山川弘美の日常
あたしは今人生最大の崖っぷちだ
外見はめちゃくちゃダサいわけでもないがナイスバディでもない
彼氏は(当然)いないしお洒落でもない
家の中でコタツとマッタリするのが好きで黒色の長い髪は常にでこだし2つ分け
極度の近眼なのでカワイクない細い黒色のフレームの眼鏡をかけて生活をしている
家にいるときは常にピンクのプレイボーイのジャージ
ベランダにキティちゃんのサンダルだってある(しかしヤンキーではない)
ちなみに彼氏いない歴は22年
ときめいた事もない
自他ともに認める『ダサ川ダサ美』である
だってしょーがないよ
キレイになる方法もわかんないしセンスのいい友達もいないんだもん
あたしの回りにはいつも『平凡』『並』『普通』しかいない
このまま平々凡々なOL生活が続いていくかと思われたあたしの毎日を激変させたのは
一本の『眼鏡』だった
しかしこの眼鏡
そんじょそこらにあるヨン様眼鏡とはちょっと違う
『欲しいものが見える』
魔法の眼鏡だったのだ!
(^_^)v
一人で吉牛が食べれちゃう22才のちょいダサOLが魔法の眼鏡を手にしたら…?
新しいレスの受付は終了しました
金髪くんが木製のドアの前に立つとにっこり笑ってドアを開けてくれた
『いらっしゃいませ~』
ドアの部分には磨りガラスに文字が刻んであった
『リトルルーム』
変わった名前だな
そう思いながら店内に入ると
新築ならではの木の優しい香りに加えアロマだろうか…
ゆったりとした甘い香りが部屋中に流れていた
店の中にはいろんなガラス製品が所処に飾られていて
透明感のあるすっきりとした印象だ
『お姉さん
こちらに必要事項だけお願いします』
あたしはメンバーズカードに名前や住所などを書き込んでいった
その間金髪くんは最新のヘアカタログをめくり
何度もあたしの方を見ては頷いている
あれ
そういえばさっきのもう1人のお兄さんは…
姿が見えないな
トイレでも行ったのかな?
キョロキョロしながら周りを見回した
『ありがとうございます!
えっと…弘美さん
ヒロさん!
ヒロさんて呼んでもいいですか?
俺はケンジ!
川井ケンジっていいます!
今日は宜しくお願いします!』
あたしは頑張って笑うと手荷物をケンジくんに預けて側にあった大きな木の椅子に腰をかけた
『えーっと…
まずは髪の毛を下ろしますね』
丁寧にゴムをはずすと手際よく髪をつかみゆっくりとときはじめた
『弘美さんさー
最近結構縛ってばかりじゃないです?
毛先も少し痛んでるし…
思いきってアゴの辺りまで切りませんか?』
ケンジくんがゆっくり顔を近づけてきた
自慢じゃないが山川弘美
この年になるまで肩より短くした事も
髪を染めたこともありません
しかもアゴの辺りまで!
悪いけどいくらなんでもそりゃあ無理な相談だよ
『あたし短いのはちょっと勇気が…』
前に置かれた鏡を見ながら話していると
鏡の向こうからにっこり笑いながらさっきみた男の人が両手にグラスを持って近づいてきた
『いらっしゃいませ
ようこそルームへ』
そう言って彼は穏やかな笑顔であたしに暖かい紅茶を差し出してきた
『暖まりますよ』
端正な顔立ちに茶色の眼鏡をかけていて
青と白のストライプ のシャツに明るいブルーのGパンが実によく似合う
年の頃はおそらく30代前半
両手に指輪らしきものはない
合格
さっき路面からみてた時も思ったが
このお兄さん
かなりあたしのツボに当たってる
見た目はね
あたしはもらった紅茶を息をかけながら飲むと彼に聞いてみた
『今よりあたしが似合う髪型ってあると思いますか…?』
彼は横から前に回り少し髪を持ち上げてみせた
何度か繰り返すうちに
『ケンジが言うみたいに短いのはどうですか?
僕も短い方が可愛くなる気がしますね』
ケンジくんと店長(らしき人)は雑誌をパラパラめくると何回か話し合い
全体的き優しい印象のあごにかかるくらいの緩いパーマヘアを進めてきた
しかも茶色
染めるんかい!
こんなん可愛いいほっそい子がやるから 似合うんだよー
黒ぶち眼鏡のOLにはどうせ似合わないよ…
あたしが二の足を踏んでなかなか髪を切るのにとまどっているとケンジくんが言った
『ヒロさん
ヒロさんさぁ
本当の自分知らないでしょ?
