重い女

レス377 HIT数 920661 あ+ あ-


2012/06/10 20:59(更新日時)

当時は地獄だった…



今はその当時を思い出しても、怒りや憎しみ、それと負の感情は沸かなくなった



裏切られ続けた馬鹿な女の90%実話です。



駄文ではありますが良かったら読んで下さい。



どんな事でもコメント頂けるとありがたいです。

No.1711124 (スレ作成日時)

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No.351


「なんで私ばかり…って、常に思ってた私は、あんたの非を責めてばかりいた

私が他の人に目がいってしまったのも、あんたのせいにして、私は何も悪くないとさえ思ってたんだ…」


「お前は悪くないよ

俺がだらしないから…」


「私がこうなったのは
おとーのせい


全部全部おとーが悪いんだ


私は悪くなんかない…


そうやって思い込む事で
自分の気を楽にしていた


辛い現実から目を反らし、逃げた私もおとーと一緒…


そして…
やった事は私も同じ


だから…


そんな私達に怒った神様は、きついきつい罰を与えたんだよ」


「罰か……罰なら…

俺だけでいいのに…」


「確かに、人を傷つけ苦しめる事を繰り返したおとーは悪いよ


だけど…


その全てをおとーのせいにして、自分を正当化させるのは間違ってる


相手のせいにばかりしていたら、絶対に同じ目線で話す事なんてできない


責めるだけの言葉しか出てこなかった私も、今は反省してる…」


「涼子…」


「ごめんね…

行動には必ず原因があるのに、全てを一緒くたにして責めてばかりいた


優位に立ったような顔をして、なんでそうなるのか、ちゃんと聞こうとしなかった…


それでは何も変わるはずがないのにね…


本当にごめん」


「そんな風に…

そんな風に言わないでくれ…

お前は何も悪くないんだ

本当に悪くないんだよ


お前が一生懸命になればなる程、ウザく感じてた事だってあったんだよ


お前が泣いてる陰で俺は楽しんで、家庭におさまる事も、お前を手離してやる事も俺はできなかった


そんなてめぇが嫌だった


嫌で嫌で…本当に嫌で
たまらなくなった


自分に心底愛想が尽きて
抹消してしまいたかったんだ


こんなだらしない野郎
責められた方がまだ楽だ


お前にそんな風に言われると俺…きついよ…


開き直る事もできねぇじゃんか……」




私は起き上がり夫の顔を見て言った。




「おと…


開き直ってよ


理不尽に怒鳴ってもいい


暴言だって許す


自分の愚かさを嘆いてもいい



言いたい事
伝えたい気持ち



今ここで話してる私達



それは生きてるからこそ
相手に伝えられるんだよ



それだけは…



本当にわかって…」




瞳を赤くした夫は、下唇を噛み締めて、必死に涙を堪えているようだった。

No.352


時計を見ると2時を回っていて、夫は涙を隠すように瞼の上に腕を置いたまま黙っている。


私はベッド脇にあるパイプ椅子に座って、巻かれた包帯を見ていた。



その指先にそっと触れる。



腕の隙間から覗いた夫は黙ったままで、私は優しく指先をなぞった。



「この痛み…

絶対に忘れたらダメだよ」



一旦引っ込んだ涙が
また溢れそうになった。



「ああ…

今、考えてたんだ…

さっきお前が言った、
生かされたってのは、
その通りだと俺も思った」


「そなたにはまだまだ修行が足りない

この世でもっともっと沢山の修行を積みなさいって、怒った神様が言ってるの

与えられた試練は乗り越えてこそ意味があり、自分を成長させていくものだと思う

それをわかっていながら、現実から目を背ける弱い心の隙間に死神は入り込んでくるの

だからどんなに辛くても、絶対に逃げてはいけない

これはおとーにだけではなく私自身にも言い聞かせる言葉だから…」


「俺よりお前の方が…

全然強いな」


「強くなんかないよ

いっぱい泣いて
いっぱい悩んで
いっぱいもがいた

あ、言うならば…

私なりの修行の成果かな?(笑」


「大半は俺がお前に試練を与えてたようなもんだ…」


「あんたはいつから"神"になったのよ(笑」


「夢に出てきた幼い時の娘達…


子供らの笑顔を奪うような事だけはしたらダメだ…


だからもう二度と馬鹿な事はしない


マジで誓う…」


「おとーがそう思ってくれてすごく嬉しい

本当に…本当に嬉しい」


「いっ…」


夫が眉間に皺を寄せた。


「痛むの?」


「本当はけっこう…
いや、かなり痛みはある」


「大丈夫?!
看護師さん呼ぼうか?」


「ううん…いい

この痛み…
しっかり覚えておくよ」


「ん…

まだ夜中だし、今は何も考えず休んで…」


「お前こそ休んでくれよ

きっとお前の事だから飯も食わず寝てないんだろ…

ぐっすり眠って

俺も寝るよ」


「…寝よっか

何か欲しかったりしたら声かけてね

おやすみ…おとー」


「うん、おやすみ」




こんなに穏やかに夫と話したのはいつ以来だろうか。


夫に対して…


優しい気持ちを忘れてた。


思いやる気持ちを忘れてた。



そんな私に夫が心を開くはずなどなかったのだ。




神様…



助けて頂いただけでは足りずにまだ願う、欲深い私をお許し下さい…



神様…お願いします



夫を戻して…



どうか…あの頃の…


誠実で責任感が強く優しい笑顔を見せるあの頃の…、出会った頃の夫に戻して下さい



私…本当はわかってた…



神様…



私の思い…



それも試練だと言うのでしょうか…

No.353



わかってたんだ…




何をしても最終的には自分の味方…




夫にとって私は…




母親的存在だった事を。




そうさせたのは




私自身であったと言う事も…




今ならわかる。




家族…




手離せなかった夫の気持ちも…




神が与える試練と言うのならば




夫の為




私の為




覚悟は




できてるから…




私にもう




迷いなどないから…

No.354



――翌日



諸々の事を済ませ、夫は昼近くに退院。



病院を出ると瞳に眩しい程の快晴。



私の車で帰路につく。



澄み渡った青空の先に雪化粧をした富士山が望めた。



助手席に乗る夫も見ているであろう、その景色はとても幻想的でお互い言葉にならなかった。



高速を一時間程走って、
サービスエリアに車を停めた。



「コーヒーでいい?」


「うん」



私は自販機で温かい缶コーヒーを二本買い、足早に車に戻った。



すぐには発車せず、缶コーヒーを一口飲んでから煙草に火をつけた。



隣で夫も吸っている。



車中ではほぼ会話はしていなかった。



かけっぱなしのCDは、何が流れてるのかさえわからず音量はずっと消されたまま。



その存在をアピールするかのように、イコライザーが次から次と忙しく鮮やかな光を放っていた。



私はそっとボリュームを上げた。




~♪私は今どこに在るのと 

踏みしめた足跡を何度も見つめ返す

枯葉を抱き秋めく窓辺に 
かじかんだ指先で夢を描いた

翼はあるのに飛べずにいるんだ

独りになるのが恐くて辛くて

優しいひだまりに肩寄せる日々を越えて僕ら孤独な夢へと歩く


サヨナラは悲しい言葉じゃない

それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL

共に過ごした日々を胸に抱いて飛び立つよ 

独りで未来の空へ


僕らはなぜ 答えを焦って宛の無い暗がりに自己を探すのだろう

誰かをただ想う涙も
真っ直ぐな笑顔も
ここに在るのに

本当の自分を誰かの台詞で繕うことに逃れて迷って

