注目の話題
この年でもう手遅れかもしれないけど
美人や可愛い子は恋愛で苦労しない
小学生が転校せずにのぞみで通学

  ~~背徳~~

レス30 HIT数 4190 あ+ あ-

詩人知らず( mxeFh )
08/04/04 13:09(更新日時)

人はその限りある人生の中で



幾度の



恋に墜ちるのだろう?


その中で



どれ程



【本気】と思える相手と出会えるのだろうか―――



【本気】の恋もいつかは



終わる。



始まりがあれば終わりがある。



人は産み落とされた瞬間から



死に向かって 歩んでいる。



何人も坑う事など出来はしない。



だからこそ



誰かを



命ある限り 愛そうと言うのだろうか?






笑わせるな。



そんなもの



幻想に過ぎない―――。




――――――――――――――


―――――warning―――――


『恋愛人生』


柏木 尚之


の 高校時代のお話しです。




少々猥雑で性的描写を
含む可能性がある事を
御理解下さい。


自己責任に於いて
読み進めて戴きますようお願い致します。


感想などは 『恋愛人生』へお願い致します。

何卒、ご了承下さい。

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No.925697 08/02/28 10:03(スレ作成日時)

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No.1 08/02/28 10:28
詩人知らず ( mxeFh )

   ~~~序章~~~

――――――紫―――――――





立ち上ぼる煙 その行方を見詰めながら



煙草の煙は灰色なのに



何故 紫煙とよばれるのだろう?








下らない事に 思考を 馳せていた―――。








初めての 口付けは



中学生の頃だった。




と 記憶 している。




表現が 極めて 曖昧なのは





どれが それかは もう
今となっては 特定し難いからだ。





ただ―――




一つだけ





忘れる事の出来ない





切り取られた





フレームが存在する。







それは 永遠に 色褪せる事の無い






モノクロな世界―――。

No.2 08/02/28 11:25
詩人知らず ( mxeFh )

>> 1 誰も いない 放課後の教室。



水を打ったように静まり返った空間に



今 目の前の女と二人きりだ―――。



まるで この世に 二人しか 存在しない錯覚に襲われる。






何を 思ったのか。 


突然  学ランの襟元を



引き寄せられた―――…




気が付くと



長い髪が ハラリと顔に落ちていた。



くすぐったい。




机の上に 押し倒された様だ。




思わず 笑いたくなるのを堪えるのに 必死だ。



今まで 女を押し倒した事は 数え切れない。



女に押し倒された。



その事実が、



可笑しくて 仕方なかった。



繊細な指先が 唇をなぞる。



されるが ままになっている。




たまには こういうのも 良いか。

などと ボンヤリ天井を見つめていた。




こうなった事は 偶然ではあっても 必然ではない。


その蓋然性。




未だに 残る 彼女の残り香に




その感触に。




深く 深く ―――




傷付けられたのだろうか?




傷付けたのだろうか?




まぁ、どちらでも構わないだろう。


その時は そう思っていた。

No.3 08/02/28 12:46
詩人知らず ( mxeFh )

>> 2 『おっ。尚ちゃ~~~ん。』


出た!


いつもの様に屋上で、煙草を咥えたばかりだった。


まるで語尾にハートマークでも、付いているかの勢いだ。



どうしてこの人はそんなにオレに構うのだろう?


全く持って謎だ。


こんなオチャラけた男が生徒会長で大丈夫なのだろうか?




本気でこの高校の行く末を心配しそうになる。



入学して三ヶ月だと言うのに 早くも先行きは不安だらけだ。



『まぁ~た。君はぁ、こんな体に悪いもん吸ってぇ。
イケナイ子だねぇ。』



そう言いながら、オレの手にしている煙草の箱から 一本抜き取り。
その目でライターを催促する。



ホントに大丈夫だろうか?この男。

今度は先輩である
片杉 透の将来を案じてしまう。



元はと言えば


