重い女
当時は地獄だった…
今はその当時を思い出しても、怒りや憎しみ、それと負の感情は沸かなくなった
裏切られ続けた馬鹿な女の90%実話です。
駄文ではありますが良かったら読んで下さい。
どんな事でもコメント頂けるとありがたいです。
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眠剤をちょっと多目に飲んだだけ。
命に別状がないですって。
当たり前じゃん。
眠りたかっただけなのに。
そんな大袈裟にしないで。
本当に眠りたいだけ。
ふわふわ気持ち良くて
もうすぐ桜が咲くんだね。
今年もお弁当持ってお花見しよう。
あぁ、なんて心地よいの。
…イデ
ん?
…オイデ
なになに?
オイデ…オイデ…
そこは居心地がいいの?
ハヤク…オイデ…
こうでいい?
ギュッと結んだよ。
…アト…イッポ…
あぁ
肌をすり抜ける風が気持ちいい…
もう泣かなくていいんだね。
楽になれるんだね。
…ハヤク
オイデ…
うん…行く。
突然の眩しい光。
大きな声のあと
体が一瞬フワッと浮いた。
なに?!
誰?!
怖い…。
カチカチカチカチ…
うるさい音。
どこかで夫の声がする。
あぁ…眠い。
今度はどこ?
白衣を着たおじさん。
やっぱり夫の声がする。
眠い…
私は大丈夫。
本当にちょっと
眠りたかっただけだから…
!!!!!
あの女が…
あの女が…
絶望の淵にいる私を
せせら笑っている。
「ぎゃああああ!!」
見知らぬ天井。
囲まれた薄いカーテンから日差しを感じる。
私は病院のベッドにいた。
泣いていた。
「お前が…お前が…」
目を真っ赤にさせて両手で私の手を包みこんで泣いていた。
「ここまで…
お前が苦しんでたと
思ってなかった…クッ…」
まだ朦朧とする頭。
「ごめん…
本当にごめん
ごめん……めん」
体を大きく震わせて
声を殺して泣いてる夫。
私の枯れない涙も
次から次へと溢れ出す。
「恵美…
ヒック…ヒック…
怜奈
ウック
私……なんて事…ヒック」
「子供達には何も言ってない
お前は何も悪くない
悪くないんだ…ウッ」
無機質なパイプベッド。
カーテンで仕切られた誰の気配も感じない病室で二人の嗚咽が響いてた。
「私も…
おとーと一緒…
子供達の辛さを考える事が出来なかったんだから…
自分の事しか考えられなくなっていた…」
「…俺が全部悪いんだ」
「そうだね…
おとーが全部悪いの
でも…
私を生かして
お願い…
生かしてよ…ウック…
だから…
ヒック…
もう
別れよう
離婚して…」
「毎日…お前は…
こんな思いしてたんだな…
お前の気持ちを全く考えてなかった
俺……今日…
お前がいなくなる恐怖を初めて知った」
「信じては裏切られての繰り返し…
そのたびに私はボロボロになっていった
私がどんなに叫んでも私の声はおとーに届かなかったの
…声も枯れてしまった
こんな事して
私…
子供達に申し訳ないよ…
もう…いい…
別れよう」
「お前の前でちゃんと言う
本当にそこまでとは思ってなかった
思ってなかったんだ…
ごめん…本当に…本当に」
―――――――――
――――――
「…俺、やっぱり…
家庭が一番大事だから」
2日後の日曜日。
夫と西田が『暮らしてた』事務所に3人でいた。
「…わかりました」
西田由美は冷静な顔で答えた。
「悪かった…」
「悪いのは和也さんだけではないです
奥さんを苦しめてたのは私も一緒なんですから」
西田は立ち上がり
私に体を向け頭を下げた。
「二度と仕事以外で和也さんとは会いません
すみませんでした」
夫は机の上で両手を握り、うつ向いていた。
私は2人を交互に見て、軽く溜め息をついてから言った。
「西田さん」
「はい」
「欲しければ…
あげるよ」
夫は何がなんだかわからないといった顔をしている。
西田は怪訝な表情を浮かべてた。
「いくらこんな事しても意味ないよ
あなた達2人はいつもその場を取り繕うだけ
今にしたってそう
別れるフリをしてるだけ
どうやったらバレないか、ごまかせるかの相談をしても、本当に終わらせようなんてハナッから思ってない」
「何言ってんだ?!
俺は本当に…」
「いい加減にして!
もううんざり…
西田さん」
「…はい」
「主人と一緒になりたいのよね?」
「……」
「お前なに…」
「あんたは黙ってて!」
私の気迫に圧倒されたのか夫は口を閉じた。
「正直に言っていいよ
欲しいんでしょ?」
「……」
夫にチラチラ視線を配り、西田はどう答えていいのか戸惑ってる様子だった。
「答えないと言う事はあなたが言った通り、今後二度と主人には会わないって事なのね?
もう嘘は通用しない
本当に会えないようにするよ?」
「…奥さん
私…
和也さんが好きです
本気です…
許されるのであれば一緒になりたい……です」
「あんたはどうなの?」
急に振られた夫は目を白黒させてる。
「お、俺は…家庭が大事だって言っただろ」
「和也さん!!」
西田が大きな声で叫んだ。
「和也さん言ったよね?!
由美と、ずっ…」
夫の鋭い視線。
西田の口が急に止まる。
「なんだよ…」
低音で怒りを含んだ夫の声。
西田がそれに怯んでる。
「由美は…
和也さんと一緒に…」
信じられない…
これは…
以前の私。
西田もまた、好きが故に従ってしまう女だったのだ。
夫が許せなかった。
「西田さん
私主人と離婚します
今日来たのはその責任について話し合う為であって、主人と別れてもらうつもりではないの」
「おい!」
「あんた…なんなの?
人の痛みがわからず適当な事ばかり言い、自分を守るのに必死
あんたが大事なのは私でも家族でもなく都合よく帰れる家庭なのよ!」
「違う!俺は家庭を壊すつもりなんてないんだ!」
「まだわかってないの?
とっくに壊れてるでしょ?
もういい加減にしてよ!
とにかく自分がした事の責任はとってもらう
あんたは慰謝料と養育費
西田さんにも慰謝料は払ってもらいます」
「ちょっと待てよ」
「もうそれ以外で話す事はないから
西田さん
あなたが主人と続いてようが別れようが慰謝料はきちんと払ってもらいます
わかるよね?」
「はい…わかってます」
「それさえ約束してもらえればいい
だから
こんな男…
欲しければ
ノシつけてあげるよ」
病院から帰宅した時。
テーブルの上に手紙があった。
おかーへ
おはよぅ
おさけのんで、まーた車でねちゃったんでしょ(怒)
怜奈ね目玉やき作ったよ!
おねぇちゃんもおいしいって!イェイ☆
お母さんのもつくったから食べてね
今日算数のテストだょー(泣)
怜奈もがんばるから、おかあさんもお仕事がんばってね☆
いってきまーす!
(目玉やき、一番よくできたのをお母さんのにしたんだょ☆)
丸文字で可愛いイラスト付きの怜奈からの手紙だった。
その脇にラップがかかった一個の目玉焼きがあった。
本当に最低だ…
私は子供達の笑顔を奪うところだったんだ…
自分の愚かさを悔やんだ。
「ック…」
流れる涙は今まで流した涙とは全く違う涙。
私は何をしていたんだろう…
こんなに愛する者が近くにいたのに見えなくなってたなんて…
自分の事で頭が一杯になり愚かな事をし、悲しむ者の気持ちを考える事ができなかったなんて…
私、本当に最低…
「ウック…ごめんね…
おかぁ…
あなた達がいてくれたら
もう何もいらない…」
夫との別れを固めた瞬間だった。
夫は黙っていた。
と言うより、
茫然として立っていた。
「責任の詳細については、きちんと調べて手続きを踏み後日連絡します」
「…本当にすみません」
西田は頭を下げる。
「私は先に帰るから
後は2人で話し合ってよ」
そう言い残し
私は事務所を後にした。
閉鎖的な場所から外に出ると、晴れ渡った青空に春の香りを運ぶそよ風がとても気持ち良かった。
構内の道路脇に直線上で植えられた桜の木はいくつか蕾を膨らませ薄く色付いている。
草木は萌え、眠っていた者達が目覚め出す。
うららかな陽射しを浴びながら自分に言い聞かした。
「うん
大丈夫!
