ママ友
妊娠5ヶ月。
安定期に入り、旦那が転勤になりました。
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私は25歳、旦那は32歳。
結婚してからは、旦那の会社の借上げ社宅に暮らしていた。
東横線沿いの高級住宅地にあるマンション。
そこが、最初の新居だった。
2Kのマンションだったが、家賃は15万円。
会社の家賃補助があるにしても、持ち出し7万円はキツイ。
駐車場は別に月5万円もかかる。
近くに病院はあるし、特に問題は無かったので、車は持ってなかった。
最初の転勤地は、大阪だった。
初めての土地。
なんの知識もない。
旦那が会社の人から聞いてきた。
よその土地から大阪に住むなら、北大阪急行沿いか阪急千里線沿いがいいと。
家探しの時間は、1泊2日しかない。
妊娠中で無理もできない。
5箇所ほど回って、あるマンションに決めた。
大阪は物価が安いと思った。
家から大阪の中心地・梅田まで、徒歩・電車合わせて30分以内にも関わらず、
家賃は11万円で、3LDKのマンションを借りられた。
都内なら、あり得ない金額。
これから生まれてくる子供に、広い部屋を借りられた。
喜びしかなかった。
引っ越しの日。
新横浜まで、私の両親が見送りにきた。
お父さんが、「大阪はまだ差別地域がある。お父さんも出張で行くと、その話しが出るが、関わらない様にしている。関西は古い歴史のある地域。その点が関東出身には分からないから、気をつけるようにな」と言われた。
お父さんたら、差別地域なんて…。今の時代に…。心配し過ぎなんだから!
と、気にしなかった。
後で、大間違いだと知った。
引越しの荷物は少なかった。
すぐに運び入れ終わった。
がらーん。としていた。
上下の部屋と、同じ階には3つの部屋があったので、計5部屋に早速、挨拶に伺った。
最初が、肝心!
特に、子供が生まれたら、近所付き合いが始まる。
自然と気合が入る。
ニコニコして、愛想良く!!頑張るぞ!
挨拶の品は、鎌倉の鳩サブレーにした。地元の名産品。
家探しをした時に、子供の多いマンションだと知ったので、
子供でも大人でも喜ばれるお菓子、そして日保ちもする。
会話のきっかけになるかな・・・そんな気持ちで、選んだ。
最初は上下の部屋に伺った。
引越しで、足音がうるさかったかな?と心配になり、
先に挨拶に伺った。
しかし、どちらも留守だった。
次に、隣りの部屋に行った。
ウチは、角部屋だったので、隣は片方だけ。
ピンポーン。
チャイムを鳴らすと、40代くらいのメガネをかけた女性が出てきた。
奥さんだろう。
「初めまして。隣りに越してきた田中です」
緊張しながら、挨拶をする。
すると、その女性のそばに、女の子が来た。
旦那が女の子に「こんにちは」と声をかけると、
照れたように、お母さんのスカートの陰に隠れる。
カワイイ!
「おいくつなんですか?」
「今、4歳で、幼稚園の年少なんですよ」
聞くと、上に小学生の男の子2人がいる。
男、男、女の計3人。
旦那が、「いや、ウチも12月に子供が生まれるんですよ」と嬉しそうに説明する。「こっちに誰も知らないので、ウチの奴に色々と教えてあげてください」
「あら、そうなんですか!私で良かったら、いつでも頼ってくださいね」とその女性も愛想良く、返事をくれた。
ホッと一安心。
「お隣さん、良い人そうで、よかったね」と言いながら、その隣りの部屋へ行く。
名前を見てビックリ。「smith」。スミスさん?外人さんか?
ちなみに、うちは3階の端、304号室。
お隣さんは、伊藤さんで、303号室。お子さんが3人いる。
そのお隣は、スミスさん。外人さん?302号室。
どんな人だろうか?ドキドキしながら、チャイムを鳴らす。
ドアが開いた。
「はーい」。小さな女の子が出てきた。さっきの伊藤さんの娘と同じ年齢くらい。
けど、髪は栗毛色、色白で、目はパッチリ。やっぱり外人さんか!
「こんにちは」と挨拶をすると、
女の子は部屋に駆け戻った。
「ママ。知らないおばさんが来たー」
おばさん・・・か。苦笑した。
そうだよな、25歳は子供にとったら、もうおばさんだよな。
「はーい」と言って、出てきた奥さんは、
30代半ばくらいの、見るからにアジア人の女性だった。
そうか。旦那さんが外人さんで、あの娘はハーフなんだな。
「304号室に越してきた田中と申します」と挨拶をした。
すると「あんたたち!挨拶したんか!!」と娘に向かって、怒鳴りつけた。
ビックリした。
あんたたち?と思ったら、女の子の後ろに、小さな男の子がいた。
姉弟は、小さな声で「こんにちは」と挨拶をしてくれた。
姉は3歳、弟は1歳だと言う。
怖い人かと思ったら、スミスさんは親切な人だった。
「うちも、去年、引っ越してきたばかりなんですよ。このマンションは小さな子供が多いし、ママさんたちも仲が良いから、暮らしやすいと思います。お互い様ですから、何か困ったことあったら、なんでも聞いてくださいね」
「よろしくお願いします」
しっかりしたお母さんなんだな。
次に、301号室に行こうとしたら、スミスさんが「お隣りはいないですよ」と教えてくれた。
301号室は、内田さん。夏休みの間は、奥さんの実家に子供を連れて帰ってるという。
「奥さんは、千葉出身の人だから、同じ関東で気が合うんじゃないかしら」
スミスさんにそう教えられた。
この内田さんが、ママ友グループのボスママだった
とは言っても、妊娠中はママ友とは、全く関係が無い。
旦那は、「スミスさんはしっかりした良い人だし、子供の年齢近いから、あの人と仲良くすれば」と言った。
スミスさんに会うと、いろいろと教えて貰うようになった。
「産婦人科は、皆さん、どの病院へ行ってるんですか?」
「多いのは、△△病院かしらね。けど、あそこは妊娠3ヶ月の時に分娩予約を取らないと入れないから・・・」
ビックリした。少子化と言われてるのに、予約がもう取れないなんて!
「それは、大丈夫です。実家近くの病院で分娩するつもりなんです。妊娠9ヶ月まで診察してもらえる病院を探しているので」
「そう!だったら、△△病院が良いと思うわよ!場所はね・・・・・・・」
旦那の言った通り。スミスさんはしっかりした親切な人だった。
大阪の夏は、暑かった。
妊娠中だから、なおさらなのかもしれない。
車を持っていなかったから、夕方になって少し涼しくなると、歩いて買い物に出かけた。
お米やお酒等の重い荷物を持って歩くのが、だんだんキツくなってきた。お腹に力を入れると、赤ちゃんが心配だ。
ある日、音が鳴っているので下を見ると、大きなトラックが来ていた。
『生協』と書いてある。
昔、母が生協に入っていて、食材を買っていた。
そうか。生協だったら、家まで荷物を運んでくれるよな。
私も、頼んでみよう!!
マンションのエントランスに行くと、何人かのお母さんたちが集まっていた。
スミスさんもいた。
食材を持っている。
みんな、生協で頼んでいるんだな!
生協のお兄さんを捕まえた。
入会の仕方を聞いていると、スミスさんが「生協に入るの?」と声をかけてくれた。
生協には、個人宅配とグループ宅配の2つがあるという。
個人宅配は、家の前まで持ってきてくれるが、手数料がかかる。
グループ宅配は、マンションのエントランスまで持ってくるが、食材の仕分けは仲間同士でする。その代わり、手数料がいらない。
スミスさんは、グループ宅配をママ友たちでしている。
「一緒にどう?」と声をかけてくれた。
本当は、家の前まで持ってきてくれる方がありがたかったが、ここで断ると、せっかく声をかけてくれたのに失礼だ。
ちょっと悩んだが、グループ宅配の仲間に入ることにした。
>> 10
生協は、毎週水曜日の10時にくる。
それ以外の日は、暇で仕方ない。
家事なんて、すぐに終わる。
引っ越し前までは、仕事をしてたので、時間を持て余していた。
ネットで、何か無いかな?と探していると、
地域の掲示板にマタニティスイミングが紹介されていた。
水泳は、得意だ。
同じスクールで、ずっとライバルだった女の子がオリンピックに出場したのが、
私の唯一の自慢だ!
オリンピック選手と、小中学生まではライバルだったんだよ!と。
高校に入ったら、すごい差がついたけど。
早速、旦那に習いに行きたいと話すと、快く了解してくれた。
週に2回。
当たり前だが、みんな、妊婦だった。
水泳だけじゃなく、マタニティ体操や、出産時の呼吸方法など、
いろいろな事を教えてくれる。
そして、水泳が終わると、皆でランチに行く。
たいていの人は、初めての妊娠だが、中に二人目、三人目さんがいると、
皆で、出産の事、子育ての事を聞きたがった。
私も皆と同じく、会話に参加して、話しを聞いていた。
>> 11
8月終わりの水曜日。
生協の時間。
エントランスに行くと、ちょっとビックリ、人数が増えてる。
いつもは3人ほどだったが、今日は7人!
