闇のネット通販
どんなものでも
あなたの望んだ通りのものが届きます。
どんなものでも……
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注文3子供
私は家族に憧れていた
私には家族がいなかったから
お父さんがいて
お母さんがいて
子供がいる
その形に憧れていた
だから結婚して
子供を大切に育てたかった
子供と一緒に暮らしてあげたかった
でも、やっぱり無理だったのかな……
注文3子供
私は気がついたら病院のベッドで寝ていた
3歳か4歳頃だったと思う
それまでは多分ママと暮らしていたんだと思う
パパという人はいなかった
まだ小さかったし、ほとんど覚えていない
気がついたら病院のベッドで
しばらく病院にいて
元気になったら
知らないおばちゃんと一緒に
子供がいっぱいいるお家へ行った
そこが『私のお家』になった
ママはいたはずなんだけど
病院にいた時から今日まで会っていない
どこで何しているのか、生きているのか、死んでしまっているのか
全くわからない
ただ
死にそうだった私を救ってくれた『お兄ちゃん』がいたらしい
注文3子供
私ね……
ユイはね……
誰にも言ってないけど
『お兄ちゃん』のお嫁さんになりたかったんだ
『お兄ちゃん』にもう一度会いたかった
毎年
七夕のお願いごとには
「『お兄ちゃん』に会えますように」
って書いていたよ
毎年
クリスマスはプレゼントはいらないから
「『お兄ちゃん』に会わせてください」
って神様に祈っていたよ
でも
会えなかった
私に会いに来てくれる人なんて
私を迎えに来てくれる人なんて
いなかったんだ
願いが叶わず泣く度にシスターがそっと抱き締めてくれたけど
ポッカリ空いた心の穴は埋められなかった
注文3子供
ある時シスターに聞いてみた
ユイ「私のママっているのかな?
私を助けてくれた『お兄ちゃん』ってどんな人なのかな?」
シスターは悲しい目をするだけで何も言わなかった
それでわかった……
『もう、聞いてはいけないんだ』
ただ
シスター「ユイちゃんはこうして生かされている
きっと何か使命が残っているんだと思うの
でもね、ユイちゃん
ユイちゃんははとても可愛い女の子だから……
だからこそ
自分を大切に
大切に生きてね」
精神的に幼い私には、まだ深く理解することが出来なかった……
間もなくこの『お家』を出なければならない年齢が近づいていた
外で
たった一人で自立するには厳しい社会に
間もなく私は放り出されてしまう……
ピカチュウさんへ
きるです。
読んでいただき
ありがとうございます。
お待たせしてしまい申し訳ありません。
コメントはとても励みになります。
ありがとうございます。
一度に沢山の更新
頻繁に更新はなかなか出来ませんが
読んでいただいている方への礼儀とお礼の思いを込め
一日一回は更新して行きたいと思っております。
また、見直しているつもりが
お恥ずかしながら
誤字脱字も多く
申し訳ありません。
読んでいただいている皆様
本当に本当に
ありがとうございます。
注文3子供
シスター「ユイちゃん
困ったことがあったら
必ず連絡するのよ
必ず力になるから
一人で抱え込まないでね
遠慮しないで必ず相談してね」
シスターは泣いていた
シスターは私がまだ未熟なことを心から案じ泣いてくれていた
でも仕方がない……
私だって本当は出たくない
不安で不安で……
でも『子供の家』は
常に子供がいっぱいで
経済的にも余裕が無い
今日も今も
ここに来なければ死んでしまう
もっと小さな命が待っているから
大きくなった私は場所を空けてあげなければならない
法律で
一定年齢を越えた子供は出なければならないことになっている
生きるための術を十分に身につけているか、いないかなんて
国家は考えてなんかいない
現在ある法律で処理するだけ
陰にいる私たちの存在なんて知らないし
考えたこともないのだろう
注文3子供
私には
わからないこと、知らないことが多すぎたんだと思う
シスターに相談しようにも
何をどう相談したら良いのかもわからなかった
生活の仕方、社会の常識……
何もかも、よくわからないまま毎日過ぎてゆく
とにかくシスターに紹介してもらったパン屋さんのお仕事は
必死になって頑張った
