'*,+アナタに送る物語り+'*,
安価で物語りを作ろうず!
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そろそろジングルベーだねw
(σ゚👅´ )
>> 201
天守閣の広間に、黄竜が座っていた。
十兵衛
「十兵衛にござる、お目通り有り難き事に事に候」
黄竜
「うむ、入るが良い」
はっ!
十兵衛が、襖を開けて中に入ると、すぐに制した。
黄竜
「そこで、止まれよ、して何用じゃ」
十兵衛
「ははっ、実はこれなる物を所有致しておりまする」
十兵衛は、懐からクロを取り出して見せた。
[壁]_-)
(十兵衛さん、何やってんのよ、ツンのでしょう)
十兵衛
(拙者を、信じてくだされ)
黄竜
「ほほう、まさにその猫は、姫が連れていた猫じゃが姫はどうされたのじゃ」
十兵衛
「さあ、一向に見当も尽きませぬな、拙者が拾って保護したまでにございます」
[壁]_-)
(ぷっ役者ね、十兵衛さんも)
>> 202
黄竜
「褒美を遣わそう、何なりと申されよ」
十兵衛
「ははっそれがしの望みは、半年前にこちらで保護された姫にございます、拙者の嫁に頂きとうござる」
[壁]_〇)
(やだ、こんな時に私に結婚を申し込むなんて、私なら構わないよ、十兵衛さんは優しいし#)
十兵衛
(本気にされるな、芝居にござるよ)
[壁]_-)
(あっそう)
黄竜
「何の話かな、そのような者は知らぬな」
十兵衛
「確かに、こちらで保護されていると聞き及んでおりまする」
黄竜
「ええい、黙れ黙れ!たわけた事をぬかすと叩き切るぞ!」
十兵衛
「お願いいたす、何卒お聞きくだされ」
十兵衛は、土下座して頼み込んだ。
黄竜
「黙れと申すがわからんかー」
黄竜は、いきなり軍刀を振り落とした。
十兵衛が、顔を上げると同時だった。
ズバッ、プシュー
十兵衛の左肩から袈裟懸けに、切られた傷から血が吹き出す。
>> 204
素早くジープの荷台に着地すると同時に走り出した。
ツン
「十兵衛さん、大変な事になっちゃったよ」
くう
「急いでのどか村に行くぞ、荒れた運転で勘弁な」
しい
「どうしてこうなるのよー」
渡部
「茶房さん、緊急事態よすぐに来て」
クロは、切られた傷口を舐めて止血しようとしている。
喪女は十兵衛の中から気が漏れないようにしている。
十兵衛はこのまま亡くなってしまうのか?
明日に続きます。
<(_ _)>
- << 209 茶房 「なんと言うむちゃを」 のどか村に着くと庄屋の屋敷に寝かせ、茶房が治療を始めた。 外皮を縫合し、十兵衛の身体に手を入れて断線した血管を繋いでいるような仕草をしていた。 くう 「凄いな、普通手術なら中から縫合始めて、最後に外皮を縫合するだろう、外を閉じてから、手を入れるなんて初めて見た」 ツン 「十兵衛さん死んじゃうの、死んだらどうなるの」 渡部 「おそらく成仏ね、この世界での肉体を維持出来なくなれば魂が帰る場所へ行くわね」 しい 「執着心が無い魂の比重は、軽いわ、天国かも知れないよ」 くう 「良いのか悪いのかわかんねえな?」 茶房 「十兵衛はまだまだ成仏せんよ、お前さん達が心配でわしとの約束も果たせないまま往きはせんよ」 治療が終わり、ぐっすり眠っている十兵衛、クロと喪女は離れずに付いている。 ツン 「ねえ、十兵衛さんにばかり負担かけられないよ」 くう 「自分達だけでやれるのか?」 渡部 「計画立てようよ、いきなり麒麟城はダメだよ」 しい 「まずは、玄武城ね」 くう 「なんで?」 渡部 「説明すると、黄竜を抑えるには4つの宝玉が必要なの、青竜を抑えるには玄武、朱雀、白虎よ」 しい 「白虎の気は金、つまり水と火に影響を受ける、青竜の気は、樹木よ、斧に弱い」 渡部 「朱雀は火、玄武の水に消される、守りの固い玄武が最初よ」
>> 205
素早くジープの荷台に着地すると同時に走り出した。
ツン
「十兵衛さん、大変な事になっちゃったよ」
くう
「急いでのどか村に行くぞ、荒…
茶房
「なんと言うむちゃを」