なんで、こんなに人数が増えてるんだろう。
戸惑っていた。
スミスさんは、小柄な女性と話している。
「あ!田中さん。この人が301号室の内田さんよ!!今日、千葉から戻ってきたのよ」
「あ、初めまして。304号室の田中です」と慌てて、挨拶をした。
すると「こんにちは!スミスさんから、メールで聞いたわ~。お腹にお子さんがいるって。痩せてるから、全然、分からないわ」
愛想が良く、話しかられた。
明るくて、飾らない性格の様だ。
エントランスや、外に駆け出していく、子供たち。
大人だけじゃなく、子供も増えている。一気に賑やかになった。
生協の食材を手に入れた。
すると内田さんが「今日の午後ね、もし暇だったら、うちにお茶しにこない?マンションのみんなも誘ってるから」と話しかけてくれた。
スミスさんが、「あ!出た!!早速、誘ってるのね。もう、会う人みんなに声かけるんだから・・・」と、からかう様に、嬉しそうに笑ってる。
そっか、スミスさんは、この内田さんの事が好きなんだな・・・。
>> 12
内田さんの部屋に伺った。
13時過ぎに行ったら、まだ私だけだった。
早すぎたか!と焦った。
「すみません、早すぎたかしら」
「いいのよ~。ゆっくりしてて、そのうちみんな集まるから」と言われた。
ダイニングテーブルに案内された。
内田さんは、子供が2人だった。
女の子が幼稚園の年少さん、男の子が2歳だと言う。
内田さんが言うように、ピンポーンとチャイムが鳴り、続々と人が集まってきた。
みんな、内田さんの家に慣れた様に入ってきた。
303号のスミスさん。女の子3歳、男の子1歳。
501号の坂田さん。男の子1歳。
隣りのマンションの山崎さん。女の子3歳と2歳、そして3人目を妊娠中。
それから、「初めまして」と言って、女性と男の子2歳が入ってきた。
内田さんが「昨日、隣りのマンションに引っ越してきたんですって。こちら木下さんよ」とみんなに紹介していた。
あ!私だけが、初めてじゃないんだ。ホッとした。
スミスさんがすかさず、「え!!昨日、引っ越してきたばかりの人を誘ってるの。どこで会ったの?」と驚いていた。
ニコニコしながら、内田さんは「引越しのダンボールを片付けてるから、もしかして!と思って、声をかけたのよ」と言った。
すごいな~誰とでも、仲良くできるんだな・・・。
内田さんの事を、感心した。
話題は、夏休みにどこに行ったか、どう過ごしたか、と言う話題だった。
私からは、『出産って、痛かったですか?』という質問をした。
今、一番、気になってる事だった。
『私はね・・・破水から始まってね・・・』とか、『帝王切開は、傷口が痛い』だとか、痛くて怖い話を沢山、聞いた。
ますます出産に対する恐怖が募ってくる。
坂田さんのお子さんは(男の子1歳)は、どうやら怖がりの様で、お母さんのそばを離れない。
「まーくん、みんなと一緒に遊んでおいで」と言って、何度か席を立って、子供の輪の中に入っていった。
妊婦の山崎さんと話をした。
予定日が同じ12月で近かった。
山崎さんは、上2人が女の子だけど、旦那さんが跡継ぎに男の子が欲しいとの事で、3人目を妊娠したという。
性別の話で、盛り上がった。
確かに、みんな、良い人そうだ!
>> 14
けど、私の隣りの伊藤さんは、来ないんだな・・・と思った。
生協でも見かけない。
内田さんの女の子と、伊藤さんの女の子は、同じ年少さんで、同じ階に住んでるのにな・・・と、ちょっとした疑問が、頭をかすめた。
9月に入って、少し涼しくなってきた。
夜はエアコンを止めて、窓を開けて過ごすことにした。
すると、大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
女性の声。何を言ってるのかは分からない。けど、怒ってるのは分かる。
なんだろ?
まさか・・・虐待。
テレビでよく事件が放映されてるけど・・・まさかな?
なんか、怖くなった。いやいや、敏感になってるだけだ、きっと。
けど、怒鳴り声が延々と続く。
気になって、気になって、仕方が無い。
怖いけど、思い切って、ベランダに出て、何を叫んでるのか聞いてみた。
どうやら、お隣の伊藤さんが叫んでいる様だ。
あのメガネをかけた、大人しそうなお母さんが?
にわかには信じられない。
>> 15
旦那が帰ってきた。
早速、お隣りの伊藤さんが怒鳴っていた話をした。
すると旦那は、「え!今ごろ、気づいたの?もう、越してきてから、ずっとだよ」と。
逆にビックリした。
「何で、教えてくれないの!!」
「いやいや、知ってると思ったから・・・」
旦那はベランダで、タバコを吸う。その時に、聞こえてたという。
「あれさ、まさか虐待じゃ無いよね。今日さ、8時から、1時間くらい怒鳴ってたけど、大丈夫かな」
「俺も最初は気になって、何を怒鳴ってるのか、聞いてたんだけど。手を上げてはいないみたいだぞ!たぶん、子供が宿題をやらないから、怒鳴ってるみたいだな」
「そっか!小学生の男の子が2人いるって、言ってたもんね」。
ホッとした。
「けどさ、あんだけ怒鳴られたら、勉強なんて、する気が失せるよな」
旦那が苦笑していた。
>> 16
私は旦那ほど、のん気に思ってはいられなかった。
もし自分だったから・・・?と考えると、
自分もイライラして子供にあたる様になってしまうかも、と心配になった。
子供3人…知らない世界。
きっと大変なんだろうな。
ある時、ドアを開けて、外に出ると、伊藤さんとスミスさんがいた。
「こんにちは~」と挨拶したが、なんだか重たい空気。
どうしたんだろう?
後で、スミスさんが文句を言ってるのを聞いた。
「またなのよ!伊藤さんちの子!!あの子たち、全然躾がなってない!まったく、どうにかして欲しいわ!!」怒っていた。
よく聞くと、伊藤さんちの小学生の男の子が、マンションの階段を駆け下りたのが、危ない!というのだ。
駆け下りるなんて、小学生くらいの男の子なら普通じゃないのかな?と内心では思った。
スミスさんは、伊藤さんに抗議をしたという。
「けどさ、伊藤さんは、ウチの子(スミスさんの子)の方が部屋でキャーキャー叫んで、うるさい!って、逆に文句を言ってきて。子も子なら、親も親よね!!」
そっか。伊藤さんとスミスさんはお隣同士なのに、仲が悪いのか!
あの怒鳴り声は、もしかしたらストレスなのか!
>> 17
伊藤さんの子供の行動をよく見る様になった。
階段を駆け上がる…けど、飛んだり、猛ダッシュしたり、危険な遊びはしてない。
私をみると、「こんにちは‼」と元気に挨拶している。
躾がなってない、なんてスミスさん、大袈裟だよ。良い子じゃん。
スミスさんの方が神経質なんだと思った。
伊藤さんに、たまたま出会った時に言った。
「上のお兄ちゃんたち、いつも私をみると、大きな声で挨拶してくれるんですよ。もし私も男の子だったら、伊藤さんのお兄ちゃんみたいな元気で明るい子になって欲しいです」
若干、誇張して話したが、良い子だと思ってるのは、本当だった。
伊藤さんは、パァ~と明るい顔になった。
子供が褒められて、嬉しいんだろうな。良いお母さんじゃん。
伊藤さんに、子供の話を聞く様になった。
一番上のお兄ちゃんは、勉強が苦手。塾に行かせてるが、宿題をなかなかやらない。
怒ってるのは、これかぁ、と思った。
二番目のお兄ちゃんは、ヤンチャで、元気いっぱい。スミスさんに怒られたのは、この子だった。
三番目の女の子。どうしても、女の子が欲しくて、三番目にやっと授かった。家族みんなで、溺愛していた。
>> 18
伊藤さんとは、会うと立ち話する程度の付き合いだったが、
自分の中では、親しくなった気がしていた。
子育てって大変なんだな…。
自分ひとりで、出来るんだろうか…。
知らない土地で、誰のアドバイスも無く、
出産が近づくにつれ、不安が大きくなる。
妊娠に気づいて、すぐ、マタニティ用の雑誌を買ってみた。
すると、中は、広告だらけ。
育児グッズを買う時は役に立つけど、子育てには向いてない。
一回買って、やめた。
図書館に行って、育児、躾などの本を読んでみた。
育児マンガは、子育てのドタバタ劇が書いてあって、面白かった。
けど、不安は消えない。
放送大学の講座が、10月から始まると分かった。
9月下旬の今でも、まだ間に合う!
発達心理学と児童心理学の2講座を頼んだ!
勉強しておけば、少なくとも、子育てで困った時に、役立つかもしれない。
生協の日。
内田さんが話しかけてきた。
「もし良かったら、ベビーベッド、いらない?ウチはもう、使わないから」
「いいんですか!すごい嬉しいです」
まだ育児グッズは、何も揃えてない。
早く見に行きたいが、旦那は土日も仕事の日が多く、車は無い、場所が分からない私だけでは、見に行けなかった。
ベッドの他にも、いろいろな用品を頂いた。
旦那が仕事でいないと言うと、内田さんのご主人が日曜日にウチまで運んでくれた。
夫婦揃って、良い人だな~と思っていた。
11月に入った。
中旬辺りから、出産の為に実家へ帰省するつもりだったが、
急に父からの連絡があった。
母が入院したという。
検査をしたら、手術が必要との事。
私が帰省したら、邪魔になってしまう。
実家には戻れない。
ここで、産むしかない。
>> 22
ネットで、調べてみた。
切迫流産は、おおかた子供(胎児)に原因があるとの事だか、
切迫早産は、やはり母体に原因がある場合が多かった。
やっぱり私のせいだ…。
私が悩んで不安に思ったから、この子を危険にさらしてしまった。
お腹の子の為にも、明るくなろう!と思ったが、気分は暗いまま。
唯一の息抜きだったマタニティスイミングも、やめなければいけない。
暗くて、家の中に閉じこもっていた。
すると、ピンポンが鳴った。
誰だろう?
暗い気持ちのまま、ドアを開けると、女性が立っていた。
「はじめまして。下に越してきました、島崎です」
私が挨拶に行った時に、留守だった204号室。
誰もいない部屋だった。
この部屋に新しく越してきた島崎さん…この人の事は、本当に大嫌いだった。
>> 25
母乳神話…。
今は全く気にしてない。神話は神話だ。
けど、この頃は信じ込んでいた。
母乳飲ませれば、免疫力が付いて、子供は健康に育つ!
絶対、飲ませなきゃ‼
三日間、寝込む事は、物凄い焦りになった。
早く飲ませないと、母乳が出ないかもしれない。
早く早く。
四日目、ジッと寝てるのが嫌で、とうとう自力で歩いて、食堂まで行った。
ほら、私は歩けるまで回復した!だから、大丈夫‼
本当は、めまいがヒドく、壁に寄りかかりながら、歩いた。
食堂に行くと、新米ママさんたち4人ほど席に座っていた。
私の次の日に産まれた2人と、次の次の日に産まれた2人。
すでに仲良くなっている様だった。
「一緒にご飯食べましょう」。
私を見かけると、声をかけてくれた。
席に座ると、痛い‼
悲鳴をあげそうになる。
私は子宮口が5カ所も裂けてしまい、
かなり奥の方まで縫っていた。
すると、その様子を見た、ひとりのママさんが笑い出した。
「あなた、本当に痛がりよね。私なんて、もう平気で椅子に座れるわよ」
ちょっとショックだった。痛がったら、いけないの?
