忘れたいのに忘れられない。。。
人生には、忘れたくても、忘れられないことがあるものだ。
忘れられないために、苦しむ。
まさかの夫の不倫から、裁判まで。
長い長い、そして忘れられない苦闘の日々。
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娘から携帯を受け取る。
私「ちゃんと謝っていただけたんですか?」
高田「子供を出すのはどうかと思いますけど。」
たぶん、娘に「赤ちゃんじゃないんだから、自分の頭で考えたらどうですか?」と言われたのが相当堪えたんだろう。
そして、この娘の言葉が、後々私を助けることになる。
私「子供は一番の被害者じゃないでしょうか? 主人も悪いけれど、娘はあなたのせいで、殴られたって思ってるわけですから。」
お店に残っている母から、何度も電話が入っていた。
まだまだ話したりないが、待たせるわけにもいかない。
私「ちょっと行かなければならないので、とりあえず電話を切ります。」
すっきりしないまま、電話を切り、お店の中に戻った。
食事が終わり、姉家族と別れ、母と子供達と共に実家に帰った。
翌日は祝日で子供達は休み。
しかし、私は仕事だったため、子供達を実家に預け、私一人が自宅に戻った。
高田里香にはまだまだ話したいことがたくさんあった。
聞きたいこともたくさんあった。
幸い、子供達もいないので、電話もできる。
ただ、出るだろうか。。。。
自宅の固定電話だから、出かけていたら出られないし。
初めて、高田里香と電話に出た時、私は現実でない気がした。
この女が夫と。
その女と私が会話をしている。
本当に、この女は夫と不倫していたのだろうか。
うまく表現できないが、現実じゃない、冗談なんじゃないかという思いがあった。
きっとまた話したら、私の知らない真実が出てくるだろう。
私はまた衝撃を受けるのだろう。
でも、これは起きてしまったこと。
過去は変えられない。
受け止めるしかない。
受け止めるのには、辛い現実だが。
受け止めるしかない。
前に進むしかない。
高田里香に電話をする。
「もしもし。。。」
電話に出た。今のところ、逃げるつもりはないらしい。
私「まだお尋ねしたいことがあってお電話しました。私は、今回のことで眠れないし、食べれないので、すっかり痩せてしまって。私は子供達のこともあるし、仕事もあるんですよ。ちゃんと本当のこと話してください。主人はあなたの家に行ってましたよね?」
高田「いいえ。来たことはありません。」
私「でも、ごはんのタイマーかけてきたからねってメールしてましたよね?お友達の家で、ご飯のタイマーかけますか?」
高田「・・・メール、全部読んだんですか?」
私「ええ、読みましたよ。」
高田「じゃあ・・・そうです。」
私「何故、嘘をつくんですか? 主人にそう言うように言われたんですか? それとも、私が家に踏み込むのを避けるためですか?」
高田「・・・後者のほうです。」
不倫できる女だけあって、保身のためには平気で嘘をつける女らしい。しかも、私を「あなた」と呼んだ。私は「奥さん」なんだけど。
私「夫は、職場も首になって夜のバイトをしているんですよ。飲食に浪費して、どこにもこれ以上借金できないほど借金をかかえていて。」
高田「とても、そんなふうには見えませんでした。派手に飲食する仲間がいて・・・私はお金がないから、その仲間ではなかったけれど。夜の仕事がとは話していたけれど、そんな仕事だったのは知りませんでした。」
私「私は正直、もう主人には未練がないの。借金がすごいから、たぶん月に100万くらいかかるし、主人は夜のバイト以外は無職だから、収入はないけれど。借金や荷物と一緒に引き取ってもらえたら、それでもういいんだけれど。」
高田「そのくらいの金額なら、頑張ればなんとかなるかも・・・」
私「じゃあ、荷物も送りますから。考えておいてください。」
ガタン
物音が電話口から聞こえた。
私「え?」
高田「こんなこと言える立場じゃないですけど、先月から私も痩せてしまって。
ちょっと椅子から落ちました。」
なんで、高田が痩せなきゃならない? 高田は痩せた理由については話さなかったし、私も尋ねなかった。
この本題と全く関係ないようなやり取りが、いずれ私を救ってくれることになるとは、この時は私も気が付いていなかった。
さて、、、どうしよう。
夫は自分のやりたいことは、意地でもやり通す人だ。
周りの人に迷惑かけることなんか全く気にしない。
夫の荷物がある限り、それを口実に家に扉を壊してでも入ってくる、必ず。
まずは、荷物をなんとかしなきゃ。
高田が夫の引き取りを拒否したら?
