プロセス

彩子っ（サイコ）

さいちゃーん

明日、何して遊ぶ？


温泉？ゴルフ？買い物？


毎日、あなたは湯水のように、お金を流して…
私の心に安心感を与える

愛を形にしたらセックスとお金になってしまう。

と言うあなた。

じゃっ後でと電話を切る…


今から愛人と夕食らしい。
もう何年経ってるんだろう…

あれ、明日は３日じゃない…
だからね…
今夜は遅くなるな…
私は、ゆっくり、お風呂に入り、丁寧に丁寧にボディローションで全身を整えた。

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ピンポン、ピンポン、ピンポン。

モニターに映るいつもの姿、無言でロック解除。
鍵は持たない主義…
時に、めんどくさいが大切にされてる実感の方が強い、

お帰り。と同時にコーヒーの準備
ドリップの途中で、

さいちゃん明日はダメだ、３日だった。


私もさっき思ってたよ

しょうがないか…
うん、やっぱり さいちゃんのコーヒーが１番美味しい…

あなたが大好きだからよって言葉にはしない。
昔のように、何食べたの？なんて聞かない…興味もない。


私はいつから、大人になったんだろう…
目の前にあなたがいる、それが全てと…
余裕な心は、実際私を年齢より若くした。


今夜も抱かれる…

隅々にあなたの口元が這う
応える…
堪えきれない…
私は果てる…

いい女…
あなたの声が遠くなる
…… 朝、すっかり寝坊な私。
あなたの姿は当然無し。

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シャワーを浴びながら今日の予定をあれこれ巡らす…決めた。
髪のカットと買い物。

社長、会長と数社もあれば自由三昧ともいかない。
毎月３日から数日で必要な事をこなす。

あなたの築き上げた財産のお陰様ねと…
頭の中は既に洋服選び。

携帯が鳴る

お前大丈夫？
弱いな お前。
面白くないよ…
満足気な甘え声。


気を付けて行けよ。

はぁい お返しの猫なで声。

エキサイティングな出来事なんて…
ある訳ないと思ってた。

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案外？ 絶対？
拘束されてる


１人で外出も落ち着かない…


どっぷり依存？

携帯が鳴る。

今、どこ？


お茶してる


いい買い物は出来たかい？


欲しい物は無かったの…


夕食は大丈夫か？


気にしないで適当にするから。


落ち着かないのは、この着信…

後２回は鳴るでしょう

あなたは私を
信用してはいない。

でも、離れない。
違う、もう離さない。

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そうでしょ？

俺の物だもの…


私は10年振りにあなたとの生活。


呑気に

俺達、新婚さんみたいと笑ってる


優しい眼差しに癒されているのに…
素直にウキウキしてるのに…



この10年愛人の人生をかけた愛にあなたはどっぷりと浸かってきた…


愛され過ぎて、あなたは退屈を生み出した


あなたは私との生活に平穏無事なんて望んでない。


あなたの計画に巻き込まれてゆく


私を試すような計画に。

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コーヒーの香りの中で、さっくりお互い身支度を整えたら、車で二時間程度の温泉に出発。

