まさか家の主人が…

勤め始めた１年は上司と部下だけの関係。
優はかっこいい上司に会うのが楽しみで仕事は楽しかった。
賢ちゃんは妹のように可愛がってくれた。
今思えば一番幸せな時だったかも。

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ある日賢ちゃんから『今日ヒマ？』
優は特に予定も入ってなかったので
『はい、暇ですけど。』
『よし、夕飯食いに行くか。』
『はい、分かりました。』
優は憧れの上司と食事に行けるとウキウキ気分で残りの仕事を片付けた。

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仕事が終わり、待ち合わせのイタリアンレストランへ向かった。お店の入口で５分ぐらい待って賢ちゃんは来た。
『よっお疲れさん』と言われながらお店に入った。

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お店の雰囲気はシックな感じ。さすが大人だなあと思いながら心臓はドキドキしていた。なんてったって憧れの上司と２人っきりの食事。
簡単なコースを賢ちゃんが注文し、楽しくドキドキな食事がスタート☺

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会話を楽しみながら食事は進みデザートタイム。
優はあ～あ楽しい時間が終わっちゃうなぁーと考えながらも大好きなケーキを口に運んでいた。

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突然賢ちゃんが
『優ちゃんは彼氏とかいるの？』
優は前彼とは１年前に別れていて誰とも付き合ってなかったので
『いませんよ。先輩はいるんですか？』『俺は前のかみさんと離婚してからずっとフリー』
『えっ信じらんない？先輩かっこいいし部下からも慕われてるし』

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『優ちゃん、俺と付き合わない？実は優ちゃんが入社してからずっと気になって仕方なかったんだ』優は嬉しさとまさかそんな事言われると思ってなかったのでうつむいたまましばらく無言の時間が流れた。

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賢ちゃんが
『ダメかな…。大切にしたいと久々に想える人に出逢えと。』
優は
『私でよければ…。』
そんな事があり私達は付き合い始めた。

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それからの５年間は恋愛ごっこを楽しんだ。年二回の旅行や休日のデート。毎日が楽しかった。

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もちろん喧嘩も沢山した。優のわがままややきもちがほとんどの原因。
賢ちゃんは大人だから優をなだめケンカがおわる。
この時はこの先起きるまさかの出来事など想像もしてなかった。

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周りのお友達もだんだん結婚し始める。
仲のよいお友達たちに
『優はまだなのぉ？』と聞かれることが多くなった。
私はもうじき２６才。賢ちゃんももうじき36才。
確かに結婚の話しがでてもおかしくないなぁーと不安になった。もしかしたら賢ちゃんは優とは結婚したくないのかも…としばらく落ち込んだ。

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クリスマスも普通に🎂を囲んで過ごした。
うーんクリスマスもプロポーズはされなかった。
そんな不安な思いのまま新しい年を迎えて初詣。
二人で仲良くお正月を過ごした。

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優の誕生日が近づき賢ちゃんがたまには豪華に過ごすかと横浜のホテルを予約してくれた。

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誕生日当日寒かったけど昼間は観光を楽しみ夜はホテルでフレンチ。

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フランス料理なんて初めてで緊張した😂とてもおいしい料理で賢ちゃんに
『こんな素敵な誕生日ありがとう。』
しばらく沈黙の時が流れた。
『優、俺絶対に幸せにするから。だから、だから、結婚して下さい。』
優は嬉しかったのと不安だったので、思わず泣きじゃくってしまった。

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賢ちゃんは優があまりにも泣きじゃくってるから
『ダメかな…。』
『優不安だったの。優とは結婚してもらえない気がして、こんな優ですがよろしくお願いします。』賢ちゃんは『ごめんな、不安な思いさせて、俺１回失敗してるから。結婚自体に自信がなかなかもてなくて。幸せになろうな』と言ってくれた。

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賢ちゃん36才
優２６才で婚約。お互いの親に挨拶を済ませて、結婚準備を送った。
着々と不幸の階段をのぼりはじめてるとも知らずに…。

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一年後結婚。
賢ちゃん37才
優27才
新婚生活はそれなりに楽しかった。私は結婚をきに仕事を止めた。専業主婦という響きに嬉しかった。