本来なら実家だ。
でも、あの気性の激しい姑のことだし、元々自分の息子なのに、私の実家に面倒は押し付けて、知らん顔だった。
今回も、いくら事情を話しても、荷物も引き取らないだろう。
母も無理矢理にでも押しはいってくるだろうし、その結果、暴力をふるってくることを懸念していた。
母は元々、夫の尻拭いを押し付けておきながら、知らぬ存ぜぬの姑と関わるのを嫌がっていたが、私や孫たちに危害が及ばぬようにと電話をして頼むと言ってくれた。
母が頼む話ではないのだが。
私「もしもし・・・」
姑は、私にしゃべらせまいとするかのように、いきなりまくし立てた。
姑「もう、里香子さん達だけ幸せになってくれていいから。三人だけ幸せになって!あいつは、野垂れ死ねばいいから!この恩知らずが!!」
私は圧倒されて、言葉が出なかった。
姑の言葉をどう受け取っていいのか。
別れていいと言っているのか。
自分の息子の不始末で、大変になっているのだがー。
姑という立場の人としては当然の発言なのかもしれないが、息子の不始末を詫びるような感じは全くなかった。
もともと恐ろしいほど勝ち気な人なので、責めるような言葉を言わなかっただけ、まだ良かったかもしれない。
だが、その語調は、私を責めているようなものだった。
私「でも、そちらが受け入れて下さらない限り、どんな手を使ってでも、家に来ますから。」
姑「とにかく、一度ゆっくり話しますから。」
姑は、激情型で自分中心を絵に描いたような人。
おまけに、勝ち気なので、何が何でも頭を下げるようなことは死んでもしない。
母が呆れて言った。
「息子が嫁さんから連絡あったら実家に泊まったことにしてくれと言われたりしたけれど、ただの一度も泊まりにきたことはありません!」と姑が言っていたと。
夫のアリバイ工作だったのだろうが、それをここで暴露するのは、何のため?
自分が息子の不倫を援助していた、いわば公認だったと言いたかったのか?
息子のきたないやり方をともに罵ったことにして、自分が私達の仲間だとアピールしたかったのか。。。
単に興奮して、やたらとしゃべりたかったただけなのか。
姑の意図は全く分からなかった。
とにかく、自分が非難される側にたたされたことが負けず嫌いの姑は、許せなかったんだとは思う。
翌朝。
その冬は、新型インフルエンザが流行り、検温して、記録して登校するきまりになっていた。
朝は低体温の息子は36℃ないのが日常。
ところが、37℃だった。
微妙な発熱。
ふと見ると、左右の差がはっきり分かるほど、片側の首が腫れていた。
私「あーこれ、おたふくかもね。予防接種したのにね。今日は休まなきゃダメだ。」
幸い、仕事は休み。
すぐ近くの掛かり付けの病院へ行った。
私「おたふくじゃないかと思うんですが。」
先生は何故か非常に冷静にゆっくり話した。
「お母さん、これね、おたふくと全然場所が違うのよ。」
私はおたふくにかかったことがない。
私「えっ???」
先生「紹介状書くから、すぐに大学病院行って。悪性リンパ腫の可能性もあるから。」
・・・?
悪性リンパ腫?
頭がまっ白になった。
息子「ママー。僕、立てない・・・」
私「え?」
一年生と言っても、息子は身体が大きい。
おぶってはいけない。
私「ママ、急いで車取ってくるから。」
先生「僕の駐車場があるから、そこにとめなさい。それまで、ここで息子さん預かっておくから。早く行って!」
息子が心配なのと、気が動転しているのでまごつく私を先生は急ぐように促した。
電話をかける。
「留守番電話に接続します。」
再度、電話。
「留守番電話に接続します。」
やはり、女のところなのか。
嫌だけど、夫に連絡つけるためには高田里香に電話するしかないのかも。
この世で一番話したくない人間。
でも・・・
高田里香に電話をする。
やはり、出なかった。
故意に出ないのかもしれない。
仕方なく、留守番電話にメッセージを残す。
「息子が大病を疑われ、今から大学病院に行きます。夫を出してもらえませんか?」
ほどなく、夫から電話がかかってきた。
「悪性リンパ腫かもしれないから、急いで大学病院に行けって。もう、歩けないって。もう・・・ダメなのかも・・・」
「病院に行くから。何科なんだ?」
「行ってみないと分からない。」
「まず、リンパ腫ではないと思います。エコーでも、これだけボコボコありますからねー。入院と思ったんですが病室の空きがないんですよ。ご自宅も近いですから、何かあったら救急で来て下さい下さい。
ただ・・・血液検査の値が悪いんですよね。これは、ほっとけない。」
「そうですか・・・」
ホッとしたような、でも、やはり悪いことには変わりなく、なんとも言えない気持ちだった。
でも、息子は死なない、たぶん。
それが何よりありがたかった。
何故、子供達ばかり辛い目にあうのだろうか。
漠然と、何の根拠もないのだが、高田里香の怨みの気がした。
高田里香にとって、子供達は何より邪魔な存在。
例え、私と離婚しても、夫とは一生親子であり、高田里香はそこには一切立ち入れないのだから。
夫とは病院で別れた。
自宅に戻り、息子の熱を計ると39度を越えていた。
様子が分からないのは心配なので、居間に寝かせた。
熱が高いのは脱水症状?
