愛欲
「みぃちゃん、そろそろ お家に帰ろうか」
砂場で遊んでいる娘は「まだ遊びたぃ」と言って今度は滑り台へと走って行った。
「じゃあ、パパ一人で お家に帰っちゃうよ、お菓子とアイス買って帰ろっと」
お菓子とアイスが大好きな娘は、これで確実に帰ると言うから楽なもんだ。
公園の近くにスーパーもコンビニもあるが俺は決まってドラッグストアーで買い物する。
店に入ると「おかちコーナー行っていい?」娘が顔を見上げるので、「うん、いいよ」と言いつつ目はレジを見てる。
レジには俺のお気に入りの子がいる、この子に会う為に、この店で買い物してると言ってもいいくらいだ。
お菓子とアイスにビールをカゴに入れてレジに並ぶ。他の客のレジをしている時も時々だが目が合う。
向こうは俺を意識してる訳ないよな、と思ってはいるが、ひょっとして と言う思いもある。
やっと俺の番となりカゴを起き「タバコをワンカートン」と頼んだ。
今までは「ケント1のロング」と買っていたのに最近ではタバコで通じるようにはなった。
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「ライターお付けしますか?」と、お決まりの質問に俺は「「うん、付けて」としか言えない。
買い物袋をぶら下げ娘の手を引いて家に帰る。
翌日は妻と娘と3人でファミレスで昼を食べてスーパーで買い物して帰るはずだったが、妻が「ティッシュがなくなりそうだからドラッグストアーに寄って」と言ってきた。
「いつものとこでいい」と聞き返し、心の中で「今日も会えるかな?」と思っていた。
店に入ると娘が「おかちコーナー行ってもいい?」と今日も聞いてくる。
「いいけど、今日はアイス買わないよ」と妻が言ってるの聞きながら、俺はあの子を見ていた。
妻は空いてるレジにティッシュと娘のお菓子を置いた。
妻がお金を出している時も、後ろからあの子を見ていた。
「家族で買い物してるのを見たら、ますます相手にしてもらえないよなぁ」
「これからは一人で来ようと思った」
何もないまま数ヶ月が過ぎた頃、妻に「パパ、髪カットしてきたら?かなり延びたよ」と言われ、
そういえば最後に切ったのは、いつだろうと思ったが、すぐにどうでも良くなった。
近所の美容院に電話してカット出来るか聞いてみた「はい、ウインヘアーです。」
「あ、どうも服部ですけど今からカットできますか?」
「大丈夫ですよ、待ってますね」と気軽に言ってくれた。
妻に「言ってくるね」と言い、美容院までタバコを吸いながら歩いた。
ドアを開けると「いらっしゃいませ」
「あっ、服部さん早かったですね、少し待ってて下さい」と言われ椅子に座り雑誌を手に取ろうとした時、知ってる横顔が目に入った。
「あっ、あの子だ」
雑誌を読むフリをして、ずっとあの子をチラ見していた。
しばらくしると「服部さん、どうぞ」と席に案内された。
一つ席を挟んで座り何故か緊張した…
「お疲れ様でしたぁ」と、聞こえると前掛けを外し席を立ち上がった。
「今日はカットで4725円です」
「あっ、アサクラさんポイント貯まってるので1500円お引きしますか?」
「あっ、じゃあお願いします」
「では3225円になります、3500円お預かりします」
お釣りのやり取りがあり、あの子は店を出た。
「服部さん、お待たせしました。今日はどうしますか?」
店長の問い掛けに返事もせず、頭の中で
『アサクラ、アサクラ?、どういう字だろう?』
『浅倉?かな、それとも朝倉かな?』
「服部さん、聞いてます?」
俺は、ハッと気づき「ああ、今日も店長に任すわ」と答えた。
頭の中では、いかにアサクラさんの事を聞き出すか考えていた。
思いきって「さっきカットしてた子ってさあ、あそこのドラッグストアーにいる子だよね?」と聞いてみた。
「アサクラさんですか?、あの店長いですよね。」