お仕事に行って、アパート帰って、またお仕事に行って……
ひたすら、それを繰り返した
遊んでいるわけではないのに
遊ぶ時間さえないのに
常にギリギリの生活だった
そんな私を悪魔が狙っていた……
注文3子供
「社長
やはり社長にかなう相手はいませんね
今日の取引もさすがでした
先方も社長への信頼は絶大なものですし
今回も良い形で進めますね」
サトシ「君もよくやってくれた、ありがとう
明日からまた忙しくなる
今日はここまででいいから
帰ってゆっくりしてくれ」
大きな仕事をまたひとつ成功におさめた
達成感と安堵、充実感に浸る時
無性に寂しくなる
『オレは何のために働いているのか……』
結婚して十年近く経つが子供に恵まれなかった
注文3子供
オレは一応『跡取り息子』だった
生まれた時から
それなりの地位、財産は保証されている反面
レールの敷かれた人生
だからといって
それに甘んじることなく努力をしてきた
学歴、経歴……
全てに傷がつかないよう
一流のものを残してきた
そうして自身の力を確立してきた
今までは無我夢中で余裕もなかったためか
若かったこともあってか
特に気にならなかった『家族』とくに『子供』のことが引っ掛かるようになっていた……
注文3子供
年齢からくる感傷的なものなのか
やはり遺伝子に組み込まれた本能か
オレは『血を分けた』子供に会いたいと願うようになっていた
『血を分ける』にこだわりすぎたばかりに……
オレは踏み込んではいけない領域に足を踏み入れるのか……
罪を犯すこととなるのか……
『自分の子供』に会いたいと願うことは
そんなにも贅沢なことなのか?
至って自然なことなのではないのか?
注文3子供
妻のレイカとは……
表向きには上手くいっていた
セックスレスでもない
ただ……何となく……
掴めない『何か』を感じていた
これは単なる勘でしかなかったが
常に何か引っ掛かる
核心をついてはいけないものを感じていた
そのためか
レイカとは埋められない溝、縮められない距離を感じ
何か満たされない空洞があった
恋歌さんへ
きるです。
読んでいただき
ありがとうございます。
はい。
「ナオヤは刺されて亡くなる」
というお話しにしています。
まだまだ未熟で
皆様にご理解いただけるように表現出来ておらず
申し訳ありません。
この場をお借りし補足説明させていただきます。
短編で区切りつつ
お話し全体を連動させ
前のお話しで絡んだ人物の視点で次のお話しを進めております。
1の話のリナの子供が
2の話のナオヤ
ナオヤ=『お兄ちゃん』で
ナオヤに助けられた子供が
3の話のユイです
3の話は少しタイプを変え、3人の人物が『子供』というキーワードで絡んでいきます。
コメントありがとうございます。
読んでくださる方の存在が
本当に大きな励みになっております。
本当に本当に
ありがとうございます。
恋歌さんへ
きるです。
こちらこそ
ありがとうございます。
コメントいただくことで
独りよがりになりがちなところを気づかせていただけるので
とてもありがたいです。
疑問に思う方が他にもいらしたでしょうし
丁度、補足が出来て良かったです。
ありがとうございました。
はじめまして😌
毎回 ドキドキしながら読ませてもらってます。
短編連作大好きです。そして、主人公の孤独や陰にひきこまれす
続きを楽しみにしてますが、主様無理なく更新して下さい。
応援してます。
はるきちさんへ
きるです。
読んでいただき
ありがとうございます。
本当に読んでくださるだけで
とても感謝な上
皆様のあたたかい励ましとご声援には
深く感謝いたしております。
まだまだ修行の身で至らない点も多いですが
コツコツと続けてまいります。
お待たせいたしました。
この後、少しお話しを進めます。
なお
ミクルのメンテナンス予告メッセージが出ていますので
明日の更新が遅れましたら、この場をお借りし先にお詫びいたします。
メンテナンス終了後、また続けてまいりますので
宜しくお願いいたします。
本当に
ありがとうございます。
注文3子供
「はっ……うっ……レイカ……イッてもいい?……もう……イク……」
レイカ「あんっダメ……もうちょっと……おねがい……んんっ……はぁん……」
結婚したら何故、子供を生まなくてはならないの?
