生きる意味2
生きる意味の続きです。
更新も遅くダラダラと書いてる文章ですが良かった前回に続きよろしくお願いします🙇
いつも読んでくれてる皆様へ✨
生きる意味2になりました。長くてごめんなさい💦なるべく更新頑張って早く完結頑張りますので最後までお付き頂ければ嬉しいです😃
また感想レスにもコメント頂ければ嬉しいです✨
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荷造りが終わりがあたしは義父や義兄妹に挨拶をした。
そして義母にも…
『短い間でしたがお世話になりました。』
『本当っ、貴方に振り回されたわ。これで縁が切れると思ったら嬉しくなっちゃう。』
もうここまで嫌われ、嫌味を言われるとある意味笑えてくる。
何故ここまで嫌われたか…
今だに考えても答えは出ていない。
『この離婚届けは今日帰る途中に役所に出しておくから。』
ハルは青ざめた顔で昨夜に続き土下座をした。
『優!!頼む!!もう一回考え直してくれ!これからはちゃんとするから!子供の面倒も見るし、暴力も奮わない!オカンからも守るから!頼む!』
必死に懇願するハルをあたしは冷めた目で見ていた。
あたしの中ではどうして今更…
そういう感じだった。
確かに義母はかなりキツイ性格だった。
正直あたしは人として同じ女として義母の事は軽蔑してるし大キライだ。
確かにこの生活に耐えれない理由に義母の事も入ってはいるが、離婚する原因全てが義母のせいとは思わない。
むしろ義母の事はハル次第でどうにでもなったかも知れない。
散々知らん顔して来て離婚になった途端に全ての責任を義母に押しつけるハルに無性に腹が立った。
『いい加減にしてよ!子供じゃあるまいし何でも親のせいにしてる場合じゃないでしょ!』
あたしの声に驚いたハルは黙りこんだ。
『お義母さんだけのせいじゃないでしょ…?ハルがあたしや子供達から逃げてたんじゃない…面倒くさい事に背を向けてきた結果が今なんだよ。人のせいばかりにしないで…』
義母もハルも黙っていた。
『もう美月着くから…。』
『ほら!ハル!こっちから別れてやるんだからそんな情けない事しない!』
座りこんでいるハルの腕を持ち、立ち上がらそうとする義母をハルは振り払った。
『ほっといてくれ…』
『もう!何なの!この子は…優!あんたのせいよ。ハルはこんな子じゃなかったのに…あんたと結婚したから変わったのよ!』
『もう止めろよ!』
『とにかく今までありがとうございました。美月が来るまで部屋で待たせてもらいます。』
あたしは頭を下げリビングを出た。
あのままリビングに居ても同じ事の繰り返しで意味がない。
ハルに離婚を止められ…
義母には責められ嫌味を言われる…
もう何を話しても無駄だった。
しばらくすると美月から電話が掛かってきた。
『優~今着いたよ。荷物あるでしょ?運ぶよ♪』
『わざわざごめんね。ありがとう美月♪助かります。今行くね。』
優心を抱き玄関外まで出ていくと美月が笑顔で待っていてくれた。
その顔を見ると涙が込み上げてきた。
ぐっと泣くのを我慢していると
あたしの顔を見て気持ちを察してか美月は優しくあたしの頭を撫でた。
『よく頑張りました。大変だったね。』
その言葉でもう涙を堪える事が出来なかった…
ただ黙ったまま涙を流すあたしを
美月も黙ったまま頭を撫で続けた。
あたしが少し落ち着くと
『話は車でゆっくり聞くからねっ♪だからこんなとこから早く立ち去ろっ!』
あたしは頷き美月と荷物を運んだ。
部屋で美月と荷物を運ぶ準備をしているとハルが入ってきた。
美月はハルを見るなり『優がどうもお世話になりました!!』
と、低い声で睨みながら言った。
ハルは黙ったままあたし達の事を見ていた。
『優心…』