『おいおい、そんな事聞いてねえよ』心の中で店長にツッコミ
「あの子いつもいるけど社員なの」って聞いてみた。
「彼女はバイトですよ、中学生くらいの時からウチの店でカットしてますから、成人式や短大の卒業式の時も髪結いましたし」
「へぇ、じゃあ家も近所なんかな?」さりげなく聞いてみた。
「アサクラさんの家は絶対に服部さんも知ってますよ」
「知ってるわけないじゃん、俺、あの子と接点ないし」
『はよ、言えよ』再び心の中で思った。
「ほら、あの城跡公園ありますよね、あの横にでっかい家あるじゃないですか、あの家ですよ」
「俺、城跡公園って行った事ないから、わかんないわ」
『何?、でっかい家って事は、お嬢なの』
頭の中で思った事を店長にも聞いてみた、「何?、でっかい家って事は、お嬢なの」
「ええ、でも来年から海外に行くそうですよ」
「あっ、そうなんだ。親の仕事で?」
「詳しくは聞いてませんが、多分そうでしょうね」
俺はあの子が結婚してないと思ってたから「彼氏とか、どうすんだろ?」って会話を続けた
「アサクラさんは彼氏いませんよ」「えっ、なんで店長知ってるの?」素直に聞いてみた。「いや、ほら、あんだけ可愛いと当然、彼氏がいると思うじゃないですか、だから成人式の時に聞いたら、
【私、彼氏はいませんよ】って言うから、
「えー、そんだけ可愛いけりゃ言い寄ってくる男も沢山いるでしょう」って続けて聞いたら、【そんな事ありませんよ、たまにメアドの書いてある手紙もらったり、飲みに行こうって声は掛けられるけど、彼氏はいませんよ】って、言ってましたよ」
心の中で『処女の訳ないよな』と思いつつ、店長に「常連さんが一人減っちゃうじゃん」って、茶化してみたものの、『もう会えなくなるんだ』と寂しい気持ちになっていた。
美容院を出た俺は無意識のうちに城跡公園に向かって歩いていた。
途中、自動販売機で缶コーヒーを買い公園のベンチで飲みながらタバコを吸っていた。
ドラマや小説なら、この後、犬の散歩をしている彼女に会ったりするものだが、現実には、そんな事はない。
『あの家がアサクラさんの家かぁ、確かにデカイ家だ』と感心していた。
とりあえず、俺の中にある謎を解明するため家を1周してみた。
大きな門の柱に[朝倉]と書いてある。
農家なら家族構成が分かるように全員の名前が書いてあるが、この家は表札のみだ。
『ひょっとして名前は南かな』と、ある漫画を思い出していた。
あの漫画は『浅倉だったよな』
なんでか、少し笑えた。
「よし、帰ろう」
独り言を言い家に向かって歩き始めた。
「ただいまぁ」
「パパ、おかいまぁ」と言いながら娘が駆け寄ってくる。
妻が「みぃちゃん、おかいまぁ じゃなくて、おかえりでしょ」
娘は「いいの、合ってりゅの」と言い返す。
「パパ抱っこ」
娘に言われ抱っこでリビングに連れて行く途中、妻が「あっ、いいじゃん」
「似合ってるよ」って褒めてくれた。
妻と出会ったのは9年前、会社にバイトで来ていた。
俺は25になった時、主任になりバイトや新人の指導もしていた。
妻は、その時に教えてた中の1人だった。
当時、俺には彼女がいたし、浮気なんてする気は少しもなかった。
ある日、「主任お話しがあります」
「いつでもいいので話しを聞いてくれませんか?」と言われたので、俺は「前田さんの相談なら、なんでも聞くよ」って明るく答えた。
「じゃあ、今日仕事が終わったら話しを聞いて下さい」
俺は「うん、いいよ。じゃあ19時に通り沿いの喫茶店でいい?」って聞くと
「はい、じゃあ待ってます。」と言い残し仕事に戻って行った。
19:15 少し遅れたが前田さんは待っていた。
「すいません、ホット」と店員に注文し、タバコに火をつけた。
「で、相談って何」
「…………実は…」
「えっ?」
「私の彼氏になって下さい」
頭の中が『???』