ありのままの弱さと向き合う強さをつかみ僕ら初めて明日へと駆ける


サヨナラを誰かに告げるたびに

僕らまた変われる強くなれるかな

たとえ違う空へ飛び立とうとも

途絶えはしない想いよ
今も胸に

永遠など無いと気づいた時から

笑い合ったあの日も歌い合ったあの日も

強く深く胸に刻まれていく

だからこそあなたは
だからこそ僕らは

他の誰でもない誰にも負けない

声を挙げて私を生きていくよと約束したんだ 

ひとりひとつ道を選んだ


サヨナラは悲しい言葉じゃない

それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL

いつかまためぐり逢うそのときまで

忘れはしない誇りよ
友よ 空へ

僕らが分かち合う言葉がある心から心へ言葉を繋ぐYELL

共に過ごした日々を胸に抱いて飛び立つよ

独りで未来の空へ~♪




夫も私も大好きな曲。



無言で耳を傾け聴いた
いきものがかりのYell。



歌詞が胸に染み渡り涙を誘う。



今の私達夫婦の胸に突き刺さった。



夫は顎に手をやり肘をついて、顔を窓の外に向けていた。



私は悟られないように
そっと涙を拭う。



「なぁ…」



窓の外に目を向けたままの夫が話しかけてきた。

No.355



「俺……俺は…」



夫はゆっくり声を出す。



「お前に…どれだけ
酷い事をしたのか…」



私は冷めかけた缶コーヒーをゴクリと飲んでから言った。



「私が全てにおいて見て見ぬふりしてたら、うまくいってたのかな?」


「どうだろ…

沈黙は逆に怖かったかもしれない…」


「他の女性と愛して合って帰宅したおとーに笑顔でおかえりなんて言えなかったから」


「当然だよ…」


「私達は…

ずいぶん前から夫婦の間に温度差が生じて噛み合わなくなっていたのよ…」


「温度差?」


「例えば…恵美や怜奈

すごくすごく悪い事をしたらどうする?」


「そりゃあ…叱るだろ」


「だよね…

でもどんなに感情的になって叱ったとしても、憎しみを持って怒る訳ではない

その時は心を鬼にして
突き放したとしても…

見離したり見捨てたりはしない


でしょ?」


「当たり前だろ」


「我が子に捧ぐ無償の愛


それと同じ感覚で
おとーにとって私は…


妻でもなく


女でもなく


何をしても自分の味方で、全てを受け止めてくれる


母親みたいなものだった」


「母親って…お前…」


「愛欲は外に求め
私を抱けないでしょ…」


「それは…」


「口うるさくもあったけど自分を理解し許し続ける母親のような女房は…


いなくなると困るから…


いなくなると不安だから…


その結果が…今こうなってるんだと思わない?」


「……」


「夫として父親として、そして男としておとーを見てた私と、母親に近い感覚で私を見てたおとー…

求めるものが違うんだもん

噛み合わなくなるのは必至」


「俺は女房としてお前を見てた」


「贅沢だったのかな…

私が黙っていればこうはならなかったのかもしれない

だけど私をどんどん卑屈にして惨めにしたのは私を女として見ないおとーの行動だったんだよ」


「涼子…」


「私を本当に女として見ていたのなら…

少なくても繰り返さなかったはず」



話す声が詰まる。



「こんな事言ってる私も現実から逃げ出して、それを全てをおとーのせいにしたズルイ女だったけどね…」


「お前は自分を責めないでくれ…悪いのは俺だ…」



私は大きく深呼吸をしてから言った。



「怖いんだ…


一生消えないその左手首の傷…


その行動は私だけではなくどれだけ子供達を傷つけ悲しませるか、本当に本当に心の底からわかってもらいたい」


「ああ…今は申し訳ない気持ちでいっぱいだから…」



私は言う。



「ねぇ…おとー


私達…


もっと楽に生きよう


子供達の為にも笑顔でいようよ」

No.356



「すごいな…」


笑顔を私に向ける夫。


「ん?何が?」


「以心伝心か?

夫婦ってすごいと改めて思ったんだよ」


「だから何が??」


「同じ事思ってたから」


「同じ事?」


「うん

お前の言うように笑って過ごしたいと思ったから

俺が言う事ではないかもしれないが…」


「ううん

そう思う事が大事だよ

なぁ~んにも贅沢なんていらないの

笑顔で過ごす毎日こそが、一番の贅沢で幸せなんじゃないかなぁ


あ…」



夫が私の手を握った。



「仕事に家事に育児…
お前はこの手で一生懸命やってた

なのに俺は、毎日忙しい、男と女は違うと、家の事は全てお前任せで俺は自由にしてきたな…」


「怜奈を出産してからさ、自分の好きで仕事に復帰するんだから文句言われないように、仕事と家事の両立は絶対にする!って私は私で肩肘張ってたなぁ

正直きつい時もあったし、朝からバタバタで忙しかったけど毎日が充実してた

それはさ、おとーと子供達家族の笑顔があったから、私も頑張れてたんだよ」


「家族はあって当たり前だと思い、お前の努力は無視して自分勝手な事ばかりしてきた

馬鹿がつくほど一途に想うお前を鬱陶しく思う事もあった


こんな俺…


今まで何を偉そうにしてきたんだろうな…」


「浮気を繰り返したおとーはさ、器用にやってるつもりでもすごく不器用だったよ

嘘もヘタだし(笑)

不思議と浮気をしていても私を一番に感じる事ができてたから許せてたんだ…

西田と付き合うようになってからおとーは変わっていった


でもね…


私が乗り込んだ修羅場で、おとーは相手の女をかばって私を蔑む事は一度もしなかった


ギリギリの精神状態で
それは救いだったなぁ…


おとーは…
元々優しい人だからさ」


「そんな事言うなよ

言ったろ

責められる方が楽だって」


「確かにおとーは自分勝手だったけど、ちゃんと家族の事も考えてくれてたよ

思いやりもあって優しいところもいっぱいある

そんなおとーだからこそ私、しがみついて離れなかったんじゃない」


「そんな言うなって…」



夫はシートに頭をつけて、目を閉じた。



そのまましばらく沈黙。



なんとなく窓を開けると、冷たい空気が社内に吹き込んで、

「さぶっ」と肩をすくめる夫の仕草に笑い、冬の風が重くなりつつある空気を変えてくれた。



「俺達さ…」



シートに頭をつけたまま窓から空を見ながら夫が言った。



「やり直そう…」

No.357

>> 356

訂正m(__)m


×社内


○車内


誤字多くてごめんなさい
😱💦💦

No.358



そのまま時が止まったかのような沈黙が続いた。



『やり直そう』



そう言った夫の顔は真剣だった。



やり直す…



頭には全くなかった。



否定したら、
夫はどうするのだろう…


受け入れたら、
私はどうなるのだろう…



決心したのに…



左手首に巻かれた包帯が
私の心の声を奪う。



それを振り払うが如く
今一度、過去の記憶に答えを求めた。



風俗や、キャバクラ嬢との交遊は数知れず。


私の車で女とTDLに行き女房の車でイチャついてた夫。


次の浮気相手の時はプチ家出。


大病を患って家族で心配した時も、退院から半年後に西田と不倫関係になった。


不倫相手が夫の子を産んだ現実。


その西田と決着がついて僅か数ヶ月で今度は相沢と不倫関係に…



数えきれない裏切り…



終わると一時は改める夫だけれども長くは続かない。


私の執着が不幸を呼んだのかもしれない…


長い年月を過ごしてきた
私達夫婦の在り方…



この人は私といると駄目になる。



私の事も駄目にする。



だから…



無理なんだ。



ちゃんと言わなくちゃ


ちゃんと伝えなくちゃ



もうリセットが利かない事を…



フロントガラスの先にあてていた視線を夫に戻した。



(…え?)



