するとは。
あと、男性を信用出来なくなった。
あんなに「愛してる」とか「一生俺が守る!」とか立派な事言ってたのに、すぐ他の女に乗り換えてダメになったら都合良く「お前じゃなきゃダメだ」って…勝手だな😠
しばらく、彼氏も結婚もいいや。
由佳や友達と一緒にいた方がずっと楽しい!
そうだ!
日曜日は由佳とランチ🎵
楽しもうっと💕
理奈は少し落ち着き、冷めてしまったコーヒーを飲み干した。
「あと、彩乃…」
理奈はテーブルの上に綺麗に洗濯されて几帳面に畳まれたスウェットと、封筒を置いた。
「何これ」
「お詫びの気持ちで、私の貯金おろして来た。80万入ってる。こんなので許してもらおうとは思ってないけど、私の気持ち…」
「いらない!」
「いや、受け取って!」
「本当にいらないから!」
「頼むから受け取って!」
そんなやりとりを繰り返し、理奈の粘りに根負けした。
「…わかった」
「私、引っ越す事にしたんだ」
「理奈も?」
「直哉さんと過ごした部屋は何か辛くてね」
「そう…」
「彩乃、元気で」
そう言って理奈は席を立ち、足早に部屋を去った。
「彩乃…本当にごめんなさい。謝って許される事じゃないのは良くわかってる。でも、どうしても直接彩乃に謝りたかった」
「…」
「私、彩乃が羨ましかった。妬みだったのかもしれないんだけど…最初は軽い気持ちで…でも…どんどん直哉さんを好きになっていって…女は「結婚しよう」に弱いね…」
声が震えている理奈。
「彩乃とはうまくいってないんだ。俺は理奈がいればそれでいい。俺と結婚してくれないか?彩乃とは別れるからって言われて…その気になって…
直哉さんが「なかなか彩乃が離婚してくれない」と言っていたから彩乃に嫉妬して…直哉さんがあんな感じだったから…私、調子に乗ってた」
「彩乃から直哉さんを奪った!という優越感がたまらなくて…今思うと…恥ずかしい」
理奈はそのまま泣いてしまった。
「理奈、もう私直哉とは関係ないんだよ」
「私のせいだよね」
まぁ…そうかな😅
「理奈が反省して謝りに来てくれた事はまぁ…それはそれで…でも、理奈がどんなに謝っても直哉とはもう戻れないし、戻らない。きついけど、理奈とも友達には戻れない」
「ごめんね」
理奈は号泣している。
黙る私。
すっかり目が覚めた私。
日課であるコーヒーをいれて飲む。
朝、ゆっくりとこうしてホットコーヒーを飲んでいる時は、何となく時間がゆっくり流れる気がする。
ほっとする一時。
コーヒーも飲み終わり、私は理奈がいつ来てもいい様に支度を始める。
ちょうどお昼頃に理奈が来た。
「どうぞ」
「お邪魔します」
理奈は申し訳なさそうに部屋に入る。
段ボールが積まれているのを見て「何処に引っ越すの?」と聞いて来たから素直に「実家に帰る」と答えた。
「そうなんだ…良かったらこれ」
そう言って、駅前のケーキ屋さんのケーキをくれた。
ヤバい…昨日の直哉のお寿司といい、理奈のケーキといい、食べ物につられてる私😱
「ありがとう」
思わずにやける私。
理奈にコーヒーを出し、くれたケーキを出す。
理奈は一口、コーヒーを飲んでから話し始めた。
私は今日もまたソファーで眠る。
布団は直哉と理奈が使った布団だから、寝るのには抵抗があった。
このソファー、安かった割に以外と寝心地が良い。
持って行こうかな😆
うちの実家の部屋に置いても邪魔にならない大きさだし😄
私は、軽くシャワーを浴びてビールを飲み、眠たくなって来たところでソファーで毛布を被り眠りについた。
朝7時半。
携帯の着信音で目が覚める。
知らない番号。
出ようか躊躇したけど、恐る恐る「もしもし…」と出てみた。
「もしもし?彩乃?」
「理奈!」
私は一気に目が覚めた。
「朝早くにごめんね」
「いや、別に構わないけど…」
「あの…スウェットを返したくて…」
「そう…」
「聞いてもいい?」
「何を?」
「…直哉さんは?」
「直哉とは昨日、離婚したから」
「えっ…」
「で、来月中に転勤で東京に行くってさ」
「東京…決まったんだ…」
「だからもう、直哉は私の旦那じゃなくなったし、ここにもいなくなるから理奈の好きにしたらいいよ」
「…」
「スウェットは安かったやつだし、別にいらないから使うなり捨てるなり好きにしていいよ」
「…ねぇ、彩乃」
「何⁉」
「今日って時間ある?」
「…日中なら少し」
「なら、日中にほんの少しでいいから私に会ってくれる?」
「少しなら構わないけど…」
「じゃ~お昼頃に行っても大丈夫⁉」
「いいよ」
「また行く時に連絡します」
そう言って、理奈は電話を切った。
直哉は「俺、今日ビジネスホテルに泊まるから。彩乃も引っ越しの荷造りあるだろ?」
「うん…」
そう言って直哉は着替えやスーツ等をまとめて、直哉が良く使う旅行カバンに押し込めた。
直哉は「最後に…彩乃、今までどうもありがとう、元気でな」
「直哉も」
これが直哉との最後の会話になった。
少し複雑な気持ちではあったけど、もう直哉とは他人。
これからは私一人で頑張って行こう。
私はまた荷造りをする。
結局、最後まで残った写真。
どうしようか悩んだ挙げ句、全てシュレッダーにかけた。
ウェディングドレスを着た写真も、記念にコピーして取っておいた婚姻届けも全て。
指輪は捨てた。
直哉からもらって大事に取ってあった手紙もシュレッダー。
これで、直哉との思い出は全て紙くずになった。
一つのけじめとして…。
また「伊藤」に戻り、バツイチにはなったけど明日からまた頑張って行こう!
自分にそう言い聞かせた。
私はテレビを消した。
「何?」
「俺…実は、転勤が決まったんだ」
「えっ?」
「こんな事…言いにくいけど…理奈と一緒に行くつもりで、移動願い出していたんだ。
不倫だったから地元だと堂々と歩けないし…違うところに移動したら…彩乃や地元の友達の目を気にしないで歩けると思って…」
「そう…何処に行くの?」
「東京」
「東京⁉」
東京は確かに人が多いし、こんな田舎の街よりは全然堂々と歩けるだろうね。
「だから、このアパートともお別れになるし、彩乃ともお別れ」
「知らなかった」
「俺も知ったのは今日だから。日中、高木から電話があった」
「いつ行くの?」
「多分…来月中には…」
「そう」
「だから今日で彩乃とはお別れ」
「そうだね」
少し寂しい気がした。
直哉、いなくなるんだ。
でも、逆に良かったかも。
「色々ごめんな、東京に行ったらしばらく戻れないから…いい機会かもな」
「私は多分、1週間以内でここの部屋を出るから、後はよろしく」
「わかった」
もう当分、直哉に会う事はないかな?
さようなら、直哉。
お腹がいっぱいになって来た。
すごい食べたけど、それでもまだお寿司は3分の1くらい残っている。
「余ったら、明日俺が食べるよ」
そう言いながら、まだ食べている。
私は「ごちそうさま、私はもうお腹いっぱい」
そう言って席を立った。
直哉は「食べ終わったら話があるんだ」
「…わかった」
私は、直哉が食べ終わるのをテレビを観ながら待つ事にした。
その時、直哉の携帯が鳴る。
「もしもし」
「うん…うん…えっ?マジで⁉…うん…はぁ…わかった。明日、確かめてみる」
仕事の電話かな?
明日は仕事らしい。
「ごめん…高木から電話だった」
高木さんとは、直哉の会社の同僚で同期でもある。
仲が良く、何度かうちに遊びに来た事もあったので顔は知っている。
一度だけ、直哉と一緒に居酒屋にも来てくれた。
私はテレビを観ながら「別に気にしてないから」と言った。
直哉は再びお寿司を食べ始める。
「あ~俺もお腹いっぱい!彩乃と食べる寿司は旨かった!」
「…」
私は無言のまま。
何と、あんなに残っていたお寿司はなくなっていた。
よっぽどお腹がすいていたのかな😅
直哉は食後の一服をしている🚬
そして「彩乃、話があるんだ…」
ある程度、細かいものは片付いた。
あとは、だいたいのものをまとめれば大方私のものは片付きそう!
目処がたち、時計を見ると夜7時を回っていた。
その時、直哉が帰って来た。
「彩乃…今日でお別れだから最後の晩餐」
大きな入れ物にお寿司がギュウギュウに詰められていた。
「そこの回転寿司のだけど…一緒に食べよう。彩乃が好きなウニやホタテ、エンガワ、サーモンをメインで買って来たんだ」
そこの回転寿司は、値段の割に美味しいと評判のお店。
何度か直哉とも行った事がある。
お寿司につられた私(笑)
ていうか、こんなに食べれるの?というすごい数のお寿司。
「頂きます」
私は、直哉と最後のご飯を食べる。
余り会話がない。
直哉も私も、もくもくとお寿司を食べる。
テレビの音だけが響いていた。
何なの?
私が悪いの?
私は、イライラしながら荷造りをする。
更年期なのかな😅
最近、よくイライラする💧
その時に写真が出てきた。
付き合っていた時の直哉との思い出の写真。
休みが合えば、良く色んなところに行ったっけ。
日帰り温泉に行き、私の余りにも長いお風呂に直哉は「寝てるんじゃないだろうか」と本気で心配していた事。
水族館や動物園に行き、可愛い魚達や動物達に癒された事。
初めて一泊で旅行に行った時は、飲み過ぎて夜にお風呂に入らず爆睡した事。
色んな事を思い出す。
この時は楽しかったな。
まさか、こんな事になるとは夢にも思わなかった。
ずっと直哉と一緒にいたいなんて思ってたな。
ていうか、写真どうしよう💧
持ってっても仕方ないし…シュレッダーかけるか?
