未成熟な妻
好きになって、身体の関係を持てば、結婚しなければいけない…
そう思っていた。
僕は早く結婚したかった。誰かに、支えて欲しかった。
先の見えない道を走る為に…
君が支えてくれる
そう信じていた。
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理沙ちゃんは、座ってゆっくりブーツを脱いでいた。
僕は、理沙ちゃんの横に座ってキスをした。
理沙ちゃんは、まだ脱ぎかけのブーツのファスナーに手をかけたままだった
理沙ちゃんは小さな声で
「アッ」と言って少しだけ抵抗したけど、僕は 自分でも驚くぐらいに、激しいキスをした。
唇が離れると
「先生、靴…」と理沙ちゃんが言った。
僕はまたそのままキスをしてそのまま 理沙ちゃんのブーツを脱がし始めた。
僕のキスが、上手かどうかは別として
理沙ちゃんが出したちょっと色艶のある声が僕に自信と満足感を与えてくれた。
僕達は両手を重ねたまま ゆっくり 離れた。
急に気恥ずかしくなった僕は立ち上がった
『何か 飲むかい?コーヒー入れようか… 。』
『…はい。』
水色のホーローのケトルに勢い良く、水を入れて火にかけた。
沈黙が続く……
しばらくして お湯がわくシュンシュンという音がした。
理沙ちゃんがようやく立ち上がった。
『先生 理沙が入れます。コーヒーカップは…
え~と これかな?
わぁーウェッジウッドですね。』
『ウェッジウッドって何 うちの母親が荷物にいれたやつなんだけど…。』
『先生知らないんですか
高級なブランドの食器なんです 硬くて割れないし 綺麗でしょう』
そう言いながら
お湯を止めて 一旦カップにお湯を入れ暖めて
インスタントのコーヒーを入れてくれた。
その手際の良さが
一瞬 尚子に重なった。
>> 56
起こしても、両親が起きてくれない。
暗闇の中
息を吐けない辛さに耐えながら、僕はこんなところで、病院にさえ行けず死んでしまうのかと思った。
テレビで見た
綺麗な家、優しく微笑んで、身綺麗な母親
穏やかな生活
苦しい息に耐えながらずっと憧れの都会の生活を頭に浮かべていた。
僕はきっと将来
ここを出ていく
そう心に誓って 一晩耐えた。
車を運転できない祖母が起きてきてくれて、ずっと側で背中をさすってくれた。
今はもう すっかり丈夫な身体になったけれど…
あの夜の残像にまだ時折 苦しめられることがある
- << 59 『先生…さっき会ったの祐介さんあの…先生のお友達の人が言ってたけど…』 理沙ちゃんは、そう言って一口コーヒーを飲んだ。 『ん… 何か言ってた?』 『理想が高いって… 先生が理想が高いって、祐介さんが言ってました。 理想って、どんな人が理想なんですか?? 』 『理想は、お嬢さんで可愛くて、しっかりしてて 守ってくれそうな人かなぁ…』 『え~守ってくれそうな人って…逆に守ってあげたいような人じゃないんですか?』
>> 61
『Hな人が嫌なんじゃなくて、身体だけ目当てにされてるのが、なんだか嫌なんです。』
『理想はどんな人なのかな…
僕はきっとHだよ。
いやらしい雑誌も見るし 女の子とHしたいと
いつも思うし…』
『…… Hがしたいとは思わないですけど、先生とキスして 先生とデートして楽しかったです。』
『したいと思わないのは 残念だけどなぁ。彼女になるなら、Hはするんじゃないの?』
僕が理沙ちゃんの両腕を 優しくだいたら
顔を胸に埋めて
『そうですね。』
『先生だったら…』
- << 67 『私 先生といるとなんだか安心できるんです 他の男の子は、Hのことばかり考えてるから。』 『あはは。普通そうだって僕だって Hしたい 欲望を満たしたいって思ってるよ 』 『それだけですか。好きとか いっしょにいたいとか…そんなふうには思わないんですか。』
>> 49
寒い冬がくると、家族で少しの間住んだ。北海道の冬を思い出す
東京育ちのお嬢さんだった彼女にとって、それは、楽しいだけでなく、辛く寂し…
