追う女
一昨日 主人より相談を受けた。
昨年12月の中頃から見知らぬ女性に後をつけられてると言うのだ。
主人には仕事帰りに夜食や朝食のパン等を近所のスーパーで買って来てもらっていた。
最初に不振に思った時、その女性とやたら目が合ったそうで知り合いかと思い近くに寄って見たが、その瞬間 女性が目を反らして違う場所に移動したので主人も気のせいかと思い買い物を続けたそうだ。
レジに向かうと女性をまた見つけたが どうも視線を感じるらしい。
主人がレジに並ぶと女性は主人のとなりのレジに並んだ。
その間もチラチラと見られてる気がし、1度だけ女性の方を見ると確実に目をそらしたので主人も気分的に嫌な感じがして女性がレジに差し掛かったのを見計らって主人もレジの順番が来ていたので「買い忘れた物がある」とレジの方に謝りまた売り場に戻った。
その時に主人から「変な女がいる」と電話をもらっている。
「怖いから迎えに来て」とふざける主人に私は「何を言ってるの!」とたいして重くは受け止めていなかった。
主人が家に帰ってから話の続きを聞いた…
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そしておもむろに開いたデータフォルダには…
主人の画像、動画が保存されていた。
スーツ姿の主人の後ろ姿の画像、買い物をする動画がいくつもあった。
その中に一枚だけ見知らぬ女二人と男が互いに背を向けて部屋の様な所に座っている画像があった。
不思議と主人は気味悪がる事も無く
これは女の沢田に対する抵抗であり主人に対しての償いの様に感じた。
主人は携帯を握りしめ階段の一気に駆け降り家路に向かった。
「全て話そう。」
一心不乱に主人は走った。
この日の主人は日付を変わる頃に家に帰ってきた。
「少しお腹が空いた。」
と言った主人が入浴中に軽食を作った。
主人はお風呂から上がるとすぐに軽食を取った。
「そんなにお腹が空いてたの?」
「うん…」
私がキッチンに入ると主人が言う。
「明日でいいんだけど話があるんだ。」
「明日?今はダメなの?」
「長くなるから。」
主人が私の顔を見る。
「あなたが疲れてないなら今じゃダメ?明日は休みだし…逆に気になって眠れないよ。」
笑う私に主人は頷き
「早い方がいいかもな。」
と主人は話し出した。
これが主人から告白を受けた話の全て。
私は主人と同様
「何の為に?」
と思うと同時に見知らぬ女に恐怖を抱いた。
主人が後を付けて撮ったという
我が家を見つめる女を見せられたが画像は暗すぎて顔を確認するのは困難だった。
私はしきりに
「警察に相談しよう!」
と主人に迫ったが
「もう少し様子をみたい。」
と主人は言うばかりだった。
そして何か不審な事があれば仕事中でも関わらず連絡をするように私に言った。
主人の真意は分からなかったが疲れた様子の主人に
「分かった。」
と頷き主人に眠る様に促した。
土日、主人は熱を出して寝込んでいた。
「疲れからじゃないの?」
いつかこんなセリフを主人に言われた様な…
主人は
「かもな。」
と赤く染まった頬で言うが心なしか元気にも見えた。
私は何かをする振りをして主人には話しかけずゆっくり寝かせようと考えた。
主人は悩み苦しんでもなお私を思い何事も無い様な振りをしていた。
その気持ちは大事にしたい。
主人を送り出し背中を見つめながら
【何事もありませんように】
と私は願った。
そして……
たまらなく腹の底から込み上げる笑いを必死に押さえながら………
🍀中書き🍀
私がふらっと思い立ち書いた携帯小説
『追う女』😱🆘
まさか😲の励ましやお気遣いのお言葉✨を頂きここまで続けて来れました‼
ここ迄を一つの区切りとし、
妻である私から→主人である俺の目線で物語を描きたいと考えています😃
これから恐らく😂誤字、脱字、表現力の無さゆえに伝わりにくい文章、季節や時代背景のズレはお許し下さいませ🙏💦
※たかこさんご指摘有り難う✋💕
ではスローペースですが読んで頂ければ光栄であります🙇🙇🙇🙇✨
妻はあれから何も言わない。
自分から言う前に妻から
「なるべくメールするね!これからは帰りに電話して。」
と気遣ってくれた。
笑顔で送り出してくれる妻を見て胸が詰まる思いだった。
俺はこうして駅に向かう間も誰かに尾行されているのだ。
朝は…
女A。
妻には言わなかったが俺はハンカチの女に同情した。
俺が憎むべきは沢田であり、捕らわれた三人を解放出来ないかとバカな正義感に心は溢れていた。
どうしても沢田に会って自分につきまとう目的を突き止めたい。
沢田に連絡すると言ったままで放置していた事を気にかけながら俺は駅へ向かった。
俺はハンカチの女が置いていった携帯の画像を一枚 自分の携帯に移していた。
二人の女と一人の男。
俺は電車に乗ると画像を見て考えた。
二人の女は同じ位の年だろうか…一人は茶髪に短めの髪でピアスの様な物を沢山耳に付けている。
もう一人は黒髪で随分髪が長い。
色白で切れ長の細い目。
どちらがA?B?