とりあえず、後で考えよう。
写真をよけて、私はまた荷造り。
お腹がすいて時計を見ると午後2時を過ぎていた。
私は、あるもので適当にお昼ご飯を済ませた。
それから、気分転換でシャワーに入りその後洗濯。
まだ直哉は帰って来ていない。
あんな腫れ上がった顔で、何処に行ってる事やら😅
今日は実家の居酒屋は定休日。
定休日は、両親は毎回ではないけど他の色んな居酒屋にご飯を食べに行く。
他の店の味や雰囲気を勉強したいらしい。
邪魔しないでおくか😆
今日は実家には行かずに荷造りに徹底する事にした。
イケメンズさん😄
ありがとうございます😆
そうなんです💧
本当にあった話しなんです…😫
こんな男もいるんですよね。
私の見る目がなかっただけなんですけどね😅
あと、感想スレをたててますのでもしまた来て頂けたら次回はそちらにお願いします😆
「なあ!俺がこんなに反省して謝っているのに、その態度は何なんだよ💢お前、そんなに偉いのか⁉理奈とは別れた!離婚届けも出した!それだけじゃ不満か?いったい、どうやったらわかってくれるんだ?」
逆ギレした直哉にカチンときた私は「何をどうわかれっていうのよ!どうすれば納得すんの?希望通り離婚したじゃん!」
「お前は何にもわかってない!俺は何もかも失ったんだぞ⁉お前は何とも思わないのか?」
「自業自得でしょ?私のせいじゃないし」
「何?コノヤロ💢」
そう言って胸ぐらをつかまれた。
「殴りたきゃ殴れば?ほら、気が済むまで殴りなさいよ!」
「チッ…」
直哉は舌打ちをして、手を離した。
私は、乱れた服を直し、また再び荷造りを始める。
直哉は、そのまま何処かへ行った。
私は、実家にも電話をする。
お母さんが出た。
「お母さん?今、離婚届け出したから!」
「彩乃…お疲れ様。今、お父さんに代わるから」
「もしもし」
お父さんが出た。
「あっ、お父さん?今、離婚届け出したから」
お父さんは少しの沈黙の後「戻って来るか?部屋にはあの男いるのか?」
「うん、いる」
「これからでも引っ越し業者に電話をして見積り出してもらえ。お金は出すから。今からなら1週間以内には引っ越し出来ないか?」
「うん、わかった」
「あの男と会いたくないならうちに帰って来い!来たら追い返すから」
「ありがとう、また電話する」
「おう、わかった」
私は、とりあえずアパートに帰る。
直哉はいた。
すると直哉は何を勘違いしたのか「戻って来てくれたのか!俺、彩乃を信じてた!」
「はい?引っ越しするのに荷物をまとめに来たんだけど…」
「出てくの?」
「はい」
私はそう言いながら、早速荷造りを始める。
元々、荷物は少ない。
もらってきた段ボールに荷物をどんどん入れていく。
直哉はその様子をじっと見ている。
「彩乃、もうお昼だから一緒にご飯食べない?」
「いらない」
そして直哉がいる前で色んな引っ越し業者に電話。
一番早くて明日の夜になるというのでお願いする事にした。
直哉は黙っている。
私は、ちょっと休憩と思い台所へ行きコーヒーをいれる。
「俺も…飲みたいな」
「自分でどうぞ」
すると直哉は突然キレ出した。
「もしもし」
「彩乃…離婚届け出したの?」
「出しましたけど?」
「そう…」
「何か?」
「そっか…俺、夕べ家にいなかったけど、何処に行ってたとか聞かないの?」
「はっ?いや、別に興味ないし…で、用件は?」
「…」
「今、忙しいんだけど」
「…俺、居場所がないんだ」
「そこの部屋あるじゃない」
「彩乃はいなくなるんでしょ?」
「そうですね」
「…ここは彩乃と一緒じゃなきゃ住みたくないよ」
「じゃ~引っ越せば?」
「お金ないよ」
「…あのさ、もう他人になったの。いい加減にしてもらえないだろうか💢」
「…」
「切るよ」
そう言って電話を切った。
もう、直哉にはうんざり。
イライラするな💢
市役所の近くにあるコンビニに入って、オレンジジュースを買って、ゴミ箱の前で一気飲みをした。
少し落ち着いた。
私は、由佳にもメールする。
「今、直哉と無事に他人になりました✌」
するとすぐ由佳から電話があった。
「もしもし⁉直哉さんと離婚成立したって事⁉」
「うん」
「じゃ~理奈と結婚するって事⁉いいの⁉」
あっ、由佳はまだ知らないんだっけ😅
私は昨日あった出来事を説明した。
由佳は「あ~…」と言ったまま黙ってしまった。
「由佳、ありがとう!由佳のおかげだよ」
「ん?私、何にもしてないし、彩乃が頑張った結果だよ!おめでとう…でいいのかな😅あっ!ごめん、私呼ばれてる!また電話するね!」
そう言って電話を切った。
仕事中に電話をくれたんだな。
連絡、夜にすれば良かったかな😅
その時に電話が鳴る。
直哉だった。
私は、直哉のお義母さんの携帯に電話をする。
すぐにお義母さんが出た。
「もしもし!彩乃さん⁉」
「はい、おはようございます。早速なんですけど、今離婚届けを市役所に提出しました」
お義母さんは一瞬の沈黙の後「そう…彩乃さんと離れてしまうのは本当に寂しいけど仕方ないわよね」
「お義母さん、お元気で…お義父さんにもよろしくお伝え下さい、短い間でしたがお世話になりました。ありがとうございました」
「あっ、彩乃さん!ちょっと待って!」
お義母さんが急に叫ぶ。
すぐにお義父さんに変わった。
「彩乃さん、今まで本当にありがとう」
「こちらこそ…」
「彩乃さん、これからも元気で」
「お義父さんもお元気で。お世話になりました」
そう言って電話を切った。
本当にいい義両親だったから、離れるのは本当に寂しかった。
涙が出そうになる。
こうして今の私がいれるのはお義父さん、お義母さんのおかげ。
感謝の気持ちでいっぱいだった。
市役所に向かう途中、携帯を見る。
直哉から一件、着信があった。
留守電にもメッセージはない。
程なくして市役所に着いた。
婚姻届けを提出したところに着いた。
私は深呼吸をし、離婚届けを渡した。
渡す時、妙な緊張感はあったけど…これで直哉とは他人になり「元旦那」になった。
離婚届け提出直後の気持ちは「やっと解放された」
寂しい気持ちも若干あったけど…
これで私の結婚生活が終わった。
たった10ヵ月という短い結婚生活だった。
早目に家を出たけど、まだ7時半を過ぎたところ。
さすがにまだ市役所はやってないな😅
どうしようかな…
そうだ!
近くの24時間営業のネットカフェに行こう!
私は、そのままネットカフェに向かう。
このネットカフェは何回か来た事がある。
受付を済ませ、飲み物を持って言われた個室に入る。
パソコンを開き、仕事を検索してみる。
選ばなきゃ色んな仕事があるな。
夜は居酒屋があるから、日中の仕事をピックアップ。
いくつか良さそうなのがある。
私は真剣にパソコンに向かい、仕事を探した。
時計を見ると、もう9時半!
もう市役所やってる!
私は、2時間もの間ほとんど飲み物も飲まずにパソコンに向かっていた。
ネットカフェを出て市役所に向かった。
「離婚しても…また彼女として一緒にいてくれないか?」
しつこいし無理です💢
私は無言のまま、離婚届けを出しに行くため支度をする。
直哉はずっと私の後をついてくる。
お前は金魚のフンか💢
「邪魔なんだけど」
「考えなおさないか?あっ、ほら彩乃さ、アウトレットに行きたいって言ってたよな⁉今日俺休みだし、一緒に行かないか⁉」
「行きません」
「じゃ、ほら、遊園地は⁉今日は平日だからすいてるぞ!」
あ~もううるさい💢💢💢
私は、うるさい直哉を振り切り離婚届けを持って早目に家を出た。
直哉に対して、もう何の感情もなかった。
泣いても土下座されても、正直な気持ちはウザいだけだった。
直哉は「もう終わりなのか?」
当たり前です💢
直哉はカバンの中から、離婚届けを出した。
直哉の欄は全て埋まっていて、印鑑も押してあった。
私は、直哉から奪い取るとすぐに私の欄を書いていく。
直哉は無言で、私が離婚届けを書く姿を見ている。
全て書き終わり、印鑑を取りに席を離れた。
すると直哉は「今日出すのか?」
「はい、そうですね」
「ここの部屋はどうするの?荷物は全部持ってくの?何処に行くか決まってるの?決まってないなら、しばらくここにいて、俺の身の回りの事をしてくれないか?」
「私は家政婦でも何でもないから」
「…」
直哉は家事が全く出来ない。
唯一出来るのは、洗濯機で服を洗う事くらい。
でも、干す事を知らないため結局私がやる。
私は「今日、朝イチで市役所にこれを出しに行ったら一度戻って来て、引っ越しの準備に入るから」
コーヒーを飲みながら、携帯を見る。
そこへ直哉が帰って来た。
顔はまだ腫れたまま。
私はテレビを見ている振りをして、直哉を無視。
直哉は気まずそうに「彩乃…」と声を掛けて来た。
「彩乃…今日はいるのか?」
私は無視してコーヒーを飲む。
「俺も一緒に…コーヒー飲んでいいか?」
そう言って正面に座ろうとしたから、私はコーヒーを持って立ち上がり、台所に向かった。
直哉の存在を徹底的に無視をした私。
すると直哉は「…怒っているのか?」
あんな事されて、言われて怒らない人間なんているの?
「彩乃…また彩乃とやり直したい」
はぁ?都合良すぎ💢
戻れる訳ないじゃん😠
バカにしないでよ💢
理奈に相手されなくなって一人が嫌になったか?