「えっ、彼氏?ゴホッ、ゴホッ」とむせてしまい動揺した。
「えっ、あっ、違うんです」
ちょっと嬉しい気持ちで更に聞くと、「別れた彼氏が、やり直したいって、しつこくって新しい彼氏が出来たと言っちゃったんです。」
「でも彼氏が信じてくれなくて…、どんな奴だ?とか歳はいくつだ?とか聞かれて、思わず主任の事を彼氏役にしてしまったんです」
「えっ、なんで俺なの?」って聞くと「主任の顔が1番最初に出てきたから」と返ってきた。
「あっ、そういう事ね」
「でも俺って前田さんより5つも年下じゃん」
「それで元カレは納得するの?」
「いえ、納得してませんでした。」
「それで、お願いなんです、毎日じゃなくてもいいので家まで送ってくれませんか?」
「納得してないのと送るのと意味あるの?まあ、送るくらいならいいけど」
間髪入れず「ありがとうございます、嬉しい」
この言葉に少し『ドキっ』とした。
「じゃあ、今日から早速送ろうか?」
「えっ、今日からいいんですか?」
「でも、残業や会議のある日とか、俺に用事がある日は無理だからね」
「はい、ありがとうございます。」
「じゃあ、コーヒー飲んだら行こうか?」
「はい」
「俺の車、乗り心地良くないけど我慢してね」
「あっ、大丈夫です。前の彼氏が運転下手で本当に免許持ってるのって聞いたくらいですから」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて」
「前田さんって少し天然入ってない?」
半分本気で冗談のつもりで聞いてみた。
「やっぱり、わかります?」
「よく言われるんです」
「だろうね」って突っ込んだところで駐車場に着いた。
自慢の愛車を見せたが普通に「背の低い車ですね」
「えっ、前田さんはこの車知らない?」
「すいません、車って昔から全く興味ないんですよ」
「まあ、いいや。前田さん乗ってよ」
「念の為、シートベルトは締めてね」
「はい、ありがとうございます」
キーを回すと俺の大好きな音が聞こえる。
が、「主任、この車壊れてるんですか?スゴイうるさいですよ」
『はぁ、やっぱり車を知らない子は、そんなもんか』
「これはね、わざとうるさくしてあるの!、この車でも送っても近所迷惑にならない?」
「多分、大丈夫です。近所の暴走族と間違えられるくらいだと思います」
『こいつ、マジかよ。それを心配してんじゃん』
『まあ、いいや』と車を走らせた。
「主任は音楽何聞くんですか?」
「俺はglobeが多いかな」
「えっ、私もglobe好きなんですよ」
「あっ、そうなんだ偶然だね」
「この車で音楽聴いても、まともに聴けませんね?」
『だからCDとか付けてないちゅーの』俺は心の中で突っ込んだ。
30分程、走ると彼女の部屋が見えてきた。
アパートの近くに停車し、素早くエンジンを切った。
「主任すいません。部屋まで一緒に来てくれませんか?」
「えっ、なんで」
一瞬、胸が踊った。
「あの赤い車、前の彼氏なんです。部屋に来るかもしれないし、少し怖くなっちゃいました。」
「ああ、そういう事ね。いいよ、じゃあコーヒーでも飲ませてもらおうかな」
「もう何杯でも飲んでって下さい。」
「ねえ、ところで前田さんの部屋って禁煙?」
「禁煙だけど主任だからOK」
「禁煙なら外で吸ってから行くから、部屋だけ教えてよ」
「主任、ダメです!一緒に部屋に行かないとアイツに彼氏って信じてもらえないかもしれないし」
「じゃあ、タバコ我慢するよ、とにかく部屋行こ」
部屋は2階の真ん中だった。
「お邪魔しまぁす。」
「主任、そんな遠慮しなくていいですから、ここに座って下さい。」
「ねえ、前田さん聞いてもいい?」
「いくつか聞きたいんだけど、その元カレって何歳?」
「私の5つ上で34です」
「ふ~ん、で、何で別れたの?」急に黙りこんでしまった。
「あっ、TV付けてもいいかな」
「主任、コーヒー入りましたよ」