朝の軽い渋滞も終わって、一般道も高速もスムーズなドライブ…


数日の業務終了までの絡み不足を解消するべく


一泊のプチ旅行。


予定より早い到着にロービーのスタッフの顔色が変わる…


社長！いらっしゃいませ。あの、お車の方は…

誰もいなかったからね
俺が、駐車場まで止めて来た…


（あなたらしいわ、わざわざ俺が！俺がって言うのよね）


支配人の顔が一気に凍る


ねぇ見て、あなたの好きな花 あんなに綺麗に…流石ね。

ロビーや、エントランスに、これでもかという位、アレンジフラワー。


これだけの事が支配人には、大きな助け船らしい。


おっ 気持ちいいね。この花、今の季節じゃ早いだろう？


ありがとうございます。社長の御到着をスタッフ一同心からお待ちしておりました。


あなたは気分なんて害してもないし。

ただの言葉遊び。


心配りとは、これだよね。


同時にあなたは思ってなくても、支配人に安堵もあたえる


エレベーターが閉まる瞬間、私は支配人を見た

汗を拭っている…

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さいこ、今晩は何する？


長居頭が
社長本当にお久しぶりですね。相変わらず、うらやましい仲の…よ…さ。

言い終わらない内に


今、さいちゃんに話してるんだよ。


まっ スミマセンでした。


また始まったかと
眉をよせそうになった。

長居頭の方が心得てる。
あなたが楽しんでる事を。


さぁ 風呂、風呂。


さいちゃーん風呂入ろう

まぁ社長、全然お変わりなく、嬉しいわぁ


激務から離れて…素の自分を出せる場所。


に、来た振り。

あなたの素がこれならあなたのブレーンがフリーズするね。

はい、お風呂にいきましょう。
可愛く甘く言ってみた。

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☆読んでくださってる皆様へ☆

初めまして、彩子です。

スタートして間もないですが訂正です。

NO7 長居頭→仲居頭です。

大変、恥ずかしいです。
これからも、誤字脱字があるかもしれませんが💦

気分転換に楽しんで頂けたら嬉しく思ってます。

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あなたの三歩後ろを歩いてたら


さいちゃーん何してるの？早く早く。


三歩後ろを歩くような女を演出してるんではない…

シュルシュル シュと手慣れた帯の締め方と颯爽と歩く後ろ姿に滲み出る格好良さ。


私ね、浴衣を着た時のあなたの後ろ姿大好きなの。
本当に格好いいの。


！！！（言葉が出ない）
早く行くぞ。


照れてる。

こんな雰囲気のまま年を重ねていけたら、ステキなんて…不覚にも涙が少し滲んだ。

あなたは私だけのあなたじゃない。

下らない本音は、もう口にしない…

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いい風…


湯上がりに散歩してみる…


平日の温泉地なんて、ファミリーなんて見かけない…

和風を上手く醸し出してるお土産屋さんに寄ってみると、
訳ありねと思わせるカップルが焼き物を選んでいる


あなたが私に目配せする。


ぷっ…

思わず吹いた


私達だって、他から見たらそんな感じに見えるのかもよ…

何故？


親子程の年の差だから…

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さいちゃん、何買う？
ふらり、ふらりと店内を見て、１つ８００円の箸置きを２つ選んだ。


なんだ、それでいいの？


これがいいの。


店主が浴衣の柄を見て愛想よく言う。


料理が評判のホテルですよ、今夜はおご馳走ですね。


そうなんだ、（出た、知らない振り）

さいちゃん楽しみだね。あっ…俺達風呂上がりだった

お届けしますよ。


良かった、頼むよ。この箸置きが欲しいみたいだから。


サラサラとサインだけして、店を出た。


失敗したな…財布を持ってない事忘れてた。さいちゃんも気がつけよ…


（気付いてるわよ…あなただって届けてくれる店だから…
あなたがうっかり忘れる様な人じゃない事は知ってるわよ）


なんだ、また顔パスかと思ってた あなたも大した事ないのね。


このくらいが調度いい
合わせて、あなたが言う。


俺も大したことないよね。
おいおい、いくら格好良くても、もう後ろ姿はいいだろ。


横に並ぶとギュッと手を握る


戻って俺は幸せ。
お前は？


（お前？これは、真面目に聞いてる）


繋いだ手をあなたより強く握り返した。

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フロントでコーヒーを頼み、部屋に戻ると、あなたの携帯が光っている