眼鏡外して
髪明るくして
長さを変えてみなよ
新しいヒロさん
きっと今よりいい顔で笑わせる自信あるよ、俺!』
となりでそのようすを見ていた店長も黙って頷いている
あたしを可愛くす自信…
どこからそんなものがくるかはわからないけれどそれが本当ならぜひあたしもこの目でみて見たいのだ
『ヒロさん
切ってもいいかな?任せてもらえる?』
『今まで髪型変えたり…短くした事ないんですよね。本当に大丈夫かな…時間も8時までしかないんだけど…』
『約二時間半ってとこだよね…大丈夫!ちゃんと可愛く仕上げますから安心して!』
二人は笑って鏡越しにあたしにブイサインをしてみせた
意外
こういうとこに勤めている人達ってもっと冷めているっていうか…
もっとあたしみたいな地味な人間にはたいして興味ないかと思ってたけど何だかフレンドリーだ…
カットモデルなんて勿論、いままで髪を切るなんて駅前の安っすい『大人2000円』みたいな散髪屋さんしか経験がないから
まさかこんなオシャレな店で髪を切ってみてもらえるなんて思いもしなかった
まるで…
まるでお姫様みたいだね
深めの椅子に腰かけているあたしに一人は髪を丁寧にとかし、もう一人はカラーの用意をしている
あたしはドキドキする胸を押さえながら鏡の中の自分をじっと見ていた
『ヒロさん
眼鏡はずしてみてくれます?』
ケンジくんが聞いてきた
『どうせなら出来上がりにびっくりした方が面白いでしょ?』
白い歯を見せて可愛らしく笑う顔はやはり弟にどこかにている
あたしはうなずいてお馴染みの黒ぶち眼鏡を外した
『じゃあお預かりしますね
首にケ―プかけますからね、そのままじっとしてて下さいね
カットした後にカラーをして部分的に緩くパ―マしますんで宜しくお願いします!』
まったく視界の見えないな状況であたしは返事をした
鏡に映る自分がボンヤリとしているのがやっとの状況
次に眼鏡をかけるとあたしはどんな風になっているんだろうか
『じゃあ切りますよ』
肩におろした髪がためらいもなくザクザクと切られていく
なんとも凄い
首もとがだんだん涼しくなっていく
何だかくすぐったい…
店内には楽器だけのゆっくりしたメロディが流れ
相変わらず甘いアロマの香りが漂っていた
あたしはボンヤリ映る自分を見ながらリズムよく動くハサミの音を聞いていた
あかん
昨日あんまり眠れなかったせいか
それとも髪をさわられて心地いいからか
だんだん瞼が下がって力が抜けてきてしまった
『眠かったら寝ていいですよ
髪を洗うときに起こしますから』
隣から店長の声が聞こえる
あたしは頷くようにゆっくりと眠りについてしまった
なんだかとてもいい気持ち…
あったかい…
あたしはウカツにも 初対面の
しかも男二人の前でしっかりと眠ってしまった
緊張はしていたが眠気にはかなわなかったようで
しばらくして肩をゆすられて目が覚めた
『お―いヒロさん~
洗うから起きてよ~』
びっくりして前のめりになっていた体を椅子の背もたれまで起こすと頭に何か巻き付けられてベタベタしていた
『おはようございます、お疲れ様です』
後ろから髪をさわりながら店長の声がした
『すいませんすっかり寝ちゃってて…
はずかしいなぁ…』
『ん?そんなことないですよ、髪を触ってると結構寝る方多いんです。大丈夫ですよ』
椅子の向きを変えながら店長が笑って言った
体の向きを反対にして椅子を倒されると髪を流し始めた
これまた顔にタオルはかけられるもののかなり恥ずかしい
いつも小太りのおじさんに洗われてもなんとも思わないがやっぱりイケメンに洗われると照れくさいもんだなぁ
『かゆい所はありませんか?』
あったってあなたには言えませんよ
ねぇ?
世の中の女子はみんなこう思うんじゃないかなぁ
『あ、大丈夫です』
流されながら足元でケンジくんの声がした
『ヒロさん鏡みたらびっくりしてびっくり返らないでよ~』
『凄く変わりましたよ』
続けて店長が言う
タオルで頭をふかれながら首筋に水が流れ込む
うわ~
短い
頭がめちゃくちゃ軽い
あたしは今どうなってしまっているのだろう
再び椅子の向きを変えられて
ぼんやりと何かが映る鏡が見えた
さっぱりわからん
あたしが興味津々に鏡に近づこうとするとあたしの肩を誰かが戻した
『ずるはだめですよヒロさん!
乾かすから体まっすぐしてくださいね』
ケンジくんがドライヤーで頭を乾かし始めた
『ヒロさんねぇ、俺めちゃくちゃ感動かも
女の子ってやっぱりすげぇな~
和田アキコのビフォアアフターに出れますよマジで』
ビューティーコロシアムの事か?
あんな劇的に変わっているのか?
胸が何だかドキドキして変な汗が出てきた
『山川様
パ―マですが…良かったら日を改めませんか
お時間は少しありそうですがカラーと続けると負担になりますし
少し落ち着かせてからまた来ていただいた方がいいと思いまして
いかがでしょうか?』
『あ、わかりました。じゃあ今日はここまでにします』
店長に答えるとケンジくんが叫んだ
『できた!
出来上がりです!店長どうですか?』
『お~!いいねいいね!
色も綺麗に入ってるし長さも丁度いいな
この仕上がりなら早速明日からカットも担当してもらえるな』
『まじですか!?
本当に?やったぁ―ヒロさんのお陰だよ
あとはヒロさんが気に入ってくれたら万々歳ってとこだよね』
そう言ってケンジくんはあたしの右手に眼鏡を乗せた
『はい、どうぞ。ご覧下さい』
心臓が爆発しそうな位ドキドキしている
あたしは深呼吸をして眼鏡を広げた
ゆっくりと耳にフレームをかけるとおそるおそる顔を上げた
そこには見たこともない
別人のあたしがキョトンとした表情でこちらを見ていた
短く切られた髪はくしゃっとボリュームを出されアゴのラインに綺麗に収まっている
前髪はスパンとまっすぐだったのが少し短く切られ斜めに向いている
凄い
可愛くなっている…
黒髪貞子が
平山あやになってる
まさにそんな感じ…
ぽかんとしているあたしに
『ヒロさん口開けすぎ』
ケンジくんが笑って言った
『すごく可愛くなりましたね
似合ってますよ』
店長が隣で満足そうに微笑んだ
開いた口がふさがらない
意味は違うがあまりに違いすぎて口元が閉まらない
『…ヒロさん?』
『山川様?』
二人が同時に口を開いた
あたしは恥ずかしくって服で顔をこすった
不覚にも嬉しくて涙が出てしまった
自分でもびっくりした
最近泣いたことなんかなかったからかなぁ…
なかなか止まらない涙にケンジくんがオロオロしだした
『ヒロさん大丈夫?気に入らなかった?