のどか村に着くと庄屋の屋敷に寝かせ、茶房が治療を始めた。
外皮を縫合し、十兵衛の身体に手を入れて断線した血管を繋いでいるような仕草をしていた。
くう
「凄いな、普通手術なら中から縫合始めて、最後に外皮を縫合するだろう、外を閉じてから、手を入れるなんて初めて見た」
ツン
「十兵衛さん死んじゃうの、死んだらどうなるの」
渡部
「おそらく成仏ね、この世界での肉体を維持出来なくなれば魂が帰る場所へ行くわね」
しい
「執着心が無い魂の比重は、軽いわ、天国かも知れないよ」
くう
「良いのか悪いのかわかんねえな?」
茶房
「十兵衛はまだまだ成仏せんよ、お前さん達が心配でわしとの約束も果たせないまま往きはせんよ」
治療が終わり、ぐっすり眠っている十兵衛、クロと喪女は離れずに付いている。
ツン
「ねえ、十兵衛さんにばかり負担かけられないよ」
くう
「自分達だけでやれるのか?」
渡部
「計画立てようよ、いきなり麒麟城はダメだよ」
しい
「まずは、玄武城ね」
くう
「なんで?」
渡部
「説明すると、黄竜を抑えるには4つの宝玉が必要なの、青竜を抑えるには玄武、朱雀、白虎よ」
しい
「白虎の気は金、つまり水と火に影響を受ける、青竜の気は、樹木よ、斧に弱い」
渡部
「朱雀は火、玄武の水に消される、守りの固い玄武が最初よ」
>> 209
ツン
「渡部さん、軍師みたい」
くう
「軍師さん、車はある、移動はすぐに出来るぞ」
渡部
「いろいろと積んで行こう、食料は荷物になるから置いてくよ」
しい
「なるべく用途の広いロープとか、忍者が使うくないも良いわね」
長平
「お前さんがた止めなされ、危険過ぎる」
くう
「くないとか置いてない?」
長平
「人の話を聞かんのう、ほれこれを持っていきなされ」
そこには錆びた年代物の忍者が使う道具が入った包みがあった。
くう
「なんで農家にこんな物があんの?」
長平
「わしらの村は、元々忍者の家系じゃ、その事はずっと秘密にしてきたが、もう長くないでの、手入れをすれば大丈夫じゃ」
>> 211
茶房
「喪女殿の為じゃ、あまり長く聖獣の影響を受けると時間の波にのまれてしまうんじゃ、この国に軍人共も一緒にやって来て、最初の頃は、戦ばかりしておった、しばらく休戦しておったが一年も経った頃かのう、一人の兵士が聖獣の結界から外に出た瞬間、ミイラになり死んだのじゃ、急激な時間の波に身体が耐えられんのじゃな、それからはお互いに牽制しながらバランスを保っておるのじゃ」
十兵衛
「それでは、喪女殿の身体も元に戻ると同時にミイラになるでござるか?」
茶房
「そうならぬように、あの子達は、急いでおるのじゃよ」
「十兵衛、今は休んで身体を作れ、信ずる事も大事じゃ」
十兵衛は、己の不甲斐なさに、嗚咽した。
続きは、明日でござる。
<(_ _)>
>> 218
玄武城が見えてきた。
渡部
「それじゃ準備は良い?」
くうは城の近い所にある茂みに、停止した。
4人で疲れて弱ったような歩き方で、城に近づいた。
門番
「そこで止まれ、何やつじゃ」
渡部
「お願いです、ここはどこ、助けてください」
4人は、ふらふらと座り込んだ。
門番
「しばし、待たれよ、気をしっかりなされよ」
門番は、門を開けたまま報告に走っていった。
ツン
「潜入成功」
くう
「ネタ合わせしてる場合じゃないな」
しい
「いろいろ仕掛けしないとね」
渡部
「門番が帰る前に終わらすよ」
4人は素早く道具を隠し素知らぬ顔で門前に戻ると待った。
しばらくすると、門番が戻ってきた。
門番
「なんと言う事だ、開けたままで、待たせたか」
すっかり信用して、4人を屋敷に招き入れた。
>> 219
4人は、屋敷に通され部屋で待っていると、玄武城、城主黒竜がやってきた。
黒竜
「大変な苦労をされたようじゃな、ごゆるりとなされよ」
黒竜は、久しぶりに見る若い女性に、目を細めて喜んでいた。
渡部
「ありがとうございます、私達は芸能をやっておりまして私としいは準備をツンとくうは漫才師にございます」
黒竜
