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樹由優( ♀ AXwTnb )
13/09/26 21:57(更新日時)

ショート・ストーリー

ショート・ショート

13/08/21 11:59 追記
読後感想など書き込みしていただけると嬉しいです。短編なので、皆様のSSもお待ちしております。

と、体のいい事を書きましたが主は、ネタ切れ状態です…

13/09/13 20:32 追記
途中の章から長編になってしまいました。
あえて題名をつけるとしたら【PTA】です。フィクションですが、私が過去に経験した題材でもあります。ご興味のある方は、読んで下さい

No.1985796 13/08/09 06:35(スレ作成日時)

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No.1 13/08/09 08:09
樹由優 ( AXwTnb )

ここは、一体どこだろう?
暗い…

私は、どこに横たわっているのだろう?

息が苦しい…

No.2 13/08/09 08:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 1 両手は自由だ。足も動く。
ただ、とてつもなく怠い。
そして、眠い…
でも、起きなくては。今日は、数学の小テストのある日だ。サボったら、補習
間違いなし!いけない…

起きなくちゃ…

No.3 13/08/09 08:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 2 お母さーん!起こしてよ!
いつもなら、うるさいくらいに大声で、起こしに来るのに…

朝ごはんなんだろ?

おなか減った…
いつもなら、ダイエットの為に、朝食はフルーツだけなのに…

今日は、ごはんとお味噌汁が食べたい!
鮭の焼いたのも…

あーあ、こんな事だったら昨日、お母さんとケンカなんかするんじゃなかった…

No.4 13/08/09 08:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 3 なんか、身体が熱い。風邪ひいたかな?

クーラー、ガンガンに冷やして寝たからなあ~

そうだ!知子たちから、lineが入るんだった!既読にしてないとまた、怒るからなあ~

めんどくさー…

No.5 13/08/09 08:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 4 それにしても…
ここは、自分の部屋?今寝てるとこは、自分のベッド?

この間、カレシから新しいプチタオル、プレゼントしてもらったんだ♪

枕の下にカレシの写メとプレゼントしてもらったものを敷いて寝ると~

ムフフな夢が見れるんだって♪

あっ今日の占いもチェックしておかなきゃ♪

No.6 13/08/09 08:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 5 熱いー

やっぱ、熱あるよ私。

ガッコ休みたいなあ~

お母さーん~

No.7 13/08/09 08:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 6 えっ?なんかヘン!

私が熱いんじゃなくて、私の回りが熱い…

何?これ?
どうしたんだよー!

ヘンだよ!

No.8 13/08/09 08:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 7 熱い…


熱い…

お母さん…

息苦しい…

No.9 13/08/09 08:44
樹由優 ( AXwTnb )

梨華!

梨華!

早く起きなさい!

まったくもう、部屋に入ったら寒いのなんの!

電気代だけで、うちの家計は赤字だわ!あかじ!

あと、携帯もいい加減にしなさいね!

いくらパケット割で家族割だからって使いすぎよ!

スマホにするんじゃなかったわ!

あなたに、体よくつられて買ったけどママは使いきれません。

あら、いけない!もうこんな時間!パートに遅刻しちゃうわ!

早く起きてちょうだいね!

No.10 13/08/09 08:50
樹由優 ( AXwTnb )

>> 9 頭、いたーい…

あっお母さんの声だ!

起きなくちゃ!

最近、お母さんのほうが先に、出掛けちゃうからなあ…

戸締まりとか、めんどくさいから、お母さんより早く家でなきゃ

お父さんとは、一緒に出たくないけど…

仕方ないや…

タッくんも、早いほうがいいって言ってたし♪

早く着替えなきゃ

No.11 13/08/09 08:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 10 あれは、夢だったのかなあ?最近あんまりよく眠れてないから…

おんなじ夢ばかり見る…

No.12 13/08/09 08:59
樹由優 ( AXwTnb )

>> 11 梨華~
あらまあ、ひどい寝ぐせだわよ~

今日は、ちゃんて朝食、食べてってね

ママ、毎朝一生懸命に作ってるんだからね!

パパは別でいいの

梨華は、育ち盛りなんだからね

きちんと、三食取れば、太らないしね!

無理なダイエットなんて身体によくないわよ

じゃいってきます
家のカギ、ちゃんとかけてね~

ぷーちゃんには、エサあげたから大丈夫よ

じゃね
何かあったら、必ず電話かメールしてね

絶対よ!

No.13 13/08/09 09:02
樹由優 ( AXwTnb )

>> 12 うるせーババア!

なーんて、思ってもくちには出しませんよーだ!

毎朝、毎朝
録画したみたいに、おんなじことばっか!

ハイハイ…

いってらっしゃいませ♪
お母様っと♪

No.14 13/08/09 09:11
樹由優 ( AXwTnb )

>> 13 ぷーちゃん
どう?私の髪型♪バッチリ決まってる?

犬に言っても分かんないか…

ぷーちゃん、かわいーい♪
お母さんに新しいリボンつけてもらったんだー♪

トイプードルのぷーちゃん♪

なんかベタな名前ー…

こんなもんか犬なんて…
あんたは、いいわよね~

クーンって鳴いただけで、上等なエサもらえてさ

一番、お気に入りの場所、占領してさ

私なんか、リビングにいるだけで、色々文句タラタラ…ついでに、お父さんの悪口聞かされて…

ったく、たまったもんじゃないわよ!ったく!ムカつく!

No.15 13/08/09 09:33
樹由優 ( AXwTnb )

冴子…冴子…

また、うなされていたぞ。
大丈夫か?

No.16 13/08/09 09:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 15 あ…あなた…

梨華が…

うっ…
うっ…

梨華…

No.17 13/08/09 09:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 16 また夢をみたんだな…

つらいな…

冴子…
冷たい水、飲むか?

No.18 13/08/09 09:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 17 ありがとう…あなた…

うっ…
うっ…

………

No.19 13/08/09 09:43
樹由優 ( AXwTnb )

ん?あれ?

また、暗いよ?

ここ、どこーっ!
私は、ガッコに行かなきゃいけないの!

出せーーっ!
あれ?なんか、天井がある?えっ?何?何?

私、浮いてるの?
え?違う…
天井が、すぐそこにあるんだ…

だって、ちゃんとベッドに寝てるもん!自分…

あっ手にスマホ、持ってる♪ラッキー♪

No.20 13/08/09 09:50
樹由優 ( AXwTnb )

>> 19 最近、お母さんキレイになったみたい…

洋服だって、ブランドもん着てるし…

なんか、お化粧もリキ入ってるし…

私が、高校に入学したら、外で働きたいって…

まさかねえーー
お母さんが、ふりん?ふりんなんて言葉、いつ覚えたんだっけ?

忘れちゃった♪

そんな事より、スマホ、スマホ♪

タッくんにも、メールしなきゃ♪

知子たち、どうしてるかな?lineチェーック♪

No.21 13/08/09 09:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 20 あれ?充電切れてる…

画面、真っ黒ーー

さいあくーー

もうっ!!ムカつく!

お母さーん!!

No.22 13/08/09 09:55
樹由優 ( AXwTnb )

いらっしゃい…

よく来てくれたわ…
梨華も、喜ぶと思う…

あ…いいのよ…
そんな…
でも、ありがとうね…

皆、優しいね…
本当に、ありがとう…

  • << 24 梨華のママ… あ… おばさま… お気を落とさずに… あ…ごめんなさい。生意気な事…言っちゃった… でも、なんて言ったらいいのか…分からなくて… うっ…えっ… …‥‥

No.23 13/08/09 09:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 22 あれ?なんか、におう…

へんなにおい!

あ…
このにおい、おばあちゃんちで、かいだ事ある…

え?
ウソ…

No.24 13/08/09 10:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 22 いらっしゃい… よく来てくれたわ… 梨華も、喜ぶと思う… あ…いいのよ… そんな… でも、ありがとうね… 皆、優しい… 梨華のママ…
あ…
おばさま…

お気を落とさずに…
あ…ごめんなさい。生意気な事…言っちゃった…

でも、なんて言ったらいいのか…分からなくて…

うっ…えっ…
…‥‥

No.25 13/08/09 10:03
樹由優 ( AXwTnb )

あれー?知子たち来てるーー?

なんで?なんで?

あっ、急に明るくなった!!

って、ここはどこだーっ!
私の家なのー???

No.26 13/08/09 10:06
樹由優 ( AXwTnb )

あっお母さんがいる!

お母さん!!ふりんなんてしてないよね!

ケバいお化粧…
ん?今日は、スッピンじゃん!

よかった♪

No.27 13/08/09 10:10
樹由優 ( AXwTnb )

梨華が、突然倒れて、救急車に乗って行ってから…

私たちも、一緒に病院まで行きたかったんです…

ホントです…

うっ…
うっ…

なんで、倒れちゃったんだろ?

あんなに元気だったのに…

No.28 13/08/09 10:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 27 ありがとう…

おばちゃんも急いで、連絡受けてから行ったんだけど…‥‥

間に合わなかった……

No.29 13/08/09 10:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 28 えっ………?

てか、私、ここにいるし…
何?いってんの?

あっぷーちゃんだ♪

ぷーちゃんなら、分かるよね♪誰だか♪

しっぽないのにしっぽ振ってる♪かわいーい♪

No.30 13/08/09 11:17
樹由優 ( AXwTnb )

あとがき:少し、読みずらい所が、何ヵ所かあります。拙い文章ではありますが読んで下さりありがとうございます。

高校生、梨華という主人公は、学校で倒れ救急搬送されますが、その短い命を落としてしまいます。冒頭の描写は、柩の中から始まります。急に命の灯を絶たれた梨華は、自分がしんだという事が分かっていないと言う設定にしました。


ライトノベルによく使われる一人称形式を書いてみましたが、分かりずらい文体になってしまった事が難点でした。
次回は、もう少し分かりやすく書いてみます。

No.31 13/08/09 17:22
樹由優 ( AXwTnb )

「鈴木さーん、私早めに帰るわね」
「どうせ、アルバイト扱いなんだし、やることやったらさっさとパンチ押したほうがいいわよ。そんなことは正社員さまにお任せしちゃえばいいのよ。どうせ、私たちなんか、パートさんなんだもんねえ。じゃ、お先に~」

同じ時期に、アルバイトとして入った、自称美人だったという根本さんは、早口にそう喋ると、足早に更衣室から出ていった。

まだ、残務の事務処理が終わってないのに。

これを、終わらせないと明日の発注が、午後になってしまう。

でも根本さんの言う通りだ。社員さんと言っても、くちだけ達者な偉そうな若造がいるだけ。責任は全部、アルバイトの人のせいにしている。

仕事のミスも何もかも…

No.32 13/08/09 17:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 31 私は、22歳の時に今の夫と知り合った。

短大を出て中小企業だった会社に務め初め、社内恋愛…6つ年上だった夫は、大人の男として、私を夢中にさせた。

そして、今はしごになりつつある寿退社をし結婚。

幸せな毎日を送る日々を夢みた…

No.33 13/08/09 17:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 32 ハネムーンベビーだった。長男。そして翌年には、娘を出産。

年子の大変さは、経験した者しか分からない。

それでも、私は幸せなんだ。と、自分に鞭を打った。
夫は典型的な仕事人間。家庭は夫としての役割を果たすというよりも、自分の世話をやいてくれる妻を望んだ。

二人の幼い子供と大きな子供…

いつしか、私は家政婦と保母と母親と…

義務のような夫に、求められるまま疲れた身体を捧げていた…

No.34 13/08/09 17:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 33 そんな時も、あったのね。
40になった私は、あの頃の大変さを懐かしむほどに心の余裕も出来た。

No.35 13/08/09 17:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 34 最初は反対した。妻が外で働く事を。

俺の給料で十分にやってきたじゃないか。

それとも何か?もっと、贅沢な生活をしたいのか?

節約に節約を重ね、私の服を買うにも何日も悩む、私を知らない。

お化粧品だって、子供が小さなうちは、試供品をドラッグストアでもらったものしか使っていない事も夫は知らない。

No.36 13/08/09 17:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 35 接待だと言って、日曜日はいつも早朝からゴルフに出かける夫。ゴルフ用品が何十万もするのを知っている。

休日の公園では、私くらいのママとパパが楽しそうに子供たちを遊ばせている光景が、羨ましくて、悲しくて…

子供たちと一緒にお弁当を食べながら、こっそりと泣いた事もある。

No.37 13/08/09 17:56
樹由優 ( AXwTnb )

>> 36 そんな子供たちも高校生になった。

息子は毎日、鏡に向かい入念に顔と髪型チェックをしている。

下の娘は、私のよりも大きめなドレッサーを持ち、自分の部屋で、ああでもない。こうでもない。と、おしゃれに身を高じている。

No.38 13/08/09 17:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 37 私だけが取り残されていく…

社会から、世間から…

No.39 13/08/09 18:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 38 そんな時だった。新聞の折り込み広告にパート募集という文字を見つけたのは。

自宅からみっつほど駅を乗った場所にある、食品会社だった。

事務の仕事は経験がある。パソコンも一応だが免許もある。

気がついたら、履歴書を夢中で書いていた。

No.40 13/08/09 18:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 39 採用の通知が来た時は、信じられなかった。

面接に着ていったスーツは友達のお古。

少し、スカートがきつかったけど。

そして、務め初めて半年になる…

No.41 13/08/09 18:09
樹由優 ( AXwTnb )

>> 40 ブランクは、約18年。

正直、きつい。

仕事をするという事が、こんなに大変な事だとは想像はしたが、それ以上だった。

No.42 13/08/09 18:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 41 「ママが、勝手に働きはじめたんだからね」

「家の事も、ちゃんとやるって言ったじゃない」

「あたしは、まだ未成年で就学期間なの!大学だって行きたいんだから!勉強させてね!」

「あたしは、学生!高校生です!」

No.43 13/08/09 18:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 42 やっぱり無理だった?

母親として失格?

もう高校生…まだ高校生…
どっち?

No.44 13/08/09 18:21
樹由優 ( AXwTnb )

>> 43 仕事帰りに、夕飯の買い物と明日の朝食の材料、そうだシャンプーも切れかかってた。新発売されたシャンプーとコンディショナー、トリートメントを買う。

子供たちも使うだろう。

あっという間に、なくなるだろう…

No.45 13/08/09 18:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 44 「なんだ?最近、料理が手抜きだぞ」

インスタントの調味料や、冷凍食品なんか食卓に出すんじゃないよ!

子供たちは、育ち盛りなんだぞ。健康に気を使うのも母親の責任だろ!

夫は、酔うと愚痴っぽくなる。

会社で嫌な事があると、決まって、大騒ぎをする。

暴力は振るわないが言葉のはしばしに嫌味、たっぷりに私を責める…

No.46 13/08/09 18:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 45 「かあさん。今度、新しいアンプがほしいんだ。オークションで手頃な値段で購入できるんだ。早くしないと落札されちゃう」

「かあさんも、知ってるでしょ。俺の高校バイト禁止なの」

息子は最近、友人たちとバンドを組んでいる。

スタジオを借り、ライブもしているようだ。

お金、お金、お金…

No.47 13/08/09 18:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 46 初給料日には小躍りをしたくなった。

もう、誰の気兼ねする事もない。自分で稼いだお金なんだから。

自分のためだけに使おう。
私が働いたお金。お金。

No.48 13/08/09 18:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 47 疲れた身体…

最近、痩せたかな?

なくなってほしいお肉は、どっぷりと身体の芯まで張り付いている。でも、なくなってほしくない所は、げっそりと落ちていく…

No.49 13/08/09 18:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 48 パンプスも、ようやく慣れた。

駅の階段も、息切れしなくなった。

身体が慣れるのが分かる

No.50 13/08/09 18:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 49 会社の人で唯一、話せる根本さんという女性。

私より年下だけど、要領はよい。

私も、それなりに頑張り、なんとか要領をつかんだようだ。ただ、根本さん曰く、あなたは、真面目すぎるのよ。だって…

No.51 13/08/09 20:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 50 今日は、朝からだるかった。
起きるのがつらい。でも、夫より子供たちより、早く起きなくちゃ…

デジタル時計のアラームが鳴る。4時30分。

重たい身体を引きずるようにしてベッドから起きる。

No.52 13/08/09 20:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 51 私の給料で初めて買った、コーヒーメーカー。
タイマーをセットして置くといつでも自分好みのコーヒーが飲める。私の大好きな時。新聞配達の人が来るのが分かった。

No.53 13/08/09 20:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 52 パパは朝は和食。子供たちは、トーストにハムエッグ。サラダにスープ。いつもの定番メニュー。

台所に立つ気力を振り絞る…

No.54 13/08/09 20:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 53 5時からのニュースをみるためTVをつける。

高らかな明るい女性アナウンサーの声が響き渡る。

「おはようごさいます。」

No.55 13/08/09 20:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 54 世の中には毎日のように事件や事故のニュースが入る。

「昨夜遅く…~県~市…の…‥」

うん?うちの近くだわ…

炊飯器がおいしいごはんが炊けましたとばかりに、けたたましくアラームが鳴った。

No.56 13/08/09 20:50
樹由優 ( AXwTnb )

>> 55 「…近くの住民の話によると……

…………だったようであるとの話です」

何を、放送しているのかしら?