ちょっと行ってくる


私の返事はいらない


今日は都合が悪いよと愛人に連絡してるのでしょう


自他共に認めるマメな人。


コーヒーと一緒にあなたが部屋に戻って来た。


ここのコーヒーはまぁまぁだね。
一口で終わり…
じゃれてくる



ベッドに入る…


今頃、愛人はイライラしてる


私達の復縁を知らない

最近、忙しくなって時間が取れないあなたを変に思っている


俺ね、あいつともう２年ないの…


まるで私が愛人のような話ぶりね

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愛してる…


私も…


私も何？
私も何か言ってごらん

あなたの声と息が荒くなる

さいこ、何？
大きな声出して…

あっ…な…った

あうっ…


して…る


短距離走？
同時に ゴール？


バタンと大の字を書いたあなたが目を瞑り…

お前とは肌が合う…これは大事。


（愛じゃないの？）


さいちゃん、サイコー（最高）


何度も聞いたダジャレはスルーして…


耳元でささやく…
あなたが 私の身体を１番良くしってるからよ。


ふーん、じゃっ２番目に知ってる奴の話しでもしながら、食事だな…

ベッドから跳ねるように起きたあなたは裸足のまま…バスルームへ向かった。


本当に聞くつもりだわ

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あなたと入れ替わるようにシャワーを浴びてソファーでくつろぐ


さいちゃん、お腹すいたね。


もう気分は変わってる

テレビも特に面白くないから…私から


さっきの話は？
聞かなくていいの？


あなたの目が爛々とした。


聞く 聞く！


あなたは２番目を聞きたいみたいだけど、
それは私が楽しくないの…
どうせなら、今となっては笑える話にしない？


あははっ
いいね、先ずは俺から…


あなたの楽しいモードのスイッチがやっと入った…

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旨い飯にカンパイっ

あなたは調子良く音頭をとる。


残念ながらあなたにとって食事は食事。
何が出てきても感動も関心もない。


さいちゃん美味しい❓これあげるよ


普段食べ慣れない物は口にもしない。
と言うより、激しい偏食。

だから外での食事は
普段より会話が中心になりがち…


飲みに出た時の事なんだ…


あなたは今となってはより、今１番私に受ける話を始めた。

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要は、
少し好みのタイプもいるから気のある雰囲気を出す。

