みんなでつくろうストーリー8の2

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遊び人
14/08/02 21:27(更新日時)

みんなでつくろうストーリー8の

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No.2107216 14/06/19 07:35(スレ作成日時)

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No.401 14/07/24 23:10
フリーター3 

>> 400 当時のこの店のママも

「麻美ちゃんがいるだけで店の格が上がる感じよね~」

とべた褒めだった。


麻美は客からの執拗な誘いも頑なに断り続け、客との1対1の店外デートにも絶対に応じなかったのである。


だからよけいに客がカーッとなって通いつめていたのだった…


No.402 14/07/25 00:28
遊び人0 

>> 401 しかしそんな麻美を妬む者もいた。


麻美が来るまで指名No.1だった須磨子にしてみれば


男達が目の色を変えて麻美目掛けてやってくるのは


面白くなかった。


須磨子は注意深く麻美の弱点を探し始めた。


そんなある日麻美は財布を落としてしまった。


拾ったのは須磨子だった。


須磨子はその財布が誰のものか分からず中をあけた。


その財布の中の保険証を見て須磨子は麻美が年齢をごまかしていることを知ったのであった…



No.403 14/07/25 05:19
フリーター3 

>> 402 今でもそうだが18歳未満では水商売で働くことはできない。

通報すれば麻美だけでなく雇った側にも類が及ぶことを須磨子は考えていなかった。


しかし、須磨子が麻美の財布を拾ったところをたまたまボーイをしていた真藤が目撃していたのである…


No.404 14/07/25 05:24
フリーター3 

>> 403 麻美の財布はあるブランドの限定モデルで、持ってる人が少なかったし、麻美を意識していたせいか麻美がその財布を手にしていたところを何度か見ていて真藤は覚えていたのであった。