そんな事を考えながらふとハンカチの女の事を考えた。
【あの子はどこに行ったのだろうか…】
【さあ、そろそろ女Bの登場か…】
昼休み胸のポケットに入れていた携帯が震えた。
見知らぬ番号…一瞬躊躇ったが通話ボタンを押した。
「はい…もしもし。」
「あっ、私の事覚えてますか?」
「えっ?」
俺は少し警戒する。
「あっ、ごめんなさい!!沢田と言う女に…代わりをさせられた…川島と言います。」
白いコートに巻き髪の…
「あ~ぁ!!」
「突然電話してごめんなさい。何かあれから…気になって仕方なくて。」
「それでわざわざ?」
「元気なら良かったです!!あの女、ちょっと普通じゃ無かったから。」
彼女の気遣いに俺は嬉しかったが詳しく話すことはしなかった。
「大丈夫だよ。妻にも詳しく話したからまあ何かあれば警察に言うよ。ありがとうね!」
彼女は何かあったら力になりますと言ってくれた。
一度しか会っては居ない相手だが少しでも同じ悩みを共有した彼女。
俺は彼女のお陰で心に余裕が生まれた気がした。
家に帰ると妻が心配そうな顔をして言う。
「お昼ね、やっぱり気になってあなたに電話したの。話し中だったから少し気になって…」
「あ~あれね…」
俺は妻に電話の相手、川島さんの話をした。
妻はぎごちない感じで川島さんの事を聞いてきた。
「おいくつの女性なの?」
「う~ん。若いよ。20代前半かな…明るい子でね…」
妻はふ~んと言って脱衣場の方へ行ってしまった。
【何だ自分から聞いといて…】
確かに妻の様子はおかしかったがその後、近い妻の誕生日はどうしようかと言うと妻は嬉しそうに俺の側に来た。
その日は仕事なので終わったら外食するかと聞いたが家でご馳走を作るからと言う。
それじゃ誰が祝われるのか分からない言うと
「部屋を誕生日らしくセットしてケーキを買って来て!」
と妻が言った。
「お誕生会か?」
俺が言うと妻は笑った。
あれから…俺は沢田の事を気にかけながらも自分から連絡する事もせず、沢田からの動きを待っているだけだった。
帰宅時は家の周辺では家の回りを警戒して見た。
家に入ってすぐ外を覗いたりもしたが沢田らしき女の姿は見えなかった。
妻にも外出時には気をつける様に言ってはあるが
「特に何も感じ無い。」
と言っていた。
沢田に捕らわれた三人の事も
「沢田が居なければ生きていけない」
と言ったハンカチの女の事を思うと彼女等を救うなどと思った自分を恥じた。
【沢田から引き離せば彼女等は解放され嬉しくに思うか?解放されたゆえに孤独になり…それは本人にしか分からない。】
人それぞれ 幸せの形は違うから。
何をされた訳でも無い。
唯一、所持されていたハンカチも戻っては来た。
無言電話も無い。
尾行による不快感も今は無い。
だったら…思いも、沢田に白状させるなんて事も…
もう終わらせた方が良いのだろうか?
今日は妻の誕生日。
朝 家を出る時に何を作ろうかと気合いの入る妻の顔が過る。
ランチを終えると急いで会社に戻り屋上に行った。
折り紙を細長く切り輪にしては繋げた。
仕事が終わると仕事場の近くにある美味しいと評判のケーキ屋に入った。
妻はあまり甘い物は得意じゃない。
いつもならカットケーキだが
〔誕生会〕
ホールケーキを誕生日用にと注文し、妻の名前を入れてもらった。
最寄の駅に着くと俺はハッとひらめき家とは反対の方へ向かう。
ドラッグストアを過ぎ右へ曲がると花屋がある。
【まだやってるかな?】
時計を見た瞬間 後ろから女の声で話しかけられる。
「あの…。」
「…ですよね?」
一瞬『?』と思ったが口角をグッと上げる笑い方と明るい声。
「川島さん?」
「はい!!」
前回会った時は清楚な雰囲気だったが…
モッズコートにヒールの高いロングブーツ、髪は随分と明るくカラーリングされていた。
彼女を見て今どきの若い子と思う自分に年寄り臭さを感じた。
「何してるの?」
不思議そうに訪ねると彼女は左に指を向けた。
「あそこでバイトしてるんです!今帰りで!」
川島さんの指差す方を見ると何やら真新しい感じの店が見えた。
「あそこ1週間前に出来たんです!オープンからバイトしてて!」
あまりこちらの通りには来ないが見た事が無いのも当然だった。
「フレッシュジュースとスムージーのお店なんですよ!良かったら来て下さいね!」
「う、うん。」
彼女は手に持っていたケーキを見て
「美味しい所のだ!」
と笑うと会釈をして行ってしまった。
【わっ、若い…。】
二人の出会いがあんな物だったからあえて明るく接してくれた気した。
花屋に行き 適当に見繕ってとお願いすると店の店員が
「相手の方はどんな方ですか?」
と聞いた。
「泣き虫ですね。」
と答えると店員は困った顔をした。
花を作る為のイメージを聞きたかったのか!
