良太ごめんね

良太とひっそり住んでどれ位たつだろうか？
あまり喋らない無口な子供。
暗いと言うか？
大人の顔色みていると言うか？

とにかく私にはやりやすい息子。
勤めていたギャバクラから、足を洗い。
今は良太にも良い環境作りしたくて……

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アパートから大きな声で叫び声。
美咲、美咲！！

美咲ちゃん～！
またか……

海翔の声だ！

海翔とは夜の店で知り合ったお客。
ずっと私に付きまとう、ある意味変わった男。

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おはよう！
ときかく元気良く。
脳天気な男。

よう！
海翔！
おはよう！

元気か！

昨日も一昨日も毎日来てるだろうが。
この海翔に振り回される毎日。
私は海翔が何を考えて居るのか？
分からなくなる。

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海翔は名門大学出身で、歌舞伎役者の、御曹司。
おまけに既婚者。

もちろん私とも身体の関係はあり。
何考えてるのか？
奥さん何も言わないのか？
夫婦仲のはなしなど、全くしない。

脳天気野郎。
そんな金持ちの由緒ある御曹司には見えない風貌。

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美咲！
良太どこか預けて、気持ちいい事しようよ。
美咲ちゃん～。

馬鹿じゃない？
子供のいる前で。

良太少しの間美咲とおじちゃん話しあるから、外で待ってろ！
ほい！
これ持って行け…

海翔は良太にお札渡して。
良太も、うん、と言いながら、外に出て行く。

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海翔いい加減にしてよね。
もう私達関係ないんだから。

美咲。
そんな事言うなよ。
美咲ちゃん～
美咲ちゃん～
美咲……

天上の照明がゆらゆら揺れている。
か…か…かい…海翔…
海翔は私の上に乗り、腰を得意げに、動かして…

美咲…
美咲…

愛してるとは言わない。
どうして言わないのかも？
気にならない。

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海翔の男臭い息。
寒くもなく暑くもない季節。
でも海翔の身体がやけに私の身体を蒸し暑くする。

私は一応高級クラブで働いてた。
新鮮で清楚なイメージで指名は多かった。
たまに海翔が私を専属にしてくれた。

多分他の女の子も食いまくりだと思う。
全く地位や名誉ある、御曹司には見えない。
でも毎日通うだけのお金持ちには間違いない。

今日はワーク服にいつも首にタオルをかけている。
海翔の定番の服装。

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海翔の愛撫。
最近気持ち悪い。
海翔は目が大きい。

私の身体中舐めまくり、沢山愛撫する。
海翔の、美咲、もう聞き飽きた。
彼の言われるまま、私は海翔の身体に埋もれる。

天上を見上げ、いつまで海翔と、関わるのか？
そんな冷静さも持っていた。
ハァ…ハァ…ﾊｧ…

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私の勤めてた高級クラブは、大物政治家やタレント、スポーツ選手なんてザラ。
よりにもよってこんな男に関わるなんて思って居なかった。

何故？
海翔は私を見つけ、今も私と居るのか？
こうみえても、政治家さんや、お偉いさんとの、食事会まで、誘って貰ったのに。
何故？
海翔なの……………

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離婚する訳でもなく。
御曹司だと言っても、遊び呆けてる、馬鹿息子。
親も奥さんも何考えてるのか…………

私も人の事など、言えた立場じゃない。
良太もいて、ろくな生活送っていない。

この古ぼけた二階建てのアパートに、今日もミシミシ壁に響く。
何故？
こんな貧乏くじ引いたのか？
色々な事を考えてる私の気持ちすら、分からず愛してると、連発する海翔。

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海翔から、あ～～美咲、どうたった？
海翔が口走った。
うん。
としか言いようがない私。

よし！
良太連れて飯でも行くか！！
ベランダから、お～い。良太！
海翔が良太を呼んだ。
私は母親だし、女のワタシを良太に、見られたくない。
すぐさま洋服を着た。
いつもの事なんだけど。

良太は棒を持ち、砂に絵を書いていた。
これもいつも通り。
良太は事が済むのを、待つかの様に、ゆっくり鉄の階段を、上がって来る。

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海翔は相変わらず、脳天気野郎。
良太は４歳にして、大人の世界が分かるのか？
口数は少なく、大人しい性格。
全く叱る事もなく、手を焼いた事もない。