入学早々 此所で喫煙を見付かったのが、運の付きだった―――。


それ以来何かとオレに纏りついてくる。


別段注意する訳でも無く。取り留めのない事を常に話し掛けてきた。


一人の静かな時間を持ちたいとの 想いは儚く打ち砕かれたのだ。


しかし この男を嫌いではなかった。


とは言っても―――


この先、大学も就職先も同じになろうとは
この頃思いもしなかったのである。

No.4 08/02/28 21:58
詩人知らず ( mxeFh )

>> 3 『 お前さぁ 何でいつも そんな冷めてんの?』


いや、いや あなたが無意味にハイテンション過ぎるだけです。


そうは思っても 口には出さない。


『高校一年生だろう?青春
 真っ直中じゃん?

 前向きに人生を

 一緒に謳歌しようぜッ 』


一緒に踏み外そう の間違いでは?


丁重にお断りさせて頂きます。


いかがわしい 宗教団体かの様に 《前向きさ》を全面に押し出してくる。



別に冷めている訳ではない。


ただ 今を 懸命に生きる事に意味など見出すつもりは無かった。



『 今 迷惑だなぁって 思ってるだろ? 』


迷惑に気付いていながら 迷惑行為を止めない事に 迷惑しております。


『……別に』


冷たく言い放つ。




落ち込んだ様だ。


分かりやすいくらい 


シュンとする。


見ていると飽きない。


ま、心配しなくても 


すぐに忘れて元気になる。



どこからそのバィタリティーが湧いてくるのか?


そのエネルギーをオレにではなく 他の事に使ってくれと常々願って止まない。



『尚之はさぁ 好きな女とか いないの? 』



突然 一体 何なんだ?

No.5 08/02/29 00:03
詩人知らず ( mxeFh )

>> 4 女なら 星の数いますよ。

―――と答えようとしたが…

話しに〔尾ひれ〕を付けて 膨れ上がる事は、容易に想像が付いた為。


『 いません。』


きっぱり答えてやった。


現実問題 恋愛感情ではなく 快楽だけで繋がっている関係だろう。


そこに 何の感情も介入しないか と問われれば嘘になるかも知れない。


だが、燃え上がる様な情熱も やはり存在しない。


「事」が終わると 途端に熱が冷めていく
―――そして そんな自分にも褪めていくのだ…。


『先輩は 恋愛 されていらっしゃるんですか?』


わざとらしく


かしこまった、馬鹿丁寧な敬語で聞いてみせる。



『 してますよぉ。』

目を細めて笑う。


何だ 結局 自分の恋愛話しを聞いて欲しいのか?


しかし 何で こうも嬉しそうにするかねぇ。


恋愛なんて してもしなくても



人生のベクトルにさほど 影響を及ぼすとも思えない。



それとも 何か意味があるのか?



自分以上に相手を思うと言う行為に―――。


想像するのも 面倒な感情に襲われる。



『まだ 中学生なんだ―――』


はぁ?


いや オレも最近まで中学生でしたけどね…。

No.6 08/02/29 02:36
詩人知らず ( mxeFh )

>> 5   ~~~第一章~~~


――――――赤―――――――


   ―青山 千紗―



彼女は外見のその繊細さと

似ても似つかない性格の持ち主だった―――


例えて 言うなら 男の上に乗りながら 別の男と電話できる。


そんな感じだ―――…。


オレとしては 別にそれで構わない。


と言うよりも そのくらいの方が ヘタに重く想われるよりも遥かにマシだ。




そんな女が 生徒会の副会長をしている。



会長と良い………。



この高校を選んだ事を 多いに後悔したくなる―――…。



きっと 此所で学べるのは 勉学などでは、無いだろう。




下世話なテクニックと


邪な感情だけの様な 気さえしてきた。



しかし 彼女も女だ。

人並に恋愛感情を有しているようだ。



俄かには信じ難いが


相手は


あの 中学生に恋していると宣う、変態ロリコン生徒会長だ。



う~ん。



モノ好きはいるもんだ。


変なところに感心してしまう。



そんな女と本来なら、お近付きには 決してなりたくなどない――――ハズだった………。



…にも拘らず、彼女と肉体的に関係を持っていた。


自分の節操の無さを、初めて呪いそうになった。

No.7 08/02/29 14:58
詩人知らず ( mxeFh )

>> 6 【ロリコン】というのは、高校生から見たら だ。


二十歳を超えれば4歳差なんて、普通だろう。