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結婚を決めてからは避妊をしないで💏をしていた。早く赤ちゃんが欲しくて。結婚するまでの１年間、妊娠しなかった。知り合いの産婦人科の先生に相談してみた。基礎体温を付けてみてと言われた。

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１ヶ月基礎体温を付けて、先生に見せた。排卵してないと言われた。それからの１年間不妊治療をした。
１年後に不幸が訪れるとも知らずに。

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不妊治療の一年間妊娠せず、生理がきて基礎体温を付けて排卵日辺りの体温のグラフがおかしく先生に見せた。今回は排卵しないかもと。この月はなから妊娠を諦めていた。

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それでも排卵日であろう近辺は💏は頑張ってみた。
その１週間後突如人生がおかしくなった。

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ある日の朝７時チャイムが鳴る。
賢ちゃんがはいと答える。
『○○警察ですが、○○賢さんですか？』
賢ちゃんは『はい』とだけ答え独り言のように『やべぇ』とだけ言いながら、玄関を開けた。

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優は訳も分からずなんでこんな朝早くから警察の方々が？と不思議だった。
警察の方が優に
『奥さん朝早くにごめんね。旦那さんに令状がでていて家宅捜査します。』と言われた。
賢ちゃん38才
優28才の時の出来事。

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家宅捜査がはじまった。よくサスペンスドラマで見ていた光景。ただテレビと違うのは、調べた物は元通りにしていた。優は途中で貧血ぽくなり刑事さんに『奥さんは休んでいて言いよ』と言われソファーで休ませてもらった。

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証拠品と任意でもっていくものをダンボールにワケながらの作業をしていた。主任さんらしき人に一応話しを聞かれた。『奥さんは知らなかったの？』
本当に知らなかった。だから『知りませんでした。』と答えた。そうさたら主任さんが『そうだよね。結婚する前の話しだから』と言った。確かに結婚する前の日付が令状に書いてあった。だけど付き合っていた。ショックだった。でも不思議と涙は出なかった。

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時間にして二時間ぐらいたった頃、賢ちゃんは任意で警察に連れて行かれた。警察の方々が帰ろうとしたとき主任さんが、『しばらくご主人帰れないかも』と言った。
優は振り絞って声を出した。
『分かりました。』と…

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優はなにをしていいのか分からず、数時間ぼーっとしていた。ふと、義理の両親と義理兄と義理妹に連絡しなくちゃと思い受話器を持った。みんな声にならないようだった。義理の両親はシックのあまり体調を崩してしまった。義理兄と義理妹は怒りがこみ上げておりパニック状態だった。

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その日の夕方警察から電話があった。『ご主人逮捕しました。しばらくは帰れません。後加害者が他にもいるためしばらく接見禁止です。』と言われた。
どうしょう。賢ちゃんの会社にも連絡しなくちゃいけないがなかなか勇気が出なかった。

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その会社は小さな会社のため社長とも仲良くしていただいてた。そんな社長に辛いけど全部伝えた。やはりビックリしているようだった。しばらく沈黙が続き社長が『優ちゃん、これからどうするの？』と聞かれた。『まだなにが何だか頭がぐちゃぐちゃで』と答えた。『そうだよね。優ちゃん仕事しないと生活できないでしょう？賢君の代わりで家の会社で働きなさい。』と言ってくれた。優は『ありがとうございます。』とここで我慢していた涙が溢れてきた。

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社長は今週はいろいろ大変だろうから来週からでと言ってくれた。社長には感謝の気持ちでいっぱいでした。社長の考えで弁護士を入れた方がとゆうことで社長の紹介でその弁護士さんにお願いした。弁護士さんはすぐに警察に足を運んでくれた。

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弁護士さんがからすぐ事務所に来てと電話があり、優は向かった。本人に会い正式にやりますと言われたので、よろしくお願いしますと頭を下げた。

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賢ちゃんは大丈夫かなぁ？と思い聞いてみた。
『元気にしてたよ。しばらくは面会は無理だから、伝言は私に言って下さい。』と言われた。
そっか、元気か。少し安心した。

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数日たち生理が２日遅れていた。いつもなら、一週間位遅れる時もあるからできたかもとはおもわなかったが、その時は違い赤ちゃんがいるきがし検査薬をやった。陽性反応だった。自分でも不思議だった。やっぱりいた。優の中に新しい命の誕生だった。早速弁護士さんに伝えたて貰った。賢ちゃんもすごく喜んでいたらしい。すごく不安だった。無事に育ってくれるかなぁ？と…。