海翔と良太は海翔だけ、一方的に話す関係。
どちらが大人か？
本当に大人らしい４歳児だ。

良太はいつも下を向いている。
それを頭を撫でる海翔。

私は海翔とから逃れたかった。
早く海翔から離れて、良太と１から、やり直したかった。

もう夜の世界から、足を洗いたい。
良太にも沢山お友達作ってあげたい。

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私達は海翔のオレンジ色のクーペに乗る。
良太は相変わらず、無口で私の隣りにいる。

海翔は相変わらず、鼻歌がテンション高く、歌ってる。

海翔のスマホが鳴りだした。
私はドッキリした。
良太の口を私は手でふさぐ。
海翔は中々電話に出ない。

海翔………
海翔………

海翔は、分かってるよ！
ちと待ってろよ。
笑いがマックスな海翔。

この人馬鹿じゃない？
普通なら焦るよね。
だって不倫女とその子供乗せてるんだから。

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はぁーい！
凄くテンション高く、罪悪感全くなし。
歌いながら、会話してる。
相手は奥さんではなく、母親みたいだ。

分かったよ！
今忙しいから、また顔出すよ。
分かった、明日は稽古行くから。
んじゃね～♪♪♪

私はもういいから、みたいな、手で真似てみた。
海翔は私を見ない。
アハハハ～♪♪♪
海翔はある意味凄く根性の持ち主なのか？

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良太は終始無言。
海翔との関係や海翔の事情を分かって居るのか？
良太は大人。

私は何故か悲しくなり、走る車から見える、景色を見ながら、海翔と離れる事だけ、考えていた。

綺麗な街路樹が見える。
どれだけの人が、幸せに生活しているのかなぁ？
何故この車に２人は乗っているのか？

海翔はまだまだテンション高く、鼻歌と、CDがやけに私の気持ちを、イライラさせた。

海翔と真逆で、良太は下を向いている。

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良太！
何食べたい？
海翔が良太に聞く。

良太は。
……………………………

良太何食べよう？
私が尋ねる。

えっと………
ラーメン。

よし、ラーメン食いに行こう、な。
車は私達が知らない場所へと走り出した。

こんな所にラーメン屋さん？
ビルの中には看板すらない、高級ビル。
全く想像もしない、真新しい重いドアを開けた海翔。

いらっしゃいませ。
定員が海翔と顔を見て、顔色が変わった。

それなりの服装より、かけ離れ過ぎた、私達の装いに。
定員さんは察知したのか？
警察など呼ばれないか？

定員さんは、店の奥に入り、中々出て来ない。
私は早くこの場所から逃げ出したかった。

海翔は鼻歌まじりに、テンションが高い。
よっ！
てな感じで。

摘み出される事すら感じない。
ワーク服だよ。
あなたは……♪

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海翔様。
ご来店有り難う御座います。
白い調理服を着て、高い帽子の、ロマンスグレー野男性。

お店のオーナーみたいな人だと、私は分かった。
たかがラーメンされどラーメン。
とはこの事だ。

しかし連れられた場所は、こんな所に部屋が？
完全に個室になっている。

政治家の接待での、用意された部屋と、同じ扱い。
もう少し早く言ってよ。
それなりの服装して来たのに。
ワーク服でも良いなら、大丈夫だろう。

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しかし海翔様とは。

何度もそんな光景目にしてきたが、今回は私も度肝抜く位の雰囲気。
通された部屋に運ばれる料理は、全て最高級な食事。

良太は楽しげに食事をしている、何年ぶりかなぁ？
良太の笑顔。
良太が口一杯に頬ばる姿。
今思えば、夜の仕事では、若い新人さんが、代わる代わる、良太を見てくれ、良太はいつも、チャーハンの出前で。

良太沢山食べなよ。
うん！
子供らしい姿。
海翔に感謝かもね。

駄目、駄目、海翔は既婚者。
チャラチャラ男。
食事位で、勘違いしては駄目。
タダで抱かせてあげてるんだから、これくらい当然の事だよね。

自分に言い聞かせながら、私も食事を、口にした。
高級な料亭や階級が桁違いな場所は、口も堅くて誰にもバレない、出口がある。
これは私が仕事していて、学んだ事。
お忍び場所。

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良太は何も話さない、笑顔でモクモク。
海翔は相変わらず、テンション高く、どこまで脳天気野郎だ。