No.57 13/08/09 21:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 56 「おーい、由紀恵ー、背広のあせじみ取れてないぞ。」

今日は、大事な会議があるんだ。しっかりしてくれよ。まったく…

No.58 13/08/09 21:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 57 夫が起きてきた。朝から文句か…気が滅入る…

「違うスーツ、クリーニングから戻って来てるから、それを出します。」

こちらも、ついつい事務的な口調になってしまう…

夫は、舌打ちをしてクローゼットのある部屋に向かった。

No.59 13/08/09 21:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 58 夫が、着替えを済ませテーブルにつく。まず新聞と熱い玉露を入れる。

朝の日課だ。

夫は、亭主関白という言葉が大好きである。

武士道とか仁、忠義とか…
侍と言う言葉も大好きだ。

No.60 13/08/09 21:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 59 「おい。このテレビに映ってる建物。お前が働いてる会社じゃないか?」


えっ?

朝食を乗せたお盆を、落としそうになった。

No.61 13/08/09 21:19
樹由優 ( AXwTnb )

>> 60 「ママー!なんで、起こしてくれないのよ!今日は、部活の朝練があって、早く行かなきゃいけないのに!大変!大変!遅刻するーっ!」

娘が、ドタドタと階段から下ってきた。

No.62 13/08/09 21:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 61 「あっパパ~♪おはよ~♪
今日は、パパより先に行くね♪」

「理恵、頑張ってるんだから♪あとで、ねっ♪この間、言ったのほしいんだあ~♪いけねーー行ってきまーす!朝、いらなーい!」

大騒ぎをして玄関のドアを乱暴に開け閉めして、出ていった…

行ってらっしゃい…

No.63 13/08/09 21:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 62 「あいつは、誰に似たんだ?まったく…」

「少しは、女性を意識してだな……」

「ん?…」

No.64 13/08/09 21:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 63 「おい!今日は、仕事を休め。いいか。絶対だ。それで、退職届を出すんだ。いいな!俺が、お前の働いている社長に掛け合うから…」

この人は、一体何を話ているんだろうか…

No.65 13/08/09 21:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 64 「テレビをみろ!」

怒鳴られた…

No.66 13/08/09 21:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 65 「引き続き、このニュースの最新情報を放送いたします。では、一旦CMに…」

突拍子もない音楽とともにコマーシャルが流れた…

No.67 13/08/09 21:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 66 「かあさん。洗顔フォームないぞおー」

今度は、息子の声が洗面所から聞こえてきた…

「スクラブ入ってないと、顔、洗った気がしねえよ」
「あっ!あいつまた、俺の使ってやがる!まったく…女なんだから、男用、使うなよ!」

…………

No.68 13/08/09 21:44
樹由優 ( AXwTnb )

>> 67 夫は、さらに念を押した。
「いいか。お前はパートだ。分かるな。正社員は出社をしてくるように言われるだろうが、お前は関係ないんだぞ」

「じゃあ、行ってくる。いいか、家にいろよ」

「分かったな。」

なんだか、よく物事が飲み込めない…

No.69 13/08/09 21:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 68 「かあさんの会社、すごいことになってるー!」

一声をきしたのは息子だ。
夫を玄関まで送り、リビングに戻った時に言われた。

No.70 13/08/09 21:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 69 「ちじょうのもつれー???そんなんで、会社に火つけちゃうかな??」


えっ?

何?

No.71 13/08/09 21:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 70 息子の言う事が耳に入ってこない…

ただ、テレビからは、聞き慣れた名前と会社名が、大きくテロップとして、映し出されていた。

No.72 13/08/09 21:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 71 「根本さんって、かあさんの会社のトモダチだよね?」

「女って、こえぇ~」

「完全に、逆恨みじゃん。会社、関係ないじゃん」

息子の間抜けなような声で我にかえる…

根本さん…
やはり、あの若い上司と、そんな事になっていたのね…

会社のお金を着服して…

その人がやれって言ったのね…

もう、この世にはいないけど…

No.73 13/08/09 22:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 72 私は、幸せ者…

なんの取り柄もない

家族に振り回されているけれど…

それも、幸せだからなのね…

No.74 13/08/09 22:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 73 会社に、休暇願いの電話をかけるが、通じなかった。
もう、あの場所は遠い場所になってしまったのだ…

私の住む世界とは、違う場所に…

No.75 13/08/10 03:37
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】



No.76 13/08/10 15:19
樹由優 ( AXwTnb )

この春、大学をやっとの思いで卒業したが、未だに就職が決まらず、今日に至る。

No.77 13/08/10 15:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 76 俺の人生、終わったかも

No.78 13/08/10 15:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 77 さすがに、就活時はこんな惨敗したくなかったから、受験勉強より頑張ったんだけどなあ…

三流大学なんてこんなもんか…

だーれも知らない大学名…
面接官にも言われました。
大学の所在地どこ?って。
履歴書に書いてあるのに…
ばかじゃん!

No.79 13/08/10 15:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 78 実家暮らしなんて

いやだ!

ガキの頃、いやもっと前の親のガキの頃まで知ってるなんて、親戚かよ!

田舎なんてこんなもんかなあ~

真っ昼間、ブラブラしてたら、たちまち町中の噂になっちゃうんだから…

くそ!
帰ってくるんじゃなかった…

No.80 13/08/10 15:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 79 それにしても暑い。

こんなに暑かったっけ?

No.81 13/08/10 15:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 80 実家が農家なんだから、継ぐのが当たり前みたいに言ってた親父も、今の時代は大学までは行ってくれってさ。

俺の頭ん中、というか勉強の成績みてたんかな?

あああ~
都会に行きたい~

なんもねえよ

ここ…

No.82 13/08/10 15:38
樹由優 ( AXwTnb )

なんか愚痴っぽいな俺。

No.83 13/08/10 15:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 82 遠距離恋愛になっちゃうけど、忘れないからね。

ずっと心は一緒だよ…

んだってえ~~
1ヶ月もしないうちに、メアドもなんもかんも代えやがって、音信不通じやん

くそー

なんか、泣けてきた…

No.84 13/08/10 15:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 83 まあ唯一、クルマの免許は取ったから、あぜ道なんか怖くないぜ!

一回、田んぼに突っ込んだけど。親父の軽トラ…

あーむしゃくしゃするわ

No.85 13/08/10 15:53
樹由優 ( AXwTnb )

>> 84 村おこしだかなんだか知らないけど、都会から来る人たちが増えたのは確かだ。

役場のおっちゃんがパソコン出来なくて、ここのホームページ作ったけどね。

役場だって、人数足りてるってさ。

パソコンも出来ないのに?
あ…いらねえか…

手書きで十分なんだとさ。
コピー機?あるけど使わないって。早く仕事が終わっちゃうからだって。

………
なんだよ?それ?

No.86 13/08/10 15:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 85 今晩、会合があるらしい。親父とお袋が言ってなあ~

俺、関係ないけど

No.87 13/08/10 16:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 86 同級生のてっちゃんや康べいたちは、高校出たらすぐ親の仕事継いで、青年会とかに入ってるみたいだけど…

なんか違うんだよなあ…

俺が帰ってきて歓迎会開いてくれたけど…

皆、どこかよそよそしくてさあ~

何やってんの?俺。

No.88 13/08/10 16:41
樹由優 ( AXwTnb )

>> 87 夜は真っ暗

街灯なんて、ついてたらいいほうー

1年前に隣の村と合併してようやく町という名称になった村。

それが俺の生まれ故郷でもあり黒歴史の始まりでもあーる…

No.89 13/08/10 16:50
樹由優 ( AXwTnb )

地元の高校って言っても、家から4時間。その半分はチャリンコ!

バス停まで、1時間。んで、駅まで40分…バスなんて時間通りに来たためしなし。だから駅までチャリンコ。1時間半。まっ、もっとも近道したし。

ディーゼル車。電車なんて洒落たもんじゃあないよ。それに乗ってまた、1時間。ようやく着いたと思ったら、またバス。どんだけ遠いんだよ!
よく通学してたよな~

No.90 13/08/10 16:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 89 高校の近くには、カラオケ店やゲーセンなんかあったけど、そんなとこで遊んでたら家に帰れなくなっちゃうわ

どどど田舎~

No.91 13/08/10 17:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 90 大学生の時は下宿。3食つき~
あっでも女人禁制、バイトダメー

俺は意識してなかったけど、訛りがひどくて俺の話す事が分からなかったらしい~

ここ日本だよな?

で、俺、日本人だよな?

受験の申し込みんとき、役場で戸籍謄本みたから間違いない!俺、日本人あるよ(笑)

No.92 13/08/10 17:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 91 デジタル放送になってからは、テレビ見放題!

ついでにチューナー取り付けたから、24時間、映画見放題!

って、どっかの隠居したじいさんかよ…

今、テレビがお友達です

No.93 13/08/10 17:06
樹由優 ( AXwTnb )

>> 92 あーくさくさする

あっ家の周りは、山あいだから

これがホントとの、くさくさ

草々
手紙かよ!文章、終わったわ。ついでに俺も、おしまい。

No.94 13/08/10 17:07
樹由優 ( AXwTnb )



どーすんの!俺…


No.95 13/08/11 00:08
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.96 13/08/13 23:10
樹由優 ( AXwTnb )

美咲は、まだくずっていた。今年の9月のお誕生日に2歳になる。

この子は、どこか病気なのかしら?
無性にイライラする。今朝も大好きだと言ったホットケーキを朝食に作ったが食べない。水ばかり飲んで…
トイレトレも中々うまく出来ない。美奈ちゃんなんてもう、とっくにオムツを卒業してるのに…
美奈ちゃんママにも嫌味のように言われてしまった。
何?この子は?本当に私の子供?

No.97 13/08/13 23:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 96 朝から泣き出し、まだ泣いてる…

もう勘弁して!

赤ちゃんの時からそうだった。泣き出したら、いつまでも、いつまでも泣いてる。

こっちが泣きたいわよ!

No.98 13/08/13 23:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 97 全然、食べてくれない朝食を乱暴に片付けはじめた。

すると
「ママーっ!なんでお片付けしちゃうのー!」
「みちゃき、まだたべてないよー!うわーん!」

今度は、ぎゃん泣きに変わった。

頭のどこかの線が切れる音がした…

No.99 13/08/13 23:21
樹由優 ( AXwTnb )

>> 98 気がつくと、くち一杯に詰め込まれたホットケーキの残骸。

そして、美咲の顔が膨れあがっていた…

No.100 13/08/13 23:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 99 エアコンの効いたリビングは、かすかに蝉の声が聴こえる。

ジージーっ…

他の音は、TVの消音のボタンを押したように静かだった。

No.101 13/08/13 23:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 100 なーんだ。最初からこうすれば静かになったんだ。

よかったあ

No.102 13/08/13 23:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 101 そう言えば、美咲の声がしないわね?

いつもなら、見たいテレビの前で一人では操作出来ないDVDデッキに、大声で叫んでいるのに。

No.103 13/08/13 23:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 102 静かな朝ねえ

子供が生まれて、こんな静かな朝を迎える時なんてなかった。

よかったあ

No.104 13/08/13 23:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 103 美咲は生まれてすぐに、並み大抵では寝てくれない子だった。

泣き出したら、抱っこをしようが、授乳をしようが、オムツを取り替えようが、何をしても泣き止まない、子だった。姑は
「なんて癇の虫のすごい子供なの?」

「うるさい子ねえ!」と、嫌な顔をおしげもなく露にした。

No.105 13/08/13 23:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 104 極めつけは主人だった。
「頼むから夜は、泣かさないでくれ。それでなくても眠れないのに!うるさい!!」
「外に行け!外の空気でも吸わせれば寝るだろ!」

うちのマンションは8階。ベランダに出た。

真冬の夜中に毎夜、毎夜…

No.106 13/08/13 23:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 105 「ママーご本読んでー」

美咲が、お気に入りの絵本を抱えて立っていた。

今日は、おりこうさんね。
「さっき、おトイレもしてきたよ」

ニコニコと笑っている

No.107 13/08/13 23:56
樹由優 ( AXwTnb )

>> 106 美咲はいい子ね。

ホント、いい子

No.108 13/08/13 23:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 107 ソファーに座り、お気に入りの絵本を読む。

私が夢に見た光景が現実となった。

子供は、こうでなくちゃ

No.109 13/08/13 23:59
樹由優 ( AXwTnb )

>> 108 ガチャガチャと玄関のカギを開ける音がする。

主人が帰ってきたんだわ

No.110 13/08/14 00:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 109 「おかえりはさーい。あなたー!今日ねえ!美咲が、一人でおトイレ出来たんだよー」

No.111 13/08/14 00:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 110 なんだ?電気もつけないで…

あ……
美咲!美咲!

おい!どうしたんだ!これはっ!

No.112 13/08/14 00:06
樹由優 ( AXwTnb )

>> 111 「あなた、どうしたの?美咲はここに座ってお絵かきをしてるわよ。私、その間にご馳走を作ったのよ~」
「美咲のトイレトレ卒業お祝い」

No.113 13/08/14 00:08
樹由優 ( AXwTnb )

>> 112 何を、言っているか分からない!早く救急車を呼べ!ああもうだめか?お前、一体、美咲に何をしたんだ!
どうしたんだ!これは!
あああ…

No.114 13/08/14 00:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 113 「あなたこそ、何を言っているのか、分かんないわよ。ねえ、見て見て見て」

「美咲と一緒に、作ったんだよ」

No.115 13/08/14 00:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 114 父親は、固定電話をするのも、もどかしく、いつも使っている携帯を取りだし、119番のボタンを押す。手が震えるのが分かった。

No.116 13/08/14 00:15
樹由優 ( AXwTnb )

テーブルの下から小さな足が見えた。

微動だにしない。

No.117 13/08/14 00:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 116 父親は、我が子のくちに詰められたであろう食べ物をかき出す…

もう、呼吸も心臓も…

動いていなかった…

No.118 13/08/14 00:20
樹由優 ( AXwTnb )

母親は、鼻歌まじりに踊るようなしぐさをし夕食の皿をテーブルに並べはじめた…

今日は、静かな1日だった。幸せな1日だった…

No.119 13/08/14 00:21
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.120 13/08/16 11:20
樹由優 ( AXwTnb )

何が、気にくわないのかな?また、殴られた。

なんで殴るの?

No.121 13/08/16 11:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 120 今日は、ぐーで思いっきり頬っぺたを。

歯を食いしばってなかったら、歯が折れてたかも…

No.122 13/08/16 11:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 121 くちの中が少し血の味がする。くちの中が切れたかも…

痛い!

No.123 13/08/16 11:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 122 彼と同棲を始めてすぐの事だった。

最初は、何がなんだか分からず、なんで叩かれたのかも分からなかった。

No.124 13/08/16 11:29
樹由優 ( AXwTnb )

>> 123 彼と出会ったのは、アルバイト先。彼のほうが早く働いていて、私は後輩という間柄だった。

年も近いし、付き合うなんてすぐだった。

No.125 13/08/16 11:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 124 とっても優しくて誰からも、好かれる彼。反対に仕事の要領は悪いし女の先輩には毎日のように嫌味三昧言われた。

No.126 13/08/16 11:35
樹由優 ( AXwTnb )

>> 125 「優子ちゃん、仕事の早さなんてあんまり関係ないからね。正確に仕事が出来たほうが評価は高いからね」
最初に声をかけてくれたのが彼だった。

皆にひともく置かれて、女の先輩にはモテモテの彼。

No.127 13/08/16 11:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 126 えーっなんで私なんかに、優しい声をかけてくれるの?ウソみたい!

それから、私は彼に夢中になってしまった。

No.128 13/08/16 11:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 127 アルバイトで入ったから、あんまり意地悪されるようなら、辞めようと思った矢先のちょー嬉しい出来事。
これで、あの陰険ばばあたちの陰口や嫌味なんか、怖くないっ!

だって私には、優しい彼がいるんだもん!

あ…
まだ、片思い中だったけど…

No.129 13/08/16 11:44
樹由優 ( AXwTnb )

>> 128 毎朝、仕事に行くのが楽しくなった。

そうだ!もっと、綺麗になって先輩を私の彼にするんだ!

優しい先輩

彼氏♪

No.130 13/08/16 11:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 129 仕事場では、いつも先輩を探してた。先輩も私に気づくと

「元気でやってる?最近、ミスが少なくなったって聞いたよ。その調子だ。頑張れよ」

頭がクラクラするー
私の事、気にかけてくれてたんだー

嬉しいっ!