私頑張れる!!」
―――春はすぐそこ。
「やったーーー!!」
「おぉ!すごいすごい!」
足をピョンピョンさせて喜び、私と恵美にハイタッチする怜奈。
3人でボーリングに来て、ストライクを出した怜奈がはしゃいでいた。
「よーし!お姉ちゃんもストライク出す!」
「んっふふ!出来るものならやってみー」
若干ムキになってる恵美と鼻を膨らませて得意気な顔をする怜奈はとても楽しそう。
「あー!あと1本!」
「おっし~!」
今頃夫と西田はどんな話をしているのだろうか…
もう…
そんな事どうでもいい。
こんなに穏やかな気持ちはいつ以来だろう。
こうして子供達と過ごす時間がとても楽しくて癒される。
これでいい。
これがいい。
―――――――――
―――――――
「あたたた…」
「おかぁも歳だね」
ハンドルを切りながら恵美が言う。
「なんだとぉ~」
「ほーんと!怜奈なんか、まだまだできたよ」
調子にのって3ゲーム投げたら腕がパンパンになってしまった。
「明日はもっと痛むね」
「ばーさん扱いするなっ」
「きゃはは!ばーさんだって」
確かに…
明日はもっと痛むかも(泣)
「夕飯食べて帰ろう
何がいい?」
「怜奈ハンバーグ!」
「お姉ちゃんは中華がいいなぁ」
「えー!」
「じゃんけんね~」
怜奈が私の方を見て
「おとーは?まだお仕事終わらないの?」
「あ…う、うん
今日はお父さん抜き~」
「え~かわいそう
じゃあ、おみやげ買ってってあげようよ」
「そうだね…」
「おし!お姉ちゃん
じゃんけん!」
胸が痛んだ。
何に対してだろう…
何も知らない子供達に対して?
それとも…
父親を取り上げようとしてる自分に?
わからない私は窓に映る自分の顔をジッと見つめていた。
怜奈が勝利でハンバーグ屋さんで楽しく夕食を終え、家に着いたら夫の車があった。
「おとー帰って来てるじゃん!」
怜奈が降りて玄関に急いだ。
夫がいると思うだけで
私の精神が乱れる。
ゆっくり大きく深呼吸をしてから玄関に向かった。
「今日ねみんなでボーリング行ってきたんだよ!」
「そっかー怜奈へたくそだからな(笑」
「もー!怜奈ストライク出したもん!」
「お、すごいじゃん!」
「おとーも一緒だったらもっと楽しかったのにー
ね!お母さん!」
「うん、そうだね~」
ソファーに座ってる夫の膝の上に座り今日の事を楽しそうに話す怜奈。
私達夫婦は今までどんなに喧嘩をしていても、それを子供達の前で見せる事は一度もなかった。
喧嘩の最中に子供らの気配を感じると口が止まり自然に接するのがお互い身についている。
だから何も知らない怜奈の前で私も夫もいつもと同じように接していた。
「おとーにハンバーグ買ってきたよ!まだあったかいよ~食べる?」
「食べようかな」
「怜奈出してあげる!」
私と夫の目は合わない。
その不自然さを避けるように
「お母さんお風呂入ってくるから怜奈お願いね~」
「はーい」
こんな時でも身についてしまった悲しい習慣だった。
――――――――
―――――
「無理だからよ」
寝室。
ベッド脇に腰掛け、背中を向けてる私に夫が言った。
「離婚なんて無理だし
する気もないから」
「まだそんな事言う?
どこまで勝手?」
「西田とは別れてきた」
「そんな事聞きたくないし、もうどうでもいい」
「愛想尽かされても当然な事をしてきたと思ってる
お前がそういうのも当たり前だとも思う」
「だったら…」
「怜奈はどうするんだ?
子供達をまた片親にするのか?」
…ズキン
ズキンズキン
「本当…あんたって最低…
ずるい…」
「こうなるまでお前の気持ちに気づけなかった俺が一番悪い
だけど子供らにそれを強制するのは親の勝手だろ…」
「そんな事あんたが言う資格なんかない!!」
「わかってる…ごめん
だけど子供らと…」
「もうやめて!
これ以上話したくない!」
頭まで布団を被った。
「本当にごめん…
離婚は考えてない
気持ちも入れ替えた
これからの俺を見てもらえないか
勝手ばかりだけど
俺にはお前が必要なんだ」
うるさい!うるさい!
耳を強く塞いでも
夫の声が離れてくれない。
ズキン。
『子供達を片親にするのか…
親の勝手で…』
なんなのよ!
なんなのよ!
なん…
なのよ……
ズキンズキン
布団を被り、耳を塞ぎ、体を丸めて何時間も咽び泣いていた。
私が背けていた一番の問題を夫が口にしたのが腹立たしかった。
決して背けてはならない
子供達の気持ち…
だけど決心した私の気持ちがそこで揺らぎ、また後戻りするのが怖かった。
離婚の現実を形としていく中で子供達に伝えるタイミング。
その機会を待つ…
そう思ってた。
恵美も怜奈も父親を好いている。
言えるのだろうか…
言ったらどれだけのショックを与えるのだろう…
それを見て私はどう思うのか…
私には威張っても、恵美に怒られると素直に謝る夫。
中学生になった怜奈は腕を組んだり手を繋いだり未だに父親ベッタリ。
どうしようもない父親で、子供達も嫌っていたらもっと楽に離婚ができるのだろうか…
答えが出ないまま、いつも通りの生活が継続されていく。
どこかで違和感を覚えながらも、家族は続いていた。
「なにこれ?」
「今日本社行ったら俺のメールボックスに入ってた」
開封されてるブルーの封筒。
夫は読むように促す。
西田からの手紙だった。
―――和也さんへ
携帯受けとりました
和也さんと由美のホットライン…
本当に終わりなんだね
由美は最初からわかってた
和也さんが家庭を捨てない事も由美は遊びって事も…
『離婚して』と一度も言った事なかったでしょう?
和也さんに捨てられるのが怖かったから言えなかった
面倒な女だと思われて捨てられるくらいなら遊ばれてもいいから和也さんと一緒にいたかった
由美は本気だったの
本当に和也さんが好きだったの
和也さん…
由美は別れたくない
別れるなんてできない!
全部和也さんの言う通りにする!
離婚してなんて言わない
お金だって由美が出す
やりたい時にだけ呼び出されてもいい
他の女の子と遊んでもいい
どんな扱いをしてもいいの
和也さんの側にいさせて下さい
お願い…
由美を捨てないで…
それすらも叶わないのならせめて由美の気持ちが落ちつくまでもう少しだけ一緒にいて下さい
由美が和也さんを離していくから…
最後の由美のわがまま聞いて下さい
お願いします
和也さん…愛してる
――――由美より
「………」
言葉にならなかった。
西田は…
都合のいい女に成り下がってしまったのだ。
「あんたはこれ読んでどう思った?」
「悪い事したと思ってるけど、もう終わった事だし放っておくよ」
「人をここまでの気持ちにさせといて自分は家庭が大事だから切り捨てる
最低だよね?」
「………」
「面倒くさいと思ってるだけで、彼女の気持ちなんか考えてないでしょ?」
「お前の気持ちは考えるけどあいつの事は考える必要ないだろ」
「自分はどこも痛くないからそんな事言えるのよ
人の痛みを考えられないから平気で裏切る事ができるのよあんたって人は!」
「俺にどうしろって言うんだよ」
「私彼女の事嫌いだよ
だけどそんな嫌いな相手でも傷つく気持ちや痛みが私にはわかる
手紙を見せて今は何もない事をアピールしてるようなあんたに人の痛みはわからないのよ!」
「わかってるから俺はこれ以上何も言わないつもりでいるんだよ
中途半端な事言っても相手を諦められなくするだけだから」
「もっと人の気持ちを大事に考えなよ
私の事もどれだけ傷つけたか、あんた自身で気がつかないと同じ事を繰り返すだけで、そんなのもううんざりだから」
「わかってる…」
私はイライラしていた。
都合のいい女に成り下がった西田にではなく夫に対してだ。
あまりにも人の気持ちを軽く考えてるのが許せなく、ずるくてだらしない男に見えてしょうがなかった。
夫は気持ちを入れ替え家庭に戻り、離婚の危機を回避して平和な家庭が戻ってきた。
私が望んでた事。
私が望んでた事?
私が…?
この時すでに歯車は狂い始めていたのだ。
ある事を除いてはしばらくは何もなく平穏な日々が続いていた。
ある事とは、夫に届く西田からの毎日のメール。
―――
今夜も眠れません
和也さんに会いたい
会いたいよぉ😢
―――
愛してるって言ったくせに!
待ってろって言ったくせに!
由美は何年でも待つからね!
途中で逃げないでよね!
―――
由美は和也さんがいないと生きていけない…
ほんの少しでいいから和也さんの愛情を由美に下さい😢
―――
今夜も眠れない…
奥さんが羨ましい
無条件で和也さんといられる奥さんが羨ましいよ
由美は和也さんと別れたら何も残らない
そんなの辛いよ…
悲しいよ…
情緒不安定になってるのが伺い知れる一方通行のメール。
夫は彼女にどれだけの嘘を言ってたのか…
そして私にも…
憎むべき相手だが彼女の辛さが痛いほどわかり哀れに思う。
だが、彼女に苦しめられたのも事実。
哀れむ気持ちと自業自得と思う気持ちが交差しつつ読んでた彼女からのメールが急に止まった。
あれだけ毎日送られてきたメールが数週間経っても届く事はなかった。
「深山さん…?