店に行くとあたり前にその女の子がつく…

身の上話は涙なしでは語れないらしい…

最近は店以外で会いたいと言い出した。

エピソード交え、面白可笑しく話していく…
明日一緒にその店へ行く予定になった。


悪趣味な事は私達二人共通の趣味…

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食事も中盤に入って、私はほろ酔い。

見計らった様にあなたが空気を変えずに核心に入る…


サイちゃん、なぜ男作った？


私が提案した今だから話せる事…
あなたは今日なら聞けると理解してる


私は淡々と話していく
愛人と別れるって本気に思ってたのに
別れる気配もなし。

私１人に愛を注いでくれる情熱にクラッときたのよ。
若かったから…


私の目を見ながらジッと聞いて…


あいつはね…
俺と別れると死ぬと言う…
無理だね今さら別れる事は。
長く引っ張り過ぎたからね。

俺はお前を愛してる。１番好き。

だいたい、男作って逃げた女にホレる男がどこの世界にいる？

あの時は俺もバカにされたと血が昇ったね。

全て水の様に流れた？

あぁ、もう11年になろうとしてる。
その男とは？いつ別れた？


もう箸が完全に止まった。
なのに、酔ってるから口が止まらない…

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すぐに別れたわよ。


そんなはずない。


ほんとよ。


サイコ酷いね。
俺を捨ててまで選んだ男を簡単に捨てたんだ。
男はオモチャか？


女はペットなの？


何回言わせる？


お前を愛してる、大事にしてる。
愛する人と書いて愛人だろ？？


！！！

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私はあなたの愛人じゃないわ！

我慢できなかったの！
あなたの愛人が大嫌いだったの！！

あの人が大嫌い！

私の大嫌いなあの人を大事にしてるあなたが嫌になったの！！！


私は大泣き
ボロボロ涙がこぼれる
泣き声に部屋に入ってこれない襖の向こうの気配もわかっている…

関係ない。
怒りが込み上げる…
あなたと自分に…

まだ続く
しつこい…

白けたあなたが釘をさした。


言い訳だよね

襖の向こうに声をかける


おーい、お姉さん達、これ全部片付けて…


無言で、片付けられていく…

デザートはどうなさいますか？

食べたい！
間髪入れない早さで答えた。
呆れてくれて結構です…そんな気持ちを込めて。


すっきりした卓上に、あなたの顔がぼやけて映る…


真っ直ぐ顔を見る事が出来ない…


これが私
なんてつまらない女
愚か過ぎる

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言いたい事は言った？
うなずく。

デザートがきた
アイスクリームをのせた平皿に色とりどりのフルーツが飾られている


さっ食べよう！サイコ。


無言で食べ始めた

美味しいーと言いたいけれど、何かしゃべると涙が出そう…


あれっ！
さいちゃんの皿に乗ってる、ブルーベリー俺の皿には無いよ…


（よく気がつくわね）

無言でぽんっとお皿にのせてあげる。


あははっ
なぁんだ
サイちゃんは俺の事、本当に好きなんだ。


キッと顔を見た


すまなかったね…
遠い昔話だ。
お前も我慢してたんだ。

俺は欲が強いんだろうね。

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気持ちが落ち着いてきた…

挑発に乗せられた結果、あなたを満足させている事に気が付いた。

サイコ、一杯飲みに行こうか？


もう１度、お風呂入ってマッサージがいいなぁ


よし、そうしよう。


普段通りの会話に収まる。

忘れてはいけない…

あなたが退屈してた事。

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広い湯船に１人きり足を伸ばして…
思い出してみた。

あなたを裏切った昔の事…

会社のイベントに顔を出した時に出逢った

挨拶された時は可愛いと思った。

また会ってみたいなと思うほど、
その日は話しが弾んだし印象が強かった

知人の会社の周年パーティーで再会した

プライベートな話しをした彼は６才年下の独身だった

私は恋をした

ドライブして
食事して
映画を見て

何度かそんなデートを繰り返した

会う日は前夜から胸が高鳴った

一線を越えずに楽しめた…
そこで終わる訳がない

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>> 22 あなたといても彼の事を考えて切なくなる程恋してた

あなたが忙しい日

あなたが愛人と会ってる日

あなたがゴルフの日

私は彼を求めた

時間の許すかぎり、彼は私の側にいた

私の行動は全て、あなたに報告されていた。
あの日、
あなたから食事はいらない、ちょっと送ってほしいと頼まれた。

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あなたが誕生日に買い替えてくれた車に久しぶり二人で乗った