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数日たち弁護士さんから明日起訴されると言われた。面会できるようになるから行ってあげてと言われた。約２週間ぶりに顔が見れる。嬉しさ半分怒り半分。
明日早速面会できるように予約した。

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予約した時間に行くと書類に記入し面会室に案内された。数分後賢ちゃんが来た。
『本当にすまない。』と泣きながら賢ちゃんが言った。
優は言葉にならなかった。ただ涙もでなかった…。
『妊娠おめでとう。こんな時にそばにいれなくてごめんな。』
そんな感じで初めての面会は終了した。

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その日の夜から嫌がらせ電話がすごかった。数分おきに電話が鳴っていた。
あまりにひどくて電話線を引き抜いた。
それからの数ヶ月は嫌がらせ電話に苦しむことになる。

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産婦人科の先生も事情を知っていたため、お腹の赤ちゃんをとても心配してくれた。育ちが悪く小さかった。でも３回目の検診で成長した赤ちゃんが確認できた。優と先生は良かったと笑顔で一安心した。

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その間も面会と弁護士さんの所と慌ただしい生活。
会社の社長も本格的に働くのはもう少し先でいいよって言っていただきホッとした。
優の周りは沢山助けてくれる人達で本当に助かった。
そんな生活を送っているなか人生で一番悲しい出来事が起きた。

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なんの痛みもなく出血した。優はそんなにたいしたことはないだろうと思いながら、病院に電話した。すぐに来て下さいと言われ、病院に向かった。大丈夫、大丈夫、と言い聞かせながら。

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病院に着きすぐに検診した。素人でもわかるエコーが写し出された。
心音が止まっていた。
『時期がよくなかった。精神的な負担が原因。あまり落ち込まないで、妊娠できるよってお腹の赤ちゃんが教えてくれたんだね。』と言っていただき、その場で泣き崩れることはなかった。

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その夜優は１人で泣いた。守ってあげれなくてごめんねと何度も何度も言いながら。
そんなときも嫌がらせ電話は沢山きていた。着信拒否してあっても履歴にこれでもかと残っていた。
この時ばかりは賢ちゃんを恨んだ。賢ちゃんのせいで優が苦しまなくちゃいけないのと…。

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面会に行き、賢ちゃんにも流産の事を伝えた。
賢ちゃんもショックのあまり言葉が出ないみたいだった。
ただ一言
『ごめんな。僕のせいだな』と…。

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それからしばらくして流産の手術を受けた。
人生で一番辛い１日だった。

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流産の手術後一週間後からパートで働き始めました。
社長も他の従業員の方もみんな暖かかった。
本当に今でも感謝でいっぱいです。
『ありがとうございます🙇』と思ってます。

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起訴されると今度は裁判が始まります。弁護士さんの指示により身内の方、特に奥様は来るべきだ。とのことでしたので優は不安でしたが裁判はすべて出向き現実を受け止めようと思った。

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また今回の裁判で優は情状証人にもでるらしい。
そうしたら社長も情状証人に立つと言っていただきとても嬉しく思いながら、優は心の中で『賢ちゃん、あなたの事を沢山思ってくれてる人達がこんなに沢山いる。本当に賢ちゃんは何てことしたんだよ💢』と思った。

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とうとう初公判がきた。
優は傍聴席で賢ちゃんが来るのを待った。
警察の方々と一緒に入廷してきた。
そこには手錠をされまた腰ひももされた賢ちゃんがいた。
優はなんともいえない複雑な気持ちでした。
正直あんな姿の賢ちゃんを見たくなかった。
でもこれが現実何だと自分に言い聞かせる優がいた…。

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今日の裁判は１０分ぐらいで終了でした。
罪状を検事さんが読み上げ、賢ちゃんは『間違いありません。』と答えて終わった。
次回は情状証人として、優が色々答えなければなりません。
正直不安と憂うつで仕方なかった。

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相変わらず体調が優れず病院に行きまくりでした。
それでも生活しなければならないので、仕事もやり始めた。社長や奥様に励まされながら。
１日が終わる頃は肉体的・精神的にズタズタでした。

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