「漫才か、懐かしいなラジオで聴いていたぞ、このような姿をしておるが軍人でな、お笑いは好きじゃ」
渡部
「では、舞台をご用意願えますか、ぜひ御覧いただきとうございます」
ツンとくうは、顔を見合わせうなずいた。
楽屋と舞台の用意が、進められていくなか、4人は脱出経路を目で確認していた。
明日にござる。
<(_ _)>
>> 227
楽屋に戻ったしいと渡部は、着物を脱ぐと黒い衣服を付けていた。
渡部
「最上階の天守閣から調べるよ」
しい
「本当に誰もいないねーそんなに漫才が面白いのかしら?」
渡部
「信用されてる証拠ね」
しい
「なんだか、申し訳ないな」
二人は天守閣を調べたが見つけられなかった。
渡部
「下の階、行くよ」
二人が入ったのは玉座の間と言う部屋だった。
しい
「なんか波動を感じる、掛け軸の後ろから…」
渡部
「やっぱり、しいと探して正解ね、あの二人だとがさつだからすぐに散らかすしね」
ξ*゚⊿゚)ξ
「へっくし」
川°ー°)
「どした、馬鹿でも風邪ひいたか?」
ξ*゚⊿゚)ξ
「何だって💢」
その時、携帯のバイブが響いた。
くう
「見つけたようだな、出るか」
ツン
「皆さん、私達そろそろ帰らなきゃいけないの、本当にありがとうございました」
黒竜
「まあ、良いではないか、今夜は泊まっていけ」
悪気は、無いのである、この世界で侍の生活を送るうちに、穏やかなおじさんになっていた。
と、そこに侍大将が現れた。
侍大将
「親方様、一大事にございます、玄武の宝玉が盗まれました」
黒竜
「何~、よくもわしをたばかりおったな~」
黒竜はくうに掴みかかると耳元で囁いた。
<良いから、逃げろ、なんとかごまかす>
くうとツンは驚いたが、軽く手を振り解くと、派手に黒竜がコケて目配せした。
>> 228
ツンとくうが着物を脱ぐと中から黒い衣服が現れ、腰に付けた道具とロープの鉤で城を一気に降下した。
くうは走りながらツンに話しかけた。
くう
「ツン、何で黒竜さん逃がしてくれたんだろうな?」
ツン
「私に聞かれても、わかんないよ」
渡部としいは、まだ後ろの方だった。
ツン
「本当に、足遅いんだから、急いで!」
しいが遅れてコケた所に、侍大将が追いつきそうになった。
侍大将がしいを捕まえようと、手を伸ばす。
渡部が、しいを助けて侍大将に飛び付いた。
渡部
「しい!先に逃げて、後から追いつくからね」
侍大将
「ええい、目障りだ、斬られたいか!」
侍大将が、刀を抜いて振り下ろした所に、黒竜の背中が現れた。
侍大将
「親方様、何をなさる、あれを失えば我らは死にまするぞ?!」
背中を斬られた黒竜が、諭すように話す。
黒竜
「もう、良いのじゃ、我らはあまりにも永く生きすぎたのじゃ、終わりの時を迎えようぞ」
侍大将
「嫌だ!俺はまだ死にたくない」
侍大将は、しいから玄武の宝玉を奪い返して手に持ち上げながら叫んだ。
侍大将
「いでよ、玄武!こいつらを食べてしまえ~」
城の側にあった玄武の像が光り輝いた。
>> 229
ここで、侍大将が何故、宝玉の紛失に、気づいたのか?説明しよう。
名前はどうでも良いが、彼は玄武の力に心酔していた。不老長寿を不死だと信じていた彼は、毎日欠かす事無く、宝玉を磨いていた。この日も漫才が終わり日課の玉磨きに行ったのだ。
侍大将
「黒竜、貴様も終わりだ、俺が変わって天下を取ってやる」
黒竜
「すまぬ、お前の心を助けてやれなん…だ」
黒竜は、静かに眠った。
侍大将
「皆のもの、間者が殿を殺めたぞーであえであえー」
くう
「あの野郎、一発ぶん殴る」
ツン
「絵に書いたような悪党て本当にいるんだ」
侍大将は、黒竜を蹴りどかして渡部に刀を降り上げた。
「キャー」渡部が叫んだ。
グサッと白刃の刃が侍大将の身体に付き刺さった。
「俺が、死ぬはずが…玄武…頼ん…だぞ…」
倒れた身体はミイラのように干からびて、やがて砂になった。
>> 230
馬にまたがり、十兵衛が駈けてくる。
十兵衛
「しい、渡部、ツン、くう殿~、無事でござるか~」
渡部は素早く宝玉を拾ってしいに渡す。
二人の元に来た十兵衛は刀を鞘に納めて、聞いた。