子供がいなければならない理由って何?
めちゃくちゃやってきて、てきとーに生きてきて、惰性の中で出来た子供を出産して……
だから子育てにすぐ、行き詰まってしまうんじゃないの?
なのに……
『子供がいる』ってだけで評価されて
『子供がいない』ってことで惨めで……
女はどうして、そんなことで優劣をつけられなくてはならないの?
馬鹿にしないでよ……
注文3子供
レイカ「……おねがい……はぁんあんっ……めちゃくちゃにして……ああんっ……」
多分、どんな形にしろ
自分なりの確固たる信念を持ち
堂々と生きれば
それで良い
他人は結局
他人に対しては適当なことを言っているにすぎず
その他愛ない言葉で
どれだけ相手を傷つけたかなんて
考えもしないし
言ったはなから
言ったことを忘れていたりもする
そんな適当な言動に振り回されるのは馬鹿馬鹿しい
人の言動に揺れることなく
私は私を生きれば良いのだろう
でも
私は他人の評価が気になり……
自信が持てなかった
現実から逃げ出したくて
忘れたくて
色んな人と体を絡ませた
本当の愛と向かい合うのが怖くて……
注文3子供
「……おまえ……マジいいよ……んっ……あっ……たまんね……出してぇ……中で……」
レイカ「んんんっ……ああっ……いいよ……あっああんっ……」
そうして私は
身も心も母親になれないまま
どうしようもなく
ただ存在している
本当は知っている……
サトシの思い……
だから
苦しい……
私はサトシと結婚すべきではなかった
優しすぎるサトシは……
あの日
哀れな私を見捨てることが出来なかった
へたな情けが
後に不幸を招くとは……
皮肉なものだ
優しかったばかりに
不幸になってしまうなんて
世の中上手く
出来ていない……
注文3子供
レイカ「おねがい……このまま……このまま……連れ去って……あんっああん……」
たとえ
ほんの一時に過ぎなくても……
快楽に溺れ
忘れてしまいたかった
私はサトシに相応しい女になろうと必死だった
でも
どんなに取り繕っても
やはりボロは出てしまう
サトシはきっと……
そんなくだらない見栄や虚栄に関心は無かった
だからあの時……
純粋に私を哀れに思い救ってくれた
それでも
罪は大きすぎた
私の犯した罪が大きすぎて
許されないから
苦しまなくてはならないのであろう……
注文3子供
「……いまさら恥じらいもないだろ?……こんなに濡らして……」
レイカ「んっあっ……あんっ……もっと……ねぇ……あんっ……もっと……イカせて……んっああん……」
見栄と虚栄、そして、どうして他人と同じものを欲しがり、同じように生きようとするのだろう
狭い世界で、そんなつまらない競争をするのだろう
女は特に……
女はどうして、まわりの女が持っているものを自分も手に入れなくては気がすまなくなるのだろう
そんな馬鹿馬鹿しい戦いに翻弄され続け……
『物』だけにとどまるならまだしも
『子供』さえも
自分の思い通りにしようと……
私は…
私の犯した大きな罪のために
子供が産めない
私は若い頃
子供を捨てたから……
注文3子供ユイ
店長「ユイちゃん調子悪そうだね
今日はもう、いいよ
いつも良くやってくれるしね、今日はもう上がって、ゆっくり休んだ方がいい
調子悪かったら、明日も電話だけくれればいいから
元気になったら、また頼むね」
風邪をひいて調子が悪かった
帰りたくなかった
帰ったって
余計に辛いから
しんどくても仕事してるほうがいい
何故かわからないけど
風邪をひいた時
ひとりで部屋にいることが
とても怖い
注文3子供ユイ
仕事を上がったものの
帰りたくなかった
毎日
仕事先のパン屋さんと自宅の往復だけだったから
寄り道の仕方もわからない
ドキドキしながら
ファーストフードに入り
ハンバーガーとポテトと飲み物を何とかオーダー
ユイ「はぁ……」
席に座り何となく携帯を見ていた
『……?
