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ドラマ相棒 〜穂乃果と八人の相棒たち〜 u’s

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小説大好き
18/06/27 07:41(更新日時)

ドラマ『相棒』と『ラブライブ!』のクロスオーバーSS。

穂乃果が右京役。
穂乃果以外が相棒役。
警視庁特命係とは別にあるもうひとつの窓際部署音乃木坂および秋葉原限定の特命係。

さて、今日の物語は……。

17/02/07 16:44 追記
とりあえず現時点での配役は以下の通り。

杉下右京=高坂穂乃果
亀山薫=園田海未
神戸尊=南ことり
三浦信輔=星空凛
米沢守=西木野真姫
矢澤にこ=内村完繭、中園照夫

花陽、希、絵里についてはまだ思案中。
あくまでパロディなので本気にしないでくださいm(__)m。

No.2397381 16/11/09 07:12(スレ作成日時)

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No.51 16/12/01 10:43
小説大好き 

穂乃果たちは報告書を書きながら考えていた。穂乃果はつぶやくように言う。

穂乃果 「なぜ三人なのでしょう」

海未 「ひとりだけ誘拐しては他の兄弟がかわいそうだからでは」

ことり 「それは紅の豚の空賊さんたちみたいだよ?海未ちゃんこの前の放送みたの」

海未 「み、見てませんよ!ポルコさん渋いなんて思いませんよ」

明らかに見てるとふたりは思った。意外に女の子らしい一面と思うふたりだった。

海未 「では私は報告書を書き終えたので失礼します」

穂乃果 「五時脱衣がないくらい立派な報告書だね。毎回」

海未 「誤字脱字です!なぜ私が五時にならないと脱がないとならないんですか」

ことり 「穂乃果ちゃんにツッコミする海未ちゃん。報告しないと」カキカキ

海未 「どこに報告するんですか。私は念のためににこのもとに寄ってみます。お先に失礼します」

あきれながら海未は特命係補佐を退出した。はあ〜、とふたりは吐息をついてことりは言う。

ことり 「なんであんなひとが特命係補佐にいるの」プンプン

穂乃果 「いやいや彼女は役に立つんだよことりちゃん」

わかんないな、とことりは穂乃果にお菓子を分けながら報告書を書いていた。
海未が再びにこ宅に訪れると三浦が真姫を口説いていたのでやめさせた。

海未 「なにやってるんですか!騒がしいですよ」

にこ 「あんたもね」

真姫 「あ〜、穂乃果に関わってから災難続き。にこちゃんを見に来たのに」

真姫は心からにこを心配しているらしく邪魔した三浦刑事に針のように瞳を向け海未と共に入っていった。
三浦は男泣きをしていた。

三浦 「オレの出番これだけじゃないよね」

海未 「うるさいです!」

海未はにこ宅に入ると凛と花陽はならんで寝ていた。

海未 「凛、花陽起きなさい!」

りんぱな 「」ン?

凛 「海未ちゃん」

花陽 「お弁当の差し入れですか?」

ちがいます、と海未が否定したことにふたりは目の前でいちゃつき始めた。

りんぱな 「」イチャイチャ

海未 「(なぜかおもしろくありませんね)」

りんぱな 「(成功にゃ)」

真姫 「にこちゃんだいじょうぶ」

にこ 「ううん」

No.52 16/12/05 05:48
小説大好き 

にこ 「こころたちはどこにいるのかしら」

凛 「りんとかよちんはここにいるにゃ」

花陽 「にこちゃん」

海未 「なんで穂乃果はこのふたりをここに置いたのかしら」

真姫 「意味わかんないわよ。穂乃果のやることは」

しかし犯人からの連絡はこの夜は一度としてなかった。
穂乃果とことりは雪穂の穂むらで話をしていた。

穂乃果 「報告書にはなんて書いたの?ことりちゃんのお母さんこわいんだよ」

雪穂 「誘拐事件の最中に飲みにくる我が姉とことりさん」

ことり 「変なことは書いてないし報告しないから安心してね」

そうか、と安心する穂乃果はオレンジジュースを口にしながら誘拐事件の推理をして呟く。

穂乃果 「気になるのはにこちゃんの妹さん弟さん三人というところ」

ことり 「三人一緒ということ?」

う〜ん、と穂乃果が悩んでいるとガラリと海未が開けて入ってきて怒っているようだった。

ほのこと 「」ンミチャ

海未 「ンミチャではありません。いったい事件の最中になにを飲んでるのですか」

穂乃果 「オレンジジュース」

ことり 「ファンタ」

ムッとした海未は空いている穂乃果の隣に座り睨む。慌てた穂乃果は海未が飲みそうなモノを注文する。

穂乃果 「べ、ペプシコーラ!雪穂」

海未 「私はコーラは飲めません!」

ことり 「ファンタは?」

海未 「だから飲めませんてば」

ふたりのペースに巻き込まれてしまったことを後悔する海未だが、凛と花陽をにこのもとに置いた理由を聞いた。

海未 「なんの役に立ってませんよ」

穂乃果 「あのふたりを置いておけばこころちゃんたちの代わりになるかと思って」

海未 「世話を焼くどころではないですが」

穂乃果 「だけどこころちゃんたちは意外に近くにいるんじゃないかな」

ことり 「冴え渡る推理だよ!」

冴え渡る推理かどうかはともかく居場所さえわからないのにどう探すのかなぞだった。
穂乃果は言う。

穂乃果 「明日は音ノ木坂学院に行ってみますか」

お勘定、と雪穂に伝えると穂乃果はさらに言う。

穂乃果 「ツケにしといてね雪穂」

雪穂 「」オイ

またもツケにする姉に雪穂は焼き鳥の串で刺していた。

No.53 16/12/05 06:12
小説大好き 

翌日、穂乃果たちは音ノ木坂学院にいた。そこにいたのは捜査一課の伊丹たちもいた。にこの事情を理事長たち学校関係者に説明してたようだ。

伊丹 「特命係補佐のうみみと」

三浦 「ことりさん結婚しましょう」

穂乃果 「ほ、ほのかはイタミンと?」

伊丹を見て頬を染める穂乃果に海未は頭を抱えた。

海未 「わ、私は捜査に来たんですよ」

伊丹 「捜査?」

芹沢 「警部殿、あまり首を突っ込まれるのはいがかと思います」

芹沢はなだめるように言うが穂乃果は校内を見回し歩きはじめた。伊丹たちは見送りながら警視庁に戻るようだった。

三浦 「ことりさん」

やかましい、と伊丹は怒鳴りつける声が海未の耳に届いた。
穂乃果はどこに向かうのか海未は気になった。

ことり 「う〜ん、ここにこころちゃんたちがいるの?」

なるほど、と海未は思う。しかし穂乃果は購買部に向かいパンを買っていた。

穂乃果 「はむはむ」

海未 「なにを食べてるんですか」

穂乃果 「コンビだよ」

食べている場合ですか、と言いたいのを堪えながらじっと海未は見つめた。やがて口を開く。

海未 「なにを考えているのですか」

しかし返ってきたのは購買部のおばちゃんの声だった。ニ十円足りないと言われ海未は泣く泣く払ってしまった。

海未 「なぜ私が払うんですか」

ことり 「今度からことりが払うよ」

すると穂乃果はことりにコンビをひとつ渡した。私には?と思う海未は口に出せなかった。
穂乃果は食べ終わると再び校内を歩いた。そこは二年生の教室である。

ヒデコ 「あの警察のひとですか」

穂乃果 「こういう者です」

海未とことりも警察手帳を見せて納得してもらった。しかしなぜ警察とわかったか伊丹たちといるのを見られたか。
相手はヒデコと名乗った。

ヒデコ 「アイドル部の先輩どうかしたんですか」

穂乃果 「いや別になにもないですよ。海未ちゃんのムネほどに」

海未 「私のムネと今回の事件は関係ありませんよ!」

ヒデコ 「事件なんですか」

なんでもないのよ、とことりは甘い顔と声でごまかした。
穂乃果がクラスに戻りなさいと諭すと彼女は足早に去った。

No.54 16/12/05 12:11
小説大好き 

ゆっくりと穂乃果はヒデコのあとをつけて彼女の教室の前で止まりヒデコがふたりの友人と話をしているのを見た。
教室に入ろうとする生徒にヒデコとふたりの友人について聞いた。

穂乃果 「ちょっといいかな」

生徒 「はい」

穂乃果 「ヒデコのそばにいる子達はなんて名前かな」

生徒 「フミコにミカです。私たちは三人そろっている時はヒフミトリオと呼んでいます。失礼しますね」

穂乃果はヒフミトリオが談笑してるのを見て呟くように言う。

穂乃果 「ハヒフヘホトリオですか」

海未 「アンパンマンのライバルみたいですね。てちがいますヒフミです」

穂乃果 「わかってるよ」

ことり 「穂乃果ちゃんの推理だよ」φ(..)

しかし穂乃果は三人を見つめた後に再びにこの家を訪ねた。

凛 「ラーメン食べきれないにゃあ」

花陽 「にこちゃんのご飯は美味しいね」

にこ 「」ツン

真姫 「なにしにいるのよ。凛と花陽は」

真姫がムッとしていると穂乃果たちが入ってきて彼女は睨む。だけど穂乃果はポツリと言う。

穂乃果 「真姫ちゃんかわいい?」

にこまき 「かきくけこ!!」ナニヤラセンノヨ!

穂乃果 「ハヒフヘホではない。うむ」

ことり 「凛ちゃん花陽ちゃんなにかあった?」

凛 「にこちゃんと真姫ちゃんはツンデレにゃあ」

花陽 「あたしたちに不満を言いながらもご飯を作ってくれたです」

穂乃果 「なるほど」

海未は穂乃果がなにを考えているのかわからなかった。

海未 「犯人から連絡はありましたか」

真姫 「なかったわ。なぜかしら」

穂乃果は真姫を見つめていた。もしかしたら海未は彼女が関係しているのかと思わず頭がよぎった。

穂乃果 「うむ。なぜ連絡がないのでしょう」

ことり 「凛ちゃんと花陽ちゃんをにこちゃんの妹と犯人は思い込んだとか?」

穂乃果 「ありえなくはありませんね」

にこ 「ありえないわよ。凛と花陽を今日は連れて帰って!」

穂乃果 「凛ちゃんと花陽ちゃんはどうしたい?」

りんぱな 「」ゴロゴロ

穂乃果 「もう一晩お願いできるかな?」

にこ 「連れて帰れ!!」ガアアア!

No.55 16/12/05 15:35
小説大好き 

花陽 「追い出されちゃいました。にこちゃんこわい」

凛 「でもラーメンは美味しかったにゃ」

穂乃果 「ふたりには苦労をかけましたね。今日は帰ってください」

穂乃果はふたりを帰した。振り返り矢澤邸を振り替える。

海未 「なにを考えてます?」

穂乃果 「あたしが居残ればよかったな。にこちゃんのご飯」

海未 「いまは事件のことを考えてください」

穂乃果 「考えてるよ。真姫ちゃんは犯人じゃない。にこちゃんでもないよ」

海未 「あたりまえです。にこが自作自演する理由がないです」

ことり 「たしかに」

納得することりに穂乃果は推理する。
行方不明の三人妹弟。いまだに部室ではひとりのにこちゃん。学校で出会ったペン&パイナップルトリオ。

海未 「ヒフミトリオですよ」

穂乃果 「わかってるてば!海未ちゃんいま考えているの」

もう一度、穂乃果はにこの家をたずねた。にこはむすっとしていた。

にこ 「なに?」

穂乃果 「ヒフミトリオのことは知っている?」

知らないわよ、とフンとにこは頬を膨らませて扉を閉めた。
ふむ、と穂乃果は考えた。海未はこんなのがよく特命係補佐になれたのか毎日疑問しかない。

ことり 「海未ちゃんは上司である穂乃果ちゃんをおバカにしている」メモメモ メモメモ

海未 「なにを報告しようとしてるんですか」

穂乃果 「にこちゃんの妹弟は三人。ヒフミトリオは三人」

穂乃果は呟いたまま警視庁鑑識課をおとずれ米沢に聞いた。

穂乃果 「なにかわかりましたか」

米沢 「ことりちゃんか真姫くんどちらもお嫁さんにしたいです。どちらにもフラレたら海未くんで 」

穂乃果 「テープのことだよ!」

ことり 「マカロンをあげるから米沢さんおしえて♪」

米沢 「う〜ん、テープの声はどこかで聞いたことがあるかもしれません」

あっさり教えた米沢はことりのマカロンを頬張った。
穂乃果は頷いて海未を見た。

海未 「?」

穂乃果 「犯人は海未ちゃん?」

海未 「ちがいますよ!」

しかし事件は二日目。早く解決しないとにこの妹弟の身が危ういのは確かかもしれなかった。

No.56 16/12/06 07:14
小説大好き 

翌朝、矢澤邸に動きがあった!駆けつける穂乃果たちに捜査一課の伊丹たち!

