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或る女の黒い手帳

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ミュシャ（ BIYlnb ）
11/11/17 21:11(最終更新日時)

神保町の古本市場での出来事だった。

黒い皮のノートが一緒に出品されていた。

なぜノートが?気になった私はそれを手にとり、頁をめくる。

それは数百頁にも及ぶ日記だった。ざっと2～3年分の量がありそうだ。

本を眺めていると美しい白髪の老人が私の元にやってきた。恐らく、この古本の出品者だ。丸くて分厚い眼鏡を右手で持ち上げ、私の手の内にある本をじっと見た。すると首を縦に振りながら口を開いた。

「それは、どんな小説よりも愛憎に満ちた或る女の日記さ。興味があるならあげるよ。」

私は日記を胸に抱えお辞儀をして店を出た。

この女性はどんな愛の物語を綴ったのだろうか?結末はどうなったのか?

この時の私はただほんの好奇心で頁をめくっていた。しかしこの日記の中にはドロドロとした重い不倫愛が謡われていたのだ…