あなたの望んだ通りのものが届きます?
どんなものでも?』
熱で朦朧としてくる意識の中で
私は
『……お兄ちゃん……お兄ちゃん……』
と呼び続けた……
注文3子供サトシ
サトシ「……レイカ……ああ……そうなんだ……遅くなる……じゃあ」
帰りたくなかった
オフィスでひとり
何となくネットの閲覧
仕事が忙しくほとんど『よそ見』することもなかった
ただ今日は……
どうも仕事が手につかず
集中出来ないでいた
『どんなものでも
あなたの望んだ通りのものが届きます』
『何なんだこれは?馬鹿馬鹿しいキャッチフレーズだ』
普段なら見向きもしないが
子供のような
ほんの悪戯心で
『子供』
と手続き完了
『こんなことで本当に可愛い子供が来てくれたら
ほんと世界が変わるよ』
可笑しくて思わず笑ってしまう
注文3子供レイカ
若い頃……
荒れた生活の末
子供が出来てしまった
自分が妊娠しているなんて知らなかった
そのくらい身体に対しても
いい加減な知識しかなかった
言い訳ではないが
家庭も荒んだもので
未熟な人間ばかりの中で
良い解決策をとらないまま
酷い出産をした
酷い状況での出産
未発達な身体での出産
そのまま子供の出来ない身体になっていった
出来ないことをいいことに
矛盾して
出来ないことが悲しくて
傷めつけるように快楽を求めた
愛のあるセックスが
嫌だった……
注文3子供レイカ
『子供』って何なんだろう……
私は『子供』を心の底から望んだことがない
ほとんど産み捨て同然だった『あの子』と
一緒に暮らして時もあったが
『子育て』はしていなかった
大人に大切にしてもらったことのない私は
産んだからといって
『それ』をどうしたら良いのかなんて
わからない……
可愛いとも
思えなかった
邪魔で
うるさい
だけ……
注文3子供レイカ
取り繕いながらの生活
もう限界だって
とうにわかっている
でも
サトシと離れないズルさ
『あんな生活には戻りたくない』
サトシと私では住む世界が違いすぎた
サトシと出会い
結婚したことで
闇の世界から私だけ抜け出せたと思った
でも……
今までとは違う戦いが始まった
サトシには理解出来ない
醜い女同士の戦いといじめ
注文3子供ユイ
「ユイさん
気がつきましたか
熱はさがりました
もう大丈夫ですよ
元気になるまで、ここでしばらくゆっくりなさると良い」
びっくりして飛び起き
ユイ「えっ!?あっ!?私、あのっ!?」
「驚くのも無理ありません
でも心配しなくてもよろしい
落ち着いて聞いてください
貴方は高熱で意識を失っていました
貴方は今まで、たったひとりで本当によく頑張ってこられました
わたくしどもは実は貴方のことをずっと見守っておりました
そして貴方に関わるのに、一番良い時を伺っておりました
ようやく『その時』が来たのです
貴方が強く強く求めたので通じた……とでも申し上げておきましょう
わたくしどもは、貴方が一番慕い求めていた方に関わっております
残念ながら、貴方の求めるお方は、ある事情でお亡くなりになりました
ですが
貴方の求める方と重なる素晴らしい方に貴方は出会い
ある重大な使命を果たすこととなります
幸せにつながるか
苦しみとなるか
現時点では何とも申し上げられませんが
これからは『ひとり』ではありません
今はゆっくり休んでください」
注文3子供ユイ
言われていることに混乱してしまう……
ひとつひとつ理解しながら
でも
よくわからないこともあって……
ただ……
『お兄ちゃん』には
もう『会えない』
ということ
これからは
『ひとりじゃない』
ということ
それが心に深く刻まれ
一体何が始まろうとしているのか……