真藤は後ろから須磨子に

「須磨子さん、それ麻美さんの財布ですよね?僕が預かって麻美さんに渡しておきますよ」

と言った。


須磨子は、拾ったところをボーイの真藤に見られてしまったと思い、しぶしぶ真藤に財布を渡した…

No.405 14/07/25 07:10
遊び人0 

>> 404 真藤は麻美に財布を手渡すのが嬉しかった。


日頃から麻美にばかりちやほやすると


やはり須磨子の機嫌が悪くなるから


いくら麻美が近くにいても真藤は話しかけるのを躊躇っていた。


真藤は麻美が1人になる機会を狙った…


No.406 14/07/25 12:28
遊び人0 

>> 405 時刻が10時を過ぎた頃


麻美がついた席の客が帰った。


真藤は麻美が奥に入るのを確認すると


すかさず後に続いた。

真藤『麻美さん。これ麻美さんの財布じゃないですか?』


真藤は麻美と話せる嬉しさで顔がにやけそうになるのを必死で押さえた。


麻美は少し驚いた表情をした。


麻美『あ…もしかして…中見られましたか?』…



No.407 14/07/25 21:58
遊び人0 

>> 406 真藤『それがその…俺が拾った訳じゃなくて…


須磨子さんが拾われたんですよ。』


麻美『え?じゃあ、須磨子さんが中を見たのですね?』


真藤『あ…まあ、そういう事です。』


麻美は軽く溜め息をつきソファに腰掛けた。


麻美『弱み…握られちゃった…。私を潰す材料としては充分よね。』


真藤『麻美さん…』

しばらく沈黙の時が流れた。落ち込む麻美を見た真藤は麻美を元気づける言葉を探した。


真藤『俺が麻美さんを守ります!』…




No.408 14/07/26 00:06
遊び人0 

>> 407 麻美『守る…?そんな言葉…容易く使わないでよ…。


あなたに私の何が分かるのよ。』

麻美は涙を浮かべていた。


真藤『俺の所属している事務所で若い女性のモデルを探しているんだ。


こんな仕事…もう辞めろよ…。』


麻美『…モデル?…』…



No.409 14/07/26 00:52
フリーター3 

>> 408 真藤は言った。


「麻美さんは綺麗だし、こんな水商売よりはモデルのほうがあってると思うんだ…。須磨子さんに何かされる前に店を辞めるほうがいいかもしれないし」


麻美は真藤に、本当は自分は17歳で、高校を中退して父親の残した借金のために働いていること


父親は借金のせいでアルコール依存症になり体を壊して入院しており、借金だけでなく入院費用や生活費も稼がなくてはならないことを打ち明けたのだった。


麻美「お客さんの誘いを断ってたのもそのせいだったの…。お客さんにつきあって年齢がバレても困るし…」


真藤は、麻美の秘密を知ったことで、なんだか少し麻美に近づけたようで嬉しかった…


No.410 14/07/26 01:02
フリーター3 

>> 409 真藤は聞いてみた。

「お母さんは?」


麻美は

「お母さんはあたしが高校に入学する前に家を出ていったの…。今はどこでどうしてるのか知らないわ…」


と答えた。


麻美の父親はオモチャ工場を経営していて、麻美が子供の頃は経営も順調で両親の仲もよかったという。

だが、麻美が中学に上がった頃から工場の経営が思わしくなくなり、父親は多額の借金を抱えてオモチャ工場を倒産させてしまった。


その頃から両親の仲も悪くなり、麻美が高校に入学してまもなく、母親はオモチャ工場の若い工員と一緒に、父親と麻美を見捨てて家を出て行ったのだった。
母親が出奔してから、父親はアルコール依存症になり身体を壊してしまったことはすでに述べたが…。


麻美「できたら、うんと不幸になってたらいいって思ってる…」


そう言って麻美は唇を噛みしめた…


No.411 14/07/26 01:24
フリーター3 

>> 410 真藤も、両親とも早くに他界して天涯孤独な身の上だったため、麻美の悲しみや気持ちがわかるような気がした。


借金は、工場が倒産したときに工場の土地やそれまで住んでいた家、車などを売って返済にあてたがそれでもまだ1000万ほど足りなかったという。
その借金返済のために麻美は水商売で働いていたのだった。

真藤は

「とにかく、モデルの件一度考えてみてくれないかな…」


と麻美に告げた…


No.412 14/07/26 08:39
遊び人0 

>> 411 麻美は真藤の言うモデルの話しにはまだ半信半疑であったが

オーディションを受けてみることにした。


モデルに興味など無かったが今の水商売は長く続ける気持ちは無かった。


そしてオーディション当日。真藤に教えて貰った会場に向かった…



No.413 14/07/26 09:15
フリーター3 

>> 412 オーディションは、小さな真珠会社のイメージモデル募集のオーディションだった。

真珠のアクセサリーをもっと若い女性たちにも気軽に身につけてもらいたい狙いから、デザインも若い女性向きにし、価格も真珠だから若干高いがなんとか若い女性にも手が出そうな価格に抑えていた。

そしてイメージモデルは、ターゲットにする若い女性たちと年齢が近い若いフレッシュな女性を採用したかったのであった。
そしてそのモデルの募集が真藤の事務所にも依頼されてきたのである。