No.131 13/08/16 11:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 130 「今度の休みって空いてる?えーっと、食事でもどうかな?無理にとは言わないけど」

えっ?何?何?今、デートのお誘い?

私と?うっそー!
今度の休み、何を着て行こうかな?新しい服、買っちゃおーかな?

私、気絶寸前…

No.132 13/08/16 11:57
樹由優 ( AXwTnb )

>> 131 休みの日、もう今までした事ないくらいお洒落して、待ち合わせの時間の1時間も先に着いちゃった。

頭の中でシュミレーションする。

No.133 13/08/16 12:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 132 初めてのデートの時は、あまりにも緊張しすぎて、お洒落なレストランの、おいしい食事の味も分からなかった。

どんな会話をしたっけ?
それも記憶があやふや…

でも楽しかったのは覚えてる。

No.134 13/08/16 12:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 133 「俺と一緒に住まないか?」

しばらく、雲を歩いてるような毎日で1日がサイコーに幸せだったけど…

今日のデートの時に突然こう言われた…

No.135 13/08/16 12:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 134 「まあ、そんなに堅苦しく考えなくていいよ。ただ僕のアパートに遊びに来る感覚でさ。ね?考えておいてくれよ?」

返事はあとでいいって!

いやいやいや!即答します!今日からお世話になります!

No.136 13/08/16 12:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 135 「可愛いよ。優子ちゃん。」

彼に抱かれた

No.137 13/08/16 12:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 136 彼の部屋は、モノトーンで配色され大人のムード満点!

うそでしょ?こんなステキな所で、大好きな彼と一緒に住めるなんて!

ウソウソ!これは夢なんだー♪

No.138 13/08/16 13:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 137 私の私物を少しだけ持ってきた。お気に入りの食器とクッション。

私は変な癖があって、このクッションがないと眠れない。

No.139 13/08/16 13:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 138 「それ何?その汚い枕」

「なんで?新しい枕、買ったよ」

ごめんなさい。これがないと眠れないの。これを抱っこしてないと落ち着かないの。ダメ?

No.140 13/08/16 13:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 139 私が彼のアパートに、一泊、二泊とするようになって、彼は段々に変わっていった。

No.141 13/08/16 13:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 140 と、言っても私がわるいんだけどね。

ついつい、私が気に入らない事があると、ないちゃうから。それも大きな声で。
小さい頃から私は、なくのがうるさいって皆に、言われてきた。

仕方ないじゃん。生まれつきなんだから!

No.142 13/08/16 13:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 141 川田、どうだい?適正ありそうか?

「うーん…なんとも言えないなあ。無駄吠えさえ、なくなれば、それなりに役に立つと思うがな」

「無駄吠えは、致命的だからな。盲導犬にとっては」
「いやだったけど…少し痛がる事をした。ちょっと可愛そうだが躾だな」

No.143 13/08/16 13:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 142 玄関に近づく足音が遠くから聴こえる。

彼だ!大好きな彼!

私は、一目散に玄関の前に座り、今か今かと待っている…

玄関のカギを開ける音がする。

もう待ちきれない!

ワンワンワンワン!
私は、大きな声でないた。
「うーん…ただいま。ないちゃだめだ!吠えてもダメだぞ。」

在宅訓練に入った、ゴールデンレトリバーの優子ちゃん。

訓練所では、しぐさは鈍いが、忠実に成果をあげた。
ここへきて、最後の訓練で無駄吠えを覚えてしまったか…

訓練のやり直しをさせるか?盲導犬の適性検査を、もう一度やらせてみるか…

訓練士の川田が腕組みをして犬を見下ろした…

No.144 13/08/16 13:28
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.145 13/08/17 19:21
樹由優 ( AXwTnb )

俺は、正義のためならなんでもする。正義とは、守る者ため、そしてその者たちの幸せのため、俺は戦うのだ。

No.146 13/08/17 19:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 145 守る者たちが幸せそうな顔をするのが俺の使命でもある。そのためだったら、なんでもしよう。それが正義なのだ。

No.147 13/08/17 19:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 146 俺が守る者が、悲しんでいた。悲しませる事は悪。俺の敵だ。

No.148 13/08/17 19:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 147 悪は絶対に許してはならない。俺は、悪に対して戦う事が使命なのだ。

No.149 13/08/17 19:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 148 守る者が、悲しんでいる自体、許してはならぬ。俺は悪者を退治する。

No.150 13/08/17 19:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 149 「あなた!何をしているの!」

俺は、渾身の力を込めて悪者をこらしめた。
動かなくなるまで。
何度も。何度も。

No.151 13/08/17 19:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 150 「パパ!それ僕のおもちゃだよ!壊しちゃ嫌だ!」

「僕が、泣いてたのは、おもちゃの動かし方が分からなかったからだよ!」

「もうやめて!!」

No.152 13/08/17 19:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 151 守る者の叫び声が聞こえた時には、悪者は、すでに原型をとどめぬ位に破壊したあとだった。

これが正義だ。

守る者を守ったのだ。

No.153 13/08/17 19:41
樹由優 ( AXwTnb )

>> 152 「あなた!子どものおもちゃをこんなにしちゃって!」

「パパなんて嫌いだ!」

No.154 13/08/17 19:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 153 守る者たちの絶賛が聴こえる。やはり正義は正しい。悲しむ者も喜んでいる。喜びの涙を流している。

これぞ正義!

No.155 13/08/17 19:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 154 「パパ、最近、疲れているのね…」

「今度また、新しいおもちゃを買ってあげるね」

「パパ、なんで僕のおもちゃを壊しちゃうの?」

「うわーん…」

No.156 13/08/17 19:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 155 新しい…そう聞こえた。

また、新しい悪者が来るのか?俺は、何度でも戦うぞ!正義のために…

守る者たちの悲しむ姿は見たくない。

No.157 13/08/17 19:52
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.158 13/08/19 01:26
樹由優 ( AXwTnb )

奈緒美は、しばらくの間そこにたたずんていた。

やっぱり、洗濯物は別にしとくべきだったと後悔した。

No.159 13/08/19 01:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 158 義理の父母と同居の話は、結婚する前から出ていた。
奈緒美28歳。夫となる彼は31歳。ただし彼は一人っ子だった。

奈緒美には兄がおり実家で二世帯住宅を建て住んでいる。まるっきり玄関も別々だ。義理の姉さんは、父母とも仲良くやっているようだった。

No.160 13/08/19 01:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 159 実家を二世帯住宅に建て直したのは、奈緒美が結婚をし実家から嫁いで間もなくだった。

No.161 13/08/19 01:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 160 時折、実家に帰る時はあるが奈緒美が育った家はもうない。真新しい新築の匂いのする、よその家に帰る錯覚を起こすほどだった。

No.162 13/08/19 01:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 161 母も兄の子どもが出来ると、孫命になったが飽きるのも早かった。

孫は、そりゃ可愛いよ。でもさあ…
愚痴の始まりになる。

No.163 13/08/19 01:44
樹由優 ( AXwTnb )

>> 162 奈緒美にも、今年の早春に子どもが生まれた。

そして、なるべく話題にしないようにしていた同居の話が、にわかに浮上してきた。舅が強く望んだのだ。

No.164 13/08/19 01:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 163 実家のように二世帯住宅を建てると言う話も出た。しかし、夫の実家は、ふた家族が住むには丁度よい広さもあり、なんと言っても、夫の会社まで近距離だった。

No.165 13/08/19 01:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 164 奈緒美が初めての子を育てるには大変だと言う大義名分も付け加えられた。

No.166 13/08/19 01:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 165 奈緒美も、やはり不安だったのだろう。うやむやのうちに、同居とあいなったのだ。

No.167 13/08/19 01:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 166 姑も飛び上がらんばかりに喜んだ。

奈緒美の心の内なぞ、これっぽちも尊重されなかった。

No.168 13/08/19 01:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 167 実家にも帰りずらく、また同居のストレスも重なった。夫の家族にとっては、初孫である。しかも男の子だと言う事もあり、義母は先輩ママとして、家の中心として君臨した。

No.169 13/08/19 02:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 168 同居に際しお互いのルールを決める事になったが、義母の思い通りのルールだった。

No.170 13/08/19 02:05
樹由優 ( AXwTnb )

>> 169 ダイニングキッチンはひとつ。お風呂もひとつ。

唯一、トイレだけは2箇所ある。

居間も、義母の好みで埋め尽くされていた。

奈緒美夫婦は、二階の夫が子どもの時に使っていた、六畳間と四畳半。それが奈緒美の家であり、そこで一生暮らす事になる。

No.171 13/08/19 02:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 170 二階の部屋はもうひとつ六畳間がある。そこは、義父母の部屋だった。

No.172 13/08/19 02:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 171 夫の物が六畳間にあふれていた。夫が小さい頃から住んでいるのだから仕方ないのは仕方ない。

しかし、赤ちゃんはすぐに大きくなる。いずれ自分の部屋を持ちたがるだろう。

No.173 13/08/19 02:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 172 嫁に嫁いで、何がストレスになるのか?

それは、自分の居場所がない事…

No.174 13/08/19 02:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 173 ダイニングキッチンにも、それは当てはまる。

冷蔵庫の中は義父母の食べ物で溢れかえっていた。

No.175 13/08/19 02:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 174 後悔先に立たず…

奈緒美は、一週間も過ぎた頃から、それを痛感した。

No.176 13/08/19 02:19
樹由優 ( AXwTnb )

>> 175 まず我が子が義父母のおもちゃのように扱われる。

あれこれと着せ替え人形のようになった。

生まれて、まだ6ヶ月である。

No.177 13/08/19 02:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 176 最初に腰を抜かすほど驚いたのは、まだ授乳中だと言うのに、姑がベビー用のお菓子をたべさせようとした事。姑をママと呼んでねと、まだおしゃべりも出来ぬ赤ちゃんに、囁くように何度も。何度も。言っていた事。

No.178 13/08/19 02:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 177 我が子が、ぐずりはじめると待ってましたとばかりに、リビングにいた義母が飛んできて、奈緒美が授乳する準備をしている間に、かすめ取るように抱き寄せて、階下に行ってしまった。

No.179 13/08/19 02:29
樹由優 ( AXwTnb )

>> 178 キッチンには粉ミルクがあった。

奈緒美は、立派に授乳出来るほどの乳房をふたつも持っている。

No.180 13/08/19 02:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 179 この時ばかりは、奈緒美も母親の威厳を持ち、義母に抗議をした。

No.181 13/08/19 02:35
樹由優 ( AXwTnb )

>> 180 その晩は大変だった。義母は舅に泣き叫びながら、奈緒美を罵る。

今度は、夫の帰宅を待って夫が家に帰るや否や、昼間起こった事を、大袈裟に帰る泣きながら文句を言っている…

No.182 13/08/19 02:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 181 毎日、毎日、義母と顔を付き合わせ昼間は、我が子と奈緒美と義母だけだ。

No.183 13/08/19 02:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 182 入浴の時も大騒ぎをする。
まず風呂の順番から始まって、誰が浴室を掃除するか?まで、事細かに指示を出す。

No.184 13/08/19 02:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 183 入浴をすれば洗濯物が出るのは当然だ。

赤ちゃんのベビー服は、私が買ってやったものだから高級品なのだからと義母は、張り切って洗った。

No.185 13/08/19 02:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 184 自分の夫である舅のものは、奈緒美さん洗濯してね。嫁なんだから当然。

私のものには、触らないでね。手垢がつくからね。

えっ?

No.186 13/08/19 02:48
樹由優 ( AXwTnb )

>> 185 義父母は、まだ五十代。
健康そのものだった。

奈緒美の夫、義母にとっては息子。若くして授かった子どもだった。

No.187 13/08/19 02:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 186 一事が万事、この生活。

義母、中心。家が廻る。

No.188 13/08/19 02:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 187 夜は夜で夜泣きをしないように気を使う。

奈緒美は、結婚前はとある出版社に勤めていた。OLとはまた異なり、自分で企画した原稿やモニタリング中心のコラムなどを手掛け、それなりに有望株でもあった。

No.189 13/08/19 03:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 188 退職したのは彼だった夫のひと言だった。

俺が幸せにする。奈緒美は、働かなくとも充分に生活させるから…

夫は、それなりの名の通った大手の会社に勤めている。地位も本社にいる限り平均的なサラリーマンよりも給料はよい。

No.190 13/08/19 03:09
樹由優 ( AXwTnb )

>> 189 夫と知り合うきっかけになったのは、広報担当の部署の人が外注を、初めて奈緒美の会社に依頼しコラムを掲載するために夫の会社に訪問した時に、彼と出会ったのだった。

  • << 192 職場に戻りたい。 奈緒美は、自分の選んだ道が途方もない事を思い知らされた。 結婚って? こんなにも苦しくて、惨めで悲しいものなの?

No.191 13/08/19 03:10
樹由優 ( AXwTnb )

続きます…

No.192 13/08/19 09:29
樹由優 ( AXwTnb )

>> 190 夫と知り合うきっかけになったのは、広報担当の部署の人が外注を、初めて奈緒美の会社に依頼しコラムを掲載するために夫の会社に訪問した時に、彼と出… 職場に戻りたい。
奈緒美は、自分の選んだ道が途方もない事を思い知らされた。

結婚って?
こんなにも苦しくて、惨めで悲しいものなの?

No.193 13/08/19 09:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 192 同じ生活空間にいながら、まったく違う世界の人たち。それが義父母。

もう嫌だ。
耐えられない…

No.194 13/08/19 09:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 193 さあさ、今日もママと一緒にお風呂に入りましょうね~

孫に向かってママと言う姑。背筋が寒くなる…

No.195 13/08/19 09:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 194 三食の食事作りは、嫁である私がやるべきだ。と、キッチンの事をいろいろ説明された。

戸棚の中にある乾物類は、賞味期限を半年もすぎているものもあった。

買い出しは、勿論私の仕事になった。

No.196 13/08/19 09:41
樹由優 ( AXwTnb )

>> 195 後部座席にはチャイルドシートがある。車でしか行けない遠いスーパーに、子どもを乗せ毎日、買い物に行った。

これが、一番の気分転換だった。

No.197 13/08/19 09:44
樹由優 ( AXwTnb )

>> 196 車は、3台。夫と舅が乗る車。そして、私が独身時代に購入した。軽。

買い物の時、姑は、子どもを置いていけと騒いだ。

No.198 13/08/19 09:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 197 あんたが買い物中は、私が子どもの面倒をみるからと。

とんでもない!
姑に預けたら何をされるか分かったものではない。

No.199 13/08/19 09:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 198 スーパーの近くには、子どもを遊ばせるには丁度よい公園がある。

まだ、お座りしか出来ぬ我が子ではあるが、レジャーシートを敷き、そこでつかの間の親子だけの時間が取れる。

No.200 13/08/19 09:53
樹由優 ( AXwTnb )

>> 199 少しでも遅くなると、携帯が鳴りっぱなしになる。勿論、姑からだった。

いつまでも、こうしていたい…
あの家には、帰りたくない。涙がこぼれた。

No.201 13/08/19 09:57
樹由優 ( AXwTnb )

>> 200 同居して二ヶ月。もう限界をとっくにすぎている。

顔も声も聞きたくない。見たくない。

奈緒美は心の奥底から、そう思った。

No.202 13/08/19 10:02
樹由優 ( AXwTnb )

>> 201 奈緒美が買い物から帰宅すると、真っ先に買ってきたものをチェックする姑。

私が頼んだものこれじゃないわー

何をやらせてもダメな嫁!
さあさ、ママと一緒にお風呂はいりましょうねえ。

綺麗なおべべが汚れて!一体どこをほっつき歩いていたのかしら?

まったく使えない嫁ね!

No.203 13/08/19 10:06
樹由優 ( AXwTnb )

>> 202 あらーおしりが汚れちゃって!くちゃいくちゃい!

その場から、どこかに行ってしまう姑。

子どもなんだから、排泄をするのが当たり前だ。

トイレトレーニングには、まだ早すぎる。

汚い事には、一切触れない姑。

No.204 13/08/19 10:08
樹由優 ( AXwTnb )

>> 203 おしり綺麗になった?お風呂が汚れるから綺麗にしてちょうだいね。

No.205 13/08/19 10:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 204 奈緒美は、夕食の準備にとりかかる。その間、姑は我が子と入浴をするのが日課になった。

汚れた洗濯物を洗濯そうに入れようと風呂場の脱衣場にある洗濯機に近づいた。
風呂場が静かだった。

まさか何か起こったのかとあわてて風呂場をのぞいた。

No.206 13/08/19 10:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 205 ちょっと!何、覗いてんのよ!