得体の知れない不安を感じながらも
受け入れて行く
ことの恐ろしさを想像するには
私は幼なすぎた
十分理解出来ないまま
ただ『ひとりじゃない』という
幼い愛に安堵し
従順に従って行く……
注文3子供ユイ
体調も落ち着いてきたため
一度自宅アパートに戻ることとなった
お世話になったことに関して……
『貴方の遠い親戚のようなものです
どうぞ、お気になさらないで』
それを鵜呑みにした……
アパートでひとり……
無性に寂しい
どうしても『ひとり』が辛く
フラフラと夜の街に出た
次々に男の人が声をかけてくる
怖くなって逃げ続けた
『もう帰ろう』
そう、決めたのに
最後の最後
二人組に捕まり
どうにもならなくなった
『どうしよう!怖いよ!誰か助けて!!』
「あっ、すみません!
ごめんなさいね
妹がご迷惑おかけしてしまったようで
はぐれてしまったんですよ
お前、駄目じゃないか勝手に……
田舎から出てきたばかりで
本当にすみません」
注文3子供ユイ
スーツ姿のすらっとした優しそうな男の人が
そう言って
しつこい二人組から
私を引き離し
助けてくれた
「ったく、何なんだよ」
ぶつぶつ言いながら二人組は去っていった
私は怖さと驚きで
ぼーっとしていた
「大丈夫?
ひとりなの?」
ユイ「……はい」
「……
どんな理由があるにせよ
こんな時間にこんな場所でひとりでいることが危険なことくらい
わかるよね?
送るから帰ろう」
涙がこぼれた……
注文3子供サトシ
オフィスを出たものの帰る気には、なれなかった
バーで少しアルコールに浸る
『気分を変えてもう一軒くらい行くか……』
のんびり夜の街の風に当たっていた
まだ、あどけなさの残る女の子が男に絡まれている……
『……まずい……な』
サトシ「あっ、すみません!
ごめんなさいね
妹がご迷惑おかけしてしまったようで
はぐれてしまったんですよ
お前、駄目じゃないか勝手に……
田舎から出てきたばかりで
本当にすみません」
注文3子供サトシ
まだ『子供』の彼女をこのままここへ置いて行くわけにもいかない……
『送って行くか……』
タクシーを拾おうとすると
ぽろぽろ涙を流しながら泣き出した
『まいったな……』
サトシ「大丈夫だよ
家の前まで送るわけじゃない
近くで安全な場所まで送るだけだから
もう帰らないと
家の人が心配するよ」
「……本当にありがとうございます
でも私……
ひとりぼっちだから
誰も私のことなんて
心配してくれる人なんて
いないから……」
彼女の言っている意味が理解出来ず
親に叱られることが恐くて
適当なことを言っているだけだろう……
くらいにしか思わなかった
サトシ「……わかったよ
ここにいると冷えるから
すぐそこのカフェで
君が落ち着くまで待つよ」
注文3子供ユイ
その男の人は
『家まで送る』
と言ってくれたけど
帰りたくなかった
帰りたくなくて黙って泣いている私は
駄々をこねる子供のようだっただろう
男の人は、ちょっと困った表情で
でも優しく
黙って私と一緒に居てくれた
入ったカフェで温かい飲み物を飲みながら
二人で外を眺めていた
すごく温かくて安心する……
『お兄ちゃん』って
こんな感じだったのかな……
注文3子供ユイ
『このひとが
"お兄ちゃん"
だったらいいのにな……』
ユイ「……あの……」
「んっ?」
優しい眼差しを向けられ……
気がつくと
私は
ぽつり……ぽつり……と
今までの自分のことを話していた
その人は黙って真剣に
私の話を聞いてくれた
「……そうだったんだね
君は本当に『ひとりぼっち』だったんだね……」
優しい目が
とても悲しそうになった
