フーリーヘイド 本編
フーリーヘイド 説明書編 の、続編となります。
前回の通り、この本編を読むにあたり、
いかなる影響が及んでも、俺は責任が取れません。
勝手に素人が自己治療と書いてみようという、
単純な理由から始めます。
肯定ならば読んでください。
否定ならば読まないでください。
どちらかです。
フーリーヘイド 第一話 ~最後の一粒の姿~
まただ。
また訳の分からない事がこうして起きるのだ。
一体どうしたいのか。
今度は目から毛が生い茂る現象。
私も含めてである。
痛みは無いのだ。
痛そうに見える?であろうが、痛くはないのだが。
見えていた景色はもう見えなくなり、
様々と言うべきか、
宇宙すべてがわがままを言って地球に住むと駄々をこねて、
無理矢理、地球に入り込むように、
見えると言うか分かるのだ。
あまりの量の為、
こぼれる分かるもあったりするのだが、
ああ、もったいないと単純に思える程、
気持ちに余裕があるので、
浸食、兵器による攻撃、
私達に害を成すものではなさそうなのだ。
アトナがやっている事なのだろうか?
そう思ってしまったが、
とにかくこれは今こうして私達に起きている。
毛が目から生える。
大量に。
毛なのだろう、そもそも。
そう感じたのならそうなのだと思うしかない。
何が分かるのかと言う事なのだが、
理解とかではなく、
説明が難しい。
リンゴを見て、リンゴだと思う。
そんな感じなのだ。
ただそれが量のあまりの膨大さに、
正直、何が分かっているのかは分からない。
ただ、
一つだけはっきりとわかる事は、
カナと繋がったものが関わっていると言う事である。
>> 1
感覚的には灰色と眩しさの世界に似ているのかもしれない。
そして。
そしてとうとう分かってしまう。
やっとなのだ。
おそらくこれが真実であると毛穴が、
目が、指が、五感が、第六感でさえ感じたと思い、
信じて止まなかった。
きっと、
次から次へと起こる訳の分からない現象に、
私達はもう何処かでうんざりしているのだ。
床一面の髪の毛。
不思議とその髪の毛はもの凄く硬く、
さらに驚くのはその髪の毛が気が付けば、
私達の体のどこか一部と繋がっているのだ。
しなやかに。
驚く事さえもう疲れた私達は集まって立っていた。
周り、空ですら髪の毛で埋め尽くされており、
何故かその髪の毛はどこかに道を記すように、
集中している。
この髪の毛を生やしている者がいるのだろうか?
そんな思いで皆、髪の毛を辿り、
視線をある一点に向ける。
どこに繋がれているのだろう、
繋がった先が見えない漆黒の鎖。
手枷足枷、首にも枷を強いられた髪の毛の持ち主と思われる男が、
自らの髪の毛で玉座を型どり、
うつ向いて、体はこちらを向き、座っている。
緑色の肌が、所々に露出している。
目にもはや光はなく、
まるでカナのような状態。
>> 2
カナとその男が眩しい程に、
もの凄い輝きの分厚く、
決して切れないと思われるほどの強固なロープで、
繋がっており、
そのロープから四方八方にさらに枝分かれをして、
髪の毛に刺さっている。
さらに驚いたのだが、
...。
これは私的な事なのだが。
私の姿が卵になっているのだ。
今度は一体何なのだろうか。
私は卵だったのか。
もう好きにしてくれといったものである。
「......。」
皆、言葉を失うのは当たり前であり、
今までいなかった卵の私が増え、
更に髪の毛の世界。
カナと繋がる鎖の男。
そして髪の毛と繋がる自分達。
驚くというより、
呆れていると言った方が正解かもしれない。
だからどうしたのだという、感じなのだ。
もはや。
これ以上何が起きるというのだ。
...ふと思った。
地獄なるところに落ちたものは、
こうなるのではないだろうかと。
寝ようが起きようが、
欲を満たそうが悲しもうが、
結果こうなるのだ。
飽きるのだ。
全てに。
>> 3
そんな、ぞっとするようなこと思っていると、
また更に気が付く。
私とアトナが繋がっているのだ。
カナと男の繋がりに負けないくらいに、
輝いて。
?
どういうことなのかと思う暇もなく、
私の中からポロンと目からウロコが落ちるようにと言えば良いのか。
どちらかと言うと、ある日耳から大きな耳カスがポロンと出てくるように、
凄く心地よいと言った感じ。
すっきりしたという感じなのだとにかく。
女性?らしきものが出てきたのである。
何となくそれは見覚えのある姿。
そして私を抱きしめて泣いている状態で出現。
何だろう。
何か思い出しそうで思い出せないのだが、
悪い事ではなさそうだ。
「.......?」
女性が涙で濡れた眼を開けて、
私を見る。
「.....?......!?」
驚いている。
私も驚いている。
「....ド....ネ....?」
...。
私は話す事が出来ない...。
...だが、なぜだ......。
どうやら...私は泣いている様である。
「.....ミ゛ドナ゛ッッ!!!!!!」
女性と私に抱きつくアトナ。
そうだったのか...。
私はカナと繋がっているのではなく、
この女性とアトナに繋がった卵だったのか...。
...どこまでも驚かされる。
これを思い付いたものは頭がおかしい。
...だが...。
感謝する事をやはり...記そう...。
心に涙で。
>> 4
アトナの姿は、
光の靄のような姿ではなく、
硬いがしなやかである不思議な髪の毛の上を、
走って嬉しそうに女性に、
そして同時に私に抱きつく少年であった。
何処かでこれも浸食の影響であり、
またパッと状況が都合よく私達を苦しめたり、
...まるで見世物のように晒されるのではないだろうかとさえ思う中、
されどそれもまた幸せなのかもしれないとさえ、
今は思える程、
不思議と理屈など何処かへ行き、
良かったと単純に思うのだ。
アトナが抱きついたのは私であり、
女性はミトナなのだ。
どう言う事かは知らない。
幻覚かもしれない。
先程、
ジャンクとドネが亡き妻を目の当たりにしたばかりなのだから。
それでも、
これは違うような気がした。
きっとそれも...。
都合よく、理由がある様な気がしたからだ...。
...。
勝手なものだと思った。
地獄などとうに通り越し、
深淵の底やもしれないと感じざるを得ないこの場所は、
勝手にも私はたしかに思っている。
ここが終点であると。
...。
何処か、どうしようもない不安があるのも隠せない。
それが何かは今は知りたくなかった。
>> 5
「どうなってるんだ...。」
やっと口を開いたのはジャンクだった。
「...大丈夫なのか...?...ミイ...。」
今までにない程、ジャンクがミイを心配している。
それはミイが周りの髪の毛に驚愕しており、
そこから何か答えを出したからである。
尋常ではない様子。
腰が抜けてるのだがそれでも何とか立とうと、
必死なのだ、ガクガクと震えながら。
「ジャ、ジャンク...。
危険はないワン...。
無いんだけどあるのは......。
たしかに石像......。
たしかにここが終点...。
どうして私やミトナ、イモムシがここへ来たのかも、
どうしてジャンク、カメムシ、アトナ、カナが来たのかも、
私の知る、伝えるは使えるし、
イモムシの能力も使える。
おそらくミトナの能力も。」
ようやく落ち着いて来たのか、
ミイの震えをやがて止まった。
「ただ一つだけ分からないワン。
愛の世界も無く、兵器の世界も無い、
ジャンクとカメムシが神に約束した救う対象が分からないワン。」
「?...そりゃ、ミイ。
あそこに座ってる男とカナを救えば良いんじゃないのか...?」
「俺もそう思っていた...。
そして、俺とイモは元の名前に戻すべきだね、まずは。
もう本人がいるんだもの...信じられないよ...。」
「そうですね、何がどうなって今までの事は何だったのかは、