「何悩んでんだよ」


「あ…いや…うん」



穏やかな表情に笑顔を浮かべる夫に私は戸惑った。



「やり直そうよ」


「あのね…おとー」



夫は私の頭に手を置いて、優しい笑顔で言った。



「俺は俺、お前はお前

別々の人生をやり直そう」


「え?」


「その方がお互いの為だと思う


俺はそのうちまた
お前に甘えてしまう


もう辛い思いはさせたくないから」


「おとー…」


「別れても子供らは一生俺の娘に変わりはない

お前とも離れた方がいい関係でいられると思う


お前もそう思ってるだろ?


これも以心伝心か(笑」


「お…とー…」



何故だか涙が出てきた。



もしかしたら…



私がYESと返事をしていたら、夫は夫婦をやり直したかったのかもしれない。



悩む私の顔で即座に切り替えたのかもしれない。




相手を思う気持ち…



夫の最後の優しさ…



涙が止まらなかった。



不自然な程に首を曲げて
窓の外を見る夫。



その肩は小刻みに震えていた。



おとー…



ありがとね…

No.359



その夜
自宅に社長が来た。


私は席を外そうとしたが、社長に同席を求められて、和室で夫と並んで座った。


夫は辞職せず復帰する事になった。


仕事は今まで通り幹部としてやってもらうが、後遺症を考慮し、これからは現場等には入らなくて良し。


その分、今まで以上に社の運営に努めてもらいたいとありがたい言葉を頂いた。



「あー相沢なんだが…」



お茶をすすりながら言った社長の言葉に私は驚く。



「本日付けで解雇したよ」



夫は平然としている。



「昨日私が社にいる時に、杉浦の女房が怒鳴り込んできて、それはそれは大変な騒ぎだったんだ」


「ええ?!」


私は思わず声が出てしまった。


「亭主を寝取った相沢香織はどの女よ!!と、大声でひどく興奮状態で事務所に入ってきてな」


沈黙する夫を横目に私は聞かずにはいられなかった。


「それでどうなったのですか?」


「どうもこうも…

相沢は知らぬ存ぜぬの一点張りで、興奮状態の女房は相沢をひっぱたき、工場からすっ飛んできた杉浦は女房を殴り、いやはや大変なもんだったよ」


その場で杉浦さんは社長に土下座して謝ったとの事だった。



奥さんが理性を失い激昂する気持ち…


裏切られ深く傷ついた心…


私には痛い程わかってしまう。



またもや何の覚悟も持たずに、バレると我が身が一番の相沢に怒りを覚えた。


何も身になってない人間は同じ事を何度も繰り返す。


西田にしても相沢にしてもどれだけ痛い目に合えばわかるのだろうか…


痛い目に合ったとしても
わからないのだろうか…



やりきれない思いに私は、奥歯をギシギシと噛み締めた。



「相沢は依願退職という形の実質解雇だが、杉浦は家を建てたばかりで無職になる訳にいかないから解雇以外の処分は何でも受けると土下座しおったよ」



家族の笑顔が溢れ、幸せを信じて建てたマイホーム。


浮気を知った瞬間から、夫を信じ笑って過ごした日常に二度と戻れなくなる奥さん。


なぜ、一番大切なものが
わからないのだろう…


杉浦夫妻にできた溝は埋まるのだろうか…


改めて不倫の悲劇が見えるようだった。



帰り際、社長が私に

「涼子さん

深山も十分反省してる


もう何も心配する事はないのだから、考え直してみたらどうかね?


いやいや

他人が夫婦の事に口を挟んではいかんな


深山、明日病院終わったら電話くれよ


じゃあ涼子さん、お邪魔したね」



夫と私は深々と頭を下げ、社長は帰って行った。



肩が重いような、嫌な気分が残った。



「おと~さん、おか~さん

社長さまさま帰った~?」



リビングのドアからひょっこり顔を出し、おどけたような笑顔を見せる怜奈は、まるで天使のようで、重い気持ちを吹き飛ばしてくれた。

No.360



「怜奈まだ起きてたのか」


怜奈の頭をポンポンさせて夫が笑顔で話しかける。


「まだってまだ9時じゃん!
もうそんな子供じゃないよーだ」


「そうだっけ?(笑)

でもお姉ちゃんが上がってきたら、一緒に風呂入るだろ?」


「入んないし!!

おとーの変態!」


「ちょっと前までは一緒に入るって騒いでたくせに、今は変態扱いかよ(泣」


「だって去年、お父さんと一緒にお風呂入ってるって友達に言ったら、ありえない!って引かれたんだもん

あ!!お父さん…

その腕どうしたの?!」



上着で隠していた袖口がずれて手首の包帯に気づいた怜奈。


勿論、その理由は怜奈に言えるはずなどない。



「ちょっと転んで怪我しちゃってな」


「転ぶなんてお母さんみたい(笑)

痛い?だいじょぶ?」


「大丈夫だよ

でも、う○こしたら怜奈拭いてくれ」


「げっ!サイテー

おとーセクハラだぁぁ!」


「お前はOLかよ(笑」



まるで離婚する事が嘘のように、和んだ空気でふざけあう父娘。



もしかしたら…


怜奈は気を使ってくれてるのかもしれない…



「おとー、お湯熱めがいいんでしょ~?」



恵美が洗面所から夫に声をかける。


全てを知る恵美もまた、
私達が帰宅してから何事もなかったかのように普通に接してくれていた。


ここ数日で心身共に疲れていた私は、今この空間はとても心地よかった。



「怜奈、今夜はお父さんと一緒に寝ようよ


また変態扱いか…?(汗」


「しょうがないなぁ~

今日だけだよ?(笑」


「おう、今夜だけな(笑

んで、ついでたから風呂入るの手伝って」


「全然ついでじゃないじゃん!

でも濡れないようにしないとだね

お母さん、ビニール袋で巻けばいいの?」


「それはお母さんがやるから、怜奈はシャワーかけてあげてね」


「わかった~!