深山さんですよね?!」
某大手ドラッグストアの駐車場で突然声をかけられた。
笑顔で立っているスーツ姿の男性。
(なんかこの人見覚えがある…
えーと…んーと)
「金井ですが…
あはは(笑
忘れられちゃったかな」
私は頭をフル回転させた。
「えっと…」
「以前、坂木と一緒に居酒屋に行った者ですが…」
「あーーー!!」
回りの人が振り向く程大きな声が出てしまい恥ずかしかった。
「良かったー
間違えたかとちょっと焦っちゃいました」
「すみません
あの時はご馳走になっておきながら本当にすみません(汗」
「いえいえ
思い出して頂いて良かったです(笑」
前に奈緒美の彼氏、坂木さんを紹介された時に一緒に来た男性だった。
金井 淳史 39歳
坂木さんと同じ営業をしていて、確か怜奈と同じ歳の娘がいると言ってたのを覚えている。
あの時は主に、奈緒美と坂木さんの話題が中心で、飲みすぎた私は先に帰った。
後から奈緒美に金井さんがご馳走してくれたと聞き、坂木さんにお礼を言っておいてもらうように奈緒美に頼んだ。
が、それもスッカリ忘れ、目の前に立たれても気づかず、声をかけられた時に若干怪訝そうな顔をしてしまった私は少々バツが悪かった。
それでも金井さんは気さくに話しかけてくれていたのでちょっと救われた。
「深山さんはこのお近くなんですか?」
「そうなんです
あれ?金井さんも?」
「いえ自分は○○市でさっき娘の父親参観に行って、これから取引先に行くところなんです」
「土曜日もお仕事で、その合間に駆け付けるなんて、とってもいいお父さんですね」
「離れてる分、自分にできる事はしてあげたいので」
「離れてる分?」
「あれ?この前お話しましたよ
けっこう飲まれてたから覚えてないのかな(笑」
金井さんの言う通り
私は全く記憶になかった。
「あはは…あの時は飲みすぎてしまってお恥ずかしい」
「いえいえ自分もいいとこ酔っ払いでしたから(笑」
「今頃ですが本当にご馳走様でした」
私は軽く頭を下げた。
「とんでもない
自分も久しぶりに楽しかったし気にしないで下さい」
「本当にありがとうございました」
「ところで深山さん
頭痛薬は何が効くんですかね?
朝から頭痛がしてここに寄ったんです」
「あ、良かったらこれ飲んでみて下さい」
私は買ったばかりの袋を開け何錠か手渡した。
「いいんですか?!」
「この前のお礼です」
「あはは、ありがとうございます
では遠慮なく頂きます」
「お仕事頑張って下さいね」
「あ、深山さん
今後も坂木共々宜しくお願いします」
と、名刺を渡された。
「私ではお仕事のお役には立てないと思いますが頂戴します」
何て事ない会話でお互い軽く会釈をして、その場を後にした。
まさかこの人が、後に私の人生を大きく変える存在になるとはこの時は思いもしなかった。
不信感を否めない中でも、なんとなく前のような生活に戻っていった。
休日は夫と私と怜奈の3人で出かけ、映画やボーリング買い物等を楽しむ。
怜奈は相変わらず父親にベッタリで手を繋いで歩いている。
楽しそうな怜奈の顔を見てると、これで良かったのだと自分を納得させた。
どこも出掛けない休日はレンタルDVDを観たりゲームをしたり家族としての時間が穏やかに過ぎていく。
ソファーで無防備に口を開けてうたた寝する夫の顔を見てると、なんだか憎めなかった。
タオルケットをかけた時、私のケータイが鳴り奈緒美からだった。
「休みの日に珍しいね
どうしたの?」
「昨日さ彼と金井さんの3人で飲んだんだけど、あんたこの前金井さんに偶然会ったって言ってたじゃん?」
「うん」
「薬あげたじゃん?」
「うん。頭痛って言ってたから、ちょうど私も買ったとこだったからご馳走になったお礼を兼ねてね」
「金井さん何錠飲んでいいかわかんなくて、もらったの全部飲んだんだってさ(笑」
「えー?!マジで?」
「その後心臓がバクバクして大変だったらしい」
「渡すだけ渡して私すっかり言うの忘れてた…
悪い事しちゃったな(汗」
「それで彼と大爆笑しちゃってさ」
「でも多くて2錠くらいってわかりそうな…」
「元々普段から薬飲まない人らしくて、その頭痛も結局は風邪からきてたらしいよ」
「そうだったんだぁ」
「男の独り暮らしできつかったらしいわ」
「あれ?金井さんて娘さんいたよね?奥さんは??」
「あんたあの時相当酔ってたから覚えてないのねー」
あ…
そういえばこの前ドラッグストアで金井さんに会った時も同じような事言ってたのを思い出した。
「彼、去年離婚して×1なんだよ」
『離れてる分、自分ができる事はー…』
なるほど…
だからああ言ってたのか。
事情はわからないが仕事の途中で父親参観に行く金井さんを、純粋にいい父親だなぁと感じた。
その後、奈緒美ののろけ話に30分付き合わされたのである(苦笑
「怜奈~夕飯なんにしよっかぁ」
「何でもいいよ~」
「じゃあ今夜はオムライスでも作るかな」
「怜奈オムライス好き!」
「俺も好き~」
目を瞑りながら手を挙げてる夫。
怜奈と目を合わせ笑った。
「よし!決定~!」
西田からメールがなくなったのは単純に諦めたと思うようにしよう。
実際会ってる気配は全くなくなったのだから…
毎日の西田メールに見兼ねた夫がきっと電話で何か言い彼女を諦めさせて完全に終わらせたと思おう。
色々考えてしまうと許せない事は山程あるけど、こんな穏やかな日々がずっと続いてる。
やっぱり家族っていい。
「ねぇ、おとー」
「ん?」
「今まで色んな事あったよね」
「…ごめん」
「ううん。彼女の事だけではなくてだよ?」
「揉め事の大半は俺の浮気だったし」
「くすくす
わかってるじゃん」
ベットの中で2人で天井を見ながら話してた。
「空き巣に入られて大騒ぎした事や、恵美がプチ家出した時も大騒ぎしたね」
「そうだったなぁ」
「怜奈が自転車で車にぶつかった時は心臓が止まるかと思った」
「俺も仕事放り出して病院に駆け込んだ」
「怜奈はピンピンしてたけどおとーは血相変えて病院に飛んできたっけ」
「お前がパニックで何言ってるかわかんないし、車にひかれたなんて言うからだろ」
「あはは、確かに(苦笑
おとーが事故おこして90日免停になって、怪我させた相手の入院先に一ヶ月以上毎週日曜日2人で行ったよね」
「あの時お前も一緒に頭下げてくれて、毎日会社の送迎してくれてたんだよな」
「ほーんと!毎日バタバタで忙しかったんだから~」
「ちょっと考えただけでも色々あったんだな」
「ね…それをひとつひとつ夫婦で考えて支えあって乗り越えてきたんだよ」
「本当そうだ…」
「私は家族を失うのが怖くて、おとーがいなくなるような気がしてとにかく必死だったんだよね」
「何やってたんだか…俺」
「さすがに今回は心が折れちゃったけどね~もうズタボロ!」
「本当に悪いと思ってる
ごめん」
「そう思うならもう泣かせるような事しないで?」
「ああ…」
薄暗い中でも夫の神妙な顔が見える。
「本当にごめんな…」
「もう頑張れないんだからね!次は捨ててやる(笑」
「やっぱ…いいな」
「何がぁ?」
「照れ臭くて言えね」
「なにそれ~
でもね、一番大事な物ってあると気づかなかったりする…
私だってワガママや勝手言う時だってある
だけど…一番大事な物は、お互い忘れないようにしようね」
「うん…ありがとな」
「お礼言われる筋合いはありません(笑」
久々に夫とゆっくり穏やかに語っていたら心地よい眠気に包まれ、夫が私の頬を触ってるのがまた心地よく私は久しぶりにぐっすり眠った。
忘れよう…
今までの事を忘れ夫とまた一からやり直そう。
家族ってこんなに温かい。
自分が幸せになる為にも、忘れる努力をしよう。
あれは夢だったのではないかと思える程毎日穏やかな日が続く。
思い出すと胸が苦しくなり涙が出る事もあったが、そんな私を察知すると夫は私を強く抱き締め、
「本当にごめんな」
と、言う。
あぁ…
本当に戻ってきてくれたんだ。
おとーの匂い…
もうどこにも行かないで。
安定剤を飲む回数も減り、夫の胸の中はすごく安心できて私の一番の特効薬だった。
「今年の夏休みの旅行はどこに行こうか?」
夫が言う。
「そうだね~怜奈にも聞かなくちゃね」
「恵美もだぞ?」
「うんうん言っとく(笑」
私の居場所。
心から噛みしめた幸せ。
まさか…
嘘でしょ…?
幸せはほんの一瞬。
数日後
音を立てて崩れ落ちた。
―――
初めまして✋
悩み事ですか?
まずは会って話しませんか?
―――
R子チャンてどんな感じかな✨
俺のアドレス貼り付けます✋
いい仕事しますよ⤴
―――
遠回しな言い方しないで、お互い大人の関係しましょ👍
必ず満足させます✌
―――
とりあえず会いませんか?
会って色々話しましょう😄
―――
どんな体位が好み?
コスプレはどう?