穂乃果 「犯人から連絡だって!いくよ」

伊丹 「海未に負けていられるか」

鳴る電話音。駆けつける穂乃果たちであった。
矢澤邸は揺れた。

穂乃果 「あれ?にこちゃんは」

伊丹 「被害者の家族なのに。どこ行きやがった」

真姫 「踏んでる踏んでる!にこちゃんが踏まれている!」

にこ 「」👻

穂乃果 「よし!真姫ちゃんが人工呼吸で」

米沢三浦 「」(´ 3`)(´ 3`)

伊丹 「三浦はともかく米沢までいつ現れた!」

真姫 「イミワカンナイ!にこちゃんしっかり!」

にこ 「」ハッ!デンワデンワ

にこ 「もしもし!」

? 「矢澤にこか。お前の弟や妹たちは……」

こころ 「お姉さま!」

ここあ 「お姉ちゃん!」

虎太郎 「おねえちゃ〜ん」

そのままガチャッと切れてしまった。あわてにこは呼び掛けるが反応はなかった。

海未 「逆探知は」

米沢 「やはり秋葉原内かと思われます。しかもごく近く」

なんで鑑識の米沢が答えているのか。海未は理解に苦しんだ。
穂乃果はというとことりたちとババ抜きをしていた。

海未 「なにしてるのですか」

穂乃果 「トランプ」

凛 「あ〜!ババにゃ」

花陽 「口に出しちゃわかるよ」

真姫は思わず穂乃果たちを叱った。それは伊丹たちも驚いた。

真姫 「なにやってるのよ。にこちゃんの気持ちを考えなさいよ!」

にこ 「真姫ちゃん」

穂乃果 「ごめんなさい」

真姫 「わかればいいのよ」ツン

しかし穂乃果の答えは違っていた。

穂乃果 「真姫ちゃんもトランプ遊びしたかったんだね」

真姫 「ちがうわよ」

穂乃果 「にこちゃん」

にこ 「なによ」

穂乃果 「昨日聞き忘れたんだけど妹さんたちに学校での活動はなんて伝えてあるのかな」

にこはむっとしながらも聞かれたのでやむなく答えた。
学校が廃校になるかもしれないなかひとりアイドル部の活動をひとりでしているなんて言えず八人のバックダンサーがいると見栄を張っていたことがわかった。

穂乃果 「八人のバックダンサーですか」

No.57 16/12/06 12:46
小説大好き 

アイドル部にひとりしかいないのに八人のバックダンサーとは大風呂敷を広げすぎではないか。

伊丹 「とにかく犯人を探すぞ」

三浦 「犯人を捕まえた暁には真姫さんオレと一緒になってください」

真姫 「ならないわよ」フン

三浦刑事はまったく相手にされていなかった。米沢も真姫に告白する。

米沢 「妻とは別れる。リアル六角精児ではありません。米沢守として告白します。仕事中にセクハラはしてません」

真姫 「してたでしょう!とっとと職場に戻る」

米沢は本庁に戻っていった。穂乃果たちのなかで動いたのは海未だけだった。

海未 「私は犯人を探します!いいですね」

穂乃果 「あ!○○屋のチョコケーキと」

ことり 「ショートケーキをお願いね」

海未 「なんでですか!?凛と花陽も行きますよ!」

りんぱな 「お断りします!!」

嫌がる凛と花陽の襟を掴み海未は出ていった。穂乃果は吐息をつきながらことりを連れて出ていった。

にこ 「ぬわんなのよ」

真姫 「あたしがいるから」

再び音ノ木坂学院にやって来た穂乃果はヒフミトリオを見つけたが声はかけなかった。

ことり 「?」

穂乃果 「あとをつけてみましょう」

No.58 16/12/10 06:49
小説大好き 

穂乃果 「ハヒフヘホトリオはどこに」

ことり 「三人だよ」

ふたりはヒデコの後をつけると彼女はアイドル部部室の扉ではなく外に向かったよう。外に待っていたのはフミコにミカ、彼女たちはアイドル部部室の窓を開けて手にした袋を中にいた誰かにあげているようだった。
相手は写真で見たこころたちなことに気づき穂乃果はあらわれた。

穂乃果 「なにをしてるんですか」

ヒデコ 「あ!?警察のひと。なんで」

穂乃果 「失礼。そこにいるのは矢澤こころさんたちですか」

こころ 「は、はい。警察のひとですか」

事情を聞いた穂乃果たちはアイドル部部室の扉を開けてにこや捜査一課を呼んだ。にこたちは感動の再会を果たした。

にこ 「こころ!ここあ!虎太郎!」

こころ 「お姉さま!」

ここあ 「お姉ちゃん!」

虎太郎 「お姉ちゃ〜ん」!」

にこ 「鼻水出てるでしょう」

伊丹 「どういうことですか警部殿」

海未 「なぜアイドル部の部室にいたのですか」

こころ 「お姉さまが指導しているアイドル部のバックダンサーを見に来たの。そしたら」

穂乃果 「そこから先は私が説明しましょう」

穂乃果は部室に備えつけられていた留守番機能付きの電話を手にしていた。

海未 「留守番電話?」

お茶を出され米沢以外のメンバーが揃い穂乃果は説明する。

穂乃果 「そもそも今回の事件はにこちゃんの見栄もしくは嘘が引き起こした事件のようです」

にこ 「う、嘘だなんて」

真姫 「にこちゃんは嘘をつくような子じゃないわ」

花陽 「高3にはいまいち見えませんけど」

凛 「そうだにゃあ」

穂乃果 「にこちゃんは自分にはバックダンサーが八人いると妹さんたちに伝えていたようです。そうですね」

う、うんと曖昧ながら認めるにこを妹たちはじっと見つめる。
穂乃果の推理はこうである。

穂乃果 「ある日のこと妹さんたちはお姉さんの部室をたずねましたがふこうなすれ違いがありました。にこちゃんは気づかないまま家に帰り妹さんたちは部室に入った」

海未 「入っただけなら問題ないのでは?」

穂乃果 「いえいえにこちゃんは彼女たちに気づかないまま鍵をうっかりかけてしまったのです」

No.59 16/12/10 07:25
小説大好き 

穂乃果の説明によると鍵をかけられた彼女たちは部室から出れないまま一日が過ぎようとしていた。
しかしそこへ部室のおもてを通りかかったのヒフミトリオでした。

穂乃果 「そうですね。ハヒフヘホレンジャーのみなさん」

ヒフミ 「ヒフミトリオ!」

穂乃果 「しかし彼女たちは窓を開けれたもののにこちゃんゆずりの身長の低さがあり窓はわずかに開けれませんでした。ヒフミトリオはこの二日間彼女たちにお菓子やご飯を差し入れていたようです」

こころ 「あらためて礼を言いますねヒデコさんフミコさんミカさん」

こここここ 「ありがとうございました」

ことり 「でもあの誘拐事件の声はなんなの」

真姫 「それは」

穂乃果 「それは私から説明しましょう」

穂乃果は留守番電話のテープを再生した。

電話 「伝説のアイドルDVD『デンデンデン』をよこせ」

穂乃果 「この声に聞きおぼえありませんか。にこちゃん?」

ギクッとしたにこに穂乃果は笑みをしながら言うと驚くべき真相だった。

穂乃果 「これはにこちゃん自身の声なのです。にこちゃんはアイドル志望しかも音ノ木坂ではそこそこ芸達者です。たぶん演技の練習のために留守番電話に吹き込んだのでしょう。それを部室に入ってしまったこの子たちは作動させてしまった。ちなみににこちゃんにとっての貴重品はアイドルDVD『デンデンデン』くらいです」

花陽 「わかります」ウルウル ウルウル

真姫 「な、なんであのテープの声がにこちゃんだってわかったの」

穂乃果はある未提出の報告書を出す。それは鑑識課の真姫の書いたものである。

穂乃果 「これは真姫ちゃんが書いた報告書です」

真姫 「ヴェェ!なんで」

穂乃果 「真姫ちゃんが退勤時刻になったのを見て盗み見しました」

伊丹 「」オイ

そこへ米沢がどすどすと部室に入ってきて真姫に言う。

米沢 「昨日の報告書はまだですか西木野くん」

はい、と報告書を渡す穂乃果に米沢はこれが婚姻届ならと妄想した。

海未 「しかし鍵は職員室の先生方に言えばいいのでは」

穂乃果はふむと頷き言う。

穂乃果 「ヒフミトリオは言い出しにくかったんだよ。にこちゃんとは面識なかったし」

海未は納得しにくい顔をした

No.60 16/12/10 08:57
小説大好き 

「にこちゃんにこちゃん」

なによ、とにこはにらみ返すが穂乃果は意外なことを言う。

「にこちゃん。バックダンサーならここにいるよ」

意外な人物たちの名前を出す穂乃果に誰まが驚いた。

「真姫ちゃん凛ちゃん花陽ちゃん。罪の償いをしている絵里ちゃんに希ちゃん。そしてイタミンズに米沢さん。ヒフミトリオ、ついでに海未ちゃん」

「な、なんで私がバックダンサーなのですか」

「あたしとことりちゃんはバックダンサーじゃないもん!」

しっかり逃げ道を確保している穂乃果だったが、三浦刑事と米沢の頭には真姫と一緒に踊る妄想が部室のなかを飛んでいた。

「なにを考えてるんだ三浦!」

「もう心配かけて」

ごめんなさいと三人の妹や弟たちは抱き合った。
ヒフミトリオは言う。

「ごめんなさい、あたしたちがちゃんと言わなかったから」

「彼女たちはにこちゃんを応援したかったけど不器用なんだよ」

穂乃果の言うことに説得力があり彼女は後押しをする。

「ヒフミトリオは特に悪いことはしてないけどこれからはアイドル部のにこちゃんを応援してあげてね」

ヒフミトリオは頷いた。
こうして今回の事件は解決した。またしても穂乃果が事件を解決したことに海未は納得いかなかった。

「海未ちゃんは凛ちゃん花陽ちゃんと秋葉原を走り回っただけ。以上」

「なにを報告書に書いてるんですか!」

「以下同文」

「ことりまで」

「たいして活躍できなかった」

「秋葉原の美味しいモノを食べました」

凛と花陽の報告書を受け取り穂乃果は満足に微笑んだ。
そして翌日、特命係補佐に新たなメンバーが加わることになる。

「真姫ちゃん!にこちゃん」

「もうあんたのせいで鑑識課を飛ばされたでしょ!」

「ふん。学校は休学してあんたを手伝ってあげるわよ。三度も助けられたんだし」

なぜ?、と特命係補佐に新たにメンバーが加わったことに海未は頭を抱えた。
これでは本当に高校の部活かなにかではないか。
ちなみに真姫は鑑識ができるので役に立つはずだが、にこが何の役に立つかは不明だった。
ぬわんでよ!と特命係補佐の一室はこの二人を加えて騒がしくなるのだった。

No.62 17/01/06 18:48
小説大好き 

今日も今日とて特命係補佐は平和だった。
上司である穂乃果の遅刻をのぞいて……。

ことうみまきりんぱな 「にこ(ちゃん)お茶」

にこ 「いっぺんに言わないでよ」

特命係補佐室には穂乃果以外のメンバーはすでに揃っていたが、海未や真姫は少し苛立っていた。

海未 「上司である穂乃果が遅刻とはなんですか」

真姫 「せっかく医者としての経験を鑑識課で生かそうとしたのに左遷だなんて」

花陽 「米沢さんを相手にしないからですよ」

真姫 「ヴェェ、私にも選び権利はあるわよ」

凛 「もしかして穂乃果ちゃん?」

真姫 「なんでよ」イミワカンナイ

ことり 「穂乃果ちゃんはあたしのもの」

海未 「はいはい」

穂乃果はダッシュで特命係補佐にやって来た。

穂乃果 「セーフ!」

海未 「アウトです!!」

穂乃果 「うるうる、タイムカードを初期設定にしてリセット…」スイッチオン

海未 「なに公僕たる警官が不正を働こうとしてるんですか」

真姫 「にこちゃんタイホして」

にこ 「……」

凛 「タイホするにゃ」

花陽 「タイホするです」

にこ 「まだ警察官採用試験を受けてないからむり!」

ほのことうみまきりんぱな 「」エー

にこ 「すぐにでも受けて穂乃果より偉くなるわよ」

穂乃果 「ほのかよりてほのかを馬鹿にしてるよ」

ことりんぱな 「」ヨシヨシ

庇うのはことりんぱなの三人だけだった。
しかし事件はいつ起こるかわからない。穂乃果に復讐を誓う希と絵里は偶然出会った。

希 「高坂穂乃果許さへんで」

絵里 「まったくよ。認められないわ」

のぞえり 「」ン?

希 「えりち!?」

絵里 「のぞえもん?」

希 「希や。久しぶりの再会でドラえもんちゃうんやから」

ふたりは以前ににこを踏みつけた罪を償ったものの穂乃果への復讐は忘れなかった。

絵里 「特命係補佐の高坂穂乃果をいたい目にあわしたいわ」

希 「せやね。にこっちはどうでもええけど」

年越しそばの屋台のおじさんはふたりのヒソヒソ話があまりに聞こえるので困った。
あやしいふたりを見たのは屋台のおじさんだけだった。

No.63 17/01/06 20:15
小説大好き 

海未 「この報告書に目を通して捺印をしてください」

穂乃果 「こんなに書類多かった?いい?ここは陸の孤島のさらに孤島の部署なのに」

穂乃果の文句は海未と真姫の胸を抉るように刺さる。
海未はさらに書類を山のように置く。

海未 「これらの書類もお願いしますね」

穂乃果 「部下なのに海未ちゃん偉そうだよ」

警察官採用試験を勉強してるにこもわずかに同意しことりたちも頷いた。
夕方になっても穂乃果は書類が終わらない。トイレと食事以外は外出を海未は許さなかった。

ことり 「お先に失礼するね」

穂乃果 「ことりちゃ〜ん」

りんぱな 「お先に失礼します」

穂乃果 「ラーメンライス」

りんぱな 「芸人みたいに呼ばない」

真姫 「じゃあね穂乃果」

穂乃果 「うるうる」

にこ 「あたしも今週には採用試験があるから失礼するわ」

穂乃果 「頑張ってにこちゃん」

にこ 「穂乃果もね」

海未 「(芸人ですか。この人たち)」

もじもじしながら穂乃果は書類をひとつひとつ片付けていた。それに海未は気づいた。

海未 「どうしました穂乃果?」

穂乃果 「トイレ!」

海未 「破廉恥です。とっとと行きなさい!」

書類はかなり少なくなり穂乃果は足早にトイレに向かう途中に見慣れない掃除のおばちゃんを見かけた。

穂乃果 「」ジー

? 「」ソウジチュウ!