私は「離婚したいんでしょ?だから早く離婚届け出してよ」
「…いや、離婚は…」
「はぁ?何なの?あんなに離婚したがってたのに、理奈にフラれて親に見捨てられて一人になったから私とよりを戻したいだけでしょ?ふざけないでよ💢早く離婚届け出してよ!」
すると直哉は土下座をした。
「俺が悪かった!一生かけて償うから、また俺の側にいてくれ!」
そう言って泣いている。
私はあの時と同じ言葉を直哉に言った。
「泣いたって同情はしない。今日、離婚してもらいます」
「そのうちに直哉さんをどんどん好きになっていって…頭の片隅には、彩乃に対しての罪悪感はあった。でも、自分の気持ちを優先してしまった。
直哉さんが「彩乃と別れて理奈と結婚したい!」と言ってくれた事がすごく嬉しかった。それを言われてから彩乃と早く別れて欲しいとばかり思っていた。私はその時は周りが何にも見えてなかった。直哉さんと幸せになりたいとしか思っていなかった。
でも、今日で良くわかった。いけない事をしていたって。何故不倫がいけないのかその時まではわからなかった。お義父さんの尋常じゃないキレ方を見て我に返った。私は何て事をしてしまったんだろうと、やっと気付いた。
本当に彩乃には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
直哉さんとは、金輪際会わないしアドレスも電話番号も消去したから…私がいうのもおかしいけどまた直哉さんとやり直して欲しい。
彩乃とはもう友達には戻れないかもしれないけど、いつかはまた前みたいに由佳と3人で楽しく過ごせる日が来る事を願います」
こんな感じのメール。
理奈、もう今更直哉に戻っても夫婦として修復は無理だし、戻る気もない。
理奈とまた友達をやってく自信もない。
理奈は一つの家庭を壊したんだよ?
あんな裸でラブラブな姿を見せられて、あそこまでされてまた前みたいに楽しく過ごせる日を願います?
理奈は全くわかってない!
どれだけ深い傷を残したのか。
もう理奈に会う事はないと思う。
由佳は「やっと仕事終わったよ😲今、何時だと思ってんだよ💢こんなにコキ使われてるのにお給料に反映しないってどういう事⁉
愚痴ってみた(笑)
その後、どう?最近忙しくてなかなか電話出来なくてごめんね😞
また今度ゆっくり✌
今度の日曜日は休みだから一緒にランチどう?」
由佳らしいメールにちょっと安らぐ。
日曜日、一緒にランチいいですな😆
由佳、いつもありがとう!
理奈からのメール。
とても長いものだった。
内容は「彩乃、本当にごめんなさい。彩乃に何度謝っても許してもらえないのはわかってる。一番初めは直哉さんから「彩乃の事で相談がある」と話を持ち掛けられたの。それが結婚祝いを持って行った日。
彩乃が近くのコンビニに行ったでしょ?あの時にアドレス交換をして、その日の夜に早速連絡が来て…最初は直哉さんが「彩乃の事で相談があるなら」という軽い気持ちで連絡を取り合ってたけど、直哉さんから「理奈さん、一目惚れしました!」とメールが来てから嬉しい内容のメールや電話をたくさんくれて…
その時は和也と別れたばかりで寂しくて、その隙間に直哉さんが入り込んだの。私は彩乃がうらやましかった。彩乃の旦那である直哉さんが私の事を好きになってくれた!これで彩乃に勝てる!私の方が上!と思ってしまった」
鍵を開けると、部屋は暗かった。
電気をつけると、修羅場でぐちゃぐちゃになったままだった。
寝室を覗く。
直哉はいなかった。
急にあの時に引き戻された感じになり、ため息をついた。
ソファーに座ると、一気に疲れが出てきた。
ソファーに体が吸い込まれそうになる感覚。
体がダルい。
寝不足もあるのかな。
ちょっと横になろうかな。
ソファーに横になった瞬間、そのまま眠ってしまった。
気が付くと、朝の5時を過ぎていた。
「もう朝か…」
私は起きて、目覚めのコーヒーをいれる。
いれながら携帯を開く。
「着信2件、新着メール3件」
まずは着信履歴を見る。
直哉のお義母さんと知らない番号。
お義母さんは今回留守電はなかった。
また日中かけてみよう。
メールは由佳とメルマガと知らないアドレス。
見てみると…理奈だった。
中嶋さんも帰り、今日は暇だからと早目に店を閉めた。
結局、軽く顔を出すつもりが閉店までいた私(笑)
掃除した後、先に2階に行って売り上げの計算をしているお母さんのところに行った。
お父さんは閉店後もしばらくは厨房にいる。
「お母さん」
「ん~?」
電卓を叩きながら返事をする。
そして今日あった話をした。
お母さんは私を見て「彩乃、お疲れ様だったね」
「だから、すぐにでも直哉と離婚するよ」
「そう、お父さんにはそう伝えておくよ」
「ありがとう」
「引っ越しの日にちがわかったら連絡頂戴ね😄手伝うから」
「ありがとう、じゃあとりあえず今日は帰る」
「気をつけて帰るんだよ」
お母さんは余り自分の気持ちは言わないし、比較的口数も少ない。
余計な事も言わない。
でも、誰よりも私を大事に思ってくれているのは伝わる。
私は、厨房にいるお父さんにも「帰るから!」と声を掛ける。
「お~!気をつけて帰れよ!」
返事が返って来た。
無事に部屋に着いた。
もう店は開店していた。
私は店から入ると、お母さんが「あら、彩乃。ずいぶん髪の毛すっきりしたじゃない😄」
「まぁね😁」
「何をにやけてるの、何かいい事でもあったのかい?」
「いい事ではないけど、すっきりした事はあったかな?」
「あら、そうなの😄今日は暇なのよ💦」
お客さんは2人しかいなかった。
奥の厨房に行くと、お父さんがちょっとした休憩でご飯を食べている最中だった。
「おっ!髪切ったのか」
「うん、どう?」
「いいんじゃないか?」
「今日はありがとね」
そう言っても黙っているお父さん。
その時に注文が入る。
お父さんは立ち上がり、フライパンを取り出した。
私は、厨房から出ようとしたら中嶋さんが来た。
「いらっしゃいませ!」
「あら~彩乃ちゃん、髪切ったのかい😄可愛くなったね~」
「中嶋さん、ありがとう😄」
「いつものやつね!」
お母さんが用意しようとしたら「せっかくだから彩乃ちゃんに作って欲しいな😁」
お母さんは笑いながら「はいはい(笑)中嶋さんは彩乃がお気に入りだもんね~」と笑いながら厨房に入って行く。
それを見て私と中嶋さんは笑う。
カウンター越しに中嶋さんと少し談笑。
いつも面白い話をして、私やお母さんを楽しませてくれる。
理奈に逃げられ、両親にも見放された直哉。
直哉はパンツ姿のままがっくりうなだれている。
情けない姿だった。
私は、こんな男のためにあんなに悩み、あんなに泣いたの?
いつの間にか殺意は消え、目の前にいる情けない男に「今日、希望通り離婚してあげるから、離婚届けを渡して欲しい」と言った。
直哉は黙ったまま。
「離婚届け、どこにあるの?」
すると直哉は「彩乃…俺、夢を見ていたんだな。夢はいつかこうしてさめるんだな」
ボソリと話した。
「これが現実。こうして何もかも失わないとわからなかったんだね」
「俺…どうしたらいい?」
「知らない、もう他人になる人の面倒まで見切れない。さようなら」
私は、直哉をその場に残して家を出た。
正直な感想は「ざまあみろ!」だった。
何もかもから解放された気分で、自然に笑顔がこぼれる。
私は、そのまま実家に向かった。
理奈!
そう叫んだ時には、もう理奈の姿はなかった。
直哉は腫れ上がった顔でフルチンのままの姿で呆然としている。
その間抜けな姿が笑えた。
「パンツくらい履けば?」
私は直哉のパンツの端っこをつまみ上げて渡した。
直哉は無言で渡されたパンツを履いた。
お義父さんは理奈が出て行って「あの女はあー言って出て行ったぞ。それでもお前はあの女と一緒になりたいのか?」
直哉は黙ったままだ。
「もう、彩乃さんとも戻る事は出来ないぞ。こんなバカな息子はうちにはいらない。彩乃さん、直哉は彩乃さんとあんだけ離婚したがっていたんだから離婚届けを書いてあげて下さい」
「わかりました」
「私達も、もう息子はいないものだと思って生きていきますから」
直哉の両親は、深々と頭を下げて帰って行った。
今、目の前の現実を受け入れる事が出来ない。
「これが現実?」
ショックの余り、言葉を失う。
理奈は私に「何か服貸してよ」と言われて我に返る。
私は理奈を無言で一発殴った。
理奈はそのまま黙った。
直哉はお義父さんに立ち向かうが柔道段持ちのお義父さんには叶わず、ひたすら殴られている。
どれくらいの時間が経っただろう。
直哉の顔は腫れ上がっている。
お義父さんが「彩乃さん、申し訳ない」そう言って土下座をした。
「お義父さん!顔を上げて下さい!」
「謝って済む事じゃないのはわかっている。こんなバカな息子に育ててしまった私達にも責任はある」
すると理奈が「すみません…まさかこんな事になるとは思ってなくて」
はぁ?何を今更言ってんの⁉
お義父さんは「あんたからも彩乃さんに謝りなさい」
理奈は「彩乃、私直哉さんと別れるから!だから許して!ここまで彩乃との離婚がこじれると思わなくて。私は寂しかった時で直哉さんからアタックされてその気になってた。彩乃より私の方が上なんだって優越感に浸ってただけだった。私はもう関係ないから!」
そう言って私のスウェットを勝手に着て部屋を出て行ってしまった。
私は、荷物を台所のところに置き部屋を見て回る。
でもいない。
シャワーは使った形跡がある。
寝室に行く。
驚いた。
直哉と理奈が今、まさに頑張ってましたと言わんばかりの姿で布団に入っていた。
「彩乃、やっと帰って来たか!なかなか帰って来ないから理奈と愛し合ってたんだ。彩乃にも見せたかったな。俺達はこんなに愛し合ってるんだよって言うのを。なっ?理奈」
そう言って理奈の胸を触りながら理奈にキス。
理奈は「直哉さんったら❤いやん❤今日もいっぱい出たね❤」
殺したい。
生まれて初めて殺意が沸いた。
私は、怒りで体が震えるのがわかった。
何かを言って叫んだ。
でも覚えていない。
覚えているのは、2人の服を窓から投げ捨てた事。
そしてお義母さんに電話をして「今すぐ来て欲しい」と連絡した事。
すぐに直哉のお義父さんとお義母さんが来た。
直哉と理奈のその姿を見てお義父さんは、フルチンのままの直哉をボコボコに殴っている。
お義母さんは驚きの余り倒れそうになっていた。
そこへまた直哉から着信があった。
しつこいな💢
仕方ない、出てやるか。
「はい?」
「やっと出たか!」
「離婚届けは今日書かないよ」
「話が違うぞ!」
「別に直哉と理奈がどうなろうが知ったこっちゃないし」
「何だと💢」
「好きにすればぁ~?私が離婚届け書きたい時に書いてあげるから。じゃ~ね~」
と言って電話を切る。
すぐまたかかって来る。
うるさいな。
今度はひたすら無視。
もう、うんざり😱
鳴っている携帯をカバンに入れて、一旦帰る事にした。
ふと疑問に思う。
どうして直哉はそんなに離婚を焦っているのだろうか。
今は理奈んちにずっといるし、ただ籍だけが夫婦というだけ。
理奈が私の存在が邪魔なのはわかるけど、それだけなんだろうか?