「すいません!明るい感じで。」
店員は「はい!」と笑った。
家に着くと物音がしない様に中に入った。
キッチンをそっと覗いた。
妻はテーブルに食事を並べている所だった。
振り向いた妻は目を丸くして驚いた。
「ちょ、ちょっと!!黙って入って来ないでよ!」
俺は妻に背中を見せない様に他の部屋に行くように指示をした。
妻は不審がりながらも寝室に行った。
俺は手に持っていた花とケーキを置くとカバンに入れた紙袋を出した。
「少し潰れちゃったな。」
紙袋の中から長く繋がった紙わっか出し急いで部屋に飾りつけた。
そして雑貨店で見つけた小さなくす玉を天井から吊るした。
【準備OK!】
大きな声で妻を呼んだ。
「わぁ~。」
妻は部屋を見渡した。
俺は妻に花を手渡した。
「わぁ~!カラフルで綺麗ね~!」
「泣き虫も明るくなる感じだろ?」
妻はえっ?と不思議そうな顔をしたが
「素敵なお誕生会ありがとう!」
と笑った。
ケーキを見て子供の様にはしゃぐ妻を見てサプライズはする方もなかなか楽しい物だと感じた。
テレビを見ていると食事の片付けを終らせた妻が話があると隣に座った。
「実はね…バイトしようかなぁ~って思ってて。」
「急にどうした?」
「うん…。」
妻は昨年の4月まで雑貨店で働いていた。
辞める2ヶ月前位から体の不調を訴える様になり休みの日も寝込む事が多くなった。
病院に行くように言ったがただの疲れだと言い張る妻。
一度妻に内緒で仕事場を覗いた事がある。
レジに集まり楽しそうに雑談する三人の定員に少し離れて妻だけがフロアーで品出しをしていた。
何となくその雰囲気で人間関係が原因だと感じた。
そしてある日妻は尋常では無い胃痛を訴え病院に運ばれた。
「大丈夫か?」
妻を見た。
「もう十分過ぎるほど休ませてもらったから…でも最初は短い時間から始めようと思ってて。」
「うん。いいんじゃないか?で、何処か決めたの?」
「うん。来週から!」
「もう決めたの?」
妻はイタズラに笑った。
「で、何処で働くの?」
「うん。あの…駅から家と反対の出口に出てね…近くよ。1週間にオープンしたお店でね…。」
「フレッシュジュースとスムージーの店。」
「何で知ってるの?」
妻が真顔で聞いた。
「花屋に行く時に見た。」
「あ~そうか。」
何となく川島さんの事を言い出せなかった。
前に川島さんの話をした時の妻の反応が悪かったのが引っ掛かった。
【別に…いいか】
特にに重く受け止めずに話しは終わった。
しかし同じ職場で妻と川島さんが働くと考えると妙に不思議な感じがした。
休日、妻は妹と久しぶりに会うと午前中から出掛けた。
自分も出かけようと考えたが何となく面倒くさくなり部屋でゴロゴロしていた。
ふと、黒い携帯の存在を思い出した。
【確か鞄に入れっぱなしだったよな…】
鞄を探る。
携帯を開きボタンを押すと画面が消えていた。
電源ボタンを押しても起動せず画面は消えたままだった。
【電池が切れたか?】
その時 携帯を持つ手に違和感を感じ携帯を裏返す。
「あっ!」
電池パックとフタがごっそり消えていた。
「落としたか…」
もう画像は見る事が出来ない。
しかし俺は特に困る訳でも無く。
携帯は適当に机にしまった。
沢田の事が随分と昔の事に感じた。
しばらくダラダラと過ごしていたが
【俺の昼ご飯は?】
と疑問を抱く。
お腹が音をたてる。
冷蔵庫を開けると食べれそうな物はあったが…
昼飯を食べにやはり出かける事にした。
何を食べるか考えながら自転車を漕ぐ。
CMで見た…
ファーストフードに決めた。
全速力で自転車を漕いだ。
店に目をやると想像以上の混雑で結局 店を素通りした。
そのまま駅に向かう。
途中、カレーの良い匂いが鼻をかすめた…
【よし、これだ!!】
それは駅前にある 立ち食いそば屋からだった。
そば屋なのに…カレーにコロッケのトッピングを注文した!
たまに無性に食べたくなる。
会社帰りたまに食べたりしているのは妻には内緒である。
腹ごしらえも済み店を出ると寄り道したい衝動にかられた。
〔遊び程度にね!〕
妻の声が何処からともなく聞こえる…
自転車を押して道を渡る。
そこで 正面からこちらに歩いて来る人に目が止まる。
川島…さん?