海翔と良太の関係は、子供と大人が、反対だ。
良太みたいな男性なら、私は幸せになれたかも？

ドアが開く度に、胸がドキドキする。
だって決して正装ではなく、子供まで貧弱だから。

サッサと食べて、あのボロアパートに戻りたい。

海翔が、旨いか？
聞いて来た。
うん。
とても美味しいよ。

この笑顔に騙されないよ。
早くこの男から私は離れたい。
作り笑いをしながら、少し顔が引きづってる。
楽しく複雑な時間は、確実に時計の針が、刻んでくれた。

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良太は沢山食べたのか？
寝てしまった。
海翔はまた私に言い寄って来たが、「今日は海翔のお陰で、良太も喜んで、有り難うね」

海翔は少し困った顔で、いや～。
海翔は明日用事あるんでしょ。
早く帰らないと……
あのさ、奥さん待ってるよ。

海翔の顔色が変わった。
うん。
また来るね。
海翔はまた満面の笑みと、テンション高く、鼻歌まじりに階段を、トントン、降りて帰った。

私は自分でもびっくりする位の溜め息(；-_-)=3
海翔と放れられた。

サッサとシャワーを浴び。
冷蔵庫のドアを開け、缶ビールを取り、飲みだした。
今日の疲れが一気に飛び出した。

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こんな生活いつまで続くのか？
早くこのアパートを出よう。
今思えば、缶ビール片手につかんで、考えもしなかった。
お客様に気に入って貰う為に。
高級な化粧品や毎日の美容院代、そして何よりも、高級ドレス。

海翔だけじゃない。
寝た男なんて、数え切れない。
政治家はスケベーが多い。
お医者さんは、変態が多い。
タレントは見栄張りが多い。

全ての男性に合わせながら、私はこの世界に生き残った。
自分では良太の為だと、思っていたが、全く良太の為ではない。

あまりの怒りに、缶ビールを、壁に投げつけた！
早く職探して、良太とこの家から出よう！
そして何より海翔と別れたい。
溜め息(；-_-)=3ばかり。

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私は良太の寝顔を見て、夜の世界から、足を洗う事を誓った。
ただ夜の世界でも、プライド高い私が……
昼の世界に耐えれるのか？
良太の預け先も考えないと……

明日から良太を連れて知り合いの不動産屋さんに足を運ぼう。
知り合いと言ってもお客さん。
私を断る事出来ないよ。(笑)
その社長も私の身体の上で、腰を振った男。

こういう時には、全く困らない。
沢山の断れない客、私は持っている。
髪をかきあげ、また缶ビールを一気に飲み干した。

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朝が来た。
昨日ゆっくり眠れたのか？
良太は朝機嫌良く起きてくれた。

ママおはよう(^0^)
良太おはよう。
今日はママとお出かけだよ。
新しいお家探そうか？
今より綺麗なお家だよ。

普通子供なら、わーい、と喜ぶんだが。
良太は下を見ている。

嫌なの？
………………
良太あのね、海翔には、内緒のお家だよ。
分かった？
…………

なんの反応もない。
良太？
大丈夫？
うん。

さぁご飯食べよう。
良太パン焼いてくれる？
うん。

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良太とパンにジャムをぬり。
良太はミルク。
私はコーヒー。

良太昨日ご飯美味しかったね。
うん。
………
いつもの親子の会話。

良太今日はママの知り合いのおじさんに会うから、いい子でいれるかなぁ？
うん。

良太絶対に海翔には内緒だからね。
うん。
良太には絶対内緒の話しをしなくても、黙ってる子供。
良太はある意味一番信頼出来る人かなぁ？

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夜の世界を辞めた時に、良太の面倒を、良く見てくれた、若い新人さんに、沢山洋服譲ってあげた。
ある意味これが夜の世界では常識。
だから昼の洋服にはあまりお金は掛けていない。
夜お客さんと、同伴し、私が時間空けてから、お客さんと、接客にもなる。
勿論そのままお持ち帰りもされる。

沢山のお持ち帰りされたが、海翔が店に現れる様に、なりだしてから、海翔だけになっていた。

海翔はそう思うと、常連さんで、私に沢山お金捨ててくれた男性。

その海翔から私は、今離れたい。
良太は新人ちゃんが、家に連れて帰ってくれた。
有り難い存在だ。

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長い髪を１つに束ね。
化粧も薄くし、口紅も薄いピンク色に。
夜の顔から見たら、誰だか分からない、今の私。
アイランやら、つけまつげ、真っ赤な口紅、唇の近くに、ホクロまで付け。
たまに泣きホクロまで付けたり。