その立場になれば判る事も、今の視点からは気付かない。


片杉先輩のフォーローをし出すと切りがないな。








――――――――――――――


千紗は、色の白い女だ。


その白い肌に 赤い唇はよく映えた。



いっそ 妖艶な程に。


そんな色気あり余る女が どうして先輩に惚れたのかは、謎だ。




彼 曰く 「分かる奴には 分かる。」との事だ。




残念ながら、オレには一生理解できそうにない。




まっ、オレに惚れられても 嫌だろう―――……いや、喜びそうだ…―――こっちの方が嫌だ。







そうそう




唇だ―――。




先輩が絡むと話しが纏まらない。




彼女の赤い唇を見ているうちに、




そういう 関係になっていた。





男と女なんて簡単だ。




所詮 そんなモノだろう?

No.8 08/02/29 19:43
詩人知らず ( mxeFh )

>> 7 授業は驚く程、退屈だ―――。



欠伸を噛み殺す。



表向き 優等生を 演じている為 居眠りなんて論外だ。




んっ?




優等生を演じる理由?



小煩い教師共に 付け入る隙を 与えない為だ。



少しでも 油断しようものなら、したり顔でお説教してくる。



面倒臭い事 この上無い―――…。



例え、授業を聞いている風に見せても 右から左だ。



印象に残る単語なんて有りはしない。



元々、物覚えは良い方だ。



物事の理解能力さえあれば、大概は上手くいく。






『 柏木く ん 』



声を掛けてきたのは、


クラスでも 印象の薄い女だった。



勘違いなどではなく この女はオレに惚れていると肌で感じる。



期末試験前。ノートの提出を要求されているらしい。



【古文】のノートを出せとの事。



生憎、【古文】をノートに写す 趣味はなかった。



佐々木 千夏は困った顔をした。



「全員分を揃えて提出しろ」と、傲慢教師に言われているらしい。


やれやれ、【古文】の教師の癖に 風情の〈カケラ〉もないらしい。



『佐々木さん お願いがあるんだけど…』


爽やか笑顔で、ドス黒いお願い事―――。

No.9 08/03/01 21:29
詩人知らず ( mxeFh )

>> 8 ――――――黒―――――――




彼女に古文の ノートを写させて貰う事にする。



が、彼女が代筆する。


いや してくれる。



オレのする事と言えば



この身体で、彼女に快楽を享受する。



総ては give and take だ

―――…。






初めて だったらしい。




痛がっていたが、最期には自分から 求めてくる始末―――…。




男も女も 一皮剥けば



欲望の塊だ。




【ソコ】に正常な思考や論理なんて 介在を要しない。






透明な密を掬う。






淫猥な笑みを洩らす。





一瞬の快楽に墜ちる。





その瞬間を見るのが





極上の快感。






歪んでる?





そんな事 誰に決められる?

No.10 08/03/01 23:44
詩人知らず ( mxeFh )

>> 9 高校入学と同時に


一人暮らしを始めた。


別段 実家に 不満がある訳では無い。


それどころか 甘やかし過ぎる程 甘やかされている。


「一人暮らしをしてみたい」と言い出した時も 
子供の〈自主性を重んじる〉という名目の元に 快諾された。



親はオレを 品行方正な優等生だと、認識しているのかもしれない。


それとも



知っていて こんな暮らしを させているのだろうか?



―――だとしたら 放任にも程がある。




白と黒のモノトーンで統一された部屋。



殺風景なくらい必要 最低限な物しか、置いていない。



黒いシーツのベッド。



白いテーブル。



黒いソファー。



白いパソコン。



この部屋で暮らし始めて まだ三ヶ月程度。


その間に何人の 女を連れ込んだだろうか?


この頃オレは 


cafeで【ウェイター】のバイトをしていた。


大学生と偽って。


外見の大人びた雰囲気。

加えて、落ち着いた仕草から、疑われる事は まず無かった。

No.11 08/03/02 00:27
詩人知らず ( mxeFh )

>> 10 ――――――白―――――――



そのcafeでの オレのイメージは



自分で言うのも何だが


限り無く無垢な【白】だろう―

――…。



意識する しないに拘らず 周りが持つ印象など 本人に何ら許可無く 一人歩きする。