私の機能をもってして、今の状態ならご説明できます。
なぜ今までできなかったのかも、
今になって急にできるようになったのかも、
ご説明できますが...。」
>> 6
「それは......僕が説明するよ。」
カナを抱きかかえて、
座っている男の元へ歩いて行くアトナ。
ミトナと私は黙って立っていた。
「...カナを救うんじゃないんだよね...。
カナはもう既にこの男の人と共に、
準備していたんだ。
...救われていたのは僕らだったんだよ...。」
カナを座っている男の膝の上に乗せた。
「永い説明になるよ...。
危険はここには無いから、
とりあえず安心してほしい。
時間も無いし、
いつまでもここにいられる。
ほんとうに...いつまでも...。
ミトナとミイ、イモムシが分かっているのは、
おそらく一部。
カナはどうやら僕に託したみたい...。
{喜}だからね、僕は...。
カメムシが{怒}
ジャンクは{楽}
...。
{哀}はカナ...。」
{喜怒哀楽}。
「突然、はいそうですかとはいかないと思う。
まずはゆっくりした方が良いんじゃないかな(;^ω^)
危険は無い訳だし(;^ω^)」
とりあえずアトナの言葉は皆を安心させた。
とりあえずはである。
>> 7
「僕がこうして説明するのは、
その、
...みんなはもう分かっているんだと思う。
この世界?...。
というべきなのかな。
{この刻}が来た時点。
うん。
この方がしっくりくるよね、ミトナ。
...ドネは卵になっちゃったんだね。
この時点で空気を吸うように、
分かっちゃってるんだよね。
でも、それでも違いはあるみたい。
カナに近ければ近い程、良く知ってるみたい。
カメムシとジャンク達は分かってはいるんだけど、
モヤッとしてる感じだと思う。
ここからすごく話が長くなるから、
我慢して聞いてほしいんだ。
何があったのか、
何をするべきかは正直僕にもまだ分からないけど、
...何となくは分かってるような気がしているよ。
だから、僕が長く話したことが、
今後役に立つかどうかは僕自身わからないし怖い。」
ジャンクはなんだか後ろの緑の男が気になるし、
カナも心配だし、
かと言って漆黒の卵にまだ名前考えてなかったし、
だからといってミイ可愛いし、
ビックとクエスと卵も可愛いので、
あぐらをかき、座り、
ミイのお腹を撫でながら、
自分の頭のフケをイビキが食べ、
ビックとクエスはミイの両隣で寝て、
漆黒の卵は皆のソファーへと変貌し、
お話聞く準備万端であった。
(;^ω^)相変わらずだなぁ~ジャンクは...と思うカメムシ。
>> 8
「エヘヘヘヘヘヘヘヘッッッ!!!!!!!!(^ω^)
カメッ♪カメッ♪カメッ♪\(^ω^)/
ブモッ♪ボッ♪カメッ♪\(^ω^)/」(ブモッ、はポット。ボッ、はアグラ)
(ヽ'ω`)=3もう3人ともカメムシの目に入ってしまうのではないかと思う程、
べったりの3人。
ゲッソリのカメムシ。
(イモムシだけちょっと欲情しているのはここだけの話である)
こちらも聞く準備?万端の様である。
...。
アトナが自然とこちらを向く。
何が言いたいかは分かっている。
おそらく一番近いのはアトナでもない、
ミトナでもない、
私達、卵だ。
卵と表現してはいるが...いや、やめておこう。
アトナが説明してくれる。
「アトナ!!!!!\(;ω;)/」
凄い力でアトナを抱きしめるミトナ。
失った時間を取り戻さんとするほど、
欲情、愛おしさ、後悔、虚しさ、そして奇跡。
全てが混ざり合った抱擁。
キス、接吻、肉体関係を交わす、交尾。
そんな安っぽいものでは無い事だけは何とか、
言葉で表現できそうだ。
そんなものとっくのとうに過ぎ去っているのだから。
ルールや決まり事など有るだけ幸せである。
それに対して文句を言えるだけ幸せなのだ。
ここにいる者は皆、それすらできないのだから。
だから、不老不死であったりするのだろう。
私は勝手にそう思うし、
これを見れば皆そう思うだろう。
一時そうじゃないと反発したものも、
5千年程度で戻るに違いない。
>> 9
「ミ、ミトナ!
苦しいよ!!!」
「!!ごめんなさい!
...。
ミトナ!!!!!(;ω;)」
当たり前なのだと思う。
何故当たり前なのかはアトナから説明があるだろう。
あえて{私達}は語らないし、
記さない。
ただ、今はこうして訳も分からずミトナの突然の復活を、
アトナの元の姿への復活を無言で祝すべきだと思う。
「...ぶはっ!!!!
ミトナ!!!説明できないでしょっ!!!\(;^ω^)/」
「だめっ!!!!(;・ω・)
可愛すぎるの!!!!
もう我慢できません!!!!\(;^ω^)/ソレ~ッ」
...汗
仕方ないので私はミトナに思いきり頭突きをすることにした。
(;^ω^)うわぁ~...相変わらず痛そう、と思うアトナ。
(;^ω^)(;^ω^)この方達もこんな感じだったのね。
ジャンクとイモムシ達。
orz ←悶絶するミトナ
「...はい!(;^ω^)と言う訳で!
説明に入りたいと思いま~す(;^ω^)」
私の頭?も痛いが、
ミトナはもっと痛いはずである。
ゴツン!という音すら出ない程の鈍い頭突き。
これほど体にも心にも痛いものは無い。
これもこれからの説明で痛いほど分かるので、
聞いていただきたい。
「...今まであった事は間違いなく、
現実だと言います。
...川に流れる落ち葉が、
水面から突き出た石にあたったり、
水の流れが溜まる場所につかまったり、
そこで尽きる者もいたでしょう。
でも後から来た落ち葉はそれを見て、
嫌だと思い先へと進んだことさえあったかもしれない。
やがて行き着くは水の集まる場所。
どうしようもなくそれは此処なんだ。
僕らに何が起きて、
納得がいかなくても、
逃げたところで流れは止まらない。
此処へ戻る。
...。
まずは僕とミトナ、カナとディオラは知り合いだった。
そこから説明しなくてはいけないんだよね...。
ディオラはそこの緑色の男だよ。
...。
あの時と何も変わらないね(^ω^)
先に言ってしまうとね。
最初にここに辿り着いたのはカナとディオラなんだ。
それを追いかけたのが僕とミトナ。
その後、
もう分からない程の犠牲の上に、
君たちが現れた。
...本当に良かった...。
これは本当に...。
あの二人も喜んでいるよ...。
先の者は後になり、後の者は先になる......。
本当に...そうなってしまった...。
最初のものが最後の一粒になって待っていたんだから。」
フーリーヘイド 第二話 ~それでも止まらない、だから進めるのだ~
「もう、愛の世界、兵器の世界の確実さは正直分からない。
ここから先の話だからね。
でも、どうしてここへ来たかは説明できるから、
してみるよ。
何かが自らをバラバラに、
材料としてこの世界を創ったのは間違いないんだ。
その頃のお話。
君達からすればもう...。
数え切れない程の昔。
学者、知識、化学、音楽、素学、動作学、現象学、
証明学、水学、語学、楽学、肯定、否定。
全てが始まった頃のお話。
こうなってしまった原因のお話。
{何か}が身を犠牲にした理由はおそらくだけど、
単純に守るためだと思う。
悲しい事にバラバラになったのに、
救いたいのに、
犠牲になる理由となった対象の記憶も、
バラバラとなってこの世界に侵入。
それは本物とさほど変わりは無いと思う。
一つになるだけ。
{何か}がいた世界で守ってくれた{何か}。
犠牲となり、バラバラになった所で、
同じ事が起きるだけ。
一つになると言うものは永遠についてくる。
何をしようと。
一つになるものの吸収、
それを見た一粒が防御、
守られたものが犠牲に、
また一つになるものの記憶が吸収、
それを見た一粒が防御、