でも、おとーなんだか…

介護だね!キャハハ!」


「うるせー(笑」



楽しそうに話ながらも怜奈を見つめる夫が寂しそうに見えるのは、私の思い過ごしなのだろうか…



いや…



寂しいのだ…



その寂しい気持ちを胸に
後悔と懺悔を繰り返す。



だからこそ今、この瞬間。



家族の大切さを



家族の幸せを



胸に刻み忘れずにいよう…



そうすれば…



本当の幸せがわかるから



本当の幸せがやってくるから



その為の試練…



必ず乗り越えて欲しい。



父である貴方は…



生きる使命があるのだから。



そして私は自分に思う…

No.361



愛する者の裏切りに辛苦の涙を流すも、大切なものを信じて守る為…



徒(いたずら)に欲望を弄ぶ者や略奪を目論む者に立ち向かい、私は幾度となく戦った。



乱れた心を悟られまいと
虚勢を張るが如く、向かった敵に言葉の刃を振りかざす。



引く事を知らない猪突猛進の戦士は、己を守る術も知らずにひたすら突き進む。



纏っていたのは
ガラスの鎧だった。



敵は見透かし嘲笑う。



繊細な鎧はよこしまな刃に砕かれて、散った破片が我が身に降り注いで全身を突き刺した。



悶え苦しむ悲痛な叫びは
愛する者には届かない。




身も心も満身創痍。




負を認め引く勇気。



降参…



白旗を挙げる勇気が私にあったなら…



こんなにも傷つけ合う事はなかったのかもしれない…




戦うが故に傷ついた心。




もう…




繰り返してはいけない。




行動には必ず原因がある。



自己の正論ばかり述べていては何も見えない。



その正論は時には刃となって、相手を追い込む事もあるのだ。



なぜそうなったのか



なぜそうなるのか



相手の目を見て



自分を知って



心の声を聞く。




一緒にいる事だけが愛ではない。



我慢するばかりが愛ではないのだ。




とことん向かい合って



それでも
歩み寄れなければ



その時は潔く



お互いを解き放とう。




色々な事があったけれど…



巡り逢って愛し合って一緒に過ごした日々に後悔はない。



勿論…憎しみもない。



子供にとってはいつまでも優しい父親。



どんな事があったにせよ、憎み罵る発言は子供達を悲しませ、私自身も解放されない。



ずっと変わらない最愛の父を、私の感情だけで傷つけてはいけないから…



いっぱい泣いたけれど
幸せもいっぱいだった。



大好きだった和也。



貴方の幸せを心から願わずにはいられない。



そう思える自分の事を好きになろう。




―――――――――


――――――



それからしばらくして
バレンタインデーの日。




私達は正式に離婚した。




『離婚記念日』


「…だな」

「だね!」


なんて、笑いながら。




二人で決めた2月14日




その日を忘れないように…




胸に深く刻んで




私達は




別々の道を歩み出した。

No.362



「昼過ぎに電車で行くね」


「え?行けるの?!

お母さん仕事から帰ったら送ってあげるよ

それとも迎えに来てもらうとか…」


「もぉぉ!

怜奈もうすぐ中2だよ!

電車で二駅のとこなんだから行けるってばぁ!」


「あはは!ごめんごめん

気をつけて行きなさいね
着いたらメールしてよ」


「わかった~!」



3月に入って第一土曜日。



怜奈は父に会いに行く。



今日は通院で早退するから泊まりがけでおいでと昨夜、父娘はメールで約束をしていたようだ。



元夫、和也は隣町にアパートを借りて暮らしていた。



荷物を運ぶ時に子供達と行ったその場所は、駅から徒歩5分の所に位置していて一度行けばすぐに覚えられる場所だった。



家を出る時。


家族で暮らした家の鍵を私に渡したあと、何かあったらすぐ来られるようにと、恵美と怜奈に自分の部屋の合鍵を渡した和也は優しい父の顔だった。



転院先ではリハビリに励み手の感覚がおかしくてまだまだこれからだけど、経過は良好で、動かないと言われた指はゆっくりと少しずつ動くようになり、車の運転ができるまでに回復していた。



怪我だと思い込んでる怜奈は、色々と不便を感じてるのではと、常に父親の心配をしていた。



和也が家を出てから
まだ二週間程度だったが


『会いたい時はいつでも会えるし会っていいんだよ』


そう言った私の言葉を素直に受け止めた怜奈は早速会いに行く(笑)



―――


怜奈が電車で行くって言ってるからよろしくネ👍


リハビリ頑張ってね⤴


―――END



~♪♪♪



―――


了解✌


今日は冷えるな


お前はすぐ体調崩すから
無理するなよ👍


―――END




離れてからお互いを気遣えるようになった。




和也との連絡は子供が絡んだ時だけだが、素直に聞けて素直に言えるようになった。




子供の親としての関係。




この距離感。




これがいい…




罵り合う事はもうないのだから…





「お母さん、これ私のとこに混ざってたよ~ふぁぁ」



二階から降りてきた恵美があくびをしながら私に渡した。



深山涼子様



白い封筒に、とても達筆な字で私の名前が書かれていた。




裏を見ると…




相沢義雄




相沢の父親からだった。

No.363



急啓


ご報告をさせて頂きます。


娘は今後私どもの元で、
自己の過ちの責任と共に、娘を戒め不心得を厳しく諭していく所存でございます。


親の私どもが至らない由、誠に申し訳ない事を致しました事を、今一度深くお詫び申し上げます。


末筆で恐れ入りますが、
先般、孫を案じる言葉と私どもにご配慮頂きました事を心より感謝申し上げます。


先ずは取り急ぎご報告まで。


草々


平成23年2月○日


相沢義雄





白い便箋に縦書きで達筆な文字で書かれた父親からの手紙。



和也が退院してから一週間ほど経った頃、相沢の父親から私のケータイに電話があった。



声からも厳格な雰囲気が伝わる父親は、娘の不始末に立腹する様子が伺えた。



だが、こちらの非を一切責める事はなく、娘の不道徳を私に詫び父親は言った。




「失礼を承知で申し上げます

決して金銭で償えるものではございませんが、親の責任として、そのような形で謝罪させて頂きたいと思っております」



私は丁重にお断りした。



「こちらにも責任がございますのに、そのようなお言葉を頂き心より感謝致します。

ですが、親御さんからは受け取れません」


「不品行に育ってしまった娘の責任は親の責任でありますので、是非謝罪の形を取らせて下さい」


「私と致しましては香織さん自らが反省し、二度と繰り返さないように改心して頂く事を強く望みます

その意味をわかってもらう為に、謝罪は香織さんにして頂きたく思います」



父親の小さな溜め息が電話越しから聞こえる。



娘に落胆する父親が不憫に思えた。



「あの…


出過ぎた事を言って大変申し訳ございませんが…


お孫さんがとても心配です


できましたら香織さんとお孫さん、ご実家で暮らされるのがよろしいのではないでしょうか…」



その後、父親は再び謝罪の言葉を述べてから電話を切った。



以前母親とも電話で話したが、良識ある両親の元で育った相沢は、なぜあのようになってしまったのか…



厳しかった父に対して一度の口答えもなかったと母親は言ってたが、相沢からすると押さえ付けられ我慢してきたと言うのか…



改めて子育ての難しさに
溜め息を覚えた。



その後相沢は、親の監視の元、親戚が営む小さな会社で事務員として働き出したようだった。



西田からの慰謝料は何度も滞りながら、今でも少しずつ、少しずつ支払われていてるが、相沢は今まで一度も滞った事はない。



このままいくと西田より先に、今年の9月で相沢は慰謝料の支払いが終了する予定(苦笑)



杉浦さんの方はどうなっているのか…



慰謝料が支払われているのかは、私の与り知るところではなかった。

No.364



夜…


ベッドに入ってから時々、妙な不安感に襲われる事があった。


片親になった気負い?


先々の不安?