いつでも待ってるよ‼
電話してね
―――
体の関係を持ってからの方が真剣な話を聞けるものですよ😄
気軽に連絡下さい。
~♪♪♪
~♪♪♪
~♪♪♪
次から次と止まないメール。
誰でも良かった。
夫の事を未だ誰にも話してなかった私は、私の事を知らない人物であれば誰でもいいから真剣に話を聞いてもらいたかった。
誰かに話したら少しは楽になれるかもしれない。
第三者はどう思うのか、
私はどうすればいいのか、とにかく知らない誰かに話を聞いてもらいたかった。
私は出会い系サイトに生まれて初めて書き込みをした。
◯◯県に住む主婦です。
どなたか私の話を真剣に聞いて頂けませんか?
そんな方を求めてます。
※体の関係目的はお断りします。
そういうのは一切望んでません。
宜しくお願いします。
R子。
吐き気さえ覚える卑猥な内容が多いメールに自分の愚かさを重ね涙が止まらなかった。
こんなとこで話す相手を求めた私。
登録してから数時間後、
契約解除。
今思えばこの時が一番辛かったように思う。
夫と西田
2人は続いていた。
あってはならない、あるはずのないピンクのケータイ。
探してなんかない。
暗闇に放つ光が私をそこに導いたのだ。
怜奈の部活に持たせるスポーツドリンクが切れてるのに気づき夜コンビニに行った。
自宅の塀にぴったりくっつけるようにして停めてる夫の車。
私の車は自宅駐車場に停めてるので、いつものように夫の車を左手に見て車庫入れをしてた。
車の鼻先が入る頃、夫の車の左後ろの辺りで何かが光ってた。
「?」
車庫入れしてから近寄った。
大袈裟ではなく全身の血の気が引いていくような感覚。
心臓が激しく波打った。
左後輪の上に返したはずのケータイが乗せられていたのだ。
まさか…
嘘でしょ…?
メールの内容は以前より酷くなっていた。
なぜそうなったのか詳細は今でもわからないが都合のいい女になったはずの西田のメールは強気だった。
―――
涼子うざい
気持ち悪い女
そんな女と暮らしてる和也さんはもっと気持ち悪い
―――
あんな性格の悪い女いないよね?
死ぬ気もないのに自殺まがいな事して和也さんにすがって💢
最低な女だよ涼子は
―――
ごめんなさい😢
言い過ぎた…
でも由美の気持ちわかってくれるでしょ?
和也さんは由美だけのモノなんだからね😣
―――
前は由美の前では涼子の電話シカトしたのに最近は涼子涼子って涼子に気を使ってばかり!
ハグしないのも服に匂いがつくからでしょ!
裸になるのも涼子に気を使ってるからでしょ!
和也さんなんか大嫌い!
もう要らない!
―――
やっぱ和也さんがいなくちゃだめ…
和也さんが疲れないようにしなくちゃいけないのに本当にごめんなさい😢
由美から離れないでね…
和也さんを愛してる💓
―――
由美…和也さんの赤ちゃんがほしい…
由美は和也さんに捨てられたら何も残らない…
愛する人の赤ちゃんがいたらきっと強く生きていける
お願い😣
和也さんの赤ちゃん産ませて…
……………赤ちゃん?
冗談じゃない…
夫は…
夫はなんて答えてる…?
同じ日付の送信メールを
目を見開いて探した。
―――
それは無理
俺は離婚はしない
お前も早く新しい男作って幸せになってほしい
西田が送る10通のメールに対して夫は1通程度の返信しかしてなかった。
後は電話で話しているのか…
次に見た西田のメールには腸が煮えくりかえる思いだった。
―――
明日から避妊なしでやっちゃお💓
できたとしても和也さんには一切迷惑かけないから✋
由美が一人で育てていくから…
その代わり涼子には産まれてから報告する事
それで月に一度でいいから子供と会う日を涼子に承諾させて?
認知してなんて言わない
和也さんとの確かな絆がほしいの…
決まり⤴⤴
後は中出しでヤルだけ(笑)
頑張ろう👍
馬鹿なのか、本気なのか
さっぱりわからなかった。
夫は拒否してるのにどんどん話が膨らんでいる。
夫は距離を保ちつつも
西田と会っていた。
体の関係も続いてる。
西田の強引さと私を批難する内容。
一体なんなの…
なんなのよ…
2人のいい加減さに嫌悪し一度は別れる決心を固めた。
子供の問題で躊躇し不信感を抱きつつも夫との生活は続き、徐々に戻っていく平穏の中でもう一度やり直そうと思った。
この気持ちをまた裏切られるのは前よりも数倍辛く、耐え難かった。
もう嫌だ…
嫌…
誰かにこの苦しい気持ちを打ち明けたい、聞いてもらいたい。
だけど友達にはどうしても話す気になれなかった。
なぜか私はいつも悩みがあるとそれを友達には話せない。
話すとそれを現実として受け入れるのが怖いんだと思う。
だから私を知らない誰かにただ、ただ、苦しい胸の内を聞いてもらいたかった。
出会い系にそれを求めてみたけれど自己嫌悪に陥っただけ。
もう…
本当にやだよ…
「はい!金井です!」
明るい声に戸惑い、声が出なかった。
「もしもし??金井ですがどちら様ですか?」
なぜこの時、私は彼に電話したのだろうか…
出会い系を解除したあと、バッグに入れっぱなしになっていた金井さんの名刺に気づいた。
携帯番号も記されている。
なぜだかわからない。
強いて理由をあげるとしたら…
『いい人』
娘の参観日に行って来たと話したあの時の笑顔が印象的で、彼はきっといい人…そう勝手に思い込んだからかもしれない。
「も、もしもし…」
「はい!」
「あの…突然すみません
深山と申しますが…」
「深山さん…?
深山さんて◯◯建設の深山さんですか?!」
「あ、はい…そうです」
「いやー驚いたなぁ
深山さんから電話がかかってくるとは~どうもどうも!」
「すみません(汗
私ってこんな時間に非常識ですね。本当にすみませんでした」
「あはは!こんな時間と言ってもまだ9時半ですよ!
電話貰えて嬉しいです!
と言うか、何かありましたか?」
私は急に緊張してきた。
なんで私は彼に電話したのか、何を話していいのかわからず耳が熱くなり言葉に詰まった。
「深山さん?」
「すみません…
本当にすみません…」
出会い系やったり突然金井さんに電話したり意味不明な自分の行動に嫌気が差し情けなくて泣けてしまった。
本当にもう…
何もかも嫌だった…
「深山さん
俺で良ければ何か深山さんの役に立てる事ありませんか?
この前の頭痛薬のお礼です(笑」
親しい訳でもない人物から突然の電話。
しかも電話口で泣いてる女なんて普通は敬遠されてもおかしくないのに、彼は詮索はせずに私をさりげなく気遣ってくれている。
彼の言葉が痛いほど胸に染みた。
「金井さん…
聞いてもらっていいですか…」
自分でも驚いた…
私は現在までの事を全て話していた。
夫が部下と不倫関係になり何度も何度も裏切られた事。
私が馬鹿な事をしてしまった事。
今現在も続いていた事。
女が子供を欲しがってる事。
出会い系をした事。
金井さんに電話してしまった事。
そして誰にも言えなかった事。
彼は何も言わず相槌を打ち私の話しにずっと耳を傾けてくれた。
気づくと1時間くらい経っていた。
「ごめんなさい
こんな話してしまって…」
「深山さん
1人で頑張ってたんですね
辛かったですね…」
十分だった。
そう…
私は頑張ってたの!
辛かったの!
今までの私の行動を否定しない、その言葉に救われた気がした。
余計な事を言わず、ただ、黙って聞いてくれた彼に心から感謝した。
「金井さん本当にすみません
聞いてくれただけで心が軽くなりました」
「頑張り過ぎない
それも大事
疲れたら休めばいいんです」
「ありがとうございます
そう言って頂いて…
私、これからも頑張れる気がします」
「1人はきついですよ
俺で良かったらいつでも使って下さい
休憩所で待機してますから(笑」
私は何度もお礼を言い
電話は終了した。
数分後。
―――
俺のアドレスです。ムカついたら、きつくなったら、いつでもサンドバッグでどうぞ(笑)
金井さんからショートメールが届いた。
くす。
ちょっぴり笑った。
本当にありがたかった…
自分に味方ができた。
そんな気持ちになり、
心強く思えた。
私も丁寧に返信。
今思ってもこの時の自分の行動は本当に信じられない。
気持ちがギリギリでまた壊れるのが怖かったようにも思う。
誰かに聞いてほしかった。
聞いてもらうだけで楽になれる気がした。
救われる気がしたから…。
夫の子が外にできる…
怜奈の異母兄弟…?
ありえない。
そんなのありえないよ!
西田が夫の子を産むなんて想像しただけで激しい目眩を覚える。
どんな裏切りをされても
それだけは絶対に許せない。
そんな事したら…
私だけではなく
子供達も裏切る事になる。
自分の知らないところで
兄弟が存在する事実。
そんなの許されるはずがない。
それに…
子供なんかできたら西田の思うツボ。
迷惑かけないなんて嘘。
1人で育てるなんて嘘に決まってる。
【子供ができたら大好きな和也さんと一緒になれるかもしれない】
心のどこかに必ずそう思う気持ちがあるはず。
子供を武器に使ってくると私は確信していた。
幸いと言ったらおかしいが夫はそれを完全に拒否している。
他の送信メールを見ても西田に、早く違う相手を探すように促している内容のものが多かった。
ここでふと疑問に思った。
じゃあ…
なぜ会ってるのだろう?
