親友悪友
これは…私の友達の話…高校時代からの付き合い。
何でも言えたし、何でも言ってくれた…。親友だったよ
そう、最近までは…どうして、こうなっちゃったの?私にも分からない。
出会いは、高校…同じクラスになった時からだったね…
トゥルルル…トゥルルル… はいっ!
私
「マキ?あたし!今終わったの」
マキ「お疲れ~(;´Д`)今どこ?」
私「交番近くのスーパーの駐車場」
マキ「じゃあさ、ヨーカドーで落ち合おうよ!」
私「分かった。じゃあ、向かうね」
ヨーカドーに着くと、一足早くマキが来ていた。
マキ「おーぃ!美香~」
私「あー!ごめーん遅くなって」
マキ「大丈夫だよ。中に入って、話聞かせて!」
私「そうだね…」
飲み物を買い、私達は休憩スペースの椅子に腰を下ろした…
ふぅーーーー…
私の口から、また大きな溜め息が出た。
マキ「どんな事聞かれてきたの?」
…………
私「うん、あのね……………」
少し間を置いて、私は警察での出来事をマキに話し始めたのだった…
智恵の交際関係のこと、私達の関係…仕事、警察で聞かれたことを全てマキに話した。
マキ「…うわぁ、聞いてるだけでも気が滅入ってくるね。ていうか、友達巻き込む智恵ちゃんにヒクわ…」
私「うん…あたしも、こんな大事になると思わなかったし…調書出来上がったら、また呼ばれるみたい…」
マキ「また!?ねぇ、その時は私も行くよ!」
私「ありがとう。+゚(゚´Д`゚)゚+。」
マキ「今日はさ、甘いもの食べてストレス発散して帰ろうよ!」
私「そうだね~。痩せてる通り越して、やつれてミイラになってまう~(泣)」
マキ…ありがとう。喧嘩もたまにするけどさ…マキとも高校からの友達だよね。いつもありがとう…照れくさくて、本人には言えないけどマキにはいつも助けられてるよ…
調書を取られてから、一週間くらいが経ったある日…私の携帯が鳴った。台所に立っていた私の体がビクッと震える……恐る恐る携帯を見ると、智恵の名前が出ていた。警察からではないと分かった安心感と同時に、コイツのせいで!という、怒りの感情も沸き上がってきた。
私「はい、もしもし」
智恵「あ……美香?あの、ごめんね…今回のこと…」
私「イロイロ聞かれてきたけど、智恵がデリヘルしてるのは知らないって言ってきた」
智恵「…うん」
私「あたし、後は知らない!自分で解決してよ!じぁあね!」
プッ……
私は一方的に電話を切ってしまった。
智恵……今何してるのかな?この事件さえなければ、まだ友達でいれたのに……
プー、プー、プー…電話口からは切れた音だけが虚しく聞こえてくる。しばらく携帯を握ったまま、その場に座り込んでいた…。
頭の中では色んな考えがめまぐるしく周り、自分自身がその答えを出せないでいた。
そして、頭の中で何度も浮かぶこの言葉……
『このまま、智恵と終わっても良いの?』
確かに母からも、この事件が片付いたら縁を切れ!と言われてはいたが、長年付き合ってきた友達……そう簡単にサヨウナラ!と気持ちは切り替えれない……
でも、一方では ここまでされた!と思う自分もいたのだ。
でも、本当に大切なら友達にこんな事しない…少なくとも自分なら絶対にしない…私はメルアドを変えた……。
そして、その夜。
智恵と智恵のお母さんの番号を、着信拒否にした…………
夜遅くに智恵からの着信があった。『ただいま、電話に出ることが出来ません』というアナウンスが流れる…智恵は、何度も何度も電話をかけてきた……。
そのたびに、胸が苦しくなって着信拒否を解除しようかと思った時もあった。いくら電話をかけても出ない私に、智恵も諦めたのか最後にショートメールが来た。
『もう、友達には戻れない?』
読んだ瞬間、胸の奥がチクリと痛んだ……ここで、甘い顔を見せてしまえば私はまた何かに利用されてしまうかもしれない……心を鬼にして、私はそのメールに返事は出さなかった……。
智恵から連絡がきて、数日後……調書が出来上がったという連絡が警察からきた。
内容に嘘がないか確かめて欲しいとの事だった。日にちを決め、電話を終えた。
『次は私も行くよ』
マキの言葉を思い出し、私はマキに電話をした。
トゥルルルル…トゥルルルル…トゥルルルル…トゥルルルル……
マキ「もしもし」
私「あっ、マキ?あたし。たった今警察から連絡来てね、調書出来上がったみたい…」
マキ「本当!?次はいつ行くの?」
私「明後日」
マキ「あたし、お昼で仕事終わりだからその後落ち合おう!」
私「ありがとう。……なんか、ごめんね…」
マキ「ううん、いいんだよー。警察行くの、コレが最後だと良いね」
私「本当だよね…それじゃ、明後日 警察終わったらメール入れるね」
マキ「うん、わかったー」
警察に行くのは、コレが最後だ。しかし、最後の時に私は境さんから とんでもない言葉を言われるのだ……。
警察に行く日の朝、なんとなく落ち着かない自分…時間には余裕があるのに、何度も何度も時計を見ては溜め息が出る……。