それは何なのか、漠然としていてわからなかった。


だがその不安は、朝目覚めると同時に忙しい日常に打ち消され、子供と三人笑顔で穏やかな日々を過ごしていた。



そんな中、私は…



あっちゃんに連絡できずにいた。



何故だろう…



何かに申し訳ない気持ち…



それもまた、漠然とし過ぎてわからないまま時間だけが過ぎていった。



――――――――



その日…



私は社用で外出していた。



国道付近の交差点がいつも以上に渋滞していて、仕事が詰まり一分でも早く帰社したい私は渋滞に苛々していた。




それは…




あまりにも突然で…




何が起きたのかわからなかった。




目に飛び込む光景が信じられない…




道路脇に建ち並ぶ民家の瓦屋根が凄い勢いで落ちてゆく。



すぐ横のガソリンスタンドでは、天井から吊るされた照明が次々と落下して音と共に飛散した。




――大地の怒り。




平成23年3月11日
東北地方太平洋沖地震。




未曾有の大震災は、関東に住む私もその恐怖を体験した。



生まれて初めて体験する震度6近いその揺れに、私はたちまち恐怖のどん底に突き落とされた。



パニックで状況が判断できず、過呼吸気味になり頭が朦朧としたのを覚えてる。



「電話……携帯!!」



我に返った私は子供達の事が頭に浮かび、ガタガタと震える手でバッグをひっくり返していた。



♪♪♪♪♪~



突然鳴ったケータイに心臓が止まりそうになった。



「大丈夫か?!!」


和也だった。


「すごい揺れたよ!!
何が起きてる?!
どうしちゃったの!!
恐い!」


私は支離滅裂な発言をし、とにかく子供らの無事を確認すると和也に話してる途中で電話が切れた。



それからケータイは
一切繋がらなくなった。



会社にも連絡ができず、
私は子供の身を案じ独断でまずは学校に向かった。


大きな余震に何度も車を停めて、ディスカウントショップの大型駐車場には人々が群がっていた。


店の大きな看板が傾いて、今にも落下しそうになっている光景が更に恐怖を煽った。


ケータイの電波は遮断されたまま繋がらず、恵美とも連絡がつかず、恐怖と焦りで私は気がおかしくなりそうだった。


学校近くまで行った時ママ友にクラクションを鳴らされ、その車に怜奈も乗っていた。


車から飛び下り、手を取り合った私とママ友は半泣きだった。


お礼もそこそこに、怜奈を私の車に乗せて恵美の会社に向かった。

No.365

>> 364

お詫びm(__)m



東北地方で被災された方がもしもこれを読んでいて、不快な表現があったり思い出される事を深くお詫び申し上げます。



あの時の恐怖と多くの方が犠牲になった辛さは、私も絶対に忘れる事はできません。



亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

No.366



「お父さんとお姉ちゃんは大丈夫かな?!

おじいちゃん達も!」


車に乗ってすぐ怜奈が聞いてきた。


「さっきお父さんからは連絡あったし、お姉ちゃんもおじいちゃん達も絶対大丈夫だから!」


私は自分にもそう言い聞かせるように、若干語気を強めて答えた。


「そうだよね…大丈夫だよね!!

怜奈今日掃除当番で、教室掃いてる時にすっごい揺れて怖かった!

校門の所に穂香のお母さんがいて怜奈も早く乗って!って焦って―!…!…!」


興奮してその時の状況を話す怜奈に相槌を打ちながらも、連絡がつかない恵美の事が心配で私は気が急いていた。



~♪♪♪



メール?!



急いで車を停めた。



―――


お母さん大丈夫?!

怜奈は?!

私は大丈夫だから心配しないで!

すぐ帰るから


―――END



私の心配を察し届いたメールに感謝して、そして恵美の無事に安堵した。


それから同じく心配する恵美に何度返信しようとしても


『しばらくお待ち下さい』


と表示され送信できなかった。



根気よくかければ繋がるかもしれないと思った私は、うちの実家と和也の実家、それと会社に電話した。


何十回とかけて、ようやく全てに連絡がつき皆の無事にホッとして自宅に戻るとちょうど恵美も帰って来たところだった。



家の中は、食器や小物類が落下して辺りに散乱。


テレビやその他の家具も倒れていた。


電気もつかなければ水も出ずに、家の中は薄暗くて、止まない余震に怯えた私達はその日、車中で一晩過ごす事にした。


近くのコンビニ行くと5台ある駐車スペースが既に満車状態で、停めてるのは皆近所の人で、やはり誰もが同じ考えのようだった。



トイレ等を考慮しコンビニの駐車場が一番いいと思い、そこからちょっと離れたコンビニに車を停めた。


そこは停電はしてなかったので、その明るさに安心し、その明るさがありがたかった。


食べ物や飲み物を買い込みシートをフラットにした。


私の愛車は○産のキュ―○で、フラットにしても三人ではやはり窮屈だったが、持ち込んだ毛布等で少しでも快適になるように寝床を作った。


今日の事を三人でめいめいに興奮気味に話す。



~♪♪♪



私のケータイにメールが届いた。



―――


俺も娘も大丈夫だよ❗


涼子もお子さんも無事で安心しました


涼子からはメール届くのに俺は何度やっても送れなくて遅くなってごめんね


メールありがとう!


―――END



あっちゃんからの返信。



私は夕方、あっちゃんにメールを送ってた。


―――


大丈夫ですか?!


娘さんも大丈夫だよね?!


私は娘共々無事です


―――END



この時送ったメールは一度で送信されたので驚いた。



あっちゃんの無事も知り
私は安堵感に包まれた。

No.367



長い夜が明けると――…



スーパーやコンビニでは、カップ麺やレトルト食品、缶詰やパン類の棚がスカスカで、中でも極めて水が入手困難になった。



石油コンビナートが火災し、それによって多くのガソリンスタンドが閉店を余儀なくされる。



燃料単価は高騰し給油量が制限されながらも、営業している数少ないスタンドのどこもは、車が長蛇の列を作っていた。



連日報道される悲惨な状況に胸が痛み、たくさんの悲しみと不安を抱えてながらも皆、日常を取り戻す事に必死だった。




―――――――――



――――――




「涼子さ~ん」



「うん?」



――4月。



平常勤務に戻っていた会社に私と綾香の二人だけで、この日奈緒美は休みをとっていた。



「奈緒美さんと坂木さん…

残念だったですね」


「あぁ…うん…

仕方ないよ

まさかこんな事態が起きるなんて思いもしなかったんだから」



相変わらず余震は止まず、倒壊した家屋や倒れた電柱等、まだまだ震災の爪痕があちこちに残っていた。



誰しもそんな恐ろしい天災が待ち構えているなど予想もつかなかった2月下旬。



奈緒美と坂木さんは入籍し夫婦になった。



『あんたが離婚記念日ってあっけらかんと言うから、んじゃあたしは結婚記念日にしてやったのさっ(笑』



豪快に笑いながら言った奈緒美の彼女らしい気の使い方だ。



そんな奈緒美を祝福したくて、気の知れた仲間だけで3月13日(日)に小料理屋を貸切り二人の結婚祝いをする予定だった。



「涼子さんと綾香の二人で、お祝いしてあげませんか?!

奈緒美さんにはいつもお世話になってるから何かしてあげたくて…」



いつも奈緒美に怒られふて腐れている綾香だが、ちゃんと奈緒美の気持ちが伝わっててちょっと嬉しくなった。



「そうだね

今はまだ色々落ち着かないから、来月あたりで考えてみよっか」


「はい!」


「綾香ありがとね

私一人じゃ全然頭回らなかったから」


「綾香が言わなくても奈緒美さん、自分から催促してきそう(笑」


「確かに~!!」


「「あははは!」」





――あの日の夜。



余震と窮屈な車内で私は眠れずにいた。



外に出て煙草を吸いながらケータイを開く。



無事を知らせるあっちゃんからの返信メール。



このたった一通のメールを読み返していたら、急に私の心を寂しさで一杯にした。



離婚してから連絡できずにいた事に申し訳なく…




―――


遅くにごめんなさい


先月の14日に正式に離婚しました。


もっと早くに連絡すべきで、しかもこんな時に言う私をお許し下さい


―――END




数日経過しても…




あっちゃんからの返信はなかった。

No.368



ゴールデンウィークが過ぎ、奈緒美が社用で外出していた時。



綾香がメモに書かれた人数を数えながら言った。



「12…13…15と

えっと~、結局いい人数になっちゃいました(笑」


「あんたがちゃっかりと色んな人に声かけたからでしょ」



二人でお祝いの計画を立てていたが、綾香が少しずつ声をかけていたようで、気づくとまとまった人数になっていた。



その中にあっちゃんもいた。



「宴会場所だけ涼子さんに任せていいですよね?」



「綾香…


宴会じゃなく、
お祝いだよ!お祝い!