エプロンにキャップ帽をかぶり手にはスーパーの袋を下げていた。
声をかけようか迷っているとすれ違い際に一瞬目が合った。
しかし気付かなかったのかそのまま行ってしまった。
後ろ姿を見送るその時、川島さんが後ろを振り返る。
「あっ、やっぱり!」
笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
「スーツ姿しか見た事無かったから!似てるな~とは思ったんですよ~。」
と川島さんは笑った。
「えっ、もしかして家って近所ですか?」
「うん。」
「ウケる~じゃ~お店に来て下さいよ~!美味しく作りますから~!」
【ん?近所でウケる?】
彼女はそう言うとバイト中なのでと手を振ると走り出した。
じゃ行ってみるか!とはならず…何だか気分が変わり家に帰ってきてしまった。
川島さんの事を妻に言うべきかな~とぼんやり考えながらテーブルに置かれた携帯に目をやる。
ランプが点滅している。
メール着信1件。
〔言い忘れてました!
冷凍庫にカレーがあります。
ご飯もあるからチンして食べてね(*^_^*)〕
だいぶ前に来ていた妻からのメールだった。
「やってもうた!!」
俺は頭を抱えた。
その後すぐに携帯が鳴った。
俺は着信相手を確認もせず勝手に妻と決めつけ電話に出た。
「もしもし!ごめん!」
「あっ…」
「えっ?もしもし??」
【やばっ…誰だ?】
女は吃りながら話す。
「あの…すいません…。電話が…遅いので…」
声を聞いた瞬間、背中に冷気を感じ全身に鳥肌が立つ。
「はっ、はい…?」
わざと気付かぬ振りをする。
「沢田…です。」
「あ~沢田さん!すみません。あの~連絡するって言ったままで…」
「はい…あまりに遅いから変だ…と思って。」
沢田は急にゲラゲラと笑い出した。
俺は急に笑い出した沢田に恐怖を感じ何も言葉が出せずにいた。
「あの、あっ、本当にすみません。」
言葉を絞り出す。
「あの…。」
「はっ、はい?」
「ベルトは…。」
【しっ、しまった!!】
ベルトを届ける口実で沢田と接触しようとしたあの日。
沢田がコートを受け取ったと嘘をつき、教えてもいない自宅の番号を知っている理由を突き止める覚悟でいた。
先にベルトを要求されると困るのでダミーとして紙袋には石を入れてテープで口を閉じた。
【何か適当な言い訳は…】
言葉を探す俺に沢田は言った。
「この…石…貰っていい…ですか?」
「石?あ~どうぞ。」
【俺は何を言ってるんだ?】
俺は言葉が思い当たらず沢田の出方を待つだけだった。
「あの…。」
「うん。」
「良い天気…です…ね…。」
「あーそうだね。」
その時 俺にはある思いが過る。
【もし俺が会いたいと言えば沢田はどうするんだろう?】
自分の代わりが居ない今。
川島さんを探すんだろうか?
それとも本当の姿を現すだろうか…?
「ねぇ?会えない?」
「あっ、はっ、あの…それは…いや。」
明らかに沢田は動揺している。
露骨過ぎて笑いさえ感じた。
俺は自分の言った言葉に後悔するとは思いもしなかった。
「分かりました…。」
沢田はそう答えた。
以前の沢田を暴こうとしていた自分は必死で前しか見えず沢田に怒りさえ感じていた。
今の俺は…
もう、関わることさえ面倒に思えた。
自分から面倒臭い事に巻き込まれに行った感覚だ。
【俺、バカだよな…】
沢田は何も言わずに待っている。
「もしもし?」
「はい。」
心なしか沢田の声に力強さを感じる。
「沢田さん、適当に決めて。」
「はっ、はい!」
沢田は少し待って下さいと言うと電話を切った。
【何か準備でもするのか…あっ、川島さん!】
俺は焦り勢い良く立ち上がるが
「まさかな…。」
と呟きまたソファーに座る。
頭を抱えた。
【やっぱり…。】
冷たい風が頬を刺す。
俺は自転車に乗り駅に向かった。
店に着くと外から店内を見た。
女性店員がカウンターに1人いる。
自転車を止めて店内に入る。
「いらっしゃいませ!」
「あの…」
「はい!」
店員は注文を待つ。
「川島さんはいますか?」
「川島…ですか?」
「はい、こちらでバイトをしている。」
「あ~ぁ。少々お待ち下さいませ!」
店員は奥の部屋に入って行った。
店員が戻って来る。
「今、休憩に行ってますね!」
「そうですか…。」
「何か伝言あれば伝えときましょうか?」
「いいえ、大丈夫です!ありがとうございました!」
俺は店を出ると携帯を開き着信履歴を確認した。
【確か、会社で昼に川島さんから電話かかって来たんだよな…】
電話帳には登録をしていなかったので それらしき番号を探した。
「はい!もしもし!」
「あっ川島さん?」
川島さんは近くのファミレスにいた。
店に入り川島さんを見つけると俺は頭を下げた。
「本当に休憩中に申し訳ないです!」
「なに?なに?どうしたんですか!?」
何事かと川島さんは少し驚いた様子で同じく席を立った。
「取りあえず座りましょう!」
川島さんの言葉でハッっと我に返る。
「あっ、ごめん!すぐ終わるから食事しながら聞いて!」
川島さんは「じゃあ。」とフォークを取ると食べかけのパスタを食べ始めた。
「あの…軽率に沢田に会いたいと言ってしまったんだ。」
「えっ!?また会うんですか?大丈夫ですか?」
何か話が噛み合ってない。
「あの…俺にとって沢田は川島さんで…沢田にとっては川島さんは身代わりなので…。」
「あっ!そっか!!」
川島さんはあっけらかんと返事をした。
「それは大丈夫ですよ!私、あの女には私の連絡先とか教えてませんし!もう身代わりなんか引き受けないし。平気ですよ!!」
そう言うと川島さんはフォークに絡めたパスタを頬張り笑った!