それを 無理に壊そうとするのも 鬱陶しく面倒なので…



いつの間にか放棄してしまっていた。



他人の印象通りの 人物像を演じるのも それはそれで楽しい。






騙された事に気付いても 離れられない女を見て

愉快犯の様に楽しむ
確信犯なオレは、きっと地獄に落ちるだろう―――。



まっ、死んだ後の事までは 知りはしない。


大旨、興味も無い。



何に対しても無気力な姿勢は

「ガッツいて無い様に見える。」らしいとは 何人目の女の言葉だったろうか―――…?



女に対してだけなら良いが、全てに対してでは かなりの問題を 有していると思い。

苦笑いを返しておいた…。



ホントに このまま逝ったら 花も実も無い人生だな。

代わりに【色】だけは迷惑な程在りそうだが―――…。

No.12 08/03/02 12:39
詩人知らず ( mxeFh )

>> 11 いつも高校のクラスメイトや知り合いの女が来ると

口止めの為に この身を差し出していた。


なんとも 計算され尽くした美味しい【シュチュエーション】


この計算はオレにとってか 女にとってかは、判らないが―――…。


あいつも確か 客として店に入って、来たんだっけ?



店に貼ってある「店員募集要項」とオレの顔を交互に見比べて ニヤニヤ笑い…。


でも 他の女と違ってたのは、その要求だ―――…。


『ふぅ~ん。

柏木くんってサラッと人、騙しちゃう様な子だったんだぁ~~。』


おい。おい。まるで。過去にオレが、あんたを騙したかの様な口振りだな。



青山 千紗はその長い脚を組み。

頬づえを付いて 上目遣いにオレを見ている。


『どうすれば 良いですか?』


いつも通り バレた時は素直に 認めて相手に従う。コレ鉄則。



少し考える振り をして。



『ぅ~ん。協力して 欲しいなぁ~~~。』


わざとだろうが。甘えた声を出す。



この時初めて 

千紗が、先輩に想いを寄せている事を 聞かされた。

No.13 08/03/02 13:13
詩人知らず ( mxeFh )

>> 12 彼女には 何となく オレの仮面はバレていたと思う。



そういう空気を肌で 感じ取っていた。



別に良いけど。



協力ったって あんたの方が あの脳天気おと…―おっと「片杉先輩」の傍にいるのでは?

と疑問に思い。


そのまま質問してみる。


『 ツベコベ言わない。

 協力するの?

 しないの?

 どっち!?』


さっきまでの 甘えた口調は何処へやら。

すっかり本性 丸出しで凄む。



はいはい。分かりましたよ。了解しました。


出来る限りの事は 致しましょう。




とは 言ったものの…本気か?


あの男の【恋愛思考回路】はオレには とても理解できそうにない。


まぁ、一応引き受けた事は 律義に守りましょう。



あれ?結構オレって良い奴かも…とか 訳分かんない事思うのは。



さっき会った千紗の不思議な空気の所偽にしてしまおう。

No.14 08/03/02 22:14
詩人知らず ( mxeFh )

>> 13 佐々木 千夏は オレと付き合っている と思い込んでいた。


失敗した―――…。


これだから 処女は困る。



いつもなら もう少し慎重に選ぶかも知れなかったが…

元がフェミニストな為 困っている
女性を、放っておく事は出来ない。


オレは【古文】のノートなんて 提出しなくても 乗り切れる訳だし。




放っておけば、そのうち熱は冷めるだろう。


女は熱し易く、冷め易い。


それが最も都合が良い。




遊びと割り切れる女しか抱かない主義と、言う訳では無い。



しかし 今までの結果論だけで見ると

見事に

後腐れ無い女を 見抜いていたなと思う。



同じ女と何度、身体を重ねようと その時だけだ。



感情に溺れると、後悔に呑まれる。

肉体に溺れると、欲望に呑まれる。


狡いのはどっちだ?


優しさの押し売りは、迷惑この上ない。


恋愛観は自由だ。


よって、ソコにおける精神も自由だろう。





汝 何人にも 溺れるなかれ。

No.15 08/03/03 01:35
詩人知らず ( mxeFh )

>> 14 ――――――水色――――――



朝の光が眩しく。



瞼を強く閉じていても


その裏に眩い光の残像を残す。



快晴だ。雲一つ無い 透き通るような青空。



人の感情とは 全く異なる。

いっそ、清々しいくらいの正反対さだ。



何が哀しくて、野郎の好きな 女を調べるなんて事。



