アイなんて嫌いだった

25歳OL。独り暮らし。


一年と半年くらい前、遠距離だった彼氏の家に行ったら浮気してた。
可愛い女の子だった。


最後に言われたのは
「誰がお前なんて」
だったけれど続きが聞きたくな
かったので逃げ出した。

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それから当分恋愛なんざしようと思っていない。

メイクだって最低限。
洋服は目立たない茶色。

、、、。髪も切ろうかな。

元カレに誉められた髪なんて気持ち悪くてつけてらんない。


ぶるるるる、、、。
あ、電話。

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>> 2 お母さんから。

「まだ、結婚しないの？早くしないと婚期逃すわよ。早く、女は家庭に入るのが幸せなのよ。」
「うん,,,うん,,,。」

母からの結婚の催促には適当に返事をしている。
私はこれでも十分、、、。

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あれ、十分,,,なんだろ。

心の中にぽっかり穴があいてる。十分、のあとの言葉が思い付かない。

「とりあえず、仕事中にかけてこないで。」

私はあわただしく電話を切った。
なんの変哲のない日々、なんで生きてるんだろ。

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>> 4 「佐藤さん、これ、頼めますか？？予定があって。。。」

今日のメイクの気の入り方からして、合コンかな。

てかこれ松田さんが今日までにって頼まれてた仕事じゃん。
残業11時までしたって何か楽しいことがあるわけでもない。

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ああほんとになんのためにやってるんだろ。

「分かりました。」
「有り難うございます！佐藤さん。たよりになりますね！」

今日も目のクマが濃くなる。

「あっ、そういえば部長が変わるんですって。しかもイケメンらしいです。楽しみですね。」

これは仕事のお礼のつもりですか。

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>> 6 イケメンなんて要らない。
仕事に支障が出る。

いつの間にかつまらない人間になったみたい。
つまらない人生だったからかな。

小さいころから母一人だけに育てられた。可愛い洋服なんてない。セールで売られている安い何か分からないアニメの服だけ。
高校は帰宅部。部費なんか払えない。ただ授業を聞くだけ、、、。

あ、でも誰か陽キャに絡まれてたっけ。

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>> 7 「佐藤さん、来て。新しい部長さんの挨拶だよ。」

、、、。まだ途中だったのに。
なんで今にやる必要があるんだよ。

そう思いながらみんなの列に並ぶ。

「この度、本社に配属され、新しい部長になります、御那代 光(みなしろひかる)と申します。まだ～～ですが・・・」

はあ、長いわ。校長先生の話みたい。

「では、皆さん頑張っていきましょう。これで終わります。」

待って。ミナシロヒカルって言った！？

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>> 8 みんなが自分の席に戻るなか、私だけ立ち尽くしていた。

「おーい、佐藤さん。戻らないの？」
「あっ。そうですね。。。ありがとうございます。」
「大丈夫？」

心配されてしまった。

御那代光ってね、まさかね。うん。人違いだよね。
心の中でそう唱える。

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「大丈夫です」
「ならいいや。なんか可愛くて元気だったのに彼氏さんと別れてから元気なさそうだったし、皆心配してるよ。」

そうだよね。

前はイケメンを見付けては小学生のように浮かれて、可愛くオシャレもして。

「、、、。彼氏なんかいなくても私には皆さんが居るので、大丈夫ですよ、元気です。」
「、、、。」

私はそう言い残して自分の机に戻った。

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せっせと仕事をしていると、もう17時30分だった。

「今日飲みませんか～？？」
「ハイッ俺も飲むッ！」
「私も、、、。松田さんは？」
「私は合コン、なので。」
「いーな～！」

やっぱり合コンじゃん。
私に仕事押し付けてきて。
理不尽すぎでしょ。断れない私も悪いけど。
まだ仕事してるんだよ他の人達静かにしてよ。
若い女の子の周りに群がっちゃって。杉谷お前今日頼まれてた仕事どうした。
なんて。


私、つまんないなあ。。。

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>> 11 そんなことを考えながらしているともう11時をまわっていた。

「終わったぁ、、、。」

「こんな時間まで残業か。感心だね。合コン女の仕事もして。」

ふと上を見上げると新しい部長,,,御那代部長がいた。
コワッッッッッッッッッッ！気配とは！？！？！？！？！？

「大体さ、絵里菜はさ、自分のこと大事にしなよ。高校では高嶺の花なんて言われてたのに、今じゃぼさっとしちゃって。」

なにそれ初耳。

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>> 12 「んなわけないでしょ。皆話しかけてこなかったくらいだから、誰も私のこと覚えてなかったのよきっと。」

「逆だよ。高嶺の花すぎて話しかけてこなかったんだよ。
俺が勇気あるだけー♡可愛かったもん絵里菜」

なんか話し方むっちゃイライラする。
高嶺の花ってなんだよ！

私だって！！私だッて、青春したかったんだァァァァァアアッ！！！

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>> 13 「セクシャルハラスメントですか。やめてください。」
「セクハラを本名で(？)いう人初めて見た、、、。
ね、呑も？？♡奢ったげるし。」

なぜそうなる、、、。
まあ夕食代が浮くなら乗った方が合理的かあ。

「行きます。」
「即答やったー✨！」

子供なのこの人。

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>> 14 そしてなぜこうなる。

気付くと私達はラブホ？のベッドに二人裸で寝ていた。

やってしまった、、、。

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>> 15 私はとりあえず脱ぎ捨てられていた服を着た。
そして、バッグの中身を確認し部屋から出ようとした。

「なんにも思わないの。」

さっきまで寝てたはずの御那代部長が起きている。

「ええ。御那代部長がクズなのは前から知っていましたし。」
「やだなあ。昔みたいにヒカルって呼んでよ。」

なんなんこいつ。

「はあ、、、。二人のときだけですからね。」
「うん。敬語もやめて。」

首だけ縦にふる。

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>> 16 このクズバカアホイケメンこと、御那代光と出会ったのは8年前。高校2年生のとき。

偶然に、放課後の教室で彼女のいるヒカルが女教師とキスしているのを見てしまったのだ。
ヒカルも私が見てるのに気づいたらしく、以降突っかかってくるようになった。

昔から顔だけが取り柄。ちゃらいだけ。
そうして彼女にフラれては私に言い寄ってきた。

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>> 17 「絵里菜ぁ～、付き合お？」
「嫌。ヒカルもいい加減私で遊ばないで生きてけるようにして。」
「明日も付きまとうからね。





,,,。遊びじゃないんだけどなぁ」

明日からも付きまとう！？付きまとってる自覚あんならやめろー！
ほんとに、言い寄ってくんのは嫌だ。
私なんか本気じゃないくせに,,,。

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＊　＊　＊ あ

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>> 19 25歳。御那代光。

別に女たちが群がってくるから、女には不自由していない。
でも2年間、同じクラスで全く俺に靡かないやつがいた。

高嶺の花って言われてる、佐藤絵里菜だった。
気に食わなかった。それだけ。

この前センセーとキスしてたのを見られてから、利用して好きにならせようとした。

でも成ったのは俺だった。

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>> 20 ずっと絵里菜にちょっかいかけ続けた。そして、ある日言われた。

「何。用事がないならついて来なくていい。貴方の時間が勿体無い。」

昼休みも授業中もちょっかいかけてたのに、これだ。
俺の時間の心配かよ。

面白いヤツ。

初めて女に、衝動的に興味を持った。

「この前、俺とセンセーがチューしてるとこ見たっしょ？あれ、秘密にしてくんない？」
「私にメリットありますか？」
「俺と付き合える。」
「結構です。」

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