水分を取らせようとするが、一切受け付けない。
もちろん、食べ物は全く受け付けない。
食べるのが大好きなのに。
本当に入院しなくて大丈夫だったんだろうか。
とにかく、しばらく学校も、私も仕事は無理だ。
学校の担任の先生から電話があった。
「桑原くん、皆勤だったから、どうしたのかと思って。」
「私もおたふく風邪だと思ってたんですが。一応、悪性ではないようなので。でも、当分、学校には行かれないと思います。」
そう話しながらも、学校に行ける日が来るのか不安で仕方なかった。
夫は、もう終わったから、二度と高田里香には関わらないと言った。
ちゃんとやるから、見ていてほしいと言った。
だけど、散々騙された私は、また騙されて傷付くのが恐怖で、ただ怖くて仕方なかった。
インターネットで、不倫に関するサイトを見た。
何故、不倫をするのか、等々不倫に関することを知りたかったからだ。
自分の不倫を赤裸々に当たり前のように書いているブロガーに、疑問を批判でなく冷静に尋ねたこともある。
不倫で検索し、よく行き当たるのは探偵だった。
だが、探偵を雇うようなお金がないとあきらめていた。
だが、ある日「相談無料」の文字に動かされ、フリーダイアルに電話をした。
感じのいい女性が応対してくれた。
「一度、相談員と直接会ってお話してみて下さい、契約しなくても構いません」と言われ、私の連絡先を伝えた。
相談員である小田さんは、気さくで話しやすい方だった。
姉御肌的な方で、躊躇なく洗いざらい話せてしまった。
「ご主人、酷すぎるね。許せない。」
自信を失い、進む道すら分からなくなっている私は、何が正しく何が間違っているかの判断にも自信がなかった。既にこの時病んでいたんだと思う。
小田さんは、営業トークの一部として発した言葉だったかもしれない。
だが、当時の私は「私、おかしなこと言ってないんだ。」と励まされたような感じがした。
「主人は、もう終わったから二度と会わないとは言ってますが、信じることができないんです。」
「そりゃそうよね。でも、必ずしも、調査するっていうのは、離婚が前提ではないの。修復するにしても、離婚するにしても、現実を確認したいよね。それから、ゆっくり考えて決めればいいのよ。」
確かにそうだ。
どうするにしても、やってみる価値はあるのかも。
営業トークにのせられたのかもしれないが。
私の気持ちは動いていた。
ただ、金銭的なことが、問題だった。
「お願いしたい気持ちは山々です。でも、そんなんで生活費ももらえないですから、お金がないんです。」
「働いているんだったら、ローンも組めるわよ。」
「働いてますが、パートですし、主人の借金ですが、もう借金はたくさんなんです。」
「そうよね。借金は嫌よね。どのくらいなら、用意できそう?」
「○○万円くらいです。。。」
「実はね。」
と言いながら、黒いファイルを取り出して開いた。
「本当は最低がこの金額なの。」
その金額は、私が提示した額の1.5倍だった。
とても、無理だ・・・
「でも、大変なのよく分かるし、それでやってみましょうよ。その金額で受けますから。
何も出ないなら、それはそれでいいわけだし。」
大変な思いで働いて貯めたお金をこんなことに使うのは、どうなんだろうと躊躇われた。
でも、今のどこにも進めない状況は何かしら動くかもしれない。
「分かりました。お願いします。」
私は調査を依頼した。
家に帰ってから、今日の小田さんとの話を思い返した。
まず、夫の写真がほしいと言われたのだが、一人で写っているものがないし、子供たちの写真は出したくなかった。
あるのは、夫の携帯に消し忘れられていたクリスマスイルミネーションの前で撮った高田里香との写真だった。
調査の日程について。
お金のない私は、一日しか調査を依頼できない。だから、調査の日程を決めるのは慎重にしなければならなかった。
最も動きそうな日・・・週末とは思うが、どうだろうか。
そして、慰謝料について。
弁護士を雇えば、もちろんお金がかかる。でも、自分で請求できるとも言っていた。