体の関係も続いてる。
西田の強気な態度はなぜなのか。
いくら考えてもわからない2人の現在の関係。
もう少し時間を置こう…
今言ってもまた前と同じくとぼけるか2人で口裏を合わせるかで話しにならないように思えた。
だから様子をみる。
それに…
まだショックの中にいる私は、十分に戦えるほどの気力が備わっていなかった。
金井さんは毎日メールをくれた。
1日一回だけのやり取り。
金井さんのメールに私が返信して、そのメールにまた金井さんが返事をくれる。
その日のメールはそれで終了。
内容は面白い物を見ただとか、お昼ご飯の定食が激旨だったとか他愛のない事。
金井さんのさりげない優しさを感じさせるそのメールは私の癒しになっていた。
私からの返信は一度だけ
1日一度のやり取り。
それがすごく良かった。
メル友のような金井さんとの不思議な関係は私の気持ちを落ちつかせてくれていた。
それはきっと…
逃げ道。
辛くなったら聞いてもらえる相手がいると思うだけで私の精神の安定が図られていた。
だけど…
漠然とこれ以上関わってはいけないと思う自分もいて、それが二度目の返信ができない理由だったように思う。
金井さんは、それに対して何か言ってくる事はせず、しつこくメールをしてくる事もない。
ちょっぴり秘密のメル友の関係は、毎日私の楽しみになっていった。
ある日の夜9時。
私はコンビニの駐車場にいた。
右斜め方向に見える門から一時も目を離さずじっと見つめていた。
今夜夫は西田と会う。
そう直感した。
7時頃電話してきた夫。
「今日は本社だったから、久しぶりに中井や会社の連中と飲みに行ってくるよ」
自宅から本社まで車で約20分。
早く帰宅した恵美に後の事を頼み、私は急いで本社の近くにあるコンビニに向かった。
本社に夫の車がまだあるのを確認し、その車が出てくるのを待った。
もう言い逃れはさせない。
現場を抑えて『西田』に言ってやる。
今の私の怒りの矛先は夫ではなく西田だった。
蔑む目に笑みを浮かべながら彼女に言ってやるのだ。
【離婚しないと言ってる男に都合よく遊ばれて可哀想な人】
【主人は私が必要だと言ってるの。いい加減気づいたら?】
【あんたはただの都合良く遊ばれる男のはけ口でしかないんだよ!】
【惨めな女、いつまでもやってなよ。あんたにはそれがお似合いなんだからさ】
…と。
私の心は醜かった。
だけど言ってやりたい衝動をどうしても抑える事ができない。
私は散々あの女に苦しめられ馬鹿にされてきた。
夫をいくら責めてもこの感情はきっと満たされる事はない。
勝ちたい…
勝ち誇って言ってやりたい。
それで私の気が収まるかはわからない。
だけどずっと馬鹿にされ続けた私の心は醜く歪み、西田に対して憎悪の感情のみが剥き出しになった。
この時、夫の事は頭になかった。
標的は西田由美だった。
9時半を過ぎた頃、門から白のワンボックスカーが出てきた。
見慣れた夫の車。
コンビニとは反対の方向に走り出す。
やっぱり…。
夫の向かった方向は工業団地が続く道路で、そこを抜けると民家ひとつもなく、おぼろ気な外灯が転々とする山道に差し掛かる。
会社の人達と飲みに行くのなら、私のいるコンビニの前を通り、代行等帰りを考慮して近くにある居酒屋が何軒も密集している所に行くのが自然だ。
西田がどこかで待っている。
確信した私は夫に気づかれず、そして見逃さない程度の距離を保ちながら前を走る夫の車を尾行した。
桜や紅葉の時期に人が賑わう程度で、普段はほとんど閑散としている大きな公園が山間にある。
夫の車はそこに入って行った。
私は少し緊張する。
私の車も入って行ったらバレてしまうのではないか…
入り口から左の方に向かった夫の車を確認して、私は右に入りライトを消した。
驚いたのは、こんな場所なのに何台も車が停まっていた事だった。
これならカモフラージュできると気づかれないように車を近づけると、ちょうどいい所に大型車がエンジンをかけて停まっていた。
地方ナンバーの大型車はフロント部分を覆うようにカーテンがかけられていて仮眠でもしているのだろう。
この大型車が私の車を死角に入れてくれた。
私は夫の車がギリギリ見える後部座席に移動し目を凝らした。
外灯は入り口にしかなく、公園内は真っ暗。
車内のナビの明かりが暗闇の中で2人の顔をくっきり浮かび上がらせていた。
西田の笑っている顔がハッキリ見える。
夫の顔も笑っている…。
ドクン。
やはり2人一緒のところを見ると、心拍数が上がり肩で息をしてしまう。
ドクンドクン。
私は動けず、会話の聞こえない2人をしばらく見つめていた。
さっきまでの勢いはどうしたの?!
言うんじゃなかったの?
今まで散々馬鹿にされてきたんでしょ?
今がチャンスじゃない。
言い放った後、一発横っ面でもひっぱたいてやればいいのよ。
ほら、早く言ってやりな!
頭ではなく心の中でそんな声がする。
夫は上着を脱ぎ
Tシャツ一枚になった。
何を躊躇してるんだろう。
和也の笑顔…?
和也は西田にもう冷めていて、お情けで未だに会ってると思ってとこに、2人で見つめあい微笑む姿が仲睦まじく見えたから?
絶対離婚を口にしない和也が、彼女にそんな冷めたメールしてるの見たら自分は愛されてると思っちゃうよね?
強気な態度に出ようと思ったのは、最初から勝ちが見えてたからじゃないの?
今は怖いんでしょ。
言って和也に自分を否定でもされたらと怖くて動けなくなってるんでしょ。
それってずるくない?
たいしたもんだね
女房ってのは。
まるで和也の白血球。
近づく者を攻撃する。
でも残念ながら抗体はできてないみたいだね。
そのうち和也自身も攻撃して殺してしまうんじゃ?
次は心ではなく頭からそんか声が聞こえてくる。
体はまるで金縛りにあったかのように動かない。
寄り添う2人を引き離したいのに目は釘付けのまま動かない。
2人の唇が重なった。
ドクンドクンドクンドクンドクン…
最初に西田で次に夫。
後部座席に移動してから、回りの目を遮断する為のカーテンが引かれた。
消された光と黒のカーテンで、車内は何も見えなくなった。
私も乗る車で…
子供達も乗る車で…
…狂う。
もう
いい加減に…
いい加減にしろ!!!
金縛りは解けた。
ロックしてなかった運転席のドアになんだか拍子抜けした。
乱暴にカーテンを引く。
2人は当然驚いている。
良かった…
まだ服着てた…
そんな事を最初に思った。
「何してんの?」
目をまん丸くし、大きく開いた口は、まるで化け物でも見るかのような形相で私を見ている2人。
「ねぇ、何してんの?」
夫は唇を小さく動かすが声が出ないといった感じ。
西田が驚いた顔をしたのはほんの一瞬で、今は鋭い目付きで私を見ている。
その挑発的な目に私はキレた。
「あんたさ…」
西田に向かって言った。
「しつこすぎんだよ
他に男できないからね?
そりゃ一度捕まえたら離せないわ
まるで和也の寄生虫」
次は目をキョロキョロさせてる夫に言う。
「あんたは女なら誰でもいいのかよ
あんな不細工で性格の悪い女に本気になるはずないって言ってたの誰だよ!
そんな女に腰振ってる男はどこのどいつなんだよ!
穴があいてりゃ誰でもいいのかよ!」
もう止まらなかった。
罵倒。
悪態。
次から次へと醜い言葉が噴き出す。
「あんたらは盛りのついた犬猫と一緒
やりたきゃ違うとこでやれよ!
金なかったら犬猫みたいに外でやれよ!
最低限のルールってあるだろうが!
何でもありだと思ってんじゃねーよ!
人間には理性があんだよ!
何とも思わないてめぇらは犬畜生以下なんだよ!」
激しく肩で息をし私は続けた。
「どの口が離婚したくないって言ってんの?
そんなに一緒にいたきゃいればいいじゃんよ
誰も止めてないんだから
あんたが離婚したくないって言ったんでしょうが!
欲望を満たさす為なら家族が乗る車でも関係ない馬鹿な男と、そんなんで優越感に浸る頭の悪い女
どっちも低能な人種
そんな2人は
とってもお似合いだよ」
「フン」
西田が鼻で笑い
小馬鹿にした顔つきで
「気が済みましたかぁ?」
と、放った。
「あんた
馬鹿にしてんの?」
「いーえ、別に」
視線を外す事なく私を見ている西田は不敵な面構えをしている。
「さすが図々しい女は違うね
もうちょっと利口になったら?