でも
私は心配そうに見つめてくれるその目のおかげで
とてもあたたかい気持ちになった
注文3子供サトシ
『本当に"こんな子"がいたなんて……』
彼女が
何故、今日ここでこんなことをしていたのか……
その理由
そこに至るまでの経緯
それを垣間見てしまい
いたたまれない思いになる
『放っておけない』
ただただ
純粋な気持ちだった
この思いが
後に
悲劇に繋がって行くことなど
そして
実は仕組まれていたことなど
この時は
もちろん
気付くはずもなかった……
注文3子供サトシ
サトシ「困ったことがあったら、いつでも連絡くれたらいい
必ず力になるよ
今日出会ったことも運命かもしれない
君はひとりぼっちなんかじゃないよ」
連絡先を伝え
自宅まで送った
小さくて暗いあたたかみの無い部屋が見えた
その部屋に向かって
とぼとぼと歩いて行く彼女の後ろ姿
まだ体調も十分に回復していないようだった
オレはたまらなく切なくなり……
彼女を追いかけ
後から抱き締めた
この時の思いは……
彼女を女性としてではなく
親子の愛情に似た思いだった
しかし
次第に変わって行く……
注文3子供サトシ
サトシ「今日このまま
君をひとりにはできない
部屋をとる
心配しないで
君に決して手出しはしない
ただ側にいさせてくれ
心配なんだ」
彼女は驚いていたが
「ありがとうございます
大丈夫です
ただ
ひとつだけお願いがあります
私やっぱり
ひとりぼっちの夜は辛いんです
だから
あなたから電話をしてほしいんです
私からは出来ません……
だからどうか
あなたから電話をしてもらえませんか
ずっと待っていますから」
悲しいほど切なかった
彼女は
オレの左手薬指に気付いていた……
注文3子供ユイ
「困ったことがあったら、いつでも連絡くれたらいい……君はひとりぼっちなんかじゃないよ」
嬉しかった
『誰かが心配してくれる』
こんなに嬉しくて安心した気持ちは
初めてだった
確かに……
シスターは私なんかのことを無条件に心配してくれた
でもそれは
他の子供達へも平等に向けられる思いで……
独占は出来なかった
それは仕方がないこと
でも
いつも満たされなくて
心は満タンにならなくて
寂しかったんだと思う
気付かないようにしていた
辛すぎるから
その気付かないようにしていた隙間を
この人の優しさが埋めてくれた
これ以上欲張らなければ
良かったのかもしれない
でも
知ってしまったあたたかさを
私は貪り求めるようになって行く
今まで満たされなかった分を
悲しいほどに
埋めたくて……
注文3子供ユイ
「危ないから……」
とアパートまで送ってくれた
部屋が見えてくると
寂しくて……
夜の冷たい風が
更に心を突き刺してくる
『泣いたらダメ』
泣くのはずるいから……
必死でこらえながら
振り向かずに歩いた
『えっ!?』
一瞬何が起こったのか
わからなかった
私は
彼の腕に包み込まれていた
『男の人の腕ってがっしりしているんだなぁ……』
初めての感触だった
お父さんを全く知らなかった私は
男の人の腕が
こんなにも逞しくて
力があることを
知らなかった
男の人の胸が
広くて大きいということを
知らなかった
注文3子供レイカ
サトシの親戚との付き合い
サトシの仕事関係の奥様同士の付き合い
私には考えられないほど困難なことだった
単に『嫌だ』とか『面倒』とか『ストレス』……
そんなレベルではなかった
スラムに近い家庭環境で育ち
学歴どころか小学校もまともに行っていなかった私は
会話ひとつまともに出来ない
何もかも太刀打ち出来ず
馬鹿にされ
蔑まれ
陰湿ないじめを受けた
いじめは……