短すぎたかなぁ…
ごめんね
どうしたらいいかな…
ヒロさん?顔あげて?』
あたしは首をブンブン降りながら気持ちを落ち着かせようと必死に深呼吸をした
『違うんです…
あの
あんまり可愛かったからびっくりして…
あたしこんな風になれるなんて夢にも思わなかったから…
あの
泣いたりしてすいません』
あたしは鏡越しに二人に深々と頭を下げた
美容院で泣くなんてうっとおしい客だと思われてんだろうなぁ…
穴があったら入りたい
少しして店長が口を開いた
『山川様…女の子っていうのはいつでも変われるんですよ
前髪を少し切ったり
いつもと違う服を着たり
お化粧をしたりとかね
いつだって違う自分になれるんです
もしなりたいのになれなくて不安だったり困ったりしたならいつでもここに来てください
僕たちはそのために この店にいるんですから…
この『リトルル―ム』って店の名前は
そんな自分を変えたいと思う女の子達のもうひとつの居場所でありたい
そんな想いを込めて作ったんですよ』
店長の優しい声が店の音楽に乗ってあたしの心なかにじんわり染み込んだ
『そうですよヒロさん!俺も店長もいつもいますからいつでも遊びに来てください!!女の子を綺麗に可愛くするのが俺らの仕事っすから』
ケンジくんも笑っていた
なんだかここは居心地がいい…
あたしは息をゆっくりはきながら小さく頷いた
それからしばらく話をして次回のパ―マの予約をしてあたしは席を立った
レジの奥にある扉からケンジくんがコ―トとカバンを取り出してきた
立ち上がったあたしは新しく変わってあか抜けた髪型とは不釣り合いなグレーや黒ばかりの地味な服に少しビックリした
鏡をまじまじと見ているとケンジくんが鏡を覗いてきた
『どうしたんですか?』
『あっ
うん…こんな可愛くしてもらうと何て言うか…
服がついていかないなぁと思って…』
『そうっすねぇ…
髪も明るくなったし
ヒロさんスタイルがいいんだからもったいないよなぁ…
店長どう思います?』
『そうですね
せっかく髪も軽くなったし
どうせなら服もイメージチェンジしたらもっと可愛くなるかもしれませんね
山川様これから少し時間ありますか?
もしよかったら隣に友達のやっている服屋があるんですが少し覗いてみませんか?』
『あっ
友達っていってもオシャレなおばあさんでね
趣味で集めた海外の小物やお洋服が素敵なんです
色も素敵だし山川様なら似合いそうな気がしますよ』
『いや…そんな~
あたしセンスないしいつも地味な色しか持ってないんですよ
ちょっと自信ないかも…』
あたしは苦笑いをしながら両手を激しくふってみせた
店長は腕時計に目を落とすとおもむろにレジの奥に入り中からベージュのジャケットをはおった
カッコいいイケメンが更にかっこよくなった
あたしがボケッとしていると店長が小さく手招きしながら店のドアを開けた
『山川様行きましょうか?
デートしましょう』
もし人間の感情に音がついているならばあたしはその瞬間大爆発していただろう
デート…
なんて甘美な響き…
山川弘美
自慢じゃありませんが生きてきてこの方デートなんかした事なぞありません
デートどころか恋もまだな素人です
男の隣で歩いたことなんて家族か仕事でかどちらかで…
こんなイケメンと歩いたら窒息してしまうかもしれません
ああ神様~
もうやめて~
『ヒロさん?どうしたの?
俺が留守番してるから店長に選んでもらいなよ
変える前に俺にも見せてね』
ケンジくんが背中をグイグイ押して入り口まであたしを追いやった
『さ、行きましょうか?
ケンジすまないがすぐ戻るからちょっと頼むな
何かあれば隣にいるから呼んでくれたらいいよ』
ケンジくんは頷くと笑って手のひらをヒラヒラさせていた
あたしはもじもじとしながら店長の横を通りすぎた
振り向くとにっこりしながら店長が歩きだしている
本当に?
本当にあたしこの人と買い物すんの?
途中で絶対鼻血でるかも…
『山川様
はやくはやく 』
お隣の入り口で手招きする店長は子供みたいだった
店長のお勧めのお店はこじんまりとしたパリの雑貨屋さんみたいでドアをあけると聞いたことのないフランスっぽい陽気な音楽に色とりどりのワンピースやバックなんががたくさん飾られていた
店長が店の中に座っていた白髪のおばあさんに声をかけた
『ヨウコさん
お客様だよ
何か素敵なの見つけてあげてもらえる?』
『あら~
誰かと思ったらお隣の牧野君じゃない~
お元気?なぁに突然?』
おばあさんはあたしの方を見てニヤリと笑った
『ははん…
さては彼女…?
お店サボッていけない子ね』
あたしは慌てて両手と首を激しく降った
『ちっ
違いますよ!
違いますよ!