ハルが珍しく優心を抱こうとしたが優心は激しく拒んだ。
首を横に振りながらあたしのそばに駆け寄った。
『ハル…これが現状だよ。今まで優心に見向きもしなかったよね。面倒みてくれた事も遊んでくれた事も数える程だよ。今さら優心が喜んでハルに抱かれる訳ないよね。』
黙って俯くハル…
『ハルにとって優心はあたしと結婚する為の道具だったんでしょ?だから…結婚してしまえば優心も…
そしてあたしも用はなくなったんだよね!!』
今まで頑張って抑えてきた感情がとうとう抑えきれず激しい口調でハルに思いをぶつけた。
『そうだよ…優が悪いんだ。俺が浮気したのも優が優心の事ばっかだから寂しくて浮気したんだよ!俺は悪くない!!だから離婚はしない!!』
訳の分からない言い訳ばかりするハル。
もう話にならないと思いあたしも美月も何も言わずに黙々と車に荷物を運んだ。
ハルはずっとブツブツ言っていたがそれも無視した。
そして、全て運び終わった時にゆきが現れた。
『お義母さんに聞いてくれた~?私あのドレッサー欲しいから置いて行ってくれな~い?』
相変わらずイライラするブリッコな喋り方にあたしはムカついていたが
あたし以上に美月が怒っていた。
美月はあたしの耳元で
『あいつ?ハルの浮気相手?』
と、聞いてきた。
あたしが頷くと
『もっとマシなん居なかったんか?』
美月の言葉に思わずあたしは吹き出した。
それでも美月はさらに続けた。
『あんたハルと結婚したいわけ?』
『したいわよっ!ハル君の事好きだもん!お義母さんも私なら良いって言ったもん!』
勝ち誇った顔で言い返すゆきにあたしは話した。
『ゆきさん、あたしは妊娠するまで家の仕事を手伝いながら朝は5時に起きて義兄妹達のお弁当を作り、家の家事は全てあたしがしていました。お義母さんは家事が苦手なので何もしませんよ?何もしないけど口は出してきますよ。』
あたしの話を聞き一瞬ゆきは黙ったが
『だ…大丈夫よ!あんたは嫌われてたからそういう扱いだったの!あたしは好かれてるから大丈夫よ!一緒にしないで!』
『そうですか。なら良いんですけど。頑張って下さいね。』
あたしはそう言ってゆきに微笑んだ。
『美月そろそろ行こっか。役所にも寄って色々と手続きしたいし。』
『そうだね。こんな所にいつまでも居ても優が嫌な思いするだけだしねっ!』
あたしは優人を
美月は優心を抱き、車に向かった。
玄関では義母が待ち構えていた。
【また何か言われるんかな…面倒くさいわ…】
心の中でそう思いながら
『じゃあ、あたし行きます。お世話になりました。』
そう言って頭を下げた。
『はいはい。さよなら。』
そこにゆきが来て
『お義母さ~ん。この2人が意地悪な事言うんです~』
義母に泣きついたが義母はこれまでと打って変わって冷たくあしらった。
『そんな事、私に言われても知らないわよ!優もこうして出て行ってくれたからあんたにも用はないの!!』
義母の仕打ちにゆきは唖然としていた。
『そ…そんなぁ~お義母さん急にどうしたんですか…?』
『あんたにお母さんなんて呼ばれる筋合いないわよ!』
ゆきは泣き出した。
『ゆ…うぅぅ…』
かすかに聞こえるハルの声も無視した。
走り出した車の中で何故か涙が溢れ…
止める事が出来なかった。
『優…?大丈夫…?』
心配そうに美月が話かけた。
『ハルと別れる事が悲しいんじゃないよ。ただ…どうして…こうなちゃったんだろうって…。
幸せな家庭に憧れて、子供も二人授かって…これからなのに…
優心にも優人にも申し訳ないと思ったら…何か泣けてきちゃったよ。』
『そうだよね…あたし達は人一倍、普通の家庭に憧れが強いから…こういう形になったら人一倍、辛いよね…』
美月はあたしと同じ少し複雑な家庭環境で育った。
あたしと違い本当の両親だが出来のいい姉ばかり可愛がり美月にはほとんど目もくれなかった。