どんな世界にも
いつの時代も
いくつになっても
存在する
全てにおいて満たされているように見える人達の中でも
陰湿ないじめは存在する
ただひとつ
幸いだった……と言えるのか
それも今となっては何とも言えないが
容姿に恵まれていた私
サトシも含め
男達を落とすことは簡単だった
反面
だからこそ余計に
女達は私のことが気に入らなかったのだろう
綺麗に化粧し着飾った裏の醜い顔に
吐き気がする
注文3子供レイカ
私がサトシの妻である意味なんて無い
サトシはその気にさえなれば女に不自由することは無いのに
それなのにサトシは……
優しく真面目で
至らない私に
不満もぶつけない
裏切らない……
それがかえって
苦しかった
苦しさから逃れようと
私は私と同じにおいのする男を求めた
今日も「遅くなる」との電話……
私は重ねる肉体だけを求めた
『アクセスさえすれば』
いくらでも私の欲望を満たしてくれる
私の肌に合う下品で卑猥な野性的な肉体を……
注文3子供レイカ
「太陽の光の下でみるレイカ
初めてだな……
綺麗だよ
何かあった?
『デート』がしたいなんてさ……」
陰や暗闇の中ばかりにいた私は
光や明るさが苦手だった……
意識はしていなかったが
気がつくと『闇』に引きずり込まれている
光や善へ這い上がることは困難なのに
闇や悪に落ちることは簡単で一瞬のこと
『暗闇は嫌いなのに……』
「レイカ……
お前は可愛いよ……
そんなに旦那のことが好きなのか?
……妬けるよ……」
海を眺めていた頬を大きな手に包まれ
優しくそっとキスをされた
切ない……
『こんなキスもあるんだ ……』
私は本当は何を求めているんだろう……
注文3子供サトシ
ガチャ……
『……また出掛けているのか……』
最初から束縛はしなかったし、したいとも思わなかったが
最近更にレイカとのすれ違いが増していた
『ちょうどいい……』
プープープー……
トゥルル……
ユイ「もしもし!
本当に電話くれたんですね!
本当に嬉しいです!
でも……
大丈夫なんですか?
無理しないでくださいね」
サトシ「……君はそんな心配なんかしなくていいんだよ
身体大丈夫なのか?」
何年ぶりだっただろう……
付き合い始めの中学生のように
その夜
ユイと明け方まで色んな話をした
一生懸命自分のことを話し
一生懸命オレの話を聞くユイが
可愛いく
楽しかった
注文3子供ユイ
「ユイちゃん
最近明るくなったし
仕事もよくやってくれるし
おばちゃん本当に助かるよ
ありがとうね
ユイちゃん
彼氏でも出来たの?
可愛いし当然か……
でもね
ユイちゃんには幸せになってほしいから
お付き合いする人は
選らばなきゃ駄目だよ
あっ、お節介だね
ごめんね」
ドキッとした
サトシさん……
あれから
電話でお話したり
たまにお食事をご馳走してくれたり……
でも……
『彼氏』なんかじゃない……
好きだけど
大好きなんだけど
好きになってはいけない人だから……
注文3子供レイカ
「レイカ……
綺麗だ……」
窓から
太陽に照らされてキラキラ光る海が全面に広がる
太陽の光が
柄にも無く
私を恥ずかしい思いにさせる
「あんっ……」
後から抱き締められ
首筋を這う唇と吐息に
いつも以上に感じる
背筋に電気が走ったかのように
背中が反る
一瞬視線が合うと
そのまま唇を強く吸われ
もう……立っていられない……
崩れそうな腰をグッと引き寄せ
そのまま抱きかかえられてベットに乱暴に寝かされた
「今日のレイカ最高だよ……
犯してやりたくなる……」
注文3子供ユイ
サトシ「お誕生日おめでとう」
『えっ!?プレゼント!』
サトシ「どうしたの?