すると、みんなに向かって、「私さ、この人と陣痛室が隣り同士だったんだけど、
もうさ、聞いてて、めっちゃ笑えたの。すごい声で、痛がってんだよ」。
私を馬鹿にして、みんなに吹聴していた。
恥ずかしかった。
本当に火が出るほど、恥ずかしい。
実際、痛がってたのは確かだが、理由があった。
子宮口が、全開大になるまで、陣痛の機械を付けたまま放置された。
助産師さんが気づいた時には産まれる寸前。
切開する暇もない。
たくさん裂けてしまい、出血が止まらずに、麻酔無しでザクザク縫われた。
産む時より、痛かった‼
>> 28
病気…って。
病気があるのに、妊娠して、出産して…って、なんだか違和感を感じた。
リスクがあるのに。
「私ね、パニック障害なの」
パニック障害、それ知ってる!
幼馴染のお母さんが、その病気になった。
その話を聞いて、病気を調べた事がある。
「そっか。パニック障害って、薬を服用しないといけないんですね」
「そうなの。妊娠中から、医者に相談しながらね、どうにか、あまり飲まない様にやってきたんだ」
「じゃあ、妊娠中から、いろいろと気を使わないといけなくて、大変でしたね」
「うん。でもね、私も子供がそろそろ欲しくて。高齢出産になったら、余計にリスクはあるし。旦那と相談して、高齢出産前に産もうって決めたの」
>> 29
就職してから、職場の人間関係に悩み、それでパニック障害になった。
それから、十年近く病気を持ちながら、働き続け、結婚し、今回は出産したと聞いた。
すごい‼
この人は病気と向きあって、病気を受け入れてるんだ‼
他の人がみんな、授乳してるのを見て、焦っていた。
なんで、私だけ…。
なんで、この子に母乳をあげられないんだ…。
危なかった…。
あやうく、悲劇のヒロイン気分に陥るところだった。
病気を受け入れて、前向きに頑張ってる姿。
これこそ、本当の強い母の姿なんだ!
自分も頑張らないと‼
健康に産まれてきてくれた。それだけでイイじゃん。
良い人と出会えた。
けど、連絡先の交換をしなかった。
なぜなら、私を「すごい声で騒いでた」とバカにしてきたママさんと、
このママさん、仲良くなっていた。
同じ日に、2人とも女の子を産んだとの事で、退院しても会いたいね、と約束していた。
好きな人と苦手な人が仲良かったら、どうしますか?
私は、面倒を避けた。
- << 35 私をバカにしたママさん。 ネタにしていた。 ちょっと痛がる顔をすると、 「お母さん、呼んでこようか」と大声で笑いながら、 みんなに聞こえる様に言う。 看護師、助産師の前でも、ネタにされて、なんだかみんなからバカにされてる様な気分に陥った。 自意識過剰だ、そんなこと皆は思ってない、自分の勘違い! と思い込もうとした。 けど、最終日。 会社のコネ=婦長さんが、私に挨拶にくると、 看護師、助産師の態度が一気に変わって、驚いた! バカにした事は、一切言わずに、丁寧に扱う。 なんだこれ? こんなに違うの? 看護師、助産師は、人を助ける、思いやりの深い人がなる職種だと思ってたが、 全然、違う、どんな職場も一緒なんだと分かった。
>> 30
就職してから、職場の人間関係に悩み、それでパニック障害になった。
それから、十年近く病気を持ちながら、働き続け、結婚し、今回は出産したと聞…
私をバカにしたママさん。
ネタにしていた。
ちょっと痛がる顔をすると、
「お母さん、呼んでこようか」と大声で笑いながら、
みんなに聞こえる様に言う。
看護師、助産師の前でも、ネタにされて、なんだかみんなからバカにされてる様な気分に陥った。
自意識過剰だ、そんなこと皆は思ってない、自分の勘違い!
と思い込もうとした。
けど、最終日。
会社のコネ=婦長さんが、私に挨拶にくると、
看護師、助産師の態度が一気に変わって、驚いた!
バカにした事は、一切言わずに、丁寧に扱う。
なんだこれ?
こんなに違うの?
看護師、助産師は、人を助ける、思いやりの深い人がなる職種だと思ってたが、
全然、違う、どんな職場も一緒なんだと分かった。
>> 36
私より旦那の方が8才年上。
お姑さんは、私の母よりも10才近く上になるから、
何を話していいのかよく分からなかった。
見かけは、優しそうなおばあちゃん。
けど、引っかかっていたのは、最初に電話で挨拶した時に、
旦那の元奥さんの悪口を言った事だ。
「あなた、料理が上手なんですってね。良かったわ~。前の奥さんは悪い子ではないけど料理が苦手でね。息子が胃腸の手術を2度したの知ってるでしょ?胃腸が弱いのに、料理ができないなんてね……。あなたと結婚してくれて、本当に安心してるのよ」
元妻との間には、子供はいなくて、共稼ぎと聞いている。
お姑さんは、まるで病気になったのは妻のせいだと言っているが、
自己管理でしょう。自分で、自分の健康を管理するのは当たり前なのに。
けど、旦那は「お袋は、ウチには女の子供がいなかったから、元妻の事を娘ができて、喜んでいた」等と言って、分かってない。
>> 37
そのお姑さん、早速、文句を言われた。
私が「寒いから、毛布をどうぞ」と言ったのが気に入らなかった。
「私の事を田舎者だと思って、バカにしてる。東北の寒さを分かってないわ‼」
隣りの部屋で、旦那に文句を言っているのが聞こえてきた。
私が隣りの部屋にいるのは、分かっている。ワザとだ。
寒さを心配しただけで、文句を言われるとは…。
お姑さんでなければ、一生、口をきくことは無いだろうが、
やっぱりお姑さんには逆らうのは抵抗がある。
寝不足と貧血でしんどかったが、お姑さんに気に入られ様と、
「お義母さんの料理は美味しいですね。料理を教えてください」等と、
持ち上げながら、料理を教えてもらい、嫌われない様に接していた。
>> 42
スミスさんの家に行くと、
知らない間に人数が増えていた。
私の下の階の島崎さんを始め、
5階の双子ちゃん(1才半)
隣りのマンションの男の子(3才)がいた。
ダイニングテーブルにママさんたちで集まったが
席が足りずに、お隣りの内田さんの椅子や簡易椅子を並べた。
部屋は、いっぱいだった。
ウチの子供(太郎)のお披露目。
一週間違いの山崎さんの息子と一緒に寝かせて、写真をとった。
山崎さんの息子は、プクプク太って、可愛かった。
それから、洋服80cmのお古を、みんなから沢山貰ったので、
山崎さんと二人で分けた。
スミスさんの娘と、山崎さんの長女が、春から幼稚園に入るという。
内田さんの娘が、行ってる幼稚園で、話題の中心は幼稚園だった。
それから、ほぼ毎日、内田さんち、スミスさんち、山崎さんちで、集まる事になっていく。
2月に入ると、お姑さんから連絡がきた。
「お金を送って!」という。
お金…?
「私では勝手に送れないから、旦那に聞いてみます」と答えて、旦那に相談した。
旦那がお姑さんと話をした。
旦那から、「年金は2ヶ月毎の振込だと言う事を、お袋は忘れてたみたいだ。支払いのお金が足りないって言うから、お金を振り込んで」と。
>> 44
お姑さんが、お金の入った封筒を掴んで、慌てて帰った日を思い出すと、
なんだか変な考えが頭に浮かんできた。
まさかな。
けど、旦那が渡せと言ってる。
旦那の稼いだお金だし、私が言うのもおかしいよな…。
銀行に振込に行くのは、嫌だった。
まだ生後1ヶ月の赤ちゃんを真冬の寒い中、ベビーカーで連れて歩く。
その後も、何度も何度も、お金の催促をされる。
その度に、旦那に相談するが、旦那は渡せという。
お姑さんに、旦那に直接、話してくれと言っても、
お姑さんは、私に必ず連絡をしてくる。
太郎は、抱っこして寝かせても、布団に置けば、すぐに起きてしまう。
だから、ずっと抱っこをしていて、重くて疲れ切っているのに、
そんな電話ばかり。
嫌になって、旦那と喧嘩する様になっていった。
>> 47
見ると、病院で話した、パニック障害を持つママさんだった。
「久しぶりです!もしかして、内祝いですか?」
「そうなのよ~。いろいろ見て回ってるのよ。あ!太郎君。うわ~しっかりしてきたね!」
お互いの子供の様子をいろいろと話した。
パニック障害のママの娘ちゃんは、退院してから、かなりビッグになっていた。
「ミルク好きでね、あげないと泣くから、ついつい沢山あげちゃうのよ」
私は、最初こそはミルクと母乳の混合だったが、一ヶ月を過ぎると完母になった。
母乳は赤ちゃんが欲しがったら、この時期だったら、いくらでも上げて良いと言われている。
そっか。ミルクは、量をコントロールするのが難しいんだ…。
>> 48
立ち話だったけど、楽しかった。
やっぱり、同じ時期に産まれた子だと、共感できる事が多いし、
お互いに頑張ってるんだな、と励みにもなる。
マンションのママは、先輩ママで、どうしても聞く立場になる。
教えて貰えるのは、ありがたいけど、共感とか励みとか、そういった気持ちではなかった。
やっぱり連絡先を聞こうかな…と思った。
けど、「この間ね、入院中のみんなで集まったんだよ!」
え!
聞くと、食堂で一緒だった4人のママさんと、家で集まり、
これからも一ヶ月に一回は集合するとの話だった。
- << 51 微妙な気持ちになった…。 私は呼ばれてない… …のは、当然だ。 だって、バカにしてくるママが嫌で、距離をとっていた。 けど、羨ましい…。 素知らぬ顔して、「え!みんなの赤ちゃん、元気だった?大きくなってた?」 笑顔で、聞いた。 帰ってからも、モヤモヤが直らなかった。 毎月一回会って、子供たちも親も仲良くなって、幼馴染の様に成長していくんだろうな。 私のせいで、太郎のそういったチャンスを逃したって事か。 モヤモヤする。
>> 51
ママ友とは、
子供のために付き合うもの。
子供の友達の親!
親の性格が合うか否かは、関係ない。
私の気持ちは、関係ないんだ。
この時、ボンヤリとそれが分かってきたのかもしれない。
けど、モヤモヤしただけで、そこまでは気づいてなかった。
旦那に、愚痴った。
本音を話せる友達は、近くにいない。
地元の友達は、まだ誰も結婚してなかったから、話すのは躊躇する。
旦那だけが唯一、愚痴を聞いてもらえる人だった。
すると、旦那は笑いながら、「それさ、大阪人だからだろ」
大阪人?
「自分の嫌な事をネタにして、笑いをとるのが大阪人だろ」
言ってる意味が分からない。
「だからさ、お前は出産で痛がってる事をネタにされたんだから、それに合わせて話さないといけないんだよ」
え??