守られたものがまた犠牲に......。」
少し疲れたのか、
アトナがミトナに寄りかかって座る。
先程のように喜び、抱きしめるミトナはそこにいなかった。
「...永過ぎたよね...。」
「うん...。
君達が思っている以上に、
証拠なんて残らない程に、
僕らは戦っていた。
でも正体不明のあれは止められない。
もう逃げる事が戦いであるとさえなり始めた頃だったよ。
カナとディオラが出会ったのは。
第三者から全体を見ると、
一つになるものの空間が99.9%。
0.1%の小さな点が僕らが逃げ延びてる空間。
宇宙っていうのはその延長だと思ってくれても、
間違いはないと思う。
いつも見えていて、
いざ行って見ても満たされない。
どんどん引き寄せられていく。
本来すべき事すら忘れて。
奪われて、
一つに......。
犠牲者はもう数えれないよ...。
その頃の僕らは、
君達とそんなに変わらない姿だった。
生活もしていた。
環境は違うけど。
永いけど、
一瞬なんだ。
ああ、またなのかってバラバラになって、
その繰り返し。
毎日のように正体不明の{何か}を僕らは調べた。
守るものも毎回繰り返すたびに、
限界の日が分かるようになり、
その日に調査が間に合わなければ犠牲者が志願されて、
新たな世界へとダイブ。
残ったものは一つに。
その繰り返し。
一つになる空間と守られた空間を守るものによって隔てられて、
お互いににらめっこを繰り返す日々。
本当にあれは奇跡だった。
カナが向こう側にいる{何か}と話してたんだ。
まるで水族館で魚と話す少年のように。
その相手がディオラだったんだ。
まだ姿は無かったんだけどね。
フーリーヘイドという言葉についてなんだけど、
先に言っておくよ。
僕らも知らないんだ。
カナと、
おそらくディオラしかそれは分からないと思う。
....。
そしてとうとうあの時が来たんだ...。
守るものをすり抜けお互いに触れたんだ。
カナとディオラがね。
存在崩壊。
一つになるものも、守るものも、
僕らも、みんな、何もかもすべて。
バラバラになった。
終わったと思った。
でも違った。
始まりだった。
今考えるとね。
あの時は正直、ようやく終わるとさえ思った。
バラバラになった見えている世界は、
今までに見た事が無くて、
カナとディオラが....というよりも....何というか、
カナとディオラだった一部が繋がってて、
その繋がりが四方八方に広がって、
新たな世界が出来ていた。
という感じだったよ。
さらに驚いた事にディオラが一つになる{何か}の一部だったからなのか、
今となっては分からないんだけど、
{何か}がディオラ以外存在しない世界が出来たんだ。
奇跡だった。
僕らは徐々に元に戻り、
生活をし始めた。
脅威が去ったとは言い難いけど、
とりあえずはディオラを調査、
共にカナも調査する日々へと変わっていった。
.....。
...。」
「アトナ...だいじょうぶ...?」
ミトナが心配そうに背中をさする。
アトナ、ミトナにとって、私にとっても。
ジャンクやカメムシ達は驚愕してはいるが、
背中をさする程度の事なのだ。
カナとディオラが耐えてきた事にくらぶれば、
こんな事など些細な事なのだ。
本当の事はまだ語られていない。
勇者達よ、どうか聞いてほしいと切に願う。
「いろいろと....。
この時点で様々な反応があるよね。
信じられない、どうしてそうなったの、
ディオラは何、受け入れるしかない....。
もしも....。
もしもだよ。
君達の前に子供が現れて、
「どうして僕たち生きてるの?」って、
聞いてきたら、
様々だよね。
キリが無いんだけど。
でも、最後はさ。
肯定か、否定なんだよね。
別れちゃうんだ。
二つに。
どんなに考えても。
その簡単に今言った肯定も、否定も....。
悲しいくらい様々なんだけどさ。
僕は肯定するよ。
受け入れて進むだけ。
だから僕には奇跡だったり、
君達に会えるような幸せな事が、
星のように僕に見せてくれる。
雨のように恵んでくれて、
僕はまた歩けるんだと思う。
......これも神の御業なのかな?(^ω^)
もうね、
ここまで歩くと幸せなんだけど、
失うものもやっぱり出て来ちゃってさ、
僕は多分、悲しむ事かな。
泣けなくなっちゃった。(^ω^)
ディオラとカナが存在崩壊を起こすまで、
僕らは失い過ぎた。
でもなぜだろうね。
諦める事は自然となかった。
{何か}に少しずつ奪われて、
ようやくそれが終結した。
喜んだり、歓喜する余裕は無かった。
ただ茫然と立ち尽くしてたよね、ミトナ。
おぼろげだけど覚えてる。
カナとディオラが繋がって卵が産まれた。
そうなんだ。
ここは僕らがかつていた場所。
最後の避難所。
カナとディオラの卵の中。
髪の毛で見えないけどね。
最初はこんな世界じゃなかった。
そして、僕らにも異変が起きた。
存在崩壊は{何か}の攻撃を止めると同時に、
ディオラを通じて違う形で僕らに攻撃してきたんだ。
止まってなかったんだよ。
油断していたというより、
どうでも良くなっていたんだと思う。
止まったと思い込みたかったんだと思う。
単純に。
浸食の始まり。
浸食は喜怒哀楽によって広がって行ったんだ。
単純でシンプルな攻撃程、
ましてやそれが無限に等しいウィルス的なものなら、
これほど恐ろしく、どうでも良くして逃げてしまうのは当然。
自然と僕らは4つに分かれ、争う事になった。
カナとディオラを巡って。
...。
存在崩壊と攻撃を防いだ未知なる力。
僕らはカナとディオラを必死で守った。
時にはディオラを奪われ、取り返し、
時にはカナを奪われ、取り返し、
.....馬鹿だった。
本当に....。
必要なものが目の前にあるのに、
なぜあんなことをしていたのか....。
カメムシの世界では転生っていうのかな?
僕らにするとそれはもう既に息をするのと同じ事なんだ。
...神を恨んだことさえあるんだよ?
どうしてこんな事にしてくれたんですかって...。
一番つらかったのはカナとディオラ...。
カナは目の前で父親を殺された、
母親も殺された、
大事なものを何回も奪われた。
ディオラはカナに何もしてあげられなくて、
自分のせいだと責めた。
それでもカナはディオラを慰めた。
僕らの事も元気付けてくれた。
そんな僕らの中でさえも4つの対立は発生して、
浸食は鳴りやまないのに、
カナとディオラは僕らを一つにしてくれた。
そこで初めてわかったんだ。
一つになる攻撃がいつしか目的になっていた。
[愛]
もう理由とか理屈は通じない最終兵器。
やがて4つは二つに戻った。
肯定と否定。
...。
結果から言うね...。
酷い有様で戦争は終わった。
ジャンクとミイには卵とイビキ。
カメムシとイモムシは卵とアグラ。
カナとディオラは卵と存在崩壊。
僕とミトナは卵と....存在組成。
僕とミトナは自分たちの繋がりに気が付いてなかった。
存在組成は存在崩壊後に再び僕らに戻った時に、
無意識に発動。
ここからはカメムシとイモムシには過酷かもしれないけど、
説明を続けるよ...。
最初の崩壊、組成で知らぬ間に一つ産まれたものがある。
それも悲しい事なんだけど浸食の影響かもしれないんだ。
でもそれは産まれた。
僕は喜び。
カナは悲しみ。
[怒り]と[楽しみ]が産まれた。
それで4つに分かれてしまった。
今考えると喜びも悲しみも既に攻撃だったのかもしれないんだけど。
正確にはね、
喜哀が肯定、
楽が中立、
怒が否定、
こうして2つに分かれた。
中立と言ってもどっちかなんだよね、最後は。
喜哀楽と怒の対立。
怒が滅亡するだろうと思われていた。
...。
それ自体が間違いだったんだ。
何で気が付かなかったんだろうって思う...。
馬鹿は死んでも治らない...。
転生...?