十兵衛
「ここに倒れている御仁が黒竜でござるな、二人を苦しめていたでござるか」
渡部
「違うの、黒竜さんは私達を庇って死んだの」
十兵衛
「では、手厚く葬るでござるか、しい殿、馬に乗れますかな?」
しい
「ええ、大丈夫よ」
十兵衛
「なら、この馬に黒竜殿とこの場を離れてくだされ」
城の家来達は、侍大将と黒竜を失い、突如現れた玄武に戸惑っていた。
くう
「あいつ、なんとかしないとな」
ツン
「十兵衛さん、後お願いね」
十兵衛
「拙者に任されよって、ええ~どうやって倒すの~」
渡部
「知らない、嘘よん、亀は仰向けに倒れたら身動き出来ないわ、ロープで足をかけましょう」
ツン、くう
「ラジャー」
三人は、茂みに隠してあったロープを取り出すと、くうとツンは玄武の周りを走り出した。
渡部
「十兵衛さん、ぼさっとしない、ほら持って」
言われるままに、十兵衛も渡部と走り出した。
>> 232
十兵衛
「相手が、人間だと舐めてたようだな」
玄武が消化液を吐いた。
木や岩が溶けて異臭を放つ。
くう
「なんとゲロかい、臭い!」
渡部
「あいつは、水の聖獣、火に弱いはず、燃やしてやれば弱るわ」
ツン
「車だ!」
くう
「私に任せろ」
くうは車を取りに走った。
荷台に予備のガソリンがあった。
くうは布を広げてガソリンをかけると火を付けて玄武に向かっていった。
玄武は迫る車に消化液を吐き出し攻撃するが、左右に蛇行運転する車はついに玄武の足元に、激突した。
ツン
「くうーーー嫌~~くうが、くうがー」
声を限りに泣き叫んだ。
「うわーんくうの馬鹿ー」
渡部も泣いた。
十兵衛
「拙者が付いていながら犠牲者を出してしまったすまぬ」
十兵衛はその場で土下座した。
>> 233
ツンの頭に、靴が飛んできた。
くう
「誰が馬鹿だ、コラ」
ツン
「くう、生きてた」
顔をすすだらけにしたくうが、クロの背中に乗って片方の靴で近づいて来た。
渡部、ツン
「うわーん、くうが生きてた~」
くう
「いつまでも泣いてんじゃねえよ」
十兵衛
「くう殿、見事でござる」
玄武の全身に燃え上がった炎を、消そうと玄武がもがく。
玄武の上空に、黒雲が集まり出した。
ポツリ、ポツリと降り出した雨は、一気に降り出して玄武の炎を消した。
くう
「やるな、あいつ火を消しやがった」
今度は黒雲の中に静電気が発生すると、蛇がとぐろを巻くように、上空でエネルギーを溜めだした。
渡部
「みんな、気を付けて、雷が来るよ」
⚡✨ビカッ、雷が落ちる
玄武の頭に。
十兵衛が刺した刀に落雷して、刀が弾き飛ばされ落ちて来た。
くう
「ギャハハあいつ馬鹿でえー」
玄武は、戦意を喪失し、手足を引っ込めてしまった。
くう
「これが本当の、手も足も出ないってか、あっはっは」
>> 234
黒竜
「わっはっは、アッパレじゃ、見事じゃのう」
ツン
「嘘!なんで生きてんの」
くう
「ちゃんと説明しろよ、おっさん」
黒竜
「実はな、鎖かたびら着てたの、忘れてた、斬られた!と思ったら血の気がす~と引いて気絶したの、でもこの騒ぎでしょう、告白する勇気が無くてしいちゃんの尻見てました」
しい
「やだわ、スケベ」
黒竜
「タヌキ寝入りしてたらくうちゃんが、面白い事言うから、我慢できずに笑っちゃった、ごめんなちゃい、許してチョンマゲ」
ツン
「この野郎」
ツンが首を絞める。
くう
「あっはっは、面白いおっさんだ、許してつかわす、ツン、止めれ」
茶房
「何やら、賑やかじゃのう」
渡部
「私が呼んだの、茶房さん、この人達が死なないようにできないの?」
茶房
「簡単じゃ、今倒した玄武を宝玉に封印すれば良い、結界が消えるわ」
渡部
「それでも、おじいちゃんになるんでしょ?」
茶房
「大丈夫じゃ、不老とはいかんが、そのままゆっくり歳を重ねれば良い」
黒竜
「茶房殿、ありがとうございます、この恩は忘れませんぞ、旅の同行は出来ぬが、麒麟城決戦には参加いたすぞ」
>> 235
その夜は、玄武城の大広間で、宴会が行われた。
感覚的には、二次会みたいだが💧