穂乃果 「気のせいか」

下半身をおさえながらトイレに消える穂乃果を見て希はそっと隠しマイクに声を当てた。

希 「高坂穂乃果はいまトイレや」

絵里 「ことり、凛に花陽、真姫ににこが警視庁から出たの確認したわ」

希 「穂乃果ちゃんのもとに堅物海未ちゃんがおるな。どうする?」

絵里 「作戦変更よ。いま出ていった誰かを人質にするわよ」

希 「了解」

穂乃果がいまだにトイレにこもっているのを覗き見しながら希はなんともなく警視庁を出ていった。

海未 「まったく手のかかる上司です」

穂乃果 「誰が?」

海未 「穂乃果ですよ」

穂乃果 「書類を片付けるのを頑張るよ」

まるで居残り勉強をさせられている特命係補佐の上司だった。

No.64 17/01/06 21:00
小説大好き 

凛 「お腹空いたにゃ」

花陽 「寮に帰ったらご飯だね」

凛と花陽は一緒に暮らしていた。寮まであと少しというところで凛の目にあるモノが見えた。それはとてつもなく魅力的なラーメンだった。

凛 「あ、あれは幻の北海道コーンバターカニ味噌ラーメンにゃあ」

凛の姿がラーメンの方向に消えた時に彼女の悲鳴が響いた。
にゃああ〜!?
慌て花陽が駆け寄ると割れた割り箸と湯気の立つラーメン、隣に幻の白いご飯。黄金白米ライススペシャルがあった。
割り箸を指で割った時だった。目の前の怪しい影が彼女を襲った。
ダレカタスケテ〜!!
悲鳴を聞いて通りがかった交番勤務の警官が見たのはまさにラーメンライスと割れたふたつの割り箸が二人分あった。
そのほぼ同じ頃、南ことりも家路に着いていた。

ことり 「もう海未ちゃんたら穂乃果ちゃんにいじわるだよ」

ぷんぷん、と珍しく怒りながら歩いているとふと目の前にチーズケーキの丸々のホールケーキがあった。
ジーッとことりははじめ見つめていたが、瞬間的に頬が緩んだ。

ことり 「わ〜♪夢だったの!」

すると目の前に怪しい影が現れ彼女を襲った。
ホノカチャンともハノケチェンとも聞こえる悲鳴が響いた。
通りがかった制服警官の前にはチーズケーキが甘い匂いを漂わしていた。
翌日、特命係補佐に出勤した穂乃果は採用試験を受けるにこがいないのはともかく海未と真姫しかいないことに頭の上に?があった。

穂乃果 「おはよう!じゃなくてことりちゃんたちは」

海未 「そういえばまだ来てませんね」

真姫 「穂乃果が遅刻しない方が奇跡的だけど」

同じ頃、隣の特命係に怪しい電話がかかり杉下右京と彼の相棒は耳にした。

? 「もしもし南ことり星空凛小泉花陽は誘拐したで」

右京 「もしもしどちらにおかけですか。こちらは特命係ですが」

? 「間違えた!失礼します」

ガチャ、と切れる音を立てるのを耳にした右京と相棒は目を合わした。その数分後に特命係補佐に先ほどの電話がかかってきた。

? 「もしもし」

穂乃果 「もしもしこちら特命係補佐ですが」

? 「南ことり星空凛小泉花陽を預かったで」

穂乃果 「ん?世話してくれたの。ありがとう」

? 「ちゃうわ!!」

No.65 17/01/07 08:28
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? 「ちゃうわ!南ことり星空凛小泉花陽を誘拐したんや」

その言葉に三人は驚いた。角田たちも特命係補佐に顔を出した。

角田 「おい、誘拐だって」

さらに捜査一課から伊丹たちも現れた。

伊丹 「特命係補佐の園田〜!」

海未 「特命係補佐はいらないです」

穂乃果 「うるうる、海未ちゃんはここがきらいなの」

真姫 「その前に電話電話」

真姫に言われ呼びかけるてすで切れていた。

海未 「なにやってるんですか。ことりに花陽に凛が誘拐されたんですよ」

三浦 「それなんですが、所轄からこんな報告があったんです。昨夜、秋葉原の二つでラーメンとごはん、そしてチーズケーキが置かれ割り箸ふたつにフォークがありそこから女性の悲鳴が二件いや三件あったようだ、と」

穂乃果 「三人は誘拐されたと」

芹沢 「そのようです」

真姫 「なんであの三人を誘拐したのかしら。世話がたいへんになるくらい犯人はわからないのかしら」

その頃、犯人の希と絵里は秋葉原某所で三人の世話に時間を費やしていた。

ことり 「ケーキケーキ!」

花陽 「ごはんですごはんです!」

凛 「ラーメンラーメン!」

希 「電話が切れてもうたやん!!」

ことぱなりん 「なにか食べさせてよ」

絵里 「みごとに食品サンプルに匂いをつけたただけでひっかかるなんて」

ことぱなりん 「」タスケテ

希 「うるさい!スピリチュアルでいてこますで!」

ことぱなりん 「」シーン

絵里 「それにしても特命係補佐、いえ高坂穂乃果はようやく事態が伝わったかしらね」

たぶん、と希は言う。
捜査一課の面々に連れられまずは凛と花陽の誘拐現場に穂乃果たちはおもむいた。そこに米沢がいた。

米沢 「犯人が残したのはこの食品サンプルのラーメンとごはんです」

穂乃果 「食べられないのに」

海未 「こんなのにひっかかるんですか」

真姫 「イミワカンナイ!」

米沢 「だけど食品の匂いはみごとに再現しています。薄れていますが」

袋に鼻を入れ穂乃果は匂いを嗅いで一言。

穂乃果 「おなか空くよ」

海未 「少しはまじめにしなさい。三人がどんな目に遭っているのか」

真姫 「そうよ」

No.66 17/01/07 09:55
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続いて南ことりの誘拐現場に一同はいた。

米沢 「これは犯人が残したチーズケーキのサンプルです」

穂乃果 「食いしん坊だねことりちゃん」

海未 「あなたが言っても説得力ありません」

真姫 「米沢さん他には」

米沢 「わたくし米沢守は西木野真姫を左遷しましたが、好きであります

真姫 「そういうことじゃなくて」

三浦 「そうだぞ。真姫さんは僕のものだ」

真姫 「もう捜査しないと三人が危ないでしょう」

海未 「やれやれ」

穂乃果はまた袋に鼻を入れ匂いを嗅いでいた。

穂乃果 「おなか空くよ」

海未 「少しはまじめにやってください」グググ

穂乃果 「こわい」

それにしても三人を誘拐するなんて手間のかかることをしたもんだ、と思ったのは犯人グループの希と絵里だった。

希 「ああ!うるさい」

ことり 「チーズケーキは」

凛 「ラーメン」

花陽 「ごはん」

絵里 「いまやってるわよ」

希 「ひとりでよかったんちゃう?」

絵里 「それもそうだけど。ひとりにしたらかわいそうだし」

ことぱなりん 「」ニラメッコジャンケン!アップップ!(≧∇≦)

絵里 「アッハッハ!」

希 「なに笑うとんねん!」

ことり 「」チョロイ

だけど脱出のチャンスはまったくなかった。希と絵里つねにどちらはこのアジトにいるのだから。

穂乃果 「う〜ん、犯人はいったいどこに」

真姫 「居場所がわからないと」

海未 「穂乃果がちゃんと電話を取らないからですよ」

警視庁に戻った三人は話し合いをした。にこは警察官採用試験の勉強でいないのだが顔を出した。

にこ 「どうしたのよ」

穂乃果 「ことりちゃんと他ふたりが誘拐されたの」

にこ 「なんですって」

にこの声に警視庁の建物が揺らいだ。

No.67 17/01/07 14:52
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にこ 「なに能天気にここに戻ってきてんのよ」

穂乃果 「イタミンに事情を聞かれたけど犯人の動機に心当たりないし」(..)(__)

うみまき 「(そのいい加減でおおざっぱな性格のせいでは?)」

にこ 「そのいい加減でおおざっぱな性格をなんとかしなさいよ!!」

うみまき 「言った!?」

穂乃果 「ほ、ほのかは毎日まじめに警官してるよ」

海未 「説得力ありませんよ」

そこへ犯人から特命係補佐に再び電話が入る。

希 「もしもし三人を返してほしいか?高坂穂乃果」

穂乃果 「ほ、ほのかだよ。ことりちゃんたちは無事なの」

絵里 「ことりにはチーズケーキ、凛にはラーメン、花陽にはごはん。食費がかかるんだけど」(*ToT)

ことりんぱな 「(食欲は満たされた)」

希 「ぶ、無事や(えりちのあほ)」

絵里 「(な、なによ)」

真姫 「逆探知よ」

海未 「はい」

角田 「俺たちも協力するぜ」

穂乃果 「目的はなんなの」

希 「ふふふ。高坂穂乃果、おまえにうらみを持つ者や」

穂乃果 「ほのか、なんでもはできないけど和菓子をあげたり今日のお菓子をあげたりファーストフードのフライドポテトくらいならあげるよ」

にこ 「どんだけことりたちの身柄はやすいのよ!!」

希 「」ガチャ!

希 「あ!にこっちの声で電話切ってもうた」

絵里 「なにやってんのよ」

真姫は逆探知をしようとしたが失敗した。

真姫 「なにやってんのよ!」

にこ 「文句なら穂乃果に言いなさい!」

真姫 「」ガミガミ!ガミガミ!

穂乃果 「ご、ごめんなさい」

特命係の杉下右京とその相棒は隣の部署から眺めていた。
その頃、ことりたちはなんとか連絡か脱出はできないか考えていた。

ことり 「ほのかちゃ〜ん」

凛 「力はたくわえたにゃ」

花陽 「まあまあ美味でした」

ことり 「連絡するか脱出をしないと」

凛 「むりだにゃ」

花陽 「犯人は誰なんでしょう?」

目を塞がれた三人は縛られながら手首から先は動かせたようだ。

希 「まったく高坂穂乃果は手強いな」

絵里 「交渉が下手すぎよ」

No.68 17/01/07 17:00
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絵里 「まずは人質にしたこいつらから高坂穂乃果の弱点を聞き出すのよ」

希 「なるほど」

絵里 「南ことり、あなたは穂乃果との付き合いが長いらしいわね。穂乃果の弱点を教えなさい」

ことり 「」💤

希 「寝んな!」

ことり 「」ハッ

ことり 「ママ、トイレは?」

希 「まっすぐ行って左や。右が出入口や」

絵里 「」(゜o゜)\(-_-)ガン!!

希 「いたい」ヒリヒリ

ことり 「どうかしたの犯人さん?」

絵里 「なんでもないから。とにかく高坂穂乃果の弱点を教えなさい」

ことりは考えた。穂乃果ちゃんの弱点。考えたが……ない!
木登りはちいさい時からするし後先を考えないで動き回るしいるとたのしいし。
海未ちゃんは穂乃果ちゃんを理解してないけど。

ことり 「たぶんないんじゃないかな」

のぞえり 「え?」

ことり 「弱点はないんじゃないかと思うよ」

ふたりは驚きのあまりに肩を落とした。希にいたっては叩かれた頭をおさえるくらいにがっかりした。
その頃、穂乃果はというとメンタルが弱っていた。いつものように推理がまったくないのだ。

穂乃果 「三人が犯人に捕まったのはあたしのせいだよ」

真姫 「ここまで落ち込むなんて」

海未 「それだけ落ち込んでいるのです。にこは?」

真姫 「明日も試験があるから帰ったわ」

にこはまだ警官でないため事件に参加できない。しかし犯人のひとり希は外出した際に彼女の姿を見かけた。

希 「にこっちやんか」

にこ 「穂乃果より偉い警官になるわ!」

希 「がんばってんな」

さすがににこには以前悪いことをしたために見逃した希だった。

No.69 17/01/07 18:26
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悩む穂乃果の前に捜査一課の伊丹たちがいままで穂乃果が関わってた事件や容疑者のリストを持ってきた。

伊丹 「警部殿、なにか思い出しましたか」

穂乃果 「むりだよ」

芹沢 「たとえば警部殿に恨みを持つ人間に心当たりはありませんか?」

穂乃果は海未と真姫を見つめた。

海未 「なんで私を見るんですか!?」

真姫 「そうよ。意味わかんない」

伊丹は顎でふたりを事情聴取に連れていった。取り調べ室にそれぞれ連れていかれた。

伊丹 「特命係補佐の園田海未。なにか知らねえのか」

海未 「知りませんよ。恨みますよ穂乃果」

伊丹 「おい。いまの言葉を聞いたか」

別の取り調べ室では。

三浦 「西木野真姫さん。あなたは高坂穂乃果警部に恨みはありますか」

真姫 「ないわよ。事件とは無関係でしょう」

三浦 「しかし前の事件では高坂警部と鑑識の米沢守により左遷された」

左遷という言葉に真姫の胸に矢が深く突き刺さる。

真姫 「か、関係ないわよ」

三浦 「よし!関係なしだ。聞きましたね」

芹沢 「伊丹も三浦も大丈夫か」

マジックミラー越しに見ていた芹沢は頭をかいた。
特命係補佐にひとりいる穂乃果のもとにことりの母親おやどりがやってきた。

おやどり 「穂乃果ちゃん。娘は無事なの」

穂乃果 「申し訳ありません。あたしの不手際です」

特命係補佐に戻った真姫は穂乃果とおやどりがいるのを見て隠れるように見た。すると突然、胸をワシワシされた。

真姫 「」キャー ボウヨミ

穂乃果 「真姫ちゃんっ!」

真姫 「い、いまあやしい掃除のおばさんが……」

穂乃果は彼女の言葉で思い出した。あの時あやしい掃除のおばさんがいたことを。

おやどり 「穂乃果ちゃん?」

穂乃果 「警視庁内の監視カメラのビデオを用意してください」

米沢 「わかりました」

真姫 「いつ来たの?米沢さん」

穂乃果と米沢の間のつながりをふしぎなもののように見つめた。
その頃、海未はまだ伊丹からいやがらせを受けていた。

伊丹 「のどが渇かないか」

海未 「はい」

伊丹 「俺からの差し入れだ。これでも飲め」

海未 「炭酸飲料じゃないですか!!」

No.70 17/01/08 06:41
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穂乃果は警視庁内のビデオにすべてに目を通すと見慣れない掃除のおばちゃんが映っているのに気づいた。
しかも警視庁内というのに、ワシワシをしてるというのだ。