「あ、ありがとう」
「タバコ遠慮しないで吸って下さいネ」
「いいよ、帰りに吸うし」
「そんな遠慮しないで下さい」
「前田さん、これ飲んだら帰るよ」
「えっ、早くないですか?」
「彼女にも連絡してないから心配してるかも知れないしさ」
「そうですよね、すいません無理ばっかり言って」
「大丈夫、大丈夫。無理なお願いなら断ってるよ」
「じゃあ、ごちそうさま」
「また明日ね、遅刻しないように」
「主任も気をつけて帰って下さいね。」
「うん、ありがとう、おやすみね」
「おやすみなさい」
俺はGTRのエンジンを掛け、窓を全開にしてタバコを吸った。
少し離れた所まで行き少しでも近所迷惑にならないように、ゆっくり走った。大通りに出る手前からアクセルを強く踏み家に帰った。
部屋に付とすぐに彼女に電話した。
「…………………」
「…………………」
『あれ、なんで電話に出ないんだろう?』
とりあえずスーツを脱ぎタバコを吸った。
間もなく携帯が鳴った。
「もしもし、連絡遅くなってゴメンね」
「圭くん今日残業だったの」
「えっ、いや違うんだって聞いてよ」
俺は今日のいきさつを香織に話した。
「わかったけど、私は嫌!」
「行って欲しくない!」
「なんで彼氏役が圭くんなの?」
「その女、他に知り合い、いないの?」
「明日から送るの辞めてよね」
「わかったよ、ちゃんと話してくるから、そんなに怒るなよ」
香織は気の強い女だが誰からも好かれる社交的な性格と美人なので俺の自慢の彼女だった。
翌朝、前田さんが出社してこない…
次の日も出社してこない…
俺は気になって仕方がなかった…
悩みに悩んだ末、彼女の家に行く決心をした。
「課長、すみませんがかなり熱が上がってきたみたいなので早退させて下さい。」
「このまま仕事続けて皆に風邪を移したら大変ですし…」
課長は「病院行けよ」と言い早退の許可が出た。
車に乗り前田さんのアパートに向かった。
3本目のタバコを吸い終える頃アパートに着いた。
階段を掛け上がりチャイムを押そうとした時、「カチャ」とドアが開き前田さんが出てきた。
「入って」前田さんが呟いた。
「前田さん心配したよ、大丈夫?」
突然、前田さんは泣き崩れ、俺にしがみついてきた。
「どうしたの?」
「何かあったの?」
『しばらく、このまま泣かせてあげよう』どうする事も出来ないまま、前田さんは泣き続けた。
頭を撫で、肩を抱いてると少し落ち着いたみたいだ。
「前田さん一体、何があったの」
前田さんは顔を上げ事情を話してくれた。
「前田さん事情は分かったけど、俺にはどうする事も出来ないよ」
「力になれなくてゴメン。」
再び前田さんは泣き始めた。
「あのね、遠くの方から、うるさい音が聞こえてきた時、ひょっとして主任の車じゃないかと思った」
「アパートの外で音が消えたから、絶対に主任だと思った」
そのまま前田さんは寝てしまった。
とりあえず床に寝かして枕を探した。
『あっ、本当にglobeのCDがある』
って、枕を探すんだった。
『ここか?』と心の中で言いつつ、ついタンスの引き出しを開けた。
色とりどりの下着が綺麗に整えられ、しまってあった。
俺は、またまた自分にツッコミを入れた『おいおい、バカじゃねぇ!タンスに枕はないだろ!』
香織の部屋のタンスすら見た事ないのに前田さんの下着が無償に気になり開けてしまった。
押し入れを開けたら布団の上に枕も積んであった。
頭の下に枕を入れ、毛布を掛けておいた。
『寒くないかな?』
『寒いならおきるだろう』と深く考えず小さな本棚に目をやった。
ドラえも〇、エスパ〇魔美などが綺麗に並べられていた。
余り興味はなかったが俺はドラえも〇を読む事にした。
いつの間にか俺は寝ていたらしく、気づいたら日付が変わっていた。
「あっ、前田さんゴメン。いつの間にか寝ちゃってた、すぐ帰るね」
