歪んだ恋愛 第2巻
今年で30歳。
未だ独身。
これまでの恋愛を振り返っています。
第2巻は平成17年11月、26歳になったばかりのストーリーからです。
それ以前の歩みに関しては、別スレの『歪んだ恋愛』をご覧下さい。
尚、感想スレを立てておりますので、ご感想を頂ける方がいらっしゃいましたら、そちらにお願い申し上げます。
スレタイ
歪んだ恋愛~感想スレ~
タグ
恋愛、彼氏、sex
一発検索で『歪んだ恋愛』で検索かけて頂くとヒットします。
もしくは下記のコードをクリックすると感想スレに飛べますので、宜しくお願い申し上げます。
http://mikle.jp//story/dispthread.cgi?th=3519
第2巻もどうぞ宜しくお願い致します。
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“不倫彼が家へと帰る切なさ”はよくドラマや歌等で目にするが、本当にあの瞬間ほど“彼が既婚者である”という事実を改めて思い知らされる時はない。
例えばホテルや車など部屋の外で会い、別々の場所に帰るのならばまた違った感情を持てたのかもしれない。
ついさっきまで自分の部屋に居た彼が、生々しい香りや温もりを残し、私一人がその部屋に取り残される……。
そして彼が安心して奥さんの待つ家へと帰れるように、泣いてすがりたい気持ちを押し殺して彼の背中を見送る。
精一杯の強がりで“私は大丈夫”と言わんばかりの笑顔を見せて…。
ドアを閉めて一人きりになった後、彼の余韻と残像に包まれた部屋で一人夜を明かす……。
“無事についたかな?”そう思っても、家に着いているかもしれないと思うとメールの一つも出来ない。
一人残された部屋で寂しさは募る……。
だが、きっとその“寂しさ”が、より真吾を好きになる役目をしていたのかもしれない…。
まだその頃は、どちらかの勤務が休みの時は会ってなかったし、連絡も取り合っていなかった。
11月28日、私は休みで翌日真吾は転勤が決まっていたホテルでの忘年会が勤務後に予定されていた。
従って2日は会えないというのが前もってわかっていた。
しかし、たった2日間会う事が出来ないだけで“この世の終わり”の様に感じてしまう程に切なかった……。
会えないとわかっていても“もしかしたら真吾から連絡があるかも…”という期待をしてしまう自分が悲しくて、そんな期待を断ち切る為にその2日間は携帯電話の電源をOFFにした……。
29日も終わり、日付が変わって30日の午前1時頃。
自分自身への抵抗に耐えきれなくなり、メールのチェックだけしておこうと電源を入れた。
その時…。
真吾からの着信があった。
『もしもし?!
大丈夫?!』
焦った様子の真吾を不思議に思いながら
『うん…。
大丈夫だけど、どうしたの?』
と答えた。
どうやらずっと携帯が繋がらなかった私に、何かあったのではないかと心配していたようだった。
そして、
『今から行くから。』
と言い真吾は電話を切った…。
今から真吾が来る…。
こんな夜中に……。
きっと奥さんには“忘年会で酔ってて帰れないからどこかに泊まる”とでも言ってたのではないだろうか。
当時の私は奥さんの心情を想像する事さえ出来ず、ただこんな夜中に車を飛ばして1時間もかけて私に会いに来てくれる嬉しさでいっぱいだった。
それまでモノトーンに見えていた部屋が、一気に色鮮やかに変わった気がした。
私は急いでシャワーを浴び直し、化粧をした。
簡単に部屋を片付けると、真吾がやって来た。
私は黒いロングキャミソールにカーディガンを羽織って、玄関のドアを開け真吾を迎え入れた。
時刻は午前2時を過ぎていた……。
“不倫相手たるものは生活感に負けるべからず”
これは清志との関係で学んだ教訓だ。
もしこの先結婚したとしても、常に心がけてゆきたい事でもある。
不倫とは、非日常を提供するモノである。
いくら私にも生活があるとはいえ、夜中の2時にわざわざ来てくれる真吾を化粧もせずにパジャマ姿で迎える訳にはいかない。
常にセクシーさを意識して、部屋着も下着に近いような物ばかりだ。
決して生活に追われた姿を男性には見せたりはしない。
それが私なりのポリシーになっていた。
化粧をしている私を見て真吾は
『そんなの、しなくてもいいのに…。』
と言った。
アロマキャンドルの香りの私の部屋に入り、しばらく話をしたが、やはり夜が明ける前には家に帰ると言う。
『見送らせるのはあまりにも可哀想だから、百合子さんが寝るまで側に居るから…。』
と真吾は言い、ダブルサイズのわたしの布団に一緒に入った。
一枚の布団に入り、真吾が直ぐ隣に居る……。
そんな状況で眠れる筈もなかった。
息がかかったらどうしよう……と、息を吐き出すのにも気を使った。
まるで初体験の時のような気持ちだった…。
布団を頭まで被り、真っ暗で真吾の顔も見えないが、向かい合い真吾の息が私の顔に当たる程の距離だった。
ふいにおでこがぶつかり……私は俯きがちだった顔を静かに上げ、目を閉じた…。
真吾もまた、そのタイミングを理解していたようだった。