市内に入るまで一時間はかかる場所に住んでいた私は、決めた時間よりも早めに支度をして家を出た。その日は天気も良く、海岸沿いの道路を走っていると太陽が波に反射し、キラキラと輝いていた。 信号待ちに、そんな綺麗な海を眺めながら、ぼんやりとしていた……。
決めていた時間よりも、少し早く警察に着いた私は車の中で気持ちを落ち着かせ、中に入っていった。 中では境さんが待っていて、前回とは違うこじんまりとした部屋に通された。
境「何度もすみませんね」
私「いえ、大丈夫です…」
境「それでは、調書の方に目を通して頂いていいですか?違うと思ったら、言って下さいね」
数枚の紙にまとめられた事件の調書を私は読み始めた。当たり前だが、嘘や偽りは書かれていない。
私「何も違う所はありません」
境「そうですか。それじゃあ、最後に美香さんのサインと判子を貰えますか?」
私「分かりました」
カバンから判を取り出すと、調書の指定された場所に押した。……これで、これでようやく終わったんだ。内心ホッとしていたその時……
境「あのですね、智恵さんは本署の方で取り調べしてたんですけど、強姦にあったっていうのは嘘の証言だったんですよ」
もちろん、巻き込まれた私は全てを知っていたがここでビックリしないと、変に思われてしまう…
私「えっ……?嘘…?だったんですか?」
境「ビックリしますよね…誰だって、お友達が襲われたら本気にしますよね。
智恵さんには、嘘を警察に言って事件にしたということで『軽犯罪』の罪にとわれます」
次の瞬間、耳を疑う言葉を私は言われた……
えっ………?この人、何を言ってるの?
とっさに頭に浮かんだ言葉だった。
境「もしも、もしもですよ?美香さんも同じく罰せられたら、どうします?」
私「あの…どういう意味ですか?私、知ってることは全部話しました。確かに一番最初は智恵に頼まれて、本署の方には嘘言いましたがその日の内に本当のこと言いました。その時、本署の人からも罪には問われないって……」
境「いやいや、もしも。ですから…なんか、すみませんね」
何度も警察にきて、本当のことも言った。それなのに智恵と同罪に? 冗談じゃない!!
境「今日は、これで終わりです。何度もすみませんでした」
私「いえ……」
モヤモヤとした気持ちが消えないまま、私は警察を後にした。
時間を見ると、お昼を過ぎていた。
『今終わったよ~。ヨーカドーに向かうね』送信…
♪♪♪~~~
『わかったー!ごめん、少し遅くなるかもー』
メールの返事はマキからだった。読み終えると、私は待ち合わせ場所に車を走らせた。
マキ「はぁ!?何それ!!意味わかんない!」
私から話を聞き終わると、興奮気味にマキが聞いてきた。というより、私も興奮してたけど…
私「でしょ!?何でアタシまで同罪なの??って思うじゃん!
アタシ、納得いかない!今から本署に言って話す! マキ…ついて来てくれる?」
マキ「いいよ。一緒に行こう!」
納得出来ない私達2人は、本署へと向かった。中へ入ると、どうしたら良いのか分からずキョロキョロとしていた。
「あの、どうされました?」
警察の方に声をかけられ、今までの経緯をザッと話すと…
「分かりました。今、担当の者が来ますので少々お待ちください」
入り口近くのソファーにマキと腰を下ろすと、間もなくして若いスラリとした警察官が現れた。
「どうも、お待たせしました」
挨拶もソコソコに、私は話し始めた。最初は冷静に説明をしていた私だったが順を追うにしたがってヒートアップしてしまった…
私「確かに、私にも嘘を言った非があります!けど後は何も包み隠さず言ったのに同罪って、どういう事ですか!?」
警察「いや…誤解を招く言い方をされたみたいで、申し訳なかった…どこの交番の誰か分かりますか?」
私「○○交番の境さんです!」
警察「分かりました。こちらの方から厳重に注意しておきますので…」
興奮気味な私は、多少ムスッとしたまま…
私「分かりました…」
と言い、本署を後にした。
外へ出ると、もう薄暗くなり始め街灯の光がまぶしかった。
マキ「良かったね。これで本当に終わりなんじゃない?」
私「そうだねー…なんか、凄い疲れた(笑) 落ち着いたら食事にでも行こうね」
マキ「そーだね。そうしよう♪」
私「今日は本当にありがとう。気を付けて帰ってね」
マキ「うん!美香もね」
本署に出向いてから、何日しても境さんから、謝罪らしき電話も何もなかった。別に期待もしてなかったけど…
智恵とは、この事件以来会ってはいないし、連絡も取り合ってはいない…今でもたまに、『どうしてるのかな…?』って思うときもある。
高校卒業して、ずーっと仲良しだった智恵…今、彼女がどこで何をしているのか分かりませんが、真っ当な人生を歩んでほしい…と切に願っている。
智恵…元気?私の娘も小学校に入学したよ…いつか、ママ友になろうね。そんな約束を交わした時もあったね…
そう…これは、親友であった友達が悪友へと変貌してしまった。私と智恵の話…
いつか、どこかで偶然再会したならば…その時は笑って会えますように…
━━━━完━━━━
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