「えっ?、あのぉ、すいません。あんまり気持ち良さそうに寝てたから、起こさなきゃ!でも、ここに居て欲しいって、あれ?私、何言ってんだろ…」
その時、前田さんの携帯がなった。
俺は携帯を取り、躊躇う事なく通話ボタンを押した。
「美幸、いい加減に俺とやり直そうぜ」
「おい、聞いてんのかよ」
不安そうな顔で俺を見つめる前田さんを見て、俺は電話に出た。
「美幸は今、俺と付き合ってるから、あんたとは付き合えない」
「迷惑だから、もう電話を掛けてこないでくれ!」
「それにアパートに来るのも止めて欲しい」
「テメエ、誰に言ってんだ、馬鹿野郎!、ぶっ殺すぞ!」
鼓膜が破れるかと思うくらい、デカイ声で怒鳴ってきた。
美幸は更に心配そうな顔で俺を見詰めてる。
俺は自然に「美幸の事は諦めて下さい。俺達、結婚するんです。」
と、言っていた。
「テメエみてぇな、クソ餓鬼が美幸を幸せに出来る訳ねぇだろ!」
相変わらず興奮している様だ。
俺はこれ以上、話しをしても無駄だと思い、
「もう電話切りますよ、さっきも言いましたが二度と電話を掛けてこないで下さい。」
「テメエ、美幸とヤッタのか?」
「はぁ?、そんな事貴方に答える必要はないでしょう!」
「美幸のフェラは最高だぜ!なんせ、この俺が仕込んだか…」
最後まで聞く前に俺は一方的に電話を切った。
こういう奴はしつこく電話を掛けて来るだろうと思い電源を切った。
「主任、ありがとうございます。助かりました。」
さっきとは違い美幸の顔には笑顔が戻っていた。
「嘘でも嬉しかったなぁ」
俺は少し間を空けてから「俺さぁ、いつも前田さんって読んでるけど、美幸って呼び捨てにしてもいいかな?」
「それと嘘じゃないよ!」
美幸は何の事か解らなかったみたいだ。
「はい、みゆきって読んで下さい。」
「うん、じゃあ…み・ゆ・き」
「はい」
「み・ゆ・き」
「は・あ・い」
お互い照れ笑いをしていた。
「俺さっきぁ、嘘じゃないよって言ったんだけど…」
「うん、聞いたよ」
「ねぇ、やっぱり美幸って超が付く くらい天然だよね」
「天然だけど超は付かないよぉ」
「いや、美幸は絶対に超天然!」
「えー、なんで?」
「だってさぁ普通の人ならアレで理解してくれると思うんだけどなぁ」
「アレって?」
「マジで言ってんの?」俺はちょっと呆れた…。
俺は「ふぅー」と息を吐き出し美幸に言った。
「だから、さっきの嘘じゃないよ、って言うのは…………、俺は美幸が好きだから付き合ってほしい!付き合って、って言う意味なの」
「えっ、私と主任がですか?」
「うん、他に誰がいるの?」
美幸は黙ったまま俯いてしまった。
顔を上げると「私は主任より5つも年上でオバサンだし、主任には彼女がいるじゃないですか」
「うん、でも彼女とは別れる」
「俺ね、美幸から相談された時から、いや、もっと前から美幸の事が気になってたんだ」
美幸は黙って聞いていたが
「えっ、本当にですか?いつからですか??」
「美幸がバイトで入ってきた初日から正直、気にはなってた」
「さすが主任!口が上手いですね」
「いや、本当だって。どうしたら信じてくれるの?」
美幸は目を閉じ考えてた。
この沈黙が、かなり長く感じられた。
目を開けると「やっぱり付き合えません、私も結婚を考える年齢だし主任に捨てられたら婚期逃すかも知れないし…」
「さっき俺がアイツになんて言ったか覚えてる?」
「うん、覚えてますよ。俺達付き合ってる。ですよね?」
「違う、その後!」
「ひょっとして結婚?」
俺は何も言わず首を縦に降った。
「主任、本気ですか?私、信じちゃいますよ!」
「うん、信じて」
美幸は何も言わず俺を見ている…
俺も美幸を見つめていた。
美幸の唇が動いた
「……………の」
が、聞き取れなかった。
「ゴメン、美幸もう一回言って、聞こえなかった」
「お願いがあるの」
「何?何でも言ってよ」