真藤は、真珠会社のイメージモデルは麻美にぴったりだと考えていたので、麻美にすすめたのだった…

No.414 14/07/26 12:38
遊び人0 

>> 413 オーディション会場には300人近い女性が集まっていた。


他の女性達を見回すと真珠が似合いそうな高級なドレスをまとった駆け出しの女優もいた。


白地に水玉のワンピースを着た麻美は場違いだと感じて恥ずかしくて早くこの場から逃げ出したかった。


もう帰ろう…私のいる場所じゃない…


そう思って立ち上がった時係員の声がした。


『え~、次は水樹麻美さん。どうぞ!』…



No.415 14/07/26 19:11
遊び人0 

>> 414 係員に呼ばれ


麻美『あ…あの、私…』


係員『あ、じゃあこっちに入って下さい。』


麻美は〃私、帰ります〃と言おうとしたが言えなかった。


仕方ない。どうせ落ちるんだからオーディションを受けて帰ろう。


麻美は言われるがまま部屋に入ると


中年の男性が2人、女性が1人座っていた。


真ん中の男性が着席を促し、麻美が座るのを確認すると質問を始めた。


『あなたがこのオーディションを受けようと思った動機は何ですか?』


麻美『はい。知人に薦められたからです。』


麻美は緊張していて、涙目で震える声で応えた…



No.416 14/07/26 19:49
フリーター3 

>> 415 それから、いくつかの質問をされたが、緊張で麻美はほとんど覚えていなかった。


オーディションが終了し、その夜は店に入る日だったので麻美は店に出た。


麻美が店に出勤すると、ママが麻美を呼んだ。


「麻美ちゃん、ちょっと…」


No.417 14/07/26 19:55
フリーター3 

>> 416 ママに呼ばれて麻美はキャバレーの事務所に入った。


ママは麻美に

「麻美ちゃん、須磨子から聞いたんだけど、あなた未成年(水商売や風俗の世界では18歳以上が成人扱いされる)だったんだってね。ちゃんと調べずに雇ったあたしにも責任あるけどさ…。須磨子が警察に言うって言ってんのよ。警察に通報されたらこっちもお咎め受けんのよ…。だからさ、申し訳ないんだけど、きょう限りってことで…」

と言いにくそうに言ったのだった。


つまり、クビってこと…!?



麻美は目の前が真っ暗になった…


No.418 14/07/26 19:59
フリーター3 

>> 417 水商売を長く続けるつもりはないとはいえ、現在は水商売は麻美にとって貴重な収入源である。


それがなくなってしまうとなれば、目の前が真っ暗になるのは当然である。


しかし、事務所のドアが少しあいていて、たまたま通りかかった真藤が一部始終を聞いていたのだった。


真藤は事務所に入ると

「ママ、麻美さんをクビにするのは待って下さい…」


と言ったのだった…


No.419 14/07/26 20:07
フリーター3 

>> 418 ママは真藤がいきなりそんなことを言うのに驚いたが、真藤は

「要は麻美さんが店に出なければいいんですよね?」

と切り出した。


そして真藤が出した提案は、麻美をホステスとしてではなく、キャバレーの厨房で客やホステスが使ったグラスや皿を洗う仕事をさせたらどうか ということだった。


厨房が人手不足で皿洗いがたまりがちだったため、皿洗いはボーイが交代で行っていた。だが、忙しいときはなかなか厨房まで手が回らないこともあったからだった。


皿洗いだから収入は減るだろうが、とりあえずクビは避けられると思って真藤は提案したのだった…

No.420 14/07/26 20:12
フリーター3 

>> 419 ママは真藤の説得に
「そうねえ…、まあ、店に出ないで皿洗いなら別に法律に引っかからないし、来年18になったらまた店に出てもらえばいいわけだからねえ…」


と言ったので、なんにしても麻美のクビはつながったのだった。


麻美は、収入は減ったとしてもいきなり無収入にならずにすんだことでホッとした。
そして真藤に感謝したのだった…


No.421 14/07/26 20:20
フリーター3 

>> 420 翌日から麻美は、素顔にTシャツとジーンズ姿で店の裏口から出勤するようになった。


そして炊事用ゴム手袋をはめて厨房で一心に皿やグラスを洗った。


真藤がママに、麻美がお金が必要な事情をこっそり話し、ママも麻美自身は気に入っていたため、ホステスをしていたときよりは収入は減ったとはいえ、皿洗いにしてはいい給料を麻美に渡した。


須磨子は

「ナンバーワンホステスが皿洗いなんてね~、年ごまかして働くからこんなことになるのよ」

と麻美にイヤミを言ったが、麻美は気にしていなかったし、須磨子も麻美が店から消えたことで再びナンバーワンになったので一応満足していて、それ以上嫌がらせもしてこなかったのだ…


No.422 14/07/26 20:32
フリーター3 

>> 421 真藤がママに食い下がって麻美のクビを止めたのは、麻美の事情を知ったせいもあるが、クビになればひそかに好意を寄せている麻美と会えなくなってしまうのが嫌だったからもあった。