No.207 13/08/19 10:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 206 奈緒美は、何が起きているのか分からなかった。

姑が自分の乳房の乳首を我が子に押し当てている光景…

No.208 13/08/19 10:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 207 目の前が暗くなる…

No.209 13/08/19 10:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 208 あとの事は、記憶が途切れ途切れだった。

我に還ったのは、我が子をチャイルドシートに乗せ、高速を車で走行している時だった。

No.210 13/08/19 10:21
樹由優 ( AXwTnb )

>> 209 もうあの家には、帰らない。くちびるを血が出るまで噛み締めた。

涙があとからあとから流れてくる。

No.211 13/08/19 10:22
樹由優 ( AXwTnb )

>> 210 車の運転をしながら、声を出して泣いた。

No.212 13/08/19 10:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 211 さすがに、高速では危ない。パーキングエリアに入り、休憩をとることにした。
我が子も、ぐずり始めている。

No.213 13/08/19 10:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 212 休憩所の授乳室に入り、おっぱいをあげる。

再び、あの風呂場でみたおぞましい光景がフラッシュバックした。

この子は私の子だ!

我が子なのだ!

姑の汚ならしい乳房が目に焼き付いてしまった…
許せない!絶対に許せない!許すものですか!

No.214 13/08/19 11:22
樹由優 ( AXwTnb )

>> 213 ふと、気づくとやはり実家へ帰るための高速道路を走っている。

帰りたくない実家ではあるが、やはり母には会いたかった。

No.215 13/08/19 11:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 214 片道2時間。こんなに長い時間、子どもを車に乗せた事はなかった。

早く母の所へ帰りたい。

No.216 13/08/19 11:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 215 夜も10時を過ぎた。

一体、私はいつあの家から出たのだろうか?

見知っている道路に出る。母の所まであと少しだ…

No.217 13/08/19 11:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 216 奈緒美は、二世帯住宅になっているふたつの門の表札を見て、母や父がいる家屋のチャイムを鳴らした。

しまったなあ…先に、連絡を入れておけばよかった。
でも、そんな余裕なんてない…帰るつもりもなかった元我が家だ…

No.218 13/08/19 11:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 217 監視カメラ付きのチャイムに父の声がした。

奈緒美か?今、開けるから。

No.219 13/08/19 11:56
樹由優 ( AXwTnb )

>> 218 玄関に立ったままで子どもを抱っこした疲れた母親…
いや父母には娘の姿がそこにある…

母は、
「どうしたゃったの?向こうの親御さんから、4回も電話があったのよ。零時すぎても連絡取れなかったら、警察に捜索願いをしに行こうと思ってたとこだったのよ」

No.220 13/08/19 12:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 219 父は、
「こんな所に立ってないで早く上がれ。疲れただろ?」

父と母の声を聞いて肩の力が一気に抜け、身体が鉛のように重くなった。

No.221 13/08/19 12:02
樹由優 ( AXwTnb )

>> 220 奈緒美はこれまでの事を、顔をぐしゃぐしゃにして話した。きっと、話の内容もぐしゃぐしゃだったろう…

No.222 13/08/19 12:05
樹由優 ( AXwTnb )

>> 221 子どもも長旅のせいもあるのだろう。居間に敷いてくれた布団ですやすやと眠っている。

帰ってきて本当によかった。今まで兄夫婦に遠慮してなかなか帰る事が出来なかった実家。父と母…

No.223 13/08/19 12:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 222 奈緒美は心底、父と母に感謝した…

事の次第を聞いていた母はいきなり高らかに笑った。

No.224 13/08/19 12:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 223 「孫に自分のおっぱいをあげたあ?あははは。そんな事誰だってやるわよ。あたしもさあ、さっちゃんには内緒だけど、最初の孫の時、やったもん」

さっちゃんとは、義理の姉、兄のお嫁さんである。

No.225 13/08/19 12:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 224 奈緒美の顔から血の気が引くのが分かった。

母は
「奈緒美、顔色悪いわよ。今日は早く寝なさいね。旦那さんには連絡した?お母さんからしてあげようか?」

No.226 13/08/19 12:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 225 そうだ。夫に連絡をしなければ…

「お母さん。自分でするからいいよ」

母のさっきの言葉がなんとも汚らわしく感じて、汚いものでも見る顔付きになるのが、自分でも分かった。

No.227 13/08/19 12:22
樹由優 ( AXwTnb )

>> 226 「奈緒美か?心配したぞ。そうか無事に行き着いたか。奈緒美は最近、疲れぎみなの知ってた。実家でゆっくり出来るんだったら、そっちで少し世話になっていいよ。後で俺も挨拶しに、奈緒美のお義父さんとお義母さんに会いいくから。晃は元気か?子どもも元気なら、それでいい」

やはりこの人と結婚してよかった。今度は嬉し泣きした…

No.228 13/08/19 12:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 227 週末、夫が来た。

すっかり明るさも取り戻した奈緒美は、元気に夫を出迎えた。

No.229 13/08/19 12:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 228 「お義父さん、お義母さん。ご無沙汰しております。奈緒美がお世話になりました。」

夫は、深々と頭を下げる。
父は
「義彦くん。お久しぶり。仕事が忙しい所、ありがとう。明日は、休みなんでしょ。久しぶりに、皆でワイワイやろうじゃあないか。母さん、広治たちにも言ってあるだろ?今日は…うーん、そうだなあ?なんのお祝いにしようか?」

照れながらも、父も満更でもない様子で安心した。

No.230 13/08/19 12:35
樹由優 ( AXwTnb )

>> 229 兄夫婦も夕方から来てくれて、ご馳走の準備を手伝ってくれた。

家族って、本当はこんな風ではないか?奈緒美の不安がまた頭をもたげる。

No.231 13/08/19 12:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 230 楽しかった。久しぶりに笑った。ひょうきんな兄がおどけてお笑い芸人のモノマネをする。

兄のこんな姿は何年ぶりに見ただろうか?

No.232 13/08/19 12:41
樹由優 ( AXwTnb )

>> 231 翌日、夫から義父母の事を聞いた。やはりあの家に戻るのは絶対に嫌だった。

奈緒美が、いきなり姑を突飛ばし、風呂場で転んで怪我をした事。舅もカンカンになって怒っている事などなど…

No.233 13/08/19 12:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 232 夫は
「まあ、うちの親父やお袋は昔からあんな感じで、俺も辟易してたんだ。奈緒美かえよかったら、会社の近くに賃貸のマンションがある。不動産に聞いたら運よく空き部屋があるそうだ。この際、どうだろう?引っ越して親子水入らずに暮らさないか?」

奈緒美は、泣いた。

No.234 13/08/19 12:48
樹由優 ( AXwTnb )

>> 233 話はとんとん拍子に進み、引っ越しの日取りも決まった。奈緒美と子ども。

それまでは、奈緒美の実家で暮らす事になった。

No.235 13/08/19 12:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 234 会員制のアスレチッククラブで汗をかいた。身体を休める為、備え付けのリクライニングチェアに寝そべる。今夜は、会員たちのお茶会がある日だった。

友人が声をかけてきた。
「よっちゃん。よかったじゃない?うまくいって。」
奈緒美の姑は、スポーツドリンクを飲みながら
「あなたのおかげよ。ありがとう。」

No.236 13/08/19 13:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 235 姑の芳子は
「ホント、最初は旦那が初孫だって舞い上がっちゃってどうしようと思ったわよ。舞い上がりついでに同居だなんてさあー。あたしは、一応反対はしたわよ。でも言い出したらあとに引かないからね~あの人は。」
足首をマッサージしてもらうためラウンジにある携帯で若い男のインストラクターを呼び出す。芳子。

No.237 13/08/19 13:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 236 芳子の友人も
「うわっ。あたしもマッサージしてもらおー。若い男のインストラクターのほうが断然いいわよね。」

芳子の隣のチェアに寝そべり、待つ事にした。

No.238 13/08/19 13:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 237 芳子は話を続ける。
「まったく、まいっちゃったわよ。子どもの泣き声。三日聞いただけでノイローゼになりそうだったわよ。まったく。あたしは、子どもが嫌いなのよ。うるさいし、汚いし。自分の子どもだってやっとこさ育てたんだもん。これから、あの時に出来なかった事が出来るって喜んでたのに~今度は孫~冗談じゃないわ。ホント。」

「まあ、これで離れる事も出来たし、これからあと三十何年もあるのよ。あたしたち。やりたい事やんなきゃねえ~」

会員制のスポーツクラブの駐車場には、芳子のベンツが止まっている。

「よかったわよ~嫁にバレなくてさあ。車なんか持ってんのバレたら、今までの苦労がパーだわよ。」

「家の中、ミルク臭くもなくなったしね。あの匂い嗅ぐと今でも吐き気がするわ。」

No.239 13/08/19 13:18
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.240 13/08/19 23:11
樹由優 ( AXwTnb )

なんでさー幽霊って言うと髪が長くてワンピース着てんの?特におんなの幽霊!あとは、病院では、白衣か病院で着るパジャマとかさあ

No.241 13/08/19 23:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 240 あたし?これでも幽霊なの!美容院でベリーショートにしてもらってえ

ついでに髪の毛染めたのよ。金髪にさ♪

No.242 13/08/19 23:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 241 で、その帰り道に交差点でトラックに轢かれたのお

ちょっとタバコちょーだい

No.243 13/08/19 23:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 242 そっひき逃げよおー

ったく、ムカつくわ

で、こっから動けないのよん

No.244 13/08/19 23:19
樹由優 ( AXwTnb )

>> 243 でもさあ、生きてる人ってみんな、あたしたちのせいにしてない?

それも、ムカつくわ

No.245 13/08/19 23:22
樹由優 ( AXwTnb )

>> 244 だから反対に怖がらせたくなるわけー

でもさ、あたしとってもじゃないけど幽霊にはみられないのよ

それもムカつく!

No.246 13/08/19 23:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 245 ずっと立ちんぼだから、疲れちゃったあ

ちょっと座るわね

何よーヤンキー座りして何が悪いのよ!

あータバコうまー

No.247 13/08/19 23:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 246 そりゃあ血だらけだったりい?

どっか取れちゃったりしたら幽霊だわよねえ

でーも、あたしトラックに引かれた時に飛ばされて頭打ったみたいなのよねえ

でも頭から血が出てなくて頭の中に出血したみいでさあ

外見は、至ってふつーなのよー

No.248 13/08/19 23:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 247 あーあ早く、あたしを引いたトラックの運ちゃん

みっかんないかなあ~

こんなとこで、いつまでも立ちんぼじゃああ

なんかと間違われちゃうわよねえ

やーだ!そんなの

No.249 13/08/19 23:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 248 近くにコンビニあるんだけどなあ

立ち読みくらいしたいなあ
でもさあ、なんか動けないのよねえ

やんなっちゃう

No.250 13/08/19 23:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 249 また来た!あのおばはんと憎ったらしい犬!

ちょー生意気なんだ
あの犬!

いっつもあたしに、立ちションしてくんだよー

腹立つわーまったく!

No.251 13/08/19 23:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 250 あっでもさ、警察の人が来てここであたしがひき逃げされて、運ちゃんみっかってないからさあ

目撃情報の看板立ててくれたんだあ

No.252 13/08/19 23:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 251 それからだよね

お花とかジュースなんか置いてってくれる人が増えたの

喉乾いた時は、それ飲んでる

誰かビールかなんか置いてってくれないかな?

ついでに、さきいかなんかあるとサイコーなんだけどな

No.253 13/08/19 23:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 252 あっ来た来た!

おっちゃーん待ってたよー
ここの交差点って、結構事故っちゃう人が多いから、夕方になると、あたしと同業者がいっぱいくるんだ

No.254 13/08/19 23:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 253 おっちゃーん

腕みっかったあ?おっちゃんは自転車で跳ねられてさあ

車のなんつーの?
タイアんとこの事。

そこに腕挟まれちゃってさあ

自分の腕探してんだってえ

No.255 13/08/19 23:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 254 おーみいちゃん

まーだ立ちんぼかい?

えへへ

俺のは今日も見つからねーわな

おっタバコかあ

一本くれな
悪いな

No.256 13/08/19 23:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 255 おっちゃん、腕探して何年になる?

随分いるもんねえ
あたしより先輩だわ

あははー

No.257 13/08/19 23:56
樹由優 ( AXwTnb )

>> 256 だーかーらー

あたしたち視てもあんま驚かないでくれる?

あたしだってさあ、生きてた時あるしぃー

おっちゃんだってさあ
生きてたんだよねえ

No.258 13/08/20 00:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 257 つか、あなたしんでんの?
てっきりみえる人かと思ったわ

さっきのサイレンあんただったんだあ

あらためまして

こんにちわ
あたし唯って言います

よろしくねえ

No.259 13/08/20 00:00
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.260 13/08/27 14:16
樹由優 ( AXwTnb )

朝は低血圧のせいか、なかなか起きれない。
あ~あ、また一日の始まりかあ

No.261 13/08/27 14:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 260 起きる前にと

No.262 13/08/27 14:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 261 奈美は自分の枕元においてある携帯に手を伸ばす

No.263 13/08/27 14:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 262 「皆さん、おはよう♪今日は気持ちいい朝だよ♪今、洗濯中~♪今日も暑いけど頑張ろうねえ」

最近はまってる携帯掲示板「フムフム」
仲間も出来て、悩みや日頃のつぶやきを書き込んでいる。
ツイッターと違って、書き込みするとすぐに返事がくる。
奈美のストレス発散のために悩みを相談した所、沢山の返事がきた。それから、毎日チェックしてる。掲示板だった。

No.264 13/08/27 14:29
樹由優 ( AXwTnb )

>> 263 あ~あ昨日、飲み過ぎたかな?もう少し寝てよ。

夏がけを頭からかぶりエアコンの効いた部屋で、寝込みを決め込んだ。

No.265 13/08/27 14:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 264 「フムフム」掲示板を読む。どうせお母さんが朝食を作ってるんだしね。出来たら呼んでくれるでしょ。

No.266 13/08/27 14:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 265 私は身体が弱い。子どもの時から病院に行ったり来たり。おかげで学校も休みがち。勉強なんて出来る訳ないよね。すぐに熱が出るし。咳だっていつも出る。おまけに、扁桃腺持ちだから風邪を引いた時はひどい。

No.267 13/08/27 14:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 266 なんとか高校は出たけど、仕事なんて出来る訳ないよ。だって、身体が弱いんだもん。

でも、結婚出来たのは奇跡に近いかも…

No.268 13/08/27 14:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 267 旦那が悪いのよ。結婚したとたん、ああやれこうやれってうるさいのなんの…

私は、身体が弱いのよ!だ。
赤ちゃんだって、しぬ思いで産んだんだからね~

No.269 13/08/27 14:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 268 毎日、家事に育児に大変だった。自分が熱が出た時も旦那はふんぞり反って、私をこき使う!我慢の限界!

No.270 13/08/27 14:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 269 お母さんに泣きながら、その事を話したら
「まあ可愛そうにねえ。いいわ。お父さんにも間に入ってもらって離婚の話をしましょ。実家に帰っておいで。待ってるわ」
と言う訳で、奈美は離婚して出戻りした。

No.271 13/08/27 14:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 270 色々あったなあ~

奈美は携帯の画面を見ながら回想した。

出戻りなんて、言葉は悪いけど、親が帰って来いって言ったから帰って来たの。だから、出戻りじゃあないもん。

No.272 13/08/27 14:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 271 「フムフム」掲示板に出会ったのは、その頃。
掲示板には、色々な悩みを抱えた人たちが相談している。

No.273 13/08/27 14:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 272 な~にこの人?へんな事を書いて、よっぽどリアル充実してないのねえ~

「もてない僕。どうしたらいいんでしょう」だってさ

No.274 13/08/27 14:57
樹由優 ( AXwTnb )

>> 273 階下から母親の声がした。「奈美~ごはん冷めちゃうよー。秀一は、もう食べてるよー」

はいはい。うるさいお母さん。今いきますって。
今日は、身体がだるいなあ~

No.275 13/08/27 15:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 274 「おはよう。ママ。身体、大丈夫?僕、いい子でしょ?ばあばと一緒に朝、畑に行ってお味噌汁にいれるネギを採ってきたんだよ」

「えらい?でしょ?」

No.276 13/08/27 15:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 275 畑とは、奈美の母親が趣味で作っている家庭菜園の事である。

No.277 13/08/27 15:05
樹由優 ( AXwTnb )

>> 276 寝ぼけまなこで息子を見て「しゅうちゃんは、えらいねえ。ばあばのお手伝いして。いい子、いい子」

息子の頭をなでた。

No.278 13/08/27 15:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 277 奈美は、定年退職まじかな父親、秀夫を探した。

「あれ?今日は、お父さん、休みじゃないの?」

No.279 13/08/27 15:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 278 奈美の母親、静子は
「ああ、お父さんねえ、自治会の会長さんになってほしいって、お隣りの坂田さんに相談されちゃってね。今、お隣りに行ってるのよ。早く、ごはん食べちゃいなさい。片付かないから」

No.280 13/08/27 15:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 279 えーっ、今日はじいじと一緒に秀一がプレイランドに行くって言ってたのにー

奈美は、パジャマのまま座り込み、朝食に手を伸ばす。

No.281 13/08/27 15:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 280 「ママ、ちゃんと顔洗った?歯も磨かなきゃいけないんだよ」

息子の秀一にたしなめられた。

No.282 13/08/27 15:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 281 「ママは身体が弱くて、今日も少し熱があるみたいなの。ごはん食べたら、また横にならせてね」

「ごめんね。しゅうちゃん」

と、我が子にいい訳をし母親がよそったごはんをおかわりした。

No.283 13/08/27 15:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 282 朝食のあと片付けを始める母親をよそに、息子とアニメのDVDを観る奈美。

「このアニメ、ちょー面白いね。今度、映画でやるみたいよ。しゅうちゃん、じいじと観に行ってみる?」

No.284 13/08/27 15:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 283 秀一は、両手を叩いて喜び
「わーい。行く行くー」

はしゃいでいた。

秀一、五歳。幼稚園の年中さんである。

No.285 13/08/27 15:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 284 「しゅうちゃん。ごめんね。ママ具合が悪いから。一緒に行けなくて」

今も少し、身体がだるいから、お布団に入るね

No.286 13/08/27 15:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 285 「僕は、平気だよ。じいじが帰って来たら、おでかけするし。ママは休んでてね。早くよくなりますように…」

秀一は、奈美のおでこに手をあてた。

No.287 13/08/27 15:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 286 「しゅうちゃん。ありがとう。ママ嬉しい」

「じゃあ、横になるね。お二階に行ってるね」

奈美は、そのまま寝室となっている、元自分の部屋に戻り、また布団をかぶった。

No.288 13/08/27 15:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 287 どれどれー
携帯に手を伸ばし「フムフム」掲示板にアクセスをする。

案の定、皆からの近況や返事が書かれてあった。

さっきの、もてないお君はどーしたんだあ?