それだけでこんなに急ぐかなぁ?
他にも理由があるはず。
色々考えながら自分のアパートの前に着いた。
直哉の車はない。
私は、玄関の鍵を開けて家に入る。
あれ?靴がある。
いるのかな。
お義母さんに電話をする。
「もしもし、彩乃さん⁉」
「すみません、電話頂いてたみたいで…」
「忙しいところごめんなさいね」
「いえいえ」
「彩乃さん…直哉が「彩乃に脅迫されてる」と騒いでいるんだけど」
呆れた😒
お義母さんに、今朝の事を説明。
お義母さんは「…直哉が大騒ぎしているから何事かと思えば😅彩乃さん、直哉は今日離婚したいとうるさいけど、お父さんがおっしゃる通り順序があります。もう直哉には何を言っても無駄みたいだから、好きにさせます。現実を見たらいずれはわかるでしょう」
「すみません」
「彩乃さんが謝る事じゃないでしょ😄脅迫だなんて…どこまでバカなんだか😠」
お義母さんはわかってくれた様子。
「忙しいところごめんなさいね、これで失礼するわ」
「はい!失礼します」
電話を切った。
>> 58
匿名希望さん、ありがとうございます😄
酷いですね💢元旦那さん😠でも元という事は、もう離婚されたのでしょうか?
辛かったですよね😢
私も当時…
あやのさんありがとうございます。
私は半年前に離婚しました病気を直すために結婚してみたいなもんです。頭に五センチの腫瘍。どう考えても結婚前からあったのに。結婚生活は二年。後一年は病気が見つかってから。それなのに向こうの親は夫婦だからあんたがお金払えと勝手に個室入れて病院代何百万と払いました。マイホーム購入を夢見て節約してためてたのに。病院だい払って半分はとられ、生命保険で何百万入って来たのは独り占め。ちょっと体が不十分になったからと、障害申請。身障者5級もらって会社も身障者わくで残れて何回首になりかけたかわからない人が。すごく悔しいです。でも、独身時代に貯めたお金と今も貯めてるお金でマイホームは買いたいです。今度マイホーム購入の為の勉強会に行きます。絶対に見返してやる。お互いに辛いこともありますが頑張りましょう。
メールは由佳と登録しているサイトからのメルマガ、そして直哉だった。
何だ…アドレス変えた訳じゃなく、拒否していただけか。
「理奈も怒ってる。約束は約束だ。今日離婚してくれるっていう話しだからお前の実家にも行ってやった。離婚したくない理由は何だ?金か?金が欲しいのか?理奈との生活に金がかかるからお前に渡す金は一円もない。それともまだ俺の事が好きなのか?迷惑だから勘弁してくれ。早く連絡をくれ」
絵文字は一切ないメール。
理奈も怒ってる?
知るか💢
直哉も理奈も呆れるくらい周りが見えてないんだろうな。
こんなバカな男に惚れて結婚した私もバカな女😢
せっかく楽しかったのに、一気に落ち込む⤵⤵
このメールは、離婚するのに使えるかもしれないので保存。
あっ!お義母さんに電話しなきゃ!
匿名希望さん、ありがとうございます😄
酷いですね💢元旦那さん😠でも元という事は、もう離婚されたのでしょうか?
辛かったですよね😢
私も当時は辛かったですが今は前向きに頑張っています😄
お互い頑張りましょうね!
- << 60 あやのさんありがとうございます。 私は半年前に離婚しました病気を直すために結婚してみたいなもんです。頭に五センチの腫瘍。どう考えても結婚前からあったのに。結婚生活は二年。後一年は病気が見つかってから。それなのに向こうの親は夫婦だからあんたがお金払えと勝手に個室入れて病院代何百万と払いました。マイホーム購入を夢見て節約してためてたのに。病院だい払って半分はとられ、生命保険で何百万入って来たのは独り占め。ちょっと体が不十分になったからと、障害申請。身障者5級もらって会社も身障者わくで残れて何回首になりかけたかわからない人が。すごく悔しいです。でも、独身時代に貯めたお金と今も貯めてるお金でマイホームは買いたいです。今度マイホーム購入の為の勉強会に行きます。絶対に見返してやる。お互いに辛いこともありますが頑張りましょう。
うちの元旦那も、自分の事しか考えてませんでした。転勤したくないから、私と結婚して今の場所に残って私が働いてたので。結婚前によく検査しなかったから病気は見つかるし。病気で今の職場で転勤なくなったからと言って、二人で貯めた貯金の半分もらうために早く離婚届けかけと。私はあんたの転勤阻止するために産まれてきたのではない子供出来ないようにピルのまされるし。裁判してもそんするかもと、大事にはしませんでしたが。悔しいです。
気が付くと、もう2時近かった。
お腹すいた😫
一階にあるフードコートに向かう。
目についたのがお好み焼き。
たこ焼きも捨てがたいけど、両方はさすがに多いな😅
お好み焼きなんて、しばらく食べてない。
色んなメニューから、もちチーズを選んだ。
番号札をもらい待っている間に携帯を開く。
「着信8件、新着メール3件」
履歴を見ると直哉が6件、一件が直哉のお義母さん、もう一件が非通知だった。
留守電を聞いてみる。
「お前、何処にいる?早く帰って来い💢」
「まだ理奈を苦しめる気か⁉いい加減にしろよな💢離婚届け早く書いてくれ!」
「頼むから連絡くれ!」
…💧
ピッ…削除した。
「彩乃さん、留守電聞いたら連絡くれないかしら?」
お義母さんだ。
メールも見ようとした瞬間「番号札8番のお客様~お待たせしました~」
呼ばれた!
お好み焼きが待ってる!
お義母さん、ごめんなさい!
お好み焼きを優先します💧
美味しそうに、かつお節も踊っている。
「頂きます🎵」
意外にボリュームもあり、なかなか美味しい😆
お好み焼きを食べながらメールを見る。
お父さんはその後「買い物に行って来る」と、いつもより早く家を出て行った。
お母さんは「お父さん、彩乃の事が心配で心配で仕方ないのよ。うちに帰っておいで!引っ越し費用は出してあげるから。今日は店休んでいいから、たまには気晴らししてらっしゃい!」
お母さん…ありがとう😢
私は、忘れようとショッピングモールに行った。
「好きなものを買って、好きなものを食べよう🎵」
そうだ!
気分を変えるのに、髪を切ろうかな😄
ショッピングモールの中にある美容室に入った。
今の私の髪は、胸まであるロングのストレート。
女性美容師さんが「今日はどうなさいますか⁉」と聞いて来たので「バッサリ肩まで切って下さい!」
美容師さんは容赦なく髪を切って行く。
私は、鏡の中の自分を見つめる。
みるみる短くなる髪。
こんなにバッサリいったのは久し振り。
すごく軽くなり、気分も変わった。
美容室を出て、短くなった髪を触ってみる。
鏡を見て「なかなか似合ってるじゃん」とにやける。
気分が変わったところで、ショッピングモールをプラプラ。
一人でこうしてプラプラするのも悪くないな。
楽しい時間だった。
あやのさんいつも楽しく読ませて頂いてます。怒りと悲しみで涙でます。私でもこんなに悔しいのにあやのさんは計り知れないですよね。これからも頑張って書き続けて下さいね😌あやのさん感想スレ立ててみてはいかがですか?勝手な事言ってスミマセン😢
「脅迫ですか?」
「脅迫?どこが脅迫なんだ?言ってみろ!」
「慰謝料払わなかったら離婚しないって…彩乃は今日書いてくれるって言いました」
「だから何だ?」
「だから…今日書いてもらいます」
「今日は無理だ。後は時間の無駄だ。説明すらない。後は裁判所で話し合おう。帰ってくれ」
裁判所という言葉に直哉は「勘弁して下さい」と言うが、お父さんはそれから一切話さなくなった。
そして私を見て「卑怯なやつ」と捨て台詞を吐いて帰って行った。
お父さんはお母さんに「おい!塩をまけ!」と言って部屋にこもってしまった。
お父さん…ありがとう😢
お母さんは私の肩を叩いてコップを片付け始めた。
「俺は、お前を信用して彩乃を嫁にやった。孫も楽しみにしていた。お前の真面目さをかったつもりでいたが、どうやら俺の目は節穴だった様だ」
直哉は相変わらず下を向いて黙っている。
「確かに彩乃は親から見てもだらしないところはある。でも、彩乃は彩乃なりにお前のために一生懸命やっていたはずだ」
「あの…」
「何だ」
「離婚届けを今日彩乃さんが書いてくれるという話しでしたが…」
「そんなのは知らん!離婚する前に言う事はないのか?」
「ありがとうございました」
「…今日は離婚届けは書かせない」
「話が違います!」
直哉は叫ぶ。
「順序があるだろ。まず離婚する前に彩乃に対して謝罪しろ。そしてけじめとして女とお前に慰謝料を請求する。全額払ってもらうまでは離婚はなしだ」
「慰謝料?そんなお金ありません…」
「正式な書類を揃えたら法律上有効な証書を送るから。不満や言いたい事は裁判所で聞こうじゃないか。」
今回は直哉一人だけだった。
お母さんが烏龍茶を出す。
直哉は「すみません」とは言うが口はつけない。
額に汗がびっしょりだ。
昨日までのあの直哉はどこに行った?