それが今では、それなりになってる。汗。
そして良太を連れ不動産屋さんの前に立っていた。

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店頭には沢山賃貸物件のチラシが張り付いている。
沢山あるなぁ！
まずは、一番怖い事。
そう、社長さんが、私だと、分かって貰う事。
だって夜顔の私が顔も変わり、子供を連れてるなんて。
普通なら考えられないよね。(笑)

まずは深呼吸。
よし！
良太行くよ。

ガラガラ。
事務所の奥から男性の声がした。
深呼吸。

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いらっしゃい！
どこの物件おさがしですか？
まさしく社長の声だ！

こんにちは……
あの～
私の事分かります？

可笑しな人だね。
初めて会った人の顔覚えてる…………………
……………………～…～～……………………
………………………………～～…～～～…………
社長の顔色が変わった。

ラッキー！
分かったのよね！

……………………………
……………………………

ちちちちょっと……………
何か…………なぁ…………
子供？
悪い冗談止めてくれよなぁ　汗、汗

嫌違うの、私、分かります？

知らないけど…………

わ　た　し　　芸名　しずかです。

やっぱり、しずかちゃん。
どうしたの？
悪い冗談は止めてくれよな～～
最近お店行ってないから…………
………………………………………ドテ！

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男なんて、所詮馬鹿な生き物。
バレバレじゃん！

今日は家探しに来ました。
この子は私の子供です。
良太ご挨拶は？
良太は、小さな声で、こんにちは。

ああぁぁぁこんにちは。
物件探してるの？

そうです。
心の中で、あんたの子供なんて、誰が産むか！
叫びながら、物件を探している事、幼稚園が近くにある事、頑張って、家賃オマケして欲しい事。
全て打ち明けた。

社長は全て条件を聞いてくれた。
一応物件あるが、急ぐの？

はい。
出来れば早く。
社長も早く契約済ませたかったのか？
私の顔を見るのが、嫌なのか？(笑)
2件あるから、見に行く？

助かります。
社長さん。(^ー^*)
止めてよ、しずかちゃん。

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じゃあ見に行くか？
助かります、ね、良太。
良太が笑顔で、ママ、と言ってくれた。

じゃあ今から家主さんに、連絡するから、そこに座って待っていて。
しずかちゃん、もうお互いに他人だからね。

このおっさん、とっくに、私達は、他人なのに。
はい。
良太お利口さんに、待っていようね。
うん。

私達２人は社長の返事待ちをしていた。
途中社長は、混乱しているのか？
田中不動産です、＆@∞③なんですよ。

おいおい、余計怪しいだろう。
私は余裕のしずかちゃんだった。
少し吹いてしまった。

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今日なら２件見れるが見る？

助かります。
はい。
見せて下さい。

しずかちゃん、あのさ、本命はなんて言うの？

私は昔は、しずかでしたが……
分かった、分かった。冷や汗
だから、名前は？

中尾美咲です。
本当に普通の名前でしょー。

はい、はい。
しずかちゃん、止めてくれよ。

社長さんに１つお願いがあるんですが……

うん、うん、何でも聞くよ。

実は私達保証人が居なくて……
絶対に迷惑掛けませんから。
大丈夫？

社長さんと私は無二の戦友じゃないですか！
中年太りの社長さんの肩を思いっきり叩いた！

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社長さんは、痛いと言えなく、腰すら抜かす位だった。
しずかちゃん、絶対に内緒だよ。
頼むよ。

その変わり、私達の事は、誰にも言わない事。
人に聞かれても、絶対に居場所教えない事。

お互いにオーケーを暗黙の了解。
やはり寝た男は、私の事、分かってる。
良太は何も分からない状態。
良太良かったね。

うん。
本当に良太は、うん、が好きな子供だ。

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社長は今帰って来た、従業員の、前田君に、私達を案内してあげてと、頼んでいた。