穂乃果 「許せないよ」

真姫 「これ希じゃないかしら」

海未 「はあはあ、破廉恥ですね」

海未が戻ってきたことに穂乃果は抱きついた。穂乃果のぬくもりに海未は安堵するなか伊丹たちは捜査に向かう。
右京たちはそれを見守る。

相棒 「彼女たちだいじょうぶですかね」

右京 「だいじょうぶですよ」

犯人が東條希とわかったが彼女ひとりとは限らない。ことりたちを人質に取るほどだ。
伊丹たちも捜査するが居場所はわからない。

穂乃果 「どこにいるの」

海未 「がんばるのです」

真姫 「私は私で捜査をするわ」

真姫は特命係補佐を出ながら秋葉原界隈を聞き込みした。
それを見つけたのは絵里だった。あやしい笑みを浮かべた。

真姫 「こ、これは!?庶民のカップ麺やおでん缶」

絵里 「ふふふ、あなたも来なさい」

イヤー、と棒読みな悲鳴が秋葉原に響いた。ダイイングメッセージらしいのを鑑識の米沢は見つけた。

米沢 「なにかのメッセージかもしれません」

穂乃果 「ロシア?ポンコツ?ポニーテール?」

海未 「わかりませんね」

伊丹 「警部殿」

考えてるよ、と穂乃果は言う。
まさか犯人は?、とあのふたりかと考えるが考えたくもなかった。

穂乃果 「犯人は絵里ちゃんに希ちゃん……」

身元は確定したが秋葉原のどこにいるのか。
人質に取られた真姫は憮然とした。

真姫 「」( ̄З ̄)

凛 「不機嫌だにゃ」

花陽 「ご飯はありますよ」

ことり 「お腹いっぱい」

希 「人質を増やしてどうすんねん」

絵里 「高坂穂乃果を苦しめるのよ」

なるほど、と真姫は思う。自分たちを人質にしたことで彼女がメンタルが弱かったことに気づかなかったらしい。
ポンコツね。
穂乃果は秋葉原の地図を広げた。

No.71 17/01/09 18:05
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穂乃果は秋葉原の地図を見つめた。
ポンコツ、ロシア、ポニーテール。
海未は穂乃果の推理が冴えることに期待したが、次の瞬間に裏切られた。

穂乃果 「海未ちゃんメイド服を着てアキバを歩いて!」

海未 「はあああ〜!!?」

海未 「ち、ちょっと米沢さんなにするんです!?」

米沢 「はあはあ、メイド服に着替えてもらいます。できました!本当はことりさんや真姫さんにしてもらうはずですが」

メイド服の海未に皆は声をあげた。

ほの伊丹三浦芹沢米沢 「」オオー!?

右京 「なるほど。そう来ましたか」

海未は秋葉原を通る人たちにやたら見られていた。メイド服を着ながらやや恥じらいながらそれが通行人やアキバの住人の心をくすぐった。

海未 「は、はずかしいです……」

ほのよね 「グッジョブ!」( ̄▽ ̄)b( ̄▽ ̄)b

海未 「(おぼえてなさい穂乃果に米沢さん!!)」

穂乃果 「えがおえがお」

海未 「に、にこ……」

にこ 「なにやってんのあんた」

穂乃果 「イタミン!にこちゃんを確保!」

伊丹 「イタミン言うな!矢澤にこ捜査の邪魔になりますから。こちらへ」

にこはなしくずしに仮説の捜査本部に連れてこられた。

にこ 「」ムッ

穂乃果 「まあまあお茶でも」

にこ 「海未はともかく真姫ちゃんはどうしたの」

穂乃果 「そういえばまだ来てないや」

そこ捜査本部に電話がかかり取る穂乃果。

穂乃果 「もしもしほのかだよ」

絵里 「三人に続いて真姫を預かったわ」

ほのにこ 「」エエッ

絵里 「驚いたようね」

にこ 「真姫ちゃんは無事なの!ねえポンコツのあなた!」

絵里 「誰がポンコツよ!あたしはあや……!?」

希 「名前言うてどうすんねん!!」

絵里 「あ」

にこ 「すぐ仲間割れするわね。あんたたち」

穂乃果 「特命係補佐は仲間割れしないよ」

にこのぞえり 「(どの口が言うのか)」

真姫 「聞いて!犯人は絢瀬絵里と東條希よ!場所は……!?」

瞬間、銃声のような音が鳴り響いて一同は愕然とした。
真姫は無事なのか。

No.72 17/01/09 19:31
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パーン……!、と銃声に似たような破裂音にことりたちは目を伏せた。
だが、絵里が希のあたまを叩いた。いやツッコんだ!!

希 「あいた〜……」

絵里 「なに膨らませた袋を破裂させてんのよ!」

真姫 「ヴェェ……」

ことり 「真姫ちゃん!」

絵里 「気を失っただけよ」

凛 「よかったにゃ」

花陽 「あたしたちの状況はなにひとつ良くなってませんけど」

希 「ほんまや。あたまを叩かれるなんて」

絵里 「まぎらわしいことするからでしょう!アキバを海未が歩いているけど捕まえちゃだめよ。あれ?」

こつぜんと希の姿は消えていたの絵里たちは気づいた。
真姫も気絶から意識を取り戻した。

真姫 「希は?」

凛 「いなくなったにゃ」

花陽 「はやいね」

アキバを歩く海未を希は易者になり後をつけていた。

希 「うん。あんたの運勢はええ。アブノーマル線あるからへんたいな彼氏がみつかるで」

海未 「なんでしょう。妙にハレンチな易者さんがいますね」

穂乃果 「見てもらったら?」

海未 「なんでですか。捜査の途中ですよ」

にこ 「いいから」

海未は尾行している希とは知らずにくるりと向きを変えて希が変装している易者に向かった。

希 「(ば、バレた!?)」

海未 「み、見てもらっていいですか」

捜査の途中なのに易者に占ってもらうなど警察官とは思えません、と嘆く海未。
同時にバレたのかと思いながら彼女を占う希。

希 「ふむふむ、あなたはいつも上司に苦労されてんねんな」

海未 「そうなんです!私にいつもムリを押しつけて苦労が絶えないんです!」(ToT)

血の涙を流す海未に希はほんの少し同情と共感をした。
しかし絵里はそれを許さない。絵里から耳にしたイヤホンから声が入る。

絵里 「なにやってんのよ!ほっときなさい」

希 「なんや知らんけどほっとかれんねん」

海未 「どうかしましたか」

希 「なんでもあらへん。ウチの相方はポンコツやさかい」

絵里はムッとした。それを残された四人は怖いなと思った。

真姫 「(人質が増えたらそのぶん逃げる時にはめんどうなのに)」

ことり 「(そうなの?)」

No.73 17/01/10 06:54
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希 「ウチの相方もほんまなにからなにまでポンコツで困ってんねん」

海未 「本当ですよ。穂乃果にいたってはみんなが人質にされただけでメンタルが弱っていつも以上に使い物にならないんですから」

聞きながら穂乃果、絵里それぞれはムッとしたが絵里はあることに気づいて方針転換した。

絵里 「海未をそのまま連れてきなさい」

希 「え?なんで」

絵里 「いいから!はやく!」

希 「メイドさんちょっとこっちに来てえな」

どうやらこのまま希についていけばことりたちのもとに行けそうだった。
穂乃果は「そのままだよ」と伝えた。
伊丹たちは尾行しようとしたが、穂乃果に止められた。
海未が連れてこられたのはロシア風メイドカフェ、名前を……。

海未 「PONCTSU??」

なるほど、とふしぎな納得をした時だった。海未は希にわしわしされて足腰が立たなくなった。

海未 「あ、あなた……」

希 「堪忍やで。海未ちゃん」

穂乃果 「観念するのはそっちだよ。希ちゃん」

にこ 「真姫ちゃんとその他四人を返しなさい」

希 「にこっち!?」

絵里 「な、なんでここがわかったの」

穂乃果は店内に入り明かりをつけると縛られたことりたち四人が椅子に座っていた。

穂乃果 「かんたんな推理だよ。このロシア風メイドカフェ、PONCTSU。つまりポンコツはアキバのメイドカフェでいちばん売り上げがないんだよ。なぜか」

絵里と希は喉を鳴らした。

穂乃果 「絵里ちゃんがポンコツで売り上げがまったく伸びないんだよ」

絵里 「よけいなお世話よ!」

希 「いやそこは同意したいんよ」

にこは真っ先に真姫をほどいて凛たちを助けた。痺れて動けない海未はよろよろだった。

海未 「ゆ、許しませんよ」

希 「高坂穂乃果、まだウチらの復讐は終わらへんよ」

絵里 「そ、そうよ。認められないわ」

にこ 「あんたたち。まだ馬鹿なことをするつもり?犯罪者より警官になるくらいはできるでしょう」

希 「にこっち……」

良心が揺らいだ希だが、絵里はキッと特命係補佐の面々を睨んだ。

絵里 「まだまだこれからよ」

希の手を引いて彼女たちは逃げ出した。

No.74 17/01/10 14:06
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伊丹 「待て!!」

三浦 「真姫さん!今度デートしましょう」

真姫 「イミワカンナイ!」

三浦 「じゃあことりさんで」

ことり 「却下するよ」

芹沢 「なにやってんだ。いくぞ」

伊丹 「待て!」

伊丹たちがふたりを追うなか穂乃果は仲間たちを保護した。

穂乃果 「ことりちゃん花陽ちゃん凛ちゃん、他ふたりだいじょうぶだった」

うみまき 「他ふたり言わないで(ください)!!」

穂乃果 「それにしてもほのかに復讐をするなんてほのかなにかした?」

海未 「自覚がなさすぎます」

ことり 「ううん、世界は穂乃果ちゃんが中心なんだよ」

真姫 「」イミワカンナイ

にこ 「とにかくあたしは採用試験に受かって穂乃果よりえらくなるわ」イバリ

花陽 「穂乃果ちゃんよりえらい人はいくらでもいるよね」

凛 「パン屋さんにお米屋さんにラーメン屋さんにゃ」

にこ 「こいつら」

その頃、希と絵里は逃げていた。しかし希のなかに良心が揺らぎおもわず絵里にワシワシした。

絵里 「キャー」

希 「刑事さん。あたしたちを捕まえてください」

絵里 「う、裏切ったわね」

伊丹 「よし!動くな」

穂乃果たちも後からようやく追いついた。

穂乃果 「希ちゃん。絵里ちゃん」

絵里 「く。あたしは諦めないわよ」

海未 「待ちなさい!」

絵里だけは一目散に胸を抱え逃げてしまった。希はあっさりなくらい捕まり取り調べられた。

伊丹 「高坂警部になんの恨みがあった」

希 「う〜ん」

三浦 「(巨乳だな)」

海未 「さっさと白状しなさい」

凛 「トンカツラーメンをやるから」

花陽 「いえ牛丼を」

真姫 「食べ物で釣らない」

希はなぜ穂乃果に復讐をしようとしたか。なぜか事件後その部分が消えてないのだ。

希 「わ、忘れてもうた!!」

伊丹 「嘘をつくな」

希 「ほ、ほんまや」

三浦 「(む、胸が揺れている!!)」

結局、希は無罪放免になってしまい穂乃果の意向もあり釈放となった。
だけど東條希は今度こそ改心した。
警察官採用試験を一日遅れで受けたのだ。
結果は……。

No.75 17/01/10 15:51
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それから数日後、希は無事に警察官になれた。

希 「スピリチュアルやね」

うみまき 「スピリチュアルすぎます……」

凛 「よかったにゃ」

花陽 「これからは警察官として特命係補佐の一員として共にがんばりましょう」

真姫 「絵里は行方がわからないままだけど」

穂乃果 「いや〜、今日もパンがうまい」

希 「そういや穂乃果ちゃんの弱点てなんやったの」

ことり 「あたしたちが希ちゃんたちに誘拐されてメンタルが弱って推理がまったくできなかったんだって」

穂乃果 「言っちゃだめだよ」

希 「そ、そんなことやったんや」

それから一年間、絵里はともかくにこもなぜかまったく姿をあらわさず平和な時が過ぎていた。

海未 「事件が起きません……」

希 「平和やん」

真姫 「誘拐した犯人が警察官になるなんてあり得ないしぬけぬけというし」

凛 「にこちゃんいないままにゃ」

花陽 「きっと警察官採用試験に落ちたんだよ」

穂乃果 「かわいそう」

にこ 「こらー!!」

ほのことうみまきりんぱなのぞ 「」ビクッ!?

ことり 「に、にこちゃん……?その制服は」

にこが身に付けていた制服はキャリア組の制服であることにことりは気づいた。
ついでに希はにこをよく見た。さらによく見た。スピリチュアルが何か言っている、と。

希 「にこっち身長伸びたん?」

にこ 「」ギクッ!?

凛 「どれどれ……りんより身長あるにゃあ」

花陽 「ほ、本当です!?」

穂乃果 「それより去年の警察官採用試験は落ちたの?」

にこは床に膝まずいてガックリ肩を落とした。海未は穂乃果を小突いた。

穂乃果 「いたいよ」

海未 「ひとがいやがることを言ってはなりません」

にこ 「ふふふ、たしか穂乃果のいう通りよ。実は試験は落ちたの」

海未 「お気の毒です」

にこ 「でもそれは身長が足らなかったの!ためしに警察官採用試験の模試を受けたら……合格ラインだったの!一年経ってようやく採用される身長になったのよ」ドヤ

穂乃果 「ほ、ほのかよりちいさいよ」

にこ 「」ガアア!