初めて真吾とキスをした…。
何とも言い様のない、胸の奥からこみ上げてくるような愛しい気持ちに包まれた。
その後、なかなか寝付けない私の隣で真吾は何を考えていたのだろう…。
夜明けが近付き、私が早く眠りにつかないと真吾が帰れない…。
そう思った私は真吾を家に帰す為に、眠ったフリをした。
真吾は私が寝たと思ったのか、そっと布団から出て、パタンという玄関のドアが閉まる音を私はまだ真吾の温もりが残る布団の中で聞いた……。
真吾が帰った後、私は眠りについた。
数時間後目覚めると、昨夜の事は夢だったのではないか…と思ったが、まだ唇に真吾の感触がリアルに残っていた……。
一緒に居るようになって、1ヶ月と少し…。
初めて真吾の唇を感じた。
それまで付き合ってもない男と知り合って直ぐにsexをしていた私とは、全く別人だった。
キスするまでに1ヶ月もの時間を要するなんて、考えられなかった…。
ゆっくりだが、確実に真吾との距離は近くなっていた。
真吾の転勤は決まっているが、時期はまだ確定していなかった。
転勤先は真吾が家族と暮らすマンションから、ほんの10分程のシティホテルだった。
転勤してしまえば、きっと今の様に会えなくなってしまうし、私の事など気にもしなくなってしまうのではないかと思っていた。
いつ会えなくなるかわからないから、今の時間を……そして真吾との関係を大事に大事にしていこう。
そう思った……。
その2日後。
その日は道の駅の駐車場で会った。
12月5日、真吾は先日とは別件の忘年会の予定があると言う。
忘年会の会場は私のアパートの近くだった。
『その日忘年会でお酒飲むから、家に帰れないんだ。
……百合子さん、泊めてもらえる?』
真吾からの突然の申し出だった。
私は二つ返事で承諾した。
『でも、この前も忘年会行ったし、俺あんまりああいう場が得意じゃないから早々に切り上げて行くよ。』
『じゃあ何か食事の準備しておこうか?』
『いいね、じゃあ12月だしお鍋にしよう。』
という約束が交わされ、私は三日後の12月5日が楽しみになった。
真吾が泊まりに来てくれる……。
想像しただけで、心臓が破裂するのではないかと思う程に鼓動が激しくなった。
『言っとくけど、何もしないからね。』
と真吾は何度も私に言った。
真吾の車に乗り込んだのは、その時が2度目だった。
先日ルームミラーから私を凝視していた奥さんと娘のプリクラは、その時には無かった……。
私を車に乗せる事への配慮だったのだろう。
真吾とそんな話をして舞い上がったのも、一瞬だった。
その日も真吾の携帯は鳴り出した。
6年の結婚生活で、真吾のこの様な行動は初めてだった。
遅い帰宅時間…。
帰宅しても、きっと私との関係が始まる前とは“何かが違う”と奥さんは感じ取っていただろう…。
その日も鳴り止む事のない奥さんからの電話に、私の心は揺れた…。
やっぱり終わらせなきゃいけないのかな…。
もう会わない方がいいのかな…。
静まり返った車内に気まずい空気と鳴り響く奥さんからの着信。
真吾もまた私と家族の間で揺れていただろう。
着信音が鳴り止み、しばらく無言が続いた後、切なくなった私は真吾にキスを求めた。
この前とは全く違う…。
激しく…まるでお互いの気持ちを確かめ合うようなキスだった。
“好き……好きなのに”
というお互いの気持ちが十分過ぎる程に伝わった。
その翌朝だった。
真吾から一通のメールが届いた。
【本気になってしまった。
いつか俺達が離れる事になるかもしれないけど、一生思い続ける本当に大好きになれた女性に巡り会えた。】
奥さんからの電話は、真吾を家庭に引き戻したのではなく、皮肉にも私達の思いをより強くさせた…‥…。
“いつか俺達が離れる事になるかもしれないけど…”
その言葉が意味するように、好きだという気持ちはあるが最終的に選ぶのは“家庭”だという事を示唆していた。
私もまだその時は、真吾と同じ気持ちだった。
“真吾は家庭へと帰る”
そう認識していたからこそ、無理は言わなかった。
ずっと一緒に居られる訳はない。
でも少しでも長く一緒に居られるようにと願っていた…。
そして…。
12月5日がやって来た。
その日、私は朝のバイトだけ行き午後からの本業は休みをもらっていた。
13時に喫茶店のバイトを終え、お鍋の食材を買い部屋の掃除をした。
お鍋は“水炊き”にした。
つけダレは以前清志に教えてもらった、最強のレシピがあった。
清志のレシピを使う事に少し抵抗はあったが、そのつけダレは本当に美味しくて、私の自信のタレになっていた。
夜9時半を過ぎて、真吾が私の部屋のドアをノックした。
一気にテンションが上がり、笑顔で出迎えた。
『知り合いのソムリエに聞いたら、“水炊きには白ワインが合う”って言ってたから…。』
と真吾は私の好きなシャルドネのワインを手土産に持ってきた。
『もう少しだから、そっちで座ってて。』
と真吾をリビングに通した。
リビングには先日購入したばかりの洋楽のオムニバスCDを流していた。
リビングに入るなり真吾は驚いた様子で
『え!?何で??