前田さんはスーツ姿で、爽やかな男性だった。

前田さんと言います。
名刺を貰い、中尾美咲です。
息子の良太です。

前田さんは良太の目線まで、座ってくれて、よろしくね。

良太は私の後ろに隠れた。
良太ったら。
お兄さんに挨拶は？
すいません、おとなしくて。

いえいえ、恥ずかしいよね。
今からお兄ちゃんと、お母さんと、僕のお家探そうか？

良太は隠れていたのに、うん、言った。
こんな爽やかな男性が、良太の父親だったらなぁ？
叶いもしない妄想をしている、恥ずかしい私がいた。

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優しい前田さん。
少しハードですが、頑張って廻りましょう。
なるべく早く引っ越したいので、宜しくお願いしますと頼んだ。

目がクッキリした、笑顔が素敵な男性だった。
昔なら、彼女居るんですか？
自分をよりいかにアピールしたが、今は良太の母親だから。

前田さんは、反対に、積極的に、沢山話してくれた。
何故？良太の父親がいないのか？
反対に質問攻めに合い、少し困った。

良太の幼稚園と環境を重視したい。
あのプレハブみたいなアパートから、あの過去から、忘れられる、物件探しをした。

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一軒目で気に入ってしまった。
良太の幼稚園も近くにあり、何より海翔から離れられる。

もう良太に海翔と一緒の時、外に出す事はない。
良太に、幼稚園も近くにあるよ。
良太が気に入ったなら、さっきのおじさんに、ママが頼むけど。

良太はどう？
良太は幼稚園に興味あるのか？
ママあの乗り物乗りたいよ。
意外な展開良太が喜んだ。

前田さん、ここに決めたいのですが……

この物件は悪くないですよ。
社長と相談しましょう。
もう一軒見なくて良いですか？

はい。
家賃と折り合うなら、ここに決めます。
こちらの方が幼稚園近いのですかね？

こちらの物件の方が断然近いですよ。
前田さんは、優しい声と、笑顔で、答えてくれた。

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良太は帰りの車の中で、足をブラブラさせて、嬉しいのか？
何だか私まで嬉しくなった。

本当にこれで全てリセットし、良太と２人で、ゆっくり過ごせる。
私は車中でブランドの鞄、宝石類、全て処分する計算をしていた。
全て男からの、貢ぎ物。
惜しくも何ともなかった。

かなりの量になるので、お金の心配はしなかった。
何百万のバックやら、カラットの指輪。
こんな時夜の仕事は、邪魔にならない。
ニヤニヤしていたらしく、前田さんに、何か良い事ありました？

見られていた。
いえ、良太の幼稚園が決まりそうなので、嘘ばっか。
さぁこれから、忙しくなるよ。
今日は家も決まり、前田さんと会え、ラッキーな１日だった。

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社長に前田さんから説明してもらい、契約する事になった。
これで良太も幼稚園に通え、私も昼の仕事探せそう。
良太と電車で帰り、スーパーにより、帰宅した。
もうすぐこのアパートと別れられる。
原則撤去１ヶ月前に撤去の申請が必要。
2重払いなっても良い。

私はこのアパートから早く引っ越したい。
気持ちがウキウキする。
あれ？

……………………………………………………
……………………………………………………
オレンジ色のクーペ
海翔だ。
(-_-;)(-_-;)

何故？
今日は用事のはず…………………………

美咲！美咲！
海翔のテンション高い声。

海翔………………………
……………………………

美咲！
溜め息(；-_-)=3

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海翔来てたんだ？

美咲どこに行ってたの？
嫌、良太とブラブラかなぁ！

良太楽しかった？

うん。

海翔ご飯は？
食べてないけど、どこかに行く？

嫌、海翔の食事、中途半端じゃないから。
ごめん。
しし仕事は？
ぱっと終わらせたよ。
あっそう。

夕焼けのオレンジ色が私達の最悪な雰囲気を包んで暮れる。
良太は相変わらず、足で砂に円を書いている。
良太助けてよ。(^^;)

良太はずーっと下を向いたまま。

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良太ご飯食べようか。
うん。
海翔は？
嫌、帰りどこかで食べるよ。(笑)
２人の雰囲気が悪くても、海翔は明るい。
空気読めよな！
でも笑ってくれるから、助かった面もある。

そして海翔は、良太に、またな！
と言って帰って行った。

そう海翔は帰る家があるんだから、帰るべき所に帰る、それが普通なんだよ。

もう海翔と合うのは、何回位かなぁ？
引っ越しも夜逃げみたいな状況で、新しい家に行く。
海翔今まで、ありがとう。
引っ越しまで、優しく接しよう。

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とにかく売れるブランドや宝石類は、質屋に持って行った。
さすがに高額なブランドは型が変わらないから、ビックリする位高値だった。
宝石類も、貢いでくれた人が、隠れ家で、宝石屋さんを呼び出しただけある。
ケタが半端じゃない。