「本当はね、今すぐ抱いて欲しいと思った…、でも彼女と別れるまでは……」
俺は美幸から目を反らしてしまった。
外が明るくなっていたので時計を見ると6時5分前だった。
俺は話しを反らすかのように
「もう、こんな時間じゃん5時55分だよ。でも555って、なんか縁起良くない?今日パチンコ行ったら出るかな?」
美幸は笑って「主任はパチンコするんだ」
「普段はしないけど本当にたまにかな?」
「私は数えるくらいしか、やった事ないけど、うるさくて頭が痛くなるから嫌いなんだ」
「あっ、俺も長く店にいると頭痛くなるよ。だから安心してデートでパチンコには行かないから!」
美幸も話しが変わったからか笑顔になっていた。
「ねぇ主任」
「ん?」
「今日このままデートしよ」
俺も美幸と一緒に居たいと思った。
「俺も美幸とデートしたいよ!でも、後で香織の家に行ってくるよ」
「あっ、香織って言うのは前の彼女ね、今の俺の彼女は美幸だから」
美幸も笑顔が消えていた。
「今日きちんと別れてくるよ、だから本当はデートしたいけど出来ない」
美幸はまた黙りこんでしまった。
美幸が笑顔で
「うん、じゃあ待ってるね」
「ご飯作って待ってるよ」
俺はこれから修羅場になるかも知れないと思っていたが
「えっ、マジで?じゃあハンバーグがいいな」
美幸も笑顔で
「OK任しといて」と手を胸にあてた。
「ねぇ美幸、なんか飲み物ない?喉乾いた」
「実は私も、ちょっと待ってね」
と台所に向かい冷蔵庫を開けた。
「飲み物なんにもないよ、自販機で買って来るね、何がいい?」
「だったら俺が行くよ、タバコも吸いたいし」
「主任は座ってて」
「ねえ美幸、その主任はもう止めない?」
「美幸の呼びやすい様に呼んでいいから名前で読んでよ」
「主任は主任じゃん、突然変えれないよ」
「それと灰皿はないけど、ここでタバコも吸っていいよ」
「えっなんで?」
「だって主任に禁煙は無理でしょ!それにタバコの度に外に行くのも嫌になるでしょ!」
「後さ、ご飯の後にタバコ吸うだろうし」
美幸は笑顔で話し続けた。
「なんか、した後も吸いたくなるでしょ」
美幸は完全に俺を受け入れてくれたらしい。
美幸は笑顔のまま玄関を出て行った。
しばらくすると美幸は戻ってきた。
「ただいまぁ」
「おかえり」
「はい、コーヒーで良かった?」
缶コーヒーを受け取り、「うん、ありがとう」と言った。
飲み終えた俺は立ち上がり
「美幸、じゃあ行くよ。帰ってシャワー浴びてから会ってくるわ」
美幸は少し涙目になりながら「うん」と一言だけ言った。
靴を履いて
「じゃあ、また後で」
再び美幸は「うん」とだけ言った。
エンジンを掛け車を走らせた。
美幸は窓を開けエンジンをが聞こえなくまで外を見ていた。
俺は部屋に戻ると真っ先にシャワーを浴びた。
着替えて気合いを入れた。
「よし!」
携帯を開き香織に電話した。
香織はすぐに電話に出た。
大事な話しがあるからと、香織の家の近くにある公園の駐車場で待ち合わせた。
先に着いた俺は車の外でタバコを吸って待っていた。
歩いてくる香織の姿が見えた。
助手席に座ると
「話しってなぁに?」
香織は聞いてきた。
「実は好きな人が出来た」
香織は顔色一つ変えず
「で、どうするの?」
俺は「別れよう」とだけ言った。
香織は怒りもしない、以外なほど冷静だ。
「いいけど、私を忘れられるの?」
「圭吾の事を満足させられる女は私以外にいないと思うけど」
俺は何も言えなかった。
「結局、その女と別れて私のトコに戻ってくるんでしょ」
「120%戻ってくると思うな」
「香織、今までありがとう」
香織は窓の外を見ながら
「本気なんだ?」
香織を見ると、目に涙を浮かべていた。
「わかった、別れよう圭吾!」
俺は「ゴメン」としか言えなかった。
俺の目にも涙が溢れていた。
「なんで圭吾が泣くの?」