着るもの、食べるもの、与えるもの、全てにおいて姉と美月の差をつけた。
【お姉ちゃんさえ居れば美月はいらない…】
両親が口癖の様に美月に言った言葉だった。
夜の仕事も自分が思っている程ブランクは感じなかった。
嫌な事があっても優心や優人の顔を思い浮かべると耐える事が出来た。
そうやって頑張り、離婚から半年がたった頃にあたし達は美月の家を出て近くのハイツに引っ越しした。
半年間、美月のおかげで引っ越し費用なども貯められたし、精神的にも肉体的にも助けてもらった。
美月はずっと居てくれたらいいと言ってくれたがいつまでも甘える訳にはいかない。
きちんとケジメをつけたい。
そう思い引っ越しを決めた。
だけどお互い行き来しやすいように美月の家から近くの場所に決めたが、たったそれだけでも凄く心強かった。
後は昼間の仕事を見つけなきゃ…
あたしは少し焦っていた。
そして…
34社目の食品工場に面接に向かった。
面接では素直に自分の状況を話した。
小さい子供がいる事。
子供が病気になったら面倒見てくれる人が居ない事。
嘘をついて雇って貰っても意味が無い。
後々で会社に迷惑かけるだけ…
そう思いあたしはきちんと話した。
すると面接をしてくれた社長と奥さんは
『パートで良かったらいつ休んでくれても構わないし、休日出勤もしなくていいよ。それで良かったら明日から来てよ。』
『本当ですか!?パートでもいいです!よろしくお願いします!!』
正社員じゃないけれど子供の事考えれば病気なった時に休まして貰えるのはありがたかった。
さっそくあたしはクラブを辞めさせてもらい昼の仕事だけに専念した。
気さくで優しく、時に厳しく保護者にも接してくれる大好きな園長先生だった。
平日に仕事が休みだったある日、あたしが保育園に送って行くと園長先生が職員室から出てきた。
『優、今日時間あるならちょっと中でコーヒーでも飲もう。』
優しく声を掛けてくれた。
田舎のアットホームな保育園だったのであたしは先生達ともかなり親しくなっていた。
あたしは職員室に入り先生の入れてくれたコーヒーを口にした。
『何かあるなら聞くよ。一人で溜め込んでたら病気になって優心達も可哀想だよ。』
あたしは黙って俯いていると
『最近の優の様子見てたら誰でも分かるよ。前と全然違う。育児だけじゃなくて悩みがあれば言って。解決できるように一緒に考えるから。ねっ。』
優しくそう言われ、涙がこぼれ落ちた。
あたしはとりあえず今の辛い状況を泣きながら話した。
先生はあたしの背中を擦りながらゆっくり話を聞いてくれた。
全てを話終えた後、先生は優しく話をしてくれた。
『よく話してくれたね。辛かったね。よく頑張ったよ。でも優ちょっと頑張り過ぎて疲れちゃったんだね。頑張り過ぎなくていいからもう少し肩の力を抜いてごらん。』
黙って頷くあたしに先生は続けた。
『それとね、心の傷や心の病気は目で見えない分、人には理解してもらいにくいし自分自身も気付きにくいものなの。優、一回心の専門の病院に行ってみるのも先生良いと思うよ。怪我をした、風邪をひいたと同じ事で心が傷付いているなら治して貰おうよ。それは恥ずかしい事じゃないよ。』
当日、精神科や心療内科などに行く事が恥ずかしい、変な目で見られないか…
そう思っていたあたしの心を読んだかのように先生はあたしに諭した。
病院に通ってる事や
不安になるとお酒や薬を飲み手首に傷をつくる事
何でこんな気持ちになったかを美月に話した。
美月は静かに話を聞いてくれた。
『優…もっと頼って来てよ。あたし何のために近くに住んでるんよ。』
『ずっと…美月には…迷惑かけっぱなしで…これ以上…情けない自分を見せるのが…恥ずかしかった…ごめん…』
泣きながら謝るあたしを抱きしめ