しかも 奴は 必要無い事は これでもかと言うくらい 語るくせに…。


自分から話しを振っておいて 己の【private】となると あまり語らないと言う……――いや、待てよ。正確に言えば…

オレがあまりにも興味が無さ過ぎて 今まで 聞かなかっただけか?



聞けば素直に答えるのだろうか?



片杉 透のヘラヘラした笑いを 思い浮かべる。



たぶん…自白するな。
自白し過ぎて自爆するタイプだな。ありゃ。



少し 片杉先輩に興味が涌いた自分に 軽く幻滅を覚えた。

No.16 08/03/03 16:54
詩人知らず ( mxeFh )

>> 15 『 あら。おはよう。』


 シレッとした顔で、挨拶してくる。


我が校の 生徒会・副会長。


やれやれ。副会長が 後輩、脅して 取引なんかして良いんですかね?



『柏木くんて 一人暮らし してるんですってね。』


何狙いの 何処情報かを警戒しながら
爽やか 笑顔で、よゐこの御返事。


『 はい 。させて頂いおります。

お陰様で。』


一体何のお陰様 だかさっぱりだ。


『あぁ~。だからあの【cafe】で バイトする必要があるんだぁ~~ッ』


わざと 登校中の周りに聞こえる様に、大声を出す。


いや 別に そこまであの店に、こだわっている訳ではない。


馘になったら なったで構わない。


ただ、気に入って無い訳でもない。


年齢なんて概念で 辞めていくのも 面白くはない。


それに 何かしら リスクがないと やる気が起こらない性格。


色んな意味で、都合が良いのだ。



『おっ 珍しい組み合わせだなぁ。』



背後から 問題の男の御登場だ―――…。

No.17 08/03/03 21:53
詩人知らず ( mxeFh )

>> 16 相変わらず 脳天気そうで何よりです。


目礼だけ返す。


『おはようございます。片杉先輩。』


きっちり挨拶する千紗。


何だか事務的な感じ。


それではこの 鈍い男のheartには 永遠に届かないのでは?


とは 要らぬ心配。



二人は 何やら生徒会関係の話しをしているみたいだ。


やはり笑顔一つ無い 冷たい顔付き。


コレで、好きと言われましても………?


しかも 片杉 透にも笑顔は無い。


真面目な顔も 出来るのか とか考えたりしながら―――…。







『なぁに 怖い顔してんの?』



いつの間に話し終わったのか 近くに先輩。


『 青山 副会長って どう思います?』


一応 聞いてみる。


『う~ん。真面目な子かな


美人だし。』


の割には、嬉しそうでもない。



と 言うか あの女は真面目なのだろうか?


どうでも良い事が 脳裏に浮かんだ―――…。

No.18 08/03/04 21:39
詩人知らず ( mxeFh )

>> 17 ――――――灰―――――――



『…~~~ッ…ンぁ…ゃッ…』


   もっと

     鳴け

      もっと

        乱れろ



シーツに 爪痕を 遺す



背中に 爪痕 を遺す




    快楽

       に

         溺れろ





その奥を 深く



        突く 度に



卑猥な 音が



        部屋に 響く



悦楽の 象徴



        ホテルの 一室



華の奥を 震わせて



        頂点 に



達する―――…



          女






煙草に火を付ける



灰 の 煙が 天井に到達した。



まだ 動こうとしない女を 冷静な眼で観察する。




肩で息をしている。






『  ウ ソつ  き…』



小さな声で 呟く女に


一瞥を くれてやる。


『 また いつでも  御相手 致しますよ。』



表情を変えないまま。


冷静に 言い放つ。



『 ホン  ト に?』



女が 小さく 笑う。


『えぇ。 秘密さえ 厳守して 戴けましたら ね。』



不遜 に 微笑う。

No.19 08/03/04 22:40
詩人知らず ( mxeFh )

>> 18 本日のお相手は【cafe】で働く 店員の女だ。



店の子にはバレない様 細心の注意を払って来た。



関係を持つと 何かと厄介だろう。



しかし 先日の千紗との会話を 聞かれていたらしい。



声が大きいんだよ。



わざとか?



あぁ…。わざとね。



良いですよ。受けて立ちましょう。



負けず嫌いなんで ね。