>> 52
意味が分からない。
出産っていう、生死に関わる大きな出来事で、笑いをとらないといけないの⁇
「それにさ、友達になれそうな人がいたんだったら、苦手な人を気にせずに仲良くなればいいじゃん」
いやいやいや。そんな簡単なわけないじゃん。
しばらくすると、お姑さんから、また連絡がきた。
最初こそ、「悪いんだけど、お金送って」と少しは遠慮気味に言っていたが、
この頃は違う。
「今日中に、お金が必要なのよ!3時までに振り込んでちょうだい!」
イライラしながら、上目線で言われる。
時計を見ると、2時35分。
「3時までって、あと30分も無いですよ」
太郎は、今やっと寝たばかり。起こしたくない。
「銀行まで、10分で行けるでしょ‼」
「太郎、寝たばかりなんですよ。申し訳ないけど、旦那に頼んでもらえませんか?」
「何言ってんの‼息子は、仕事で迷惑をかけられないから、あなたに頼んでるのよ!早く行ってちょうだい‼」
ガチャン!電話を切られた‼
ムカついた。
- << 55 外は大雨。こんな寒い日に、赤ちゃんを連れて、外を歩きたくない。 旦那の親だ!旦那に何とかしてもらおう! 電話した。 「悪い。これから会議が始まるんだ。振り込んできてくれないか」 なんだよ! けど、会議じゃ仕方ない。 時計を見ると、あと15分しかない! 慌てて、外出する用意したが、太郎は寝たばかりを起こされて、機嫌が悪い。 グズグズ言うし、手足を使って大暴れしてる。 雨だと、ベビーカーは使えないから、横抱きの抱っこ紐に太郎を入れ様とするが、嫌がって、なかなかできない。 まずい、3時になる。 気は焦るばかり。 大雨の中、横抱きの太郎を抱えて、猛ダッシュで銀行に行った。 ギリギリ1分前。 振り込んだ。 雨の中、帰ると、玄関口でスミスさんにあった。 「どうしたの?ビショ濡れじゃないの!こんな大雨の中、赤ちゃん連れで外出したの?」 スミスさんは、いつもと違って、厳しい口調で言う。 批判されてる様に、感じた。 「うん。ちょっとね…」 言葉を濁した。 私だって、連れて行きたくなかった‼ けど、お姑さんにお金を催促されてるとは、どう思われるか分からないし、言えなかった。
>> 53
意味が分からない。
出産っていう、生死に関わる大きな出来事で、笑いをとらないといけないの⁇
「それにさ、友達になれそうな人がいたんだ…
外は大雨。こんな寒い日に、赤ちゃんを連れて、外を歩きたくない。
旦那の親だ!旦那に何とかしてもらおう!
電話した。
「悪い。これから会議が始まるんだ。振り込んできてくれないか」
なんだよ!
けど、会議じゃ仕方ない。
時計を見ると、あと15分しかない!
慌てて、外出する用意したが、太郎は寝たばかりを起こされて、機嫌が悪い。
グズグズ言うし、手足を使って大暴れしてる。
雨だと、ベビーカーは使えないから、横抱きの抱っこ紐に太郎を入れ様とするが、嫌がって、なかなかできない。
まずい、3時になる。
気は焦るばかり。
大雨の中、横抱きの太郎を抱えて、猛ダッシュで銀行に行った。
ギリギリ1分前。
振り込んだ。
雨の中、帰ると、玄関口でスミスさんにあった。
「どうしたの?ビショ濡れじゃないの!こんな大雨の中、赤ちゃん連れで外出したの?」
スミスさんは、いつもと違って、厳しい口調で言う。
批判されてる様に、感じた。
「うん。ちょっとね…」
言葉を濁した。
私だって、連れて行きたくなかった‼
けど、お姑さんにお金を催促されてるとは、どう思われるか分からないし、言えなかった。
>> 58
旦那も、変だ。
普通、自分の親が何度も借金しに来たら、おかしいと思うよな。
お金が返ってこないのも気にしてない様に見える。
旦那から、キツく言って貰わないといけない。
けど、今のままだと、旦那はキツく言わない。
考えた。
で、結論を出した。
旦那の小遣いをアップさせた‼
- << 62 旦那には、まず今日の話をした。 愚痴にならない様に、気を付けて。 大雨の中、ダッシュして、濡れてしまったから、 もしかしたら太郎に風邪引かせてしまうかも… 大袈裟に、心配した。 旦那も、そうだよな…こんな天気だと急に言われたら困るな… うん、うん、と納得していた。 それでね、私が振り込むと太郎がいて出来ないかもしれないから、 旦那にやって貰った方がいいと思うの…。 でもね、お姑さんが急にお金をかしてって言っても、あなたに手持ちが無ければすぐに渡せないと思うから、お小遣いをアップするね。 お小遣いは、月10万ね。ボーナスは10万円渡すから、月で足りなくなったら、ボーナスで補填してね! 分かった‼ 旦那は、喜んでいた。 そりゃそうだ。 お姑さんに貸したとしても、返ってくるなら、自分の小遣いはアップする。 ボーナスまで貰える。 けど、私は返ってこないと分かっていた。 返ってこなきゃ、旦那の小遣いが減るだけ。 そしたら、旦那も真剣に考えると思っていた! ビンゴ‼すぐに旦那はお姑さんを叱る様になった。 けど、これでもっと変な事になってしまう。
>> 59
旦那も、変だ。
普通、自分の親が何度も借金しに来たら、おかしいと思うよな。
お金が返ってこないのも気にしてない様に見える。
…
旦那には、まず今日の話をした。
愚痴にならない様に、気を付けて。
大雨の中、ダッシュして、濡れてしまったから、
もしかしたら太郎に風邪引かせてしまうかも…
大袈裟に、心配した。
旦那も、そうだよな…こんな天気だと急に言われたら困るな…
うん、うん、と納得していた。
それでね、私が振り込むと太郎がいて出来ないかもしれないから、
旦那にやって貰った方がいいと思うの…。
でもね、お姑さんが急にお金をかしてって言っても、あなたに手持ちが無ければすぐに渡せないと思うから、お小遣いをアップするね。
お小遣いは、月10万ね。ボーナスは10万円渡すから、月で足りなくなったら、ボーナスで補填してね!
分かった‼
旦那は、喜んでいた。
そりゃそうだ。
お姑さんに貸したとしても、返ってくるなら、自分の小遣いはアップする。
ボーナスまで貰える。
けど、私は返ってこないと分かっていた。
返ってこなきゃ、旦那の小遣いが減るだけ。
そしたら、旦那も真剣に考えると思っていた!
ビンゴ‼すぐに旦那はお姑さんを叱る様になった。
けど、これでもっと変な事になってしまう。
- << 65 春になった。 天気が良ければ、外気浴のため、太郎をベビーカーに乗せて、お昼には必ず散歩にいくようになった。 私は、すっかりマニュアル人間になった。 今までは、説明書すら読まない、いい加減な人間だったが もし自分が失敗したせいで、子供に何かあったらと考えると、怖くなった。 育児書の書いてある通りに動く。 育児書の通りにすれば間違いない。 外気浴は、生後1ヶ月から始めましょう、と書いてある。 けど、真冬は寒い。病気になったら? そう考えると、外気浴に行くのは躊躇した。 春が来るのが、待ち遠しかった。
>> 62
旦那には、まず今日の話をした。
愚痴にならない様に、気を付けて。
大雨の中、ダッシュして、濡れてしまったから、
もしかしたら太…
春になった。
天気が良ければ、外気浴のため、太郎をベビーカーに乗せて、お昼には必ず散歩にいくようになった。
私は、すっかりマニュアル人間になった。
今までは、説明書すら読まない、いい加減な人間だったが
もし自分が失敗したせいで、子供に何かあったらと考えると、怖くなった。
育児書の書いてある通りに動く。
育児書の通りにすれば間違いない。
外気浴は、生後1ヶ月から始めましょう、と書いてある。
けど、真冬は寒い。病気になったら?
そう考えると、外気浴に行くのは躊躇した。
春が来るのが、待ち遠しかった。
>> 66
振り返って私を見ると、困ったような、何とも言えない顔した。
あ!私の事、覚えてないのか!
「生協で一緒の田中です」
すると、ママさんよりも早く、子供(女の子)の方が話しかけてきた。
「こんにちは。ママの知り合い?お家の近くに住んでるの?」
「そうだよ。隣りのマンションのね、304号室なんだ」
「ふーん、この子は何才?」
太郎を指差して言う。
「まだね、0才だよ」
「可愛いね。撫でても良いの?」
「良いよ!」
太郎の頭を撫でた。
内田さんや伊藤さんの子供と同じくらいなのに
この子は、しっかりして、ずいぶん利発な子だな〜と感心した。
その間も、ママさんは一切、話さない。
コミニュケーションが苦手なのかな、と思った。
>> 68
つい最近、スミスさんと山崎さんの、子供が幼稚園に入園したばかり。
二人は、内田さんの行ってる幼稚園に入った。
内田さんの家に集まった時に、内田さんが「幼稚園のお下がり貰ったよ!二人で分けてね」といって、制服や体操服、鞄や帽子を広げた。山のようだった。
スミスさんと山崎さんは、驚いていた!
「え!こんなに貰って良いの!こんなにあったら、制服とか買う必要ないわ」
驚きながらも、喜んでいて、
早速、子供たちに着替えさせた。
ファッションショーが始まった。
可愛い、可愛い!
写真もたくさん撮った。
子供たちも、恥ずかしそうに喜んでいた。
内田さんって、本当にスゴイな。
幼稚園でも、友達がたくさんいるんだ。
ますます内田さんに感心した。
次の生協の日に、声をかけた。
「お子さん、幼稚園ですか?」
軽い会話をしていたら、なんだかみんなの様子が違う様に見える。
じっと私たちの会話ん聞いてる、そんな感じ。
- << 73 生協の食材の仕分けが終わった。 帰ろうとしたら、そのママさんが内田さんに声をかけていた。 そっか、子供さん、内田さんの子供と遊びたがってたもんな。 お誘いしてるのか。 その二人の様子を、みんな遠まきに眺めている。 特にスミスさんがじっと見つめてるのが、気になった。 何なんだろう? 私も気になって、帰るに帰れなかった。 二人の話しが済むと、そのママさんは帰っていった。 スミスさんが内田さんの元に駆け寄った。 「何、言われたの?」 「うーん。昔は、子供同士、よく一緒に遊んだよねって」 歯切れ悪く、内田さんが説明する。 昔は仲良かったのか! 何かあったのだろうか? 「何、それ?ずうずうしい。よくそんな話ができるわ」 スミスさんは怒っていた。
>> 71
次の生協の日に、声をかけた。
「お子さん、幼稚園ですか?」
軽い会話をしていたら、なんだかみんなの様子が違う様に見える。
じっと私たち…
生協の食材の仕分けが終わった。
帰ろうとしたら、そのママさんが内田さんに声をかけていた。
そっか、子供さん、内田さんの子供と遊びたがってたもんな。
お誘いしてるのか。
その二人の様子を、みんな遠まきに眺めている。
特にスミスさんがじっと見つめてるのが、気になった。
何なんだろう?