『一人だと思うから余計に精神的に不安定になるんだよ。一人で優心達抱えてるんだから頼れる人がいるなら頼ればいいの!甘えれる人がいれば甘えればいいの!じゃなきゃ優だけじゃない、優心達も可哀想なんだよ!』
久しぶりに人に甘えて泣いた気がした。
何ヶ月間か病院に通い診察やカウンセリングを受け続けた。
時間をかけてやっと診断された病名は
PTSD【心的外傷後ストレス障害】
と診断された。
今苦しんでる事は過去に負った心の傷から引き出された色々な症状だった。
例えば不眠…
寝ている時に暗闇で殴られた過去を心が忘れられない。
だから暗闇が怖い、夜が怖い、眠れない…
大きな声や音を聞くと動悸が激しくなり呼吸がしにくくなる…
怒鳴り声や物が壊れる音…幼い頃の恐怖が今も残って起こる症状。
他にもいくつか先生は話をしてくれた。
今はまだパニック障害までには至っていないが症状が進むとそうなる可能性もあると…
そうならないようにこれ以上ストレスを溜めない、頼れる人がいるなら話を聞いてもらい甘えられる事は甘えるなどの改善策を教えてもらった。
ある日の休日、美月と優心達と河原にバーベキューに出かけた。
あたし達の他にもたくさんの人で賑わっていた。
その賑やかさに優心達は興奮し、あたし達はバーベキューの準備に取り掛かったけどなかなか思うようにいかなかった。
まず炭に火が点かない…
意外と不器用な二人(笑)
悪戦苦闘してると誰かが声をかけてくれた。
『どうしたんですか?』
声をかけてくれた男の人に炭に火が点かない事を話した。
『着火材持ってないの??俺達あるから点けてあげるよ。』
そういい近くで大人数でバーベキューしてる方に向けて叫んだ。
『おーい!ヨシ!そこにある着火材持ってきてくれよ!』
一人の男の人が着火材を持って近づいてきた。
その人の顔を見てあたしは驚いた。
『かっ…香取さん!?』
いつも会社で声をかけてくれた運送会社の香取さんだった。
話をすると香取さんは運送会社のバーベキューに参加していたようで偶然の出会いに驚いた。
『え?ヨシ知り合いなの??』
始めに声をかけてくれた男の人が香取さんに尋ねた。
『俺がいつも行ってる会社の人だよ。』
口数少なく説明してる彼を見て仕事で会社に来てる時と同じだと思い裏表のない人なんだなぁと何だか嬉しかった。
『じゃあ俺達の所で一緒にしようよ。女の子二人だったら片付けも大変だよ。』
『いえっ!そんなご迷惑な事出来ません。火だけ点けてもらえれば後は大丈夫です!』
そう言ったけどあんまり大丈夫な自信は無かった…(笑)
『そう言わないで!ヤローばっかで面白くなかったんよ。ほら!ヨシからも言えよ~』
『女の子だけじゃ片付け意外と大変だから嫌じゃ無かったら一緒に…。』
彼の同僚と比べ対象的に控えめな彼が何だか可愛かった。
あたしがそんな事を思ってると
『じゃあ…お言葉に甘えてご一緒していいですか?』
いきなり返事した美月に驚いていると
『オッケー!じゃあ行こう!』
あたし達の荷物を持ち彼達は先に歩いた。
個室に通され色々と注文を済ましみんなで乾杯する事にした。
『久しぶりの再会に乾杯~!』
西山さんに続き優心達も
『ぱんぱーい!』
と、小さいコップを高くあげて喜んでいた。
次々に運ばれる料理を口に運びながら美月と西山さんはわいわい話していた。
あたしはどうしていいか分からず美月達の会話に頷きながら子供達にご飯を食べさせていた。
そんな中で気まずい雰囲気を感じた西山さんが香取さんに話かけた。
『香取!優ちゃんに言わなきゃいけない事あったやろ』
その言葉に思い出したように
『あっ!そうだった。別の仕事になったから優ちゃんの会社に行かなくなったんよ。時間帯も変わって夜中から仕事で…連絡交換したのになかなか連絡出来なくてごめんなさい。』
えっ!