主役は奈緒美と坂木さんの二人で、飲み会じゃないんだからね!」


「わかってますってば~

その他の事はお任せ下さい!」



ニタニタと嬉しそうな顔をする綾香。



たまにとんでもない事をしでかす綾香に若干の不安を感じつつ、前と同じ小料理屋が通常営業していたので難なく予約がとれた。



二人の結婚祝いは、5月の最終日曜日に決まった。




その日はあっちゃんも来る。



あの時の返信はないまま…



以前。



あっちゃんの気持ちが変わっていたら、私の電話には出ないで欲しい。



それを最後の優しさだと思うから。



…そう言った。



返信がないのは…



あっちゃんの答えなのだろうか。



去年、彼と車で話したのを最後に、あれから一年が経とうとしていた。



一度奈緒美が気を回して、会社で彼と顔を合わせて、その夜電話をしようとしたけれど結局はできず、それから一度も連絡はとっていなかった。



私が離婚してからも連絡ができずにいた。



なぜだろう…



何かに申し訳なくて躊躇する気持ち。



その何かとは…



子供達に対する想い…



離婚は決して幸せな結果ではない。



顔に出さなくとも親の離婚は確実に子供達を傷つけたろう。



両手を上げて喜ぶ事ではないから。



そんな思いから連絡ができずにいた。





そんな私は



どこまで…



彼に甘えていたのだろう。




夜…



ベッドに入るとメールが届いた。



あっちゃん…



そのメールを読んで



涙した。





―――


俺の心も折れたようです



涼子の幸せを願ってます


―――END


No.369

――――――……


「…ん」


頬に温もりを感じて目が覚めた。


「私…寝ちゃったんだ」


「すごく気持ち良さそうに眠ってたよ」



――和也が自宅トイレで事件を起こす少し前の記憶…


ある土曜日の昼下がり。


お互いの休みが合って怜奈が部活から戻る迄のわずかな時間。


あっちゃんの部屋で穏やかな時間を過ごしていた。


休みでも仕事の電話がよく鳴る彼のケータイ。


手帳を開きメモを取る彼の背中に、耳をあてるようにもたれると何だかとても落ち着いた。


急に振り向いた彼に引き寄せられる。


電話の邪魔をしてはいけないと離れようとして、その腕に力が入った。


ストンと彼の膝枕。


私の頭を撫でる手を触りながら目を閉じると、話す彼の声にとても安心した。


抱っこの赤ちゃんがゆらゆら揺られながらママの声を聞く安心感はこんな感じかな…


そのまま私は眠ったようだ。


「一時間も寝てたんだ
ごめんね足痺れてない?」


「大丈夫だよ
それより涼子…寝言すごいね(笑」


「あーそうなのよ
私寝ててもうるさいみたいで(汗」


「人参残すなーって怒ってたけど怜奈ちゃんにかな?(笑」


「あぅ…怜奈人参嫌いで…

てか、恥ずかしーっ」


「あはは!
俺的にはもっと聞いてたかったけどね~」


「あっちゃんの悪趣味!」


ちょっと拗ねた私の頬に手をあてる。


「涼子…俺達さ、どんな事があっても気持ちは繋がっていようね」


「どんな事って…」


「変な意味じゃないよ

お互い無理な事を求めすぎないって事かな

深いところで繋がって信じあえれば気持ちは満たされる

会う時間の長さではないよ

ほんの少しでも一緒に過ごす時間は大切にしよう」


「あっちゃん…

うん…


ありがとね」


「え?ありがとう?」


「んーわかんないけど
ありがとなの!」


「なんだそれ(笑」


こうしていつもさりげない彼。


子供優先で、なかなか会う時間が取れない私に気を使わせない為の彼の気遣い…


「涼子といると優しくなれる俺が俺は好きだ(笑」


「そんなあっちゃんが私も好きだ(笑」



……――――――



あっちゃんの気持ち…



待つ側の気持ち…



わかってたようでわかっていなかった…



『心が折れました』



すごく…



すごく胸が痛んだ。



悲しくて申し訳なくて…



いつも私の事を一番に考えてくれていた彼。



言葉には重みがあった。



そのあっちゃんが出した答え…



軽くない発言。



受け入れるしかないから…



明日は奈緒美の結婚祝い。



私…



笑えるだろうか…



ううん



笑顔でいなくちゃ。



でも…



今夜だけは泣かせてね…

No.370


「…では、坂木正人さんと大野奈緒美さんのご結婚を祝して~~乾杯っ!!」



「「「乾杯!!」」」



パチパチパチパチ~~…



とても幸せそうな二人に、私も自然に笑みが溢れた。


声をかけた者同士が他に声をかけたり、奈緒美を祝福したい社員や関係者が集った。


坂木さん側は奈緒美もよく知るという坂木さんの友達と会社の同僚数人。



その中に…彼もいた。



開始直前に来た彼は周りに会釈しながら後方の席に座った。


私は奈緒美達のすぐ横に座っていた。



長いテーブルの端と端。



絡んだ視線は一瞬で
即座に外したあっちゃん。



ズキ…



やはり悲しかった。



「坂木さん、奈緒美さんに脅されたんすか?(笑」


社員の一人が冗談を言っていた。


「誰が脅すんじゃー!」


「あはは!
確かに奈緒美は怒ると怖いけど、二人の時は甘ったれですよ」


「ちょ!!!」


真っ赤な顔をした奈緒美を周りが冷やかし、それに奈緒美は吠えていた(笑)


二人を中心に和やかな雰囲気で、私はお酒が進んだ。



でも飲むほどに…
何度と彼に向く視線。


変わらない笑顔で周りと話す彼を見たらなぜだか悲しくて…


勿論、周りに気づかれないように悲しさは隠す。


また視線を向けると、
彼がこちらに向かってきた。


焦った私は気づかないふりで隣と話す。



「坂木、奈緒美さん
おめでとう」


二人に酌しながら談笑を始めた。


勘違いした自分に苦笑。



「涼子~」


何も知らない奈緒美は気を回したのか私を呼んでいる。


気まずくて嫌だったけど、場を考え酒の勢いも借りて私は明るく振る舞った。



「金井さん
飲んでますかぁ?」


「うん飲んでるよ

でも深山さんはちょっとハイペース過ぎだなぁ

そんな飲み方じゃ潰れちゃうよ」


(…え?)


「金井さん!
涼子は強いから全然問題なし!(もし酔ったら襲っていいよ?ボソ)あはは!」


苦笑する彼。



始まってから酌し酌され、どんどん飲んでた私。



あっちゃん…



見てくれてたの…?



「体の事も考えて、これは30分かけて飲む事(笑)
はいどうぞ」



空のグラスに注がれてゆくあっちゃんの気遣い。




なんでよ…



だめじゃん



そんな優しくしたら…



私…



我慢してるんだから



ほら…



泣いちゃうんだ…



「り、涼子?」



奈緒美が驚く。



「嬉しくて…
奈緒美が幸せなのが、私はめちゃめちゃ嬉しいの!」




ごめん…奈緒美。





伝えられない想いが




悲しくて…




ほんとごめん




今はこうさせて




誤魔化す私を許して…

No.371


和気あいあいと楽しい時間が過ぎていく中…


「坂木さ~ん!

誓いのキスなんてどうですかぁ?

永遠の愛を君に捧ぐとか…

きゃあ素敵~!!」


突然、綾香が大きな声で言い出した。


「ばばば、ば、馬鹿じゃないの!