にこ 「見なさいこれを!警視正よ警視正!」

No.76 17/01/10 16:05
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にこが出した警察手帳には警視正の階級がたしかにあった。
試験に合格してからさらに試験を受けてキャリア街道を走っていたという。

にこ 「参ったか穂乃果!」

穂乃果 「」

海未 「ショックのあまりに言葉がないようです」

真姫 「あのにこちゃんがこんなに偉くなったんだものね」クルクル

穂乃果はパンをポケットから出して口に入れた。

穂乃果 「パンをどこに入れてたか忘れてたよ」

にこ 「こらー!スルーしないの」

穂乃果 「そ、それで矢澤警視正はなにかご用なの?」

矢澤警視正という階級と名の響きににこは感激した。穂乃果より偉いんだ、と。

にこ 「」コホン!

ほのことうみまきりんぱなのぞ 「」キャッキャッ

にこ 「あたしがここに来たのは」

ほのことうみまきりんぱなのぞ 「」キャッキャッ

にこ 「話を聞きなさい」

にこ 「ガールズトークしないの!」

ほのことうみまきりんぱなのぞ 「」

にこ 「あたしがここに来たのは特命係補佐の解散を命じに上層部から来たのよ」ドヤ

ことり 「ほ、穂乃果ちゃんちゃんと事件を解決してるよ。一年前までは」

真姫 「一年前まではね」

穂乃果 「解散はやだな。にこちゃんのアイドル部みたいになっちゃうし」

にこ 「ひとの過去をほじくり返さないでよ」

とにかく解散、と辞令を特命係補佐に通達が出された。
穂乃果とことり、凛に花陽はショックを隠しきれなかった。

真姫 「あたしは鑑識課に戻れるの?」

にこ 「うん」

海未 「では私は捜査一課に」

にこ 「むりね」

海未 「なんですか!その対応のちがいは!?」

特命係補佐が混乱に陥っている頃、絵里はまだ復讐を虎視眈々としていた。

絵里 「認められないわ。穂乃果に裏切り者の希、それにその他大勢」

絵里が引き起こした事件により穂乃果そして特命係補佐の存在意義が問われることになりなぜ“補佐”なのか謎が解けるかもしれなかった……。

海未 「にこ!私を捜査一課に戻しなさい」

にこ 「ぬわんでよ」

No.77 17/01/10 17:03
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絵里は復讐もあったが、かつての古巣である音ノ木坂学院を訪ねた。
いまも変わらず学院があることにホッとしないでもなかった。

絵里 「廃校にならなかったのね」

感激しながら校内を歩いているとヒフミトリオがアイドル部部室の前にいてため息をついていた。

ヒデコ 「矢澤先輩いなくなっちゃったわね」

フミコ 「スクールアイドルをやると言ってたのに」

ミカ 「いまはどうしてるのかしら」

絵里は思う。
今朝の新聞に史上最低身長の警視正が誕生したとありそれが矢澤にこだった。
これは使える、と絵里は怪しい笑みをした。

絵里 「ちょっとあなたたち」

ヒデコ 「あ!もと生徒会長さん?」

絵里 「その?はなに」

フミコ 「悪気はないですから。お気になさらずに」

ミカ 「うん」

絵里 「にこがいまどこにいるか知らないのね。実は……」

絵里が事情を説明すると、彼女たちは一様に驚いた。

ヒフミトリオ 「」エエー

絵里 「よかったら会ってあげてね」

彼女たちを利用すれば穂乃果は苦しむはずだった。

ヒデコ 「警視庁にいるなんて矢澤先輩スゴいわ」

フミコ 「なにか持っていってあげないと」

ミカ 「そうね」

絵里 「それならこれを持っていってあげてね」

絵里は秘密のカバンからあるモノを入れていた。
これがあれば高坂穂乃果は苦しむはずであり裏切り者の希もろともに痛い目に遭うはずである。
翌日、ヒフミトリオは警視庁をたずねた。

にこ 「なんでキャリアあたしが特命係補佐が解散するまでここにいるのよ」

真姫 「解散までは鑑識課に戻れないなんて」

海未 「捜査一課には」

ないわよ、と冷たい対応をされていると懐かしい顔に海未は気づいた。

海未 「あ、あなたたちは」

穂乃果 「パピコトリオちゃん」

ヒフミ 「ヒフミです!」

凛 「あ!にこちゃんだけのアイドル部を応援してた人たちにゃ」

花陽 「アイドル部を応援してたんだ」

絵里は警視庁の外を眺めていた。そこをナンパする出勤してきた米沢守。

米沢 「そこのロシアンな彼女。ボクとお茶しませんか」

絵里 「けっこうよ」

すたすたと絵里は去っていった。

No.78 17/01/14 08:15
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ヒデコ 「差し入れがあるの。まずはこれ!」

凛 「ら、ラーメンにゃあ。あたたかほくほく。湯気が天に昇るようにゃあ」

海未 「出前ですか」

フミコ 「え……と。次は小泉花陽さんにはこのごはん!」

花陽 「は、はい!?うわあ〜♪できたてのほかほかです」

りんぱな 「いただきます!」バクバク!

にこ 「それにしてもこれはあなたたちが作ったの?」

ヒデコ 「いえたしかもと生徒会長さんの絵里先輩からなんです」

希 「あかん!ふたりとも食べたらあかん」

りんぱな 「え?食べちゃったよ」ゴチソウサマ!

ことり 「な、なんともない……の?」

にこ 「ち、ちょっと待ってよ!凛と花陽の身体が大きくなって唯一の出入り口の扉を塞いでるわよ!?」

ほのことうみまきりんぱなのぞ 「ええ!?」

凛 「ごっつあんにゃ」

花陽 「二倍二倍♪」

にこ 「二倍どころじゃないわよ!!圧迫されているし」

真姫 「た、ただでさえ特命係補佐は……せまいから……」

海未 「室内の酸素がなくなるおそれもありますね」

にこ 「なんとか位置を確保できたわね」

希 「にこっちはこういう時は便利やな」

にこは真姫を側に寄らせてなんとか位置を確保したが、どちらにせよ凛と花陽の身体が巨大になったせいで狭い室内に十一人もいるのだ。

穂乃果 「はあ、息がつけたよ」

ことり 「本当だね」

海未 「あのふたりとも。なぜ私の胸の方に顔があるのですか」

穂乃果 「胸の上より下の方が空間あったんだよ」

ことり 「こういう身体は便利だね」

凛 「ごっつあんにゃ」

花陽 「三倍三倍♪」

海未 「と、とにかくなんとかしませんと」

ヒデコ 「そ、そういえば絵里先輩のカバンにはまだいろいろあるはず」ガサゴソ ガサゴソ

フミコ 「スマホだ」

ミカ 「かかってきたよ!?」

穂乃果がスマホを手に取り呼びかけた。

穂乃果 「も、もしもし?」

絵里 「久しぶりね。高坂穂乃果」

希 「えりち!?」

外部音声にしてみんなに彼女の声が届いた。

No.79 17/01/14 11:53
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穂乃果 「も、もしもし?」

絵里 「私の声が聞こえてるようね」

穂乃果 「え、エリツィン元大統領さん!?」

ことうみまきりんぱなにこのぞ 「」コケッ!

絵里 「絵里!絢瀬絵里よ!」

穂乃果は逆探知を真姫にやらせた。

穂乃果 「自分の名前を言っちゃってるよ」

絵里 「はっ!どうでもいいでしょう!それより花陽と凛は風船のように膨らんだようね」

りんぱな 「ごっつあんです」

ことり 「なにをしたの!」

絵里 「ふふふ、食べたものに太る栄養剤を入れたのよ」

海未 「おそろしい」ジー

穂乃果 「ほ、ほのかは一口も食べてないよ」

真姫 「なにが目的なの」

にこ 「そうよそうよ。キャリアなにこにーまで巻き込んで!」

穂乃果 「真姫婚で?」

絵里 「?」

にこ 「ほのかは流れを止めないで」テレテレ

真姫 「と、とにかくなにが目的なの」

特命係補佐にいる面々にしか穂乃果の表現は伝わらなかったようだ。

真姫 「(ほんと穂乃果のせいで巻き込まれたわよ)」

絵里は目的を語った。
高坂穂乃果に復讐をするために、特命係補佐から出られないようにした、と。

海未 「凛に花陽なんとかなりませんか」

りんぱな 「むり!」

ことり 「ツンツンしてもぷにぷに跳ね返るし」

角田 「大丈夫か、みんな!?」

伊丹 「特命係補佐の園田海未〜!!」

海未 「その肩書きは言わないでください」

絵里 「む、無視しないの!!」

凛と花陽越しに角田や伊丹たちがやって来たが彼らには壁にしか見えなかった。

右京 「困りましたね」

相棒 「なにがです?」

右京 「いまにわかります」

右京の言葉は謎だった。
しかし絵里は勝ったも同然と電話を切った。

希 「切りよった」

真姫 「希!絵里がいそうなところは」

希 「空港かな。ホームシックになりやすいし」

伊丹 「空港だ」

希 「いやいや明るいところかな」

三浦 「明るいところ?たくさんありますね」

希 「あとはロシア料理店かな」

芹沢 「そこだ」

三人バラバラであり角田たちも協力することにした。

No.80 17/01/14 14:18
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絢瀬絵里は双眼鏡で見ていた。特命係補佐の窓に映る困った穂乃果たちを。

絵里 「勝ったわね」

しかしヒフミトリオは凛と花陽の隙間から運よく出れた。

ヒフミ 「出れた」

角田 「民間人を三名保護しました」

捜査本部はすぐに立ちあげ喜びの声が上がった。しかし穂乃果たちは相変わらず補佐室に閉じ込められた。

ことり 「出れないよ」

海未 「絵里のカバンを調べましょう」

真姫 「なぜにこちゃんは出れないのかしら」

にこ 「ぬぬぬ……ぬわんでよ!?」

りんぱな 「」

穂乃果 「まったく絵里ちゃんめ。ほのかたちをこんなところに閉じ込めるなんて」

海未 「自分の職場ですよ」

希 「教科書にノートに筆記用具、色紙、妹の亜里沙ちゃんの写真にお祖母さんのアルバムやん」

海未 「学校にまた通うつもりでしょうか」

絵里は双眼鏡を見て思った。中身を間違えたことに気づいて慌てバイク便に頼んだ。

バイク便 「すみません。特命係補佐の方、その荷物は間違えたたようです。こちらです。届きましたか?」

りんぱな 「はい」

真姫 「じゃあこれはバイク便に返して」

にこ 「伊丹!バイク便を尾行するのよ」

伊丹 「わかってます!」

伊丹たちはバイク便をパトカーで追跡した。

伊丹 「ったくどこまで行きやがるんだ。空港?」

三浦 「明るいところにホームシック!推理通りですね!」

芹沢 「いやいやわからんぞ」

バイク便の荷物はそのままロシア便の飛行機に積まれて空へ飛んでいった。

絵里 「(危なかったわ。ロシアの実家からまた送り返してもらいましょう)」アセアセ

伊丹 「出張費が出ないじゃないか」

三浦 「にこ警視正がいたら荷物でロシアで行けたのに」

芹沢 「補佐室に閉じ込められたからな」

伊丹たちは諦めて本庁の捜査本部にもどった。
あらためて穂乃果たちは絵里からのカバンを開けた。

No.81 17/01/15 06:27
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にこ 「とにかく絵里のカバンから手がかりを探すわよ」

りんぱな 「あたしたちは?」

真姫 「なにもできないでしょう」

りんぱな 「」

ことり 「指令書?一枚目?」

穂乃果 「これは!缶ジュースいただきます!」

海未 「待ってください。これは」

真姫 「なになに?『海未に炭酸を飲ませながら自己紹介をマイクを通してすること』ですって」

海未 「え、炭酸」ガクガク

穂乃果 「はい」

海未 「すんなり渡さないでください。こ、これは炭酸いっぱいのコーラ」

その頃、絵里は特命係補佐内の様子をどこかで見ていた。

絵里 「ウフフ、あの海未が怯えてるわ」

海未 「ひ、一口だけためしに」ゴクッ

海未 「」プシャー!?

ほのことまきにこ 「」(/≧◇≦\)キャー

希 「おのれえりちめ」

真姫 「なにひとりだけ安全なところへいるのよ」

希 「てへ☆」

海未 「じ、自己紹介ですね。ゴクッゴクッ……。私は園田海未。もとは捜査一課に所属してた一刑事。実家は園田道場を経営。ゴクッゴクッ……。ダメですっ!?」プシャー!

