*神様のヒマつぶし*
「あっ…あの子ヘンなのー」
小さい子が電動車椅子に乗って走る私を指差して言った。
(子供は素直で残酷だなぁ)
(…まぁいつものことか。笑)
そんなことを考えながら
今日もマイペースに生きている
障害者のお話。
超スローペースな更新になるかと思いますが、
読んで何かを感じて頂けたら幸いです。
初めての試験週間が終わった。
私は人生で一番疲れていた💧
数日後、テストが返ってきた。
5教科の平均が90点、想像以上の結果を出すことができ、私も両親も喜んだ。
その中で国語のテストを返す時だった。
国語担当の先生がみんなの前でこんなことを言った。
「なんと藍梨さんは今回のテストで98点でした‼」
おぉ~✨とか、さすが藍梨ちゃん🎵なんて歓声が聞こえた。
まさか点数が発表されるとは思っておらずビックリしたが、やっぱり誉められたら嬉しい🍀
先生は続けた。
「今まで養護学校にいて勉強の環境も違うのに、この点数を取れたのは素晴らしい✨みんなも見習うように😄」
焦りながら照れていたら、隣の男子がボソッとこう言った。
「俺も98点なんだけどな~…」
試験が終わった後は、どの教科もノート提出があった。
みんながちゃんとノートをとれているか、工夫してあるか…などをチェックするためだ。
先生のチェックが終わり、返ってきた。
今度は社会の先生が言った。
「先生はいつもみんなのノートの中からベストノート賞を決めている💡今回は~…これだ‼」
緑色の表紙に黒ペンでイラストが書いてあるノート…
(……あっ…)
(…私のノートだ…)
夏美ちゃんが「それ藍梨ちゃんのだー‼」と言った。
みんなが拍手する。
私はかなり戸惑っていた。
でも、嬉しいものは嬉しい😒
私は書くのが遅いため、授業中に乱雑に書いてたら家に帰って復習もかねてノートを書き直していたりした。
自分なりに工夫して書いたノートが評価されて、頑張って良かったと思った。
「藍梨さんのノートは整理されていてとても見易い😄みんなも後で見せてもらうといいよ😄」
先生方からこんなに誉めてもらうとは。
これからも頑張らなくちゃ。
ちゃんと勉強して、良い高校入って、両親に恩返しして…。
思った以上の出来に、私の将来は輝いていた。
その時までは…。
試験も無事に終わり、区切りがいいということで席替えをした。
仲良くなった夏美ちゃんと離れちゃうのは寂しいけど、今度は誰が前の席に来てくれるか楽しみだった🎵
私の中学校では席替えはくじ引きではなく、班長と担任が放課後残って席替え会議をする。
班長が1人ずつ好きな人を選んでいき、席の配置を決める。
そこで仲良しな人だけで固まらないよう、担任がバランスを見て決定する。
席替え会議が行われた次の日、みんなに新しい席が発表される。
私の前の席はユリリンだった🍀
また仲良しグループの1人が座ってくれるなんて、とても嬉しかったし安心だった✨
しかもユリリンは班長。
つまり、ユリリンが私を選んでくれたということになる。
「藍梨ちゃんこれから一緒だよー😁🎵」
また学校へ行くのが楽しくなりそうだった。
それから数日後のこと。
私は四肢に障害があるため、両手も両足もほぼ90度の角度のまま伸ばすことができない。
それに体も小さく高めの電動車椅子に乗っているので、床にある物を自分で取ることができない。
たまに手が滑ってペンや消しゴムを授業中に落としてしまうことがある。
そんな時はだいたい前の席のユリリンに頼むことが多かった。
「ちょっとペン落としちゃった…拾ってもらえるかな?💦」
「はーいどうぞ😄」
いつもはこんな風に笑顔で拾ってくれる。
でも、今回は違った。
後ろを振り返りもせず、無言でペンを拾ってくれた。
「あっ…ごめん💦」
(今真剣に授業聞いてたから、邪魔しちゃったのかな…💦💦)
最初は麻実ちゃん達の思い付きで、仲間外れになっているだけだと思った。
でも日が過ぎるほど、これは単なる仲間外れじゃないと実感した。
これは……
イジメだ………。。。
教科書に酷い言葉を書かれたり
トイレで水をかけられたり
物を隠されたり
そういったことは何もなかった。
学校に母がいたからだ。
ただ、話す相手がいない。
一緒にいてくれる人がいない。
近付こうとすると避けられる。
男子から気持ち悪いと言われる。
イジメというほどのことでもないかもしれない。
でもひとりぼっちは想像以上に辛い。
私はなんで普通学級に来たんだろう?