黒竜
「明日はどちらへ行かれるかな?」
十兵衛
「朱雀城へ向かおうと、思っておりまする」
酒をたしなみながら答える。
渡部
「行くのは、良いけど陸路を通ったら真ん中は麒麟城、東は青竜城、西は白虎城交わせないかな?」
黒竜
「それなら海上を行かれよ、この世界は丸い島国でござる、反時計回りに潮が流れておるでの、船を手配いたすぞ」
十兵衛
「それは、かたじけない」
渡部
「西側のルートに、決定ね、どれくらいで着くのでしょうか?」
黒竜
「夜明けと共に出発すれば、昼過ぎには着くじゃろう、赤竜にはわしから久しぶりに連絡しておこう、あいつは、わしの言う事なら聞いてくれるでな」
くう
「なんで?」
黒竜
「あまり言いたくないが、やつはこれじゃ」
黒竜は頬に手を添えた。
くう
「ギャハハ、今度はオネエキャラかい、会ってみてえ」
黒竜
「十兵衛殿、いろんな意味で気を付けなされ、あっはっは」
くう
「十兵衛、心配するな、お前の貞操は守ってやる」
十兵衛
「拙者を、からかい過ぎじゃ」
すねた。
>> 236
翌朝、船着き場で黒竜と別れ、乗船した。
黒竜
「お達者で~、馬はこちらで返しておきますぞ~」
くう
「おっさんも腹壊すなよ~」
ツン
「首絞めてごめんね~」
しい
「今度会えたら、ゆっくりお尻見て良いよ~」
渡部
「ええと~なんかありがとう~」
十兵衛
「麒麟城で、会いましょう~」
船が出航して、半時ほど経った頃、くうが釣り竿を取り出した。
ツン
「くう、何やってんの?」
くう
「見たままだぞ、株式市場の動向を、調べてるように見えるか?」
ツン
「なんで、今釣り始めたか聞いたの!」
くう
「お昼ご飯はどうすんの~握り飯だけで良いのか」
しい
「せっかく船に乗ってんだしね、私もしようかな」
渡部
「ところで喪女さんは?」
十兵衛
「拙者の中でござる」
喪女
「呼んだ?この中気持ち良いわ~すっかり寝てた」
十兵衛
「クロも、入ったままでござる」
渡部
「モテモテのようねw」
十兵衛
「どれ、拙者にも釣り竿を、貸してもらえるかな」
くう
「良いぜ、昼飯のおかずを、たくさん釣った方が勝ちだ」
十兵衛
「負けぬでござるよ」
しい
「私、応援するわ、二人共頑張れー」
ツン
「船酔いかも、寝るわ」
渡部
「私も寝ます、しいちゃんくうが馬鹿なマネしないように見張ってねw」
くう
「やかましい、さっさと寝ろ!」
くうと十兵衛の釣り勝負が、始まった。
>> 237
「この辺りなら、良いアジが釣れるよ」
漁船の船長が話しかけてくる。
くう
「さすが漁師だな、良いポイントに来たら停めてくれ」
船長
「キャプテンと呼んでくれ、ところで急いでんだろ?」
十兵衛
「その通りでござる、くうの言う事は気にせんでください」
くう
「ちぇっ、せっかく大物釣れると思ったのに」
しい
「くう、仕方ないよ、それよりも案外釣れないね」
船長
「最近、怪物が出ると言う噂を耳にしてるからねー、そいつに喰われてるかな?」
十兵衛
「穏やかな話しでは無いでござるな、それはいつからでござるかな」
船長
「半年ほど前かな?」
しい
「喪女さん失踪と重なった!」
十兵衛
「喪女殿、何か心あたりはござるかな」
喪女
「そういえばあの日水槽を付けたトラックが通ったような?」
船長
「俺の所に、弟子入りした奴も確か半年ほど前だな、すぐ辞めたがな」
十兵衛
「漂流者でござるな、一緒にややこしい動物も付いてきたように思われる」
くう
「釣れるのは、魚よりモンスターかもね」
十兵衛
「この世界で大きくなりすぎて、海で放し飼いでござるか、なんと無責任な」
くう
「出てきたら、懲らしめてやらないとな」
十兵衛
「怪物はどうするでござる」
くう
「食える魚ならもちろん食う!」
十兵衛
「怪物より、怖いでござるの」
吠える仕草でくうは、おどけて見せた。
>> 239
吸盤の付いた足が、上から襲って来た。
素早い動きで先を切るとすぐに足を引っ込めた。緊張が走る、十兵衛の額に汗が光る。
懐から出てきたクロが変化して豹になると、只ならぬ気配に、喉を鳴らして威嚇する。