あたしはただの…』
そこまで言うと店長が口に手を当てて答えた
『ならいいんですがね?残念ながらうちの大切なお客様です
お洋服を探しにお連れしました』
おばあさんはあたしを舐めるように見ると『なるぼどねぇ』
呟いた
『牧ちゃんはそこに座ってな』
おばあさんはゆっくり立ち上がりあたしのそばにやってきた
『こんばんわ
ちょっと色々計らせてもらうよ?』
そう言うと片手であたしの背中やうで回りをペタペタ触ってきた
あたしはグルンと回されてなすがままになっていた
『ふ~ん
バランスはいいけどケツが小さいね
あんまり広がったもんよりボリュームの少ないストンとしたそう長くない丈がいいだろう
あんたおっぱいはなんセンチあるの?』
『え?おっぱい…
おっぱい…?』
あたしは店長の方をチラッと見た
カウンターの奥で顔を覆って笑っている
こんな場所で胸のサイズなんてとても言えないよ
あたしがためらっていると
『あ~もう面倒くさいねぇ』
おばあさんが片手でおもむろに胸の片方を触ってきた
『……?!』
絶句するあたしに一言
『はいCの65…
まぁまぁって所だね
じゃあこれだね
着てみなさい』
おばあさんがあたしに水玉と小さな花柄の切り返しになっているかわいらしい淡いオレンジ色のワンピースを渡してきた
『これにこのブ―ツはいてごらん
靴下はこれね
アクセサリーは…』
おばあさんはあたしにじゃんじゃん商品を渡してきた
あたしはそれをかかえると店の奥にあるフィッティグルム―に入った
カ―テンの向こうでは店長とおばあちゃんが何やら話をしているようだ…
何だか凄い事になっちゃったな…
綺麗になれるのは嬉しいけどできれば小刻みに頼みたいもんだ
『どうだい?
着れたかい?』
『あ、は~い
着れました
どうでしょうか?』
カ―テンを開けると笑っていた店長が黙ってあたしの方を見直した
『凄く似合ってますね
驚きました
さすがはヨウコさん ですね』
フィッティグル―ムの中には鏡がなかったので店の中央まで出て鏡を見た
そこには朝までの黒ぶち眼鏡に黒髪ヘアの地味なグレーのコ―トを着たあたしはいなかった
そこには髪を短く切り茶色いふわふわの毛先に
淡い白地にオレンジ色の花柄の膝が少し見える位の長袖のワンピースを着て
薄い黒の長めのソックスに渋い大きなボタンがついた茶色い長めのブ―ツ
手には毛糸でできたフワフワの白色のバック
いったいこれは誰?
あたしは誰?
鏡にへばりつくように見ているとおばあさんがため息をついた
『60点』
『えっ?60点?何で?
あたしが不細工たからですか?』
店長は吹き出して笑っていたけどあたしは真剣に聞き返した
『う~ん
あんたに問題があるとしたら
間違いなくその眼鏡だね』
確かにせっかくの服に黒ぶち眼鏡はないよね
だからといって言ってね
眼鏡に変えなんて…
替えなんて…
あたしはフィッティグに置いておいたグレーのコ―トのポケットを探った
あたしは昨日の不思議な眼鏡をコ―トに入れっぱなしにしていた事を思い出した
思った通り右側のポケットには眼鏡の感触があった
後ろからおばあさんがのぞきこんできた
『なんだい
シャレた眼鏡をおもちじゃないかい
こんな地味な眼鏡よりこっちの花柄のがセンスがいいよ
視界に困らないならこっちにしときな』
そう言うとおばあさんはあたしの手から眼鏡を抜き取りかけていた眼鏡をサッと取り去った
『あっ…でも…』
あたしが躊躇していると人差し指を左右にふりながら
『いいかい
見えているものが全てあんたの価値じゃないよ?
慣れ親しんだこの黒い眼鏡の姿もあんただし
こっちの新しい花柄の眼鏡もあんただ
人間っちゅうもんはいつも安全で普通の姿しか求めようとしない
そうだろ?
こんなもんでいいかな?
これくらいなら大丈夫だよねってね』
『でもそれがあんたの求める本当の姿なのかね…?
あんたがこれくらいって自分に線をひいてしまったら
あんたはそこでおしまいだよ
それよりもっと頑張りたい
綺麗になりたい
可愛くなりたい
そう思うならあんたはしなくちゃいけない事がある
あんただけじゃないね
最近の若い人みんなそうさ
『人をよく観察する』ってことさ
自分に欠けているのは何か
自分に足りていない部分はどこか
何をしたらもっとよくなるか…ね
あたしはもうヨボヨボのばあさんだけどあんたはまだまだ変わる事ができる
何もかも理由をつけて二の足踏んでないでさっさと動くことだね
今のあんたに足りないのは『変わろうとする意識』だね』
おばあさんはあたしの耳に不思議な眼鏡をゆっくりかけながらそう教えてくれた
『さて…長々と話をしちまったね
さて、どうする?
新しいあんたは出来上がったけど
中身のあんたはちゃんとこれを使いこなせるかい?』
『はい…
ありがとうございました
まだこのあたしにはなかなか届かない部分もたくさんあるけど
あたし
変わりたいんです
だから
頑張りたいです
これ…
全部下さい!』
店長が椅子から立ち上がりこっちに歩いてきた
『山川様…
あの…無理はしなくていいんですよ?
服一枚ならともかく…
それ丸ごととなると結構しますよ?
大丈夫ですか…?』
店長があたしの耳元でこっそり言った
『いいんです
こんなキッカケでもないとあたし服なんて本当に買わないんで
こんなによくしてもらってかえって申し訳ない位です』
『そう言ってもらえると僕も嬉しいです
ヨウコさんを紹介したかいがありましたよ』
『こう見えてヨウコさんは
昔お洋服のデザイナーだったんですよ
ね?