あのまま養護学校の中学部に進学した方が良かったのではないか。
ここは私のいる場所ではなかったんじゃないか。
毎日そんなことを考えていた。
1年2学期の終わり。
成績表が渡された。
結果は……オール3。
私の成績は1学期よりも大幅にダウンした。
勉強へのやる気が全くなくなってしまったからだ。
成績は維持してみんなを見返してやろう!なんて思ったけど、そう上手くはいかない。
仲間外れになってからというもの風邪をひくことが多くなり、学校を休むことがあったため勉強がついていけなかった。
誰も話す人がいないため、休んだ日のノートも借りることができず、分からないところがどんどん増えていった。
提出物があった時も、どういう内容のものを提出するのか分からなかったので近くにいた女子に聞いたら
「説明すんのがめんどくさい」
とあしらわれたこともあった。
どうしてみんな私の成績が5なんて思ったんだ?
そんなことあり得ないのに。
まさか…。。。
私の嫌な予感は当たってしまった。
麻実ちゃんだ…。
麻実ちゃんが私の体育の成績は5だとみんなに嘘を言いふらしていた。
ショックだった。
麻実ちゃんが私を仲間外れにしようって言い出したのは分かっていたが、まさかそんな嘘まで広めていたとは…。。
きっと他にも何か嘘を言っている。
だから誰も話しかけてくれなかったのか。
泣きそうだった。
でも泣いたら負けだと思った。
私はいつからこういう性格になったのか分からないけど、変なところ意地っ張りだ💧
ぜったい泣かない。
ぜったい負けない。
せっかく両親や養護学校の先生が頑張って入れたらこの中学、ちゃんと卒業しなくちゃ。
私はこの日から決心した。
あの時、私の体育の成績をわざと大声で聞いてきた男の子。
蟹江くんだ。
蟹江くんはいわゆるヤンチャ坊主💨
小学生の交流会の時からとにかく目立つ、騒がしい男の子だった。
よく私にちょっかいを出してきたた。
かと思えば出来ないことをさりげなく手伝ってくれたり。
私が蟹江くんを好きなんじゃないかと、噂されたこともあった。
蟹江くんだけが私に話しかけに(というかちょっかい出しに)来たりしていたから。
私は…どうだっただろう。
好きかどうか、まだ私は幼すぎて自分の気持ちに気付くことができなかった。
良くイジワルもされたけど、いざという時助けてくれる。
この成績の時も、蟹江くんがいなかったらみんなに誤解されたままだったかもしれない。
蟹江くんがいてくれて、本当に良かったと思う。
ある日の昼休み。
私はいつものように溜まったプリントを整理してノートに貼り付けていた。
廊下では女子が楽しそうに話す笑い声。
校舎の外からは男子がサッカーして騒いでいる。
そんな声をボーッとしながら聞いていた。
ふと気が付くと、教室の中には私1人だけ。
(あ…私ホントに一人ぼっちだ…)
昼休みでも、いつも誰かしら教室の中には人がいた。
でもこの日は見事に私以外は誰もいない。
その時、
「あれ、藍梨だけ教室で何してるんだ?」
隣のクラスの担任だ。
「あっ先生。ちょっとプリントが溜まっちゃったから整理してたんです😄」
「そうなのか?みんなはどこにいった?」
「あー…ちょっと分からないですね…」
(ヤバい…ヤバい…1人でいるのがバレる…)
「そうか」と言いながら、先生は不思議そうな顔をして去っていった。
(良かった…なんとか大丈夫だった…)
こんなに緊張したのは久しぶりだった。
手に汗をかいている。
バレたくない。
先生たちに知られるのが怖かった。
家と学校の往復。
授業中はノートとりに必死になり、休み時間はボーッとする。
ただそれだけの毎日がダラダラと続くと思っていた。
国語の先生に1人でいたところを見られた昼休みから数日後。
帰りのホームルームが終わり、帰り支度をしていた。
今日もいつもと変わらない毎日…そんなことを思っていたら、担任が私に近寄りこう言った。
「藍梨、お前イジメられてるのか?」
え?