自分のためにクビをつないでくれたり、真珠会社のオーディションをすすめてくれたり、そんな真藤に、麻美が惹かれていくのも無理のない話だった。


真藤と麻美が愛し合うようになるのに、さほど時間はかからなかった…


No.423 14/07/26 20:43
フリーター3 

>> 422 きっかけは、クリスマスの夜。

麻美が真藤を食事に誘ったことだった。


「気のきいた店なんて知らないから、あたしの作った料理…食べてくれる?」

と麻美が真藤に言った。


真藤は麻美の住む古いモルタルのアパートへ招待された。

オモチャ工場が倒産し、母親が家を出てから、麻美は父親とこのアパートで暮らしていたと言った。でも現在は父親が入院しているので、麻美はひとりで住んでいるのである。


真藤も安普請のアパートでひとり暮らしだが、麻美のような若い美人な女の子がこんなアパートでひとり暮らししてるなんて…と真藤は胸がつまった。


麻美は真藤の考えていることがわかったのか

「大丈夫。すぐ下が大家さんの家なの。大家さんは夫婦ふたり暮らしで、ここに移ってからなにかとあたしとお父さんのこと気にかけてくれてね。お父さんの入院のときの保証人にもなってくれたの。今でもひとりのあたしをなにかと心配してくれてるの。あたしって結構幸せ者よね…」


と、涙声で言った…


No.424 14/07/26 21:05
フリーター3 

>> 423 「真藤さんも、あたしのこと心配してくれてるし…、あたし…、本当に幸せ…」


今では麻美の目からは涙がこぼれていた。

真藤は

「麻美さん…、俺…」

と言うと同時に麻美は真藤の胸に飛び込んだ。


「好き…、好きなの…、真藤さんのことが…」


真藤は麻美をやわらかく抱きしめた。


「麻美さん…、俺も…」


麻美の手料理が冷めてしまうのも気にせず、ふたりは唇を重ね、そして結ばれたのである。


麻美「あたし…、本当ははじめてじゃないの…」


麻美は水商売に入る前、わずかな期間だが、お金をもらって見知らぬ男たちに身体を許していたことがあったのだった。
もちろん借金返済と生活のためだったのだが…。


真藤は

「過去は過去だよ。これからはもうそんなことしなきゃいいんだし、する必要なんてないよ。俺が守るから…」

と、裸の麻美をやさしく抱いた。


金のために男に抱かれていたときは気持ちいいとか全く思わなかった麻美だったが、真藤に抱かれてはじめて嬉しいと感じた。


そのクリスマスの夜から、ふたりは恋人となり、ときどきお互いの部屋で一緒に過ごすようになった。


真藤とコンビを組んでいた斎藤は、そんなことなど全く気づかずにいたのだった…


No.425 14/07/26 21:20
フリーター3 

>> 424 麻美と真藤が恋人同士になり、年があけて少し経った頃、例の真珠会社のオーディションの二次審査の通知が麻美の手元に届いた。


麻美は一次審査を通過したのである。


二次審査でさらに人数が絞られ、最終審査で何人か残った中からひとりが選ばれ、イメージモデルが誕生するのである。


麻美は驚いたが嬉しかった…


No.426 14/07/26 22:38
遊び人0 

>> 425 二次審査当日…。


麻美はシルク素材でできた、ベージュ色のワンピースを身にまとい、髪には緩くパーマをかけ大人っぽい雰囲気を醸し出していた。


そのワンピースは麻美にとっては清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入するほど高額であったが