すごくサイズも色もその人に合うものを的確に言ってくれて
僕はヨウコさんならどなたを紹介しても大丈夫だと自負しているんですよ』
『おや
牧ちゃんはお世辞もカットもうまいもんだ
こんな年寄り誉めたって何にもなりゃしないのに
ハハ…あんた本当にいい男だよね
あたしがもう少し若かったら絶対惚れてたよ』
おばあさんはそういうと店長に軽くウインクをした
店長は肩をすくめて楽しそうに笑っていた
あたしは人生で初めて
大人買いならぬ
ボディー丸ごと買いをしてしまった
何だか気持ちがよくて笑えてくる
自分が変わるってこんなに気持ちが良いことなんて
遅いのかもしれないけど初めてしることができた
おばあさんの言うとうりだ
ただ黙って突っ立ってたって
誰もあたしに幸せなんかくれない
綺麗もかわいいもどっちも自分から手にいれなくちゃね
『はい
ありがとさんね
おつり落とすんじゃないよ』
おばあさんがお釣と一緒にあめ玉を一個あたしの手のひらに載せてきた
『そう言えばあんた名前は?
あたしはヨウコだよ
間違っても『おばあちゃん』なんて呼ばないでおくれよ?
これ以上老け込みたくないからね』
あたしは少し笑うと
『わかりましたヨウコさん
あたしはヒロミです
山川弘美
また寄ってもいいですか?
今日は凄く楽しかったです』
荷物を受け取りながらあたしは深々と頭を下げた
『ヒロミね
覚えとくよ
きっとまたきておくれよ』
あたしが店のドアを開けると後ろから店長がドアを高い位置で押さえてくれた
『ヨウコさん
今日はどうもね
また今後遊びにきますよ』
ヨウコさんは頷くと片手をゆらゆらさせてまた奥の椅子へと腰掛けにいった
あたしと店長が外へ出るとあたりはもうかなり暗くなっていた
あたしは慌てて時計に目をやると針はもう既に8時を少し回っていた
『やっば~
時間あんまり気にしてなかった!どうしよう~
あっ
あの店長さん
今日は本当にありがとうございました
凄い…いい経験ができて凄く嬉しかったです
あの、あたしこれから待ち合わせなんですいませんがこれで失礼します』
『こちらこそ何だかお忙しいのに無理な事言ってすみません
でも、本当に素敵になりましたよ
前の山川様も
今の山川様もどちらも本当のあなたですけど
今のあなたの方がたくさんいい顔で笑ってますよ
やっぱり女の子はこんなに変わるんだなって
僕もいい勉強になりましたよ
ぜひ今度はパーマをかけに遊びにきてくださいね』
店長は優しく笑うとジャケットの内側から一枚の名刺を取り出した
そこにはお店の名前と連絡先
そして店長の名前が書かれてあった
『今更ですが店長をさせてもらっています
牧野温志といいます
どうぞよろしくお願いいたします』
あたしはそれを受けとると店長にもう一度お礼を言い、ケンジくんによくお礼を言ってもらうよう頼んでその場を後にした
両肩に紙袋をひっさげて
はきなれないブーツ はアスファルトに高い音を響かせている
足元と首筋には夜の冷たい空気が容赦なく吹き付ける
その度に肩をすくめて体を震わすが
それはけっして嫌なものではなかった
店に着くまでの道のりで何人もの会社帰りのサラリーマンやOLとすれ違ったが
なんだかいつもよりも優しい気持ちで通り過ぎる事ができた
そんな自分に驚きつつ
こんな自分もこの中にいたんだなぁと思わず嬉しくなって笑ってしまった
味彩までは店から走れば10分しない位だった
店の前まで着くとあたしの息は完全に上がっていたが
肩から落ちそうな紙袋をもう一度かけ直し
店の回りを見回した
味彩は寄り合いの店がいくつか集まる五階建のビルの一階にある
玄関には赤ちょうちんがかかっていて黒い墨で店名が描かれている
出入り口は酔っぱらったサラリーマンがほろ酔い気分で何人か話し込んでいる
中は意外に広くお座敷がメインだが
料理もおいしくてメニューも豊富な事から(しかも安い)ここいらの会社帰りのサラリーマン達でいつもひしめきあっている
あたしはまわりを見回したが河村さんもまみちゃんも見当たらない
『もう中にはいっちゃったよね~
うわ~どうしよう』
入り口の前でうろたえていると背後からお酒臭い中年のサラリーマンがからんできた
『うっわ~
どうしたの?可愛いお姉ちゃんがこんな所で~
わかった!彼氏とデートだなぁ?
それとも一人?
おじさんが二件目に連れてっちゃるぞ
さぁおいで~』
『いえ、あの
あたし待ち合わせなんで…』
あたしがおじさんから離れて店に入ろうとすると急に右手をつかんで歩き出そうとした
うわ~
こわいよ~
絡むならどっかのホステスと飲んできてよ~
『あっ
あの、あたし本当に…』
そう言いかけたときに誰かがおじさんの肩を叩いてきた
『すいませんね
俺の連れなんで離してもらえますか?
連れていかれちゃうと困るんで』
見上げるとこれまた長身のイケメン
今日はイケメンデーなんか?
さっきの店長がオシャレなノンビリイケメンなら
こっちはいかにも『仕事してます!』って感じのハキハキしたできるイメージのイケメンサラリーマンだ
『はい、おっちゃんありがとう。
手ぇ離してね』
笑いながらおじさんの手からあたしの手をはずすとイケメン2号はあたしをぐいぐいとひっぱり店の前まで連れていった
『あのさ―
子供じゃないんだからああいう酔っぱらいはうまく交わしなよ?