すっかり借りてきた猫。
仮面かぶりまくりの真面目な直哉だった。
お父さんが早速「さぁ、きちんと説明してもらおうか」と直哉に言う。
直哉は下を向いたまま黙っている。
「黙ってたらわからないな💢説明出来ないなら何しに来たんだ?あっ?💢」
お父さんは直哉に怒鳴った。
「あの…原因は彩乃にもあるんです」
「だからと言って浮気していいのか?お前、言ったよな?彩乃を幸せにしますからってな!それなのに一年もしないでこれか💢」
「すみません…」
「すみませんじゃねーよ💢」
私もお母さんも、2人のやり取りを黙って聞いていた。
「もしもし」
直哉が出た。
「ちょっと話があるんだけど…」
「離婚の話し以外なら切るぞ」
その時、お父さんが私から携帯を奪うといきなり怒鳴った。
「おい!お前ふざけんなよ💢娘と離婚したかったら、うちに来てきちんと説明しろ!来なかったら俺から行く💢」
「あっ?💢聞こえない!はっきりしゃべろ!」
「おい!バカにしてんのか?黙ってないで何かしゃべろ!コノヤロ💢」
「…おう、わかった」
私に変わった時には既に電話は切れていた。
「これから来るみたいだから、帰ったら塩まいとけ」
そう言って着替えに部屋に行った。
お母さんも慌てて着替えに行く。
それから程なくして、本当に直哉が来た。
お父さんの激怒ぶりにびびったのかもしれない。
直哉は恐縮した姿で玄関にいた。
今日の天気は快晴☀
雲一つない、気持ちがいい青空が広がる。
風も爽やかで気持ちがいい。
実家に到着。
店は閉まっているため、裏の出入口に回る。
郵便受けを見る。
新聞がないという事は、もう起きてるな。
インターホンを鳴らすとお母さんが出てきた。
「あら彩乃⁉どうしたの、こんな時間に」
「ちょっと話があってね。お父さんは?」
「今、新聞見てる」
私は、リビングに行くとお父さんが「おう、どうした」と私を見た。
「うん…今日は話があって」
何だか言い出しにくい💧
お母さんは店の烏龍茶を持って来て、私にくれた。
「直哉さんと何かあったの?」
お母さんが言う。
「うん…実は直哉…ねぇ、理奈って覚えてる?」
「理奈ちゃん?覚えてるわよ!可愛い子でしょ?」
「そう、実は直哉、理奈と浮気してて理奈と一緒になりたいから私と離婚してくれって言われた」
「え~⁉」
お母さんは驚き、お父さんは読んでいた新聞を畳んだ。
「何だってまた…彩乃、あんたも何か浮気される心当たりはないのかい?」
「あるんだろうけど、自分じゃわかんない」
「困ったねぇ…」
お母さんはそう言ってお父さんを見る。
お父さんは黙っている。
そして、昨日あった事も全て話した。
するとお父さんが「彩乃、直哉さんを連れて来い!連れて来ないなら、俺から行く!」
と口を開いた。
「来いったって…きっと来ないよ」
「今すぐ電話しろ!」
私は直哉に電話をする。
拒否を解除したのか繋がった。
結局、ほとんど眠る事なく朝を迎えた。
テレビをつけると、朝の情報番組が始まっていた。
今日は直哉が来る前に家を出るか。
まだ早いけど、支度を始める。
伊藤家の朝は遅い。
いつも朝9時過ぎに起きる。
その頃に合わせて実家に行こう。
午後からは買い物や仕込みとかで忙しくなるから、午前中しか時間がない。
ていうか、お腹すいた😅
考えてみたら昨日の夜から何にも食べていない💦
こんな時でもお腹はすくんだな(笑)
買っておいた食パン2枚と賞味期限が今日までのヨーグルトも食べた。
お腹も落ち着き、時計を見ると8時半を過ぎていた。
これから実家に行けばちょうどいいかな?
私は、自転車に乗り実家に向かった。
何故かわからないけど、直哉からの電話が私のやる気を奮い起たせた。
まず、これからしなきゃいけない事。
・引っ越し、荷造り
・職探し
・親に言う
この3つを書き出す。
親はまだ仕事の時間。
連絡は明日にしよう。
引っ越し…実家に帰るかな💦
でも、直哉がお給料入れてくれなくなって家賃や光熱費払ったから引っ越し代ないや😱
家電は直哉の両親が買ってくれた。
返すか😞
仕事かぁ。
引っ越し先が決まらなかったら仕事は無理かな。
離婚って…思っていた以上に大変だな。
それから、由佳に言われた通りこれから私がやらなきゃいけない事をまとめてみた。
でも、直哉と理奈への嫉妬心でおかしくなりそう😱
今頃は「やっと彩乃も離婚に応じてくれたから、ずっと一緒にいれるね❤」なんて話しているんだろうか💢
…ムカつく💢💢💢
頭には来るけど、現実を受け入れるしかない。
その時に電話が鳴る。
携帯を見る。
直哉だ!
出たい気持ちをぐっとこらえて切れるのを待つ。
すぐ切れて、また掛かって来た。
また出ないで切れるのを待つ。
私からは拒否してんのに、直哉から都合良い時だけ電話してきて💢
どうせ、離婚の話しでしょ。
すると今度はショートメールで連絡が来た。
そんなにアドレス教えたくないんかい💢
「明日の昼に離婚届け持って行くから」
明日は書かないよ~😜
こっちにだって、やらなきゃいけない事もたくさんあるんだから。
全て終わったら離婚してあげるから!
泣くだけ泣いたら落ち着いた私。
由佳は「彩乃の両親は知ってるの?」
「多分知らない」
「離婚する理由とか、これからどうするとかまずは親に知らせないと」
「うん…」
「ていうかさ、直哉さんと離婚したら彩乃どうするつもりだったの?」
言われるまで考えもしなかった💧
「ここのアパートだって引き払うだろうし、仕事も見つけないと…」
「うん…」
「大丈夫⁉しっかりしないと!」
やっぱり由佳は頼りになる。
普通ならわかる事でも、この時は視野も狭いし思考回路もぐちゃぐちゃ。
由佳はそんな私を見抜いた様に、色んなアドバイスをくれる。
私は、由佳のアドバイスをノートに記録する。
最後に「今日、このまま彩乃んちに泊まりたい気分だけど、私がいるとやらなきゃいけない事も考えなきゃいけない事も出来ないでしょ?彩乃なら大丈夫!でも、切羽詰まったらいつでも連絡する様に!」
「はい!わかりました!」
「よろしい😁じゃ~ね!」
そう言って、由佳は帰って行った。
良く見たら、由佳は部屋着のスウェット姿のまま。
急いで来てくれたんだ。
「由佳、ごめんなさい」
「ん?何が?」
「急いで来てくれたんだね」
「あはは(笑)ちょうどお風呂上がりでね😄このまま来ちゃった」
「ごめん…」
「気にしない気にしない!せっかくだから彩乃の部屋でお茶くらい飲ませてよ😁車だから飲めないけど😞」
残念そうに言うと、由佳は買って来たコンビニの袋とカバンを持って車を降りた。
部屋に入ると、由佳は早速袋から飲み物を並べる。
「好きなの飲んで~」
そう言いながらも由佳は私に栄養ドリンクをくれた。
「少しは元気になるかな」
そう言って笑っている由佳。
由佳には甘えてばかり。
由佳の優しさにまた涙が出る。
由佳は「彩乃、頑張ったね!」と言って抱き締めてくれた。
私はまた号泣。
旦那と親友を一気になくした夜だった。
私は由佳に電話する。
「もしもし?彩乃⁉」
「由佳~」
由佳の声を聞いた瞬間、我慢していた感情が爆発、泣いてしまった。
「彩乃⁉どうしたの⁉今どこにいるの⁉」
私は泣きながら由佳に簡単に事情を説明、由佳は「今すぐそこに行くから待ってて!」と言って電話を切った。
少し経ってから、由佳は軽自動車で迎えに来てくれた。
由佳は運転席の窓を開けて「彩乃!車に乗って!」と叫んだ。
私は由佳の車の助手席に乗り込んだ。
由佳の顔を見たら、また涙が出て来た。
由佳は「泣きたい時は泣くのが一番だよ」
その言葉に更に号泣。
由佳は私の泣き声をBGMに車を運転。
コンビニに着いた。
「何か飲むでしょ?」
そう言って由佳は降りて行った。
程なくして袋いっぱいに飲み物を持って来た。
その中からお茶のペットボトルを2本取り出し「飲みな~」と1本くれた。
「ありがとう」
お茶を飲んだら、少し落ち着いた。
由佳の車は私のアパートに着いた。
「明日、離婚届けを彩乃のところに持って行くから。離婚が決まれば、彩乃に用はない。なっ!」
そう言って直哉は理奈を見た。
理奈は嬉しそうな表情をしている。
お義父さんが、怒りを押しころした様な低い声でゆっくりとした口調で「直哉、二度とうちには来るな!お前の顔もその女の顔も見たくない」
「入籍する時に、婚姻届けの保証人の覧に名前は書いてよ」
「何を言ってるんだ💢」
「親父とお袋が書いてくれないなら、誰かに頼むからいいよ」
「直哉!」
「別に親子の縁、切られても構わないよ。理奈さえいてくれたら。じゃあ~俺達は帰るから。彩乃、明日頼むね」
そう言って帰って行った。
直哉がもうかけらも私に気持ちがない事は良くわかった。
「お義父さん、お義母さん、短い間でしたがお世話になりました」
そう言ってお辞儀をした。
「彩乃さん…」
お義母さんは涙を浮かべている。
お義父さんは難しい顔をしている。
「直哉さんにあそこまで言われたら、もう自信なくしちゃいました。離婚します。今までありがとうございました」
そう言って私は直哉の実家を後にした。
私は無言で直哉のところへ行き、「ふざけんな💢」と言ってグーで顔を殴った。
そして「離婚してやるよ💢家にも帰って来ない、給料も入れてくれない女に狂ったバカは好きにすれば?」と怒鳴った。
人生でこんなにぶちギレたのは初めて。
みんな黙っていた。
「黙って聞いていたら、まぁ~好き勝手な事ばっか言っちゃってさ💢何が理奈を愛してるだよ💢私とは破綻⁉お前がそうしたんだろ⁉」
「直哉にも理奈にもがっかりだよ。そんな人間だとは思わなかった。最低💢」
直哉は「最低で結構!彩乃に最低と思われても何とも思わないし。もう言う事はないか?気が済んだか?じゃあ~離婚決定という事で」
そこまで言う?