十兵衛
「クロ、海に落ちるでないぞ、爪の攻撃だけにしろよ」
(ふっ解らぬか)
十兵衛の口元に、笑みがこぼれる。
船の両側から同時に、足が襲って来た。
船がミシミシと音を立てて、鳴いている。
海面が異常に盛り上がった。
巨大なイカが、姿を表した。
クロが飛び付いて、イカに噛みついた。
十兵衛
「クロ!止めろ」
巨大イカに噛みついたクロが、猫に戻って落ちて来た。
十兵衛が受け止める。
十兵衛
「猫に、生イカを与えると、腰を抜かすと言うが本当にあるとは…」
十兵衛
「このままでは、イカんな」
ビューと矢が飛んできてイカに刺さる。
十兵衛
「何奴かは、知らんが加勢は助かる、かたじけない」
見ると小舟に乗った青年が、次の矢をつがえている。
青年
「おっさん無理すんな、引っ込んでろ」
十兵衛
「お前は、漂流者だな、後で説教してやる」
青年
「お互い、生きてたらな」
足を、ほどいて巨大イカが、逃げ出した。
>> 240
青年
「待ちやがれ、この野郎!」
十兵衛
「青年、深追いするな!」
青年
「うるさい、俺に指図すんな」
十兵衛と青年が言い合ってる間に巨大イカは、逃げてしまった。
青年
「チクショーどうしてくれるんだよ」
十兵衛
「拙者は、めったに怒らない、が、お前は別だ~💢こっち上がってこーい」
青年
「なんだとコラーやるぞおっさん」
船に近づいて上がって来た。
船長が手を貸して、船に引き上げると、十兵衛と協力して縛り上げた。
青年
「コラー汚いぞ、これが大人のやり方かー」
くう
「馬鹿ー、お前あんな小舟で、あいつが引き返してきたら食われていたぞ」
青年
「ちぇっなんでえ、女が居るのかよ」
くう
「いたら悪いかよ」
しい、ツン、渡部
「4人居るよ」
青年
「なんでえ、面白くねえ#」
くう
「お前、女が苦手だな♪」
くうが悪戯っぽい笑みを浮かべる。
くう
「誰が好みかな~♪」
ツン
「くう、止めなよ、可哀相だよ」
くう
「お前が惚れてどうする💢」
しい
「縄ほどくから、暴れ無いでね」
青年は顔を赤らめてうつむいた。
渡部
「しいちゃんね~」
くう
「ビンゴだな、さあ洗いざらい話して貰おうか」
船長
「皆さん、船が持ちません、白虎城に立ち寄ります」
十兵衛
「致し方ない、無理に航行しても、今度襲われたらひとたまりも無い」
くう
「計画変更だな」
船は白虎城へ向かった。
>> 241
船長
「久しぶりだな、元気にしてたか」
青年
「船長すみません、勝手にいなくなって」
船長
「お前さん、一人で責任を負うつもりだったか」
青年は、あの日水族館へ餌にするイカを生きたままで運んでいた。
トラックがVIPトンネルに差し掛かった時、眩い虹色の光に包まれて、気が付くと海辺に倒れていた。
サムライワールドの気は
イカの生存本能を刺激しお互いに共食いして残った一匹が、倒れている青年を喰おうと足を延ばして海に引きずり込もうとしていた。
1・8mはあろうかと言う大きさにまで成長していたイカに船長がモリを投げて救出したのだ。
青年
「俺の責任なんです、あいつを倒さないとこの海の生態系が壊れます、せっかく助けてもらった恩人に迷惑は掛けられません」
「馬鹿野郎!」
船長の平手打ちが飛んできた。
「海の平和を守るのは、
俺の仕事でもあるんだよ、海を守って獲物を感謝して頂くそうやって漁師は生きて来たんだよ、手伝いさせろ」
しい
「海の男ってかっこいい」
青年に思わず抱きついた
しいの胸の感触が、顔を攻撃すると、青年は気絶した。
船長
「羨ましい」
>> 242
白虎城の領土に入ると、どこか雰囲気が、おかしかった。
十兵衛
「拙者、何やら怪しい予感がするでござる」
渡部
「ここは、白竜さんの領土でしょう、どうなってんの」
船長
「海辺から先へは、行かん方が良くないか?」
十兵衛
「ここの事を教えてくだされ」
「何から話してやるかな……」
船長は語り始めた。
今は、椿姫が二代目城主白竜を名乗っている事。この世界が五つの国に別れ、ようやく戦が落ち着いて来た頃、恋人に会いに行き、父親に止められた事。