下手に暴れたらああいうおっちゃんはめんどくさいよ』
『あっ、はい
すいませんでした
ありがとうございましす』
あたしが頭を下げると思いっきり紙袋が肩から地面に落ちた
『ブッ。
小学生のランドセル状態だな
はい荷物貸して
この店にはいんの?もってやるよ』
そういうとイケメン2号は地面に落ちた紙袋を軽々と片手で2つ持ち上げた
『ほら、入るよ』
あたしが何をいうまもなく店の扉が開き中から食べ物のいい匂いが広がってきた
『はい、いらっしゃいませ!お二人様ですか?』
白いねじりはちまきに坊主頭の大将が半袖姿でちょうどビールを運んでいた
『おっ、誰かと思ったらハルやんか。
えっ、まさかコレ?』
大将がニヤッとしながら小指を立ててみせた
『おっちゃん相変わらず下品丸出しだなぁ
まぁそんな所が好きなんだけどさ
ちゃうよ
この人はお客様
待ち合わせみたいだよ』
あたしが慌てて店内をのぞくと奥の座敷からくるくる巻き髪のまみちゃんが立ち上がった
あたしが前に出ようとするとまみちゃんはお店のスリッパを履いて怒った顔で近づいてきた
『もぅ!おっそいよ!みんな先に始めちゃってるよ~仕事なら仕事で遅くなるってちゃんと伝えてよ』
『お兄ちゃん!』
え?お兄ちゃん?
あたしじゃなくて?
隣にいたイケメン2号は
『ゴメンゴメン
ちょっとトラブってさ。
松田と立石はもうきてんだろ?』
『うん来てるよ
兄ちゃんがいなかったら仕切る人がいないじゃん~
うちらもさ…』
そう言いかけてまみちゃんがあたしの存在に気づいた
『ちょっと…
兄ちゃんまさかコンパに女連れてきたの?
ありえないんだけど』
まみちゃんがイケメンを軽く睨んだ
『ちゃうって
ちょうど一緒に入っただけ
荷物もってあげてんの』
二号が手に持っていた紙袋をあげてみせた
『あの
あたし山川ですけど…』
あたしが恐る恐るまみちゃんに言うと
まみちゃんは一緒間を置いて
『え?
うちの会社の?
経理の?
眼鏡の山川さん?』
お久しぶりです💖 手の具合はいかがですか?作品、楽しく読ませていただいております。モモンガさんの作品はいつも心があたたまり忘れていたものを思い出させてくれます。山川さんのこれからの展開が楽しみです。それにしても、イケメン二人とはうらやましい😲
なみえさんへ🌱
うわ~い😺
なみえさんだ🌱
またまたまたまた!お会いできて嬉しいです!
山川さんはどんどん不思議な展開になりそうです(泣)
イケメンに出会ったり
自分に自信をつけたりしながら弘美がみつける『本当の幸せ』とは何か?
私も楽しみです😺💦
きらきらぼし以上にロングランになりそうな予感です💧
またよかったら遊びに来てくださいね🌱
なみえさんと話せて嬉しかったです🙇
ももんがより🌱
奇妙な間が空いた後に横であたしたちを見ていたイケメンが
『何?同じ会社なんか?世間は狭いなぁ』
笑って言ったがまみちゃんはそれを無視してあたしの手をひいて奥の座席に連れ込んだ
『ちょっ…
ちょっと待って
あいたた』
前のめりになりながらお座敷の入り口につくとまみちゃんはおもむろにあたしに抱きついてきた
『山ちゃん!
カッコいい!やるよね~!
まさかこんなサプライズを用意してくるとは』
座席でサラリーマン二人とビールを飲んでいた河村さんが慌ててグラスを置いて口元をハンカチで押さえた
『…え!?
山ちゃんて…
この子山川さんなの?
あら~また凄い変わりようね…
経理の事務さんからしっかり女の子に変身しちゃったじゃない
よく似合ってるけどあんまり変わったから驚いちゃった』
河村さんとまみちゃんは何でかあたしの変身を喜んでいるようだ
座敷に座っていたサラリーマン二人も軽く頭を下げながらチラチラあたしを見ている
『あのさぁ
あんまよくわかんねぇけど、知り合いならすわんない?
時間もねえしさ』
そう言うと二号はあたしの荷物を座席に置いて靴を脱ぎ始めた
『やまちゃん!
やまちゃんも早く上がって♪』
あたしは言われるがままに席の真ん中に鎮座した
『さて♪みんなこれで揃いましたね♪
それではただいまよりニッソン自動車のみなさんと
かわいこちゃんチ―ムの親睦会を始めたいと思いま―す♪』
まみちゃんがいつもにましてキラキラした可愛らしいネイルをつけた手でグラスをもった
『ちょっとアクシデントがあったりして遅くなりましたが楽しく飲みましょう!
ではみなさんカンパーイ!』
二号の号令で一気にグラスの音が豪快に響いた
あたしがビールに少し口をつけると右となりにいた河村さんが少し赤い顔で話しかけてきた
『しかしまぁ寒い時期にばっさりいったわね
まさか今日の為に?』
あたしは首を左右に振ると今日体験した大まかな話をした
カットモデルに誘われて
服を選ぶのを店員さんに手伝ってもらった事などだ
『へぇ―
そんな気のきく美容室ならあたしも今度いってみようかしら』
『じゃあまみもまみも♪
こんなに山ちゃんを変えた美容師に興味ある~♪
まみ、まだ美容師と付き合った事はないんだよね♪
兄ちゃんは昔にあったよね、あれってさ…』
まみちゃんが二号に話をふりはじめるとみるみる表情が固くなっていった
『こら、バカまみ
余計な話はいいからつまみ!