私も気になって、帰るに帰れなかった。
二人の話しが済むと、そのママさんは帰っていった。
スミスさんが内田さんの元に駆け寄った。
「何、言われたの?」
「うーん。昔は、子供同士、よく一緒に遊んだよねって」
歯切れ悪く、内田さんが説明する。
昔は仲良かったのか!
何かあったのだろうか?
「何、それ?ずうずうしい。よくそんな話ができるわ」
スミスさんは怒っていた。
>> 73
内田さんが家に戻った。
すると、島崎さんがスミスさんに聞いた。
ちなみに、島崎さんとは、私の一階下で若いママさん。
「あのママと、内田さんって何かあったの?」
私も聞きたかったから、スミスさんと島崎さんの輪に入った。
「内田さんのカオリちゃんと、あのママの子供って、すごく仲が良かったの。誕生日もすごく近くて、双子みたいだったのよ。この生協も、内田さんと一緒に、あのママがみんなに声かけて、始めたんだけどね。幼稚園も一緒に行くはずで、カオリちゃんも内田さんも楽しみにしてたのに、3月になって、急に行かないって言い出したの。カオリちゃんも、一緒じゃなかったら、私も行きたくないって言い出してね。他に幼稚園に友達がいなかったから、しばらくは大変だったのよ」
前の会話を思い出した。
そうか、内田さんところの幼稚園、高いって言ってたな、それでか。
島崎さんは、怒ってた。
「何、それ。最悪。カオリちゃん、可哀想」
「そうでしょ。内田さんは、何も言わないけどね」
理由は分かった。
みんな、内田さんが好きだから、まるで裏切ったような事をしたママさんを許せないのか。
けど、お金の事なら、各家庭の経済状況の話しだし、そこまで怒る事なのかな。
疑問だった。
>> 74
その日の午後、みんなで内田さんの家に集まった。
あのママさんは、来てない。
結局、内田さんは遊ぶ約束はしなかったんだな。
あの女の子、カオリちゃんと遊びたがってたのにな。
私は、どちらかと言うと、そのママさん寄りだった。
直前になって、入園を取り消したのは、お金の事で何かあったのだろうと予想できる。
いまだに、お姑さんから催促の電話がある私にとっては、他人事ではなかった。
幼稚園の事、特にお金の事が気になって、スミスさんにたくさん質問した。
幼稚園には、私立と公立の二つがある。
公立は安いが、給食無し、保育時間が短く、2年保育しかない。
一方、私立は月3~4万円と公立より高いが、保育時間は長く、3才から入れる3年保育があるし、2才代にはプレスクールもあるから、人気が高いとの事だった。
また私立は、市から補助金が出るという。
市や年収によって、補助金の額は変わるが、スミスさんは年収900万強で、年間12万円の補助金がでると説明してくれた。
>> 75
私立でも安いところなら、補助金を考えると、実質月2万円くらいで入れるわよ!と言われて、ホッとした。
それから、みんなで年収の話しになった。
内田さんは、スミスさんとほぼ同額。
3人子供のいる山崎さんは、額は言わなかったが、旦那さんは自営業で、もっと稼いでると言う。
うちは、当時800万強だった。そう言うと驚かれた!
「だったら、車を買えばいいのに!」と。
いやいや、事情がある。けど、言わなかった。
で、一番高いのは、この場にはいなかったが、5階に住んでる坂本さんだと言う。
ほとんどが転勤族のこのマンション。
割りと大手企業に勤めてる人が多かったが、坂本さんは別格。
たぶん年収1400万はいってるだろうと、スミスさんは予想していた。
そう言えば、貰った洋服のお下がりに、ハイクラスのブランド服がたくさんあった。
坂本さんのか!
坂本さんの1才の一人息子は、バーバリーかラルフローレンの服をいつも着ていた。
たぶん坂本さんは、幼稚園受験をすると思うよ!とスミスさんは話していた。
>> 77
次の生協の日。
私は、ちょっと遅れた。
出かけに、太郎がおっぱいを欲しがって、泣いたので、時間までに間に合わなかった。
「ごめんねー」慌てて、エントランスに行った。
もう仕分けは、終わっていた。
が、なんか変な雰囲気だった。
山崎さんに、「どうしたの?」と聞いたけど、何も言わない。
近くの坂本さんを見ても、無言だった。
島崎さんとスミスさんだけ、話していた。
「あなたね~、あれは言い過ぎだよ」
スミスさんが島崎さんに言ってる。
島崎さんは、「あれくらい言わないと、あの人、わかんないでしょ」自信満々に答える。
え?何?何があったの?
「どうしたの?」再度、聞いた。
誰も言わない。
すると、島崎さんが自分で答えた。
「あのママにさ、あなたがいると、雰囲気が悪くなる!迷惑なの、分からないの!って言ってやったのよ!嫌われてるくせに、ここにいるなんて、図々しいって分からせてやったの!」
得意気に話した。
え?マジで。
あり得ない。
- << 81 唖然とした。 そして、みんな何も言わずに、内田さんを見た。 内田さんも無言だった。反応を待った。 ちょっと間を置いて、 「今日は、誰の家に集まる?」と他の話しをした。 すると、坂本さんがホッとしたように「今日はウチに来て!いつもお邪魔してばかりだし」 と話した。 内田さんは、何も言わなかった。 けど、否定しなかった。 つまり、島崎さんのした事を容認したということ。 たぶん、ここにいる、みんながそう感じた。 暗黙の了解。 島崎さんは得意気。スミスさんは島崎さんに、それ以上、何も言わなかった。
>> 78
次の生協の日。
私は、ちょっと遅れた。
出かけに、太郎がおっぱいを欲しがって、泣いたので、時間までに間に合わなかった。
「…
唖然とした。
そして、みんな何も言わずに、内田さんを見た。
内田さんも無言だった。反応を待った。
ちょっと間を置いて、
「今日は、誰の家に集まる?」と他の話しをした。
すると、坂本さんがホッとしたように「今日はウチに来て!いつもお邪魔してばかりだし」
と話した。
内田さんは、何も言わなかった。
けど、否定しなかった。
つまり、島崎さんのした事を容認したということ。
たぶん、ここにいる、みんながそう感じた。
暗黙の了解。
島崎さんは得意気。スミスさんは島崎さんに、それ以上、何も言わなかった。
>> 82
「ウチ、ものが多くて。子供たち、動き回りにくいでしょ」。
坂本さんに言われて、リビングの隣りの和室を見ると、真ん中に大きな椅子がある。
ロッキングチェア。ゆらゆら揺れる、大きな木の椅子があった。
これ?どこで買ったの?
海外の童話の挿絵ぐらいでしか、見たことないよ!
「このチェアね、旦那が独身の時に買ったもので、本当に邪魔なんだけど。座り心地が良いのよ」
みんなで順番に座らせて貰った。
最初は普通の椅子と変わらないように思ったけど、太郎を抱っこしながら、ゆらゆら揺れると確かに居心地が良くなってきた。太郎も気持ち良さそう。
「本当だ!これ赤ちゃん、抱っこする時にちょうど良い!」
「そうでしょ。私もまーくんを抱っこしながら、ここでよく寝てたもの」
まーくんは、坂本さんの一人息子。
子供たちが、リビングから離れた洋室に入ろうとした!
「そこは、ダメダメ!」慌てて、坂本さんは止める。
「そこは、おじちゃんの大事なものあるからね、あっちの部屋に戻ろう」
>> 83
何人かの子供は、大人しくリビングに戻った。
ワイワイとみんなでおしゃべりしていた。
その間に、島崎さんの娘・ココちゃんが、洋室の部屋に入ってしまった。
ダメと言われたら、入りたくなる。
その気持ち、分かるわ。
ガシャーン。大きなものが壊れる音。
ビックリして、何人かのママが洋室を見に行った。
私は、すっかり寝ていた太郎を抱っこしてたので、座って待っていた。
「なにやってんのよ、ココ!」
バーン、何か音がする。
そして、ワーンと泣き声が聞こえてきた。
座って待っているママ同士で、顔を見合わせる。
「ホンマにごめんね、坂本さん。こら!ココも謝んな!」
島崎さんが大声が聞こえてきた。
内田さんが、戻った。
「どうしたの?」と聞くと、
「ココちゃんが、プラモデルを落として、壊しちゃったのよ。けど、坂本さんは子供のした事だから、良いよって言ってるから大丈夫よ」
島崎さんは、泣き叫ぶココちゃんを引きずりながら、戻ってきた。
>> 86
助けてあげなきゃ!
と思ったけど、固まって動けない。
すると、一番年配のママさんがココちゃんを抱き起こした。
それでもワンワン泣いて、ママの元に行こうとするココちゃん。
胸が苦しくなる。
島崎さんは、そんなココちゃんを無視して、坂本さんに話しかけた。
「ごめんな。あれ、旦那さんの大事なものなんやろ?弁償するわ」
「え!いいよ、いいよ、あんなの!旦那が趣味で作ってるだけだし」
「え!ホンマに?」
プラモデルはガンダムだった。
「ロボットだから、きっとココちゃん、オモチャと間違えたのよ。私も最初に言えば良かったんだし」
「ええ、そんな悪いわ」
とりあえず、話しは落ちついた。
というより、ここで、坂本さんが弁償しろと言ったら、ココちゃんがまた殴られるかもしれない。
坂本さんも、言えないだろう。
>> 87
夜になって、旦那に坂本さんの家に行ったと報告した。
旦那に、坂本さんはお金持ちと伝えていたから、旦那も興味深々だった。
ガンダムのプラモを子供が壊したと話したら、
「それって、ヤバイんじゃないのか。ガンダムのプラモだろ?レアものだったら、ものすごい高いはずだ」
てっきり数千円くらいのものだと思ってたから、驚いた。
「それにさ、プラモって値段関係なく、自分で作ったものだから、いくら悪気がなくて壊れたとしても、坂本さんの旦那は怒るだろうな」
「マジで?たかがプラモデルだよ?」
「お前、作った事ないから、そう言うんだよ。俺だって小学生の時、弟に壊されて、すげえ頭にきた記憶がある」
旦那は、めったに怒らないタイプだから、よっぽどなんだろうな。
「坂本さんの旦那って、ロッキングチェアを持ってるんだろ?そう言う人は、ものに対してこだわりが強いからな」
ココちゃんの事が心配になってきた。
「どうしよう。島崎さん、それ知らないかもしれない。坂本さん、弁償はいいよ、って話してたから、島崎さん終わった話だと思ったかも。教えた方がいいのかな」
「ん。まぁ、終わった話なら、別に何もしなくていいんじゃないか。まぁ、旦那は怒ってるだろうけど」
>> 89
ミクルを読んでみると、わりと育児中の専業ママが多い感じがした。
けど、スレッドを立てるほどの内容ではないかもしれない。
簡単に質問できるスレッドがないか、探してみたら、
別サイトで、お悩み相談を見つけた。
こっちの方が、気楽くに聞けるんだな!