都合良く遊ばれてる事にいい加減気づけよ」
「別にそんな事どうでもいいし
今日だって会いたいと言ったのは和也さん
うちのは適当に誤魔化すからってね
それでここに奥さん登場
笑えるんですけど」
奥歯がギシッと鳴り体内の血液全てが上に昇ってくような感覚。
怒りで体が震える。
「頭悪いのもここまでくると救えないわ
ここに着いてすぐ始まるようだったし、会いたいは、やりたいって事でしょ
いい歳してまともな恋愛もできず、あんたみたいな女一生結婚もできないね
自分の立場すらわかってない尻軽女がなめた事言ってんじゃねーよ!」
「奥さんは…
欲求不満でしたっけ(笑」
殺意。
…すら覚えた。
存在を忘れていた夫を怒りの眼差しで見る。
夫は頭を抱えるようにしてうつ向いていた。
悔しい…
こんな屈辱はなかった。
浮気する大概の男は女房とはしてないと言うだろう。
だから聞き流せばいいのに私とできなかったあの夜の事が一瞬脳裏に浮かんだ。
沈黙はそれを認める。
私はすぐ続けた。
「どうやらまともに話せる相手ではないみたいね
そんな人にいくら言っても無駄って事がよくわかったわ
あんたを制裁する
離婚しようがしまいが
慰謝料は取れるから
それと社長にも言います」
夫が頭を上げたのが視界に入ったが、何も言わず黙ってた。
西田はまた鼻で笑い言った。
「勘弁して下さいよ~
あ~もしかして夫婦で事前に慰謝料の相談してたり?
だから奥さんここに来たのでは?
和也さんに色々使ったのに奥さんまで私からお金取ろうと思ってんの?
図々しいのはそっちじゃないですかぁ?」
私は絶句した。
「まぁ好きにして下さいよ
払えって言うなら払ってもいいし、社長に言いたければ勝手にどうぞ
では失礼しま~す」
西田は車から降り自分の車に向かった。
「ちょっと…待ちな」
「なんですか?
もう話す事ないんですけど、まだ…グッ」
自分でも驚いた。
西田の腹に思いっきり蹴りを入れていた。
うずくまる西田に私は放った。
「なめた事言うなって言ってんだろうが!
私を甘く見るんじゃねーよ!
…とことん追い詰めるから覚悟しときな」
私は夫の車には戻らずそのまま自分の車に乗った。
自分でも予想できなかった行動は、言い表せない程の憎悪の感情が抑えられなくなり西田を蹴り倒した。
それは…
虚勢だったようにも思う。
何を言っても動じず悪びれず人を馬鹿にし続ける態度が悔しくて悔しくて仕方がなかった。
でも震えてる手。
声は震えていなかっただろうか…
顔はどうだっただろう…
車を出すと西田を支える夫の姿が見えた。
張っていた気が緩む。
同時に涙も流れた。
もう本当にだめだ…
別れた方がいいんだ。
だけど…
別れたら
あの女の勝ちになる。
それは我慢ならない。
この時は夫を愛してるのか西田に負けたくないのか、わからなくなっていた。
でもやっぱ…
夫を取り戻したい気持ちの方が大きかったように思う。
私も西田に負けず劣らず
馬鹿な女だった。
夫は離婚はしないと言い、西田とは終わりにすると言いながら別れない。
また同じ事の繰り返し。
そしてほぼ公認。
西田と会うとは言わないものの、明らかに会ってるのがわかった。
夫は何がしたいのか…
なぜ西田と終わらせる事ができないのか。
なぜ離婚もしたくないと言うのか。
家庭をキープしておきたいだけなのか。
それにしては度の過ぎてる浮気ではないか。
いくら考えても夫の胸中はわからず、私はやりきれない毎日を過ごしていた。
~♪♪♪
―――
おはようございます✨
土曜日だからお休みかな?
今日は俺も休み✌
朝から気合い入れて溜まった洗濯物を洗って干そうとしたらポケットティッシュが入ってたようで最悪です😫
深山さんは仕事に家事と毎日大変なんですからゆっくり休んで下さいね👍
素敵な週末を過ごして下さい🎵
―――END
いつもの金井さんからのメール。
クスッ。
「ティッシュって…」
金井さんには申し訳ないけどちょっと笑ってしまった。
―――
おはようございます🍀
私も今洗濯機回してるとこです✋
ティッシュは朝から災難でしたね(笑)
金井さんも有意義な連休過ごして下さいね⤴⤴
―――END
~♪♪♪
「はやっ」
と、思ったら夫だった。
―――
急きょ社長と○○県の営業所に行く事になった。
1日かかるから向こうで一泊するから今夜飯はいらないよ
―――END
片道3時間かかる営業所にたまに社長と行く事は今まで何度かあったけど今日土曜日だよ?
明日休みなら泊まりなんてありえないんですけど。
昨日は給料日。
何日か前、西田がメールで言ってたのは本当だったんだ。
―――
言ったじゃん✌
由美はどんな事があっても何が起きても和也さんの味方なんだよ?
他を好きになれなんて言うから、この前涼子に意地悪しちゃったんだもん😱
でも本当は、涼子に酷い事言ったけどあれは由美の本心ではなく和也さんを守る為
和也さんが大好きだから、由美は誰がなんと言おうが和也さんの言葉しか信じないから
蹴られてお腹はマジで痛かったけど💢
―――
本当にごめんな
痛かったろ
あいつが悪いわけではなく全部俺が悪いんだよ
自分でも嫌になってくるよ
―――
またそんな事言ってる〰❗
由美は和也さんがいてくれるだけでいいの❗
そりゃ毎日一緒にいたいし和也さんと暮らしたい…
だけど今は無理じゃん⤵
涼子はどうでもいいけど怜奈の事考えて今すぐ離婚できない和也さんの気持ちが由美にはわかるから
だからそれまで待つって何度も言ってるのにすぐ和也さんは由美を切ろうとするんだもん😠
そんな事言ってもムダですよーだ😜
由美はどんな事あっても和也さんから離れないから❤
でも本当に由美を嫌いになったらきちんと言ってね?
和也さんの気持ちは由美にあると思うから我慢もできてるけど、ただのストーカーになりたくないから⤵
―――
ありがとな
俺なんて言っていいのか…
本当にすまない
―――
そんな悪いと思ったら来週給料日だし由美と一晩一緒にいて?
土曜日仕事終わってから、どこか近場でいいから和也さんとゆっくりしたいな💓
温泉なんかいいなぁ
でも涼子がうるさいようだったら無理しなくていいよ😢
―――
泊まりは厳しいかもしれないけどたまに飲みにでも行くか⁉
楽しみにしてるよ😄
―――
由美も楽しみにしてる❤
休憩終わりだぁ😱
午後からもお互い頑張ろうね🎵
―――END
このメールを読む限りでは西田が一方的に言ってるように見える。
文字には見えないが夫が彼女に将来の約束事をしたのもわかる。
だけど夫は子供の事だけではなく私が必要だと言い、離婚はしないと言い通す。
本当に意味がわからなかった。
見慣れた2人のやり取りに怜奈の名前があったのには怒りを覚えた。
あんな女に娘の名前を呼ばれるのが汚らわしく許せなかった。
不思議だったのはいつも読むと胸をえぐられるようなショックな気持ちはなく、あるのは怒りの感情だけだった。
~♪♪♪
金井さんから2度目の返信が届いた。
―――
所詮ヤローの家事なんてこんなもんです(笑)
天気も良いし布団まで干しちゃいました✨
午前中に終わらせて好きなツマミでも作って贅沢に昼酒します🍺
休日の醍醐味✌
寂しい中年と思われてしまうかな💦
また月曜日にメールしますね😄✋
―――END
言った訳ではないけど、金井さんは気を使って日曜日にはメールしてこない。
さりげなく気遣いができる人。
私は返信を押す。
初めてする
二度目の返信だった。
―――――――――
――――――
「何でも好きなのどうぞどうぞ」
「そんなとんでもない!