転勤になることを尚子に話をしなければと、夜勤でないことを確認して
青山のリストに誘った。
約束の時間よりはやくにお互いにつき、
僕は尚子に、ことの経緯を説明した。
尚子はすぐに
『奥様はどうするの
いっしょに連れて転勤するの?幼稚園に入園したばかりだし、住み慣れた東京を離れるよりは、単身で行ったほうがいいんじゃないかしら…
多分1年で戻るんだし、 遥陽君が行き来すればベストなんじゃないの?』
と言ってきた。
『それは…できないよ
理沙は僕が居ない夜は、
薬がないと眠れない
それに息子の喘息もあるから、睡眠薬も飲めない。 連れて行くしかないよ。』
『奥様の大変さもわかるけど、遥陽だって、こんなに大変なのに… 』
『呼吸器内科のある救急病院の近くのマンションに引っ越すのはどう?母親が安心して安定すれば、症状が大変でも、精神的にはいいんだし。』
>> 65
『僕はつい家でも、仕事のことばかりに気持ちが行ってしまう
妻のことばかりは考えてられないから。
悪循環だよね
今夜だって君に会ってるわけだし
早く帰ることができるのに
つくづく、僕は駄目なんだと思うよ。』
『それは…
それは違うと思う
遥陽君の妻ならそんなこと言ってられないのよ。
妻にだって守られるばかりでなく 責任も思いやりも必要よ。』
尚子はいつになく
僕に絡んだ。 さっき謝ったばかりなのに。
- << 120 『僕は理沙を転勤先に連れて行けば少しは安心して 眠れたり、育児ができたりすると思うんだ。』 『大げさな移動じゃないのよ、1年よ だから奥様は残るべきよ。』 『今日は随分はっきり 言うね。女性の目から見れば、理沙は甘えているように見える?』 『そうね…遥陽君はっきり言わしてもらえば そういうことよ。』
>> 68
『かわいいよ。最高だよ』
彼女の髪を束ねているゴムを外した。
髪を撫でて 上着のボタンを外そうとしたら
理沙ちゃんは、手で前を隠してしまう
『手を退けて、大丈夫だよ今日は最後までしないから。』
僕が手を掴んで、左右に開いた。
震えている理沙ちゃんが
可愛くて
『可愛いいよ。今日は僕にキスをさせて ゆっくり 君がどんな娘か 確認するしていい?。』
と聞いた。
『先生…
私が好きかどうか
わかるまでは 最後までしないと約束して下さい…。』
理沙ちゃんの
最後の抵抗を
僕は軽く聞き流し
『好きになったら
しても いいんだね。』
と返した。
彼女の身体の反応が僕に対してどうだかが
気になって
何度もキスをしては
切ない声をあげさせた。
>> 71
自分で言うと おかしいけれど理沙ちゃんが僕に夢中だった
僕が少し彼女を抱き寄せただけで
とても嬉しそうで
僕が自然に積極的になれる雰囲気があった。
拒絶されない。嫌われない安心感と
まだ好きと言ってないことの安心感。彼女を焦らして反応を見て こっそり楽しんでいた。
男はこんな状況がとても心地よいもので
性的には満たされてなくても、理沙ちゃんとの擬似恋愛は楽しくて
嫌ひょっとしたら、
本当に好きになったのかもしれない
そう思うこともあった。
理沙ちゃんは、優柔不断でとても狡い僕のことを
別に怒るでもなく
楽しそうにしていた。
- << 78 尚子は、祐介から 僕にガールフレンドが出来たことを聞いたらしい 僕には何も聞いてはこなかった。 姉のように僕を心配しては、 僕が大学に残って、研究を続けるなら 勉強や才能や努力だけでは、難しいことを暗に 遠回しに 何かの機会を捉えては 教えてくれた。 つまりは、人に嫉妬をかわないように そして、上には従順であることが 求められるということらしい。
- << 96 理沙ちゃんは、いつも 変わらずに デートの時は、元気で明るくて、それに屈託がない かわいい笑顔で僕の つまらない話にも 『そうなの~ 凄い~面白いわ』 とか 『理沙はそれは知らなかったわ。』 とか、言って聞いてくれていた。 一線は超えないまでも、 キスをしたり、僕の部屋で抱き合ったりした。 車がない僕は、遠くにデートする時間もあまりなく いつも、彼女と安いお店でおしゃべりを楽しんで 僕の部屋で、お茶を飲んで、キスをして… そして、尚子に僕が理沙ちゃんとのことを相談してからは、 僕は、理沙ちゃんときちんと付き合うと言う気持ちが、固まった。 尚子を諦める為にも 自らのめり込みたくて 理沙ちゃんを自分のものにしてしまいたくなった。