尖った言い方に予感はあった

車内は沈黙、運転していたあなたは車を公園の駐車場に止めた


なぜここに？


いきなり平手打ちされた

耳の中でキーンと金属音がした

頬がジンジンしてた

お前みたいな女は二度と俺の前に現れるな！
運転席から降り助手席側に周り私を車から引っ張り出した。


その時、１つだけ聞かれた

何故あんな男と？

あんな男とは経済力や私より年下を言ってるとわかった


好きだからよ。

あなたは運転席に戻り車を出した。


その日から10年…

あなたに会う事も話す事もなかった

公園の駐車場に取り残された私はキンモクセイの香りに深呼吸した

新しい日々しか頭になかった…

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通りまで歩きタクシーで自宅に戻り彼に電話をかけた

そんな簡単に別れたなんてと動揺する彼が愛しかった。


翌日、弁護士が自宅にきた。

簡単な話しだった

期日までに必要な物と共に自宅を出る事。

私名義の預貯金、有価証券は好きにすればいい。


この２つだけ。

あなたに対して何かあるかと弁護士に聞かれ

愛人とお幸せに

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期日より早く出て、２ＬＤＫのマンションに移った

必要な物は新しくした。

彼と一緒住むなんて事は考えてなかった。

恋こがれて、恋愛のままでいたかった

私は仕事も始めた

仕事とプライベート毎日が充実してた。

毎月のお給料で生活が成り立つまで約２年かかった。

経済的に、どれだけ恵まれて生活してたか、懐かしむ時も正直あったが、
後悔する事は無かった

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彼との恋も色失せて…
自分本意に時は過ぎた。


ゆっくり休んだ後、次は何を始めようか、
仕事を辞めて２ヶ月過ぎていた…

あなたから連絡が入ったのはその頃


声を聞いて懐かしさに心臓がトクンとした


変わらない。


違和感もない。


お茶でもどう？

あなたの誘いに、私は心苦しくも申し訳なさもなく…
久しぶりに会う遠い親戚の様な気分だった。

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多少、のぼせ気味に部屋に戻った。


さいちゃん、いいお湯だった？

マッサージを受けてるあなたの声は眠たそう

えぇ １人で貸し切りみたい、ゆっくり物思いにふけったわ。


昔の彼氏でも思い出したのか？


あはは、そうよ、あなたがいかに寛大か、頭がおかしいのかをね…


おかしいのは…お互い様かとあなたが呟く。

あなたの次にマッサージを受けながら、隣のベッドで静かに眠っていくあなたを見ながら

運命とか

宿命とか


ぼんやり考えた。

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勝手な言い分だけど、10年の月日は私を私にしてくれた。

一言、それにつきる。

マッサージも終わり、気持ちいい余韻と眠気に身を任せていたら眠っているはずのあなたが、


節目、節目に彩子は何をしてるだろうと思ったよ

たまに噂も聞いた、
あの時、車を出して…引き返したら、お前の姿は無かった。未練がましい自分に腹がたったね…
今でもわからない、何で彩子に執着するのか…ただ、自由に生きるお前が羨ましい…