この曲?』
と言ってきた。
『この前買ったばかりのオムニバスだけど…。』
と答えると曲名と歌手を尋ねてきた。
どうやら以前一度耳にして気に入ったものの、曲名も何もわからず何年も探していた曲だったそうだ。
『え~、マジで?!
ずっとこの曲探してたんだよ!
すごい!!』
と本当に偶然にも真吾がリビングに入った時に流れていた曲が、ずっと自分が探していた曲だった事にひどく感激していた様子だった。
その時流れていたのはMONICAの“Before you walk out of my life”だった……。
今思えば、本当に偶然にも…そして皮肉にも感じる。
題名から想像できる通り、失恋ソングだ。
“あなたを傷つけるつもりなんてなかった。
ただ、前の様な二人に戻りたいだけ…。
あなたが去っていくその前に……。”
この歌詞は未来の奥さんと私の気持ちを表したものに近いような気がする…。
ずっと真吾が探していた曲が私の部屋で流れていた、そして私が好きなシャルドネを偶然持ってきた真吾……。
お互い驚く程の“偶然”を“運命”だと感じる事は容易な事だった。
真吾とは出会った時からそんな“偶然”がついて回っていた。
それをいつしか“運命”だとお互いに感じるようになっていたのだろう。
真吾の手土産のワインとお鍋で、二人の初めての夕食が始まった。
初めて二人でとった食事は、とても楽しく穏やかな時間だった…。
そして午前1時30分頃、布団へ入った。
真吾が左、私が右側…。
『何もしないからね。』
そう何度も言っていた真吾だが、結局初めて二人はその日結ばれた…。
私もそれを望んでいた。
それまでどれだけの男と体を重ねてきただろう。
他の男とは全く違う…。
それまでに味わった事のない程の快感……。
そして安心感……。
こんなに愛情を感じたsexは初めてだった。
不倫だからだろうか?
いや、清志の時には感じなかった“愛情”…。
彰の時には感じなかった“安心感”…。
勝彦の時には感じなかった“満足感”…。
している行為は同じなのに、体も心も私の細胞一つ一つ全てが満足していた。
求めても…求めても尽きることの無い欲望の波が押し寄せてきた。
もっと……もっと…。
もっとこの快感と安心に包まれていたい…。
結局。
1時30分に布団に入ったが、一睡もする事無く朝を迎えて真吾は7時前には私のアパートを後にした。
その日一日、私は真吾の余韻に包まれていた…。
初めて結ばれた夜、“避妊具を持ってない”と言う真吾に、私はピルを飲んでいる事を話した。
これでその事を打ち明けたのは4人目だった。
彰は体の事を心配して止めるように言った。
清志は自分の体をちゃんと守るように考えてる私を偉いと言った。
sexだけの関係だった京介に関してはじゃあ大丈夫だね、と言った。
そして真吾は……。
その3人と全く違う反応だった…。
『子供が出来なくなる薬を飲んでるなんて…。
どうしてそんな悲しい事をするの?』
ととても悲しそうな目で私を見つめた…。
今から入れるぞという時に、“ピルを飲んでるから避妊しなくてもいいよ”と言われたら、男性はどう思うのだろうか…。
是非男性に聞いてみたい。
sexも今から挿入して最高潮を迎える…。
そんな時に、とっさに演技をして彰の様に彼女の体を労る言葉が出るのだろうか。
とっさに真吾の様に何故そんな事をするのかと、質問したり出来るのだろうか…。
私はこの4人の反応は、それぞれの本音だったように感じている。
そして真吾のその言葉から、いかに真吾が子供に対して愛情深いのかを感じた…。
真吾にとって、子供が出来なくするという行為は“悲しい事”だと感じていた…。
それはいかに真吾にとって、子供が大事なのかを意味しているように受け取れた。
真吾の携帯電話の待ち受け画面は愛娘の写真だったし、メールアドレスも愛娘の名前だった。
真吾からメールが届くのは嬉しかったが、その都度子供の存在を感じていた…。
会社の飲み会が急に入っても、直ぐに参加の返事はせずに