おそらくオーディションもこれが人生最後であろうと考えての事でもあった。


会場に入ると皆気合いが入っていた。この前見た女優もやはりいた。


麻美は彼女達の美しいファッションに見とれた。


ここまで来れただけでも奇跡だわ…。いい思い出が出来た。

麻美の頭の中はもうオーディションに受かる事なんて考えていなかった。


絶対あの女優が合格すると思い込んでいた。


だから今日の麻美はリラックスしていた。


『はい、次、水樹麻美さん!』


係員が麻美を呼んだ。


前回と違い麻美は少し和らいだ表情で部屋に入った…



No.427 14/07/27 03:05
遊び人0 

>> 426 部屋に入ると窓の外に人影が見えた。

〃麻美さん!頑張れ~!〃

と書かれた横断幕を斎藤と真藤が両端を持って立っていた。

2人は漫才の舞台が同じ会場内で有るため


なんとか麻美を元気づけたかったのだ。

麻美は始め2人を見て驚きそして吹き出した。

麻美の様子を見て審査員達も窓の外を振り返って見て少し笑った。


『頼もしい応援団だね。』


麻美『はい。』


2人のお陰でかなり場の空気が和らぎ


麻美の表情に自然な笑顔が醸し出された。

審査員達の目は光った…


No.428 14/07/27 03:16
フリーター3 

>> 427 ふたりの応援のおかげか、麻美は二次審査を通過し、見事に最終審査に残ったのだった。


300人近い応募人数の中から、最終審査にまで残ったのはわずか5人だった。


その5人の中に麻美が残ったのだ。


麻美は信じられなかったがやはり嬉しく、真藤がオーディションをすすめてくれたおかげだと感謝し、ますます真藤への愛を深めたのだった…


No.429 14/07/27 03:33
フリーター3 

>> 428 一方真藤も、春になれば大学を卒業することになるので、漫才の道で生きていくかどうかひそかに悩んでいた。


大学に入った年から学費稼ぎのためにキャバレーでボーイのアルバイトをはじめた真藤は、同じくボーイのアルバイトの斎藤と知り合って漫才コンビを組み、キャバレーやストリップ劇場の前座をしていたところを今の事務所の社長に拾われたおかげで、多少仕事は増えたとはいうものの、相変わらず町のスーパーのイベントの仕事とかストリップ劇場の前座とかの仕事が多く、メジャーへの道は遠いと感じていた。


もともと真藤は斎藤ほどお笑い志望ではなかったが、お笑いは嫌いではなかったし、斎藤がコンビを組むときに熱心に頼み込まれ、半分は斎藤の熱意に押された形だったせいもあった。

そして麻美とつきあうようになり、麻美への愛が深まる中で真藤は麻美との結婚を考えるようになっていた。


麻美と結婚するならやはりちゃんと就職するべきではないか…。



真藤は悩んでいたのだった…


No.430 14/07/27 07:50
遊び人0 

>> 429 真藤は最終審査に勝ち残った麻美に


祝いとして当日着ていく服とハイヒール、そして指輪をプレゼントした…



No.431 14/07/27 10:47
遊び人0 

>> 430 最終審査当日…。


オーディションに対する世の中の注目度はかなり高く


審査会場には各放送局から取材陣が集まっていた。


真藤からプレゼントされた服は真っ白いドレスで、大胆に開いた胸元、ウエストに黒いリボン、裾はマーメイドカットで、ボディーラインがはっきり見えるデザインであった。

麻美はドレスを着るのに些か抵抗を感じたが

真藤の好意を無にするわけにもいかず意を決してドレスをまとった…




No.432 14/07/27 12:31
遊び人0 

>> 431 最終審査にはやはりあの女優も残っていた。


女優はゴールドのドレスを着ていた。背中は腰まで切れ込んでいて、太ももの付け根から大胆なスリットが入っていて


長く美しい足が見えていた。


この人にはかなわない…


麻美は女優の美しさに圧倒された。


麻美がうつむいていると隣にいた女優が麻美の耳元で囁いた。

『背筋伸ばしなさい。』


微かに聞き取れるほどの小さな声だった。

麻美は小さく〃はい〃と返事をし、姿勢を正した。


そして5人はステージ上で発表の瞬間を迎えた…



No.433 14/07/27 15:43
遊び人0 

>> 432 場内の証明が消されステージにスポットライトが向けられた。


ライトは思いの外暑くて汗が滲み出た。

ドラムの音が何時間にも思えるほど長かった。


次の瞬間、スポットライトが女優に向けられた。


司会者『CMは夏川日奈子さんに決定しました!』


やはり思った通り女優が勝ち残った。


やれやれ、終わった。帰るとするか…


麻美が足を一歩動かした時またドラムロードがなり始めた。

暑い…


麻美にスポットが当たった。


え?