穂乃果 「」(/≧◇≦\)キャー

穂乃果 「ほ、ほのかな炭酸をかけていいから!」

ことり 「身を挺して守る穂乃果ちゃん。上司の鑑だよ」

ほのうみ 「」プシャー キャー プシャー キャー

海未 「とんでもない目に遭いました」

穂乃果 「顔が炭酸てべとべとだよ」フキフキ

希 「えりちはみんなの弱点を調べたんかいな」

凛 「こ、こわいにゃ」

にこ 「なんておそろしいことを」

伊丹 「矢澤警視正、だいじょうぶですか」

にこ 「いまのところは。そんなことより絵里を見つけなさい」

伊丹 「わかっていますがなかなか」

絵里の居場所はいまだに不明だったことが捜査の足を鈍らせていた。

右京 「特命係補佐のひと聞こえますか」

穂乃果 「う、右京さん」

右京 「いまは耐える時です」

穂乃果 「ほのかがんばる!」

海未 「」👼

ことり 「海未ちゃんが炭酸で倒れたよ」

危機的状況を迎える特命係補佐は絶体絶命だった。

No.82 17/01/15 06:43
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真姫 「『次は凛ね。いつもにゃあにゃあ言って犬か猫かわからないんだから』そのくだりいる?」

海未 「」ムックリ

ことり 「海未ちゃん起きた」ペシペシ

海未 「起きましたから叩かない」

希 「次はなんやろ」

にこ 「妙に生臭いんだけど」

真姫 「こ、これは生魚!?マグロにシャケにアジにサバ!?」

凛 「」ガクガク ブルブル

花陽 「しまった!?凛ちゃんの生の魚を見ると恐怖で震えるんです」

希 「おそろしい攻撃やな」

海未 「あ、あの調理すればいいのでは」

穂乃果 「サバだけに捌くだね!」

にこ 「なるほど。ことりいくわよ!」

ことりとにこは手にしたサバイバルナイフなどで三枚におろしたり刺身にした。

凛 「美味しそうにゃ」

花陽 「でもこの身体だと食べられないよ」

穂乃果 「いただきます」

海未 「待つのです。絵里のことだからきっとなにかあるはず」

にこ 「とりあえず冷蔵庫にいれとくわ」

ことり 「捌いちゃったから早く食べたいけど事件解決まではがまん!」

穂乃果 「」エー

希 「おそろしいな。いまのえりちは。ただ者やないで」

No.83 17/01/15 10:39
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にこ 「『次はことり。高坂穂乃果と付き合いが長くもっとも信頼が厚いらしい。苦しめてやるわ』だって」

真姫 「こ、これはにんにくっ!?」

ことり 「ぴいっ!?」

穂乃果 「ことりちゃん落ち着いて!」

海未 「そうです。落ち着くのです!」

真姫 「手紙には続きがあるわ。なになに『鑑識課の米沢とかいう人ににんにくを使い餃子をつくってもらいなさい』なんですって!?米沢さんを呼んではダメよ」

米沢 「凛ちゃんと花陽ちゃんの背後にいますが」

真姫 「なんでいるのよ!」

穂乃果 「ほ、ほい。にんにくだよ」

米沢 「たしかにいただきました。少々お待ちください」

海未 「なぜ渡すんですか!?」

穂乃果 「こういう場合は脅迫犯に従うんだよ」

ことり 「そうだけど」ウルウル シクシク

米沢 「できました。どうぞ」

まきにこ 「はやっ!?早くない」

りんぱな 「出番がほしい」

穂乃果 「ことりちゃん頑張って!」

ことり 「にんにくの匂いが……ひ〜ん!?」

穂乃果 「」ギュッ

ことり 「ほ、ほのかちゃん……」

穂乃果 「にんにく入りの餃子をほのかと思って食べて……♪❤」

りんぱな越しに警視庁全体に穂乃果の言葉は伝わった。

伊丹 「しゃくだがさすがに警部殿だ」

三浦 「僕がことりさんの代わりににんにく入りの餃子を食べたかったのに!」

芹沢 「おい」

米沢 「この不肖米沢が脅迫犯に手を貸してしまうとは。ん……?それは」

角田 「犯人の写真だよ」

米沢 「私、今朝方警視庁そばの通りでナンパして見事にフラれました」

伊丹 「それを先に言え!」

穂乃果 「イタミン!頑張って!」

ことり 「ことりは?」

穂乃果 「最初の一口だよ」アーン

にこ 「餃子を食べるだけなのになんかえらい緊張感ね」

真姫 「次の標的は誰かしら」

餃子を咀嚼しゴクッ、とことりは一口をなんとか飲み込んだ!
凛と花陽は居眠りしていた。

りんぱな 「」( ̄q ̄)zzz

海未 「緊張感ないですね」

遠くから見ていた絵里は悔しがった。

絵里 「まだしょせんは一口よ……!」

No.84 17/01/15 11:33
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穂乃果 「最後の一個だよ」

ことり 「が、がんばる……」シクシク

穂乃果 「」ジー

ことり 「ほ、ほのかちゃんに見つめられながら食べると美味しく思えるよ」

海未 「ラブラブになってる時ですか!?」

凛 「嫉妬だにゃ」

花陽 「みっともないです」

海未はむっとしながらも堪えた。穂乃果のような上司のもとにいるから散々です。
しかし、穂乃果にはカリスマ性があるのか。真姫やにこも見守っていた。

ことり 「」ゴクン!

ことり 「やったよ!」ギュッ

穂乃果 「!?に、にんにくくさいことりちゃん!?」ガバッ!

にこ 「穂乃果がことりを離した!?」

ことり 「ほのかちゃん」ウルウル

それを見た絵里はほくそ笑んだ。

絵里 「いままでは伏線だったのよ。仲間割れしなさい」

穂乃果 「水を飲んだりブレスケアをしようね」

ことり 「そうだね」

絵里 「なに!?その手があったの。認められないわ」

絵里はプライドを傷つけられたがまだにこに真姫に花陽、裏切り者の希がいる。

ことり 「」ハア

りんぱな 「にんにくの匂いがちょっとになった」

ことり 「やったね」(^-^)v

続いてカバンから出てきたのはロシアの氷で冷やされたみかんだった。

真姫 「み、みかんっ!?」

希 「次の標的は真姫ちゃんかいな」

海未 「『鑑識課を追い出された西木野真姫。たいした恨みはないけど自分で皮を剥いてみかんを食べなさい』なんとおそろしいことを!?」

にこ 「真姫ちゃん?」

真姫 「みかんを食べる時はいつもスィーツ店のオレンジか缶詰なのに」

にこ 「自慢?」

真姫 「ちがうわよ!」

震える手で真姫はみかんを手に取った。皮に触れ爪を入れゆっくり剥いていく。
ヴェェ、とすでに瞳から水滴が落ちていた。

穂乃果 「が、がんばるんだよ」

ことり 「苦手なものを出してくるなんて」

希 「いまのえりちはおそろしい復讐鬼や」

穂乃果 「オニは海未ちゃんだよ?」

海未 「ほのか!」

絵里 「別な形で仲間割れしてるんだけど」

真姫はみかんをひとつずつ皮を剥いてはなかのみかんを食べていった。

No.85 17/01/15 13:02
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にこ 「な、なに?食べてるじゃない」

真姫は苦手と言いながらぱくぱくと口に入れていた。

絵里 「な、なぜ」

その疑問はすぐに解けた。

真姫 「手がきたなくなるのが苦手なの!中身や味は特になんでもないの!」

穂乃果 「だって!」

米沢 「この米沢守。かつての部下ががんばる姿に感激し感涙のいたりです!」

真姫 「ほら、食べたわよ!」

米沢 「真姫さんが食べたみかんの皮などはこの米沢が鑑識課で保管いたします!」

真姫 「鑑識して絵里がどこで手に入れたか調べなさい!」

りんぱな 「」

凛 「いつまで壁に挟まってるかにゃ」

花陽 「戻らない」

米沢は凛と花陽の隙間からみかんの皮を手に入れ鑑識課に向かっていった。

伊丹 「容疑者はどこにいるんだ」

三浦 「希さん」

芹沢 「かつての共犯者である東條希に事情さえ凛と花陽に阻まれていて聞くに聞けん」

りんぱな 「ごめんなさい」

希 「出てきた!次の指令書や!なになに『にこのために激辛カレー、キムチ、麻婆豆腐、コショウをたっぷり入れたラーメンを食べること』やって」

にこ 「く、あたしに恨みはないんじゃないの」

希 「『P.S 恨みはないけど特命係補佐のなかに入ってるから。ついでよ』やって」

ぬわんでよ!、とにこが叫んでいる間に米沢が書かれていた料理を凛と花陽の隙間から差し入れた。

真姫 「鑑識しなさいよ!」

米沢 「してます」

伊丹 「うむ。矢澤警視正頑張ってください」

三浦 「見守りますから」

にこ 「見守るより捜査に行きなさいよ」

テーブルの前に並べられたのは激辛料理ににこは額に汗を浮かべた。見守る穂乃果たち。

穂乃果 「いままでのなかでは豪華だね」

ことり 「餃子一品だけだったし」

真姫 「あたしはみかんだけ」

にこ 「く。なんていうやり方なの絵里」

希 「葛藤しながら食べないようにしてもえりちはどこからか見てるはずやで」

にこ 「食べるわよ」

激辛カレーにスプーンに入れにこは口に入れた。
辛い〜!?とにこはちいさな身体をじたばたさせた!

海未 「耐えるのです」

にこ 「自分の番が終わったからて」

No.86 17/01/15 16:14
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凛 「ら、ラーメンにゃあ……」ギシギシ

花陽 「り、凛ちゃん動いたら特命係補佐室がこわれるよ?」

穂乃果 「こわれたらふたりの給料から天引きだよ」

ことうみ 「穂乃果(ちゃん)の方が鬼」

にこ 「これだけ辛いものを用意するなんて絵里め」

希 「ああ見えて根に持つからなえりち」

にこ 「か、カレーはクリアーしたわよ」

真姫 「カレーだけでにこちゃんサウナにいるみたいな汗」

凛 「ラーメンが伸びちゃうにゃ」

にこ 「宇宙ナンバー1ポリスアイドルを舐めないでよ」ガツガツ!ギャー!🔥🔥🔥🔥

穂乃果 「醤油、味噌、塩、とんこつラーメンを食べながら火を吐いてるみたいだよ!」

にこ 「怪獣か」

穂乃果 「シン・ニコチャン公開迫る。いや後悔だよ」

希 「緊迫しとる」

なんだかんだでにこは激辛料理を食べまくり顔は汗で疲弊しきっていた。

にこ 「はあはあ」

真姫 「にこちゃんよくやったわ」ギュッ

にこ 「」/////

凛 「ラーメンを食べたかったにゃあ」ギュルルル

花陽 「お腹の音かな?」ギュルルル

米沢 「いまおふたりは空腹感をおぼえています。もうすぐ脱出できるはずです」

りんぱな 「」ワーイ

海未 「そういえばここからかなりの時間閉じ込められてます」

ことり 「」モジモジ

にこ 「ぐ」

真姫 「まずいわね。花を摘みにいきたいのに」

穂乃果 「特命係補佐室だよ?」

ことうみまきにこ 「と、トイレよ!穂乃果はなんともないの!?」

穂乃果 「ほへ?」

そう、長時間もの間特命係補佐室に閉じ込められたため何人かの特命係補佐にいた彼女たちはトイレに行きたくてもいけなかった。
凛と花陽が出入口を塞いでいたから。

凛 「ご、ごめんにゃあ」

花陽 「ごめんなさい」

穂乃果 「それにしても絵里ちゃんはどこに?」

希 「きっと近くで見てるはずや」

真姫 「このふたりはトイレ平気なの?」

No.87 17/01/15 18:59
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右京 「やはり犯人は彼女たちを閉じ込めることで苦しめるのが狙いだったようです」

相棒 「それが狙いか」

海未 「が、我慢です」

ことり 「餃子を食べたせいで消化は遅いはずだけど」

凛 「ラーメンが」

真姫 「おのれ絵里」

希 「なんていう恐ろしい復讐なんや」

穂乃果 「次はあたしか希ちゃん?これは」

カバンから現れたのはオマケ付きのキャラメルだった。

希 「き、キャラメルやんか」

穂乃果 「苦手なの」

希 「ウチの弱点までえりちは知りつくしてたか」

穂乃果 「『裏切り者の希。あなたにはキャラメルの刑がお似合いよ。穂乃果がオマケをすべてフルコンプするまで食べてもらうわ』だって」

海未 「つ、つまりは穂乃果にもすべてが」

ことり 「かかってるんだ」

にこ 「フルコンプですって」

真姫 「ぜんぶで何種類あるのよ」

それぞれ箱を手にして叫んだ。

ことうみまきにこ 「ニ十六種類っ!?」

希はキャラメルを手にした。四角い灰色の形、甘い匂い、口に溶けるあの感触が苦手なのだ。
しかし一口いれた。

希 「」シクシク

にこ 「あの希が泣きながらキャラメルを口にしている」

真姫 「意外だわ」

凛 「お腹空いたにゃ」

花陽 「」

凛 「かよちん?」

花陽 「」キョロキョロ

花陽 「どこかに絵里ちゃんはいるはず。なぜかそう感じるかも……です」

伊丹 「警視庁内にいるかもしれん!三浦芹沢いくぞ」

三浦 「真姫さんとことりさんは助けます」

芹沢 「こいつは」

伊丹たちは警視庁内を探し回った。
米沢はみかんの皮を鑑識していた。
角田たちも絵里の行方を探した。
その頃の絵里は。

絵里 「ふ〜、あぶなかったわ」

トイレにいた。
しかし伊丹たちはまったく気づかなかった。角田たちも。

No.88 17/01/16 06:09
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穂乃果 「わ〜い!オマケが出たよ」

海未 「」ジー

穂乃果 「ほのかマジメにしてるよ!がんばれ希ちゃん!」

にこ 「これで穂乃果は苦しんでいるの?」

真姫 「絵里は何を考えているのよ」

希 「キャラメル苦手や!」

ことり 「甘くて美味しいよ」

希 「えりちめ」

絵里 「うふふ」

凛 「お腹すいたにゃあ」

花陽 「ちょっと天井に隙間が空いたよ」

伊丹 「矢澤警視正!無事ですか」

にこ 「無事よ!捜査にいきなさい」

米沢 「わかりました!これはロシア製のキャラメルです」

右京 「なるほど。絢瀬絵里はロシアから来た。しかし日本にもキャラメルはあるはずなのにふしぎですね」

右京が特命係から出てきたことに伊丹たちは顔をしかめるが、右京の実力は認めないわけにはいかない。

伊丹 「警部殿、それがなにか」

手で制され右京は穂乃果に聞く。

右京 「穂乃果さんオマケは何でしたか」

穂乃果 「キャラメルはロシアのだけどオマケはタイムスリップキャラメルのミゼットだったよ」

なるほど、と右京は頷く。右京は米沢に耳を打つ。

米沢 「なるほど。懐かしの昭和テーマパークですか」

伊丹 「昭和のテーマパークだ!行くぞ」

やれやれ、と右京は相棒と共に再び特命係に戻っていく。

相棒 「米沢さんがバラしてましたよ」

右京 「昭和、つまりは絵里さん本人がいるとは限りません」

右京の言葉は謎だった。
希はキャラメルを口にして穂乃果はオマケをそろえていた。

穂乃果 「五種類そろえたよ」

希 「ウチは五箱食べたんやな」

海未 「太りますね」

希 「ちょっとみんなより胸が大きいだけ」

凛と花陽の身体はだんだん元に戻りはじめていた。

凛 「にゃ?」

花陽 「おお〜!?」

真姫 「も、元に戻ってるわ!?」

にこ 「と、トイレ〜!?どきなさい!」

りんぱな 「」ポヨヨ〜ン!?