売られたケンカは 買いましょう。








煙草を咥えたまま



腕のボタンを留める



『 な~んか  慣れてる んだ ね… 』



確か―藤崎 美那とか言う名前だったか―が 不服そうに訴える。


『そんな風に 見えますか?』



まだ ベッドに寝そべったままで、見上げてくる。



シャツのボタンを留める手に 美耶の手が掛かる。



煙草を取られる。



困惑した振り。



『ねッ  も一回  しよ?』



『 フッ。お望みとあらば  何度でも  』



冷笑と微笑の中間地点。




真っ白なシャツの内側に 繊細な指を這わせる。



留められたばかりのボタンを外す 白い指。






売られたケンカは





買いましょう。

No.20 08/03/04 23:40
詩人知らず ( mxeFh )

>> 19 その欲望が 涸れるまで



柔らかな肌を 蹂躙し尽くし



飽くまで 



貪り合う。






どれだけ肌を 重ねようと



心まで 奪われる事はない。



きっと 何処かに 欠陥が ある。





どうしたら 



誰かを 



心から



欲しいと願える?






今は 何も考えず



一瞬の 快楽 に



身を投じよう。




望んだのは お互い様 fifty / fifty




奪われないし




与えられない。




無論 精神面の話しだ。




冷めつつある感覚を



研ぎ澄し 醒ましてゆく。



昇り詰める様に



墜ちよう。






これ以上ない程の




天国と地獄へ。

No.21 08/03/05 17:36
詩人知らず ( mxeFh )

>> 20 ――――――透明――――――





まるで 少年の様だ。



それが 第一印象だ。



細い手足に短い髪。




セーラ服を着ていなかったら その ユニ セックスな風貌は 判別が付かない。






     柳 陶子





片杉 透が熱をあげているらしい少年……もとい 少女だ。





こんなにも 早く その ターゲットにお目に懸かれるとは 予想外だった。





彼女は 透の 住む【マンション】の管理人の娘だそうだ。




やはり 質問すれば答える。




あの人は、自滅型だ。






それは 今朝の出来事。



登校途中。



頼んでもないのに またもや オレを見付けて 奴は、近付いてくる。



ニコやかに 迷惑トーク開始。



爽やかな朝も台無し。


ふと 顔をあげると。


校門に見慣れない セーラ服姿の 女子中学生が二人。



先輩の表情から 一瞬にして 笑顔が消えるのを見た。




すぐに 元のヘラヘラ笑いに戻ったが オレの眼は誤魔化せません。





『  こ れ  』



パッと見 少年然としているが 声は女の子らしい。



手には 紙袋を差し出している―――。

No.22 08/03/06 06:42
詩人知らず ( mxeFh )

>> 21 『おばさんから 預かった。


 透に 届けて欲しいって 』



高校の門前に女子中学生は 好奇の的である。



登校中の生徒達が 一旦 目を向けてから  校門へと消えて行く。



その事が、余程 居心地が悪いらしく もう一人の少女は 俯いたままだ。





『 何で 先に出掛けた 

  あんたが あたしより遅い

  訳 ?』



少年―…いや

柳女史は、不機嫌さを 隠そうともせず、言って退けた。



我が校の 生徒会長が 威厳を保つ様に



『う…む。 私にも 色々

 所用が あるのだよ。 』



『 コンビニで 立ち読みでしょ
  
  ? 』



軽く一蹴され 威厳は無い。



元から 《威厳》とは掛け離れた位置に 存在する男なのだから。


仕方ない か。 



『そんな 怒んないでよぉ。


 陶子ちゅわ~ん。


 こんな所で、キミに会えるなん


 て 透 感激!!』



軽く頭痛がする。今すぐ 解任したい気分だ。



身体をくねらせる片杉 透の胸に、紙袋を押し付け



『 行こ ユーカッ 』



俯き加減の少女の手を取って 走って行ってしまった。

No.23 08/03/07 13:10
詩人知らず ( mxeFh )

>> 22 彼女達が立ち去ると


生徒会長は、急速に真顔に戻っていった。


その変化振りに 目を見張る。



『 柏木ぃ 』


『 はい? 』 


『 陶子に良からぬ事考えたら

 その キミの減らず口 
 聞けない様にしてあげるから