司会者『審査員特別賞は水樹麻美さんに決定しました!』


麻美は頭が真っ白になった…



No.434 14/07/27 20:11
遊び人0 

>> 433 本当はCMのイメキャラは1人にする予定だったが


審査員が麻美をどうしても採用したがった為


急遽CMに2人を使うことになった。


このオーディションの様子が報じられ


麻美に各方面からオファーが殺到した…



No.435 14/07/27 20:57
フリーター3 

>> 434 麻美のCFのヒットとともに、麻美がCFでつけていた真珠のアクセサリーも、会社に問い合わせが殺到し飛ぶように売れた。



イメージモデルに選ばれた契約金とCFのギャラで麻美は、父親の借金を完済することができたのだった。


麻美は、本格的にモデルにならないかと声をかけられ、プロダクションと契約し上京することになった。


真藤もエラソーに就職が決まり上京することになったからでもあった…


No.436 14/07/27 21:02
フリーター3 

>> 435 真藤がエラソーに就職が決まったことで斎藤との漫才コンビは解散することになった。


事務所の社長もコンビ解散には同意したが、斎藤は真藤に

「コンビは解散するが、俺はお前とは違う。俺にはお笑いがすべてなんだ。お笑いで成功する夢がある。ピン芸人になっても俺はこの世界で生きていく…」

と言ったので、事務所には斎藤だけが残ることになった。


そして春が来て真藤は大学を卒業し、麻美の待つ東京へと向かったのだった…



No.437 14/07/27 21:06
フリーター3 

>> 436 麻美はやがてモデルとしてブレイクし、同時にイメージモデルになって以来親友となった夏目日奈子のすすめもあって、女優の世界に進出した。


真藤はエラソーの新入社員に、麻美はモデルから女優になってもふたりの交際は続いた。



そして、ふたりが東京に来て2年後の、やはりクリスマスの夜…。


麻美は

「赤ちゃんができた…」


と真藤に告げた…


No.438 14/07/27 21:09
フリーター3 

>> 437 前述した妊娠詐欺ではなく、麻美はひそかに病院に行ってみてもらうと妊娠していたという。


真藤は麻美の報告を聞くと即座に言った。


「結婚しよう」


はじめて結ばれた2年前と同じクリスマスの夜だった…


No.439 14/07/27 21:17
フリーター3 

>> 438 麻美は妊娠をきっかけに真藤と結婚することになり、芸能界を引退することを決めた。
父親の借金も完済したし、麻美は芸能界で生きるよりは、愛する真藤と平凡な家庭をつくりたいとずっと思っていたのである。