独り言の様にしゃべってあなたは眠った。

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夕べ、泣いた事も感傷に浸った事も
あなたの呟きも

何も無かったように、１日が始まる。

さいちゃん、帰る途中に旨い蕎麦屋があるんだ、昼飯はそこで食べようね


ホントのホントに美味しい蕎麦？


さいちゃん違う、違う、美味しい蕎麦よりあなたのそばが良いとかさぁ 言ってみてよ。

フロントで支配人が、
彩子さん、またお会い出来て良かったです…

昨日お届けで買った箸置きをプレゼントしてくれた。


あいつ、安く済ませたなぁ

車に乗るなり、あなたが笑わせる。

値段じゃないでしょ

ついでに気になってた事も聞く

あなた、私の車あの後どうしたの？


すぐにディーラーに取りに来させて売ったさ

えっ！さいちゃん、車欲しかったの？？？


愛人とお揃いで２台買った車なんて要りません！それも、私の誕生日に！！


ばれてたのか！


笑い話にできる今。
あの頃は、悔しくて悔しくてたまらなかったのに。

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途中、普通の蕎麦を食べて、お互い嫌味の言い合い

和気あいあい帰った。
夕べの出来事が吉。


帰り着いたらあなたは会社に顔を出して来ると言う…

どこに寄って来てもいいわよ（嫌味の続き）
用意してるから


今夜はあなたのお気に入りの女の子のお店に行く


若い女の子に張り合うなんて馬鹿げてるけど、なんだか楽しい。


洋服をあれでもない、これでもない、

靴

バッグ

アクセサリー

決まれば次はマニキュアの色。


見栄と虚栄で固めた世界に合わせて、とってもいい女風を作りあげないと楽しくない。

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時間が余る…女の退屈は不平不満の元


ホームエステを呼んでフェイスマッサージ

美白パック

小顔パック

ふくらはぎのマッサージ


メンテナンスは欠かせない。


たっぷりと自己満足


準備万端。

さいちゃん用意出来てる？

あなたからの電話


もちろん


５分で着く

はい、出てるわ。


素足に普段よりヒールの高い靴にした。

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化けたね、さいちゃん

こういう化け方は？
好きでしょ？


うん、おばさんが若い男を探して必死って感じで可愛い


………可愛いなら許す！

ホームエステ使っちゃった


おばさんはお金かかって大変だね。


ありがとう

笑顔。
笑顔。


適当な店で食事をして最初は私も行き付けの店に寄る


さいちゃん、今日は何事？

マスター１人の小さなバー

昔からの事情を知ってるマスターは最初ひっくり返って驚いたが最近は突っ込んでくる程二人の事を承知してる。


今日は例のあの店に連れて行けとサイコが
うるさいからさぁ


あぁ めんどくさい女になったのね さいちゃん


えぇ もう何とでも言って


社長の言う通り、これは面白くなりそうですね


マスターの言ってる意味がわからない…


不思議そうな顔をした私を見てあなたが言った。


お前、店始めてみない？

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なぜ？

思わず声も大きくなる

なぜって？
お前、暇だろう？


私が？暇？


毎日、遊んで暮らしてさ…俺もほら、
色々忙しいし…


混乱してくる…


あなたは私を拘束していたいんじゃないの？…

私が店でも始めなきゃ生活できない経済なの？…


愛人がうるさいの？…

言葉にも出きず次々頭によぎる。


いらっしゃいませ

軽いマスターの挨拶に我に変えると

胡散臭い馴染みの顔


社長、お待たせしてすみません。

マスターが無言でビールを出した

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いただきます。


誰から頂くのか知らないけれど
グビッと呑んで

社長、先日話した物件ですけど…急ぎますか？


物件？…って店舗？
もう、決まってる事？
私は口を挟んだ


お前なら出来るよ。


出来る訳ないでしょ！

胡散臭い顔が、

えー、彩子さんが始めるんですか？


始める訳ないでしょ！
下らないとばかりに叱るように言ったら、


彩子、お前は始める！
あなたは言い切った。

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ちょっと待ってよ！

キツい口調、なのにあなたは


待てないよぉ


マスターがクスッと笑って、


さいちゃん、社長も考えがあって言ってるから、ゆっくり聞いてみてよ。
今日はあの店行くんでしょ？


よし、行こう。


あなたが席を立つ、胡散臭い男も立つ。


行ってらっしゃい


マスターの弾んだ見送りに大人げなく、べーと舌を出した。


ビル２件先の３階

扉を開けるとマスターとは変わって、今流行りの顔の若いボーイがスマートに席まで案内してくれる。

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次々と女の子が席着く、テキパキと飲み物が用意される


あなたは女の子と調子のいい雑談を始めてる

胡散臭い男もここでは、それなりに振る舞っている。


私はお姉さんの隣に…失礼します。
はじめまして、アヤノです。

屈託ない笑顔上手…
この子か…


あなたが


アヤノは俺の隣に。


俺はアヤノに会いに来たんだから。


アヤノ嬉しい


って、どこから声でてるの…

お決まりの乾杯が済んで、アヤノちゃんがあなたに聞いている。


社長ぉ、綺麗なお姉さんとのご関係は？
もしかしてアヤノが焼きもち妬かないといけないですか？

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このお姉さん？
名前はサイコさん、昔一緒に仕事をしててね
一件目の店でばったり会ってね