No.289 13/08/27 15:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 288 布団にゴロゴロしながら、あちこちの相談事を読みあさる。

へえーバッカみたい!こんな事、悩んでんのお?

No.290 13/08/27 15:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 289 奈美は、返事を書くべく自分の机にあるノートパソコンを立ち上げた。

No.291 13/08/27 15:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 290 「フムフム」掲示板は、PCからでもアクセス出来る。携帯を打つより、キーボードで返事を書くほうが楽である。

何?何?

「フムフム」掲示板は、匿名掲示板で、ハンドルネームやニックネームなどは不要な掲示板だ。

No.292 13/08/27 15:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 291 ついでに仲良くなった人たちにも、返事を書いておこうかな?

「あ~やっと、洗濯終了~♪ちょっと、一休み。午後から子ども連れて近くの公園でママ友と、愚痴大会でーす♪でも、ママ友って、なんか疲れちゃうんだよね~」

No.293 13/08/27 15:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 292 奈美が実家に帰って来てからは、息子の祖父母である、父母に息子の面倒をみてもらっている。もちろん幼稚園の送迎も任せきりだ。
何せ、奈美は身体が弱いから…

当選、幼稚園のママ友なんか一人もいない。と言うか、顔も知らない。

  • << 296 「フムフム」掲示板にはまるようになってからは、奈美の生活にも少しだけ変化はあった。 奈美は身体は弱いが、外出が大好きだったが、掲示板をするようになってからは、家にいたほうが楽な事に気がついてしまった。

No.294 13/08/27 15:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 293 誤字

当選
当然の誤りです。すみません

No.295 13/08/27 15:54
樹由優 ( AXwTnb )

続きます

No.296 13/08/27 16:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 293 奈美が実家に帰って来てからは、息子の祖父母である、父母に息子の面倒をみてもらっている。もちろん幼稚園の送迎も任せきりだ。 何せ、奈美は身体… 「フムフム」掲示板にはまるようになってからは、奈美の生活にも少しだけ変化はあった。

奈美は身体は弱いが、外出が大好きだったが、掲示板をするようになってからは、家にいたほうが楽な事に気がついてしまった。

No.297 13/08/27 16:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 296 外出するとお金かかるもんねえ。

しかも子ども連れだと、行くとこ限られちゃうしねえ
との書き込みを読んだ事も影響している。

No.298 13/08/27 16:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 297 「フムフム掲示板」で、ある事にも気がついた。
それは、なんとなくではあるが、文章や文体、句読点の付け方などから、同じ人が書いていると思われる、文章を見つけた。

思いきって質問したところやはり同じ人だった。

それからだった。似たような感覚の人たちを見つけては、コンタクトを取る。
すると、やはり奈美のように離婚を経験し、いわゆるシンママと呼ばれる人たちにも話が出来るようになったのだった。

No.299 13/08/27 16:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 298 そして、何ヵ月かやり取りをしているうちに、なんとなく仲間意識が出てきて、色々な話を綴るようになった。

ただ、真実、本当の事は書かない。顔も本名も住んでる所も知らない相手である。本当の事なんて書けるはずもなかった。

No.300 13/08/27 17:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 299 匿名掲示板では珍しく、その「仲間」になった人たちを、あだなで呼び合うまでになっていった。

奈美のあだなは「えいちゃん」

そして最初に話かけたシンママは「びーちゃん」

あとから、仲良くなった「しーちゃん」と奈美を入れて三人だ。

No.301 13/08/27 17:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 300 「びーちゃん」が書き込みをしてきた。

「今晩のメニューなんにしよーかな?うちって、子ども二人じゃない?普段は、母親に預けて仕事してるから、いいんだけど休みの時は、やっぱ作んなきゃね。晩ごはん。やんなっちゃうよ」

No.302 13/08/27 17:09
樹由優 ( AXwTnb )

>> 301 すると今度は「しーちゃん」からの書き込みが入る。
「びーちゃんとこは、お母さんいるからいいね。うちは、アパートで親ひとり子ひとりで、まあ子どもは、今度、中学だけど」

「子どもが小さいうちだけだよ。ママの作ったお料理すんごくおいしいって言ってくれんのは」

No.303 13/08/27 17:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 302 奈美は感心する。なるほどねえ。中学までなのね。料理、誉めてくれんの。

奈美は、料理なんぞした事がない。

と言うより作らなくても、勝手に出てくる。

でもそんな事は書かない。

No.304 13/08/27 17:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 303 奈美は、掲示板では実家に出戻り、身体が弱いせいで働けないため、家事一切を任されたシンママと言う事になっている。

定年退職まじかの父親は、脳梗塞で倒れ、介護もしていると言う事になっている。

特に、書いた訳でもないが、たまたまネットサーフィンで見つけた介護掲示板を覗いて、その話を書き込んだら、そのような事になってしまった。

No.305 13/08/27 17:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 304 「えいちゃんって、偉いよねえ。お父さんの介護して子育てして。親孝行もんだわ」

「身体、大丈夫?自分も病気がちなのに、頑張ってるんだもん。私も頑張んなきゃ♪えいちゃんのおかげで元気をもらってます。いつもありがとう」

せんべいのくずがキーボードの隙間に入ってしまった。
読みながら、おやつ食べるのやめようかな?

No.306 13/08/27 17:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 305 パソコンも埃だらけだ。

ネット通販で買った、エアスプレーで、せんべいのカスと埃を吹き飛ばすか。

時間も昼が近い。

「もうそろそろ、お昼ごはん作んなきゃだわ。お父さんも待ってるし。じゃあ落ちまーす。またお話、しましょ」

「びーちゃんのうちのお昼ごはんは何かなー?」

今度、新しいメニュー考えたから書いておくねー♪

ネットの中に料理専門のサイトがある。このサイトは、一般ユーザーが考えた料理を簡単かつ写メつきで紹介されてるサイトだ。あとで、コピペでもしとくか。

No.307 13/08/27 17:35
樹由優 ( AXwTnb )

>> 306 喉も渇いたしホント、お昼だ。お昼ごはんなんだろ?
お父さん、まだ帰ってないのかな?プレイランド、行かないのかな?

奈美は、居間へ行った。

No.308 13/08/27 17:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 307 「お母さんー!お昼ごはんまだー!しゅうちゃん、お腹減ってんじゃない?」

No.309 13/08/27 17:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 308 居間に降りていくと、誰もいなかった。

「お父さんー!何やってんのかな?」

No.310 13/08/27 17:41
樹由優 ( AXwTnb )

>> 309 「フムフム掲示板」なんて誰がやってんのかも知らない人たちなんか、ウソばっかでいいのよ。

どうせ、嫌になったら、違う掲示板見つければいいんだし。笑っちゃう。

No.311 13/08/27 17:44
樹由優 ( AXwTnb )

>> 310 あ~これは、ウソじゃないわよね。いわゆるバーチャルっていうやつ?

人がどんな生活してようが関係ないしぃー

奈美は、思わず笑みを浮かべる。

No.312 13/08/27 17:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 311 それにしても皆、どこに行ったんだろ?もしかして、私だけ、おいてけぼり?

ひどーい

No.313 13/08/27 17:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 312 奈美の実家の居間には、大きなお仏壇がある。

三人の笑顔が写っている写真。

父親、母親、そして秀一の写真。

去年、父と母、秀一が乗った車が父の運転の過ちで電柱に激突し、三人ともに亡くなっていた…

No.314 13/08/27 17:53
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.315 13/09/02 15:56
樹由優 ( AXwTnb )

「では、次回の定例会は今月末の28日に行います。どうか是非ともご出席されるようお願い申し上げます。委員会でよく話し合い、なるべく欠席されないようにも伝えて下さい。では、これで終了致します。お忙しい所、ありがとうございます。これも皆、子ども達の為でもあります。どうかご理解の程、よろしくお願い申し上げます。」

木原則子は、そう述べると、同席の教頭先生に軽い会釈をした。

No.316 13/09/02 16:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 315 則子は、今年度PTA会長2年目を任されている

則子自身、一昨年の役員会議で立候補した訳でもなく、役員選出委員会の委員長がたまたま同じ幼稚園に通っていたママ友に半ば強引に会長になってくれと頼まれたのだった。

No.317 13/09/02 16:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 316 則子の子供は、今小学2年生。一人っ子である。ようやく小学校に入学して自分も職場復帰をしようと考えていた矢先の話だった。

No.318 13/09/02 16:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 317 小学校の規約やPTAに関しては、入学式のあと保護者会と称してPTAの説明会が行われる。

PTA会長は、すでに去年の時点で役員共々決まっており、あとは各委員会の委員決めと、地域班のリーダーを決める事になっていた。しかし、この地域班のリーダーと言う役割は、子供会のリーダーも兼ねている。

No.319 13/09/02 16:19
樹由優 ( AXwTnb )

>> 318 則子の学年から児童数が、かなり減った。2年生、3年生は3クラスある。
だが、則子の学年はひとクラス28人。無理やりふたクラスに分けるという「少人数制授業制度」なるものを学校側が取り入れたからだ。

No.320 13/09/02 16:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 319 ただでさえ子供の人数が足りないのに、PTA行事、子供会、土曜学校なるものを保護者たちで活動している。兄弟やもっと年上の中学生や高校生のお兄さんやお姉さんをお持ちのお母様は沢山いらっしゃる。

則子の頭の中にPTAや子供会などと言うものは関係のない事。として楽観視をしていた。

No.321 13/09/02 16:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 320 「木原さん。お久しぶりねえ。また、よろしくね。よかったわあ。同じクラスになれて」

幼稚園からのママ友たちから声がかかる。

その中に、中学のお姉さんのいるママ友、PTA選出委員会の委員長がいた。

No.322 13/09/02 16:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 321 「木原さん。あとで、お茶しない?待ってるわね」

え?まだPTAの委員会決めも終わっていないのに?

うわっ、これからこんなお付き合いが待っているの?嫌だわ。ホント。

幼稚園のママ友達の関係も面倒だった。

やはり私立に通えばよかったわ。

幼稚園のお子さんの2割は、私立の小学校に行く。いわゆるお受験組。則子もその中に入っていた。が、あえなく失敗。

No.323 13/09/02 16:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 322 仕方ないかあ。うちは公立で十分。パパもそのほうがいいって言ってたし。

私立は、通学に電車を使う。1年生の送迎は、やはり車だ。

そこへいくと、公立の小学校は、徒歩20分。子供の足腰を鍛えるにはうってつけだ。

と、則子自身、言い訳をしていた。
だから、公立の小学校の情報には疎かった。

公立組と私立組は、真っ二つに分断され幼稚園の中でも、子供たちも遊ばない。

No.324 13/09/02 16:48
樹由優 ( AXwTnb )

>> 323 浮かぬ顔をした則子をよそに、先輩お母様は、嬉々として則子の肩を押しながら別の教室に招き入れた。

ここで、お茶するの?

教室の中には、コーヒーメーカー、ポット。コーヒーカップが並ぶキッチン戸棚が設置されていた。ステンレスの戸棚の奥には、コピー機、PC、印刷機まである。

何?ここ?

No.325 13/09/02 16:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 324 先ほど、入学式で壇上に上がり、挨拶をしていたお母様がたが、ニコニコとして長テーブルで、コーヒーをすすっていた。

うわ…

No.326 13/09/02 16:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 325 「あなたが木原さん?どうぞよろしくね」

「私は、PTA会長の山崎と申します。私のお隣に座っていらっしゃる人が副会長の田山さん。そしてもうお一人の鈴木さん」

則子は冷や汗が出てきた。

No.327 13/09/03 10:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 326 PTA会長の話によると、会長のお宅が転勤族である事。新PTA会長に決まった去年の11月に引っ越す話が出たが、入学式の会長挨拶まで延期した事などなど、事細かく説明された。会長自身がいなくなったあと、引き継ぐ人がいなかった事などを含め、言い訳のような話にもなっていた。

No.328 13/09/03 10:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 327 「それでね。木原さんが候補に挙がったのよ。PTAは子供たちの為にあります。是非とも、お願いしたくこうしてわざわざ…」

則子は、言葉が飲み込めない。言っている意味さえ分からなかった。

No.329 13/09/03 10:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 328 則子は、
「私は、初めて小学校という場所に来ました。これから仕事にも復帰しようと考えてます。会長なんて出来るはずありません。お断り致します。」

毅然とした態度で接する。

No.330 13/09/03 10:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 329 お断り…

待ってましたと言わんばかりの表情を皆、した。
会長も副会長たちも。そして先輩お母様たちも…

No.331 13/09/03 10:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 330 「勿論、PTAは任意です。お入りにならなくても結構ですよ。でもねえ、小学校の卒業式の謝恩会。その他のPTA主宰のイベント。夏休みのキャンプ。みんな参加しているんです。勿論、お子さんがね。親の一存でそれら全部参加出来ないんですよ。お子さん可哀想にねえ。土曜学校のお知らせだって、あなたのお子さんだけ配られないんですのよ。お子さんの気持ちだったらどうでしょうねえ…」

No.332 13/09/03 11:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 331 だからと言って、PTA会長にいかなるなれと言われても絶対に無理な話である。
PTAの役員さんたちの顔も知らなければ、会長の仕事なども分かるはずもない。
則子は、教室から逃げようと立ち上がる。ここが普通の教室ではなく、PTA室だったのが初めて分かった。

  • << 334 「私なんて絶対に無理です。右も左も分からないんですよ。それに子供は入学したばっかりです。絶対に出来ません!PTA会員になっていない保護者さんもいらっしゃると聞きました。私も、出来ない事を押し付けられてはPTAに入る理由が分かりません。」 則子の顔がひきつる。 何かの勧誘? それも、こんな事は思いたくないが、何かの宗教?

No.333 13/09/03 11:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 332 ※誤字脱字が目立ちます。すみません。続きます…

No.334 13/09/05 17:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 332 だからと言って、PTA会長にいかなるなれと言われても絶対に無理な話である。 PTAの役員さんたちの顔も知らなければ、会長の仕事なども分かる… 「私なんて絶対に無理です。右も左も分からないんですよ。それに子供は入学したばっかりです。絶対に出来ません!PTA会員になっていない保護者さんもいらっしゃると聞きました。私も、出来ない事を押し付けられてはPTAに入る理由が分かりません。」

則子の顔がひきつる。
何かの勧誘?
それも、こんな事は思いたくないが、何かの宗教?