 ね。』


減らず口はどっちですか?


と思ったが ふざけてはいない様なので 口には出さないでおく。



『 御冗談を。

  中学生相手に?

  あなたじゃないんです    から。 』


『 青山 千紗に

  何 吹き込まれた?』


おっ 意外に鋭いね。先輩。


その不自然さに、過去に 千紗と何かあったらしい事を悟る。


どちらでも良いのですが…


御二人のゴタゴタに巻込まないで戴きたい。


可愛い 後輩に 苦労を掛けないで下さい。


『安心して下さい。
 
 タイプじゃありません。』



キッパリ言って 先に行く。


後ろから先輩が何か喚いていたが 知った事ではない。




全く持って 面倒だ。

No.24 08/03/08 13:46
詩人知らず ( mxeFh )

>> 23 教室の ざわめきが
一瞬 静まり返る。


教室のドア ニッコリ笑顔で手招きする。


その類い稀な 妖艶さに 中坊を卒業したばかりの お子ちゃまの視線は釘付けである。


窓際の席で 小さく舌打ち。


『柏木くん 呼んでるよ。』


はい はい。


行きますよ。行けば良いんでしょ?


猫に首根っこを捕まれた鼠の気分だ。


『お呼び でしょうか?』


『あれッ おっかしいなぁ?

このクラスの一番「真面目クン」を お願いした筈なんですけど ? 』


妖しく光る 瞳を細め

口角を上げて 笑う。

いちいち 癇に障る


『何か 御用でしょうか?』


務めて冷静に。


無視を決め込む。


窮鼠 猫を噛む と頭を過ぎったが………


悪足掻きの様な 必死さが否めないなと


黒猫のしたい様にさせる事にする。


『今朝 見ちゃった。』


大方 予想の付いていた言葉。


『“アレ”が 会長の?』


髪を掻きあげ 白い歯を見せる。


『可愛いじゃない。』

楽しそうだな?


おい。



目の前の女に 先程までとは、別の危うさを感じ取る。



二人の姿に 強い視線を送る人物の存在に

気付きながら 会話を続けた。

No.25 08/03/08 15:37
詩人知らず ( mxeFh )

>> 24   ~~~第二章~~~


ーーーーーー歪ーーーーーーー



いつも 疑問に感じていた。



この世には どうして 男と女が存在するの だろう?



性を設けなければ、生物は 絶滅してしまうから?



男が女を守って


女が男に守られる。



決められた構図 に 誰もが従う。



他人があまり 疑問を持たない内容 に 疑問を持つ事が 多かった。



幼少の頃より 周りから モテ囃されてきた。



別に 嬉しく 感じる事は無かったーーー…



いつだって




自分が




本当に




欲っしている モノが




手に入る事 は




無いのだからーーーーーーーー

ーーーーーー…

No.26 08/03/08 21:19
詩人知らず ( mxeFh )

>> 25 ーーーーーー狂宴ーーーーーー



『 ねぇ 柏木く ん』



話し掛けられる事は およそ 検討が付く。



先程までの 副会長との会話中に、突き刺さる様な視線を感じていた。



佐々木 千夏。


顔色が 蒼い。



厄介だなーーー。



瞬時に、判断を下す。


だが 顔には出さない。



こういう時の女は、表情から 気持ちを読み取る力が、半端ではない。



その勢いで〈迷惑〉の信号も 読み取って戴けたら嬉しい。



だが



そうは、問屋が卸さない。



いや 気付いていて 知らないフリを決め込んでいるな。



女も男も 強かだ。



しなやかに魅せる方が、個人的には好ましい。



強さの中に 折れそうな弱さを見出した時にこそ 

その精神は甘美に震える。



そんな下らない持論を展開し 一人納得しているオレを


少し充血した眼付きで、見上げてくる。


一瞬の 快楽の 代償。



何事も経験。


場数 踏まないと素敵な   【Lady】には、なれませんよ。


と 諭してあげたいが


無駄だろうな。


まぁ、何事も経験。経験。


程度問題は、無きにしも在らずだが。

No.27 08/03/08 22:52
詩人知らず ( mxeFh )

>> 26 部屋に軋む スプリングの音ーー

ー…




嫉妬心を持った女に



何を言っても



時間の無駄



体力 精神力の消耗も甚だしい。



同じ 体力消耗するなら 欲望にして下さい。



かなり 低能な獣レベルで 事を構える。



愛も情も 存在しなくても 