みんなにとったれよ』
『あっ
すいません、あたしとりますね』
あたしが中央にあった小皿に手を出すと正面に座っていたサラリーマンがあたしの手を遮った
『いいよいいよ
女の子達は座ってて、何か嫌いなものとかある?』
ルパン三世ばりの揉み上げ兄さんが話しかけてきた
『俺は松田
ニッソンにいながら松田ってね』
『しかも俺ら営業だからいつもからかわれるんだよね
はいどうぞ』
ルパンがおつまみを少し盛ってくれたのであたしはそれを受け取りまみちゃんの前に置いた
『わ~♪松田さんって気がききますよねっ
まみってトロイからいつもお兄ちゃんに叱られちゃうんですよね~♪
松田さんみたいに気のきく優しい彼氏ほしいなぁ♪』
まみちゃんはそういうと両手を絡ませてアゴのあたりでほおずえをついてみせた
すげぇ
目がキラキラしてる
あたしにはあんなセリフ吐けない…
まみちゃんはルパン狙いなんかな…
ルパンもまんざらじゃなさそうな顔で仕事の話なんかをしながらマイト―クを膨らませている
更にその隣の地味めの眼鏡くんはさっきからしきりに携帯をいじっている
あまりお腹もすいてないのかお皿の位置もあまり変わっていないようだ
『ちょっとトイレ行ってくるね』
河村さんがフラフラと立ち上がった
顔は赤いがなんとか大丈夫そうだ
あたしは空いたお皿を回収すると新しいお皿の補充を店員さんに頼んだ
あたしが目の前にある小皿から枝豆をヒトツマミすると二号が話しかけてきた
『なぁ
まみが言ってたコンパ初心者ってあんた?
そんな気を使わなくてもいいよ
まみはバカだからほっとくとして、いつも会社で気を使ってんだから今日位は楽しく飲もうぜ』
『いやいや
そうは言われてもあたし…つい
こういうのやっちゃうんですよね
習性というか…
習慣というか…』
『ふ―ん…
あんた面白いな、彼氏とかいないの?』
『いたら…
きませんよ、他の人と飲みになんて』
そう言って口をつけたビールを半分飲み込んだ
しかし内情はドキドキして会話に困るばかりだ
『彼氏いるの?』
みんなにしたらこの日常的な会話すら
あたしには
『俺と付き合わない?』
位に聞こえてしまう
すいません
免疫がないんですぐ妄想しちゃうのかも
あたしは室内の熱気で曇った眼鏡を一度はずすとレンズを軽く磨いた
ふと指先にバラの花びらがあたった
人の財産がわかる眼鏡…
いやいや。
そんなの覗いちゃいけないよね?
他人の財産なんて…
他人の…
収入…
あたしは喉をごくりとならすと目の前に座っている三人を見比べた
左側には携帯をさかんに打つサラリーマン
見た目は30前後
紺色のス―ツにチェック柄のシャツ
まだ一言も買わしていないが使われたおしぼりもきっちりたたまれているし
ひょっとしたら几帳面?なのかも…
真ん中はまみちゃんお気に入り?
の松田さんことルパン
明るいグレーのス―ツにピンクと白のストライプのシャツをきてネクタイはもうはずしてかなりリラックスしている様子
多分平均的にモテそうなタイプだと思う
そしてまみ兄
眼鏡くんと同じく紺のス―ツにチェックシャツ
さっきもおじさんから助けてくれたしあたしにも話しかけてきてくれる所をみると意外に気ぃ使いなのか…
三人の中では一番体格ががっしりしているように見える
さてここで問題です
この中で一番お金持ちメンズはだ―れだ?
あたしはまわりを見回してからお茶を一口のんで改めて三人を見た
場の雰囲気もあるが髪の毛を切った位で勢いづくあたしを誰か止めて(泣)
しかし好奇心が先に立ちあたしは右のフレームに手をかけた
『カチッ』
音がした瞬間
あたしの横をスッと横切る大将の頭に三桁の数字が見えた
‐125
えっ
初めてのマイナス表示
借金や損失がある人にはマイナスがつくのね
あたしは辺りを見回した
どのテ―ブルに座っているサラリーマンも数字の羅列が続いている
すごい
あたひの左隣でいつもより何オクターブか高い声をだしているまみちゃんがこの機能をしったら間違いなく一番高い数字の彼の前で
『ここ、いいですかぁ?』
なんてさらっと言ってのけそう
あたしにゃこんな機能使いこなせないよ
そう思いながらルパンの頭に目線を送ると
87
…二桁かぁ
この年で100万ないってのは厳しいね~
意外と浪費家なのか?
なんて思いながら目線は右のまみ兄へ
ちらっ
『えっ!!』
あたしは思わず声をあらげてしまった
みんなは何事かと思い『山ちゃんお茶なんかで酔わないでよ』と一気に笑いだしたがあたしの目だけは緊張で笑えない
マイナス
マイナス1000
マイナス1千万!!
何事か!まみ兄!!
同じ兄妹なのにまみちゃん何もしらないのかなぁ…
ってまぁ
しっかり確かめたわけもないからウカツに口には出せないんだけどね…
でもさ、これが本当ならばえらいこっちゃ!