私が誘ったんですから(汗」
午後1時
私は金井さんと和食屋さんにいた。
―――
ご迷惑でなければお昼でもご一緒しませんか?」
―――END
と、
メールしてしまった。
金井さんがよく利用する美味しい和食屋さんがあると言う事で連れて来てもらった。
夜は酒処になるという店内は、全体的に木目調でテーブル席が3つあり、奥に広い座敷があった。
座敷の一番端の席に案内され、障子の下から見える小さな庭は、砂利が敷かれ笹の葉や鹿威し等が店の雰囲気を作っている。
琴の音色と所々にさりげなく生けられてる様々な花に店員さんの和服姿が私の想像と遥かに違っていた。
和食屋=定食屋と思い込んでいたのだ(苦笑)
「深山さん
帰りは代行で送りますのでちょっと飲みませんか?」
「あ…」
驚いた顔をした私に金井さんは焦ったように言う。
「夕方お子さんも帰宅してこれから家事があるんですよね
勝手言っちゃってすみません
気にしないで下さい(汗)
ここのご飯も美味しいですから(汗(汗」
「乾杯しましょう」
私は笑顔で答えた。
金井さんの意見に賛成だった。
この不思議な空間と雰囲気に私は緊張し、少々のアルコールで緊張をほぐしたいと思ってた時に金井さんがタイミングよく言ってきたので驚いたのだった。
幾つかの料理を注文して、先に届いた瓶ビールをお互いのグラスに注ぐ。
「乾杯」
緊張で喉が渇いていたせいか冷えたビールは喉ごしが良くとても美味しく感じた。
「突然本当にすみません
びっくりですよね」
「確かに驚きましたよ~
深山さんから2通目のメールに(笑」
「えっ、そこですか?!」
「はい!そこです」
2人で顔を見合わせて笑った。
「部屋で侘しく1人で飲むより全然いいですから気にしないで下さい」
笑顔で金井さんが言う。
「お休みの日はいつもされるんですか?昼酒でしたっけ」
「たまーにです。自分の好きなツマミを作って明るい時の酒は贅沢感たっぷりですよ(笑」
そう言って屈託無い笑顔を見せる金井さんと会話が尽きる事がなく色んな事を話した。
金井さんは料理が得意らしく毎日ほぼ自炊してる事。
行きつけの居酒屋があってたまにそこで1人で飲む事。
怜奈と同じ歳の娘さんがいて月に一度2人で食事をする事。
釣りが趣味で魚に詳しい事。
お酒が好きな事。
「私もお酒大好きで、よく晩酌もしちゃいます(笑」
「それは良かったー旨い肴と旨い酒は最高で、今日はそこに素敵な女性も一緒なので格別に旨い!!」
「さすが営業の方はお口が上手ですね~」
「あれ?バレちゃいました?」
「あーひどーい!落とさないで上げたままにしないとお仕事うまくいきませんよ」
「あはは!深山さんも言いますね!冗談抜きで本当に今日は深山さんのお陰で旨い酒が飲めてますよ」
「クスクス。私も久しぶりに楽しく飲めてま~す」
程よくアルコールが回り緊張も解け、冗談を交えながら楽しい会話が続いた。
「金井さんはどちらのご出身なんですか?」
「深山さん」
金井さんの顔付きが真剣になってる。
「は…はい」
まずい事でも聞いたのかと焦り目が泳いでる私。
「敬語はやめましょう!」
「え?」
「仕事ではないんだしこれからは飲み友達という事で堅苦しい敬語はやめて、自分の言葉で話しませんか?」
そう言って金井さんは笑った。
怜奈が部活から戻る前に帰宅しようと代行で5時頃到着。
まだ誰もいない自宅のソファーに腰をおろす。
「ふぅ…」
控えてはいたものの
やはり昼間のお酒は効く。
それに本当に久しぶりに笑いながら楽しくお酒を飲み気持ちも明るくなれた。
バッグからケータイを出しお礼のメールをする。
―――
今日はご馳走さまでした❗
本当楽しくて美味しいお酒だったぁ😆💦
久しぶりに笑った気もします👍
私から誘ったのにご馳走になっちゃって悪いので次は奢らせてね✨
本当にありがとうです⤴
―――END
怜奈にお酒臭いと言われないように歯磨きしてからガムを噛み夕飯の支度に取りかかった。
夕飯を作りながら気づく。
(そういえばおとー
今夜泊まりだったんだ)
初めてだった。
数時間でも夫と西田の事が頭から離れ忘れていたのは…
これには私もちょっと驚いてしまった。
そして思った事。
金井さんに感謝!
「ただいま~!お腹すいたぁ!」
怜奈が帰宅。
「おかえり!夕飯にはまだ早いから、先にお風呂入っておいで~」
「ふぁ~い
おっ!今夜は肉だぁ!」
豚のしょうが焼きを漬けてるボールを覗いて怜奈が喜んでた。
「後はマカロニサラダも作るからね」
「やったぁ!怜奈の好きなのばっかだぁ。お風呂入ってくるー!」
ドタドタしながら浴室に向かい、怜奈がいると一気に賑やかになるのが可笑しかった。
~♪♪♪
―――
俺も楽しかった✌
楽しかった分、いつも以上に独りきりの部屋の寂しさが身に染みるようだよ😢
俺は寝るだけだけど涼子ちゃんは家事があるんだもんね💦
本当に主婦は大変だ😣
無理しないでガンバ❗
また次楽しみにしてる✋
オヤジは一足早く寝ます
(笑)
こっちこそありがとう✨
―――END
涼子ちゃん…?
くすっ
金井さん、けっこう酔ってたからなぁ
―――
いい夢を🎵
おやすみなさい💤
―――END
「さて!マカロニ茹でちゃお」
私は鼻唄を歌いながら
夕飯の準備を再開した。
深夜1時。
私は何度も寝返りを打ち、眠れずにいた。
アルコールが入った後はよく眠れるはずなのに、間をあけすぎたのと軽く頭痛がし逆に眠れなくなってしまった。
それに…
やはり夫と西田の事を想像してしまう。
今頃抱き合って眠ってるのか…
それとも…
大きく寝返りを打つ。
考えたくないのに、2人の絡み合う姿が浮かんでは消え、消えては浮かぶ…
私にはしなくなったキス。
腕枕や抱きしめられる事もなくなった。
SEXなんて論外。
夫の愛情表現は全て西田が独占している。
私には何もしてこない…
本当は妬ましかった。
メールの文面からわかる、西田の女の部分が妬ましくて仕方がなかった。
私だって抱きしめられたい!
キスだってしたい!
エッチだって…
求めてきてよ…
本当はそこだったんだ…
女扱いされない自分が惨めで悔しくて、そこを自分で認めたくなかっただけ。
夫は私を女としてはもう見てない。
『家族』
家族だから大事で
家族だから必要…
女でなくなった私…。
西田に欲求不満と言われて殺意すら覚えたのも、女ではなくなった私を見透かされたようで暴力に訴えてしまった。
認めたくなかったんだ…
私では満たされない部分を夫は西田に求め、それで離れられずにいる。
私はもうとっくに負けてるんだ…
邪魔しているのは西田ではない。
この私…。
布団を被り何時間も泣いた。
―――
なんでこうなったんだろうね…
いつからこうなっちゃったんだろう…
あの時、彼女と買い物に出かけなかったら、今また違ったのかな
ううん
遅かれ早かれ彼女とはこうなってた
きっとね…
私おとーに抱かれたかった
だからあの時ショックだった
彼女とはできるのに
私とはできないんだって…
何年振りだったから出会った頃のように緊張もしたし新鮮だった…
でも駄目だった
あの時、ちゃんと私を抱いてくれてたら本当の意味で夫婦の修復ができたのかな
こうしてれば
ああしてれば
そんな事ばかり考えて…
ねぇ…
私どうしたらいい?
おとー…教えて?
夫婦としての機能を失ってる私とはもう無理でしょ?
おとーから見て私は女ではないんだもん
彼女と終わったとしても、また外に目を向けるでしょ…
私馬鹿だから、ここまでされても嫌いになれない
だから…
おとーから私を捨てて下さい
私が諦められる一番の方法だから
中途半端な優しさは見せないで
私を思うならどんな理不尽な事を言ってもいい
汚ない言葉で罵ってもいい
お願いだから
思いっきり捨てて…
嫌いにさせて…
私を楽にしてよ…
私ばかり嫌な女にさせないで
お願い…
私を捨てて下さい
―――END
午前4時。
夫と西田が抱き合い
眠ってるであろう時間。
―――送信。
プルルルー…
夫は何度かけても出ない。
西田のケータイにもかける。
…留守番サービスセンターにお繋ぎします…
西田は電源を切ってるのかコールしない。
そのうち夫のケータイも充電が切れたのかコールせず留守番に切り替わるようになった。
私は怒りで気が狂いそうだった。
今朝7時半。
夫からメールが届いた。
―――
干からびる前に死ねば?
(笑)
―――END
西田!!
咄嗟にそう思った。
なんで?!
なんで西田が夫のケータイから返信してくるの?!
夫が見せたの?!
そして返信させたの?!
いくら酷い夫でもそんな事は絶対にしないという確信があった。
長年夫婦をやってきたのだから、それくらいわかる。
それに夫は、(笑) など
一度も使った事がない。
西田も夫のケータイの暗証番号を知ってるのか…
訳がわからず怒りで自分を押さえるのに必死だった。
―――――――――
――――――
夫も驚いていた。
「なんだよこれ…」
やはり夫ではなかった。
「西田に電話して」
と言う前に、夫がもうかけていた。
「お前、俺のケータイ勝手に触ったろ」
西田の声は私には聞こえなかったが、夫の表情でなんとなく会話がわかる。
「てめぇ何勝手な事してんだよ!
そういうの俺が大嫌いなの知ってんだろ!
そんな事する女とは思わなかったし、もう会う気もねーから。んじゃ」
あまりにもお粗末な最後に私は呆気にとられていた。
夫は朝方私のメールで一瞬目が覚めたようだった。
寝ぼけ眼でメールを開き、そのまま又眠ったとの事。
恐らく開きっぱなしになってるメールを西田が見て返信したのだろう。
確かに夫は今までに何度もそんな事があり、昔それで浮気がバレた事もある。
だけど…
あのしつこい女が簡単に引き下がるはずはないだろうとも思ってた。
結局この事件で夫が西田と小旅行してた事は消去され私が朝方送ったメールの事もお蔵入りしてしまったのである。
悶々とする日々が続いてた。
夫と西田は『今のところ』別れている。
今まで信じては裏切られての繰り返しだったから脳が学習し、容易に2人を信用してはいけないと指令を出す。
そんな事より西田にメールを読まれた事が私には屈辱だった。
あの女にだけは知られたくなかった夫婦の実情。
浮気男が口にする言葉は信憑性に欠けるが、サレ妻の悲願するようなメールは真実の何ものでもない。
さぞ可笑しかったに違いない。
私とはできなかった事実を知り、優越感に浸って夫の胸に包まれながらほくそ笑んでたに違いない。
ミジメ…
悔しい…
やっぱ
死ぬほど悔しい!
