**或る女の黒い手帳**

私は帰ってから、ソファに横たわりさっそく日記を取り出した。そして最初の頁を開く。

（日記の内容）

1999.9～2003.8.23
yuki diary vol.6

この日記の著者はユキと言うらしい。続けて頁をめくる。

（日記の内容）
9月18日
今日から新しい日記に突入しました!このノートも6冊目。これからも頑張ろう。今日は何もなかった。退屈。

9月19日
今日は新宿で高校時代の友人に偶然出逢った。たいして変わってなかったが、彼氏が出来たと言っていた。そして、幸せそうだった。私も好きな人がほしい。愛してくれる人がほしい。

愛に飢えていたのか。そう思わせる文体になんだか共感が湧いた。

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別に私も今時分、愛がないわけではなかった。というより最近やっと出会えた。だからこの著者がいかに寂しくひもじい思いをしているか安易に想像できたのだ。

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私はコーヒーを沸かしていた事などすっかり忘れて文から情景を予想する。

読み進めるとユキは素朴な女性のようだ。日々の日記に今日の鯖焼き定食が少し大きかったり、電車で見た夕焼けが綺麗だったこと、日々のささやかな出来事を敏感にとらえていたのだ。

しかし、スキャンダラスな内容を期待した私には最初の数週間はまるであくびの出る様な話だった。

適当に目を通す様に文章を読み始めてきた時、文章上にある男が現れた。

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（日記の内容）
10月3日
帰りの電車が運転見合わせで今日は丸の内で帰った。
その時にスギウラさん
（本当は杉浦と記されていましたが、この板では名前の表記をカタカナで統一します。）を見かけた!

思い切って話してみたら見た目通り気さくな人で 素敵だった。

また機会があったら話したいな。


彼女の日記に初めて人名が出てきた。その上めったにない長文に私さえときめきを感じた。

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それから当分他愛のない日記が続いた。中には私が行ったことのある喫茶店の名前があったりもした。

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>> 5 しかし、文面は急変した。

(日記の内容)
12月15日
先日から話があったように私はスギウラさんのチームに配属された!憧れのスギウラさんの足を引っ張らないように頑張らないと!明日からは毎日一緒にお仕事できて嬉しいな。

またスギウラが出てきた。ユキは気がついてないけどスギウラの事が好きなんだろうな。私は思わずにやにやした。

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(日記の内容)
12月16日
今日はスギウラさんに技術的な事を教わった。彼の説明は優しくて分かりやすくておもしろい!

だめ元でランチに誘ったら来てくれた!スギウラさんと色々な事が話せてよかったな。もっと知りたい。


12月17日
スギウラさんはまた昨日と同じカレーを食べてた。冗談で私が手作りのカレーをご馳走しましょうか?と言ったら、大喜びしてくれた。

ここ数日で距離が近くなりすぎて少し不安だな。でも彼は仕事熱心の部下思い。きっと誠実な人だし大丈夫だよね。

★思いついた事
24日にカレーをご馳走したい!明日誘ってみる事!


私は正直ユキの行動力に驚いた。ユキは意外とモテて、だから自信を持ってアタックできるのかなとうっすら思った。

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ここまで一気に数十ページ読んだ。私はこれから面白くなっていく所と分かっているが、他人の恋愛沙汰に興味と集中力はキレてしまい、本を閉じた。そして携帯を開く。

メールはまだ着ていなかった。最後に着たのは神保町を出る前であった。私の恋人はメールや電話が繋がりにくい。忙しそうだから仕方ないけれども、色々あって愛しい人を見つけられなかった私にとって彼は宝物同然なのだ。だからもの凄く淋しいけど、今は彼を応援する。とは言ってもモヤモヤするので私は布団に入った。

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私はとても飽きやすい。前に江戸川乱歩の短編集を買った時も買ったその日しか熱心に読まなかった。別におもしろくなかった訳じゃなく、本が読むことが嫌いなのでもなくただ飽きやすいのだ。

しかしユキの日記は違った。本は他人が読むこと前提に書いているが日記はその逆で他人に見せる気などさらさらなく赤裸々に著者のために書かれている。そこなのだ。知ってはいけないユキの本性を見てみたい。顔も見たことない彼女に対し興味がここまで沸くのはいやらしい感情が原因なのだ。

私はこの本を読んだ後、ひどく後悔する事になる…

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(日記の内容)
12月18日
今日はスギウラさんをカレーに誘うつもりだったのに、一緒にランチを食べられなくて誘えなかった。原因は彼がお弁当を持ってきてたから。これはスギウラさんに彼女がいるって事なのかな?よく分からないし今すぐに知りたい。

もし彼女がいるなら私は諦めよう…



12月19日
今日は会社がなかった。だからずっと考えてた。半ば一目惚れで急加速した恋だったけど、今胸が抉られる位痛い。やっぱり彼女なのかな?明日聞いてみよう。

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横レス邪魔してすいません💦 これはすべてが小説ですか❓
更新楽しみに読んでいきます🎵 のんびりがんばってください💪

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>> 11 (お返事)

コメントありがとうございます!

この話は実話を元に制作したお話です。話の最後に何を元にしたのか明かすつもりです。

更新はゆっくりですがぜひ読んでください。

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>> 12 尚更楽しみになりました❗ もうすでに最後が気になります。最後まで読みますﾈ🎵

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>> 13
(お返事)
ありがとうございます!それでは書かせて頂きます!

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(日記の内容)
12月21日
今日は急展開だった!お昼を誘って例の事を聞こうと思っていたのに、なんとスギウラさんが24日に一緒に夕食を食べないか?と誘ってくれたのだ!無論OKしました。
明日のお昼休みにどうするか話し合う予定!


12月22日
今日はスギウラさんとお昼会議をした。レストランとかは予約できないからイルミネーションが綺麗な所を歩いてから私の家でカレーを食べる事になった。昨日今日で急接近して嬉しい!部屋を片づけなきゃ

まるで少女漫画のような物語の展開に私もページを開く速度が上がっていた。

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(日記の内容)
12月23日
明日は念願のクリスマスデートだ。今日はアフター用のドレスも購入した。部屋もきっちりお掃除した。本当に楽しみ!

12月25日 土曜日
『私と彼の聖夜』
(不覚にもこのタイトルに笑ってしまった)
昨日の事を書きます。私とスギウラさんは会社が終わった後、駅で待ち合わせをした。スギウラさん曰わくスーツを変えたいし、同僚に見られると冷やかされるからだそうだ。私も購入したてのドレスを着て２人でお台場に行った。すべてがキラキラ光っていて胸の高鳴りが止まらなかった。そしてスギウラさんは私の体をぎゅってしてくれた。ずっとこうされたかった。スギウラさんの肌のぬくもりと匂いに私は完全に酔ってしまった。

(次のページに続く)

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(日記の内容)
それから私の家に着いてから私がカレーをよそろうとしたら、彼が後ろから抱きしめてきた。あんなに優しく抱きしめられると人間って抵抗できないのだなと思った。彼とのHは最後までしなかったけど幸せだった。

そのまま２人で寝て、朝起きたら大寝坊!昨日作ったカレーを食べてから彼を見送った。

布団には彼のスカルプチュアの匂いが残ってて幸せだな。でも無断欠勤はまずいね。

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更新はされますか❓
ゆっくりでいいのですが、このペースのゆっくりですか❓
…すみません🙇 楽しみにしていたので📖

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