お義母さんが「直哉!」そう言ってお義母さんも直哉を叩いた。
直哉は「叩きたきゃ叩けばいいよ。何をされても理奈と一緒になりたい気持ちにはかわりないから」
私は涙が溢れて来た。
それを見て直哉は「泣いたって同情はしない」と冷たく言い放った。
もう本当に終わりだね。
直哉は「俺は目は覚めてる!彩乃、頼むから離婚してくれ!言っちゃ悪いが彩乃よりも理奈といた方が何倍も居心地がいいんだよ。お前との結婚生活はもう破綻してるし、これからも彩乃とやってく自信はない」
理奈は勝ち誇った顔で私を見ている。
そして更に「彩乃が離婚してくれないから、理奈はいつも悩んでいたんだよ💢だから頼むから離婚してくれないか?親父もお袋も、きっと彩乃より素晴らしいお嫁さんだと気に入るはずだから!」
その時、お義父さんが初めて口を開いた。
「直哉!お前は何を言っているのかわかっているのか⁉もし、彩乃さんと離婚してこの女と一緒になりたいと言うならお前とは縁を切る!二度とうちに来るな💢この女との結婚は一切認めない!」
お義母さんが「そうよ!あんた人として恥ずかしい事をして…情けない」と呆れた口調で言い放った。
直哉は私を睨み「お前、俺の両親に何を吹き込んだ?お前最低だな💢」
それまで黙って聞いていた私。
でもそこで、何かが私の中ではじけた。
テーブルを挟み、お義父さん、お義母さん、私。
反対側に直哉と理奈が座る。
理奈は私をチラチラ見る。
そして理奈が「よろしければ召し上がって下さい。直哉さんから和菓子が好きだと伺っていたので…」とお菓子の折をお義母さんに差し出したが、お義母さんは「結構です」と受け取らなかった。
まず、話を切り出したのは直哉だった。
「俺、彩乃と別れて隣にいる理奈と一緒になりたいと思っている。俺の理想の女性なんだ」
そう言って理奈を見る。
そして「はっきり言うと彩乃に対して何の気持ちもないし、このまま夫婦を続けていく自信がない。少し結婚を早まった。もう少し早く理奈に会っていたら…」
「直哉!いい加減にしなさい!」
お義母さんが口を開いた。
「今回、その人をうちに呼んだのは、目を覚ましてもらうためよ!」
そう言ってお義母さんは理奈を睨んだ。
「あなたね、直哉に嫁がいる事を知ってて付き合ってるんでしょ⁉呼んだとはいえ、よく堂々と来れたわね!」
理奈は私を睨む。
睨まれても私悪くないもん。
「直哉!お前もバカな事を言ってないで、目を覚ましなさい!」
お義母さんは怒りが込み上げて来たみたいで、声が段々大きくなり口調も強くなる。
お義父さんは黙ったまま。
お義母さんが玄関に行く。
緊張が高まる。
どうしよう…😱
勢いで来たのはいいけど、気持ちがまだ整理出来ていないよ💧
でも、私は直哉の妻だ。
悪い事は何一つしていない!
堂々としていていい人間だ。
それよりも、理奈のやつよく直哉の実家に来れたな😅
その時「彩乃⁉何でお前がいるんだ⁉」
直哉が私を見て驚いている。
その後ろにいた理奈も、驚いた表情で私を見ている。
「こんばんは」
「何がこんばんはだよ💢帰れよ!お前は関係ないだろ💢」
その時、お義父さんが「直哉!彩乃さんは私達が呼んだんだ!いいから座れ!」と一喝、直哉はおとなしくなった。
私はノートを出して来て、箇条書きにして色々書いてみた。
直哉に聞きたい事、理奈に聞きたい事。
でも、書いては破ってクチャクチャに丸める。
ため息ばかり。
時間だけが経って行く。
気分を替えてみようとシャワーに入る。
少しすっきりしたところでまたノートとにらめっこ。
直哉と理奈に対する嫉妬心が邪魔をしてなかなか書けない😞
結局、何にも書けず⤵
「彩乃、頑張れ!」
自分に言い聞かせる。
そして、いよいよ行く時間になる。
直哉の実家に着いた。
大きく深呼吸をして、インターホンを押す。
お義母さんが出て来た。
「彩乃さん、大丈夫!私もお父さんも彩乃さんの味方だから!」
そう言われて、ちょっと落ち着いた私。
リビングに通された。
お義父さんが「彩乃さん、わざわざ申し訳ない」と軽く頭を下げた。
「いえ、とんでもない」
私は緊張の余り、出されたお茶も喉を通らない。
お義父さんもお義母さんも無言だ。
静かな時間を遮る様にインターホンが鳴った。
直哉が来た!
でも、直哉は相変わらず理奈のアパートに入り浸りで帰って来る事がなくなった。
そのうちにお給料の振り込みが途絶えた。
その事で直哉に連絡をするが、一切連絡がつかない。
しまいには着信拒否され、アドレスも変えられた。
ここまでされて、我慢されなきゃならないの⁉
私は理奈に連絡をした。
しかし「おかけになった電話番号は現在使われておりません」のガイダンスが流れた。
もちろんメールアドレスも変わり、送る事が出来ない。
怒りが込み上げて来た。
バカにして💢
思わず携帯を投げ付けた。
その時に携帯が鳴った。
慌てて拾い画面を見るとお義母さんだった。
「あっ、はい!もしもし!」
「今、忙しかったかしら?」
携帯投げ付けて、拾いに行くのに時間がかかったとは言えず「いえ💦ちょっと携帯から離れてまして」と誤魔化した。
「いきなりで悪いんだけど、今日の夜って時間あるかしら?」
実家の居酒屋に行く予定だけど、今日は平日だし休ませてもらおう。
心理的にそれどころじゃないし😞
「はい、大丈夫ですけど…」
「実は今日、直哉が彼女を連れて来るって言ってるのよ…」
「え~⁉わかりました…」
直哉や理奈に聞きたい事もあるし、私は時間まで戦闘準備を始めた。
えっ?
それって、浮気を容認するって事⁉
「直哉は今、頭がめでたくなっている状態だから、近いうちに頭を冷やす様に私からも言います。
彩乃さん、私からのお願いです。もうしばらく直哉に時間を下さる?」
その時はまだ直哉の事は嫌いではなかった。
だからこそ、理奈との浮気が辛かった。
「ちょっと考えさせて下さい」
「彩乃さんには本当に申し訳なく思ってます」
そう言ってお義母さんは頭を下げた。
「頭を上げて下さい💦」
私はお義母さんに駆け寄り肩に手を置く。
お義母さんは泣いていた。
お義母さん…。
お義母さんのその姿を見て胸が締め付けられる思いがした。
お義母さんをこんなに悲しませるなんて😠
私は、もう一度だけ直哉を待ってみる事にした。
お弁当も食べ終わり、食後のデザートでプリンがあった。
それからも、かりんとうやポテトチップスや饅頭などたくさんのおやつがテーブルの上に並ぶ。
お義母さん、嬉しいけど…こんなに食べられないよ😫
落ち着いたところで、お義母さんがまた直哉の事を話して来た。
「直哉は一人っ子でしょ?厳しくしてきたつもりだったんだけど、やっぱり甘やかせてしまったのかしら。」
「いえ、そんなこと…」
「彩乃さん、ごめんなさいね」
更にお義母さんは続く。
「私は、彩乃さんの事を本当の娘だと思ってるの。
浮気をしているバカ息子が100%悪いし、彩乃さんから離婚を言われても仕方がないと思っている。
でも、浮気相手との結婚は絶対に認めないし会う気もない」
お義母さんはお茶を飲み、更に続ける。
「彩乃さん、もしまだ少しでも直哉を思っている気持ちがあるなら、直哉をまた受け入れてもらえないだろうか?」
「彩乃さん、直哉と何があったの?」
早速切り出された💧
悩んだけど正直に言った方がいいのかな。
そう思って「あの…直哉さん…浮気していて、家に帰らなくなりました」
「やっぱりね…はぁ~」
とお義母さんはため息をついた。
「私にも原因があると思うんです。でも、まだ籍を入れて一年経ってないので…」
「バカな息子で申し訳ない…こんなにいいお嫁さんをもらっていながら、何をやっているんだか💢」
そう言ってくれたのが嬉しかった。
ずっと至らない嫁だと思っていたから…涙が出てきた。
「彩乃さん、泣かないで😞まずはお弁当食べましょ」
お義母さんの優しさが嬉しかった。
それからは一旦話を変えて談笑しながらのお昼になった。
お義母さんとの電話を切ると、私は慌てて部屋を片付け始めた。
最近、怠けて片付けをしていない💧
そして軽くシャワーを浴びて化粧して、何とか人を呼べる状態にした。
一気に動いたから疲れちゃった😅
その時「ピンポーン」とインターホンが鳴った。
お義母さんが来た。
手にはいっぱい袋を持っている。
「彩乃さんと一緒に食べようと思って😄」
お弁当とかお菓子とか、いっぱいあった。
「お義母さん、こんなにいっぱい…いくらかかりましたか?払いますよ💦」
「いらないわよ、私が勝手に買って来たんだから…お昼まだでしょ?」
そう言って、袋をテーブルの上に置いた。
「あ…でも…」
「いいのいいの!早速開けましょ!」
買い物袋からお弁当とペットボトルのお茶を出した。
「作りたてだから今のうちに食べましょ」
「すみません…頂きます」
幕の内弁当を頂きながら、お義母さんは話し出す。
起きたら朝9時を過ぎていた。
寝すぎた💦
慌てて起きる。
直哉は今日は帰って来た形跡はない。
「着替えにも帰って来てないのか」
そう呟きながら、目覚めのコーヒーをいれて飲む。
そこに私の携帯が鳴る。
画面を見ると直哉のお義母さん。
「はい!もしもし!おはようございます!」
「彩乃さん、おはよう」
「昨日も電話頂いたみたいで…すみません💦」
「いいのよ、ねぇ彩乃さん。昨日、直哉から連絡があって…彩乃さんと離婚したいと言って来たのよ😞」
「えっ…」
「何があったの⁉正直に話してもらえる?」
「はぁ…」
「彩乃さんからも話を聞きたいと思って電話したの。今日、これからって時間ある?」
「ありますけど…」
「じゃ、お昼頃伺うわね」
「わかりました」
部屋に帰って来ても、やっぱり直哉はいない。
帰った形跡もない。
今日も理奈のとこか。
「ふぅ…」深いため息が出る。
だんだん虚しくなって来た。
直哉も理奈も、絶対私をなめてるな💢
今に見てろよ!
