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お題リレー短編小説PART2

No.31 11/09/11 08:30
陽子 ( ♀ oQ9K )
あ+あ-

≫30

【遊び】

志穂は家族と郊外の一軒家に暮らしている。
もう13年経った。

夫は都心に通勤、子供は小4と小1の男の子でサッカーをしている。

子供のサッカーの試合には夫婦で応援に行く。

ご近所と仲が良く、何家族も集まって、バーベキューをしたり、流し素麺をしたり、花火したり、お互いの子供を泊まらせ合ったり、深く付き合っている。

子供はわんぱくで大変な時もあるが、可愛い子供達だ。
夫は家事も手伝ってくれ、ご近所の奥さん達とたまに食事に行く時は、楽しんでおいでと送り出してくれる。

志穂の母も
「優しい旦那様で幸せね」
と電話する度に言う。

優しい夫、可愛い子供達、仲の良いご近所さん達、志穂は幸せだった。

しかし数ヶ月前から、ぼんやりしている夫を見ることがあった。
以前のように、サッカーの応援にも行ってるし、休みの日は、一緒に買い物にも行ってるが、何か以前とは違う夫にモヤモヤした気分になっていた。

夫は相変わらず、家事も手伝ってくれて、会話もしている。

しかし、時々、夫が遠くに居るように感じた。

モヤモヤしていたが、志穂は何も言わなかった。


休みの昼に、棚の高い所にある蒸し器を取って貰おうと、居間の夫を呼んだ。

夫はソファーに座り、庭を見ていた。

呼んでいるのに気付かない。

「ねぇってば、蒸し器取って!」
再度声を掛けると

慌てたように
「あっ、呼んだ?」
と志穂を見た。

志穂は黙って、夫の向かいに座った。

志穂の硬い表情を見て、夫は目を落とした。

しばらく沈黙が続いた。

「終わったんだ。もう終わったんだ。
何も無かった。君が心配するようなことは何も無かったんだ…」

「遊びだったの?」

美穂は夫に訊いた。

沈黙の後
「彼女とは何も、何も無かったんだ。」

美穂は夫の頬を思いっ切り引っ張ったいた。

そしてワァーッと泣いた。

遊びだったと言って欲しかった。

数ヶ月後、美穂達は離婚し、美穂は子供達と実家に帰った。


次は【別れ】でお願いします。

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