相手は、父親のかっての下士官で今は青竜と名乗っている事。
敵同士の恋と言う理由だけでは無い。
結界の外に出れば、死ぬ為止められ争っている内に、父親が結界の外に倒れてしまい、自分の目の前で起きた事に初めて事実を知った事。
愛してくれた父親を自分のせいで死なせた事に責任を感じ、後を継いだ事などを話した。
ツン
「女は恋すると盲目になるのよ」
くう
「お前はいつもだな」
青年
「私が訪ねた時は、姫に船と矢を分けてもらった」
十兵衛
「皆はここから、動かぬように、拙者が城の様子を見てくるでござる」
青年
「俺も行く!」
十兵衛
「その方はここで、何か合った時、皆を守ってくだされ、すぐに戻る、では御免」
十兵衛は一目散に駆け出した。
>> 244
くう
「おい、渡部、茶房さん呼び出して」
渡部
「無理、石を取るにも手を縛られてる」
「こら!そこ話をするな」
しい、渡部、ツン、くう、船長、青年の六人は突然大勢の漁師や農民に襲われ村に連れて行かれた。
村人
「最近、おかしな事が起こっているのはお前達のせいだろう」
船長
「何故わしまで疑う!一緒に生活した仲間だろうが」
村人
「その青年が現れてから魚がまったく取れん、おまけにデカいイカには襲われる、挙げ句は黄竜の軍隊が来て姫と守り神までさらって、家来衆は皆殺しじゃ」
青年
「俺だけにしろ、イカは俺のせいだ、他のやつらは関係ない、それと黄竜なんてやつは知らん」
>> 245
ツン
「もうやだ~なんでこんな目に合うのよー」
くう
「自業自得って言葉知ってるか?」
しい
「十兵衛さん、心配してるね、きっと」
青年
「チキショー抵抗させてくれたら捕まらねーのによ」
船長
「当たり前じゃ、怪我人出せるか!」
くう
「しい、お前の霊力で十兵衛さんに、連絡取れないか?」
しい
「私は、電話じゃありません」
十兵衛
「皆はどこに行ったでござるかな」
喪女
「十兵衛さん、身体はもう大丈夫?」
十兵衛
「心配いらぬでござるよ、傷もすっかり塞がったでござる」
喪女
「それじゃ私空から探して見るね、聖獣の霊気も無いしどこかに煙が登っているかも知れないし、ここも目印に焚き火しといてね」
喪女が上昇すると、離れた場所に煙が登っている村を見つけた。
喪女
「十兵衛さん、すぐに見つけたよそこに行けば何か解るかもね」
十兵衛は、喪女と一緒に村へ向かった。
>> 246
村に着いた十兵衛は、外からうかがうように見ていた。
十兵衛
「ここに皆が、捕らえられているでござるかな、喪女殿、くう達にしか見えぬはずでござる、知らせてきてくだされ」
喪女が潜入すると、しいに近づいて耳打ちした。
喪女
「もう大丈夫よ、助けに来たわ」
十兵衛の懐にいたクロが騒ぎ出した。
十兵衛
「どうしたクロ大人しくしろ」
「そこまでだ、猫としゃべる怪しいやつめ」
村人に背中から刃を突き付けられた。
十兵衛
「クロ、今は大人しくしてろよ、今はな」
村人
「さあ、一緒にこい」
しいは、喜んで皆に目配せした……が、呆れた顔になった。
「十兵衛さん!」
「やあ、皆さんお揃いで」
船長と青年は顔を下に向けてうなだれた。
くう
「あんたまで何やっとんの」
ツン
「もうやだ~なんでこんな目に合うのよー」
くう
「二回目で~す」
>> 247
村人、太助
「へえ~良い刀持ってんな~」
太助は刀を腰に差して喜んでいた。
ツン
「あんたねえ、調子に乗ってるとそのうち怪我するよ」
渡部
「刀は武士の魂なのよ、返しなさい!」
十兵衛
「二人とも、もう良いでござる、魂は拙者自身、所詮刀は道具でござる」
渡部
「十兵衛さん、何言うのよ、侍でしょ!」
太助
「何か、俺のせいで悪かったな~、縄ほどく訳にはいかないけど刀は返すよ」
太助が刀を返した所に、もう一人の見張り役が入ってきた。
村人、五平
「お前何やってるだ、ほれ代われ」
渡部
「お願い、オシッコしたいんだけど」
ツン
「何よ、渡部こんな時に、私も」
五平
「仕方ない、太助一人づつ連れてけ」