え?
担任が何を言っているのか、一瞬分からなかった。
すごく長い間、沈黙が続いたように思える。
「え……はは、先生そんなことないですよー笑」
(ダメだ…笑えないや…)
私は逃げるようにその場を立ち去った。
しかし…ついに先生たちに知れわたる日が来てしまった。。
理科室へ向かうと、英語の先生が「お待たせー😄」と入ってきた。
「みんなも今ごろ話してると思うんだけど……藍梨ちゃん…仲間はずれになってた?」
もう逃げられない。
ウソをついてもしょうがないと思った私は、素直に話すことにした。
でも意地っ張りな私は自分から辛かったとは言わなかった💧
そして一番肝心なことを知るときが来た。
“どうしてそうなったのか”
先生の口から思いもよらない言葉が出た。
「昨日ね麻実ちゃん達から話を聞いたんだけど…なんでそんなことをしたのかって。そしたらね…」
藍梨ちゃんは「ありがとう」とか「ごめんなさい」を言わないからだって言ってたの。
……え?
私……言って…ない??
頭の中が真っ白で、自分が今何を考えているのか分からなくなった。
「それと…もう1つ理由があるの。」
(もう1つ?まだ何かあるんだ…。私何をしてきたんだろう…。)
「もう1つはね、藍梨ちゃんは先生達に贔屓されてるって。」
それを聞いた時、国語のテストと社会のノートの時を思い出した。
それ以外にも先生から褒められたことは何度かあった。
(そっか……そこかぁ…。。)
自分だけの問題ではなかったと気付き、少しだけ安心した。
そして、これは正直私もみんなと同じように思っていた。
私は贔屓されている。
後から聞いた話だが、先生達は全く気付かなかったと言っていた。
先生達から見れば障害のある私のことを気遣う気持ちで言っていた言葉も、生徒から見たら贔屓してるようにしか見えなかった。
私のことばかり構うと、他の生徒から反感をかってしまう。
だからと言って全てを平等にすることはできない。
私の存在は色んな人に大きな迷惑をかけていたんだな、とぼんやり思った。
その日の夜。
衝撃的な事実が1つ残っていた。
私が理科室で先生と話している間、母も別の先生から話を聞いていた。
母は先生から聞いた話を私に伝えるか迷ったそうだが、事実は受け入れた方がいいと話してくれた。
夏美ちゃんのお母さんの話だ。
なんと、夏美ちゃんのお母さんは私のことを良く思っていなかったのだ。
私がいることによって授業のスピードが下がるから迷惑だと、何度も職員室を訪れ抗議していたらしい。
(私がいるから迷惑…??
だから連絡網の時も素っ気なかったんだ……。)
確かに私はノートをとるスピードは遅いし、移動教室の時だって時間がかかる。
だけどわざわざ授業のスピードを遅らせてもらったことは1度もない。
移動だって私なりに一生懸命動いて遅刻しないようにしていた。
それなら授業中にしゃべって授業妨害している生徒の方が迷惑じゃないのか?
こんな考え方の人もいるんだと、悲しさを通り越して呆れてしまった。
それが原因で、中学2~3年は夏美ちゃんと同じクラスになることはなかった。
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