「ただ俺の家の近くまで沢田が尾行してる感じもあって…沢田もこの近くに住んでるとあれなんで…。」
さすがに沢田の命令に従う三人の存在と、近くにあるマンションの事までは話す事はしなかった。
一瞬 川島さんは不安げな表情を見せたが
「大丈夫ですって!でも万が一の時は助けに来て下さいね!」
と明るく笑った。
「ごめんね…何かあったら…いや、気になる事でもあったら いつでも連絡してね。」
川島さんに飲み物でもとすすめられたが伝票を奪い取ると会計を済ませ逃げる様に店を出た。
【バカだな俺は…無駄に川島さんを不安にさせて…最低だ。】
自転車を力無く漕ぎ家に向かう。
会いたいと言った俺に沢田が了承するなど思いもしなかった。
俺の言葉に動揺した沢田は想定内であり適当に電話を切るつもりでいた。
俺は面白半分に沢田をからかった。
沢田が普通の女ではないという事を俺は忘れていた。
自分の手は汚さず他人に尾行させ、身代わりを用意し、姿も現さずに俺に近づこうとする女…
どんな手段を使っても俺を追う女…
【最低だ…】
家に着くと俺はソファーに倒れ込んだ。
【最低だ…最低だ…最低だ…】
もし川島さんに何かあったら…
沢田は身代わりの川島さんが必要になる。
川島さんに接触して…もし川島さんが身代わりを断り抵抗でもしたら…沢田はどうする?
最悪な事ばかりが頭を駆け巡る。
その時 携帯が鳴る。
【川島さん??】
俺は慌てて電話に出る。
「もしもし。」
「あっ、何だ…お前か。」
妻だった。
「何だって…私で悪かったわね!」
「ごめん…そういう意味じゃなくて!」
妻は最悪な程に不機嫌だった。
「どこか行ってたの?」
「えっ?なっ、何が…。」
唐突な質問につい動揺する俺。
「楽しい事でもあったのかしら?」
妻はそう言うと、今から帰ると一方的に電話を切った。
久しぶりに妻の怒りに触れ反省する。
【妻に川島さんの事を話そう。】
事情があるにせよ、
妻の知らない女性に、妻の知らない所で会う。
隠すつもりも、嘘をつくつもりも無いが伝えない事は隠し事になる気もする。
やましい事など一つも無いのだから!