何度した事か。
裏切り、後悔、挫折、侮辱、傀儡、奴隷、崇拝...。
やってない事などきっと無い...。
あの瞬間は今でも覚えてる。
そんな馬鹿な僕らを。
ディオラは救おうとした。
諦めなかった。
カナもディオラに{同調}
実際二人に何が交わされたのかは分からない。
でもそれは起きた。
ディオラは自らの肉体を魂から脱ぎ捨てるように、
断末魔の声をあげて{肉}を怒に与えた。
同時に存在崩壊発動。
カナは僕らを全員食べた。
怒は{肉}に包まれて卵の外、
{何か}の世界へと連れ去られた。
カナに食べられた僕らはカナの中で、
怒がどうなったか見せないようにして存在組成発動。
僕らの戦争は結局、二人の犠牲によって終結。
そして酷い事にカナの中では当時の記憶は抹消。
初めから浸食も攻撃も無い状態から始まり、
君達の世界へと繋がった。
残念だけどカナ自身は怒の事を覚えているし、
{何か}も知っている。
永い時を超えてこうして浸食と攻撃が始まり、
君達が奇跡としてここへ集結してくれた。
ディオラはずっと....。
自分の{肉}が卵の外にあるから、
あの鎖はきっと{肉}との鎖....。
待ってたんだ...ここでずっと...。
何かか起きてくれる。
あの時の行動に後悔はない。
カナも同じ。
ディオラとカナはただ、単純に待っていただけなんだ。
僕らがカナの中でどんなに酷い目に合ったとしても、
どんなにここまで来るのに大変だったとしても、
彼らの犠牲に返す反応は無いと思うし、
ここでまた僕らが争っても、
彼ら二人は喜ぶと思う...。
懐かしいなって...。
...。
久しぶりの友達、知人に会った時とか、
思い出の場所に言った時、
...懐かしいと言うか、安心するよね。
思い出すと言う訳でもなく、
それもまたそれぞれだと思うんだけど。
...ここへ来たと同時に、
思い出すんだ。
ここが本当の始まり...。
僕らやカナも含めた者達が、
君達を苦しめた原因。
...。
はいそうですか、とはならないと思うけど。
ここではなる。
嫌な事も良かった事も、
全部分かってしまう...。」
...何を言っているのだろうという話なのだ。
これはもうその場にいる者にしか分からない世界。
言葉を失ったカメムシ、ジャンク達の反応は、
間違いではない。
受け入れる入れないの話ではない。
常軌を逸している。
...当然という言葉で片付けざるを得ない...。
では、もしこれを見ている存在に私は問いたい。
「なぜ、あなたはあなたなのか。」
どうしようもない事実。
答えは決まっている。
自分の事は自分が良く分かっているし、
{嫌でも知っている}
...。
ただ単純に今彼らにそれが起きていると、
アトナは言っただけなのだ。
ここが始まりで思い出してしまうんだよと。
{嫌でも彼らは分かっている}
>> 21
無言になるのは当然である。
その間に私はアトナが何を言っているのか、
そして今まで分かった事を含め、整理し、
一応簡単に説明しておこうと思う。
以下に記す。
愛の世界なる存在がまずあったらしい。
↓
2つの存在が接触。
↓
突然の理屈すら一つにする{何か}の発生。
↓
2つののうちのどちらかが{何か}を遮断。
↓
残った方が遮断によって守られた残された世界で、
更に内側に新世界を創造、方法は不明。
↓
自己犠牲により創造した者は新世界へ。
バラバラになる、おそらくこれは空気よりも、
光よりも小さく、はたから見ると消えた様にしか見えない程かもしれない。
これは憶測である。
↓
目の前に何かがあるように、
自然と似たり寄ったりの存在が発生、
瓜二つではないが似たような世界が完成。
バラバラになった時点で私達、アトナやミトナ、
私を含めた存在は記憶がある。
ミイ達の世界に似ているのかもしれない。
↓
バラバラの自己犠牲の中に{何か}の記憶も当然残っているため、
それは当然一つにしようとする。
同じ事が発生。
誰かが遮蔽。
残った者で新たな世界を創造。
またバラバラになり、素材と化す。
↓
永遠に終わりのないドアが前後に2つある部屋を、
死なないゾンビの群れが後ろのドアを押し曲げ、
襲って来るので前方のドアを開けて鍵を閉める。
時間は稼げるがどうせドアは壊れるので、
考えながらも次の部屋へ。
試行錯誤を重ねてそれの繰り返し。
>> 22
簡単に言ってはいるが、
戦争を経験した老人が子供達に何があったか話すようなもので、
伝わるが、その時の匂いや感触。
それは伝わらないしその時間は伝わらない。
どれ程の永い、時間ですら例えられない逃げながらの抵抗。
こう記すしかない。
↓
そんなある時、
カナとディオラが接触。
ゾンビと逃げる者が意志を通わせたのだ。
ドアを隔てて。
やがてドアなど無意味となり、
二人は繋がる。
↓
結果、卵が発生。
壊れそうだったドアが絶対不滅の壁へと変貌。
100%{何か}を遮断。
向こうのゾンビたちがどうなっているかは不明。
ディオラというゾンビだけがこちら世界へとやって来た。
敵ではないがディオラがいると言うだけで、
今までにないその現象に、
逃げて来た者達は反応が4つに分かれる。
喜怒哀楽。
事後認識ではあるがこれもまた新たな攻撃であったのかもしれないが、
私はそうではないと願うし、それで争ったため、
もうこの話は出来るだけしたくないのが正直な気持ちである。
↓
喜哀楽と、怒に分かれる。
ディオラの味方と敵。
敵は怒になってしまった。
戦争の始まり。
騙し、犯し、奪い、強制...。
...これらも全て自己犠牲を用いても拭えない汚物である事を、
私は認めざるを得ない。
自分達で新たなあの恐ろしいゾンビを創ってしまった訳だ。
記憶が残ってしまった。
必要ではあるが必要ではないと願いたものを創ってしまった私達もまた、
罪人である。
↓
結果、戦争はもう終わらず。
終わらせたのはカナとディオラ。
喜哀楽、味方側にいた二人はある時、決意。
カナとディオラの繋がりには卵と、
イビキやアグラのような存在。
存在崩壊を能力とする存在があったが、
実際私も見ていないのだ。
姿形を全く知らない。
だが今まで逃げてきた中で、
新たなドアを開ける度にバラバラになって来た私達は、
ゾンビ達が追いかけてくるという状況で逃げてきたし、
バラバラになった方法や経験も十分すぎるほど分かっている。
だが今回は、ゾンビ達はいつまで経ってもあの卵を壊す事は無く、
平穏が訪れた中での分裂、争い。
ゾンビはもう来ないと知った上での強制的な自己犠牲現象。
カナとディオラの卵ともう一つの存在が私達をバラバラにしたのだ。
新たな未知の方法で。
今までと違ったのだ、と言うしかないのだが、
私はそう思った。
そしてカナがバラバラの私達全部を食べたと言うより、
包んだと言った方が正しいかもしれない。
↓
その当時、私達はカナの外側でもう何が起きているかなど、
分かる術はなかった。
こうしてカナとディオラの犠牲の上で、
私達は{知らない}おかげで新たな世界を創設。
今に至る。
↓
ディオラは{肉}を脱ぎ捨て、残された怒にくれてやり、
卵の外へ追放。
何故{肉}を与えたかは未だに不明。
カナは私達に外へ出ない様、
守るのみ。
カナとディオラの永い、
本当に永い戦いの始まりであった。
以上が簡単な説明である。
カメムシやジャンク達に起きた今までの現象全ては、
カナによる守護。
守るための現象だった訳である。
もの凄く簡単にカナの守護を例えるならば、
あなたの心臓を体外へ出そうと思いますかと言う事なのだ。
出さないでしょう。
だがあなたは体内に悪いものを嫌でも吸収しているし、
嫌でも良いものを得ている。
カナも同じで私達を守り切れなかったのだ。
いずれは本当の世界を知ってしまう。
カメムシやジャンクがここにいるのだから。
こうして現に。
目の前に。
新たな最終兵器である事を匂わせながら。
そうだ。
だからあんなにも眩しかったのだ。
今まで何回も。
眩しかった。
今ようやく気が付いた私は、
戦争当時にほんの微塵でもこの気持ちに、
なれたのならばあんな悲劇は決して起きなかっただろうと、
今更ながら思う。
~~~~~
決して繰り返してはいけない。
そう思うのは、それが起きた時だ。
起きた時でさえ思わないのだから。