あたしは香取さんの話を聞いて妙な気持ちになった。
【避けられて無くて良かった…】
そんな感情が溢れ出した。
そんなある日。
美月と一緒に家でご飯を食べていたら
『ねぇ…優。
あたし、西山さんに告られた。』
突然の美月の告白にコントのように思わず持っていた箸を落としてしまった…(笑)
『えーっっ!!本当に!?うっそ!?いつ??』
『ちょっ…ちょっと落ち着いてよ!優!』
あまりのあたしの驚きぶりと追及にビビる美月(笑)
『昨日…電話で。
初めはいつものようにたわいのない会話だったけど、いきなり真剣な口調になって…びっくりしたよ』
『それで??美月何て返事したの??』
西山さんはチャラく見えるけど凄く気配りの出来る人だし、面白く優しい。それにイケメン(笑)美月ともスゴイお似合いだと思っていたからあたしは驚いたけれど嬉しかった。
『んー。
ちょっと考えさせてって言った。あたしも西山さんと遊んだりするの楽しいし、気にはなってるんだ。だから優に相談しようと思って。
西山さんもゆっくり考えてって言ってくれたよ。』
美月も見た目は派手な感じの今時の女の子だけど中身は芯のしっかりした真面目な子だからこそ慎重になったのだと思う。
『そうだね。ゆっくり考えさせてもらったらいいよ。まずは友達からでご飯とか遊びに何回も行ってからでもいいと思うよ。あたしは美月と西山さんはお似合いだと思うよ♪』
『そうだよねっ!西山さんにはそんな風に返事するわ♪前向きに考えてみる♪』
美月はきっと西山さんがスキなんだ。
西山さんの話をする時の美月の顔はスゴイ恋する乙女の顔だった。
あたしはちょっと羨ましかった。
『優はどうなのよ?香取さん♪♪あたしも香取さんと優はお似合いだと思うよ♪』
突然の美月の言葉に一瞬戸惑い
『あたしは…優心達も居るしね。愛だ恋だ言ってたら優心達に悪いし…
それに子持ちの女なんか香取さんにも悪いよ』
そう言って笑ってみた。
『そんな事ないよ!そんな言い方したら優心達にも香取さんにも失礼だよ!』
美月はちょっぴり怒った口調で続けた。
『子持ちの女は恋しちゃいけないの?そりゃ、子供をほったらかしにして男とフラフラしてるような女はダメだよ!
でもさ、子供も含め愛してくれる人が現れたら恋愛したっていいんじゃない?
ドラマのようにそんな簡単に子供も含め愛してくれる人なんてそんなに居ないと思うけどそんな人に出逢えたら美月には幸せになって欲しいよ。』
美月は優しくあたしに笑いかけた。
美月の言ってる事は分かってる。
でもあたしは自分の幼い頃と優心達を重ねてしまう。
初めはニコニコして優しくても所詮は他人の子供。気にいらなかったら殴ったり蹴ったり苛められる…
あたしみたいに。
数日後。
美月から電話でご飯の誘いがあった。
『西山さんからご飯行こうってメールきたよ。優や優心達も一緒にって♪香取さんも来るから♪』
正直…
逢いたい!って思ってしまった。
だからこそ余計に逢ったらこの想い止まらなくなるかも…
ハッキリと香取さんがスキだ…って自分を止められなくなりそうで怖かった。
『うーん。美月と西山さん2人でご飯行きなよ。せっかくのチャンスじゃん!』
あえて美月と西山さんを理由に断ってみたけど、あたしの事を良く分かってる美月にはバレバレだった。
『怖い?優。
香取さんを好きになりそうだから?好きって認めてしまうから?だから逢いたくない?』
心を見透かされたようだった。
『それもある…
あたしは恋愛なんかしちゃいけないの。これ以上、浮かれた気持ちになりたくない。』
美月は少しため息混じりで
『ん…分かったよ。あんまりあたしが色々言っても優の気持ちもあるし、今回は優は用事あるからって断っておくけどあんまり深く考え過ぎないでよ。』
『分かってる。ごめんね。』
美月との電話を切った。
平凡な幸せ…
そんな矢先、順調に頑張っていた仕事場で異変がおきた。
あたしは、こんな悪条件の自分を雇ってくれた会社にスゴく感謝をしていた。
少しでも雇ってもらった恩返しがしたいから仕事も一生懸命に覚えた。
人に嫌われるのが嫌いなあたしはいつもニコニコしてみんなが嫌がる大変な仕事も笑顔で引き受けた。
そうしていく中で上司や社員、パートのおばちゃんからは厚い信頼を得てとても良くしてもらった。
それが一部の女の人の反感を買う事になってしまった。