にこ 「なんて弾力なの」

花陽 「肌がぷにぷにだから♪」

凛 「こういうかよちんも好きだにゃあ」

絵里 「タイムリミットが近いなんて」

No.89 17/01/16 09:57
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希 「甘いねん。やわらかいねん。四角いねん」シクシク シクシク

穂乃果 「希ちゃん泣くほどうれしいんだね」

ことうみまきにこ 「ちがうし」

凛 「お腹空いたよ」

花陽 「いつまでこのまま」

にこ 「花陽」

花陽 「花陽ですが」

にこ 「あんたと穂乃果だけいまのところなにもないのね」

穂乃果 「ふぅ、オマケは半分になったよ」

海未 「子どもですか」

穂乃果 「ウチは和菓子屋だからオマケに縁がなかったんだよ」

ことり 「そうだよね。和菓子になかなかオマケつかないもん」

そういうものですか、と海未は吐息をついた。ことりが吐息をつくとにんにくの匂いが室内に広がった。

ほのことまきにこりんぱな 「うっ!?」

ことり 「どうしたの!?」

真姫 「あなたのにんにくの匂いよ」

ことり 「はあ、まだ匂いあったんだ」

穂乃果 「にんにくの匂いすることりちゃん」

りんぱな 「か、身体が縮んできてる!?」

ふたりの身体は少しずつだが身体が戻ってきていた。瞬間的ににこはまた逃げようとしていた。

にこ 「いまよ!」💨

真姫 「」

にこ 「!?ぬわんでよ」

りんぱな 「まだ身体がぼよよん♪だよ♪」

絵里 「あぶないあぶない」

伊丹 「絢瀬絵里はどこにいるんだ!?関東中のテーマパークや花屋敷にも行ったのに!」

三浦 「美人なのに」

芹沢 「こいつら」

絵里 「(美人と言われたわ)」

希 「あないなポンコツすぐ見つかるはずなのに」ウルウル ウルウル

絵里 「(がんばるわね)」

穂乃果 「残り六つだよ!!」

希はキャラメルの甘い汗をかいていた。

No.90 17/01/16 15:47
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穂乃果 「最後の一個が出ないよ」パカパカ!

希 「穂乃果ちゃんいっぺんに開けたらあかん」ウルウル ウルウル

海未 「穂乃果なにをやっているのですか」

真姫 「いつもの推理はどうしたのよ!?」

にこ 「ここまで穂乃果が役にたたないなんて」

凛 「か、身体が戻るにゃあ」

花陽 「あ!戻った!?」

ふたりの身体はみるみるうちにもとのサイズに戻った。瞬間、トイレに行きたい海未たちは出入り口を駆け抜けた。

ことり 「トイレ!トイレトイレ!」

絵里 「きゃ」

海未 「トイレです」

絵里 「」クルクル

にこ 「待ちなさい!あたしが先よ」

真姫 「トイレ〜!!」

絵里 「」クルクル クルクル

伊丹 「容疑者はどこにいるんだ」

凛 「トイレトイレ」

花陽 「花を摘みにです」

希 「ヴェェ……キャメル苦手やんか」

穂乃果 「み、みんないなくなっちゃった……」

右京 「犯人の狙いは高坂穂乃果の信頼の失墜かもしれませんね」

相棒 「すると」

右京の推理通りトイレから戻った海未たちは一様に穂乃果に不信の目を向けた。

海未 「穂乃果なぜ希を救えなかったんですか」

ことり 「穂乃果ちゃん」

真姫 「あなたらしくない」フン

にこ 「情けない」

穂乃果 「にこちゃんほどじゃないよ」

にこ 「警視庁から追い出すわよ」ガアア!!

凛 「まったくだにゃ」

花陽 「しかし絵里ちゃんはどこに」

右京 「すでに逃亡しているでしょう」

海未 「杉下さん!?」

右京の言う通りであり絵里は運よく警視庁から出れた。

絵里 「目が回る〜♪あ!出れたわ!」

米沢 「そこのロシアンな美人さん。鑑識課で鑑識されないかい?」

絵里 「けっこうよ」

フン、と髪を靡かせ去ってゆく彼女の顔に米沢はなにかを思い出す。

米沢 「特命係補佐の高坂穂乃果警部を脅した犯人!?まて〜!!」

絵里 「やばっ!?」

一目散に彼女は夜の街に逃げていった。

No.91 17/01/17 07:14
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海未 「もう穂乃果は信用できません!あなたは最低です」

ことり 「あたしも今回のことはお母さんいいえ上司に報告しないと。ごめんね」

にこ 「特命係補佐はこれで解散ね」

真姫 「それもそうよね」

凛 「派出所からまたはじめるにゃ!」

花陽 「食堂勤務はダメだから凛ちゃんといっしょにいるかにゃ」

希 「そういえば花陽ちゃんの苦手なものはなかった」

右京 「簡単なことです。犯人の絢瀬絵里は彼女の苦手なものを用意できなかったのです」

ほのことうみまきりんにこのぞ 「」エッ

右京 「小泉ぱなよさん」

花陽 「は、花陽です」

右京 「あなたは食べ物で苦手なものはありましたか」

花陽 「ないです」

なるほど、それで花陽は今回の危機をまぬがれたか理解した。
しかし穂乃果への不信は募るばかりだ。海未は懐に入れた辞表届を出した。

海未 「辞めさせてもらいます!」

ことり 「あたしは休暇届を」

にこ 「」フン

真姫 「あたしは鑑識課に戻れるみたいだから」

希 「ウチは穂乃果ちゃんの推理に惹かれたんやけどな」

穂乃果 「だ、だって集中できなかったんだよ」ウルウル ウルウル

凛 「派出所勤務から秋葉原を守るにゃあ」

花陽 「穂乃果ちゃん」

ひとりまたひとりと特命係補佐から去っていった。右京と彼の相棒、角田たちは見守るだけだった。
穂乃果は初めての敗北そして仲間たちを失ったことで胸の内に隙間ができたようだ。

穂乃果 「ごめんねみんな……」

そこへ絵里を逃がした米沢守がやってきた。

米沢 「絢瀬絵里を見かけました」

伊丹 「なんだと!?」

三浦 「美人ですね」

伊丹 「すぐに見つけるぞ」

しかし彼女の行方はまたもわからなかった。

No.92 17/01/17 20:49
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穂乃果は泣いていた。
絵里への敗北感か。海未たちを失ったことへの喪失感か……。
オマケ25種類を見つめながらとぼとぼと警視庁を去っていき穂むらでひとり酔っていた。

穂乃果 「雪穂おかわり〜」

雪穂 「ハイハイ。ていう烏龍茶でよく酔えるわよね」

穂乃果 「ほのかはえらいんだよ!」

ハイハイ、と雪穂は烏龍茶やつまみを用意した。聞いたところによると今回の容疑者にはかなり振り回されようやく出来た仲間たちにも裏切られて悲しみに暮れていた。
そこへ伊丹たちから逃げおおせた絢瀬絵里がふらりとやって来た。

雪穂 「いらっしゃいませ」

ハラショー!?、と彼女は店内に天敵高坂穂乃果がいることに驚き慌て髪をポニーテールから下ろした。変装のつもりだった。おそるおそる店内に入り穂乃果と距離を取った。

絵里 「グレープジュースとつまみをテキトーに」

はい、と愛想笑いをしながら雪穂は用意した。グレープジュースの甘さが伊丹たちからの追走で疲れた身体を癒していた。

絵里 「(食べたら勘定を払って逃げましょう)」

そう思った時だ。
穂乃果と目があってしまい彼女は素早く絵里に寄り抱きついた。

穂乃果 「エヘヘ、お姉さん聞いてくれる〜。ほのか失敗しちゃったの。海未ちゃんやことりちゃんたちにも嫌われて」びええ〜!(ToT)

絵里 「そ、そう」

こうもうまくいくとは思わなかったがあまりに穂乃果の泣きじゃくる姿に複雑な気持ちがした。

穂乃果 「聞いてよ!ほのかしっかりオマケを開けたんだよ!25種類だよ」

絵里 「そ、そうなの」

雪穂 「ごめんなさいお客さん。ウチのバカ姉貴ヘマをして荒れてるの」

自分が原因とは言えないしまさか高坂穂乃果の実家の居酒屋に寄ったことに絵里はむしろ言葉がなかった。
ヤバイ、逃げようと思うが酔った穂乃果は離す気配がまったくない。

絵里 「(弱ったわね)」

穂乃果 「なにが?」

絵里 「な、なんでもないから」チラッ

居酒屋でよもや酔った穂乃果につかまるとは思わなかった絵里はなんとか逃げれないか考えた。
その頃、特命係補佐室には隣の特命係から右京と相棒、米田が箱を調べていた。

右京 「絢瀬絵里。彼女はもとから26種類揃えるつもりはなかったでしょう」

No.93 17/01/19 11:59
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右京と彼の相棒、米沢は箱にあるすべてのオマケを開けた。

右京 「やはり25種類しかありません。絢瀬絵里はわざと1種類だけ抜いていたのでしょう」

相棒 「高坂穂乃果からみんなから信頼されないように」

米沢 「とんでもない美人のやり方です。感心します」

右京 「しかし穂乃果さんはいまは失意にあります。はたしてみんなから信頼を取り戻せるか」

相棒 「むずかしいところです」

米沢は鑑識にかけると言いながらしっかり自分のコレクションにしようとしていた。
その頃、海未たち七人はお洒落なバーで愚痴を言い合っていた。

海未 「穂乃果にはがっかりしました」

ことり 「もう海未ちゃんひどいよ。あたしも報告はしないといけないけど」

にこ 「当然ね」

真姫 「いつもの冴え渡る推理が働かないなんて穂乃果らしくない」

凛 「バーだと食べた気がしないにゃ」

花陽 「りんちゃんあとで食堂いこうね」

凛や花陽にはお洒落なバーは不向きであるようだった。味は美味だが量の問題であった。

海未 「帰ります。美和子が待ってますから」

しかし帰ると美和子のもとにかつての憧れの刑事の亀山がいた。

海未 「ただいま、てなぜ亀山さんがいるんですか」

亀山 「お前、先輩についてその口の聞き方はなんだ」

美和子 「久しぶりに帰ってきたんだって」

海未 「は、はあ。申し訳ありません」

しかし亀山と美和子から思わぬことを言われショックを受けた。

亀山 「オレたちケッコンするから」

美和子 「ごめんね海未ちゃん」

同棲してたはずの美和子に言われ海未は再びショックを受けた。

海未 「ひどいですよ美和子さん」ウルウル

美和子 「そんなことより上司を悪く言っちゃダメ!」

いきなりの別れなのに穂乃果を悪く言ってたのを咎められ涙を流した。

亀山 「高坂穂乃果といえばたいした刑事だぞ。ちょっと変人だけどな」

海未 「……」ウルウル

フラレたことで先輩刑事亀山の言うことがほとんど耳に入らない海未だった。

No.94 17/01/19 16:56
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ことりはかつての右京の上司である小野田と隣にいる母であるおやどりに今回の事件の報告書を渡し伝えた。
小野田は言う。

小野田 「杉下右京がオマケが25種類しかなかったことを見抜いたよ」

驚きの顔でことりは顔を上げおやどりが娘であり部下である彼女を励ますように言う。

おやどり 「穂乃果ちゃんいえ高坂警部はなにも間違えてなかったの」

ことりはなんてことをしてしまったのか、と頬に涙が伝った。
その頃、にこは満面の顔で内村警視長と中園警視正を今回の事件についておなじように伝えていた。

内村 「いやいや矢澤くんよくやってくれたよ」

中園 「これで忌々しい特命係補佐はなくなるよ」

二人の上司はにこと同じく満面の笑みで褒め称えたかと思えば彼らはすぐさま手のひらを返すように目つきを変えた。

内村 「だがキミまでが特命係補佐に残るとはなにごとだ!」

中園 「まったくです。キャリアたるものが窓際の部署で人質になるなど」

にこは変わり身が早いなと思いながら複雑な共感をしながらも意見した。

にこ 「しかし自分は高坂警部の信頼を失墜させました。それでわかっていると思いますがわたし矢澤にこと西木野真姫についてですが ……」

わかっている、と内村は手で制した。
特命係補佐を潰せば次はあの特命係である。今回の件はその布石だった。

内村 「キミと西木野真姫についてはよきにはからおう」

にこ 「にこっ!じゃなくてはっ!ありがとうございます!」

にこはにこにー全開でふたりのもとを去っていった。しかし彼女もまた利用されていたのに気づかなかった。
その頃、ようやく絵里は穂むらから逃げれた。

絵里 「な、なんなのよ。高坂穂乃果は」

秋葉原側の公園で彼女は髪をポニーテールに戻すのも忘れるほど疲弊していた。
そこを通りかかったのは唯一、飲み会に加わらなかった東條希である。

希 「えりちやん。ていうか疲れてるみたいやん」

絵里 「よほど苦しんだようね高坂穂乃果。アッハッハ!」

いまなら捕まえられるやん、と希は思いながらしばらく尾行することにした。

No.95 17/01/19 18:12
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希は伊丹たちだと捕まえられないと思い海未にlineしたが返事は思わぬものだった。

海未:フラれました。

希「気の毒やな。にこっちと真姫ちゃんはどうやろ?」

にこ:二次会三次会だからむり!