あんたっていつも急に訳わかんない事言うんだから!

ま、全くもう…やめてよね(汗」


動揺する奈緒美の姿が可愛かった。


「それいい!」

「いいね~」

「みんなの前で誓ってもらいましょう!」

「ヒュ~」


綾香に賛同する声が響き、立ち上がった坂木さんが奈緒美に手を差し出す。


「もー…綾香の馬鹿っっ!(汗」


二人は向かい合い、赤い顔した奈緒美の両手を坂木さんが握る。


「奈緒美が側にいてくれだけで俺は幸せです

一生の愛と奈緒美と◯◯を幸せにする事を誓います」


「あ…あたしも…」



永遠の愛を誓う幸せいっぱいのキス…



……パチ


パチパチパチパチ!!



「「おめでとう!!」」



「あ~恥ずかしい!」



そう言った奈緒美の瞳からは、うっすらと光るモノが見えた。


その幸せそうな顔を見てると胸がいっぱいになり今度は本当に嬉し涙が流れた。



良かったね…奈緒美。



絶対幸せになるんだよ。



祝いの宴も終盤に近づいた頃、綾香が二次会の参加者を集い出した。


奈緒美達は娘が部活の合宿から戻る前に帰宅したいとの理由で不参加。


周りに執拗に誘われていたあっちゃんは参加するようだった。


私は適当な理由で二次会は不参加にして、奈緒美達が帰ったあと、私もみんなにお礼を言い帰る事にした。


出口近くに座っていたあっちゃんと目が合い、軽く会釈してその場を後にした。



―――――――――


――――――



帰りはタクシーを利用するつもりだったが、最寄りの駅まで歩く事にした。


日中は暑くてジメッとした空気だったが、夜は火照った顔を冷やしてくれる涼しい風が吹いていた。



空を見上げ…



拳を掲げてみた。



今この瞬間から私の新しい人生が始まるんだから…


全てがリセット。


何も悲しい事なんかない。



鼻歌でも歌おうか。



そんな自分が可笑しくて、ちょっとよろつく足取りで夜道を歩いた。



もう泣きたくない。



絶対に泣かない。



自作の妙なハミングで
自分を誤魔化す。


「喉渇いたぁ」


自販機の前に立ち止まって財布の小銭を探る。



――ジャラジャラ



「もう…」


散乱した小銭。


地べたに座り、冷たいコンクリートに両手をついた。


「……もう」


泣かないと決めたばかりなのに…



次から次と溢れ出す涙。



「お飲み物は何がご希望ですか?」



その声に振り替えると…




彼がいた。

No.372



「…あっちゃん」



しゃがんで小銭を拾い出す彼。



「そんなフラフラになるまで飲んだら駄目じゃないか

危ないだろ」



そう言ってあっちゃんは、手のひらに小銭をのせる。



私は慌てて財布にしまい、自販機に手をつき立ち上がろうとしたらよろけて彼に支えられた。



やだよ…



酔っ払い女が地べたに座り込んで泣いてる。



見ないで…



こんな姿恥ずかしくて…
ミジメだった。



彼の腕を振り払う。



「ごめん…

大丈夫だから…


じゃ…ね」



フラつかないように足元に意識を集中させて歩く。



「涼子」



後ろの声に振り向かず
真っ直ぐ歩いた。



「涼子!」



彼が私の腕を掴んだ。



「…なに?」



なんでだろう…



「離して

もう終わったのに…

こんなのあっちゃんらしくないよ」



素直になれなくて…



「確かめたいんだ」



意地を張ってないと



また泣いちゃうから…



「確かめるって何を?

私があっちゃんに甘え過ぎてたんだよ

一年も…

そして最後あなたを傷つけた

嫌な女だね…私」



彼はなんだか哀しそうな顔をして話し出した。



「離婚したとメールをもらった時

既に一ヶ月経過していたのに、何故涼子が言えなかったのかずっと考えてた

整理できてない事があったからなのか…

それとも…

俺が必要でなくなったのか…」


「それは…」


「最後まで聞いて

もしそうだったら、涼子の性格からして俺に悪くて言い出せない

だけど無視もできないから、あの日の夜に紛れてメールした

そう思ったんだ

どんな結果であろうとも、自分で決めた道は後悔せず信じて進んで欲しいと言ったのは俺だ…

だから敢えてあんなメールをした

だが、今日…

何も食わずに飲んでばかりの涼子の姿は、とても幸せそうには見えない


…なぜだ?


俺の勘違いなのか?」




そうだった…



これが彼なのに…



気遣い…



いつも私の事を考えてくれてたのに…



あのメールも私に負担をかけない為だったんだ…



なのに私は…



自分の思いだけで連絡せずに、この状況にいじけて…




最低だ。




申し訳なくて…



今にも溢れだしそうな涙を我慢して肩が震える。



「涼子ごめん

本当は俺……俺は…」


「あ…」



後ろから、ぎゅっと強く抱きしめられた。



「押し付けでも…


今言わないともう言えないような気がするから…


涼子…俺は…



ずっと愛してる」

No.373


――ある土曜日の午後。



「ごめーん!

事故でめちゃめちゃ渋滞してて…ハァハァ」


「涼子、走ったらまた転ぶよ(笑」



優しく微笑むあっちゃんがそこにいた。



「もう大人ですから転びません!!」


「そうだっけ?(笑」


「あんまり時間ないのにごめんね

あっちゃん何にする?」


「俺パスタはナポリタンって決まってますから~」


「あっちゃんこそ子供みたいじゃーん」


彼の仕事の合間にパスタの美味しい店で待ち合わせた私達。


お昼時を過ぎた店内は空いていて、注文を済ませてから水を一口飲んでやっと落ち着いた。



「あっちゃん、最近忙しそうだけど体は大丈夫?

ちゃんとご飯食べてる?」


「大丈夫!
俺は丈夫だからさ(笑」


「そっか~
でも無理はしないでね」


「それよりも涼子
誕生日おめでとう」


そう、この日は私の誕生日だった。


「また歳をとってしまったぁぁ」


夜は子供達がお祝いしてくれる事になっていて会えないから、彼が昼間時間を取ってくれた。


「俺…よくわかんなくて…
めちゃ悩んだんだけど…」


「え~?」


「…これ」



可愛い小さなビニールの包みを差し出した。



「これは…?」


「開けてみて」



テープを外し取り出した。



プラスチック製の黒いリング…


しかも値札がついた状態
(汗)


630円(汗(汗)



以前、指輪は自分で買った事がないと言ってはいたものの…


正直一瞬リアクションに困った。



だけど
その気持ちは嬉しい。



「ありがとう」



私は笑顔でお礼を言った。



「涼子…

チッて思ったね?」


「えーーっ!
思ってない思ってない!」


「わかりやすっ」


「本当だってばー(汗

贈り物は値段じゃなく
気持ちだよ!気持ち!!

その気持ちが嬉しいの」


「あぁ…言われれば言われるほど情けない俺…

マジでわかんなくてさぁ

本当に困ったんだ」


「い、いや…だからその…
そうじゃなくて…」


『え?』と、一瞬でも顔に出てしまい猛烈に焦る私。



「はい」


「へ?」



それは四角くて赤のリボンがかかった小さな箱。



「あっちゃん?」


「余興があった方が盛り上がるかと思って(笑)

開けてみて」



中には、花びらをモチーフにキラキラ輝くプラチナのリング。


「やだ…あっちゃん
もぅぅ…」



右の薬指にはめてくれた彼。



「誕生日おめでとう

涼子、これからも無理せず焦らずでいこう」


「うん…うん

ありがとうあっちゃん」



なんだかくすぐったさを感じる薬指。



あっちゃんの笑顔と重ね、何度も見ては顔がほころんでしまう。



幸せな気持ちが広がっていった。

No.374



「あはははは!