このブランドや宝石類の為に、どれだけの男と、夜を共にしてきたか。
私への唯一のご褒美。
海翔は私にプレゼントなどない。

でも、とてつもない、サプライズをしてくれる。
私の誕生日に、自家用ジェット機で、美しい夜景を、見せてくれ、２人で、シャンパンの(^-^)人(^-^)乾杯サプライズ。

こんな別世界の私は当たり前だと思っていた。
私はあの世界は夢だと思い生きて行くよ。

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海翔に見つけられない様に、事はとんとん拍子に、運んでいた。

あの家の物件探しから、家を探してくれた、前田さんから頻繁に連絡が来る。
社長さんから頼まれたのか？
とても親切。

私の心の中で、前田さんの存在が、強くなり、良太の父親になってくれないか？
なんて、勝手な妄想だけ。
誰が夜の世界の女で、子持ちだと、条件悪過ぎ。
缶ビール飲みながら、テレビのドラマ化にはまっていた。

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物件決まり、契約の為、良太を連れて、社長の会社に行く。
ガラガラ開けたら社長が、決まったんだって？

はい。
御陰様で。
保証人や審査はこちらが上手くやるから。
子供さんも幼稚園楽しみだね。

しずかちゃん、嫌、美咲さん。
昼の世界で働けるご褒美だよ。
いつでも相談してよ。
但し過去の話はNGだよ。

分かってますよ。(笑)
誰があんたなんかと、関係ある事言うか！
私が恥ずかしいよ！

前田さんがこちらに来てくれた。
前田さん先日はお世話になりました。
ペコリm(_ _)m

今時間ありますか？
少しなら。
前田さんは私と良太を外に連れて、カフェに入った。
まだ真新しい雰囲気のカフェ。
前田さんは、恥ずかしそうに私に話してきた。

実は僕も片親で育ち、母親の大変さ、見て来ました。
これは仕事ではなく、個人的に、何かお役に立ちたい。
社長も彼女は良い女性だと言ってくれて。

はぁ。
でもまだそんなにお互いの事知らないし。
私、子供付きですよ。(笑)
からかうなら止めて下さいよ。

彼の顔や目すら見れなかった。
心の中で、メタボ親父もデカシタ！

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どるだけ沈黙が続いたか？
覚えていない。

本当に前田さんが思ってくれてるなら、願ったり叶ったりだ。
ダテにお水で鍛えただけの値打ちはある。
前田さんは、お水を何回も、おかわりしていた。

純粋な前田さんに惹かれる私。
時間下さい。
良太の事もあるので………

私は何が何でも、即決はしない。
これが安売りの女ではない私の鉄則だ。
男性は焦らせば、焦らす程、相手にのめり込む事知ってる。
あーやだ！
身体に染み込んでる。
良太はミックスジュースを、少しずつ、勿体ない程に、飲んでいる。
また下を向いて。

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海翔がいつ気付くか分からない。
海翔に気付かれない様に、事は運びたい。

その日に荷物纏めてくれ、早ければ、一時間位で引っ越し出来る業者まで、前田さんにお世話になった。

後は知らぬ顔で海翔と普通にしてよう。
海翔から珍しく連絡があった。
いつもなら突然やってくるのに。

美咲、今居る？
居るよ。
どうしたの？
　嫌、今日も仕事でさ。
美咲の顔、俺見れないんだよなぁ！
美咲も寂しいと思って。

……………………………
……………………………
あんたが嫌だから引っ越しするなんて言えない。

海翔仕事頑張ってね。
また来てね。
思ってもいない言葉に、罪悪感すら、感じない。

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さぁ寝るか。
今日も１日早く感じた。
良太はすやすや眠ってる。

前からなんだけど、睡眠薬飲まないと、眠れない毎日。

昼夜逆転生活だから。
案外この世界は睡眠薬服用おおいよね。
陽が当たる時に寝れないよ。
お酒も冷めて。

お医者さんのお客さんが、こっそり。
今は無理だと思うけど。
ビール飲みながら、睡眠薬を飲む。
さぁ寝るか！
おやすみ、良太。
そして私は明かりを消した。

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良太おはよう(*^O^*)
良太は眠いのか？
なかなか起きない。(笑)
良太今日買い物に行くよ。