お姉さんって年齢じゃないよ…


デタラメ話に合わせる。


社長には若い時お世話になったの

遠慮したんだけど、とっておきの女の子がいるからって付いて来ちゃった。



お喋りに花が咲いてる最中、私は観察していた

ボーイの動き、

女の子の身のこなし、
店の作りに

置いてあるボトル。

客層。



ママが挨拶に来た

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ママと顔を合わせて、お互い目を丸くした


昔、あなたと良く行ってた店の女の子


あきちゃん？


さいちゃん？


キァァ 懐かしい再会に嬉しい奇声


あきちゃんの店だったの？知らなくて来たのよ


私もまさか、さいちゃんとは… 嬉しいわ。

募る話は向こうでしない？

ママの提案で私はボックス席を離れカウンターに移った。

元気だったの？
お互い凝縮して人生を語ったり…


話は尽きない


チラッとあなたに目をやると、そろそろ帰るぞって顔をした。


手はしっかりアヤノちゃんと繋いでる。

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もうこんな時間だったの


一足先に車は代行に持って帰らせたのも知らず、タクシーの中で酔いが回る


気分良さそうに
あきちゃんと楽しそうだったね


楽しかった、今日は自分を作った甲斐があったわ。


あきちゃんが立派なやり手ママに成ってる


マスターの店での話が頭にあった私は普段気にしない会計の瞬間を外さなかった。


いつも、あんなに高いの？

チラッとサインの時、見えたんだけど…


今日は特別高い！
さいちゃんとママのワインのせいで！


私はぐっすり眠りについた。
あなたが四苦八苦してベッドに運んだ姿を次の日想像したら

幸せなんだと思った。

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あなたはゴルフへ

私はサウナに行く

じっくり汗を流して、水風呂でキュッと肌を締める、気持ちいい

３回繰り返し休憩にシアタールームに入る。
流れている映画を見つめるだけで思考は別


なぜ 夜のお店を素人の私が？
あなたは私を納得させる理由を持っているはず
ゆっくり聞かなくては

アヤノちゃんは売上を追う順応な良い子

温泉での話は私の興味を引くため


あきちゃんの事も事前に聞かされてなかったのはサプライズ？


今夜は久しぶり夕飯でも作って…

携帯がなる


俺、多分１番


良かったじゃない


だから皆で食事に出るよ さいちゃんも来ればいい、マスターの店で待ってたらいいよ。

了解


じゃっ後で


今夜も飲みに出ると言う事


早めに出てマスターに聞こう

決まり。

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サウナからそのままマスターの店に行く


準備中…
ドアに手をかけたら、中から開いた


わぁ びっくり！さいちゃん早いね。
僕も今日一緒だったよ

社長にやられたよ
と苦笑い。


あなたのゴルフ仲間はマスター含めシングルの腕前

せめて、もう少し上手くなれとレッスンプロも付けてもらっているけど皆と回れる日は…いつのことやら…


さいちゃん、座ってて煙草買ってくるだけだから


「とりあえずビール」をセットして、マスターは店を出た

見慣れたハズの店の中だが細部をなめるようにみた…
何も変わらないインテリアが時間を止めている。

流行りから遠くなり厳しい時もあったと思う
ところが最近、１人で来る女性客が多いらしい。

マスターは昔取った何とかで…


女の扱いがうまい。


マスターが戻って来たので聞いてみた


ねぇ マスターはこの仕事向いてた？

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ふっふっ と笑った気がした


さいちゃん店してみる気になってる？


なってないよ


その事を聞きに来たんだろ？


マスターの客観的意見も聞きたいし。


僕はこれで生活を…当たり前の理由。
仕事に誇りもある
結果は向かせたって感じかな…


今日も社長に言ったよ。簡単にいい過ぎだって。


でも、さいちゃんには、商売させたいみたいだし、

何か新しい事を楽しみたいから手っ取り早い

それと？


さいちゃんが10年で、変わったって言ってた僕も思うよ、強くいい女になってる


えっ なってないわ
私は永遠に甘えて生きて行きたいわ


真面目に言ってる？


すっごく真面目に言ってる

マスター、それは落ち着くって意味よ。


そろそろ、あなた達が来る時間

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一服したらマスターは準備を再開、テンポよく完了。