与えられるなら 〔苦痛〕より〔快感〕が良い だろ?



『…~ッ…好…~~ンッ   き …ぃ』 



だから…要らないって。



少し冷めて 萎える。



気持ちを切り離して



器だけなら 楽なのに。



変に感情を有するから



人間は…。




優しい仮面の下で 喘ぐのは どんなご気分ですか?



後々 後悔を強いるが



それはソレ。



これはコレ。





『 柏木く ん 』


千夏が 紅い顔をして


『 ずっと 一緒に  いよう  ね。 』

No.28 08/03/09 07:38
詩人知らず ( mxeFh )

>> 27 『 最近 尚之に

  御執心の様子 だね。』



千紗が振り返る。



『 気に なる? 』



『 何 企んでる?』



柔和な表情で
棘のある言葉を投げ掛ける。




『 フッ 久し振りに

  まともに口 開いたと思っ


  たら  それ?』


忌々しそうに 笑う。


『 陶子の事。


  調べて どうする気だ?』



『 知り たい ? 』



いや。あんまり…



と心の中で 即決。



『 あなたの 態度次第で。


  教えてあげても


  良いかなぁ。』




首に腕を回される。



悪魔の唇が そっと


近付くーーー…



『 ストップ 』



朱い唇に、人差し指を充てる。



『 ーーー交渉決裂 って訳ね

  …。』



気怠そうに 呟く。



『 そういう事にーーー


  なる のか?』



イマイチ 解せない。



『 面白くない 男 になった
  
  わね。』



多いに結構 と大袈裟に頷く。



『 彼 楽しいから。』



『 千紗 あいつも オレ

  と大差無い。


  最後は白い猫を選ぶ。』




  

No.29 08/03/12 22:37
詩人知らず ( mxeFh )

>> 28     あの人は 違う



      そう




    思っていた







――――――――――――――




日曜の【cafe】は 女性の楽園。



鼻孔をくすぐる 甘い 香り達。



華やかな光景。



むさ苦しい 男共 を 見ているより 遥かに 目の保養だ。






    ――!?――





ヒラヒラ手を振る。



――頭痛がしてきました――



この空間に 一人で来れる 神経が凄い。



危うく 尊敬 しそうになる。



   危ない 危ない





―って 話しましたっけ?

バイトの事。





『 付けて 来ちゃった』



キャピ キャピ の女子高生の様に言う。




『 ストーカー ですか?』




こちらは クソ忙しい上に 



【偽スマイル】の大安売りだと言うのに―――…。





『ぃやぁ~。可愛い女の子に囲まれて 羨ましぃ…』




『御用件を どうぞ。』




『へぇ~。柏木くんって 大学生だったんだぁ。 先輩 ですね。』




     あなたは




      一回




    死んで 下さい

No.30 08/04/04 13:09
詩人知らず ( mxeFh )

>> 29 『ちょっと 透、邪魔。』




部屋の掃除をしながら片杉 透を睨む。




4つ年下の一見、少年の様な少女。




いつからだろう。彼女に恋をしていたのは?



幼い頃から遊びに来慣れた 持ち主よりも良く知る部屋を、手早く片付けている。




『お前 もうちょっと女の子らしい格好すれば?』




短パンにTシャツ。仮にも男の部屋だと思ってもいない様子で、細い手足を露出させている。



中学生になったとは言え、まだまだ子供だと思っていた。




『良いの。あたしは侑香のお婿さんになるんだから。』




あながち、冗談とも受け取り難い台詞を平気で吐く。




福原 侑香は中学に入って出来た友人。



人見知りが激しいらしく、オレがいるといつも 陶子の後ろに隠れてしまう。



『侑香ちゃんにだって、いつか素敵な人が現われるっしょ?そしたらどうすんのさ?』



少し意地の悪い質問をしてしまう。



泣きそうな顔。おい。おい。マジかよ。正直焦る。



『ゆ 侑香は 野蛮な男なんかに 渡さないん だも・・‥。』



その瞬間 得も言われぬ感情に襲われていた。



『心配すんな。陶子はオレが貰ってやるよ。』



冗談めかして呟いた。

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