注目の話題
彼氏が他人の子供を面倒みています
昭和生まれ、集まれー!死語、何が浮かぶ?
赤ちゃんの名前について

続・彷徨う罪

No.139 13/08/12 22:49
ゆい ( vYuRnb )
あ+あ-


姉ちゃんが行方不明になり、両親が必死にその消息を捜す中でも俺はあいかわらず部屋から出る事はなかった。

もちろん、真っ当に相手にしてもらえない警察に両親と行って抗議したい気持ちも大きくあった。

しかし、創り上げた世界の外には無数の得体のしれないモンスター達がウヨウヨといる様な気がして恐ろしかった。

部屋のドアノブに手をかけるだけで、鼓動が爆発しそうなくらいにドキドキと波打つ。

いつの間に、こんなにも臆病になったのか…。

ドアノブから離した拳を握りしめて、パソコンに振り返る。

グッと力をいれてキーボードを打ち込む。

違法だと分かっていた。

それでも、俺が出来る唯一の事はそれしかなかった。

警察の機密機関への侵入。

捜査一課だけじゃない。
上層部や、公安内部へも侵入して一連の捜査資料を入手した。

そこで、俺は別のハッカー(侵入者)を見つけた。

そいつは、俺の仕掛けたトラップに気付いて動きを止める。

「誰だ…」

この微妙な回線経路のトラップを見破った?

見えないコンピューター回路の中で、向き合う様に俺たちは睨み合っていた。

一歩でも近寄れば、警察のServerからお前のハッキングが察知される。

相手も、その事を知っているみたいにピタリと動かない。

『お前は…誰だ?』

数式化した暗号で言葉を送る。

同じ様に、向こうからも返事が返ってきた。

『ぼくは、S。君は誰?』

ぼく…?男か?
いや、そうとも限らないか。

『俺も、Sだよ。』

相手のタイピングの速さと、華麗に暗号化を解く鋭さに圧倒される。

過信していた。

俺以外にも…いや、俺以上に頭のキレるヤツがいる。

その相手が目の前にいる。
指を通して、語りかけてくる。

『ここは、君に譲るよS君。』

そのメッセージを残して、ヤツはプツリと回路を遮断して消えた。

額からは大量の汗が噴き出していた。

指先が震える。

力量の差が…度量の差が…

恐らく、事件のカギを握るそいつが俺よりも遥かに突起した人間であると一瞬にして思い知らされた。







139レス目(159レス中)
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