こんな所で呑気に飲んでる場合じゃないじゃんか
あたしがまみ兄の頭をずっと見ていると
『何?俺に視線集中じゃん
恋はするなよ山川
火傷しちゃうぜ』
お笑いの狩野ばりにイケメン顔で笑いをとっていたが
借金一千万のまみ兄の火傷には絶対会いたくないよ
こっちからお断りさ…
こんなに元気で笑ってるまみ兄の身に何があったのか…
ちょこっと興味はあるけど知ったからってあたしには何にもしてあげられないしなぁ…
株かなんかで損したのか…
だまされて取られたか…
どっちにしても何にしても何だか意外な結果だったなぁ…
あたしを見てにんまり手を降るまみ兄は外見からは想像もつかない借金をお持ちだ
あたしはもう一度お茶を飲み視線を左へとゆっくり移した
まみ兄を見て
ルパンを見て…
うつむきながらお新香をつまむ眼鏡君とバチッと目があった
にっこり笑いながらあたしは頭の上の数字を数え出した
あれ?
あれ?
この人何かおかしいよケタが多い…
154025
六桁…
万…
十万…
百万…
千万…
億万…
じゅうごおくえん…
15億!!!!
あたしは目を見開いて口を押さえた
ビックリを通り越して不思議な気持ちになっていた
だって億万長者なんて見たことないよ
宝くじだって当たった事もないし…
『凄い…
億…』
あたしが呟くとすかさずまみちゃんが反応を示した
モモガ―☆さん
はじめまして🙇
ももんがといいます
山川さんのお話をお読み下さって有難うございます
長らくお休みですいません💦
実は以前手術をした右手の腫瘍ですが再発したらしくかなり痛くなってしまいました💦
まだ手術したばかりなのでまだ開けることはできず
痛み止めだけ飲んでます😿
すいませんが今しばしお待ち気ださいませ💦
また遊びにきて下さると嬉しいです🙇
有難うございました🌱
ももんがより
モモンガさん😃
お久しぶりですよね😥
違ったらごめんなさい🙇
きらきらと弘美さんを読ませて頂きました😃
きらきらは…泣いちゃいました。心のあったかくなって泣きました。
本になったら絶対買います🙌
弘美も面白くて先が気になります😃
手は大丈夫ですか😥
書けるようになったら、また書いてください👋
楽しみに待ってます。
ではo(^-^)o
- << 98 笑い袋さん🌱 長々とおまたせしました🙇💦 まずはお詫びさせてくださいね ああ💦 すっかり日もくれて夏間近になる季節に なってしまいました ての方もずいぶんよくなりましたし 環境もととのいつつあるので もう少ししたら また休止中の山川さんのお話も書いていきたいと思っています もうしばらくお待ちくださいね😺🌱 ももんが 最近ヘルパー目指して講習をうけております 介護について学ぶたびに 人はひとりじゃ生きていけないなぁ 助けたり 助けられたり 学んだり与えたり でも なかなかその笑顔の裏の本心には触れられません ももんが 今まで生きてきてたくさんの人の手を借りてきました 今度はももんがが両手両足 背中も肩も 全部使って返していきたいなぁ そんな風に思っています 笑い袋さん 私もそんな名前のように色んな事を笑い飛ばせる人間になりたいです😺 また良かったら遊びにきてくださいね🌱 ももんがより🌱
>> 94
モモンガさん😃
お久しぶりですよね😥
違ったらごめんなさい🙇
きらきらと弘美さんを読ませて頂きました😃
きらきらは…泣いちゃいました。…
笑い袋さん🌱
長々とおまたせしました🙇💦
まずはお詫びさせてくださいね
ああ💦
すっかり日もくれて夏間近になる季節に なってしまいました
ての方もずいぶんよくなりましたし
環境もととのいつつあるので
もう少ししたら
また休止中の山川さんのお話も書いていきたいと思っています
もうしばらくお待ちくださいね😺🌱
ももんが
最近ヘルパー目指して講習をうけております
介護について学ぶたびに
人はひとりじゃ生きていけないなぁ
助けたり
助けられたり
学んだり与えたり
でも
なかなかその笑顔の裏の本心には触れられません
ももんが
今まで生きてきてたくさんの人の手を借りてきました
今度はももんがが両手両足
背中も肩も
全部使って返していきたいなぁ
そんな風に思っています
笑い袋さん
私もそんな名前のように色んな事を笑い飛ばせる人間になりたいです😺
また良かったら遊びにきてくださいね🌱
ももんがより🌱
なみえさん🌱
お久しぶりです😺🌷
わ~い🌱なみえさんとまたお話できて凄く嬉しいです
なみえさん🌱
私さっきも笑い袋さんに書いたんですが
今
介護の勉強中です
ももんが介護を少し間違った解釈でとらえていました
介護って
足りないところに手を貸すんじゃなくて
足りないことをどうしたいのか引き出したり
できる方法を探すお手伝い
なんですね
オムツやトイレを介助したり
食事や着替えを介助したり
話を聞いたり
相談したり
はなしあったり…
勉強すればするほど目の前の悩みが
ちっぽけに思えてしまうから不思議です
なみえさんは近況で何か変わった事がありましたか?
私は某メーカーのエッセイに入賞しまして来月公式HPに文章が載るんですが
悲しいかな実名掲載があるのでここでは㊙です💦
でも思いがけず頂いた賞に胸がワクワクしています🌱
なみえさん
また良かったら遊びにきてくださいね🌱
待ってます🌷
ももんがより😺
ミイさん🌱
ありがとうございます😺ももんがです🌱
手の方はもう大丈夫です
ご心配かけました🌷
ももんが
8月にはもう少しちょくちょく遊びにくるつもりです😺
7月は自己都合でなかなかこれませんがしばらくお待ちくださいね💦
ミイさんは最近何かいいことありましたか?
また良かったらこちらにも遊びにきてくださいね😺🌷
待ってます~🌷
ももんがより🌱
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