ただ…妻が働く前に、違う用事で店に行ってしまった事の方が正直 何と言って良いやら…
今更だが、店に行く前に川島さんに電話すれば良かったのにと自分を責めた。
妻のおかげ?で緊張が解け混乱も少し整った様に思えた。
とは言え…
川島さんの番号を電話帳に登録した後、沢田の番号も登録する。
【出る前に確認だ…】
携帯を気にしながら妻の帰りを待った。
夕方近くになっても妻は帰って来なかった。
【今から帰るって、もう二時間経つぞ…。】
携帯が鳴る。
【いや、待て。確認だ。】
サブ画面を見ると〔着信 川島さん〕の文字。
「はい!もしもし!」
緊張が走る。
「あっ!川島でーす!」
「大丈夫?」
「あっ、はい!あの、お昼…ご馳走様でした!」
「いや、こちらこそ邪魔しちゃって…ごめんね。」
明るい川島さんの声に安堵する。
「本当に何かあれば連絡して!」
「あの…あのですね。」
川島さんの様子が変わる。
「え?どうした?」
「今日はですね…彼がお泊まりに来るんで…安心です!!」
川島さんは少し照れた様に笑った。
俺はそのままソファーに倒れ込んだ。
白い天井を見つめる。
思えばエアコンも付けておらず冷え込むリビング。
「フフッ…。」
短く笑う。
「彼氏がいるなら…大丈夫だ!」
きっと何かピンチが起きた時、川島さんが頼るのは間違いなく彼氏だ。
俺は川島さんを守ると言わんばかりに頼ってオーラを出しまくっていた。
そんな自分を思い返し少し照れ笑いをした。
その時、玄関で物音がした。
妻が帰って来た様だ。
俺はソファーから起き上がる。
スリッパのペタペタという音と共に妻がリビングに入って来た。
何やら食料品が詰め込まれたスーパーの袋を両手に下げている。
「おかえり…」
俺の言葉には無反応で、両手の荷物を食卓のテーブルの上に放り投げる様にドスッと置くと ため息をついた。
「どうした?」
「何が。」
素っ気ない妻の返事。
妻は疲れたと言うとコートも脱がずにテーブルの椅子に座り込んだ。
「何かあったのか?」
「別に。」
「明らかに変だろ?」
「あ~はい、はい。」
妻はそう言うと着替える為か寝室に入って行った。
【何だよ!あの態度は!】
俺は何だかイライラしてテレビ、エアコン、加湿器と家電のスイッチをぶっきらぼうに押した。
【まだ電話の事、起こってるのか?】
しばらくすると着替えた妻が戻って来て袋の中の食料品を出し始めた。
「なぁ。」
依然 俺の言葉には反応しない。
「おい、いい加減にしろよ!」
「はっ?何をいい加減にするのよ?」
声を荒げた妻の呼吸が震える。
俺は黙って妻を見た。
「私が留守中に何か良い事でもあった?」
「何を言ってるんだよ。」
妻は手に持っていた食料品をテーブルに叩きつけた。
バリッと何かが破れる音。
「あなたも私に隠れて何をしているか分かった物じゃないわね!」
何かを遠回しに言いたがっている様に思えた。
「はっきり言えよ!」
そう言う俺を睨み付けて妻が言う。
「コソコソと…女にでも会ってたりしてね…。」
妻が一瞬 笑った気がした…
今までに見たことが無い妻の挑発的な態度。
喧嘩口調になるだけで涙目になりまともに喋れなくなるのに…
今までの妻なら とっくに寝室にでも閉じ籠もっている筈だ。
「何の話だよ!」
そう言う俺の頭には川島さんの顔が過る。
「そうですか…」
妻はそう言うとテーブルの食料を手に抱え冷蔵庫の扉を開ける。
「あら…お昼は外食?」
妻は背を向けたまま俺に問う。
「あ…ごめん。メールに気付かなくて…見た時はもう昼を済ませちゃった後で。」
「そうですか。それは良かったですね。」
【良かったって何だよ…】
冷蔵庫の扉を閉めると妻が言った。
「しばらく食事はご自分で済ませて下さい。」
「な、何でだよ!!」
【このタイミングでか?!】
とは思ったが妻には川島さんの事を話す必要があると感じた。
妻は明らかに
『自分の居ない間の俺』
を疑っている。
俺は妻の側に行き腕を掴んだ。
「話があるから聞いてくれ。」
妻にソファーに座る様に言うがテーブルの椅子に腰をかけた。
俺はため息をつきソファーに座ると背筋の正された妻の背中を見ながら話しだした。
「誕生日の…花を買いに行く時、偶然会ったんだ。」
妻は何も言わずに聞く。
彼女も妻と同じ店で働いている事。
バイト中に駅前で再び会った事。
沢田の電話で会いたいと言い休憩中の川島さんに会いに行った事。
先ほど電話で話した事…
話が終ると妻は椅子から立ち上がりこちらに体を向けた。
「まだ繋がっていたのね…」
「繋がるとかそんな言い方やめろよ!!彼女も…」
俺は勢いよく立ち上がった。
「彼女も被害者だものね!」
妻は見透かした様に俺の言葉を先に言った。
「じゃ何で言ってくれなかったのよ!職場が一緒なんて…」
妻は頭に手にをやり無造作に髪を掴んだ。
こんな場面にも関わらずテレビからはゲラゲラと笑い声が聞こえる。
「ごめん。でもやましい事は無くて…言い出しづらかった。」
「言えないのはやましい心があるからでしょ…」
【お前が川島さんの事を嫌がるから。】
そう言おうとしたが言葉をグっと飲み込んだ。
「人の気も知らないで。」
妻はそう言うと再び寝室へ入って行った。
しかしすぐ出て来た。
「実家に帰りますから…明日の夜には戻ります。」
妻はそう言うと玄関に向かった。
【何を言っても無理だな…】
俺は妻を追うこともせずソファーの背にもたれた。