質問した。
どんな回答が戻ってくるのか、緊張しつつも楽しみに待っていたら、予想外の返答に驚いた。
まず、部外者の私が悩むのは、余計なお世話。
0才児しか育てたことないのに、2才児の事に首を突っ込むな。
そして、島崎さんが叩いたのを容認する声が大きかった。
叩くのはやり過ぎだけど、怒らない親が多い中、そこまで叱るのは、えらい。
自分の家のものが壊されたら、腹立つから、そこまで親が怒る方が納得できる。
正直、島崎さんがえらいと言うのは納得できなかった。
叱るというよりも、感情的になって、殴りとばしていた様に見えた。
けど、そうなのか。
私が甘いのか。
>> 91
二人きりになれるチャンスがあった。
内田さんの家に呼ばれた時に、玄関入口で、たまたま二人になった。
ここを逃したら、他はないかもしれない。
けど、島崎さんに、ストレートに聞くのは躊躇する。
旦那に悪者になって貰った。
ウチの旦那も、ガンプラ大好きでね、私は子供のした事だから仕方無いと思うけど、旦那だったらね、許さないと思うの。特にレアものだったら、高いと思うし・・・
かなり回りくどい言い方で、高いものかもよ!坂本さんの旦那さん、気にしてるかもよ!と伝えた。
島崎さんは、私の言葉を聞くうちに、目を釣り上げた。
坂本さんの旦那さんにお詫びした方が
と言うか言わないかのうちに、島崎さんが怒った。
「坂本さんに、余計な事を言わないでくれる!!坂本さんは、あの時に私が謝ったら、子供のした事だからって言ったんだから!あなたが、話しを持ち出して、もし弁償になったら、どうすんのよ!」
驚いた。
と言うか、島崎さんは、高いものだと知ってたのか。
それに驚いた。
ココちゃんを殴ったのも、払いたくないパフォーマンスだったの?
>> 93
慌てて、島崎さんを見た。
すると、島崎さんは「旦那さん、どうだった?ホンマに、私も気になってやんか。ウチの旦那もな、ホンマに悪いと思って、坂本さんの旦那さんがおるときにでも家にお詫びに行こうと思ってたんや」
私の時とは、全く正反対の事を言う。
飽きれてしまった。
坂本さんは、笑いながら「いいの!いいの!」と言う。
「あれね、壊したのまーくんだったって、旦那に話してるから、気にしないで!」
すると、島崎さんが「そんなのあかんって。ウチのココが壊したのに。まーくん、怒られたやろ?」と、さも心配してる様に聞く。
「ううん。旦那はね、お!まーくんもガンプラ好きなのか!って喜んでたから、心配ないよ」
みんなから、坂本さんの旦那さんは、子煩悩で優しいパパだね!と言っていた。
>> 99
あのママさんの食材が読み上げらると、
島崎さんがイライラしたように「もたもたしないでよ」と言い出した。
みんなが探すのをなんとなく、止めた。
手伝っては、いけない雰囲気。
本人だけ焦って、食材を探している。
内田さんを見ると、内田さんは隣りのママとおしゃべりしてて、気づいてない様子。
いや、ワザとかも…?
わからない。
読み上げる、スミスさんも、食材が見つからずに先に進まないのでイライラして、キツイ口調になっていった。
「そこじゃない!牛乳は、こっちでしょ!」
島崎さんも合わせる様に、「全く、迷惑なの分からないの」
隣りのママさんに向かって「手伝ってもらえないの、嫌われてるからって気づかないのかしら」、聞こえるか聞こえないかの声で言う。
まるで小学生のイジメを見てる様だった。
次の生協から、島崎さんを無視して、積極的にそのママさんに話かけた。
太郎も抱っこからオンブに変えて、食材運びや仕分けも率先してやり始めた。
誰も手伝わなかったのに、私がやり始めると、坂本さんや山崎さんも手伝い始めた。
島崎さんは、面白くない様子。
誰かの家に集まった時、私が話していると、島崎さんが全然違う会話をはじめて、横取りしてしまう。
嫌がらせ?
笑える。
本当に、子供ぽい人だと思った。
スミスさんから「初節句は、どうするの?」と聞かれた。
旦那は本家の長男。
けど、夏に法事で、旦那の実家に行くから、節句は特に何も言われてない。
ウチの実家は、結局、母が二度の手術をしたから、今回は帰省しない。かわりに、お祝いのお金を送ってくれた。
そう話していると、島崎さんが珍しく会話に加わってきた。
「そうやねん。旦那の実家って、何にもしてくれない!」
>> 102
ココちゃんの初節句に、島崎さんの親は雛人形とココちゃんの着物を買ってくれたという。
私は、着物はさっぱりわからないけど、どうやら有名なところで仕立てたらしく、年配の山田さんが驚いていた。
「少なくても100万円はするでしょ?」
「ウチのママは、私が小さい頃にも同じように買ってくれた。なのに、旦那の親は、たった10万円しかくれへんの!ケチやろ~。ひな壇の一番上の段しか買えないわ。五人囃子は、どうすんねん。お雛様と一緒にのせろって、いうんか」
ウチの親がくれたのも10万円なんだけど。
というか、母は、入院して仕事も辞めて大変な時なのに、お祝いを用意してくれて、すごく感謝の気持ちでいっぱいだった。
10万円じゃ足りないって、どんだけ…
思わず「島崎さんって、働いた事あんの?」と聞いてしまった。
ちょっと嫌な顔をした。
するとスミスさんが「ないない。この人、お嬢様だもん」と笑って言った。
どうやら関西では有名な老舗のお店の一人娘で、学生時代にデキ婚したから、働いたことがないらしい。
なるほどな!だからワガママなのか!
そうだよな、普通、社会人の経験してたら、こんな風にならないよな。変に納得してしまった。
>> 105
太郎と同じ時期に生まれた山崎さんの息子が、調子悪く、入院することになった。内田さんが、上2人の子供を預かっていた。
山崎さんもいないからなと思って、あまり集まりに参加しなくなった。
ある日、ベビーカーを押して、マンションの前まで来たら、知らない女性二人から声をかけられた。
愛想がよく、感じがよい。
「あのね、私たち、育児サークルをしてて、そのチラシを配りに来てるんだけど、もし良かったら、あなたも入ってみない?」と誘われた。
話を聞くうちに興味が出てきた。
すると、「これから集まるんだけど、よかったら来てみて」と言われ、車に乗った。
新しい友達をつくればいいや!って思った。
>> 106
あれ?おかしい?と気づいたのは、車がついてからだった。
大きなお屋敷みたいな個人の家。
サークルだよね?
公民館とか児童会の広場だと思ってたから、ビックリした。
部屋に通されると、50代くらいの女性がいた。
「私たちがやってる団体はね…」
長い名前なので忘れてしまったが、通常「朝起き会」と呼ばれる団体だった。
なんだ!宗教か!と思ったが、絶対に宗教じゃない!と言い張る。
自民党に公認されてるんだ!と主張し、この名簿に名前を書けと迫ってくる。
- << 127 初めまして😄 ヨコレスすいません💣 楽しく読ませていただいてます💡 ママ友との付き合って大変ですよね😣 ところで…朝起き会のお話が書かれていましたが、私は会友です😄(両親がやってるので2世です) 大阪の会友サンの進め方や話を読んで、かなりビックリしました。 しかも断ってるのに拘束とかホント悲しくなりました。 (私が集ってる会場はそうゆうことがないです) こんな進め方をしているから、関西の方は普及していってないんだなっと勉強になりました。 これからも更新楽しみにしてま~す😄✋
>> 107
会の説明をされた。
子育てについて、言ってる事は、理論的に正しい。
けど、強制的に名前を書かせようとは、明らかに怪しい。
自民党を強調するところも、ますます怪しい。
最初は柔らかく「帰って旦那に相談する」と言って断わろうと思ったが、帰させない。
そのうち、太郎がグズグズし始めて、帰りたがっても、帰らせない。
おかしいだろ。子育てについて、良い事ばかり言ってるのに、実際は子供が泣いても無視かい!
今度は、強気で断わった!
おかしい!子供が泣いてるのに!言ってる事が違う!
相手は言い訳しはじめたが、それは言い訳だ!と指摘すると、今度は泣き落としにきた。
名前だけで、いいの!お願い、名前だけ、貸して欲しいの。
迷惑かけないから。
よく創価学会の人が名前貸してと頼むのと似てる。
やっぱり宗教じゃん!嘘つくな!
時間はわからない。たぶん3〜4時間は拘束されただろう。
子供がいなければ、無視して帰ったけど、赤ちゃん連れで知らない場所。
下手に動けなかった。
結局、名前は書かなかった。
こんなに頑固で人の言葉を受け入れないなんて、あなたは最低な母親になるわ!
捨てゼリフを吐かれた。
>> 109
夕飯は、簡単にできるカレーだけ。
おかずは、作る気は起こらない。
旦那が帰ってきて「ゴメンね、おかず無くて。実はさ」と話すと、思いがけない答え。
「入れば良かったのに」
「え?」
「だってお前、大阪に友達いなくて、欲しがってだろ?感じの良さそうな人なら、入って仲良くすればイイだろ」
意味わからない。だって、勧誘とかあるんだよ?宗教みたいなんだよ?