思った時は遅いのではない。
ようやく思えたのだ。
~~~~~
きっと、
皆そうなのだと思う。
結果、肯定と否定。
私は間違いなく、
断固として{前進}を選ぶ事を、
ここに焼き記す。
~ いくら書き記しても ~
~ 星の数ほど焦がれても ~
~ それもまた、あなたの御業なのですか ~
~ 主よ ~
~ 約束は守ります ~
~ たとえこれが負け犬の遠吠えであろうと ~
~ たとえそれが世界を引き裂く剣であろうと ~
~ どうかわたしを使ってください ~
~ 役立ててください ~
~ それでもあなたの呼吸の一部にすらなれないでしょう ~
~ それでも構いません ~
~ 一つになれというのであれば ~
~ 喜んで一つになります ~
~ どうか、どうか ~
~ 何かに使ってやってください ~
~ 私を救ってくれたご恩返しです ~
~ わたしを後悔させてください ~
~ そして誰かを救ってください ~
~ 私を突き落としてください ~
~ そして誰かを救い上げてください ~
~ 御心のままに ~
~ エイメン ~
フーリーヘイド 本編開幕である。
今まで書き記された事は無関係と言えば無関係であり、
あると言えばある。
肯定と否定の洪水の中を、
助かろうともせずに。
私は記し続けた。
時には逃げたかもしれないが、
もはや覚えてなどいない。
どうやって記しているのかすら、
もうわからない。
ただ。
残ったのは。
たった一つ残ったのは確かな事がある。
”一つになる事”を否定する事。
今まで登場した人物、出来事は嘘ではない。
否定し続けた結果。
単なる”道 ”であった。
更に言えば、
”肯定”による影響もあったかもしれない。
それでももがいた結果の”道 ”であると、
記しておきたい。
伝えておきたいのだ。
どうしようもなく、理由なく。
そして、開幕の始まりは、
どういう訳であるか、
少年と少女の出会いから始まる。
1.ヴァルヘル・ゲルトという少年
この記しを見ている世界からはここがどう見えているのかはわからないが、
たいしてそんなに変わらないだろうと願う。
申し訳ないがもう時間が無いのだ。
時間など無いのだが...何と言うべきか...。
私に限界など無いと思っているのだが、
記せなくなることが怖いと言うべきか...。
そんなところである。
.....んむ、今後はあまり余計な事は記さないでおこう。
とにかく、夕暮れの大きな橋の下で親のいないヴァルヘル・ゲルトという少年は、
ひたすら考えていた。
「...どうすればこんな事を...。
そう...伝えたとしても、認められたとしてもどうすれば...。
何故こんな事を思い付いてしまったのだろう。
...。
これが正しいと言う事は、
僕が今食べようとしている茹で卵さえ、
尊敬する存在であり、
この川や石だって結果であり、
石が”無感覚 ”になったのだって頷け....」
「また何か独り言、言ってるの?」
卵を焚火に乗せた、
分厚いエンジンのオイルパンに川から水を汲み、
ぐつぐつと10個の卵を茹でながら、
ヴァルヘルがいつものように独り言を言っていると。
女の子。
そう思える音が聞こえてきた。
テモド(カラスによく似た鳥)が、
ワミッ、ワミッと鳴きながらヴァルヘルが向いた方向に群れている。
真っ黒のテモドが夕日に照らされて、
まるで別の生き物に見える中、
群れの中心で微笑みながら少女は肩や腕に留まるテモド達を、
まるで友人のように扱っていた。
「メラグナ、ここに来たら怒られるって言ったじゃないか。」
「私がどうしようと勝手です。
この前はお父さんがヴァルと遊ぶなって言うから、
仕事に履いて行く高そうな靴の紐、
ほどけないように左右一緒に縛ってあげたわ。
朝、出勤の時、当然玄関で転んだの。
言ってやったわ。
ヴァルを悪く言う人はみんなこうなるのよって。」
「な!なんだって!?(;・ω・)」
「(・ω・)当たり前じゃない。
貴方を知りもしない、
知ろうともしないのに、
お父さんはヴァルを否定したの。
当然、否定されたって文句言えないわ。」
「...ま...まさか(;^ω^)メラグナ...。」
「家出してやったわ!(^ω^)
絶対に許さないの!(^ω^)」
(;^ω^)...オ~ゥ、マ~ィ、ガットゥというヴァルヘル少年の声が、
聞こえて来そうであった。
「ここで暮らすなんて言わないよね?(;^ω^)」
「(^ω^)」
(;^ω^)...オ~ゥ、マ~ィ、ガットゥというヴァルヘル少年の声が、
聞こえて来そうであった。
メラグナ。
決してヴァルヘルが家無しで親のいない可哀そうな子とは思っていない。
彼女は普通の一般家庭の一人娘で、
ヴァルヘルが暮らしていた橋の下の御近所さん。
何故他の孤児がヴァルヘルにこの場所を許しているのか、
その他もろもろの疑問は今後、解き明かされる。
彼女はとにかくヴァルヘル少年が好きなのである。
何より先に好きなのだ。
これはもうどうしようもないのである。
単純に好きなのである。
「帰って勉強しなよ~(;^ω^)
普通に暮らしなって(;^ω^)」
「嫌よ!(・ω・)
そもそもヴァルの考えが正しいなら!
勉強しても意味無いじゃない!
テモド達もそうだと言っているわっ!(・ω・)」
テモドの群れが一斉にヴァルを睨む。
「ほら!(・ω・)」
「(;-ω-)...”耐え忍んできた勇者達 ”に言われると...。」
「(^ω^)」
そしてこの顔である。
メラグナよ...”どうしてジャンクっぽくなってゆくのだ...。”
それはヴァルヘル少年もそう思ったであろう...。
「ジャンクっぽい?(;・ω・)」
「......(;-ω-)...お母さんには何て言ってきたの?」
「ヴァルのとこに泊まるって...(;・ω・)...だめだった...?」
しつこいようだが(;-ω-)...オ~ゥ、マ~ィ、ガットゥというヴァルヘル少年の声が、
聞こえて来そうであった。
子も子なら、母親も母親である...。
メラグナの母親はちなみに後で登場するが、
父親が玄関で転んだ時、豪快に大笑いしていた人である。
ヴァルヘル少年の数少ない理解者でもあるだろう。
「ゆで卵10個しかないから5個で二人で分けよう。」
橋の下のヴァルヘル少年が暮らしている小屋があるのだが、
もしこれを見ている存在があるならば、
どんな小屋を想像するであろうか。
みすぼらしい一時しのぎの小屋?
廃材で組んだ意外と頑丈な小屋?
メラグナがヴァルヘル少年を好いた理由はこれでもあるのだが、
”廃材の支え柱 ”と近所では評判であり、
文字通り橋を支える状態で約5年かけて完成した、
廃材、いわゆるゴミ。
必要とされなくなったもので構成されており、
橋を支えるように設計されているのだ。
もちろん橋が傷まぬよう、
ヴァルヘル少年邸と大橋が接触する辺りは月一回ヴァルヘル少年が、
もはや小屋とは呼べぬ小屋からの湿気、環境による悪影響が及ばぬよう、
油さし、点検も欠かさないのだ。
これは凄い事である。
いつしか観光名所となり、
街にいる他の孤児達の職場になったのは言うまでもない。
大橋のメンテナンス、
河川敷がゴミの豪邸で通れないではないかと思われがちだが、
見事なアーチ型の通り道があり、
そこにはデウェ(ブドウみたいなもの)や、
ミライソン(ミカンではないのだが、ミカン味のブドウと言っておこう)など、
あっちにびっしりと生い茂っており、
それらの世話。
観光旅行者の案内など。
仕事は山ほどあった。
だが、
売店だけは作らなかった。
ある時どこかの偉い人が来てこのでかい小屋を見て言ったのだ。
「私の街に勝手にこのようなものを作りおって!
もっと作りなさいっ!
...まるで私の仕事に比べれば...。
この偉業には敵うまい...。」
その人は何故か泣いてしまった。
ヴァルヘル少年がそこへやってきて、
「これ以上は作りません。
けどお願いがあります。
貴方が誰かは知りませんが、
向こう岸にも同じものを作りたいんです。
今のままだと向こう岸の橋の下とこちらで差が出て、
橋に良くないと思うんです。
...そもそも小屋を作ったのが悪いのですが...。」
「何度言わせるのかね!
作りなさい!
大いに作りなさい!
私が誰か知っていようが知るまいが!
5年だ!
私にこんな偉業は真似できない!