慰謝料をもらえば、嫌な思いをさせた子供達にもおいしいものを食べさせたり、ディズニーランドくらい連れて行ってやれるかもしれない。
でも、証拠は、二人の自白とメールのやりとり、それに写真くらいだ。
携帯の通話記録もまだ来ない。
なんとかもっと証拠を見つけて、慰謝料くらいはなんとかできないものだろうか。
慰謝料100万。。。
その金額にしたのには、わけがあった。
以前、夫は無職で借金だらけで一月そのくらいかかると言った時、高田里香は「頑張ればなんとかなるかも。」と言ったからだ。
それも一度に払えとは要求せず、分割でよいと伝えた。
返事を聞くため電話をすると、態度は一変して、お金がないので払えないと言い出した。
私は「我が家が毎日、大変な思いをして生活し、私も必死に働いて稼いだお金は全てあなたが使っていたんです。今も食べるものにも困ってます。」と言うと、
高田里香は「私だって今日は家にあるもので食べなきゃって思っていたし。」と言った。
私は「私は自分は食べなくても子供達は食べさせなければなりません。」と言った。
私は呆れた。
あまりにも幼稚な反応だったからだ。
夫にとっては、この幼稚さが都合が良かったのだろう。
そして、小学生の娘も呆れた理由だったのだろうと理解できた。
小田さんに尋ねた。
「どの辺りまで追跡できていたのか分かりますか?」
「聞いてないけど、調査員に尋ねてみようか?」
「お願いできますか?」
「折り返し電話しますから、ちょっと待っててね。」
小田さんは、それを知ってどうするんだ? という雰囲気だったが、承諾してくれた。
確かに、それを聞いても役には立たない。だが、私はこの期に及んでも、夫が自分の言葉を守らずに高田里香の家に行ったとは信じたくなかった。
高田里香の自宅から離れた場所で夫の姿を見失ったのなら、他の所に向かう途中だったとも考えられる。
私は僅かな可能性も捨てたくはなかった。
私はどこまでも、どこまでも馬鹿な女だった。
夫に電話がつながったのは、それから一時間くらい後だろうか。
その時は、夫の父の病院にいた。
「どこにいたの?」と尋ねると、
「だから、病院にいたって言ってるだろ?しつけーな!」と繰り返した。
根負けして「違うよね? 中○○駅に行ったよね?」と言うと。
「金がないから血を売りに行ったんだよ!」と言った。
確かに中○○駅の近くに、大学病院はあるが。
夫のはなしでは、病院の周りにそういうブローカーがウロウロしているという。
どこまで、ファンタジーの世界に生きているのやら。
そこを追及しても仕方ないので、そのファンタジーは取り沙汰せずに
「血を売りに行ったかもしれないけど、高田里香に会いに行ったよね?」と尋ねた。
夫は何度でも根気よく否定した。
私も諦めなかった。
しかし、とうとう夫は「でも、いなかったから帰ってきた。」と白状した。
実は会ったのかもしれない。
でも、そんなことはどうでも良かった。
夫は高田里香に会うために向かった。
その事実だけで充分だった。
小田さんから再度連絡があった。
「この前は最後まで追跡できなかたので、料金は頂かないで、調査をさせて頂きます。日程を決めてお知らせ下さいね。」
私は正直、もう結果に満足していた。
自分で決めたことを守ろうともしない。
高田里香がそんなに必要なら、そっちに行けばいい。
むしろ、行ってほしい。
払うあてのない借金ごと。
払うあてのない借金の支払いのために、父の形見の金貨を全て勝手に持ち出して売却してしまっていた。
初めはなくなったことに気付いた時、子供達がおもちゃにして、おもちゃ箱に持って行ったと思って、子供達を疑った。
その様子を見ていた夫は黙っていた。
私は盗人と一緒に住んでいたのだ。
子供達のためにも、自分のためにも、こんな人いらない。
約束の日
出発の時間がきても、夫は現れない。
携帯に電話するが、出ない。
埋葬の時間も予約が必要で、遅れるわけにはいかなかった。
子供達は必死にパパに電話したが、出ない。
「パパと一緒に皆で見送るんだ!」
子供達はパパを待たずに出発することを頑なに拒絶。
とにかく出発しようと説得し、犬の遺骨と家を出た。