そう思うけど、何をどうしたらいいのかわからない。
離婚はする。
このまま夫婦関係を続けていても、もう戻れないのは目に見えている。
でも、ただ離婚するんじゃなく懲らしめてやりたい!
…今日は頭が働かないからまた明日考えよ。
どうせ直哉は帰って来ないから、時間はたっぷりあるしね。
その日は爆睡した。
今日は平日。
お客さんも少ない。
暇な時間に厨房で晩御飯。
とは言っても合間をみてなので、ゆっくりもしていられない。
お客さんに声を掛けられればすぐ出て行く。
晩御飯を食べながら携帯を開く。
「着信3件」
履歴を見る。
由佳と知らない番号と直哉のお義母さん。
由佳は「実家の店番かぁ~?また電話するね!」と留守電が入っていたが、知らない番号とお義母さんはただ履歴だけが残っていた。
明日の日中にお義母さんに電話しよう。
閉店時間になり、のれんを下げて閉店準備。
私は一生懸命洗い物をしていたら、お母さんが「彩乃、直哉さんと喧嘩でもしたの?何かあったでしょ」と言って来た。
母、鋭し💧
「いやぁ、何でもないよ💦」
「夫婦喧嘩もほどほどにするんだよ😄」
そう言って、レジのドロワーごと持って2階の部屋に行った。
親には全てバレてしまうな💧
今日の仕事は終わり、自分の部屋に帰った。
私はまた再び、直哉と理奈のメールを見る。
見れば見るほど、怒りが込み上げてくる。
なら見なきゃいいんじゃない?と突っ込まれそうだけど、どうしても見てしまう💧
そのうちに眠ってしまった私。
起きると、居酒屋がオープンする時間になっていた。
親からも着信があったが気付かなかった。
慌てて支度をして店に向かう。
お母さんが忙しそうに開店前の準備をしていた。
いつもは私の仕事だ。
お父さんが「寝坊か」と笑っている。
まだ両親には直哉と理奈の事は言えない。
理奈の事も良く知っている。
私は、いつもの私を装い「看板娘」をこなした。
その後、直哉の携帯をサイレントから元に戻し、さっきまで着ていたスーツの胸ポケットにしまいこんだ。
私は一切携帯見てません、知りません!
そのためのアリバイ工作💧
私は、転送したメールを改めて見直す。
直哉も歯がうく様なメールを送っている。
直哉も理奈も周りが見えなくなっているんだろう。
恋は盲目って言うしな。
私の怒りは少し落ち着き、携帯を閉じて片付けを始める。
そこに直哉が戻って来た。
携帯を取りに帰ってきたのだろう。
携帯を見付けると、無言のまままた出て行った。
バレてなきゃいいけど😅
その時、直哉が帰って来た。
着替えに来たんだな。
直哉は部屋の様子を見るなり「はぁ~」と深いため息をついて「汚い部屋だな、片付けくらいしろよ。まるで豚小屋だな」と吐き捨てる様に言った。
私は無表情で「理奈の部屋は綺麗なんだろうね」と言うと、直哉はびっくりした表情を見せたがそのまま無言で寝室に入り着替えを持ってシャワーを浴びに向かった。
その隙に直哉のカバンから携帯を取り上げてメールを見る。
直哉の携帯を見るのは初めて。
私と機種は同じなので、使い方は良く知っている。
理奈とのやりとりメールがそのまま残されていた。
「今日は直哉さんが好きな唐揚げだよ~❤
だから早く帰って来てね❤」
「私も愛してる❤」
「早く直哉さんのお嫁さんになりたいな😄早く彩乃と離婚してよ😫」
「着いたよ✌待ってるから早く来てね❤」
そして理奈と一緒に写した写メも見つけた。
私は、直哉の携帯を音をサイレントに切り替えて隠した。
その時に直哉はシャワーからあがった。
直哉は無言のままスーツに着替えて、足早に家を出た。
その隙に、理奈とのやりとりのメールや写メを私の携帯に送り、履歴は消す。
その時に直哉の携帯が鳴る。
画面を見ると「理奈❤」と出た。
何が「理奈❤」だよ💢
私は携帯をそのままの状態で切れるのを待つ。
その後すぐ「まだ~⁉彩乃と何か話してるの😱」とメールが来た。
今日は仕事じゃないのか💢
私は怒りがピークに達し、メールや写メの転送が終わった直哉の携帯を壁に投げつけた。
考えては泣いてを繰り返しているうちに、カーテンから光が入っていた。
ふと時計を見ると6時半になっていた。
「もう朝か」
結局、一睡もしないで朝を迎えた。
食欲もない。
片付けも中途半端。
気力だけで動く。
抜け殻みたいな私。
その時に私の携帯が鳴る。
その音で我に返った。
「こんな朝早くに誰だろ⁉」
慌てて携帯を手に取り画面を見る。
由佳だった。
「もしもし!」
「おはよう彩乃!朝早くからゴメンね💦少しは眠れた⁉」
「う~ん…」
「そうだよね💧うちに帰って来てから彩乃の事が気になってさ」
「ありがとう!大丈夫だよ😄」
「今日も仕事なんだけど、何かあったら絶対連絡してよ!じゃあね!」
そう言って由佳は電話を切った。
心配してくれているんだな。
由佳、ありがとう!
由佳が帰ってから、空になった缶を片付けながら私は直哉さんとの事を思い出していた。
こういう時って、楽しかった事ばかりを思い出してしまう。
そして泣く。
あんなに優しかった直哉さん。
プロポーズしてくれた時、俺が彩乃を一生守ってく!と言ってくれた。
付き合い始めた日に一緒に婚姻届けを出しに行った。
このマンションのカーテンやラグマットも一緒に買いに行き、趣味が別れてすごく悩んだ。
挙式は挙げてないけど、ウェディングドレスを着て写真を撮った。
いずれは挙式したいと話していた。
あの時までは幸せだったな。
でも、今の直哉は私が愛した直哉じゃない。
離婚しかないのかな。
由佳が「彩乃、私理奈が許せない💢何なの⁉親友の旦那と不倫しといて、別れてくれる様に協力してくれ⁉ふざけんな😠」
そう言って、ビールを一気に飲み干した。
私は、突然の事でまだ気持ちがついていかない。
「彩乃、このままでいいの⁉」
「いや…良くないけど…」
「もう友達でも何でもない!旦那の事を悪く言うのもなんだけど、直哉さんも直哉さん!頭おかしいんじゃないの⁉」
由佳は早口で一気にしゃべる。
よほど頭にきているみたい。
「彩乃、何かゴメンね」
「えっ⁉何が⁉⁉」
「私、理奈と直哉さんとの事彩乃に話そうかどうしようかすごく悩んだんだ。
でも…余計な事しちゃった…ゴメンね…ゴメン…」
今度は泣いてしまった😢
「由佳~泣かないでよ💦こっちこそゴメンね…ありがとう」
私も涙が出て来た。
いいだけ泣いたら、ちょっとすっきりした。
気分を変えようと冷蔵庫から買って来たチーズケーキを出した。
由佳はチーズケーキに目の色が変わる。
「頂きます😆」
チーズケーキも完食し、由佳は「何かあったらすぐ連絡してよ!じゃあね!」と言って夜中2時過ぎに帰って行った。
彩乃の存在が邪魔😠
早く離婚してくれる様に由佳からも彩乃に言って!
「直哉さんが愛しているのは彩乃じゃなく理奈だって」伝えて!
こんな内容だった。
理奈…
こんな人間だと思わなかったよ。
不倫って、性格まで変えちゃうの?
あの明るくて優しかった理奈はどこにいってしまったの?