是非作りなさい!」
信じられないであろう。
要はゴミ屋敷なのだ。
普通なら余計なもの作るなと撤去されて当然。
ではなぜそうならないのかはメンテナンスをしているからではないのだ。
それは嫌でも後に分かる。
5年もかけてこしらえた家である。
ただ単純に衣食住だけなら本当に小屋だけで済む話なのだ。
ヴァルヘル少年は”場所 ”が必要だったのである。
こうして向こう岸にも同じ橋の支えという豪邸が出来上がった。
向こう岸では孤児たちが暮らしている。
悪さをする者もしばしばいたが、
毎日寝床を探し、
まともな仕事に就けない彼らは賢い。
勉強はできず、
字も読めないが。
毎日暖かい寝床と食事があるならば、
それを壊すなどと言う事は、
学が無いが、
貧しさの暮らしという学は誰よりも長けている。
するはずがないのだ。
問題を起こすようなことは。
しばしばはあったが。
それに、
孤児が発生する原因は大人である。
それがどんなにどうしようもない不幸であっても。
第三者からすればそれは他人事。
当たり前であり必然であり、
現実。
語る事すら許されない程の不幸の末に、
この橋の下に辿り着いた者もいる。
聞くに堪えない理由。
暖かい寝床と食事ですらその悲しみはいやせない程の、
本来なら聞かなくてはいけない理由。
狂気からの帰還者と呼ぶべき者達である。
よくぞ狂気に飲み込まれなかったと称賛に値する程の。
再度、襲い来る狂気の記憶の恐怖と偽の嬉しさ。
それがしばしば悪さをするらしい。
ヴァルヘル少年はこの現象に関してこう言っている。
「あきらめるんだ。
当たり前だ。
僕は一度食べたものの味をなかなか忘れない。
また食べたくなるのは当然だ。
それを悪いと言うな。
言っても良いが。
そもそもこの橋の下だって忘れられないじゃないか。
それを周りが肯定するか否定するかだ。
どちらか多い方に傾く。
この子が毎晩、
父親に体を弄ばれて、
その”味”は必ずお互いに残る。
その”味”を思い出して、
彼はまた父親を求めた訳じゃない。
我慢して自分の体を弄んだんだ。
それの何が恥ずかしい。
むしろ前進だよ。
どんなに愚かに見えても。
大きな一歩だ。
彼は闘っているんだ。
今後も闘い続けるだろう。
それの何が恥ずかしい。
そもそもその”恥ずかしい”は何なんだ?」
これにはいろんな意見があるだろう。
例えばある日この橋の支えに辿り着き、
父親との異常と呼べる経験を経て、
その時の複雑な悲しいが嬉しいという快楽を抑えるために、
この少年は自慰をしたのだが。
そんな事は誰でもするだろう。
問題なのは悲しいかな、
似た環境の孤児がいるのだ。
当然、求めあう事になる訳なのだが、
それを否定する者と肯定する者に分かれたのである。
これがもし、
もっと狂気に満ちており、
殺戮を教え込む父親であったならどうであろうか。
言葉でいかに死に追い込む術を教え込む父親であったならどうであろうか。
「これはあくまで僕の仮説なんだ。
この見えている世界は、
小さな粒で出来ているだけなんだ。
僕らの体だってそうだと思ってる。
いつかこの立っている橋の支えも、
川も大橋も街も、
姿を変える。
それは小さな粒が集まったり離れたり、
ただそれの繰り返しなんだよ。
たまにあるじゃないか。
あれ?
何かこれ見た事あるって事。
それはそうだよ。
1万個の腐らないブドウの粒を、
広場で毎日休まず5億年広場から出さないように、
転がし続けてごらん?
何かの模様や見覚えのある配列にならないか?
その似たような配列を目にした時に、
思うんだよ。
見た事あるって。
でも全く一緒では無いからそう思うだけなんだよ、きっと。」
「...じ、じゃあパパと寝てた事も繰り返してるのかな...。」
自慰した少年が聞く。
「繰り返してる。
とは断言できないけどね。
確かめる方法がまだ見つからないから。
今はね。
それに僕の思い込みかもしれないだろ?」
5年で橋の支えをこしらえたヴァルヘル少年に対して、
言葉を返せるものはいなかった。
「このデウェだって名前がブドウであって、
もう少し甘かったかもしれないって事さ。
毒をもっていた時だってあったかも。
建材だったかも。」
「...ヴァル...否定したいけどできないよ。
これも繰り返しなのかな、キリがない。」
「今の話は何となくで良いよ。
要は、僕たちうまくやって行こうぜって話さ。」
「俺はお前に救われてリーダーになれって言われたけどさ。
お前は桁外れだよ...。
...一体何食べたらそんな考え出てくるんだ?」
彼は最初に橋の支えに来た孤児で、
コッチという。
橋の支え建設開始から2年半頃ここに来たのだ。
あ~!とコッチがヴァルヘル少年に声をかけようとした時、
ヴァルヘル少年は手招きの仕草を見せて、
「こっち!」
と言って手伝ってという感じで叫んだのがコッチの名前の由来である。
彼はちなみに産まれてすぐに下水に捨てられており、
言葉すら話せなく、
臭かった。
言わば原始人である。
オッチョケ(ネズミに似た生物)に育てられたようなもので、
いまだにオッチョケと話す事が出来る。
「ゆでたまご食べたらこうなるよ。」
コッチの問いに答えたヴァルヘル少年の言葉は、
向こう岸の橋の支えに笑い声を溢れさせたのは言うまでもない。
ゆでたまごでそうなる訳ないだろ...。(;^ω^)=3と、
ため息を付くコッチだった。
話を戻す。
こうして向こう岸ではこっちがリーダーとなり、
生活をし、
こちらではなんとヴァルヘル少年一人で、
橋の支えで暮らしている。
メンテナンス、植物の世話等は日中向こう岸から数人来て行っているのだが。
もはや要塞である。
大きいのだ。
そしてまた、
廃材とは思えぬ程に見苦しくなく、
壮大で、
奇麗なのだ、不思議と。
だから取り壊す事もなくいまだにこうして存在している訳だが。
メラグナの母親が快く泊っておいでと言う程なのだ。
むしろ光栄ですと言わんばかりなのだ。
しかしながらヴァルヘル少年にとってメラグナは苦手である。
ちょっと好きなのだ。
では何故、苦手と言って嫌がるのか。
それも後に分かる事だ。
日も傾いて落ち、
夕焼けも暗くなり始めた頃。
ヴァルヘル少年の説得も空しく、
メラグナを橋の支え、わが家へと招き入れた。
1のお話はこれでとりあえず終わりにしよう。
キリがないので。
私は構わないのだ、こうして記し続けるだけなのだから。
では何が問題なのかも、
後に分かる事でもある事を記す。
2.向こう岸の橋の支えのコッチ
「ねぇ、コッチは大人になったら何がしたい?」
ある少女がベットで寝ながら隣で聞いた。
「オネーサ、寝れないのか?
オッチョケ呼んであげようか。」
「だめだよ、あたし寝相悪いから潰れちゃうかも。」
「ああ、知ってるよ。
この前言ってた。
潰されそうになったからもう呼ぶなって。」
そう言ってコッチが笑った。
「...今度会ったら謝っておいて。
悪いことしちゃった...。」
「気にしてないさ。
寝返りくらって死んじまうほど、
あいつらはバカじゃないよ。
...怖くて寝れないのか?」
隣のベットで寝ているオネーサもやはり、
明るい過去の持ち主ではない。
「ううん、違うの。
...いつもヴァルの話を聞いて思うんだけど...。
あたしがここに来る前、
逆の事を言っている人がいたの。
凄く優しい人だった...。
...コッチにこの話したよね?」
オネーサがコッチの方を振り向くとベットにはおらず、
寝室、と言うよりも寝床と言った方が良いだろうか。
他の孤児達もベットは5段で床にさえも所狭しと寝ているのだ。
ボロボロの焦げたぬいぐるみを抱いていつも寝ているオネーサ。
部屋の柱に自分を縛って寝る子。
頑丈な石を握りしめないと寝れない子。
服を着て寝れない子。
天井から吊るされないと安心して寝れない子。
様々である。
オネーサはコッチがいなくなったので辺りを見回すと、
部屋の出口にいつの間にか移動したコッチがおいでと手招きをしているのを見つける。
ほっと安心して他の子を起こさないように静かにコッチと部屋を後にした。
橋の支え。
簡単に説明すると橋の下に川が流れていて、
大きな柱によって支えられている。
================= ←大橋
\ |柱| |柱| / ←土(土手と言うべきか)
ーーー~~~~~~~~~ーーー ←ちょっとした陸地と川
このちょっとした陸地と大橋、
坂になった土の間に丁度三角形のカステラというか...、
箱と言うべきか。
それがスポッとハマった感じでヴァルヘル少年が作った橋の支えは存在した。
川のすぐ近くなので寒い印象があるがそれは間違いである。
水力を使った水車が常に隣で回っており、
彼らの家の機能はすべて賄われている。
細かい説明はまた別の機会にとって置くとする。
一つだけ説明するならばまずこの水車は音がしない。
ギシギシとか水のバシャバシャとかいった類の音は一切しない。
これはヴァルヘル少年がいずれこれが完成したら、
自然と目に入る、聴こえる、匂うはず。
この存在を面白くないと思うものは必ず出てくる。
それは人ではないかもしれないし、人かもしれない。
これは僕らが声を発するのと同じなんだ、という考えから成り立っている。
要は慎重にと言う事なのだろう。
目立つなと言う事なのかもしれない。
だから正直、遠くから見ると植物で覆われているため、
よくわからないのだ。
近くに来てようやくああ、と気が付く程に。
コッチとオネーサは日が暮れて寝るまでしかほとんど使わない、
談話室という感じの部屋に入り、
寝ている子はいないようなので部屋の中央で大きな毛布に二人で肩を寄せ合った。
「寒くないか?」
「うん、大丈夫。」
「起こしたらまずいからね。
テーム(お酒)コッソリ持ってきたけど飲むか?