『奥さんに聞いてみないと…。』
と言って行ってもいいかどうか許可をとってから返事をしていたのを知っていた。
真吾にとって、家族というのは物凄く大事でかけがえのない存在だったように思う。
しかし、そんな大事な存在をも私は真吾から取り上げてゆく事になる…。
体の関係になってからは、より離れる事が出来なくなっていった…。
こんなにも心も体もぴったりと合う人が、この世の中に居るんだと何千回思っただろう。
それは真吾も同じだった。
『こんな人居るんだ…。』
と幾度もお互いに不思議に思い、そう言い合った。
会えば気持ちは高ぶり、好きな気持ちは大きくなり張り裂けそうになる。
しかし真吾が休みの日は、連絡も一切取れずに家族仲良く過ごす真吾を想像し、今度は切なさで胸が張り裂けそうになる……。
そんな毎日の繰り返しだった。
結婚生活を継続してゆく中で、他の人に心が向いてしまう事もあるだろう。
だがやはり結婚とは生活の基盤であり、私は真吾の人生に彩りを添える為に存在しているにすぎないのかもしれない…。
そういう思いを真吾の休みの度に感じていた。
🌱主より🌱
ご覧下さっている皆様、この度は突然更新が止まってしまい、ご迷惑をお掛け致しております。
感想スレをご覧になり、ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、一旦休止に入りたいと思います。
今、このまま書き続けるかどうか悩んでおります。
本当に中途半端な所で、又私の勝手で皆様に残念な思いをさせてしまいまして申し訳ございません。
心よりお詫び申し上げます。
そして、お知らせが遅くなりました事重ねてお詫び致します。
再開の目処はまだたっておりませんので、はっきりとお伝え出来なくてすみません。
ここまで支えて見守って下さった皆様に、心からの感謝とお詫びを申し上げます。
🌷🌷皆様へ🌷🌷
ご覧頂いてます皆様、この度は本当にご迷惑をお掛けしてしまいました事、大変申し訳なく思っております。
また、感想スレにレスを頂戴しました皆様方、本当に心温まる優しいお気遣いを賜りまして目頭が熱くなりました。
いくら感謝の言葉を並べても足りません。
今、感想スレの②を立てましたのでご案内致します。
紆余曲折する私の背中を温かく押して下さる皆様の為に、自分自身の為にフェードアウトは出来ないという思いでおります。
新感想スレの作成は小説継続の意志でもあります。
再開については、申し訳ございませんがもう少しお待ち下さいませ。
もし続けてご覧頂ける方がいらっしゃいましたら、宜しくお願い申しあげます。
↓新感想スレ↓
スレタイ
歪んだ恋愛~感想スレ②~
タグ
恋愛、彼氏、sex
http://milke.jp/story/dispthread.cgi?th=4117
🌷🌷皆様へ🌷🌷
小説の更新をお待ち頂いてます皆様、長らくの休止で大変ご迷惑をお掛けしております。
小説を書いてゆくにあたり、不快に感じる方が沢山いらっしゃる事は十分承知しておりました。
しかしそれでも全てを書いて自己改革をしたいという思いで貫いてまいりましたが、皆様を不愉快な思いにしてまで続けてよいのか…という迷いがありお休みを頂いておりました。
完結する事で意味がある小説ですので、自分勝手かもしれませんがまた更新を再開する事にします。
現在は仕事が繁忙期を迎えておりますので、仕事が落ち着くお盆明けの更新再開を予定しております。
仕事が落ち着いて心身共に万全になるまでは、過去にさかのぼり当時の感情を書き綴る事は難しいので、お盆明けまでは感想スレにご意見を頂戴しました皆様方に、少しずつですが御礼をさせて頂いております。
長らくの不在、そして私の不行き届きで皆様には大変ご迷惑とご心配をお掛けしました事を深くお詫び申し上げます。
来週からまた宜しくお願い申し上げます。
百合子
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