あたしより少し前から働いていた同じ条件のバツイチ子持ちの3人組だった。
あたしより歳上のその人達は遅刻や無断欠勤は当たり前。
注意されればふてくされる。
口癖は『パートの安い時給で一生懸命になんて働けないわ。』
あたしはそんな3人組とは初めから合わずあまり関わる事は無かった。
そんな彼女たちと正反対なあたしは彼女たちからしたら目障りだったのだろう…
次第に辛い仕打ちを受けるようになった…
同じパートでスゴく仲良しのりさちゃん。
りさちゃんとは親子くらい歳は離れているけど、若くて話しもスゴく合って面白いりさちゃんをあたしは大好きで、いつもお昼を一緒にしていたり、メールをしたりしていた。
そんなりさちゃんが昼休みに
『何かあの子らが優ちゃんの悪口を言ってるのを耳にしたんよ…何かあったの?』
『ん…何か良く思われてないみたい…
悪口ってどんな事言ってた?』
『優ちゃんと仲良しなのを知ってるから私にはあの子らも直接は言ってこないけど、悪口って言うかイイコぶりっこしてるとか…生意気でムカつくとか…ほんとくだらない事ばっかみたい。』
『そうかぁ…何か嫌われてるんかなって思った事はあったけど…あたしもあの人達が苦手だから嫌な思いさせたのかも知れないから気を付けるわ。』
初めはそんな感じの些細な事だった。
あたしはそんなレベルの低い人に負けたくない!
そんな思いで嫌がらせされても、辛くても仕事を続けた。
周りはもちろん口ばっかり動かし仕事の出来ない3人組よりもあたしを信頼してくれた。
勤め始めて1年後にはあたしが配属になった部署のサブリーダにまでしてもらった。
サブリーダになれば少しだけど時給もアップした。
あたしは自分の頑張りを分かって貰えた嬉しさからますます仕事を頑張った。
それを余計に気に入らない3人組は仕事を終えた後にあたしを呼び出した。
『あんたマジで生意気!』
そう言いながら髪の毛を引っ張られた。
『ちょっ…痛い!止めて!』
『後から入ってきてサブリーダ!?ふざけるな!ちょっと若いからって調子にのるなよ!どんな手使って媚びたんだよ!』
『媚びてなんかいない!ただ一生懸命に仕事しただけです!その結果です!』
『ちっ!生意気!』
3人組のリーダー格があたしの頬を叩き
『こうゆう女の多い職場でしゃばる事したらこうなるって事分からしてやるよ!』
それからは3人に殴られ蹴られ暴行を受けた。
『言っとくけどこれはお前が悪いからした事だからな!人に言ったらもっと酷い目に合わす。それが嫌なら辞めろ!』
怖かった。
3人共、狂ってる…
そう思った。
その日はとても優心達を迎えに行ける状態じゃなく、美月に電話した。
『美月~忙しいとこゴメン!もし行けるなら優心達のお迎えお願いしたいんやけど…』
『OK♪OK♪あたし今日出勤遅いから行けるよ~迎えに行って家で待ってるわ♪』
『ゴメン!お願いします!』
とりあえずあたしは落ち着き、まずは傷の確認をした。
さすがに顔や見えるとこに目立った傷は無かった。
ただ服に隠れてる部分はあちこちが痛かった。
そんな痛みより殴られた事で過去の暴力を思い出し手足が震えてた。
痛みより怖さが大きかった。
あたしはしばらく放心状態で座っていた。
何で頑張ってもこんな目に合うのか…
やっぱりあたしは幸せになれない…なっちゃいけないのか…
克服すべく頑張り周りに支えられ徐々に癒されてきた心の傷をこじ開けられた思いだった。
ある日の事だった。
お昼休憩中に見知らぬ女性がわたしを訪ねてきた。
あたしは事務所まで行くと見た事もない女性にいきなり平手打ちをくらった。
あたしを始め事務所にいた人達全員が驚いてると女性は叫び狂った。
『この泥棒猫!ちょっと若くて可愛いからって人の旦那に手出していいのかよ!』
『………!?ちょっ…ちょっと待って下さい!言ってる意味が分からないんですけど!』
『とぼけるな!教えてくれる人もいるんだよ!お前なんか人間じゃないよ!』
『ほんとに!本当に言ってる事が分からないので落ち着いて説明して下さい!』
事務所にいた男の人が女性を止めてくれ
『とりあえず落ち着いて下さい。こちらでお話して下さい』
と、あたしと女性を応接室に通してくれた。
女性はかなり興奮した様子だった。
専務が来てくれ3人で話しをしたらその女性は坂本さんと言う50代の男性社員の奥さんだった。
専務がどうしたのか訳を聞くと