その怒りの矛先は夫に向けるしか他に術がなかった。
「もう終わったんだし
いい加減にしてくれよ」
「終わったからって私の傷はまだ癒てえないんだよ?
苦しくて仕方がないんだよ?なんでもっと気を使ってくれないのよ!」
「だから悪かったって何度も言ってるだろ
最初から離婚するつもりもなかったんだしよ」
夫はいつもそうだった。
浮気してもそれが終わったら全てが許されて無かった事にする。
傷付いた私を包み込んでくれたのは過去に数回のみで、今回はもう終わった事だと主張する。
私だって何ヵ月も何年も懺悔しろなんて言ってる訳ではない。
まだ何日しか経ってなく、傷口は開いたままなのに、それを見ようとしてくれない態度に腹が立つのだ。
「私のメール見させて…」
「俺が見せた訳じゃねぇしあいつが勝手に見たのはお前も知ってるだろ」
「仕事だなんて嘘ついて、女と温泉旅行して人のメールをそんな状態で開いて寝るなんて無神経すぎる!」
「じゃあそんな時間にメールしてくんなよ!実際お前だって西田のメール見てた事あったじゃねえかよ」
「…なによそれ
お互い様とでも言いたいの?!私とあの女を一緒にするわけ?!」
「そうじゃねえって
もう勘弁してくれよ
先に寝るからな」
「ちょっと!」
寝室のドアが閉められた。
行き場のない私の怒りや悔しさは西田に向けられた。
西田の電話番号を引き出してる時にメールが届いた。
―――
こんな時間にごめんね💦
今日仕事でちょっと遠出して今帰り道なんだけど、とても素敵な夜景があったので涼子ちゃんにも見せてあげたくて👍
でもごめん💧
ケータイの画像ではそんなに綺麗に写らなかった😫
何枚も撮って一番良く撮れたのを送ります✨
努力の結果を見てね(笑)
時間気にしなくていいと言ってたからメールしちゃったけど平気かな?
俺は今から帰ります✋
―――END
金井さんだった。
添付されてるファイルを開くと、確かに金井さんの言う通り夜景と言われたら夜景に見える程度の画像だった。
でも…
嬉しかった。
その画像を見てると涙が溢れた。
こんな優しさに私は飢えていたのだ。
金井さんの明るい声が無性に聞きたくなり、私はコンビニの駐車場に向かった。
「あれ~?涼子ちゃん!
こんな時間に電話なんて珍しいね」
金井さんはちょっと驚いてたけど、いつもと変わらない明るい彼の声を聞くとやっぱり泣けてきた。
「涼子ちゃん?」
「金井さん…私…ヒック」
今までの経緯を泣きながら話し、まさに女に電話しようとしてた時に金井さんからメールがきたとこまで一気に喋った。
「涼子ちゃん
電話なんかしちゃ駄目だよ」
金井さんは静かに言った。
私は鼻をすすりながら金井さんの声に耳を傾けた。
「涼子ちゃんの気持ちは痛い程わかる
俺なんかが想像するよりも、もっと辛いと思う
でもね…
道徳がないそういう人間にいくら正論をぶつけても通用しないんだよね
逆にこっちが怒れば怒る程向こうは可笑しくてたまらないもんなんだよ
歪んだ形でしか人の思いや愛情を図れない哀れな人だと思う
そこで涼子ちゃんがまた電話でもしたら、旦那さんと自分の事で喧嘩してる、もしくは涼子ちゃんが苦しんでる
向こうは嬉しくてしょうがないんじゃないかなぁ
俺も聞きかじりだから無責任な事は言えないけど、涼子ちゃんの話を聞く限りでは、その西田さんって人は歪んだ性格の持ち主と思えてならないんだ
よく知りもせず、偉そうな事言ってごめんね」
その通りだと思った。
金井さんの的確なアドバイスとソフトな話し方がまた私の涙を誘った。
「あぁ…ごめんね
涼子ちゃんは涼子ちゃんの考えのままでいいと思うし俺は自分が感じた事を言ったから…うーん」
泣いてるだけの私に金井さんは戸惑っている。
「ううん、金井さん
金井さんの言う通りだと思ったらまた泣けてきちゃって…ごめんね
電話しなくて本当に良かった」
「そっか…俺…
涼子ちゃん泣かせちゃったんだね(笑」
「そうだよ~
責任とってもらいます」
急に無言になる。
「あれ?もしもし?金井さん?」
「俺…
涼子ちゃんの事なら
いつでも責任とるよ」
その声は真剣だった。
「ま、またまた~
そうやってまた私をからかってるんでしょー」
なんだか妙な雰囲気に変わった私はそう言い返すのが精一杯。
やっぱり?バレた?(笑)
次はそう言うはずだから。
でも違った。
金井さんの声は真剣なままだった。
「なんで旦那さんはわからないんだろう…
こんな近くに自分の事をこんなに想ってくれる人がいるのに…
どうして大事にしてやれないのか
俺だったらここまで想ってくれる人を裏切るなんて出来ない
俺が幸せにしてやりたいって本当に思う」
「か、金井さん…?」
「ちょっとは気づいてたでしょ?
俺が涼子ちゃんを
好きだって事」
私は一瞬で体が熱くなり、耳までその熱さが伝わった。
好意を持ってくれてるとは思ってたけど、好きとは違う…何か…
言うならば一緒にいて気の合う飲み仲間の位置付け?
いや、それも違う気がする…
じゃあなんだろう…
言葉が出なくて焦ってたら金井さんが続けた。
「変な事言ってごめんね
ただ俺の気持ちを言っただけで、涼子ちゃんは今まで通りでいてくれたらそれでいいから
変に意識しないでね(笑」
「そんな事言っても…」
「涼子ちゃんが旦那さんやお子さんを愛してるのは十分知ってるのに、つい言いたい衝動に駆られてしまって(汗
俺もまだまだ青いな(笑
つい雰囲気で言ってしまったけど俺は人に強制するのもされるのも嫌いだからさ
言ったからってそんな旦那とさっさと離婚して俺のとこ来いなんて言わないし(笑
だから今まで通りでいてくれないと今度は俺が泣いちゃうよ?」
「あはは…じゃあその時は私が責任とらなきゃだね」
「勿論!男が泣いたら、俺お婿に行けなくなっちゃうじゃん?(笑」
2人で笑った。
「辛い時、苦しい時は1人で悩まず何でも話してよ
最初に言ったけど俺は涼子ちゃんのサンドバッグになるからさ
でもあんまり痛くしないでね」
爆笑。
金井さんの気持ちには正直驚いたが全く嫌ではなく、その後の金井さんのフォローも抜群で、今まで通りの関係を保てると思った。
私の怒りや悔しさは
いつの間にか消えていた。
私はまだドキドキしてた。
この歳になってしかも結婚してるのに告白されるなんて思ってもなかったから。
私はどうなんだろう…?
金井さんの事は確かに好きではある。
毎日のメールやたまに電話で話したり一緒に飲んでても楽しいけれど…
だけどそれは恋愛感情ではない。
金井さんのお陰で私の精神が保ててる事もたくさんあった。
それって金井さんを利用してるだけでは…?
自分が辛い時泣きつけて、悲しい時に助けてもらう…
今まではそれでも良かったのかもしれないけど、金井さんの気持ちを知った以上私が彼に頼るのはいけないのではないだろうか…
でも今まで通りって約束したし、何よりも金井さんの存在がなくなるのは考えられない。
なんなの私…
彼を自分が辛い時だけの為に都合よく置いときたいわけ?
そんなの奴等と一緒で最低じゃん!
いくら考えても答えが出ず金井さんと私は今まで通りの関係が続いてく。
そしてあの2人も予想通り復活したのだった。
地球温暖化だとか環境問題だとかそういった事に疎い私だけど、年々暑さが増しているのはわかる。
ギラギラ照りつける太陽にねっとりまとわりつくような空気。
暦の上では立秋でも、連日の猛暑はその衰えをまだまだ見せない。
そんな中、高地に位置し周りは山に囲まれ比較的涼しい所に毎年恒例になっている家族旅行に私達は来ていた。
観光名所を家族4人で見て回る。
一通り見終えて昼食をとってから、地元の特産品や名産品が売られている店舗と土産屋が建ち並ぶ場所に移動した。
「これ可愛い!」
御当地キティグッズを見つけて目を輝かせてる怜奈。
「怜奈のキティ好きは重症だね」
そう言う恵美も怜奈と一緒になって、これがいいあれがいいと夢中になってた。
私と夫は適当に店内を見て回る。
お互いの距離はあいていた。
―――――――――
――――――
「旅行はやめようよ」
「なんでだよ?もう旅館も予約してるし恵美も怜奈も楽しみにしてんのに可哀想だろ」
「あんたにとって家族旅行って何?
こんな状態で楽しく旅行なんかできると思う?」
「またそれかよ
西田とは本当にもう終わってるんだって」
「じゃあこれは何?」
一枚の紙を夫に差し出した。
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