温まるぞ。」
「もらう。」
二人で少量のテームを飲む。
これを見ている存在の世界がこの行為が悪い事だったら、
真似してはいけない。
駄目なものは駄目なのだ。
そちらのテームとこちらのテームが違うからである。
「...聞いてほしい事があるの。」
「うん。」
「あたしね、ここみたいに親のいない子供が沢山いる所から来たの。
すっごく遠い所。
すっごく寒い所。
雪って知ってる?」
「オッチョケから聞いた事がある。
白くて冷たいんだろ?」
「コッチはすごいね。
何でも知ってるね。」
「俺がすごいんじゃないよ。
あいつらがすごいのさ。
あいつらの知らない事は無いよ。
あるとしたらヴァルの頭の中ぐらいかな?」
二人で笑った。
「そう、さっきの続きだけどね。
ヴァルと逆の事を言っていた人の事。
その人は凄く奇麗な人でお母さんみたいな人。
優しくて、怒った所は見た事が無い。
その人がみんなを支えてくれてたの。
あたし達もママ...あ、みんなママって呼んでたんだけどね。
ママの仕事をあたし達も手伝ってた。
みんなママが好きだったから。
役に立ちたくて。
ママがね、いつも言ってた。
悪い事をしてはいけませんって。
悪い事をすると地獄に落ちるのよって。
とても難しいんですけどねって。」
「それが普通なんじゃないか?」
「そうなんだよね。
あたしもそう思ってた。
悪い事をしなければ天国に行けるって。
あたしはママがいれば十分天国だった。」
「ママに何かあったのか?」
「...説明が難しいの。
ここに来るまでいっぱい説明したんだけど...、
誰も信じてくれなかった...。」
「でも聞いてほしい?」
「うん。」
「聞くさ。」
「うん、
ある日ね、
変な髭の男の人が来たの。
ママとあたし達がいた所は山の中に建物が一つ。
その建物の中で食べれるものを育てたりして生活してた。
だからその男の人がどこから来たのかが不思議だった。
とにかく怯えてた、もの凄く。
ママが外は寒いから家に招いたの。
火の近くに座らせて温まってもらったわ。
スープも作ったの。」
「どこから来たのかが不思議だけど、
そこまでは普通だなぁ。」
「うん。
ここまではみんな信じるんだよね。
それでその変な髭の男の人がね、
スープとか食べるんだけど。
何にも反応が無いの。
なんかね、
岩にスープあげてるような感じなの。
食べ終えて火を見つめながら一言言ったのよ。
”ここも違った”って。」
「ここも違う...迷ってたのか?」
「あたしもそう思った。
ママが姿を変えるまでは...。」
「姿を変える?」
「うん。
髪の毛が蛇になってね、
服が小さい羽根と角の生えた小人に変わったの。
そして男の人に言ったの。
”まだ探していたんですね ”って。
ママ凄く奇麗だった。
今までよりも。
でもね、凄く哀しそうだった。
今でもあの顔は忘れられない。
そしてね、男の人もママも消えちゃったの...。」
「...目の前で?」
「...うん。
消えたと言うより...。
気が付いたらいなかったと言った方が良いかも。
さがしたの、みんなで。
いないけど待ったの、みんなで。
でも1年経っても現れなかった...。」
「...なぁ、ママと男の人の特徴。
もっと詳しく教えてくれないか?
あいつらなら何か知っているかも。」
「オッチョケに聞いてくれるの?」
「当たり前だよ、もしかしたら居場所わかるかもしれないだろ?」
オネーサはそれ以前に素直に信じてくれたコッチが、
嬉しくて仕方なかった。
それもそのはず。
ここまでの道のりはまだ語ってはいないが、
頼りとしていたママが突然いなくなったのだ。
山の中の極寒の建物の中で子供だけで生きていくには、
過酷な環境である。
そして辿り着いたのはオネーサだけなのだ。
コッチはあえて聞かなかったのだと思う。
下水に捨てられて生き延び、
ヴァルヘル少年と出会うまで自分が捨て子であった事さえ、
気付いていなかった環境とは桁が違う。
コッチにはまだオッチョケもおり、
何より人が住んでいる場所であった。
それでさえ過酷だったのだ。
聞けるはずがない。
「ママはさっき言った通りの姿に変わったの。
男の人は変なカッコだった。
覚えているのは帽子。
凄く変な帽子。
ちょうど真ん中に変な絵が描いてあるんだよ?」
「どんな絵?」
オネーサが指で床になぞった絵というそれは。
卍
「帽子の真ん中にテモドみたいのがいて、
テモドのお腹かな、そこら辺にこの絵があったの」
「オッチョケに今度聞いてみるよ。」
「うん。
ありがとう。」
この絵を見ている、知っている存在がいない事を、
心からいない事を願い、
記す。
恐ろしい、そして哀しいマークである。
そうではない事を願う。
3.変な絵の変な髭の男
「...(;^ω^)...あのー...もう何回目か分かりませんが、
まだ迷っておられたんですね...。(;^ω^)」
ママと慕われ呼ばれていた、
姿は既に悪魔の如く変貌した女性?が男に話しかけた。
男は相変わらずボーっとして、
どこを見ているのやらわからないといった様子。
ここは。
...まず説明しなくてはならないのがまず残念であるが。
二人は寒い山奥の建物の中で、
孤児たちの前から消えたのではない。
繋がりが変わったといえば正しいのだろうか、
”テレビの見たいチャンネルを合わせる”と言っておくとしよう。
きっとこれでわかる...だろうか。
同時に二つのチャンネルを見る事も出来るだろう。
しかし、”五感”で言うならば、
一つ目のチャンネルを”見て”、
二つ目のチャンネルを”聴き”、
同時に二つのチャンネルに関して考えを巡らせる事が出来る、
そういう存在がいつかいたのだが、
出来ないものもいるだろうし、
私は無理だ。
もはや出来ない。
この二人がいる空間はチャンネルが同時に、
今見ている存在の世界での毎日の出来事全ての数に、
同じ出来事の数をかけ算して得た答えの数値すら及ばない程のチャンネルが、
強制的に入り混じって上や下、右や左、前後関係なく流れている。
しかもミュート機能など便利なものは無いので、
音は雑音にしか聞こえない。
唯一の救いはその各チャンネルに繋がらない限り、
触れる事は無いようである。
誰がこんな世界を創ったのかという話だが、
カメムシである。
彼らが”思いだす場所”に見事辿り着いたところで、
きっと表現は終わっているのだろう。
その後大変だったのだ、本当に。
その事は嫌でもいずれわかるので今は省く。
「ワ、ワシは一体どうすればいいんだ...。
...愛する者と共に死ぬはずだった。
そこへ男と犬が現れた。
何を言っているのかわからなかったが、
気が付けばここに来ていた。
地下の私の部屋ではない!
ここだ!
戻れないのだ!!
...戻れないのだ...!!
...なにもかも...!.....。」
「(;^ω^)...その言葉も問いも、
叫びも何回目なのでしょう。(;^ω^)
そして貴方は私にいつも言います。
戻せと。
ご覧ください(;^ω^)
どれが貴方の居た世界なんですか...。(;^ω^)
私は連れて行きたいのですが、
いえ、
むしろ何かも連れて行きました。(;^ω^)
私が聞きたいです。(;^ω^)
何故いつも私の所へ戻ってくるのでしょう...。
困りました...。
私の知るところでは来ず知れぬほどの人々を従えて、
貴方は”国”?でしたね、それを創ろうとしており、
それに反対する者と戦っていたのですよね?(;^ω^)たしか。」
「...そうだ...!