No.335 13/09/06 01:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 334 PTA会長は余裕の表情で、則子を見ている。副会長たちや役員と見られるお母様たちも顔はにこやかでも、腹に一物を所持しているようにも思われた。

No.336 13/09/06 01:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 335 「木原さん。すぐには、お答え出来なくてもよろしいですよ。今月の末にでも、またお会いいたしましょうね」会長は事の他明るい声で念を押した。

No.337 13/09/06 02:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 336 PTA関係が主体の内容のドラマをテレビで放映する事がある。PTA会長となる人物は、異様に着飾り、設定は夫が教育委員会に携わる仕事をしているか、学校関係者だ。

しかし、現PTA会長は、それとはまた別のかなりラフな格好で地味な印象を受けた。役員さんたちも同様であった。則子は、子供の入学式と言う事もあり、少し派手めのスーツを着ている。

No.338 13/09/06 02:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 337 「木原さん、そろそろ子供たちも下校時間だわ。クラスに戻っていましょうか?」先輩お母様は、PTA室から新1年生の教室に向かった。

No.339 13/09/06 02:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 338 教室では、子供たちが先生に明日の授業について話をしている所だった。保護者たちは、教室の後ろでそれを見学している。

No.340 13/09/06 02:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 339 幼稚園からの友達も数人いる。ママ友とはあまり面識はなかったが、向こうから話かけてきた。

No.341 13/09/06 02:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 340 「これから、よろしくね。家も近いし同じ地域班だから朝、一緒に登校できるよね。よかったあ。あっ、よかったらメアド交換しない?これから、何かと連絡事項も増えると思うし。」

幼稚園の頃は、こちらが挨拶をしても無視されていたママ友だったが…
何故か、親しげに話かけてくる。則子は、少し気味が悪かった。

No.342 13/09/06 02:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 341 「会長さんから、話があったんでしょ?皆、知ってるわよ。木原さんなら適役よねえ。頑張ってね。」

噂というか、そのもの情報は素早い。どこから聞いたのだろう?私だって、今しがた聞いたばかりだと言うのに…

No.343 13/09/06 02:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 342 学校のチャイムが鳴った。
「じゃあ皆さん。これから一緒に勉強を頑張りましょうね。明日、持って来るものは、このプリントに書いてあります。忘れ物をしないように。お母さんやお父さんと一緒に、用意をして下さい。それでは今日はこれまで。また明日。保護者の皆さんもお疲れ様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。」

担任となった先生は、昨年度は六年生を受け持っていたベテランの先生だった。男性教諭のほうが安心するのは何故だろう?

No.344 13/09/06 02:50
樹由優 ( AXwTnb )

>> 343 則子は、1年前の事を回想する。

何も分からない自分が、疎ましく、半ば強制に近い格好で、途中からいきなり会長をやらざる得なかった。
独身時代は、コピー機やPCなどは、使いなれていたが、印刷機までは、さすがに使った事はない。引き継ぎで渡された、各プリントのテンプレが納められたものもフロッピーディスクというのも笑えた。PTA室で使われているPCも、何十年も前のものである。

No.345 13/09/06 11:12
樹由優 ( AXwTnb )

>> 344 大変なものを押し付けられてしまったな…

則子の子供、明香は毎日楽しそうに小学校へ通った。
お受験の為に、公立の小学校で学ぶ箇所まで頭の中に入っている。引き算、割り算などは明香は得意なほうであった。漢字もすらすらと読める。
「ママ、小学校の教科書ってひらがなばっかりだね。」
なんて生意気な事まで言う。

「明香は早くに勉強をしたから、分かるからいいんだけど、お友達の中には塾に行っていない人もいるからね。自慢なんかしちゃダメだよ。お友達、皆に分かるように教科書があるのだからね。」

やはり、私立に通わせたいと思った。

No.346 13/09/06 11:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 345 明香の通う小学校には、集団登下校というものはない。小学校の学区地域というものがなくなったからだ。
なので、学区外から越境をして通学している児童もいる。やはり少子化と、地域の境に出来てしまった大型マンション群のせいでもあった。

No.347 13/09/06 11:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 346 則子は、夫の実家の土地で一軒家に住んでいる。

まさに、スープのさめない距離。否、スープが熱々の距離だった。舅、姑はとても良い人たちだったが、やはり気を使うのは嫁、姑、舅の関係だからである。

No.348 13/09/06 11:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 347 則子にとっても、義理乳母にとっても初めての子。そして初孫である明香。

他の赤ちゃんは知らないが、明香は育てやすい子だと義理父母は言った。

生まれた時から、あまり泣く事はなく夜も、母親学級で習ったように3時間ほど寝てそのあとはオムツを替え、授乳をする。泣く時はお腹が減った時だけだった。

No.349 13/09/06 11:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 348 トイレトレーニングも、スムーズにオムツから、トイレに移行できた。オムツが取れたのは、2歳のお誕生日前だった。

ニコニコとよく笑い聞き分けのよい子。それが明香だった。義理父母の家に預けても、ぐずる事もなく、可愛がられた。

No.350 13/09/06 11:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 349 ただひとつ難点があった。それは、極度のあがり症なのだった。幼稚園の発表会では、ダンスも歌も全て忘れてしまって、一人棒立ちになってしまっていた。

夫は、もう少し大きくなったら変わるからと楽観的であったが、私立の小学校のテストでは、ほとんど回答出来ていなかったのであった。致命的だったのは、面接の時だった。自分の名前さえ言えなかったのだった。

No.351 13/09/06 11:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 350 今更、考えても仕方がない。則子は、明香に気づかれぬようにため息をはいた。

No.352 13/09/06 11:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 351 1年前は、本当に何も分からない、知らない事ばかりだった。

則子は、それこそ毎日のように小学校のPTA室に通った。そして、教頭先生はじめ校長、顧問の教諭、執務室の方々などに、学校の詳細などを聞き歩く。校門の施錠は昔ほど厳重ではないにしろ、警備さんが常駐している。

No.353 13/09/06 12:02
樹由優 ( AXwTnb )

>> 352 則子の住んでいる市には、小学校だけで88校、中学校も合わせると102校ある。他の市町村に比べたら少ないほうである。

市のPTA会議が月2回、全国PTA協会の会議が年2回。そして、地域別PTA会議が学期末に1回。

普通の会社なら出張かしら?
しかし、給料は出ない…

No.354 13/09/06 12:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 353 PTAには、委員会というものが存在する。PTA協会で定めた委員会は3つ。学級委員会、広報委員会、地域委員会である。その他の委員会と言うものは、各学校に委ねられている。
則子の小学校では、PTA選出委員会、地域委員会とは別に、自治会を含めた子供委員会、いわゆる子供会の事である。本来ならば、この委員会は地主さんが主宰して小学校に委ねた委員会でもあった。学校が休みの日に、子供たちを集めて、色々なイベントを校庭で行うのもこの委員会である。

No.355 13/09/06 12:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 354 則子や歴代のPTA会長が頭を悩ます委員会でもあった。小学校周辺の地主の力は強大である。青年会や消防団もその中に含まれている。
その集団には、かなわない点が幾つかあった。

No.356 13/09/06 12:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 355 PTA会長のみ閲覧出来るファイルがある。このファイルには、個人情報や誰がどこに繋がりがあり、何か問題があった時、まず学校より早くその情報を通達しなければならぬ、と言う規約がある。

No.357 13/09/06 12:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 356 数年前に、その規約を守らなかったPTA会長の事についても詳細に記述されていた。

No.358 13/09/06 12:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 357 子供が小学校に入学するまでは、則子の住んでいる地域は新興住宅地として、極々普通の暮らしをしている人々の集まりと思っていたが、古くからのしがらみは小学校を通して、今、則子の脳裏に叩き込まれる。

No.359 13/09/06 12:28
樹由優 ( AXwTnb )

※ショートストーリーのつもりが、長編になりそうです。この話は、フィクションです。しかし、PTAに関する事については、一部ノンフィクションです。
続きます…

No.360 13/09/07 23:45
樹由優 ( AXwTnb )

20年前、その事件は起こった。忌まわしく、そしてとてつもなく悲しい事件。
あっては、ならぬ事…
しかしそれは起こってしまった。

No.361 13/09/07 23:48
樹由優 ( AXwTnb )

>> 360 その事件があってからだ。学校という門に鍵が施され、監視カメラが取り付けられた。小学校が要塞となってしまった瞬間でもある。

No.362 13/09/07 23:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 361 防犯意識も高まった。PTAでは随時、学校周辺の見回り、メールによる警察からの不審者情報など、各家庭に通達すると言う、とてつもない作業を強いられたのであった。

No.363 13/09/07 23:56
樹由優 ( AXwTnb )

>> 362 市の教育委員会では、防犯ブザーの配布、見回り隊の結成の要請。腕章の配布などなど、PTAの役割を大きく活用すべく働きかけた。

No.364 13/09/07 23:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 363 それに伴い、PTAの負担も大きくなる。則子は、過去のファイルを眺め大きなため息をはいた…

No.365 13/09/10 22:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 364 ※少し更新が遅くなりますが、続きます…

No.366 13/09/13 17:06
樹由優 ( AXwTnb )

PTAって、一体なんだろう?
則子は、入学式に貰ったPTA会則の冊子をペラペラとめくる。

No.367 13/09/13 17:09
樹由優 ( AXwTnb )

>> 366 PTAのPはペアレントのP
TはティーチャーのT。

そしてAは
associationのAだ。

なんだこれ?

No.368 13/09/13 17:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 367 則子が会長になって半年が過ぎたが、相変わらず教頭先生を通して、教育委員会からの通知を「保護者代表」として受け取り、各委員会にやって貰うようお願いする。だけである。

No.369 13/09/13 17:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 368 何十年と代々引き継いできたものを、毎年違う保護者がする。

だから、毎年引き継いは初めからだ。

すごろくに例えたら、毎年振り出しに戻ると言う事である…

No.370 13/09/13 17:19
樹由優 ( AXwTnb )

>> 369 それでも保護者さんの中には、何年もPTAに在籍して何から何まで承知している人もいた。

No.371 13/09/13 17:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 370 「木原さんが会長になってくれて本当に感謝してるのよ~」

また、この話か…
副会長をしているベテランのと言うか、PTA大好きな鈴木さんは言う。

前会長さんの悪口だった…うんざりだ。

No.372 13/09/13 17:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 371 夏休みも明け、これから運動会、自転車講習会、芋煮会などなど、子供たちとのイベントが忙しくなる。

No.373 13/09/13 17:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 372 則子は、その間午前中から学校に行き、資料を眺め、他の委員会の仕事を手伝い、まだ給食を食べ終わってすぐ下校する、明香と一緒に家に帰る日が続く。

則子は、これもまた良しとしようと思い始める。

No.374 13/09/13 17:35
樹由優 ( AXwTnb )

>> 373 他校の会長さんや副会長さん、委員長さんなどとも親しくなった。

PTAに燃えてるお母様ばっかりだったが…

今までのママ友とは段違いな付き合いだったからだ。

No.375 13/09/13 17:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 374 則子自身は、あまり社交的ではない。

仕事と割りきれば、スムーズにいく関係。

生粋のボランティア。
ここに、生き甲斐を感じる保護者さんもいる。他校の中には、お父様が会長をしている学校もあった。

No.376 13/09/13 17:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 375 勿論、ドラマに出てきそうな会長さん面々もいた…

No.377 13/09/13 17:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 376 PTAの中で色恋沙汰は、則子は疎い。

まあ、あっても不思議ではないが。

則子は、それらには一切関心がない。

その面から言うと、他の委員会のお母様や保護者さんなどは好感を持てていた。
誰にでも、気さくに話かける則子だったからだ。

本人は、PTA内容を覚えようと必死だったのだが、気がつく人もいない。

No.378 13/09/13 18:22
樹由優 ( AXwTnb )

>> 377 ある日
「ママって、本当は学校の先生だったの?皆、言ってる。明香のママは、小学校の先生だって」

一緒にお風呂に入っていた明香が突然、すっとんきょうな声を出した。

思わず笑みになる。
則子だった。

No.379 13/09/13 18:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 378 それほど、小学校に足を運んでいた。

時々、明香のいる教室を覗き授業風景を参観する。

クラスの担任の先生に会釈をして立ち去る則子を、他のお友達にも見られていた。

No.380 13/09/13 18:29
樹由優 ( AXwTnb )

>> 379 「ちょっと~会長さん。いらっしゃる?」
PTA室に顔を覗かせたのは、予算委の委員長の藤元さんだった。

PTA室には、今日は誰もいない。

No.381 13/09/13 18:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 380 「よかったわ。今、お一人?実はねえ」

藤元さんも話をし出すと、とても長い。自分の事から始まり隣近所、学年の保護者さんについて等々…

情報をくれるのは、ありがたいが、その他は世間話で終わる。

No.382 13/09/13 18:39
樹由優 ( AXwTnb )

>> 381 「今さあ、広報委員長してる佐々木さん。ほら青年会の方でも顔のきく人。委員会の年間会費を引き伸ばしてくれってさあ。困っちゃったわよ。どうしょう?会長さーん」

年度予算は、昨年には決まっている事項である。途中に追加するとしたら、PTA臨時総会を開かねばいけない。
さて、困った…

No.383 13/09/13 18:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 382 PTAでは、その学校、その学校により広報紙を年三回以上は発行しなければならぬと、決められている。

全国PTA広報紙コンクールに出典する為でもある。

No.384 13/09/13 18:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 383 コンクールに優勝すると、全国新聞にも掲載される。
その方面で働いていたお母様方は、とても熱心だった。

それはそうである。
皆、以前はプロの人たちだったのだから。

No.385 13/09/13 18:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 384 予算委員長さんは話を続ける。
「なんでも、外注をしたいらしいのよね~。うちのPTA室にある印刷機。白黒でしょ?そりゃあねえ。カラー印刷機があればいいんでしょうけど~。そんな高い買い物なんてPTA会費だけじゃ買えないわよねえ。だから、外注だってさ。おととし、お隣の学校の広報紙が準優勝したでしょ?ライバル心メラメラよー!」

則子にとっては、どうでもよい事だった…

No.386 13/09/13 19:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 385 その頃、県のPTA総会では広報紙についてPTA総会の会長さんから話が出たばかりであった。

紙の廃止についてであった。いわゆる、学校側からのお便りのプリントとPTAから出されるプリントの削減、印刷物を減らそうと言う提案でもある。

No.387 13/09/13 19:05
樹由優 ( AXwTnb )

>> 386 現にPTAのHPや、学校側からのHPなどで、年間活動や学校紹介もされている。

各PTA会員に配布されるプリントの量は半端ではない。

則子も、ファイルはしてあるが、もう三冊めである。

No.388 13/09/13 19:10
樹由優 ( AXwTnb )

>> 387 パソコンで見られるのだ。
でも、PCを持っていない家庭もある。まさか、携帯からでも閲覧可能なBBSのような形式にする技術を持った学校の先生や保護者さんはいないだろう。

やはり、プリントは必須になる。

No.389 13/09/13 19:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 388 「私、今年度で卒業したいんだわ。PTA。もう三年もやってるから、来年こそは自分の事したいわよ。下の子供も六年生になるし。もういいわ。PTA~」

お気楽発言は続く。

「だからって、何も今年度から予算の組み換えなんて嫌だわよ。面倒くさいわ~。ホント」

No.390 13/09/13 19:19
樹由優 ( AXwTnb )

>> 389 10月なかばから、腹のさぐりあいが始まる。

PTA選出委員会が本格的に動き始めるからだ。

来年度のPTA役員決めを…
役員と共に補佐であるPTA予算委員会も、決める…

No.391 13/09/13 19:22
樹由優 ( AXwTnb )

※読んでくださりありがとうございます。また更新します。
m(__)m

誤字脱字、文章がへんな箇所があります。ご了承ください

No.392 13/09/25 12:07
樹由優 ( AXwTnb )

運動会が程なく終わった

以前は、小学校の運動会の他に地元主宰で行われる市民運動会なるものも行われていた
こちらは、青年会と消防団、それに地主が主宰とあって小学校の校庭はお祭り会場と化す

小学校の校庭で酒を飲み、宴会があちこちで行われる。

No.393 13/09/25 12:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 392 いっときは的屋まで出店したそうである。今では考えられない光景だ。

校門に施錠が施されてから外部者の立ち入り禁止になった。これに猛反発したのは言うまでもない。地主たちであった。学校側としては市民運動会のような地元主宰で行われる行事は、教育委員会からのお達しもありなるべく切り離したものと考えるのが妥当である。

No.394 13/09/25 12:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 393 市民運動会には必ずいざこざを起こす人もいたからだ。お祭りとの認識で市民運動会に参加している人たちもいる。何かのトラブルや盗難、怪我などは学校の校庭で起こった事として学校側の責任になるからでもあった。

No.395 13/09/25 12:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 394 それが、あの事があり校庭、学校内の立ち入り禁止。校門に施錠、小学校に来る人は必ずネームプレートを首にかける事を義務づけた事は市民運動会の中止に多大な大義名分になった。

PTAで市民運動会の裏方も辞退できる事になって、皆それぞれに、口には出さないが喜んでいた。

No.396 13/09/25 12:26
樹由優 ( AXwTnb )

>> 395 「ゆとり教育」の導入で完全に土曜日が休みなった。
PTAではこの土曜日を有効活用しようと言う動きも出た。やはりPTAに熱心な保護者さんたちである。

そして、土曜学校なるものをたちあげた。

No.397 13/09/25 12:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 396 学校主宰の運動会もまた、日曜日が恒例であったが、土曜日に行うと言う意向に傾いた。

地元で学校とは独立して行っていたサッカークラブも小学校の校庭で練習をしたいと強い要望も出してきた。

No.398 13/09/25 12:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 397 則子が会長になった時は、土曜日の活用について毎日学校側との話し合いの場になる。

サッカークラブもPTA土曜学校も校庭が目当てだったからだ。

No.399 13/09/25 12:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 398 学校の授業はないが、土曜日という日は、平日のそれより忙しくなった。

No.400 13/09/25 12:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 399 教育委員会には、青年育成会というこれまた、複雑な会が存在する。いわゆる教育委員会が建てた建造物の利用である。中には温泉つきの宿泊施設もある。

もともと、教育委員会の中で地方公務員だけが利用出来る余暇の場所だったが、この説明をすると地方公務員と労働組合などについて語る事になるので省略する。

No.401 13/09/25 12:54
樹由優 ( AXwTnb )

色々な過去の出来事。学校とは?PTAとは?