あれっ!?オレ、誕生日間違えた!?」
ユイ「……あまりに嬉しくて……私……こんなの初めてだから……」
サトシ「……泣くなよ……」
サトシさんは
優しく頭を撫でてくれた
可愛い綺麗な手袋だった
『こんなお姉さんっぽい手袋に似合う服なんて持ってないよ……』
すごくすごく嬉しかった
楽しい時間はすぐに終わってしまう
『今度はいつ会えるんだろう……』
そんなことばかり考えていた
胸がいっぱいで……
『今日は今日だけは……
特別な日だから
お誕生日だから
許してもらえるよね……』
ユイ「……今日だけは
ずっと一緒にいたいです」
サトシ「……オレだって……
もう抑えられない……」
唇が触れた……
『これが……キス……』
注文3子供サトシ
ユイの誕生日……
レストランで食事をした帰り
ユイ「……今日だけは
ずっと一緒にいたいです」
その言葉が引き金となった
オレはずっと抑えていた……
ユイの気持ちは分かっていた
関わってはいけなかった
だか、放っておけなかった
危なっかしくて
この時も大人として
たしなめるべきなのに
ユイの愛らしさ健気さが
たまらない……
オレは決して踏み込んではいけない深みに
落ちていった……
サトシ「ユイ……
オレ……もう駄目だ……
いい大人でいられない」
眼下はるか下に綺麗な夜景の広がる部屋で
ユイはオレと一緒に
仕組まれた恐ろしい深みに
落ちて行く
快楽に溺れながら……
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255レス 9481HIT 旅人さん (20代 ♀) -
宇宙からのエネルギー
良い研究結果になると良いですね(*^^*)(匿名さん1)
1レス 57HIT たかさき (60代 ♂) -
想像のツバサを広げて! みゃーちゃんストーリー劇場
続きます。 泣き出したかぼちゃ🎃のお化け。 みゃーちゃん、シャ…(小説好きさん18)
18レス 983HIT 小説好きさん -
短編小説色々書きます!
陰キャな僕 髪を染めてみた。 似合ってない、と、バカにされた。…(ぬ)
2レス 63HIT むすぶ -
神社仏閣珍道中・改
(続き) 石段をのぼった先に鐘楼があります。 この日は右側通行…(旅人さん0)
55レス 4015HIT 旅人さん
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いつか王子様が500レス 2072HIT シェヘラザード
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独り言葉33レス 675HIT 通りすがりさん
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September〜アースウィンドあんどファイア500レス 1908HIT シェヘラザード (60代 ♀)
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Tell me a bedtime story500レス 1965HIT シェヘラザード (60代 ♀)
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お掃除やさんには裏がある5レス 239HIT 小説ファンさん
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いつか王子様が
朝まで仕事は沢山あり、沢山のグラスを洗う 沢山のグラスを洗い終わ…(シェヘラザード)
500レス 2072HIT シェヘラザード -
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September〜アースウィンドあんどファイア
けど音楽では美しいロマンチックな曲を何曲も共有して来た …(シェヘラザード)
500レス 1908HIT シェヘラザード (60代 ♀) -
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神社仏閣珍道中・改
(続き) などとブツブツ心の中でつぶやくうちに、かつての北の上新…(旅人さん0)
500レス 20751HIT 旅人さん -
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独り言葉
カテ違い つぶやき、です なんなんでしょね こんな つまら…(通りすがりさん0)
33レス 675HIT 通りすがりさん -
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Tell me a bedtime story
宿にチェックインしてから2人でピアノを弾いた。感動して感動して涙が出た…(シェヘラザード)
500レス 1965HIT シェヘラザード (60代 ♀)
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