ワシは、世界を直そうとしていたのだ...。
一つにしようとしていた...。
必死だった。
我が国の民は褒めたたえてくれた。
戦った。
...そうだ、思い出した...。
...だが、負けた.......!」
様々な現象の音が折り重なって、
雑音として二人の聴覚を刺激する中、
会話は途絶えた。
私はこの男の正体も、
この女性の正体も知っている。
それはカメムシが教えてくれたからである。
名前は違えどこの男に似た存在は、
見ているかもしれない存在の世界にもいただろう。
虐殺、傀儡、卑劣。
名はアドゥローフェン・ヒトゥラー。
カメムシの世界では有名な戦犯であったようである。
そしてママと呼ばれていた彼女には名前が無い。
カメムシの一部と言っておこう。
今はこの世界の単なる住人だと思ってくれれば幸いだと思う。
その戦犯が気が付けばこの世界に来ていた、
そして戻ろうと随分頑張っているらしいのだ。
この男をこの世界に連れ去った張本人。
言ってしまうがジャンクとミイと卵とイビキなのだ。
理由は本当にたまたま、
まったくの不運の偶然だったのだ。
しかも当の本人、ジャンクはこの事を知らないのである。
もしかするとこの男は酷い事を何度もしてきたと思うが、
ジャンクの方が何倍も恐ろしい事をしたかもしれない...。
勝手に不死身の体を与え、
訳の分からない状況にし、
放置。
死んで終える事の出来なくなった男は記憶にすがるしかないという、
永遠の道。
そこでたまたまこのカメムシの一部である彼女に出会えたという、
それでもまだ救いは得られていないという過酷さ。
既に気が狂うなど何度もしてきただろうに。
なんせこの男には終わりが無いのだから。
「...もうありとあらゆる事をしてきましたよね(;^ω^)
戻れないからいっそ、すべて忘れて違う世界にも行った。
勇気を出して別の愛する人を見つけた。
...ご自分で始めた似た戦いを止めようともなさいましたね(;^ω^)、
あれは驚きました。(;^ω^)
...どうですか?(;^ω^)
そろそろ私と共に神を信じてみては。(;^ω^)
もうしていないのはこれくらいの事なのでは?(;^ω^)」
「!ワシが神だ!
我が誇るデイツ人の血で世界を統一するっ!!!
それが我が使命!
我が闘争...。」
「(;^ω^).....そ、そうでしたね。」
男はうなだれてしまい、
さすがに疲れたようである。
女性が突然、
「あ!!(^ω^)
私は何故こんな良い事を思い付かなかったのでしょう!(^ω^)」
そう言って思い付いた!っと言わんばかりに手を叩いた。
「?」
「貴方がその誇りに思っている計画のその後!(^ω^)
こんなに世界があるのです!
成功した世界もあるのでは!?(^ω^)」
「...それは既に行った...。」
「...。(;^ω^)」
じゃあもう良いじゃない(;^ω^)と思う女性。
「あのオレンジの星が必ず最後は全てを壊すのだ...。
我が念願の世界、統一の世界...。
何度やっても最後はあの忌々しいオレンジの星が....、
全てを壊す。」
「あ(;^ω^)イモムシさんですね?
カメムシさんが今も探しているはずです。(;^ω^)
彼女はただ狂って踊っているだけなんですけどね。(;^ω^)
そこにたまたま貴方の夢がかなった世界のある星が、
あっただけであってですね(;^ω^)」
「!!!小娘が宇宙で踊ると星がいくつも崩壊すると!!!!!!
!!!誰が信じるというのだぁ!!!!!!」
(;^ω^)あ~あ、また怒らせちゃった...。っと思う彼女。
「...もう滅茶苦茶だ...。
お前達は一体何なのだ...。」
「......(^ω^)=3
私達は神に地獄を救うと誓った、
神の手足となると誓った者です。(^ω^)」
「.........。」
男はまたうなだれてしまった。
彼はまだ知らない。
後に”愛の世界”への道の一部に、
自分が役立つ事を。
だが、
まだその時ではない。
その時が来た時はもう既に、
”我が闘争”などと言う自我すら存在しないのだから。
それまではまだまだ迷い続けるのだろう。
”一つになる”という見えない病に侵されながら、
微量の自分を失って犠牲とし、
神など信じていないながらも、
そのおぼつかない足は自然と、
気が付けば肯定の道になんとか辿り着ける。
これも神の御業なのだろうかと言う程に。
しかし、
今はまだ迷うばかりである。
近道など無い迷走をもってしても、
その道はきっと、
正気を保っていなくても辿り着けただけで、
奇跡なのだと思う。
簡単な事程、難解な事は無い。
まさにこの言葉を彼に記したいと思う。
百聞という盾を持って、知られざる救いを与える。
故にこの言葉を彼女に託し、記す。
最後にこの事実はカメムシはおろか、
イモムシも知らない事も記す。
4.ママ
「(;^ω^)=3よいしょっと。」
山奥の寒い建物に、
迷い続ける男も仕方なく連れ戻った女性。
「...ここは違うと言ったはずだ。」
「仕方ありませんよ(;^ω^)=3
毎回毎回どこに連れて行ってもあなたは戻ってきてしまうのですから。(;^ω^)
私にもしたい事があるんですよ?(;^ω^)まったくもう。」
「ママだ!!」
「ごめんなさいね(;^ω^)あらやだ、姿がそのままでしたね。」
残されていた孤児達が泣きながらママに抱きつく。
「良かった...。(-ω-)
私の希望の光達...。
無事でしたね。」
「ママ!焦げたウサギがママを探して山を下りたんだ!」
「!!!」
今までずっとにこやかにしていたママの表情が困惑へと変わった。
「みんなで待とうって言い聞かせたんだけど、
ママが心配だって行っちゃったんだ!」
「...なんて優しい子...。
...。
さぁ、みんな泣かないでね?(^ω^)
今は昼かしら...。(;^ω^)
今夜は美味しいものを食べてとりあえず休みましょう。(^ω^)
どうですか?みなさん。(^ω^)」
姿形は違えどママである事は誰よりも分かっている孤児達は、
わぁー!っと喜んだ。
次々と孤児達の質問の嵐に、
ママはいつものようにあっさり答えていく。
「ママ、どこいってたの!?」
「遠い所よ?(^ω^)」
「ママくさい!」
「臭くなる程あなた達が好きなんですよ?(^ω^)」
「ママ、オシッコ!」
「暖炉でしちゃいなさい。(^ω^)」
「ママ!ママ!寝る時お話聞かせてねっ!」
「もちろんです。(^ω^)」
男はこの情景をどこかで見た事がると思いながら、
ただ見つめるばかりであった。
「おいヒゲ!
お前も少し手伝えよ!!」
孤児の中で一番年上の男の子が、
うなだれ疲れ切った男の耳を引っ張りながら言った。
「!!何をする!!
ワ、ワシは!.......」
「お前もママに助けてもらったんだろっ!!?
ちがうのか!?」
”助けてもらったんだろ”
人間は、
なぜ本当にごく簡単な事程、
忘れてしまうのだろうか。
たしかにこの子の言う通りなのだ。
何があったにせよ、
男はママと呼ばれる女性に助けられたのだ。
幾度となく。
様々な世界を彷徨い歩き渡る中で。
お礼の言葉すら忘れていたのだ。
自分勝手な疲れに埋もれ、甘え、隠れて。
この一言に気付かされるためにわたしは存在したのだろうかと思わんばかりに、
髭の男は立ち上がりながら驚いていた。
「......そうだ。
そうだった....。
ワシは一体何を探していたんだろう....。
....もう無いものを探して一体何を...。」
今後、この男は孤児達にヒゲと呼ばれることになる為、
ヒゲと表記する。
ヒゲはママの方を向き、
ゆっくりと奥深くお辞儀をしながら帽子を暖炉へと投げ捨て言った。
「感謝する。」
「(^ω^)」
変な絵の帽子は暖炉で燃えて、
建物の暖かさを少し手助けしたようだった。
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