車に乗ってからも、子供達はパパに電話をし続けた。
「どこにいるんだろう。。。」
子供達は必死だった。
「電話に出られないのかもしれないし。」と私が言うと、
「まさか。でも、もしかしたら」と子供達はどこかに電話をかけた。
「出ないよ!」
「留守電に残そう。」
まさかと思った私は「一体、どこにかけてるの?変な所に電話しちゃだめよ!」
「ママは黙ってて。」
「あのー桑原ですが、お父さん出してもらえますか?いい加減にしてもらえませんかね。」
子供達は高田里香に電話していたのだ。
「やめなさい!」
後部座席で電話する子供達を運転する私が制止することは難しい。
「やめなさい!」
繰り返し叫ぶしかなかった。
子供達は、私が叫ぶのも無視し、繰り返しダイアルしていたようだった。
あの時、電話をひったくり取り上げていたらと後々後悔した。
だが、埋葬の予約時間にただでも遅刻気味だったことで、わざわざ遠くまで行くのに、門前払いされたら困るという気持ちで車をとばしていたため、あまり運転の得意でない私には、運転に集中し制止しきれなかったのだ。
無事に到着。
焦っているのに、娘は遺骨を抱きかかえて、車から降りてこない。
娘は遺骨を抱きしめて涙を流していた。
娘は諦めることなくパパに電話をしていた。
受付の人に到着を知らせ、娘が遺骨を離さないことを伝えた。
受付の人は一緒に車まで来てくれ、娘の様子を見て涙ぐんだ。
娘が愛犬との別れが辛くて拒否していると思ったからだろう。
実際は、愛犬との別れが辛いだけでなく、パパが約束を守らなかったことがつらかったのだ。
娘は長い説得ののち、車から出てきた。
親子三人で、それぞれ色んな思いの涙を流して、愛犬を埋葬した。
その頃、私は夫とのことをどうするつもりだったのか。
夫はとにかく離婚を拒否した。
見栄張りな夫だから、バツイチにはなりたくなかったんだろうし、物欲の塊だから、家も半分私が持っていたので、そういう物質的なことが理由だったのだろう。
私は…どうすべきか迷っていた。
ただ、二度と騙されたくなかった。
息子にGPSのついた機械?を安全のために持たせていた。
それを夫に持たせたら?
でも、気付かれないようにしなければ。
初めは、電動自転車につけようとしたが、見つかる可能性もあるし、落ちてしまうかもしれないので諦めた。
幸い(?)夫はだらさしなく、カバンの中を整理したりはしない。
夫を昼間、家に呼んだ。
夫は喜んで現れ、深夜の仕事に備えてすぐに寝入った。
夫の靴下に機器をいれ、かばんのポケットに入れた。
充電が切れるまでは、位置確認できる。
夫は何も気付かないまま、そのカバンを持って出て行った。
もう、高田里香とは話したくなかった。
でも、仕方ない。
私は電話をした。
「書類をおくりたいので住所を教えて下さい。」
「住所は教えられません。」
「別に家に行くつもりはありません。だいたい、引っ越すって言っておきながら、まだ田舎に帰ってないんですね。夫は家に来たことがないとか、本当に嘘が多いですね。」
嘘つきという言葉が高田里香のスイッチを入れたのかもしれない。突然、逆切れし始めた。
「あんたこそ、嘘つきじゃないよ!子供が死にそうとか言いながら、私に電話してきて、なぁんだ、生きてるんだって。」
「息子が難治の病気の可能性があると言われたのは本当のことですよ。病院で聞いてもらっていいですけど?」
高田里香は、自分が分が悪いと思ったのか、「もう、いいです!」とまたもや逆切れだった。
「あなたは、不法行為をしたんですよ。自分の立場を考えたら、どうです?」
「じゃ、教えますけど、変なことしないでよね!」
「私にはあなたみたいに自分のことだけを考えていたらいいわけじゃなくて、守らなきゃならないものがありますから。」
高田里香は逆切れしたまま、怒鳴るように住所を言った。
これが高田里香との最後の会話となった。
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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