前々から坂本さんが浮気してると疑っていたが昨日見知らぬ人から電話がかかってきたらしい。
そしてその人に
『ご主人浮気してますよ。相手は同じ会社の優と言う若い子持ちの女です。その女かなりのしたたかな女なので奥さん捨てられてご主人その女と一緒になる準備してますよ。』
なんか漫画みたいな話にあたしはバカバカしくなった。
『私、坂本さんって方と部署も違うし正直な話顔もほとんど知らないんですけど。』
『もうここまでバレたのにまだシラを切るき?!主人が浮気してるのは薄々気付いてたのよ!それに会社内の女じゃないかって疑ってたわ!』
『いい加減にして下さい!!証拠はあるんですか?!専務!坂本さん呼んで下さい!』
あたしは電話をかけた相手が誰だか分かっていた。
そして坂本って男が浮気してるのも社内では有名な話。
あたし自身、坂本がどんな人か顔すら分からないけど浮気してるって言う話は知っていた。
何故なら
浮気相手は3人組のリーダーで不倫してる事をベラベラ喋り回ってたのも当事者のその女だった。
『浮気してるって言うのは本当の事か?』
重い空気の中専務が口を開いた。
『いやっ…えーっと…その…浮気と言うか…あー…何て言うか…』
しどろもどろはっきりしない坂本に専務が怒りだした!
『ハッキリしろ!君のせいで巻き込まれてる人もいるんだよ!こんな風に奥さんにまでこんな事させてけじめをつけろ!見に覚えがない事ならハッキリ否定しろ!』
普段温厚な専務の怒鳴り声に坂本は驚いた。
『坂本さん!私本当に坂本さんと不倫なんかしてないですよね?ハッキリ言って下さい! 』
『奥様!私の元旦那は私が妊娠中に浮気をしました…それも離婚理由のひとつです。浮気で自分が傷つき苦しんだのに…よそ様のご主人に手を出すような事はしません!』
あたしは坂本と奥さんにそう話した。
『失礼します…』
少し怯えながら田中が入ってきた。
『そこに座って。
何で呼ばれたか分かってるだろ?』
『………………。』
専務の問いかけに黙る田中。
『あたなが主人の愛人ですか?』
落ち着き毅然とした態度で奥様は話した。
『何の事ですか?言ってる事が分かりません。』
始めこそシラを切ろうとしていたが持ち前の非常識さですぐに開き直った。
『バレちゃいました?』
悪びれず笑う田中に同じ女として嫌悪感が湧いた。
『じゃあ、電話もあなた?優さんのせいにして?』
奥様の問いかけに
『そう!すぐばれちゃったか~』
『初めは信じたけど優さんと話してて違うって分かったわ。そしてあなたが来てすぐに愛人って分かったの。あなたはその程度のレベルよね』
うっすら笑いなら淡々と話す奥様にあたしはゾクッとした。
怖い訳じゃなく、凄い…妻の貫禄と言うか何とも言えない感情だった。
その言葉を聞き、田中は立ち上がり
『何を!何であんたにそんな失礼な事言われなきゃいけないの!!』
どーして浮気女って自分は失礼な事するくせに
自分がされたり言われたりしたら猛烈に怒るんだろう…
謎だ…
そんな事を1人冷静に考えてた。
『まぁまぁ…落ち着いて…話ししょうよ…』
情けない声で坂本は言った。
『田中さん、あなたどうしたいの?この人と一緒になりたいの?』
『もちろんです!奥さんさえ別れてくれたらすぐにでも結婚しますよ!』
『ちょっ…ちょっと待ってくれ!俺は妻とは別れないから!別れるなら田中くんと別れるよ!!』
『何言ってんの!?奥さんとは別れて私と結婚したいって言ったでしょ!』
3人で話している間、あたしは専務と黙って話しを聞いていた。
結局、坂本は奥様を選んだ。
当たり前だけど失いそうになってから大切だったと気付くなら何故その前に気付いくれないのだろう…
そうすれば誰も傷つかなくて済むのに。
田中は納得いかないのかずっと文句を言っていた。
『なんで!?私の方が好きじゃなかったの?嘘つき!!』
専務は凄い怖い顔をして
『いい加減にしろ!これ以上騒ぐならもう来なくていいぞ!それが嫌なら悔い改めてキチンと仕事をしろ!』
『坂本!お前も二度と奥さんや家族を泣かす事をするなよ!次こんな騒ぎを起こしたらクビだからな!』
坂本は立ち上がり
『もちろん分かっています!これから一生懸命に働かせて頂きます!!』
そう言って奥様共々、頭を下げた。
あたしにも坂本と奥様は頭を下げてくれた。
田中だけがふてくされた態度のままだった。