「いやだから、それは適当に話しをあわせればいいんだよ」
本気で言ってる?私だけじゃなく、太郎にも影響あるのに。
ふざけてるのか、なんなのか。
とりあえず旦那に相談しても解決にはならない事だけは分かった。
無性に地元に帰りたくなった。
>> 110
すると、不思議な事に久しぶりに地元の友達から電話があった。
子供生まれてからは、もっぱらメールばかりだったから、声が聞けて嬉しい。
「久しぶり。突然で悪いんだけど、来週の土日に彼氏と一緒に大阪に行ってもいい?太郎にさ、会いたくて。出産のお祝いもしたいしさ」
めっちゃ嬉しい!
久しぶりにいろいろな話ができる!
「でさ…ちょっとお願いがあるんだ。彼氏にさ、旦那さんとみずきのね、ラブラブ姿を見せたいんだよ。そしたらさ、彼氏も結婚する気が起きるかもしれないじゃん。いや、もちろん太郎に会いに行くのが一番の目的だけどね!」
なんと!そういう事か!
友達のアイは昔から結婚願望が強い。同じ年齢の彼氏は、30歳までしたくないと言ってる。
彼氏をその気にさせたいのか、考えたな!
いいよ!いいよ!
アイが結婚してくれた方が嬉しい。子供の事、ママ付き合いの事で、早く悩みを共有したい!
絶対、結婚できるように、頑張るわ!!
>> 111
次の日、外に出ると、マンションの駐車場で、子供を外遊びさせてるスミスさんに呼び止められた。
「ねぇねぇ、昨日さ、もしかして朝起き会の人に誘われてなかった?」
ビックリした。なんで、知ってるの?
「やっぱりね、話してて、大丈夫かなって心配してたら、車に乗りこんでたから。あの人たち、有名だよ。で、どうした?入会したの?」
「入らなかったよ。だって育児サークルと言われたのに、違うんだもん」
「へぇー断ったんだ!すごい、しつこいでしょ?あ!木下さ~ん、こっち来て~。田中さんも勧誘されたんだって、さ」
デカイ声で叫ばれて、みんなに騙された事がバレる。恥ずかしい。
木下さんがやって来た。
木下さんとは、私が初めて内田さんの家に招かれた日、引っ越してきたばかりで、同じく初めて招かれたママさんだ。
木下さん…初めて友達になった人だった。
>> 112
木下さんは、小柄で華奢な体型、目がぱっちりして可愛い顔。
みんなの輪に入って、おしゃべりには参加しない。
一人息子につきっきりだから、てっきり心配性の大人しい人だと思っていた。
「もしかして、その人の家って、大きな家で庭に池があって、鯉がいた?」
「鯉がいたかは、見えなかったけど、うん、大きな家で庭もあって、蔵もあったよ」
「どこだったか、場所、覚えてる?」
すごく熱心に聞いてくるから、驚いた。
私が答える前に、「昨日だったら、覚えてるよね!私と一緒に車できて!!スミスさん、ウチの子、見てて!」
えぇ!
と驚いてると、「太郎君も、スミスさん、預かって!二人の方が早いから!」
いや、太郎、母乳だから…
太郎とは、一度も離れた事がない。旦那にすら預けた事がない。
「長くても1時間くらいだから、大丈夫よ!」
力強く言われて、勢いでそのまま太郎を預けてしまった。
二人で、車に乗り込み、朝起き会の人の家探しに出発した。
っていうか、何で?
>> 113
木下さんは、顔に似合わず運転が荒っぽい。
それに、こんなに行動派の人なのか…と驚いた。
昨日だから覚えてるでしょ、と言われたが、全然わからない。
土地勘がなく、普段は車を乗らないから、さっぱり分からなかった。
「私も、先週ね、連れていかれたの。ずっと帰してくれなかったから、名簿に記入しちゃったんだけど。旦那にも怒られて、私もまずかったと思って、ずっと家を探してたのよ。途中までは、分かったんだけど…」
そういいながら、飛ばす。
いや…私、お役に立てないかもしれないと思いながらも、気持ちは分かるなと思った。
「ここまでは、覚えてるのよ」
高級住宅街。
のちのち、この場所は関西の芸能人やら、お医者さんやら、お金持ちがたくさん住む有名な地域と分かった。
似たような大きな家が建ち並ぶ。
「ここの角を曲がったのは、覚えてるの。近くだと思うけど、どの家かが分からなくて」
車を路駐して、外を歩いた。
確かに見覚えはある。
ウロウロした。
けど、どの家も同じに見える。特徴がない。
>> 116
家に戻ると、内田さんが太郎を抱っこして、マンションの下で待っててくれた。スミスさんも隣りにいた。
スミスさんではなく、内田さんが抱っこしてくれてて、ホッとした気持ちになった。
ありがとう。大変だったでしょ?
「全然。太郎くん、泣かずにイイコしてたよ。私も久しぶりに赤ちゃん抱っこできて、すごく嬉しい。この赤ちゃんの匂いも久々」
ニコニコしながら、全然嫌な態度をとらずにいてくれる。
すると、「ねぇ。田中さんちって、旦那さん、土日の出勤も多いし休みがなくて、大変でしょう。もし病院とか美容院とか買い物とか、何か困った時は、私が預かるから、いつでも言ってちょうだいね」。
すごく嬉しかった。
特に、美容院は半年以上は行ってない。切迫早産もあったし、その後、生まれてからは預ける場所がなかった。
え?いいのかな…。
すると、スミスさんが「そういえば双子ちゃんのママも、1年以上、美容院に行ってないって言ってたわ。みんなで、子供たちを見てるから、一緒に行けば良いわよ」
内田さんが「けど、双子ちゃんのママは運転できないって言ってたわ」
と言うと、
スミスさんが「じゃあ、木下さん、あなたも一緒に行きなさいよ!今日、田中さんにお世話になったんだし!」と言って、やや強引に、木下さんの車で、今度は三人で美容院に行くことになった。
その帰り道、驚く話を聞いた。
>> 117
その2日後。早速、美容院に予約を入れてくれて、三人で出発した。
「遠慮しないで、パーマやカラーもしておいで」と送り出してくれた!
けど、木下さんは、なんだか不機嫌そう。
そりゃそうだろうな。
私や双子ちゃんママは、預ける人が誰もそばにいないけど、木下さんは大阪出身で実家が近くにある。行こうと思ったら、いつでも行ける。
ちなみに木下さんは、転勤で福岡に4年いた後に、大阪に戻ったという。関西弁ではなかった。
「ごめんね。運転してもらって」
イヤイヤ来たのかな、と思って謝ると、
「え?全然。私、他人の運転だと酔うから、運転する方が好きだし、気にしないで」
と言ってくれる。
けど、何か不機嫌そうだった。
美容院の帰り道、急に木下さんが「子供さ、預けて心配じゃない?」と言い出した。
双子ちゃんママと顔を見合わせる。
なんで?
全然、心配じゃなかった。
「あの人たちさ、子供の事、全然見てないと思わない?」
>> 118
・・・。
「子供たち、別々に動き回って、それに手いっぱいだから、気がつかなかった」
双子ちゃんママが言う。
「私も、ずっと太郎抱っこしてるからな」
双子ちゃんママに合わせて、私もあいまいに答えた。
何か、あるんだろうなと思いつつも、下手に同意して、もし悪口に発展して、変なトラブルに巻き込まれたら…と考えると、知りたくても迂闊に同意できない。
けど、知りたい。何なの?
「そっか。まぁ、そうなんだね。分かった」
木下さんは、話を切り上げた。
ちょっと待って!続きはなんなの。
気になるじゃん。途中でやめないで。
「でもさ、他の人が見てなくても内田さんがいるじゃん」と私は言葉を続けた。
内田さんは、本当に気配り上手だ。みんなの事を見てるからこそ、こんな気配り上手なんだと思っていたから、子供の事もちゃんと見てると思い込んでいた。
すると、木下さんの声の調子が変わった、ようにみえた。
「内田さん、全然みてないよ!」
語気荒く言われて、驚いた。
>> 119
そうなの?こうちゃんの方?
内田さんの上の子・カオリちゃんは、子供の中では最年長でしっかりしてる。弟くんの、こうちゃんの事かな?
「いやいや、二人ともだよ。・・・カオリちゃんは、他の子をイジメてるし、こうちゃんだってイタズラして、バレないうちに逃げちゃう。内田さんは、自分の子供の事、全然分かってない」
イジメ
バレたら逃げる
ピンとこない。だってまだ5才と2才の子供だよ。
イジメられてるって、誰を?
「スミスさんの上の子、エリカちゃんだよ。山崎さんの長女と一緒にね。他の子にも意地悪してるけど。気づかなかった?」
カオリちゃん、エリカちゃん、山崎さんの長女。この3人は、いつも一緒に幼稚園に行って、仲良しのイメージしかなかった。
「それに、こうちゃんは本当に逃げるのが上手くて。坂本さんのガンプラを壊したのも、きっとこうちゃんだと思う」
ええぇ!!!
ココちゃんじゃないの!
あれだけママに怒られてたのに。
>> 121
「え。それならココちゃん、間違えて、ママに怒られたの?」
「ココちゃん、早生まれだからね…。他の2才児に比べると、損するのよ。こうちゃんは、もうすぐ3才になるでしょ。2才になったばかりのココちゃんとは、全然違うと思うわよ」
早生まれ。
そんなに違うの?
太郎は、内田さんの家でおとなしく待ってた!