則子はいつも考えるようになっていった。

学校関係者の他に別の地域のPTAの皆さんにも出会う事も出来た。

則子の中では、まだ未消化のままのものもある。
最初は嫌々ながら、半強制的に押し付けられた。PTA会長。やり残した事、改善の余地があるものなどが、やっと見えてくる。

No.402 13/09/25 13:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 401 「最近さあ。なんか燃えてない?会長さーん。そういえば、来年度の役員決めに候補に上がってる何人かは、もう打診が始まっているのよ。ほら新しく出来たマンションの人でえ…」

副会長はやはり顔が広い。
毎年、役員の立候補と辞退する人のアンケートを取る。これは単なる、表向きだ。

No.403 13/09/25 13:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 402 PTA役員選出委員会の委員長が姿を表した。

慣れた手つきでPTA室の備え付けのコーヒーを入れ、「はい。これは会長さん。副会長は、ブラックよね?」
などと、余裕の表情を見せている。

森脇さん。お子さんは今4年生の息子さんと3年生の娘さんがいる。

独身時代は、バリバリの営業部で働いていたキャリアウーマンだ。

経理にも詳しい。PTA予算を大きく変えた予算枠を打ち出したのは彼女のおかげでもある。

彼女の功績が光る。

「粗方、決まったも同然ね。あとは、落とすだけ」

役員の立候補の用紙に、辞退するという理由を記入する欄がある。

一人一人に目を通す。
大変な作業ではあるが、辞退理由を読み漁るのも、なかなか楽しい。

中には欄からはみ出し論文を書いているのではないかと錯覚するほどご丁重に書かれた人もいる。

No.404 13/09/25 13:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 403 「そういえば知ってた?来年度は学校給食を民間委託する話。給食が給食センターになったでしょ?民間委託すると、調理師免許がある人をパートで雇えるんだって。校長から話がいくはずよ。食べるのは子どもたち。保護者の承諾書がいるって事よ。なんでもかんでもPTAに押し付けてさあ。本当なら校長が各家庭の保護者様へなんて、一生懸命プリント印刷しなきゃいけないのよねえ。教育委員会から来た防犯マップだって授業の一貫として子どもたちと先生が作ればいいのよ。小学校に通学しているのは、先生と児童なんだからねえ。」

この人も話をし出すと止まらない。
でも、それは則子も薄々感じていた所でもある。

No.405 13/09/25 13:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 404 森脇さんは続ける
「あらあいやだ。この人わあ…親の介護が大変で辞退~???サッカークラブでは、バリバリ試合に付き添って裏方を仕切ってるのにねえ。サッカークラブよりPTAの人間関係のほうが楽なのに…あっそうか、この方、お引っ越しされて間もないんだったわ。サッカークラブの保護者さんのお局にパシりにされてるって話、聞いた事ある~。それで、PTA役員を辞退しろって言う訳ねえ」

「サッカークラブも子どもさん達は試合の為に練習してるのに、やれコーチにお礼だ試合に勝った時は祝賀会だの、あっちこっち手伝わされてるみたいよ。可哀想にねえ…」

それは憶測の域で、本当はそれが好きなのかも知れないし、内情は誰にも分からないのではないだろうか?
則子は、つい口に出しそうになる。

No.406 13/09/25 13:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 405 それにしてもよくご存知だ。よそ様の家庭事情にやたら詳しい。

則子の家庭の事もPTA室で、今と同じように話をしていたのだろうか?

人の口に戸は建てられない

No.407 13/09/25 14:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 406 PTAの横の繋がりは太くて長い。

偏見を持った近隣の方々なんかよりも、子ども繋がりの結束は硬い。

いたずらっ子で有名な児童たちの家庭事情も詳しく知っている。

子ども絡みのトラブルは、まず学校に連絡がいく。

そして、各地域班の班長宅へ。班長からの連絡により地域委員会からPTAへの報告という順番がある。

No.408 13/09/25 14:05
樹由優 ( AXwTnb )

>> 407 小学校3年生までは、学童クラブという児童館が責任を持って夕方6時まで、児童を預かるというシステムがある。

ここの管轄は児童福祉、いわゆる児童相談所の域である。教育委員会とは、また別な活動をしている場所でもある。

  • << 410 児童館への働きかけもPTAにとっては大事な役割をはたす。 子どもたちは、小学校、地域、保護者、そして公的機関から守られ健全な成長を支えなければならない。 則子の頭の中に徐々にではあるが、改めて地域の大切さ、そこに住んでいる周囲の人たちの存在、真剣に子どもの成長に向かい合う、先生や児童館の養護教諭の先生方のありがたみがわかった。

No.409 13/09/25 15:07
樹由優 ( AXwTnb )

※また更新します
読んでくださりありがとうございます

No.410 13/09/26 00:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 408 小学校3年生までは、学童クラブという児童館が責任を持って夕方6時まで、児童を預かるというシステムがある。 ここの管轄は児童福祉、いわゆ… 児童館への働きかけもPTAにとっては大事な役割をはたす。

子どもたちは、小学校、地域、保護者、そして公的機関から守られ健全な成長を支えなければならない。

則子の頭の中に徐々にではあるが、改めて地域の大切さ、そこに住んでいる周囲の人たちの存在、真剣に子どもの成長に向かい合う、先生や児童館の養護教諭の先生方のありがたみがわかった。

No.411 13/09/26 00:08
樹由優 ( AXwTnb )

>> 410 新年度を迎え今、則子は新たな取り組みをしている。
昨年度は、PTAそのものに疑問を抱き、見るもの聞くもの全て初めての事ばかりであった。

新入生新1年生の人数も年度末最後2月くらいにならないと分からない事も知った。

No.412 13/09/26 00:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 411 明香も新1年生から今度2年生に進級をする。

小学校に入り行動範囲も広がり、お友達も沢山できた。

一人っ子の明香にとって、年下のお子さんは皆、妹であり弟になる。

そして年上、上級生はお姉さん、お兄さんになった。

No.413 13/09/26 00:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 412 2年目を迎えた会長である則子であるが、まだまだ子育てという点では、ひよっこである。

先輩お母さん方に助けられ、また学校、地域の皆さんに助けられ子育てをする。

No.414 13/09/26 00:21
樹由優 ( AXwTnb )

>> 413 働くお母さん達もいる。
PTAの活動は、昔ながらのやり方をしていれば、将来的に無理が生じるのは目に見えて分かる。

なりてもいなくなって当然なのだ。

No.415 13/09/26 00:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 414 PTA室のドアの横に「なんでも要望箱」という箱が設置されている。無記名で、PTAに関する事や学校への要望、子ども同士のトラブルから近所の苦情まで書かれた用紙が入る箱。

中には、明らかに子どもさんが書いたであろうものまで入っている事もある。

No.416 13/09/26 00:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 415 上のお子さんが小学校に入っても、まだ下に保育園に預けているというお母様からのお悩みもあった。

とてもプライベートな事な書かれており、PTAの中で話し合いをする様な内容でもない。

No.417 13/09/26 00:34
樹由優 ( AXwTnb )

>> 416 無記名での記入でもあり、どこの学年で誰が書いたのかも分からない。

しかし、とても重要な事が書かれていた。

No.418 13/09/26 00:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 417 これは、個人の意見である。しかし、この個人の意見がPTAを支えているのも確かだ。

噂好きな副会長も、持ち上がりで今年度も引き受けてくれている。

則子は大いに迷う。

No.419 13/09/26 00:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 418 内容は
「うちにはまだ小学校に上がっていない子どもが、あと二人もいます。保育園に通っています。保育園でも保護者の集まりや役員の仕事もあり、自分は働きながら子どもを育てています。夫は離婚していません。
生活はぎりぎりで、実母の手伝いがなければ子育てが出来ないどころか、私も働く事も出来ません。それに加え小学校のPTAの参加となると身体がいくつあっても足りません。PTAには委員会に無理やりならされました。出来る訳がないと何度も言ったのに、ならざるえませんでした。

委員会の話し合いも皆、働いていると言う理由で夜が多いです。でも夜は出掛けられるはずもなく、無断欠席もままあります。

そうこうする内に、なんだか余所のお母様方に無視をされるようになりました。
PTAを脱会したいです」
という事が書かれていた。

No.420 13/09/26 01:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 419 各委員会の話し合い、いわゆる委員会活動は、委員長の手腕で決まる。

昼間働いている保護者さんの中には、公には言えないが、委員会の話し合いと称して飲み屋さんで行われるとも聞いた事がある。

やはりPTA活動の一貫であるのだから、なるべくPTA室で話し合いを行うという事が原則である。

No.421 13/09/26 01:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 420 小学校の開いている時間帯は、朝6時に警備員さんが出勤。学校から委託された警備会社の社員さんが校門の解錠を行う。

そして、学校自体が無人となるのは夜の9時である。夜間は、警備会社の防犯カメラが作動し裏門、校舎の裏手の昼間でも人がいない死角などにカメラが作動している。

No.422 13/09/26 01:53
樹由優 ( AXwTnb )

>> 421 校舎内は、夜間は各教室を除き職員室、校長室、執務室などは厳重に施錠している。

もしも災害やその他の不足の自体に陥り、学校が避難場所になった場合は、消防署や警察署管轄で学校自体が避難区域となる。

PTA室も例外ではない。

No.423 13/09/26 02:02
樹由優 ( AXwTnb )

>> 422 「やっぱり、あの委員会でしょ。委員長さん飲み会好きだもんねえ。出来る事なら昼間に話し合いをしなさいって直接言うのは簡単だけどおー…そうも行かないしねえー」

相談をしたのは、幼稚園からのママ友で新年度から、役員になった川村さんだった。古参の先輩お母様に相談してもよいと思ったが、内情に詳しすぎて、せっかく無記名で一人のPTA会員の悩みが、あっという間に全体に行き渡るのを懸念したからだ。

No.424 13/09/26 02:15
樹由優 ( AXwTnb )

>> 423 各委員会は、それほど負担であるのか?と言えば、則子から見たらそうでもないという見解である。

しかし、皆が皆、則子のように専業主婦とは限らない。ここでも大きな温度差が生まれる。

以前、地域委員会では朝の旗降りがあった。学校周辺には主要道路である、二ヶ所の大きな横断歩道がある。

そこに、4名の保護者が順番で立つ事になっていた。
自分の子どもも通るのだからと言う理由で、朝7時半から小学校の始まる8時15分まで、旗降りをする。

No.425 13/09/26 02:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 424 朝の7時からと言う事は、家庭の中でもっとも忙しい時間帯である。

子どもが高学年のお子さんがいる家庭はどうにか出来る。が、幼稚園やもっと小さいお子さんのいらっしゃる家庭では絶対無理な話だ。ひと昔は、専業主婦で嫁ぎ先の家で同居というスタイルの家庭が主流であったが、今は全然異なる。

旗降りなんかしていたら、自分の子ども達の世話も出来ないと猛反対の異議を唱えた時代もあった。
学校側も、通学路という観点から保護者だけに、横断歩道の管理を押し付けるのは安全面から言っても、その責任は問えない。

No.426 13/09/26 02:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 425 幸い、未だ大きな事故もなく児童の安全は守られているが、当番にあたった時に、事故が起これば、その責任は旗降りの当番にあたった人の責任となるとなる訳でもある。

No.427 13/09/26 02:35
樹由優 ( AXwTnb )

>> 426 教育委員会と学校との話し合いは半年にも渡った。

PTAからの口添えもあり、教育委員会は動く。

市役所からシルバー人材を募ったのだ。

定年退職した、元警察署職員、消防署職員など責任を重視する役職に、かつて働いていた人たち。

市役所での人材集めは、とてつもなく協力的でもあった。

No.428 13/09/26 02:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 427 今では、緑のおばさん、おじさんとは呼ばない。

れっきとした交通整理の職員である。

子どもの安全を守ると同時に地域の安全を守る人でもある。

地域の新聞でも掲載された。小学校のホームページでも紹介された。

勿論、PTAの広報紙にも。

No.429 13/09/26 02:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 428 かつては、子どもがいると言う理由でPTAに属し、子どもの為と言われ、学校側からの要望に答えてきた、PTAであったが、各家庭の生活様式が変わり、家族の在り方が変わり、世の中が変わってゆく。

No.430 13/09/26 02:52
樹由優 ( AXwTnb )

>> 429 そんな中で、柔軟な考え方や少しの活動で、子ども達を見守る形も変わってゆく。何が正解で何が正しいのかは、その場にいなければ分からない。

則子は今、PTA会長という眼を通して、どうすれば一番よいのか?最善のPTAとは何か?暗中模索ではあるが探している。

No.431 13/09/26 03:41
樹由優 ( AXwTnb )

【あとがき】
私自身、PTA会長をしたのは、二十年も前の話でもあります。ちょうど「ゆとり教育」が導入された直後でもありました。
実際、「ゆとり教育」の導入は教育の現場では活用の意義を問われていましたが、保護者やPTAから見た「ゆとり教育」とは、あの当時はあまりピンと来ないものでした。一部の保護者さんは、子ども達の学力低下に危機感を覚え、公立ではなく私立に入学されたお子さんも大勢いました。

公立のPTA活動が減ったと言う話はありません。
むしろ積極的にPTAに参加希望する保護者さんがいた事は確かです。
それにより、流行語のようになってしまった、モンスターペアレントなどと言われる保護者さんもいた事も確かです。裏を返すと「ゆとり教育」そのものに不安を抱いた結果だとも思っています。

果たして「ゆとり教育」とは何だったのだろうかと言う疑問も未だに拭えません。今現在は「ゆとり教育」の弊害?で、子ども達の学力の低下が問題になっていますが、教育そのもの、子ども達の勉学そのものは義務教育という枠組みから離れ、塾に通うお子さんが増えた事。塾にも助成金の導入で、誰でも通う事が出来るようになった事などが、挙げられてました。

未来を担う子ども達の将来をもっと明るく、勉学の大切さや夢に向かって成長していく子ども達を、ずっと見守っていけたらいいなと思っています。

PTAの中では些細な事でいざこざが絶えませんでした。それだけ、個々の家庭という考え方の相違であるとも思っています。

最低限のルールはあるけれど、正解や正論は家庭内外で考えるべき事だとも思っています。

拙い文章ではありますが最後まで読んで下さった方たちに感謝いたします。

ありがとうございました。
※義務教育とは、子ども達に教育をする義務ではありません。

子ども達側が教育を受ける事が出来る義務と言う事であります。

No.432 13/09/26 09:37
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.433 13/09/26 13:14
樹由優 ( AXwTnb )

あーっ!
うるさーい!いい加減にして!

うるさーい!
うるさーい!
今、何時だと思ってんの!夜中だよ!
よなか!

夜中の1時!

掃除ーっ!
掃除機かけてんの!?
ガーガー!
ガーガー!

もう我慢出来ない!!

No.434 13/09/26 13:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 433 今年の春、大学を卒業した成美は、小さいながらでも地方でもその名を知らない人はいないという中小企業の会社に入社した。

そして、はや半年が立とうとしていた。

憧れの一人暮らし。

実家を離れ単身、都会と呼ばれる地に住むようになったのだ。

No.435 13/09/26 13:22
樹由優 ( AXwTnb )

>> 434 両親も大喜びだ。

親戚や親類の中でも、都会に住んでいる人たちはいない

No.436 13/09/26 13:24
樹由優 ( AXwTnb )

>> 435 就職の内定が取れてから、地元でも2社、面接の合格通知が届いていた

No.437 13/09/26 13:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 436 成美の心はすでに、都会にあった。

何が何でも、この田舎から出てやる!

そして、TVドラマのような恋をして幸せな結婚をして一等地と呼ばれる、所に絶対に住んでやるんだ

成美の夢は大きい

No.438 13/09/26 13:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 437 父も母もこの土地に生まれ、この土地で育ち結婚をした。

父も母も、子どもの代から知っている人ばかり。

隣近所も、皆そう

ただし隣りの家までは、歩いて10分もかかるが。

No.439 13/09/26 13:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 438 成美が家を出てひとり都会に出ていく事を大反対したのは、大おばあちゃんただ一人だった。

都会になんて行かせない。都会なんて悪い奴らばっかりで、小娘ひとりなんて言ったら、何をされるか分かったもんじゃない!

