とにかく、なんにでも自己流がある人だった。
ｼﾞｰﾊﾟﾝは一点ﾓﾉ、ｱｸｾｻﾘｰは気に入ったﾌﾞﾗﾝﾄﾞ以外は身につけない、食事する店も毎回決まっていた。

彼と出会ったのはよく行くｸﾗﾌﾞだった。
私にとっては顔なじみばっかりいるｱｯﾄﾎｰﾑな空間なのに、彼は一人ぽつんと少し寂しそうにそこにいた。
高めの椅子に座って、お酒の入ったｸﾞﾗｽを見つめながらｶﾗｶﾗとまわしていた。

(一人で来たのかな)
そう思いながら少し離れたところにいる彼をちらちらと観察した。
(うん…なかなかｶｯｺｲｲし外見は好み!あとは話してみて…)
と、そのときは何故か声をかけることを考えていた私。

所謂、逆ﾅﾝなんてしたことすらなかった私が。

そして私はすくっと椅子を立ち、彼のほうへ歩いた。

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No.3 10/11/23 18:31
ＣＯＣＯ ( ♀ iE4snb )

彼の横には同じ椅子が二つ、壁にそって置いてあった。
私は彼の隣ではなく、ひとつ分空けた端の椅子に座った。

座ってしばらくは私もフロアを見ながらお酒を飲む。本当に彼が一人か確かめたくて、時間をおいたのだ。

しかし彼はやはり一人で来たような様子で時折、ふぅーっとため息をついてはお酒を飲み、を繰り返していた。

(なんか、寂しそう…)

「お一人で来てるんですか？」

私は遂に声をかけた。