「太郎君、ほとんど寝てて、良い子だったよ。全然、大丈夫だから、いつでも預かるね!」と言われた。嬉しかったが、ちょっと微妙な気持ちになった。
次の土日に、地元の友達のアイが彼氏と共にやってきた。
「はい!太郎に!」出産祝いに、コムサのベビー服を貰った。
「みずきは、シンプルな服が好きでしょ」
さすが、友達だから、好みをよく分かってる。
「はい!こっちは、みずきに」
私にも、プレゼントが。
「頑張ってるママに!」
私の好きなブランド服だった。
>> 122
「え。それならココちゃん、間違えて、ママに怒られたの?」
「ココちゃん、早生まれだからね…。他の2才児に比べると、損するのよ。こうちゃ…
ウルウルっときた。
大阪では売ってないブランド服。
東京に住んでいた頃は、仕事帰りに、暇さえあればショップに寄っていた。
新宿のマルイにある。
ここの店か渋谷、銀座の三店舗だけ、限定服が売ってる。
ショップ店員さんと仲良くなって、情報を仕入れていた。
すごくハマってた服。
諦めていた。
買ってくれたんだ・・・。
それに、私が好きなの覚えててくれたんだ・・・。
感激した。
- << 129 ラブラブ姿を見せつけて!と言われたが、そんなの恥ずかしい。 けど、何か協力したい。 ご飯をたくさん作って、もてなした。 「うわ〜旅館のご飯みたい。赤ちゃんいるんだから、無理しなくていいのに」 アイも彼氏も、遠慮しながらも喜んでくれた。 アイの彼氏は、一言でいえば好青年。 外見は爽やか。性格は優しい。けど仕事もできる、しっかり者。 旦那も、すごく気に入っていた。 太郎を抱っこした、アイの彼氏は嬉しそうだった。 この人、良いパパになりそうだ〜。 アイの彼氏は、地方出身で、大学は大阪、就職は東京だ。 引っ越し前から、「大阪は本当に住みやすい場所だよ。人情味があって、優しい人がいっぱい」と言われていた。 「どう?大阪?」と今回も聞かれた。 けど、周りの人は転勤族て、日本全国いろいろな地域から来てるから、よくわからない。 とりあえず、ベビーカーで買い物をしてると、大阪のおばちゃんに必ず話しかけられる。 可愛いわね!と言いながら、最後には「若い親の虐待が多いからね!あんたは、したらアカンよ!」となぜか怒られる。
>> 126
ウルウルっときた。
大阪では売ってないブランド服。
東京に住んでいた頃は、仕事帰りに、暇さえあればショップに寄っていた。
…
ラブラブ姿を見せつけて!と言われたが、そんなの恥ずかしい。
けど、何か協力したい。
ご飯をたくさん作って、もてなした。
「うわ〜旅館のご飯みたい。赤ちゃんいるんだから、無理しなくていいのに」
アイも彼氏も、遠慮しながらも喜んでくれた。
アイの彼氏は、一言でいえば好青年。
外見は爽やか。性格は優しい。けど仕事もできる、しっかり者。
旦那も、すごく気に入っていた。
太郎を抱っこした、アイの彼氏は嬉しそうだった。
この人、良いパパになりそうだ〜。
アイの彼氏は、地方出身で、大学は大阪、就職は東京だ。
引っ越し前から、「大阪は本当に住みやすい場所だよ。人情味があって、優しい人がいっぱい」と言われていた。
「どう?大阪?」と今回も聞かれた。
けど、周りの人は転勤族て、日本全国いろいろな地域から来てるから、よくわからない。
とりあえず、ベビーカーで買い物をしてると、大阪のおばちゃんに必ず話しかけられる。
可愛いわね!と言いながら、最後には「若い親の虐待が多いからね!あんたは、したらアカンよ!」となぜか怒られる。
>> 129
最初は虐待する様な容姿に見られているのかと、やや落ち込んだ。
けど、トイレ事件で見方が変わった。
太郎をベビーカーに乗せて、スーパーのトイレに行ったが、そこはベビーカーが入れる広さでは無いし、和式だから太郎を抱っこしたままトイレにも入れず、困っていた。
すると、困っていたのが分かったのか、お喋りに夢中になっていたおばちゃん二人が、「私たちが抱っこして見てあげるから、はよ〜行ってき!」と言ってくれた。が、知らない人に預けていいものか迷ってると、「遠慮したら、アカンで!」と。言葉使いでは怒っている様に聞こえていたが、それが優しさなんだと気付いた。
子供がいると、今まで普通に出来ていた事が出来なくなる。
>> 130
エレベーターがなく困っていると、「運んであげるで!」とベビーカーを持ち上げて、階段を下りたサラリーマン。「うちもな、同じくらいの子がおるで!」。
子供がいると、困ることも多いけど、たくさんの人の優しさに触れた。
自分も、困っている人がいたら、助けてあげたい!
自然にそう思える様になった。
「へぇー。やっぱり大阪って、優しい人が多いんだね」
感心するアイ。
アイの彼氏と旦那が話している時に
「実はね、結婚したら私も大阪に住むかもしれないの。彼氏さ、子供は自分の地元で育てたいって言ってるんだけど、田舎だと仕事がないかもしれないじゃん。それなら第二の故郷の大阪が良いって言ってて。みずきがさ、大阪でどんな生活をしてるのか、知りたかったんだ」
順調に結婚の話しが進んでいるのは嬉しかったが、そんな話しになっていたとは!
「え?でも、ウチは二年で東京に戻るって言われてるし。私も、戻ったら、太郎は保育園に預けて働くつもりだよ!」
私は仕事が好きだ。結婚する時の唯一の約束が、仕事をしたいと言う事だった。
なのに、まさか、こんなに長い間、専業主婦でいるとは思わなかった。
アイと彼氏は、一泊して、帰った。
次の日、木下さんを見かけたので、早速、話しかけた。
この土日、旦那さんと一緒に朝起き会の人の家へ行くと聞いていた。
「どうだった?名簿から名前を消してもらえた?」
「うん。それがさ…。旦那が一言いっただけで、『あらっそうですか、残念だわ~』って、アッサリ、名簿を消したのよ」
「えぇ!マジで!あれだけしつこく勧誘してきたのに!」
「そうでしょ!ムカつくわよね!旦那もさ、『なんだよ、お前、すぐに消してくれたじゃないか』って。まるで、私が悪いかの様に言ってきてさ」
「うわ、ムカつく!あれだけ長い時間、拘束したのに、男が言えば、そんな反応なの」
だったら、私も名簿に書いて、後で旦那に言ってもらえば良かった。
ムカムカした。
けど、何事もなく名前を消してもらえたから良かったと結論づけた。
>> 132
木下さんは顔に似合わず、サバサバしていて、話しをするのが楽しかった。
天気が良い日が続き、マンションのママさんたちは、夕方になると子供に外遊びをさせる事が多かった。
太郎は、まだハイハイもできない。外では抱っこしながら、外気浴がてら木下さんとお喋りしていた。
ふと、あの生協のママさんを見かけた。意地悪をされて、やめてしまってから会っていなかった。
慌てて、木下さんに「ちょっとゴメンね」と断って、生協のママの元へ走った。
「お久しぶりです!」
マンションに入る前に引き止めた。
「なかなか生協で会わないから、どうしてるのかなと思って」
「ああ、私、もう生協やめたのよ」
やっぱり…やめたのか。
「ほら、生協って高いでしょ。私も子供が幼稚園に入ったから、短時間のパートに出始めてね。帰りに買い物に寄れるし、生協は使わなくて大丈夫になったの」
「え!働き始めたんですか!」
そうだったのか!!
てっきり意地悪されて、やめてしまったのかと思っていた。
ちょっとホッとした。
「頑張ってくださいね!」
>> 133
事情が分かって、気持ちが軽くなった。
木下さんの元に戻った。
「どうしたの?」と聞かれた。
どうしようか迷ったが、本音で話す事にした。
アイの彼氏から、大阪人と付き合うなら上辺の付き合いじゃなく、本音を話した方が良いとアドバイスを貰ったのを思い出した。
あのママさんと偶然会ったこと。
内田さんとの確執を聞いたこと。
島崎さんの意地悪を見たこと。
責任を感じた。けど、上手く庇ってあげられなかったこと。
でも、働いてる事が分かって、今は安心したこと。
木下さんも、生協に入ってる。
「気づかなかった…。本当に、そんな事があったの…」
木下さんは、地元だし、車を持ってるから、毎回、生協を利用するわけではない。
気づかないのも、無理はないなと思った。
が、反面、そんなにみんな周りを気にしてるわけじゃないのかもしれないとも思った。
翌日も、その翌日も、木下さんは外遊びにこなかった。
どうしたんだろうか?
本音を話したばかり。
もしかして、ネガティブなことを話したから、嫌がられてしまったのかな・・・
被害妄想もでてきた。
いやいや、そんな事ない。きっと子供が熱出したとか、そんな事だ、きっと。
こんなんだったら、メアドを聞いておけば良かったな。
一週間後。
夕方、外遊びをしていると、「田中さ~ん」と木下さんが駆け寄ってきた。
「田中さんにずっと連絡しようと思ってたんだけど、連絡先聞いてなくて・・・ごめんね」
嫌われてない。ホッとした。
「そうそう、私も聞けば良かったと思ってたところだったの。ずっと外遊びにでてこなかったけど、どうしたの?子供さん、病気だった?」
「違う違う。あのね・・・あの生協のママさんとウチで遊んでたのよ!田中さんが言ってた通り、あの女の子はしっかりして良い子だね」
一緒に遊んだって・・・。
急展開の話で、驚いた。
「坂本さんと、山崎さんも一緒にね!田中さんも連絡先知ってたら、呼びたかったんだけど、急に決まったから・・・」
坂本さんと山崎さんも!!
驚いた。
だって、あの二人は、内田さんに近いところにいるのに。
大丈夫なの??
>> 135
詳しく聞いた。
木下さんと、生協のママさんは同じマンション。
うちは違う。隣りのマンション。
朝、幼稚園に送っていくところに偶然会った木下さんは、遊ばないかと声をかけた。
パートの仕事がない日に遊ぼうと約束。
木下さんちは男の子。
女の子がいた方がいいと、同じマンションの山崎さんを誘ったら、下の男の子の体調が悪いから、上2人の女の子だけ遊びに行かせたいと言う。
了解したが、女の子3人と男の子1人になってしまうから、坂本さんも誘った。
「みんな、おしゃべりに夢中にならずに、ちゃんと子供を見てる人ばかりだから、良かったわよ~」と嬉しそうに話した。
木下さんの行動力に感心したが、内田さんのこと気にならないのか、不安になった。
「田中さんも呼びたいと言ったら、みんなも良いよ~って言ってたから、良かったら、今日、遊びにきて!」
「あ!あとね、今日は山崎さんがダメなんだって。女の子が一人もいないから、島崎さんを呼ぼうと思ってるんだ」
島崎さん!
そ、それはいくらなんでも無理だろう。
だって、いじめた張本人だよ!!!
>> 136
「え!それはマズイんじゃないの?」
慌てて止めた。
「え?なんで??」
「なんでって・・・」
木下さん、天然なのか、無謀なのか。
「いや、だって、いじめた張本人だよ。無理でしょう。それに内田さんに言いつけそうじゃん。やばいよ」
「島崎さん・・・あの人だったら、大丈夫でしょう。坂本さんも、山崎さんもいるんだし」
「え・・・?なんで?」
「え?分からない?・・・だってさ、あの人、強い人がいれば、それにつく人でしょ。あの二人(坂本さん山崎さん)が味方についてると思えば、絶対に、こっちに入ろうとするよ」
自信たっぷりに言う。
島崎さん。そうかもしれない。
自分の保身のため、パフォーマンスで娘を殴る人だ。
内田さんよりも、こっちの方が良いと判断したら、裏切るのも全然平気だろう。
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