麻美の事務所とは引退について多少ゴタゴタはあったが、まだ女優としてキャリアがそんなになかったことで比較的すんなり引退が決まった。



真藤とコンビを解散した斎藤は、ピン芸人として九州ローカルの番組などに出演するようになり、人気が出始めていた。


そんなある日、斎藤のひとり暮らしのアパートの集合ポストに寿マークの封書が入っていた。


封を開けると、真藤と麻美の結婚式の招待状だった…


No.440 14/07/27 22:49
遊び人0 

>> 439 斎藤『あんときゃ参ったぜ!いきなり結婚式の案内状が来て

友人代表のスピーチをしてくれとか言うもんだから


思わずやけ酒食らったよ。(笑)』


真藤『いやあ、斎藤が麻美の事好きだって知っていたからなかなか言い出せなかったんだよ。すまない。』


斎藤『ハハハ!いやいや、今となっては青春の甘酸っぱい想いでだよ。


麻美さんは元気にしているか?』


真藤『ああ、元気だよ。そうだ、今から家に来ないか?』


という訳で斎藤とデブッチョ小出は


麻美に会いたくて真藤宅に行くことになった…



No.441 14/07/27 22:53
フリーター3 

>> 440 しかしここは九州である。


どうしようか…。



真藤「とりあえず俺たちの出張は明日で終わるし、明日は東京へ帰るからお前も一緒に来ないか?」

と斎藤に言ったので斎藤は喜んで賛成した…


No.442 14/07/27 23:04
フリーター3 

>> 441 翌日の夕方…。

仕事を終えた真藤とデブッチョ小出は博多空港で斎藤と落ち合って、東京行きの飛行機に乗り込んだ。


真藤「斎藤、仕事大丈夫なのか?」

斎藤「明日はオフだから大丈夫だよ。麻美ちゃんと結婚した翌年は赤ん坊の写真つき年賀状が来て驚いたが…。確か女の子だったっけ?あのときの子はもう大きいんだろ?」

真藤「ああ、もう23だ。その下に女の子がふたり…」


斎藤「女の子ばっかりだな」


真藤「しかしお前だって、俺が結婚してから3年後、女性お笑い芸人と電撃結婚したじゃないか」


斎藤「年上の迫力におされたんだよ。しかし俺たちには子供はできなかったけど」


デブッチョ小出は真藤の昔話を聞いて、麻美が出ていたCFを思い出していた。


俺が若い頃テレビで見たっけ

夢みたいにキレイな女の子だったよな…


No.443 14/07/28 01:10
遊び人0 

>> 442 3人は真藤家の玄関に到着した。


真藤がベルをならすとしばらくしてドアが開いた。


斎藤『麻美ちゃん…?』


真藤『あ、これは長女の汐里です。』


斎藤『あ~ビックリした~!昔の麻美ちゃんにそっくりだなあ!』…


No.444 14/07/28 07:23
遊び人0 

>> 443 汐里は2人に挨拶すると、はにかんだ笑顔を見せた。


笑顔も若い頃の麻美によく似ている。もう一人女性が出て来た。


『いらっしゃいました。』


斎藤『今度は妹さんかな?』


『イヤですわ、斎藤さん!私、麻美です!』

斎藤『麻美ちゃん!若いなあ…娘さんかと思ったよ!』


麻美の美しさは健在だった…



No.445 14/07/28 08:30
遊び人0 

>> 444 麻美『斎藤さんも、ご立派になられて。何時もご活躍はテレビで拝見しております。』


斎藤と麻美は大人の挨拶を交わしたが


見つめ合う瞳は若い頃と変わっていなかった…



No.446 14/07/28 10:58
遊び人0 

>> 445 麻美はデブッチョ小出と斎藤を酒でもてなした。


デブッチョ小出は例のごとく酔いつぶれてしまったため


自宅を知っている真藤がタクシーで送る事になった。


リビングには斎藤と麻美が残った…



No.447 14/07/28 12:30
遊び人0 

>> 446 麻美は少し酔いが回った斎藤をベランダに案内した。


ベランダからは都内の夜景が一望出来た。

夜風が心地よかった。

斎藤『幸せそうで安心したよ。』


麻美『斎藤さんこそ。』

斎藤『はあ…、あの夜、プロポーズしておけば良かったなあ…。』


麻美『斎藤さん…。』

斎藤『でも俺はあの時、真藤みたいに堅実な道を選ぶことが出来なかったんだ。

君を幸せにする自信も無かった。


俺は仕事では成功したかもしれないが


君を娶れなかったのが一生の後悔だよ。』

麻美『斎藤さん…。誰だって後悔しない人生なんて有りませんわ。私だって…』

そう言って少しはにかんだ麻美の微笑みは当時と変わることなく妖艶だった…



No.448 14/07/28 13:08
フリーター3 

>> 447 麻美「でも、斎藤さんだってお笑い女優と結婚なさったでしょ?幸せなんでしょ?」


斎藤「まあね…」


実は斎藤と妻はあまりうまくいっていなかった。
子供もいないし、離婚しようかどうしようかと悩んでいる最中だったのだ…


No.449 14/07/28 13:14
フリーター3 

>> 448 斎藤「真藤のこと、今でも愛してるのか…?」


麻美「ええ」



麻美は、斎藤が何を望んでいるのかなんとなくわかっていたのだが、やはり真藤を裏切ることはできない と思った。


斎藤も、麻美が真藤を裏切れないことはわかったが、だからこそ麻美は魅力的なのだと思った。


ふたりはベランダを離れ、部屋に戻った…


No.450 14/07/28 15:03
遊び人0 

>> 449 麻美には斎藤の自分への気持ちが痛いほど伝わってきた。


だからと言って麻美は斎藤の気持ちを受け入れる事なんて出来ない。

麻美はこの空気を払拭しようとリビングのテレビをつけた。

テレビでは偶然にも斎藤が司会をつとめる人気バラエティーがやっていた…



  • << 451 外が何やら騒がしい。 麻美が玄関を開けると真藤とデブッチョ小出が帰って来た。 タクシーの中で目覚めた小出がまだ帰りたくないとゴネたらしい。 麻美は斎藤との気まずさが紛れるから 喜んで小出を受け入れた。 デブッチョ小出は麻美にお酌してもらうのが嬉しくて かなり酒がすすんだ。みずきが川上と一緒にいるとも知らずに…
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