騒がしいテレビに目を向けた。
玄関のドアが閉まる。
妻には不謹慎と思われるだろうか…
俺は川島さんの事を考えていた。
別に恋愛感情などは無い。
逆に考えられない。
ただ良い子だと思う。
川島さんの笑顔を見ると何故かホッっと出来、元気を貰える気にさえなる。
前向きでとびっきり明るい彼女の言葉が今の俺には心地良かった。
俺には兄しか居ないが妹の様な可愛さなのだろうか…
その時、携帯が鳴る。
赤い光が点滅する。
〔着信 沢田〕
【沢田…か】
こんな状況だからか。沢田の電話に動じる事も何く通話を押した。
「もしもし。」
低い声で答える。
「あ、あの…沢田です。」
「あ~どうしたの?」
感情を込めず喋る。
「あの…会う約束を…。」
少し沢田が笑った。
俺にはそれが妙に腹立だしく大きな声を出した。
「君が来るんだよね!電話で今話してる君がさぁ!!」
「ハァハァ…」
小さく聞こえる沢田の息が荒くなる。
「なぁ、沢田さん。」
沢田は慌てるように
「明日…あっ、明日行きます。お昼に…前に待ち合わせした…あの、駅前で…」
そう言うと沢田は電話を一方的に切った。
【一体、誰が来るんだよ。】
俺は携帯を壁に投げつけソファーに拳をぶつけた。
少し川島さんの事が気にはなったが彼氏がいる事に安心はある。
しかし今度は妻の事が気になり出した。
【そうだ…】
床に転げ落ちた携帯を拾い上げると妻に電話をかけた。
しかし何度かけても留守電に変わってしまう。
電話の口実は夕飯の事。
冷蔵庫に貼られた料理のレシピとゴミ分別表。
俺は冷凍庫を開けるとカチカチに凍ったカレーとご飯を出した。
付箋が付けられていて温める時間が書かれていた。
電子レンジに入れる。
行儀良く並ぶ調味料、2つ置かれたコーヒーカップ。
使い込まれたフライパン。
俺がプレゼントした赤いキッチンタイマー。
妻の居ないキッチン。
久々にコーヒーを自分で入れるが砂糖の配分を失敗して甘くなる。
時計を見る。
【後で携帯にかけてみてつながらない様なら実家にかけてみよう】
喧嘩してたとしても妻が近くに居ないと落ち着かない。
食事をしてる最中も携帯を側に置き、見てもいないテレビを点けっぱなしにしていた。
【もう着いたよな。】
食器を流しに置きソファーに座ったが再び流しに戻る。
カレー皿を水で流す。
これをしないと妻が怒る。
携帯を手に取り電話をかけるが同じく留守番センターに繋がる。
【携帯を切っているのか?】
大きく一呼吸する。
受話器を手に取ると妻の実家に電話をかけた。
「はい、もしもし。」
義母が電話に出た。
「お久しぶりです!」
「あら~!お元気ですか?」
義母達は正月に旅行に出かけていた為、正月に電話で旅行先に新年の挨拶の電話をして以来だった。
妻がいるか聞くと義母は『えっ?』と驚く。
「いや~娘は今日は来てないわよ。ここに来るって?」
「あっ!そうでしたか。」
「えっ?まだ帰ってないの??」
【来てない?】
俺は慌てた。
「すっ、すみません!勘違いしてました…あっ!友達の家に行くって言ってたんだ!」
義母は何かあったのかと気遣ってくれたが、下らない事なのでと世間話もソコソコに電話を切った。
【妻はどこに行ったんだ…。】
もう一度携帯に連絡をしたがやはり留守電になる。
「あーーぁ!!!」
どう仕様もない喉元の詰まりを取り除く様に叫んだ。
携帯を手にリビングに暫く立ち尽くした。
すると自宅の電話が鳴る。
「はい!」
「あっ、もしもし?」
その声は妻の高校の同級生の美紀だった。
「美紀ちゃん?」
「はい!お久しぶりです!あのですね…」
彼女は話し出した。
妻が彼女の家に居ると言うのだ。
妻は入浴中でその隙に俺に連絡をくれた。
「今日は私が面倒見ますんで…安心してくださいね。」
彼女は夫婦で良く話し合って下さいと俺に言った。
事情は知っている様だった。
何となくしっくり来ないが妻が無事ならそれでいい。
浴室に行き浴槽にお湯をためた。
湯船に深く浸かり湯気が立ちこめる中ぼんやりと考えた。
妻は言い合いになった時、川島さんの事を話す前から[コソコソしてる]とか[女と会っている]だとか初めから女の影を疑った。
何となく心に引っ掛かっていたのは、川島さんと俺がまだ繋がっていたのかと言った妻の言葉だった。
[まだ繋がっていた]
まだ…
妻はいつから疑っていたんだろう。
川島さんから最初に電話をもらった時だろうか?
浴室から出て体を拭いている時にハッっとする。
【明日の昼、沢田…!】
妻の事ですっかり記憶が飛んでいた。
しかし今さら動いたら余計に話がややこしくなりそうだ。
どうするかは明日に委ねる事にした。
遮光カーテンを閉め忘れ太陽の日射しで目が覚める。
AM8:00
とりあえずキッチンに行きコーヒーを入れると戸棚にあったロールパンの袋を見つけた。
ソファーに座りテレビを点ける。
新聞を開くと昨日の物と気付きポストに取りに行く。
玄関を出るとヒンヤリと寒さを感じたが日射しは暖かく、澄渡る青い空を見上げて目を細めた。
向かいのゴミ捨て場にいる猫がこちらを見ている。
新聞を取る音にビックリしたのか猫は逃げて行ってしまった。
リビングに戻り新聞を片手に食事をする。
何気に見た画面に天気予報が映る。
こんなに晴れているのに、夕方から雨との予報だった。
沢田…
今日の昼に前に会った約束場所に来ると言った。
前の約束場所は…
最初に約束した人通りの少ない駅だろうか?