おはようございます。
読んで下さってるかた 本当にありがとうございます。
とても拙い文章ですが
『未成熟な妻』を通して
読んでくださってるかたが『理沙』であり『尚子』であり 『僕』だと重なりあう部分を共感頂けると
嬉しいなと思いながら
書いています。
はじめて書いていまして 読みづらい部分も多々あると思いますが
最後まで読んで下されば嬉しいです。
>> 80
将来の選択や生き方など、かなり、僕の内面まで踏み込んでくる尚子だったが、ガールフレンドのことは、知れているはずなのに、何も聞いてきてくれなかった。…もし、理沙ちゃんとのデートを見られてたりしたら
『ピザ』さえ食べたことのなかった僕が
『アーリオ・オーリオペペロンチーノやグラッパを イタリアンレストランで 注文している様子は
かなり、無理しているように感じただろう。
実際には尚子に見られたわけでは、ないけど
見透かされているような、僕のすべてを見られているような
怖さと安心感が交ざりあった複雑な不安定な気持ちだった。
何故尚子は僕に
『ガールフレンドができたの?聞いたわよ』
などと聞かないんだろう…
まさか、もしや… あのレストランに尚子が居たのか…
そんな現実味のない妄想のような考えが浮かぶことすらあった。
>> 81
五月晴れの日の午後
僕は、久しぶりに カレーパンを買って、大学の中庭に尚子を誘ってみた。
芝が敷き詰められて、小高くなった場所。ベンチがあり 桜の木が植えてある。
カレーパンの袋を見て尚子は少し嬉しそうにしてる
『ねぇねぇ覚えてる?大学に入学した春。遥陽君カレーパンをたくさん買って、みんなに配ってたでしょう…。
遥陽君が 素敵に見えたわ』
『もちろん覚えてるさ。でも…なんだよ、それ、食べ物に釣られて僕と仲良くなりたくなったんだ。』
『カレーパンを早く、ください』
そう言って笑って
尚子は、ベンチに座った。
紙袋の中から、カレーパンを渡そうとした僕は
唐突に 尚子に
とんでもないことを口にした。
『尚子、僕は今付き合ってる女の子がいるんだ。好きかどうかわからない。でも付き合ってる。』
尚子から笑顔が消えた。
ゆっくり僕に膝を向けて座り直して尚子はしばらく考えこんでいた。
『ごめんなさい。気分を害した?僕は…。』
自分で言っておきながら、動揺してる僕に尚子は畳み掛けるように返してきた
『遥陽君が私に告げるということは、本気だと言うことよ。好きなのよ。彼女には、好きだって言ってないのね…。』
『うん。言ってない。』
『遥陽君。カレーパンで恋の相談?。私がカレーパン好きだって、知ってて。』
違う…もしかしたら、尚子が僕を気に入ってくれているんじゃないかと、
僕が本当に好きなのはきっと尚子なんだ。
言ってみようとしても、言えない。
何で、理沙ちゃんのことを尚子に相談してるんだろう
『でもね それが、当たり前でなく
ずっと積み上げてきた努力の結果だって
私は、もう、知ってるの。
母も父も祖母も祖父も
病院を守る為に
それはお行儀よく、努力して、色んなものを犠牲にもしてきたと思う。』
>> 92
『私は、貴男に憧れてるの
自由で、強くて、利口で
身長も高くて、
近くにいるとドキドキするの
ワクワクするのかな
私を今の生活から
違う世界に連れて行ってくれるのは、
遥陽、きっと貴男だけよ。』
『そう カレーパンが食べたいの 下さい。
私は、ずっと遥陽を忘れないよ
同じ気持ちでずっといるから。
だから、はやく!カレーパンを頂戴。』
僕は、なんて言っていいかわからず、尚子におねだりされて、
それに抗うことは、できないと悟って
紙でカレーパンを包んで、彼女に手渡した。
尚子は、両手で