渡部が先に、太助に連れ出された、皆に目配せして。
ツン
「私の方が漏れそうなのにー」
くう
「我慢いたせ、ツン漏らしたら大声で笑ってやるぞ」
ツン
「絶対我慢する」
クロがくうの後ろに回って爪で縄に傷を付けた。十兵衛が、そっと耳打ちする。
十兵衛
「拙者の縄は、もうほどけているでござる、全員の縄に傷が入ったら、合図するでござるよ」
クロはツン、しいに続いて青年と船長の縄にも傷を付けた。
その頃渡部は、自由になった手で石を取り出し、茶房を呼んだ。
茶房を見た村人は、誤りながら、小屋に戻った。
「それ!」
十兵衛の掛け声と共に、いっせいに縄が切れて、五平に刀を突き付けた。
十兵衛
「本意ではないが、すまぬ」
茶房が小屋に入ると同時だった。
>> 248
「それまでじゃ、十兵衛刀をしまえ」
ツン
「オシッコ漏れそう~」
一目散に駆け出した。
くう
「こりゃ一大事だwはwはwは」
茶房
「いつも賑やかで楽しいのう」
茶房の姿を見た村人は、落ち着きを取り戻し話してくれた。
茶房
「何で玄武を、使わんの?」
十兵衛
「我らにも、玄武が使えると申されるか」
茶房
「宝玉に封印したでしょ、もう一度出してやれば言う事聞くよ」
渡部
「そういう事は、先に言ってよ」
くう
「へえ~ウルトラセブンのカプセル怪獣みたいだな」
村人の協力で新しい船を借り、巨大イカを誘き出す事に、なった。
青年
「大勢の人間が居ると、奴は警戒して、出てこない、俺が小舟でおとりになる、出て来たら後は頼んだぜ」
十兵衛
「青年、名はなんと申す?」
青年
「俺は、元気、海原元気さ」
十兵衛
「元気!気を付けろよ」
岩陰に、全員の船が隠れて、それぞれがモリを持ち待ち構えていた。
>> 249
小舟が沖に出ると、海の色が黒くなって来た。海面が盛り上がって、小舟をひっくり返した。
十兵衛
「元気ー大丈夫かー返事をいたせー」
元気
「俺は、大丈夫だー」
小舟に捕まり手を振る元気に、イカの足が直撃した。
バラバラになった小舟のそばに、元気の姿は無い。
十兵衛
「元気ーーーおのれ許さぬぞ!」
十兵衛がモリを投げつけたのを、合図に村人がいっせいにモリを、放った。
暴れる巨大イカが起こす波で、船が転覆しそうになる。
次の獲物を狙うように、足を延ばして来た。
十兵衛
「もはや、やむをえん皆の者、退避してくだされー」
船が丘に着けると、十兵衛は宝玉を天にかざして叫んだ。
「いでよ~玄武!」
宝玉が光り輝いて一筋の光が巨大イカの側に落ちた。
中から現れた玄武が手にしているのは、元気だった。
元気を十兵衛に届けると、両目をかっと見開いて、巨大イカに立ち向かった。
- << 251 「元気、しっかりしろ、目を覚ませ」 狼狽える十兵衛に、ツンが代わる。 「そんなんじゃダメよ」 ツンは、元気を横に向けて、腹を押し水を吐かせた。 仰向けにすると、心肺蘇生法を行い、元気が回復した。 「ゲホッゲホッ、ありがとう、助かった」 上半身を起こした元気にしいが、抱きついた。 しい 「良かった~死んだかと思ったー」 元気 「ごめんな」 と一言、しいの頭に手を置いた。 玄武が、イカに振り向いた時、触手のように伸びた足が、玄武の首に巻きつき引き倒した。 派手な水しぶきを上げて海中に没した玄武が今度は、イカの足を束ねて起き上がりながらひっくり返した。 倒れる時に岩山で頭部をぶつけて、炭を吐きながら滑り落ちた。 勝ち誇ったように、立つ玄武の手足をイカの足が固定して、そのまま持ち上げると岩山に叩きつけた。 いきなりの攻撃にめまいを起こして、白目を向き、口から舌をだらしなく出していた。 イカが今度は、人間に触手を伸ばしてきたとき、玄武の手がしっかり掴んで離さなかった。 人間を守るように立ちはだかる玄武に、イカは苛立ちを覚えながら、何度も何度も岩山に玄武の頭を叩きつけた。 玄武の額が割れて、血が出てくるが、玄武の手は足を捕まえて離さない。
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