俺が寸前で変更した川島さんとあった場所だろうか?
そんな事を考えながら自分に問う。
【お前は何がしたいんだ…】
何か落ち着かなく早々と着替えを済ませソファーにもたれテレビを見ていた。
リビングに置かれた置き時計の秒針の音が妙に耳につく。
ふと妻がカーテンが欲しいと言ったのを思い出す。
【今日、買いに行くって言ってたのに…】
窓の外に目をやると庭の緑が太陽の光を受けキラキラと輝いていた。
俺は背伸びをすると大きく息を吐き立ち上がった。
【どうしようも無い男だ…】
俺は駅の改札口の前に立っていた。
妻が何で家を飛び出したのか考えれば俺はここに来るのは間違いだと分かっている。
どんなに言い訳しても妻が川島さんと繋げて考えるのも分かっている。
しかし俺は自分でも分からない。
ここに来ずにはいられなかった。
人通りの多い所に気が向かずここへ来た。
相変わらず人の気の少ないこの駅。
明るい場所で見る駅は何だか雰囲気が違って見えた。
日陰の駅構内に光が射し冷たく緩やかな風が左右の出口に通り抜ける。
穏やかな昼下がり。
携帯を取り出し着信を確認した。
その時、誰かに声をかけられる。
「こんな所で何をしてるんですか?」
見覚えのある声。
妻だった…
【何で、ここに…】
「こんな所で何してるのよ?」
俺は何も言えず視線を下に下ろした。
「待ち合わせかしらね?」
妻は俺の顔から視線を反らさない。
「ねえ!ちゃんと顔を見てよ!!見れない様な事してるわけ!!」
妻の声が静な駅に響き渡る。
改札の窓口から駅員が慌てた様子で顔を出す。
「違うんだ…」
俺はそう言うのが精一杯だった。
「違うって…用も無くここへ?」
妻が呆れた様子で笑う。
「人をバカにしてる訳?」
妻が再び大きな声を出す。
「とりあえず帰りましょう。話したい事もあるし…」
妻はそう言うと改札口へ入っていた。
俺はただ妻の背中を追うしか無かった。
妻は俺に振り返る事も無く足早に歩く。
俺の甘えなのか…
ちゃんと話せば分かってくれる。
許してくれると、妻の愛情を過信していた。
家に着きコートを脱ぐと妻はエプロンを手に取りキッチンに入った。
俺はソファーに座ると上着を脱ぎ妻の様子を伺う。
暫くすると妻は無言で俺の側に来てテーブルにコーヒーの入ったマグカップを置いた。
家に帰るとまず妻が俺にコーヒーを入れる、いつもの光景。
そしてすぐにキッチンに戻る。
俺はテレビ、エアコン、加湿器を点ける。
いつもと同じ何も変わらない光景なのに、互いの心は1つも重なりはしなかった。
妻は忙しくキッチンを動き回る。
ソースの匂いが立ち込める。
「出来ました。」
妻は食卓のテーブルに俺を呼んだ。
テーブルにつくと焼きそばが置かれていた。
俺の方の皿だけ紅しょうが多く盛られている。
俺の好物。
紅しょうが多めの焼きそば。
こんな時にこんな[もてなし]をされては俺の甘えはどんどん膨らむ。
「ごめんな…」
俺の言葉に妻は目を合わせず
「先に食べてしまいましょう。」
と点っぱなしのテレビを消した。
静かな部屋で無言で食べる食事。
夜になる頃には笑顔で居られると俺は簡単に思っていた。
食事が終わり食器を片付けると妻が席に着く。
向かい合う妻が俺の顔を見る。
「あなたはどうしたいのか聞かせて下さい。」
「どうしたいって?」
「私…。」
妻は俺と川島さんが会ったのを俺から聞く前から知っていたとだけ言った。
そして大きく深呼吸をして隠れて誰かに会う俺を信用出来無いと言った。
「隠れてとか…そんな事思ってないよ!」
「じゃ何で?何で私に話さずに私の居ない時に会いに行くの?」
俺は何も言い返せず妻の顔から視線を反らす。
自ら疑いのドツボにはまる。
妻は沢田と言う女を使って迄、川島と言う女に会いたいのかと俺を睨み付けた。
俺の中で何かが弾ける。
「言い方に気をつけろ!!」
俺は大きな声を出し勢いに任せてテーブル叩いた。
大きな音と共にテーブルが揺れ妻が目をつぶった。
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