カレーパンを持って
少し早いスピードで
食べながら、
大粒の涙を
流した。
何度も涙が流れてくのに
尚子はカレーパンを食べ続けて
僕はそれを
ただ見つめていただけだった。
- << 95 尚子も僕を好きでいてくれた。それは、僕にとって、身体中の細胞が、満たされていくかのような感覚だった。 僕はそれだけで、とても満足した。 何がなんだか、よくわからなくて 女の子特有の感情の揺れできっと僕と前の彼を重ね合わせた ちょっとした好きの感情なんだろうとは思っていた。 それでも僕は嬉しかった。
>> 72
自分で言うと おかしいけれど理沙ちゃんが僕に夢中だった
僕が少し彼女を抱き寄せただけで
とても嬉しそうで
僕が自然に積極的になれ…
理沙ちゃんは、いつも
変わらずに
デートの時は、元気で明るくて、それに屈託がない
かわいい笑顔で僕の
つまらない話にも
『そうなの~ 凄い~面白いわ』
とか
『理沙はそれは知らなかったわ。』
とか、言って聞いてくれていた。
一線は超えないまでも、
キスをしたり、僕の部屋で抱き合ったりした。
車がない僕は、遠くにデートする時間もあまりなく
いつも、彼女と安いお店でおしゃべりを楽しんで
僕の部屋で、お茶を飲んで、キスをして…
そして、尚子に僕が理沙ちゃんとのことを相談してからは、
僕は、理沙ちゃんときちんと付き合うと言う気持ちが、固まった。
尚子を諦める為にも
自らのめり込みたくて
理沙ちゃんを自分のものにしてしまいたくなった。
>> 96
その日は、朝早くからのデートをしたいからと言って、7時半にマックで待ち合わせの約束をしていた。
約束の朝7時半
僕は、マックで待っていた。
コーヒーとホットドッグを頼み、ゆっくり寛いでいた。
理沙ちゃんは、15分ほど遅れて、薄い桜色のカーディガンにショートパンツ、それに肩にブランドショップの鞄をさげて
走ってきた。
硝子ごしに見える理沙ちゃんは、祐介が言ってたみたいに、タレント並みにかわいかった。
理沙ちゃんとドアごしに目があった。
遅れちゃたというような 表情で、眉尻が下がっていて とってもかわいかった。
今日は、連れて行きたいところがあるからね
と言ってあったから
きっと遠出をすると
思っているんだろう。
>> 98
『どこに、連れて行ってくれるの?遠くまで?
車、レンタカー屋さんで借りたんですか?』
マックを出て足早に歩く僕に小走りでついてきて
理沙ちゃんも必死の表情だった。
僕はいつもより、表情もかたかっただろうし
理沙ちゃんは少し不安そうだ。
『遅刻したから怒ってる?ごめんなさい。間に合うんですか?。』
『今日は遠くには行かないよ
予約してあるホテルに行くんだよ。』
理沙ちゃんの顔を見ないで、歩きながら言ったのは
恥ずかしいかったからなんだけど
理沙ちゃんは僕が怒ってるみたいに見えたらしい。
『えっ。』
『約束したよね。好きになったら、しよって。』
理沙ちゃんは少しの間
僕についてきて
急に立ち止まって
『遥陽さん。ゆっくり歩いて 。』
そう言って凄く嬉しそうな表情で僕の左腕にしがみついた。
- << 102 成城学園前から一駅、祖師ヶ谷大倉の駅で降りて、 レンタカー店まで 理沙ちゃんと歩いた。 レンタカー店で、手続きをして 予約してた水色のフィアットに乗り込んだ。 ジョージアローデザインのイタリア車 黒と水色のコントラストがとても綺麗な とても小さな車だ。 『外国製の冷蔵庫みたい。可愛い。』 『だろ。ずっとこれ狙ってたんだよ キャンパストップで、上も開く。』 少しエンジンはかかりにくかったけど この車にしてよかった。と僕は満足した。 『海沿いの可愛いホテル。に予約したから、行こうね。』 『うんわかった。 車、可愛い嬉しい。ありがとうございます。』 『お礼を言いたいのは僕の方。』 ハンドルを操作して、ドライブ。気分は高揚した。 僕には迷いはもうなかった。
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