と、まるで外国に行ってしまうような事ばかり言った。

No.440 13/09/26 13:41
樹由優 ( AXwTnb )

>> 439 テレビで若い女性の事件なんかを、報道していたりすると大おばあちゃんは、血相を変えて呼びにくる。

ほれ、見てみい!都会に住むと、こんな事ばっかり嫌な事件ばっかり、女の子ばっかり…

大きな声で、都会の恐ろしさを得々と説明しにきた。

No.441 13/09/26 13:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 440 正直、成美は大おばあちゃんは苦手だった。

家庭内で問題を起こすのは、いつもこの大おばあちゃんだったから。

No.442 13/09/26 13:48
樹由優 ( AXwTnb )

>> 441 成美の家は、兼業農家。

代々続く農家だった。

幸い、戦争の時にも空襲は受けずにのどかな、そして大自然が育んだ、栄養たっぷりに肥えた土地。

農作物も豊かに実る土地。
まさに、自然とともに人々の生活が成り立つ平和で…………

なんにもない地域。

No.443 13/09/26 13:53
樹由優 ( AXwTnb )

>> 442 成美の家族は3世代同居。有り余る土地に今風の家屋を建て住んでいる。

広い座敷は、ふすまをぶち抜くと、結婚式でも出来る位広い。

どこの家でもそうであるから、成美もこれが日本の家だと、つい今しがたまで思っていた。

No.444 13/09/26 13:57
樹由優 ( AXwTnb )

>> 443 大学の卒業まじか、両親にやはり都会に行って、もっと勉強をしたい事。都会の生活をして一人前になりたい事などを延々と説得し続けた。両親は、都会に行く事自体は反対はしなかったが、大おばあちゃんの手前、親を説得するひ孫を、そばで見たかったから、皆で大芝居を打つ事になったのだ。

No.445 13/09/26 14:01
樹由優 ( AXwTnb )

>> 444 客間にデッカイ大お仏壇が鎮座している。

お仏壇を囲むように、先祖代々のひいひいじいちゃんの写真やそのまたひいばあちゃんの写真が額縁に入れられ飾られている。

どっかの美術展のようだ。

No.446 13/09/26 14:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 445 成美の幼なじみのまり子ちゃんの家も、文彦くんの家も、皆おんなじようだった。

No.447 13/09/26 14:06
樹由優 ( AXwTnb )

>> 446 なんとか、大おばあちゃんを納得させた成美は、今度は親戚中駆け巡った。

学校を卒業したら都会に行きます。

なんとか一人前になって帰ってきます!

No.448 13/09/26 14:09
樹由優 ( AXwTnb )

>> 447 なんだか今生の別れじゃないんだから、大袈裟すぎーっ!

でも、この段取りを踏まないと家からは出られない。
面倒臭い、田舎のお付き合い。

No.449 13/09/26 14:14
樹由優 ( AXwTnb )

>> 448 アパートの吟味が始まる。
一応、父との約束でアパートに住むには、安全で会社の近く。

いつでも両親が上京しても泊まれる場所をと、父も母も不動産屋を何軒も廻ってくれた。

No.450 13/09/26 14:20
樹由優 ( AXwTnb )

>> 449 父は
「ここに住め!」と言った場所は、なんとマンションだった。しかも、賃貸ではなく分譲マンションだった……

これには、さすがの成美も驚いた。

父は、この位の家に住まないとダメだ!

管理人もちゃんといるし、監視カメラ付きだぞ!

ここなら安心だぞ!

世間ずれした父は、そのマンションが億ションという事を知らない…

No.451 13/09/26 14:25
樹由優 ( AXwTnb )

>> 450 なん十件と見て周り、やっとここならと言うアパートと言うよりやはりマンションよりのワンルームを見つけた。

そこは、女性専用でしかも独身の女性しか入れない所。
管理会社も近くにあり、大家さんも駅から数分の所に住んでいた。

No.452 13/09/26 14:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 451 新入社員式が迫り、あとは引っ越しをするだけ。

生まれて初めての一人暮らし。

成美の心は未来の自分に酔いしれていた

No.453 13/09/26 14:31
樹由優 ( AXwTnb )

>> 452 都会に出てきて、仕事に没頭し悪戦苦闘を強いられる。

アパートに帰る頃には、ヘトヘトで正直、アパートには寝に帰る日々が続く。

No.454 13/09/26 14:38
樹由優 ( AXwTnb )

>> 453 ワンルームの部屋におしゃれなキッチン。おトイレはウォッシュトイレ。

自分だけのお城……

のはずが、初めの頃はインテリアにも懲り、可愛い小物やお揃いのバスダブセットに、少し高めの食器類などを女性らしい部屋作りをしていたが、こうも仕事中心に生活が回り始めると、コーディネートどころか、掃除も億劫、料理なんて、ここ数週間していない。

No.455 13/09/26 14:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 454 お風呂だってシャワーのみ。唯一洗濯だけは、かかさなかったが、改めて母の偉大さに感謝した。

No.456 13/09/26 14:43
樹由優 ( AXwTnb )

>> 455 お母さんの煮しめが食べたい。

スーパーにはおぞうさいコーナーがある。

母がよく作ってくれていた料理も買う事は出来たが、味は、雲泥の差である。

No.457 13/09/26 14:46
樹由優 ( AXwTnb )

>> 456 今日も残業が遅くまでありコンビニで買ったお弁当をボソボソと食べ、疲れきった身体を投げ出すように、ベッドに転がる。

一人暮らしって、皆こんな感じなのかな?

No.458 13/09/26 14:50
樹由優 ( AXwTnb )

>> 457 脱ぎ捨てたスーツがシワにならないように、ようやくハンガーにかけ、お化粧も落とすのも面倒臭い。

このまま寝たい…

でも、このまま寝たら、明日の朝はもっと辛い。

成美は挫けそうな心を、どうにか奮い立たせシャワーに向かう。

No.459 13/09/26 14:53
樹由優 ( AXwTnb )

>> 458 やっと、眠りにつける。電気を消し布団にうずくまる。最近、夢の中まで仕事をしている時がある。

No.460 13/09/26 14:55
樹由優 ( AXwTnb )

>> 459 上の階、天井から
がーがーっ
シュッシュッ
と、音が聞こえるようになった

No.461 13/09/26 14:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 460 物件を探している時に、特に注意した点は、となりとの物音。

なんにもない田舎から都会に行くのだ。

隣が雑木林とは訳が違う

No.462 13/09/26 15:00
樹由優 ( AXwTnb )

>> 461 父も母も入居にあたっては、隣近所は勿論、派出所のお巡りさんまで挨拶をした。大家さんは、ケラケラ笑っていたが、成美も少し恥ずかしかった。

No.463 13/09/26 15:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 462 大家さんも太鼓判を押すほど防音壁。

窓を開けると、車の行き交う雑音や喧騒などが聞こえてきたが、一旦窓全て閉めると、無音に等しかった。

No.464 13/09/26 15:06
樹由優 ( AXwTnb )

>> 463 じゃあ今聞こえる音は何?
上の階の人が掃除する音!
ピッピッというかすかな音もする。

No.465 13/09/26 15:08
樹由優 ( AXwTnb )

>> 464 あれから決まって夜中の1時になると、掃除の音が聞こえるようになった。

No.466 13/09/26 15:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 465 「成美ー大丈夫?不眠症?お化粧してても分かるよお!目の下のくま!……あっ失礼~」同僚の千賀子が、何やらニヤニヤして通り過ぎる。

えっ?
彼氏だっていないのに…

「成美さあ、最近疲れてない?たまには、女子会でぱーっと騒ごうよ!」

やはり、持つべきものは友である。

こっちに来てからは、地元には友人はいるが、皆それぞれの道を歩みだしている。しばらくメールでやり取りはしていたものの話は、逸れていく一方だった…

No.467 13/09/26 15:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 466 次の日が休日と言う事もあり、あまり飲めるほうではない成美が、もう一杯と、梅サワーのおかわりをする
「あのねえ…実はね?なんか部屋がおかしいんだ。それで、あんまり眠れなくてね」

「えっ?何?何?おばけとか出るの?うわっ、心霊スポット成美だわ!」

千賀子が大きな声で笑う。
そんな同僚を見て成美も安心する。

「今晩、泊まってあげてもいいよ!おばけ見たいもん」

さずが、ホラー大好きな友人だ。頼もしい。

No.468 13/09/26 15:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 467 「おばけとかじゃないのよ。上の階の人の事なんだけど…」

成美は、事の次第とうるさい苦情を言うのにはどうするばよいか?など話はつきなかった。
あとは、同じ職場の男性や先輩、上司の噂話に花を咲かせた。

No.469 13/09/26 15:48
樹由優 ( AXwTnb )

>> 468 終電もギリギリで間に合い、千賀子は酔った勢いと、まだ友人宅ご訪問がまだだとへんな理由をつけて、成美のアパートに泊まる事になった。

千賀子は、地元がここである。都会に生まれ都会で育ち都会で働く。都会人。

No.470 13/09/26 15:54
樹由優 ( AXwTnb )

>> 469 成美も偏見があった訳ではないが、都会の人たちに負けるものかと、片意地を張っていた事もあったが、毎日、顔を合わせ同じ話題、同じ仕事を何回も繰り返しているうちに溶け込めるようになった。上司や先輩にどやされるのも慣れた。いつの間にか、仲間意識が出来たのかもしれない。

千賀子は、気取らない。
明け透けなさっぱりした性格も成美にとっては、友人と呼べる、唯一の人にもなった。

No.471 13/09/26 15:58
樹由優 ( AXwTnb )

>> 470 アパートの近くのコンビニでおやつとビールを買い、二人で成美の部屋で話の続きをした。話はつきない。

No.472 13/09/26 16:03
樹由優 ( AXwTnb )

>> 471 「ねえ、そろそろなんじゃない?」
時計を見ると、1時近くになっていた。

それまで、見ていたDVDも消し、千賀子は何を思ったのか電気まで消そうとしていた。
「やーだあ。ホントおばけじゃないんだから、電気はつけておいてよ」

久しぶりに成美は、楽しさを感じる。

No.473 13/09/26 16:04
樹由優 ( AXwTnb )

>> 472 がーがー

ガーガー……

シュッシュッ
シュッシュッ…

まさにこの音だ。

二人は顔を見合わす…

No.474 13/09/26 16:07
樹由優 ( AXwTnb )

>> 473 千賀子が、キッチンに立つ。
成美は不思議がりながら
「どうして?そこから聞こえる?」

千賀子は、キッチンの排水口を指指している。

「音は、ここから聞こえてくるよ」

No.475 13/09/26 16:11
樹由優 ( AXwTnb )

>> 474 アパートやマンション、病院などは、配水管が壁づたいに張り巡らしている事がある。防音の壁や防音の窓では、防ぎきれない室内の音。
排水口や配管を通して聞こえてくる事がある。

今まさに、その状態だ。

No.476 13/09/26 16:13
樹由優 ( AXwTnb )

>> 475 「でもさあ。夜のこんな時間にねえ?毎日、掃除する?掃除機かける?おかしくない?上の人…」

千賀子は、鼻でフフンと笑う

No.477 13/09/26 16:17
樹由優 ( AXwTnb )

>> 476 「成美さあ。知らない?最新式の掃除機の事…
あれはねえ、タイマーとかついていてえ…
あとは、ゴミセンサーもあってえ……」
酔いの回った口調がやたらおかしかったが、最近発売された新型掃除機の説明をし始めた。

No.478 13/09/26 16:21
樹由優 ( AXwTnb )

>> 477 「そうだ!説明するのもめんどーだから、明日は休みでしょ?大型電器店に行ってみようよー」

「あー酔っぱらったあ。原因分かったし、おばけじゃなくて残念~」

と言いながら、フローリングに敷いた布団に寝てしまった

成美も、深い眠りにつく

No.479 13/09/26 16:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 478 翌日、二人は家電売り場にいた。

「これこれ!」

千賀子が、手に持っていたのは、円盤上になっている掃除機。

商品名は書かない

No.480 13/09/26 16:27
樹由優 ( AXwTnb )

>> 479 「きっとさあ。上の人は、フローリングじかなんだよ。それでこれを寝ているうちに作動させると~

朝、起きた時、掃除が完了って訳。なるほどねえ~」千賀子は感心している。

No.481 13/09/26 16:29
樹由優 ( AXwTnb )

>> 480 「成美もこれ買って、夜中に掃除!どう?」

手間が省けて、一石二鳥だよ!

上の音がうるさかったら、排水口に蓋が出来る便利グッズが売ってるよ!

No.482 13/09/26 16:37
樹由優 ( AXwTnb )

>> 481 千賀子は都会で生まれ都会で育ち都会で生きている。

隣人の生活音や車の騒音、クラクションの音。

音。音。音。

音には慣れっこだ。

しかし、自分自ら出す音には敏感だった。

ちょっとしたドアの開閉や階段を上がる靴音など。自分からは、絶対に出さない。

これが都会に住むと言う事なのかもしれない。

成美も、都会生活をエンジョイしようと心に決めた。

No.483 13/09/26 16:37
樹由優 ( AXwTnb )



【小休止】


No.484 13/09/26 21:15
樹由優 ( AXwTnb )

世の中って、不平と不満だらけ。

かく言う私も、くちを開けば誰かの愚痴。

噂話じゃないけど、話相手の共通の話題がそうなんだから仕方がない

No.485 13/09/26 21:16
樹由優 ( AXwTnb )

>> 484 いない人の噂話ほど、話が盛り上がるのも確かだよねえ

No.486 13/09/26 21:18
樹由優 ( AXwTnb )

>> 485 芸能人のあの人とあの人が結婚したなんて言う話より離婚した話の方が、盛り上がるわよ

No.487 13/09/26 21:21
樹由優 ( AXwTnb )

>> 486 今日もテレビで、結婚披露?婚約披露?した人たちいたけど、長く続かないんじゃないかとか、きっと来年には別れてるわよ。なんて話をした方が楽しい。

No.488 13/09/26 21:23
樹由優 ( AXwTnb )

>> 487 だからって
【他人の不幸は蜜の味】
なんてサラサラ思ってないわよ

ホントよ

No.489 13/09/26 21:28
樹由優 ( AXwTnb )

>> 488 痛ましい事件や事故のニュースなんか見ると心が痛くなるほど悲しいけど

心のどこかで、自分じゃなくてよかった、自分の家族じゃなくてよかったって思うもの…

よかったなんて、くちが裂けても言えないけど、思うのは勝手だわよね

No.490 13/09/26 21:30
樹由優 ( AXwTnb )

>> 489 今まで生きてきて、危機的状況に陥った事もない

No.491 13/09/26 21:32
樹由優 ( AXwTnb )

>> 490 そりゃあ何回かは、親戚の叔父や叔母。

祖父や祖母の死は見てきた

No.492 13/09/26 21:33
樹由優 ( AXwTnb )

>> 491 お葬式にも参加した事はあるけど、不慮の事故とかではない

No.493 13/09/26 21:36
樹由優 ( AXwTnb )

>> 492 病気にしたって、癌なんだなんて言ってた友達もいたけど、癌が見つかった時はこの世の終わりみたいに嘆いていた友人も、今ではケロッとしてる

No.494 13/09/26 21:40
樹由優 ( AXwTnb )

>> 493 癌の最新治療で、なんでもカプセルの中に抗がん剤を入れて、癌細胞の死滅どうとやらが、功をそうしたようだ。

今では、私より元気なんだからすごいなあ

No.495 13/09/26 21:42
樹由優 ( AXwTnb )

>> 494 癌なんて虫歯と一緒よ!

なんて言ってる友人

あんたも癌になったら、あたしの主治医を紹介してあげるわだって

No.496 13/09/26 21:45
樹由優 ( AXwTnb )

>> 495 影では、
「ねー。憎まれっ子よにはばかる」ってあの人の事じゃない?

なんて言われているのも知らないだろうなあ

No.497 13/09/26 21:47
樹由優 ( AXwTnb )

>> 496 そんな事なんて本人の耳に入れば大変な事になるのにねえ

でも私は言わないわよ

別のあの人が言ってたんだからねえ

No.498 13/09/26 21:49
樹由優 ( AXwTnb )

>> 497 なんだかんだ言っても、やっぱり他人の悪口って、いっちゃあいけないわよね?

No.499 13/09/26 21:51
樹由優 ( AXwTnb )

>> 498 私は、絶対に他人の悪口は言いません。

聞いた話はするけどね

No.500 13/09/26 21:57
樹由優 ( AXwTnb )

【最後に】
やっと満レスまでたどりつきました。

読んで下さり本当にありがとうございました。

また、機会がありましたら書いていこうと思ってます。誤字脱字が沢山ありました。読みづらい所も何ヵ所もありました。理解に苦しむ表現もあったかと思います。何はともあれ最後までお付き合いをしていただきまして感謝しております。

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