西山さんと美月が仲を取り持ってくれ香取さんとお付き合いする事になった。
義父やハルの事で男なんてこりごりしてたのに…
自分でも勝手な女だなぁ…
懲りない女だなぁ…
そう思った。
香取さんはあたしより一回り年上だった。無口だけど優しく年上だけど母性本能がくすぐられる…そんなタイプだった。
何より香取さんと付き合うと決めたのは優心達を大事にしてくれた事。
それは、付き合う前も付き合った後も変わらなかった。
正直離婚してから会社の人や昔のお客様など何人か告白された。
どの人もみんな取って付けたように優心達の事を大事にするから!自分の子供だ!…そう言った。
あたしは何故か軽々しく言われる事が信用出来なかった。
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83レス 2902HIT 小説好きさん -
猫さんタヌキさんさくら祭り
そこのお寺の和尚さんは太鼓の名人といわれてます。そのためタヌキさんの太…(なかお)
2レス 80HIT なかお (60代 ♂)
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🌊鯨の唄🌊②4レス 130HIT 小説好きさん
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人間合格👤🙆,,,?11レス 128HIT 永遠の3歳
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酉肉威張ってマスク禁止令1レス 134HIT 小説家さん
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今を生きる意味78レス 512HIT 旅人さん
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 958HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 130HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 128HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 134HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1398HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 512HIT 旅人さん
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注目の話題
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まだ10時すぎなのにw
友達2家族と家で遊んでて別れ際に外で少し喋ってたら 近所の人に、喋るなら中で喋って子供も居るようだ…
45レス 2112HIT おしゃべり好きさん -
彼氏と会話が弾まない どう聞くか
彼氏とはあまり会話(雑談)が弾みません。 最初の方は私が異様に緊張していて、上手く話せないし話…
31レス 663HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) -
私はいい人じゃないです。
私は子なしの既婚者です。学生の頃にいじめた人達が今も独身だとざまぁと思ってしまいます。 私と仲…
16レス 537HIT 匿名さん -
電車の混雑時にスマホ。どうおもう?
くそ迷惑だと思ってます。 空いてる時は良い。空間があるから邪魔にならない。 だけど混雑時…
19レス 434HIT 相談したいさん -
結婚したもん勝ち?
30過ぎて子供いない独身の男女は、世間から人間的に問題ありとみなされること多いですよね。 でも…
8レス 248HIT 結婚の話題好きさん (20代 女性 ) 1レス -
彼氏の雰囲気がおかしい。本当のところを教えて下さい。
見てくださりありがとうございます。 最近彼氏が浮気をしてるのではないかと不安です。質問がいくつかあ…
7レス 249HIT 片思い中さん (20代 女性 ) 男性レス限定 - もっと見る