この間まで、由佳と理奈と3人で飲みに行ったり食事したりしてたのは何⁉
中学からの長い付き合いだったよね。
高校はみんな違ったけど、週末は必ず3人で遊びに行ったり誰かんちに泊まったりしてたよね。
何でも話せる本当の親友だと思ってた。
でももう…終わりだね。
そこまで言わせてしまう私が悪いんだよね。
わかったよ理奈。
直哉と離婚するよ。
「実は…理奈から…」
由佳がそう言いかけた時に由佳の携帯が鳴る。
由佳が慌ててカバンから携帯を取り出すと、パカッと開いた。
メールらしい。
由佳は「理奈からだ!」と言うので思わず由佳を見た。
由佳は眉間にしわを寄せて難しい顔をしてメールを見ている。
そして一言。
「理奈…最低」
そう言いながら由佳は私にメールを見せてくれた。
私は、理奈からのメールを見て驚いた。
信じられない内容だった。
結構、ほろ酔いになって来た。
直哉の事もこの時ばかりは忘れて楽しむ。
由佳が「ごめん!トイレ貸して!」とトイレに立つ。
帰って来てから、由佳は「彩乃。理奈の事なんだけど…」と急に真面目な顔になった。
「理奈、どうかしたの?」
「彩乃、最近理奈に連絡している?」
「全然」
「直哉さんは帰って来ている?」
急に元旦那の名前を言われてびっくりした。
「えっ?直哉?」
「うん…言いにくいんだけどさ、理奈と直哉さん…そういう関係みたいだよ」
「えっ⁉まさかぁ~理奈に限って、それはないでしょ」
「実は、理奈から相談を受けたの」
由佳がこうして相談された事を他言するのはまずない。
由佳の真剣な表情を見ていたら、嘘だとは思えない。
由佳の話しは、まだ続いた。
「つまみ、何かいるよね💦」
「ううん、私はこれで大丈夫😁」
由佳はビールと一緒に持って来たさきいかとサラミ、チータラの袋を開けた。
「彩乃も好きでしょ?」
良くご存知で😅
「あっ!そうだ!昨日、お母さんがくれたお通しあるよ!」
冷蔵庫からタッパーに入ったふきと油揚げの煮物を出して来た。
「彩乃んちの居酒屋メニュー、美味しいから大好き!」
由佳は早速、煮物を食べる。
由佳はたまに居酒屋に来てくれる。
「ん~やっぱりうまいっ!」
由佳はそう言いながらビールを飲む。
私も、一緒にビールを飲む。
由佳と飲むビールは美味しい🎵
あっという間に空の缶がテーブルの上に並ぶ。
夜7時過ぎに由佳から「これから行くね!」と連絡があった。
由佳はチーズケーキが大好き。
由佳が来るからと、駅前の有名なケーキ屋さんでチーズケーキを購入していた。
15分後、インターホンが鳴る。
由佳がビール一箱抱えて来た。
「そんなにどうしたの⁉」
「今日は飲むよ!重たいから早く入れて~💦」
由佳はリビングに入って来て、冷蔵庫の横にビールを「よっこいしょ!あ~重かった」と言いながら置いた。
由佳も私もお酒は好き。
私は「いくらかかった?お金出すよ」と財布を取りに行こうとしたら「いらない!私が飲みたかったから彩乃にも付き合ってもらうから!」
そう言って、早速由佳はビールの箱を開けた。
「十分冷えてる!」
そう言って、ビールを2本取り出し私に一本くれた。
「今日の夜って時間ある?」
「あるよ~!今日は実家の居酒屋定休日だし」
「じゃあさ、私仕事終わったら彩乃んちに行ってもいい?」
「全然OK!待ってる!」
そう言って、由佳との電話を切った。
由佳は中学時代から、リーダー的存在だった。
頼りにされる姉御肌。
しっかり者で同じ年とは思えない落ち着きがある。
由佳には色んな話を聞いてもらったが、口が鋼の様に固いためペラペラ人に話す事もなかった。
そして色んなアドバイスをくれる。
だから皆、由佳を頼る。
今思えば、おかしな話し。
知らなかったとは言え「本妻」が「浮気相手」に旦那の愚痴を言う(笑)
それを聞かされる「浮気相手」ってどんな心理なんだろう😅
直哉は余り帰って来なくなった。
私から連絡をしても一切繋がらない。
メールも返事がない。
この時にやっと「浮気じゃないだろうか?」と気づく。
ある日、中学時代からの友人で理奈とも仲が良い由佳から電話が来た。
「もしもし!由佳!久し振り~😄」
「彩乃~大丈夫⁉」
「ん?何が⁉私は元気だよ?」
「あのさ…理奈の事でちょっと話しがあるんだけど…」
「うん…」
ここ最近、理奈が私への態度がよそよそしかった。
余り連絡もくれなくなった。
前は良く一緒に出掛けていたが、最近は一切なくなった。
今思えば、そりゃ私に連絡はしにくいだろうし、よそよそしくもなるだろう。
でも、まだ知らなかった私は本気で理奈の心配をしていた。
理奈の携帯に電話をする。
すると、ほとんど呼び出し音がならないですぐに出た。
「もしもし⁉」
「理奈~、今時間ある?」
「どうしたの?」
ちょっとびっくりした様子の理奈。
「ちょっと直哉の事で相談があって、聞いて欲しくてさ」
「あっ…ごめん、今ちょっと…友達が来てて💧」
「あっ、ごめんね💦また時間ある時に」
そう言って電話を切った。
そう、この時に直哉は理奈のアパートにいた。
理奈の隣にいて、理奈は私からの「直哉の愚痴」を聞かされるところだった。
「早く帰るなら連絡して欲しいんだ」
この一言言っただけでも「面倒くせぇな💢」とキレられて出て行ってしまった。
私の何が気に入らないの⁉
結婚して男の人って変わるとか言われてるけど、人間ってこんなに変われるの⁉
あの優しかった直哉の面影は全くなくなった。
それでも、浮気とは思わなかった私。
どんだけ鈍いんだろ😅
私は誰かに話を聞いて欲しくて、理奈に電話をした。
帰って来ても頑張って作ったお弁当は、一口も手をつけず持ち帰り、私の目の前で無言で捨てられる。
そして「お前のくそまずい弁当なんか食えるか💢」と怒鳴られた。
前は「彩乃のお弁当は美味しいよ😄」と、全て食べてきてくれたのに😢
今までは無理して食べていたんだろうか?
晩御飯を作って待っていても、何の連絡もなく夜中に帰って来る事も増えた。
「ご飯は?」
「いらない、寝る」
帰宅後は真っ直ぐ寝室に向かう様になった。
ずっと遅い日が続いたため、晩御飯は作らなくなり、お弁当も作らなくなった。
今日もどうせ遅いんだろうと作らないでいたら早く帰り「主婦のくせに晩飯も作らないのか💢」と怒鳴られた。
朝、元旦那は6時半に起きて軽くシャワーを浴びる。
それから支度をして、朝御飯を食べて8時ちょっと前に出勤する。
私は5時半に起きる。
朝が弱い私は、まず起きてボーっとする時間が必要なので少し早く起きる。
目が覚めて来たら、直哉のお弁当と朝御飯作り。
直哉を起こし、シャワーから上がったらすぐご飯が食べられる様に朝御飯を用意。
そして送り出してからは洗濯に掃除。
お昼はゆっくり食べて、買い物に行って夕飯作り。
完璧ではないけど、直哉にとって心地よい部屋にしようと思っていた。
また前の優しい直哉に戻ってくれる事を願って…。
でも…直哉の言動は更に酷くなる一方だった。
仕事は普通のサラリーマン。
だいたい定時で仕事が終わる。
残業がある時は、お昼過ぎに「今日は残業」と必ずメールが来ていた。
それが毎日「残業」になった。
セックスも今までは週2回はしていたのに、一切なくなった。
たまに私からお願いしても「疲れてる」「うるさいな💢」と拒否される。
ごくたまにしてくれても、前の優しいものではなくただ入れて終わり。
5分で終わった💧
子供が欲しかったけど、これじゃ…むなしすぎる😫
それから良く「彩乃と結婚したのは間違いだった」と言う様になる。
私は、自分が至らないから直哉を怒らせているんだと思い、当時勤めていたカフェのパートを辞めて主婦業に専念をする。
この時はまだ、元旦那の事を愛していたから。
今思えば、この時点で普通なら浮気を疑うんだろうけど、そんな考えは一切なかった。
元旦那とは丸2年付き合って結婚した。
結婚するまでは、本当に優しくて嘘をつく人ではなかった。
セックスもゆっくり愛を確かめ合う感じで優しかった。
メールも電話もほぼ毎日していたし、私が事故って入院した時も毎日お見舞いに来てくれた。
何に対しても真面目で喧嘩をする事もほとんどなかった。
そんな元旦那に惚れ結婚したのに、結婚してすぐ理奈に惚れた辺りから元旦那の態度が一転した。
特に中嶋さんは、私の事を心配してくれる。
離婚して戻って来た時も「俺がご馳走してやるから飲め!飲め!コップ持って来い!」と焼酎をご馳走してくれた。
結婚してすぐに元旦那が浮気。
浮気相手は私の中学時代から親友だと思っていた理奈。
きっかけは、私達が結婚してすぐ理奈がお祝いを持って来てくれた時…らしい。
理奈はスタイルも良く、顔も小さくてとても可愛い。
しかもおしゃれで、誰に対しても愛想が良く頭も良い「才色兼備」な人。
私はというと至って普通。
顔も能面みたいにペロンとしているし、スタイルも良くない。
その時元旦那と理奈は初対面。
理奈の可愛さに元旦那が一目惚れをしたらしく、何を思ったのか理奈に猛アタック。
理奈もその時は彼氏と別れてすぐで寂しかった時。
私の旦那と知りながらも、「密会」をしていたらしい💧
父がこの居酒屋をかまえたのは、私が高校生の時だ。
それまで勤務していた会社を辞め、退職金を全て注ぎ込んで自宅の一階を改装してこの居酒屋をかまえた。
当初、猛反対をしていた母も今は楽しそうに店に入る。
父は元々料理人。
調理師免許も取得していた。
最初は経営も苦しかったが、今では常連客も増えそれなりにやっている。
カウンター10席、小上がり席が4人席×4という小さな居酒屋だが、土曜日や祝日前日には満席になる。
私は、レジとホール全般を手伝っている。
この年で一応「看板娘」
常連客も年配の方々が多いから、一応「娘」になるらしい(笑)
昼間の仕事が忙しい時は店に出れない時もある。
そんな時は常連客の方々に「今日は彩乃ちゃんいないのかい!寂しいなぁ」と言ってくれるみたい。
なので、私はこの居酒屋が大好きだ。
昼間の仕事で嫌な事があっても、この居酒屋でのお客さんの笑顔や何気無い会話でとても和む。
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