良太の好きな布団買いに行こう。
良太の欲しいタンス買いに行こうね。

ママお金あるの？
４歳児が心配する言葉に。
ママお金持ちだから。

うん。
布団から飛び起きた。
髪の毛は跳ねていた。
本当に子供は寝相が悪い。
何回良太のキックや目に星が舞うか！

良太と２人で買い物に行こう。
朝からばたばたw=(ﾟoﾟ)=w
突然私のスマホが鳴った。

海翔かも？
嫌な予感。
見ると前田さんだった。

少し動悸がした。
もしもし中尾です。

あの……
前田です。
美咲さんですか？
はい。
突然すいません。
いいえ。
嬉しいです……前田さんからの電話。
まだ性格が営業なのか？
素直なのか？

前田さんの声を聞き、明るい私になる。
優しく、控えめ目で、(^_^)顔が素敵な前田さん。
私は心の中で彼に恋している事は、本当の気持ちだ。
今唯一私の支えに間違いない。

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あの……
今日休みなんです。
そうですか？
あの……
美咲さん、今日空いてますか？
時間………

シャイな前田さん。
今日は良太と買い物に行きます。
美咲さん、今日僕もご一緒は無理ですか？
ぼ、僕…車あるし、便利だと思いますが…

子供も一緒だし。
ご迷惑では？

もう全く迷惑なんて全然です。
良太君でしたよね。
僕子供大好きだから。
良太君とも仲良くしたいし。(^-^)

彼の弾む声。
私はどれだけ運のある女なんだ！
前田さんがご迷惑ではなかったら。
喜んで、運転手します。

聖母マリア様はこの世にいる。
私達親子に降りて下さった。
私達親子は前田さんに甘える事にした。

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美咲さんの住まい知らないから、住所教えて貰えますか？

カーナビで探します。
近くまで居ったら、また連絡します。
大丈夫です。はい！

本当に甘えて良いのですか？
はい！
全然大丈夫です。
反対に歓迎です。

私は良太の返事を聞く事もなく、じゃあお願いします。
前田さんは、すぐ行きます。
楽しみだなぁ！！
住所教えて下さい。
私はこのボロアパートの住所を言い始めた。

前田さんはすぐメモ出来る準備していたのか？
用意万端なのか？
メモしだした。
職業柄なのか、ご丁寧に、復習してくれた。

気持ちは一気にパラダイス。
久しぶりに私は恋する乙女になっていた。

さぁ良太、不動産屋さんのお兄ちゃん、今日付いて来てくれるよ。
早く用意するよ。
良太の顔色は曇っていた。
下を向き、うん。
私は良太が何を考えて居るなんて、どうでも良かった。

今日は少しお洒落しょう。
あ、そうだ！
もう香水は止めよう。
私は一般ピープルなんだから。

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良太！早く用意して！
私は良太に合わす事なく、自分のペースで、準備しだした。

良太！
早くして！
少しイラつきながら。
良太！
良太！
連発していた。

これほど子供がウザいと感じた事はない。
良太早くして！
ママ先行くよ。
良太がモタモタしていたら、良太置いて行くよ。

良太早く！
早くして！
良太は口いっぱいに、パンを口にしていた。

私は焦ってる。
間違いなく。
良太早くしたら、妖怪のカード買ってあげる。
ママ本当に？

良太を物で釣っている。
良太は必死になっていた。
少し地味で前田さんに、釣り合う服装を、タンスから、選んだ。
良太はトレーナーと、ズボンをはかせ。
前田さんの連絡を心待ちにしていた。

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凄く時間が待ちどおしい。
前田さんと会える。
仕事以外でこんな気持ち初めて。
良太が居なければもっと嬉しかったりだろう。

スマホを片手に、トイレまで、持って行った。
前田さん……
会いたい……

スマホの音が鳴り。
すぐ出たかったが、少し間を置いた。
私のプライドの高さなのか？
良太はすぐに出掛けられる準備オーケイ。(^^ )
良太は相変わらず下を向いている。

今の私は良太の事すら考えていない。
母親から女になっている。
髪をポニーテールに束ね。
夜の仕事していた女なんて見えない。

前田さんはアパートの前に来ていた。
私達親子は階段を降りて行った。

おはようございます。
爽やかな笑顔の前田さんの声。

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