あなた達がワイワイ会話をしながら入ってきた


さいちゃん、昨日と違う、手抜き？


ううん 息抜き


ゴルフ仲間の高田さんが


いいね店計画、僕、同伴してあげるよ。


（皆、好き勝手）


あなたが思いもよらない提案をしてきた


さいちゃん、１年間は他の店で客作りするんだよ。

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そこまで、決まってるの？


私は他人事みたいに聞いてみた

もう１人のゴルフ仲間の石原さんが


チャーンス！
さいちゃん、ハーレムだ。群がるよ！


あなたがムッとして、

おばさん相手に誰が群れる？


延々と言いたい放題は続く…


マスターがケイタリングで用意した料理も食べ尽くされて、次の店へ移動…


私はもう帰るわ
あなたが帰って来たら、ちゃんと話してね。

言葉は無し
顔がわかったと言ってる。


外で、いってらっしゃいと見送った

いそいそと軽快な足取りはオヤジもまるで男の子だと笑える。

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いい気分であなたが帰ってきた


さいちゃーん、熱いコーヒーをお願いしまーす。


キッチンに立ったら
あなたも隣に立って、話す


今日のゴルフがここ最近で１番納得できるプレーだったこと


今夜も女の子達が可愛い話


そのまま、キッチンの床にベタンと二人で座ってコーヒーを飲みながら一服。


先日のあきちゃんの話になった


あき、稼いでるよ
お前も出来る、見せてよ。
このままの生活じゃ彩子がつまらなくなるよ
俺のお願いと思って


お前、もし俺がポックリ逝ったらどうするの？
何かやりがい持たないと泣き暮らすよ。

まっそんなタイプでは無いか…


通用する時に何でもしてみたら？


俺ね、あそこにビル立つ程お金使ったね…
ぼちぼち、彩子が回収してよ

今までビジネスとは考えた事なかったけど…やろうよ。


さいちゃん！わかった？


わかった、やってみる

ピンと来ないけど、あなたの「やろうよ」に心が動いた

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周りはあなたの道楽と笑うのか


私を気の毒だと陰で哀れむのか


捉え方なんて考えても意味がない

私がやるのか、やらないのか

そんな選択肢でもない

私には無駄な事にしか思えない


試されてる？

自分の中で納得できる答えが出た


間違いない。

私は試されてる。

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この数日、あなたは愛人との時間が取れてない


今晩あたり、私は友達との予定を入れた方が良さそう


今日は友達と遊んで来ていい？


えー！
さいちゃん、俺を置いてくつもり？
夜遊びか…
ひどい…


心良くあなたは了解。

そりゃ そうでしょ
そこで彩子の自由が奪われるなら、愛人を認めてる意味ないよね

久しぶりに会った真紀が遠慮なく言うのが楽しい


彩子が気を使ったのを解って言ってるの？


気を使ったなんて思ってないわよ
私もあの人も
私の都合のいい具合に使ったなってとこよ
今日は真紀ちゃんに聞いて欲しい話があって

改めて？
何かあったの？
食欲が止まるじゃない

大丈夫、悩みじゃないから、食べて食べて！

真紀に一連の店話をした


バッカじゃないの？


「馬鹿」に力が入り過ぎ

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彩子達、ドが付くＳとＭよね
社長がそんな店させて自爆する気？
彩子も穏やかに暮らしたいんじゃなかった？

そうなんだけど、真紀ちゃん私試されてる？

なるほど！あり得るわ
彩子の忠誠心を見たいのね
愛人の方には尽くされてるからね


真紀ちゃん、最近は私が愛人じゃないかと思うわよ


なぜ？


物凄く仲良くやってる

ご馳走様でした
話と食事のオチがついたので、彩子ホストクラブに付き合って


真紀ちゃん…
１回…
行ってみたかったの

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真紀のオマケみたいについて行った


正直、新鮮。
真紀のお気に入りは、これでもかと言うほど口が甘い

何より顔が甘すぎ


ハマる
と大変らしい…

お会計もいいお値段

あなたに
いい勉強になったわと言うと、そんな場所は二度と行くなと言われた
若い男の子に焼きもちらしい


真紀の不安的中。

私が夜の店をしてあなた大丈夫なの

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