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お題リレー短編小説PART2

No.57 11/10/16 22:37
秋扇公主 ( aVaWh )
あ+あ-

≫56

【スーツケース】【後悔】
「パパ、早く早く!」

七歳の優一(ゆういち)は母親の隣から、父親を振り向いて手を振った。

息子は母親に似るもんなんだな。

家族三人分の荷物を入れたスーツケースを引きながら、優(すぐる)は思う。

細い目といい、小太りな体つきといい、優一は妻の美里そっくりだ。

もし、香織との間に息子が生まれていたら、彫り深い顔立ちに、すらっとした美少年だっただろう。

そこまで想像して、優は苦笑する。

不毛な妄想はやめよう。

もう、別れて七年も経つんだ。
最初から住む世界も違っていた。
彼女の方では、俺の事なんかもう忘れたに違いない。

古ぼけたトランクを引いて去っていった香織の後ろ姿が浮かんで消えた。

それはフランス人だった母親の形見だと彼女は言っていた。

「ここが一番後ろね」

美里の声で優は我に返る。

「やっぱり、ホノルル行きは混んでるなあ」

並んでいるのは、自分たちと似た様な家族連ればかり。そこに、たまに若いカップルが混ざる。

夏休みにハワイ旅行なんて、ベタなもんだ。

自嘲しつつ、他の航空会社のカウンターに目を走らす。

どこも多かれ少なかれ並んではいる。

“Air-France”
あれは、パリ行きの列かな?

次の瞬間、優は息を飲んだ。

古ぼけたトランク。
その脇には、小さな少女が立っていた。

フランス人形じみた愛らしい顔立ち。
だが、髪は俺と同じ真っ黒な直毛で、着ているワンピースは俺の好きな水色…。

と、サングラスを掛けた長身の女が近付いた。

「遅いわ、ママ!」

女は優しく少女の髪を撫でた。

「ごめんね、優香(ゆうか)」

次は【旅】

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