真姫:イミワカンナイ!

希「あかん、使い物にならん」

やむなく凛と花陽にlineをするとすぐさま返ってきた。

凛:いま大食い中にゃ!ラーメン!

花陽:今日こそは秋葉原に花陽の名前を刻みます!

さすがに希はブチ切れた。

希:明日からワシワシなスピリチュアルな毎日にたくなかったら来なさい!ワシワシすんで!

りんぱな:すぐにいきます(にゃ)!!

ふたりはすぐ近くの大食い専門店からやってきて領収書を希に渡した。

希 「なに?」

りんぱな 「ぜんぶ食べられなかったので後で払ってください」

仕方ない、えりちを尾行するに背に腹は変えられない。

花陽 「」ジー

凛 「背に腹じゃなくて?ムネにゃ」

ワシワシ!、とふたりともされて尾行にふたりを使うことに気づいた希は慌てふたりを起こした。

凛 「ひどいにゃ」

花陽 「助っ人にきてこれとは」

希 「ごめんごめん」

絵里 「ん?」

騒ぐ三人に絵里は気づいたようだが、希たちとはわからなかったようだ。

絵里 「とりあえずアジトに帰りましょう」

希 「どこ行くねん」

花陽 「ロシアのアジト。美味しいものあるかな」

凛 「とりあえずかよちんくっついていいにゃ」

希 「いちゃいちゃしない」

絵里がアジトにしていたのは以前のメイドカフェから三軒隣にアジトがありそこもまたメイドカフェだった。

希 「進歩ないな」

しかもそのメイドカフェは穂むらから五百メートルと離れていなかった。

希 「なにしに公園までいってん」

絵里 「ん?」キョロキョロ

希のツッコミに絵里は反応していたようだが気づかないままアジトに帰っていった。

凛 「穂乃果ちゃんの家の近くにゃ」

花陽 「絵里さんはアホなの?」

希 「言うたらあかん」

絵里はなんと夜はメイドカフェを経営してるようだった。

希 「以前に売り上げが伸びんかったのに凝りへんねんな」

No.96 17/01/19 20:02
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メイドカフェの名前は『A-RIZE MITOMERALENAIWA』だった。

希 「アライズ ミトメラレナイワ?なんちゅうネーミングセンスや」

花陽 「ロシア人のクォーターなのに英語とアルファベットなんだ」

凛 「外人さんはへんにゃ」ジー

凛は店の看板に記載されているメニューに気づいた。
ロシア風麺類多数、ロシア風ごはんメニュー多数あり、とあって瞳を輝かした。
しかも大盛りとあった。

凛 「にゃあ。かよちん見るにゃあ」

花陽 「こ、これはなんとリーズナブルな値段で大盛りですっ!?」

希 「えりちやで?めっちゃまずかったらふたりとも明日から胃袋使えへんなるんちゃう」

りんぱな 「で、ででもロシア風だし大盛り……」

希 「いったらあか……!いないやんか」

凛 「これは潜入捜査にゃ」

花陽 「潜入捜査の名目ですよ」

ふたりはかんたんに変装し店内に入ると、メイド姿の絵里が接客してきた。しかも店内は彼女ひとりであるのに驚く。

絵里 「お帰りなさいませお嬢様」

りんぱな 「(ひとりだけ〜!?)」

絵里 「お二人さまですか」

花陽 「は、はい」

絵里に案内され窓際の眺めのいい席に案内され大盛りのそれぞれ好きなメニューを頼んだ。あとから希も入りふたりのそばの席に着いた。

絵里 「ごゆっくりどうぞ」

希 「(なんで気づかへんね)」

希はいつもの髪型ではなくひとつに束ねた髪にしていただけ。
凛と花陽はそれぞれの服装を入れ換えただけであるが絵里は気づかない。

凛 「(気づいてないにゃ?)」

花陽 「(さあ)」

希 「(穂乃果ちゃんを倒したえりちやから)」

三人はそれぞれ考えたがわかるわけもなかった。ほどなく大盛り麺と大盛りライス、希の紅茶が運ばれた。

りんぱな 「(大きい!?)」

希 「!?」

希 「(なんでただの紅茶がどんぶりに入ってんねん!?ロシアのスケールなん!?)」

なぜか紅茶はどんぶりに入っていて赤々としていたことに希はスピリチュアルすぎなスケールに驚いた。

No.97 17/01/20 13:44
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りんぱな 「」バクバク バクバク!

希 「よう食べれるな。おふたりさん」

凛 「育ち盛りにゃ」

花陽 「ごはんは食の宝ですよ!」

紅茶をちびちび飲む希だったが気づけば眠っていた。凛と花陽は互いに目を合わしているとふたりもまた眠りについていた。
それを見たメイドの絵里はほくそ笑んだ。

絵里 「気づかないわけでしょう。凛に花陽、そして裏切り者の希」

希 「ワシワシ……」ワシワシ ワシワシ

絵里 「寝ててもムネをワシワシするのね。侮れないわ」

絵里は三人をメイドカフェの地下室に閉じ込めた。

りんぱなのぞ 「」💤💤💤

絵里 「うふふ」

? 「よくやった。カシコイカワイイ」

絵里 「エリーチカ!」

?「これで特命係補佐の高坂穂乃果をはじめ残りのやつらを倒し我々の天下だ」

絵里 「ハイ、故郷のロシアであなた様方に会わなければ私はロシアの永久凍土になっていました」

感謝してます、と謎の声に絵里は深々と頭を下げていた。
翌日、特命係補佐は沈んでいた。

真姫 「飲みすぎたわね」

にこ 「祝い酒と思いなさい。どうかしたの海未?」

海未 「オイオイオイオイ」(ToT)

ことり 「なにかあったの?」

海未 「同棲していた美和子と憧れの亀山元刑事がくっついてわたしはフラれました」オイオイ(ToT)

失意の海未はまるで世界の終わりがやってきたように朝から涙を流しぱなっしである。
しかし特命係補佐に穂乃果、凛、花陽、希はまだ来なかった。

No.98 17/01/20 15:26
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その頃、特命係のもとに懐かしい相棒亀山薫が姿を見せたことに右京、角田、鑑識課の米沢は再会していた。

亀山 「おひさしぶりです」

右京 「亀山くん。キミは警視庁を去ったのにどうかしたのですか」

亀山 「いやいや旅をしたり他局で右京さんみたいな刑事をしてましたがたまにはこちらの警視庁にも顔を出さないと」

米沢 「テレビ局の事情を言うのはどうかと」

角田 「オレもNHKに出た時は『相棒』の話題ははずせないからな」アハハ

しかしおもしろくないのはいまの右京の相棒だった。

相棒 「」フン

亀山 「いまの右京さんがコイツですか。よろしくな後輩」

相棒 「よろしく」アクシュ ギリギリ

亀山 「やるか」ギリギリ

互いに握手をしながら握力は並大抵ではなかった。
右京は隣の特命係補佐を気にして言う。

右京 「亀山くん。キミの後輩の園田海未くんが落ち込んでいますが」

亀山 「いやオレと美和子が結婚するんでそれで落ち込ませて……」

右京 「自分たちさえしあわせならそれでいいのですか?キミは刑事魂を持ち他人にやさしくできる刑事ではなかったですか」

オイオイ、と海未の泣き声は彼女らしくないと思った。亀山は軽率だったかと反省し隣の補佐に向かった。

亀山 「園田海未!」

海未 「私から美和子さんを取ったくせにぬけぬけと現れましたね」

亀山 「ひとをオバケみたいに言うんじゃねえ!それよりお前の相棒はどこ行ったんだ」

海未「遅刻ですかね」

ことり 「いまの海未ちゃんは精神的どエスだよ」

海未 「ハレンチです」

亀山 「絢瀬絵里を捕まえて名誉挽回してみろ!そしたらお前にも道は開けるさ!」

真姫 「イミワカンナイ」

にこ 「いつの時代よ」

亀山はいまの若い子達についていけないことに額に汗を浮かべながら考えた。

亀山 「お前たちも一警察官なら捜査しろ!そうしないと犯罪者の思い通りだぞ」

くっ、と海未は穂乃果がいつもいるはずの席を見つめた。
昨日、穂乃果は必死に戦ったのに自分は責めてしまった。それは少なくとも反省すべきことであった。

海未 「あ、穂乃果に辞表を渡したままでした」

亀山は軽くずっこけにこは「バカね」とこぼした。

No.99 17/01/20 15:53
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その頃、穂乃果は居酒屋穂むらで目覚めていた。

雪穂 「もうお姉ちゃん。昨日は飲みすぎだよ。遅刻しちゃうよ?」

毛布を肩に感じ寝ぼけ眼で時計を見るとあわてながら用意した。

穂乃果 「チコク!チコクしちゃうよ!」

あわて穂むらを出ていく穂乃果は雪穂はやさしく見守っていたが、そのさらに背後にはメイド姿の絵里が怪しく笑みをしていた。
穂乃果は警視庁になんとか遅刻寸前にたどり着いた。しかし伊丹たちに出くわした。

伊丹 「警部殿にしては昨夜はさんざんでしたね

穂乃果 「む、たしかに負けたけどほのかは次は勝つよ!」

三浦 「真姫さんとことりさんのメアドをお願いします」

伊丹 「くぉら!いくぞ」

芹沢 「警部殿、ああ見えて伊丹は心配してるんですよ」

うん、と穂乃果は礼をいい特命係補佐に向かうと海未たちと亀山がいたことに驚いた。

穂乃果 「か、かめはめ波刑事さんだ」

亀山 「できるか!?亀山だ!伊丹よりひどいな」

穂乃果 「海未ちゃんよりましだよ!」

海未 「そうです。私より……なんてことを言うのですか!それより辞表を返してください」

辞表?、穂乃果は懐を探りことりの胸をワシワシし真姫の胸を、しかたなくにこの胸を探ったがあるわけない。

ことまきにこ 「」オイ

穂乃果 「あった!辞表か。海未ちゃん次の仕事がんばって探してね」

海未 「ちがいます!返してください。私は刑事が好きなんです!警察の誇りを守りたいのです!」

う〜ん、と穂乃果は考える。

穂乃果 「だったら海未ちゃんが捜査に協力して!打倒!ゴリちゃんだよ!」

にこ 「絵里ね。絵里!ゴリだとガレッジセールになるから」

真姫 「」イミワカンナイ

海未はしかたなく頷いた。

海未 「わかりました。穂乃果に協力しましょう」

穂乃果 「ことりちゃんは?」

ことり 「昨日はごめんね。協力するよ」

ことりは昨日の一件のトリックを伝えた。すると穂乃果は考えた。

穂乃果 「ほのかは悪くなかった!」

にこ 「ふん、そんなことしても特命係補佐は解散よ」

真姫 「背は低いのに言うことはあくどいのよね。にこちゃん」

穂乃果 「捜査するよ」

スルーされるふたりだった。

No.100 17/01/20 18:56
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真姫 「にこちゃんをスルーするのはいいけどあたしをスルーするのはやめてよ」

ほのことうみにこ 「真姫(ちゃん)がだじゃれ!?」

真姫 「」カアッ

亀山 「そんなことより特命係補佐のメンバーはこれだけか」

穂乃果 「凛ちゃんに花陽ちゃんに希ちゃんだよ。あともう一名募集中かな?亀山さん入る?」

亀山 「入らねえし」

にこ 「あ、あたしは真姫ちゃんといたいしキャリアコースだから」

そこへ特命係補佐に電話がかかり穂乃果は気を引き締める。

絵里 「もしもし高坂穂乃果ね」

穂乃果 「絵里ちゃんの罠にかかるなんてほのか今度は捕まえるよ」ガチャ!

海未 「切ってどうするんですか!」

真姫 「逆探知する間さえないなんて」

亀山 「またかかってくるさ」

亀山の瞳はあたたかくも厳しくかつて特命係で経験した貫禄があった。すぐさま電話はかかってきた。

穂乃果 「もしもし」

絵里 「なんで切るのよ!」

ことり 「逆探知」

真姫 「してるわ」

絵里 「星空凛に小泉花陽、そして裏切り者の東條希を預かったわ。ついでに逆探知してもむだよ。携帯からかけてるから」

ことまき 「」ギクッ

絵里 「三人を預かっているわ。無事に返してほしくば高坂穂乃果、私に謝りなさい」

穂乃果 「なんだって!?」

海未 「謝りましょう」

亀山 「バカやろう!犯罪者にあたまを下げてどうする!絢瀬絵里を捕まえて謝らせるんだ!」

隣で聞いていた右京は亀山の熱い刑事魂にかつてを思い出し呟く。

右京 「亀山くん立派になりましたね」

相棒 「」

穂乃果 「絵里ちゃんと三人はどこにいるの」

絵里 「言うわけないでしょう!三人がどうなってもいいのね」

穂乃果 「音ノ木坂と秋葉原を厳重パトロールだよ!」

にこ 「命令は私が下すのよ」

穂乃果 「どうぞ」

にこ 「この事件は『りんぱなのぞ誘拐事件』と名づけるわ。伊丹お願い」

伊丹 「しかたねえな。もと特命係の亀山じゃねえか」

亀山 「もとや特命係はいらねえんだよ。協力してやっから」

三浦 「先輩」

芹沢 「うむ」

こうしてほぼ役に立たない矢澤にこを筆頭に態勢が整った。

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