しっかし馬鹿だねぇ

あんたもさぁ飲み屋の姉ちゃんにちょっかい出してないで、いい加減真面目な恋愛しなさい?

私を見習って~あはは!

うん、うんうん

わかった~
子供らに言っとくよ

明日は私行かないけどよろしくね

あいよ~じゃあね」



別れた夫、和也との電話。



彼との付き合いも話してて知っている。



お互いの恋愛事情が話せるほど、別れてからは本当にいい関係になっていた。



子供達と月に一度のペースで食事をする父子関係が定着し、たまに私も顔を出す事がある。



「お母さ~ん
替えのボディソープとってー」


「はいは~い
ちょいお待ち~」



子供らは彼の存在は知らない。



多感期の怜奈にとって、
母親の恋愛に嫌悪感を抱く事を懸念して。



その彼と会うのは月に一度あるかないかだけれど、お互いそれで納得している。



無理な事を求めすぎない。


会う時間の長さではない。


お互いを必要とし、お互いを尊重しあえる仲でいよう。


そんな彼の寛大な心に包まれながら、二人の気持ちは強く繋がっている。



お互いの子供が独立したら、残りの余生は二人で細々暮らそうか(笑)



そんな老後の目標(笑)



「ただいま~

今日外回りだったから
超汗かいて気持ち悪ーい

先にシャワー浴びる~

あー怜奈入ってるのかぁ」


「おかえり

もう10月になるってのに、まだまだ暑いもんね

乱入しちゃえば?(笑」


「うん!そうする(笑」



私の前で躊躇なく脱ぎ出す恵美(苦笑)



「あ~お姉ちゃーん!
怜奈が使ってたのにいぃ」


「すぐ終わるから~」


「も~~~!」


「わっ!停電?!」



浴室の電気を消して笑いを堪える私。



「「お母さん!!」」


「あんた達うるさいよ?

あーおかしい(笑)」



昔母から、女三人寄ればかしましいと聞いた事があったけれど、まさにその通りで毎日が賑やかだった。



時には喧嘩もするけれど、すぐに仲直り。



そんな子供達とじゃれあい笑顔に癒されて、穏やかに過ぎていく日々に私の心は満たされていた。

No.375



過去の自分。



疑う心は底無し沼で…



そこに沈むと這い上がれず泥々とした暗闇の中でもがき苦しんだ。



数本垂れてる糸のうち、
私には一本の糸しか見えず必死にしがみつくも、ことごとくその糸は切れた。



もがけばもがくほど苦しくて、また垂れてきた同じ糸に手を伸ばす。



その糸だけを信じ泣きながら掴むも幾度となく裏切られ、堕ちゆく沼に溺れていった…




――――――――……




流した涙は数知れず。



けれど…



泣いた数だけ強くなり
泣いた数だけ成長できた。



ただ、信じればいい。



それは決して、見て見ぬふりや自分を誤魔化す事ではない。



妻だから、彼女だからと、当然の権利のように相手の全てに踏み入っていいはずなどないのだから。



もしかしたらそうする事によって、相手が拒否反応を示しそこから疑惑が生まれたら…



再び底無し沼に足を取られてしまう。



相手に執着し、自分自身を縛りつける愚かな私はもういない。



相手を思いやり尊重して、信じる心が大事なのだ。



もう過去の自分に苦しんだり泣いたりはしない。



今の私に幸せを与えてくれる大切な人達を否定したくはないから…



それよりも今
大きな声で言いたい!



子供達の笑顔


彼の優しさ


心から笑える自分



私………



とっても幸せです!!



と。



この先も色んな事があると思う。



けれど、ひとつひとつ乗り越えていこう。



悪い事ばかりじゃない。



泣いた数だけ幸せになれるんだ…



神様はきっと見てるから。




~♪♪♪



―――


涼子見て見て!


今日行った現場脇の雑草の中で見つけちゃったよ😆


幸せのお裾分けしちゃおう(笑)


一緒に幸せになろうな👍


涼子今日も愛してる😜


―――END



添付ファイルを開くと…



あっちゃんの手のひらに
一枚の四つ葉クローバー🍀



「クスッ



ありがとうあっちゃん



私も愛してます」




未来は…



キラキラと輝いている。





―――――完―――――

No.376



読者の皆様へ🍀


『重い女』
今日完結を迎える事ができました。


半年以上お付きあい頂き、読んで頂いた全ての皆様に心から感謝致します。


ありがとうございました
m(__)m


今ここが会社でなければ、だぁー泣きしそうなくらい感極まるものがあります😫


この小説を書いてる間に、転職や手術等色んな事がありました。


更新がなかなかできなかったり、すぐ凹んだりで迷惑かけましたが、皆様のあたたかい言葉に支えられて書き切る事ができました。


本当に感謝感謝です😫💦


終わってみると
めちゃめちゃ寂しい…


あーだめだめ
ここは会社だった😱💦


あっちゃんとは今も仲良くしています😉


会うのは月に一度あるかないかですが、毎日のメールやたまに電話で話したり、大人な?付き合いです(笑)


今は怜奈と二人暮らしなので寂しい思いはさせたくなく、それは彼もわかってくれてます。


あっ‼

実は皆さん💦💦


この小説あっちゃんも読んでます(笑)💦


こうやって文字で見ると俺っていい奴だなって言ってました(笑)


彼と離れていた一年の間に起きてた出来事を、ここで新たにじっくりわかったから良かったかも~と言ってましたが💦💦


話がそれてすみません😱


全ての皆様に感謝して
全ての皆様の幸せを願っています💕


最後までお付きあい頂き
ありがとうございました✨


また会う日まで…🍀✨✨



🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀🍀


✨きら✨

No.377



皆様こんばんは🍀


ここで自分の半生を書き始めた時、読んでくれてる人いるのかな…と最初はドキドキでした。


書き綴っていくうち応援して頂いてる多くの皆様に励まされて無事に完結を迎える事ができました。


本当にありがたく
心から感謝しております
m(__)m✨


ありがとうございました🍀


突然ですが…


私から重大発表?をさせて頂きたく✏しました💦💦


この小説を違う場所で投稿してみようかと思っております。


生まれて初めて書いた自伝。


もし…


これを読んで何かを感じて頂ける事ができるのであれば、もっと多くの方に読んで頂きたい欲にかられてしまいました😱💦💦


この実話を元に、多少の加筆、訂正、そしてアレンジを加えて小説として投稿してみようと思い立った次第です。


サイト名や投稿の時期等は申しあげられませんが、どこかで私を見かけた時は、どうぞ温かく遠い目で見守ってやって下さい😱💦


投稿の範囲が広がり、もしかしたら当事者の目にもつくかもしれませんね(笑)


それはそれで全然🆗です😜


それよりも私の異常なまでの執着と、またあっちゃんの事で誹謗中傷の嵐で凹むかもしれません⤵⤵


おこがましいですが、同じ苦しみに立つ方々にほんの少しでも何かを感じて頂ける事ができたらと思い奮い起った次第です。


独りよがりかもしれませんが😱⤵⤵


登場人物の名称や年齢等、その他アレンジする予定ですが、見かけてあれ?と思った方は私ですので宜しくお願いします(笑)


読んで頂いた皆様、本当に今までありがとうございました💕


心より皆様の幸せを願ってます🍀🍀🍀


ありがとうございました✨

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