香織はハンカチを俺に渡し、泣き止むまで何も言わなかった。
「ハンカチありがとう、ごめんね」
香織は笑顔で俺見つめ
「最後にもう一回してあげようか?、して欲しいんでしょ?」
「この公園でも、この駐車場でも、いっぱいしたもんね」
「別れたんだから、しないよ」
「圭吾、強がってる」
「本当はもう固くなってるんでしょ」と言いながら俺の股間へと手を伸ばしてきた。
俺は香織の腕を掴み「この後、行くとこあるから、もう行くよ」と手を退けた。
「家まで送るよ」
そう言って俺はエンジンを掛けた。
駐車場を出ると香織が、
「ねえ圭吾、少しでいいから高速飛ばしてよ!」
戻るのが遅いと美幸が心配すると思い
「この時間帯じゃ飛ばせないって」
「いいじゃん、最後にGTRとも、お別れしなきゃね」
一瞬躊躇ったが、
「わかった、少しね。あんまり遠くには行けないからね」
国道を走ると高速の入り口が見えてきた。
通行券を取ると無意識に香織に渡していた。
香織も何も言わず受け取った。
昔から高速に乗るといつも香織に渡していたの思い出した。
高速は思っていた程、混んではいないが飛ばせる程、空いてもいない。
しばらく走っていると香織がシートベルトを外した。
香織は俺の顔見ながら股間に手を掛けてきた。
ジーンズのボタンを外しファスナーを下げる。
香織はパンツの上から触ってきた。
「香織マジで止めてよ」
「圭吾、運転中に弄ばれるの好きでしょ、ほら、もう固いじゃん」
俺は左手で香織を退けようとしたが、香織はそれを許さなかった。
今度はパンツの中で直接触りシゴいてきた。
「どう?圭吾、気持ちいい?」
俺は何も答えず運転に集中しようと思ったが、この思いは長くは続かなかった。
Tシャツを捲りあげ乳首をそっと撫でてきたのだった。
「どう、圭吾感じる?」
俺はたまらず
「うん、感じる」と言ってしまった。
「もっと、して欲しいの?」
「はい、もっとして下さい」
俺はいつの間にか敬語になっていた。
香織はSで、俺はMだからSEXの時は、こんな感じが多かった。
香織がさっき言っていたのは、この事だった。
「どうして欲しいか言ってごらん」
香織の責めに俺の理性は飛んでいた。
「乳首も舐めて下さい」
香織は乳首を舐めながらも手は休めない。
耳元で囁かれ俺は少し腰を浮かした。
香織は俺のパンツを降ろしソフトクリームを舐める様に優しくしてくる。
「もうイキそうです」俺は限界が近づいてきた。
「このままイキたいの?どうしたいのか言ってごらん」
「香織さんの口の中でイキたいです、イッてもいいですか?」
「私とその女とどっちが好きなの?言ってごらん」
「香織さんが好きです!」
「本当はその女を想像してるんだろ!正直に言ってみな」
>> 24
「香織さんイッてもいいですか?」
「私の質問に答えてないじゃない!止めてもいいの」
「嫌です、止めないで下さい。」
香織の首の動きも早くなったり、遅くなったり俺のイクのをコントロールしている。
「ほら、正直に言いなさい。」
「本当は違う人を想像してました。」
一段と香織の動きが早くなる。
「もうダメです!あっ、あっ、イクっ」
香織は寸前で口を離した。
「気持ち良かった?」
「お願いです。イカせて下さい」
「はい、もうおしまい」
香織は満足そうだった。
「なぁ、頼むよ、最後までしてくれよ」
香織は黙ったままだ。
「なぁ、香織ってば」
それから香織は一言も喋らなかった。
2人とも無言のまま景色だけが流れている。
香織の家の近くで車を停めた。
「香織、元気でね」
香織はドアを開け無言のまま車から降りた。
ドアを閉めた香織が窓越しに何か言っているが、エンジンの音がうるさすぎて何も聞こえない。
エンジンを切り車から降りた。
「今、何ていったの?聞こえなかったから、もう一回言って」
香織は笑顔で「何でもないよ」
「あっ、そうだタバコ1本ちょうだいよ」
「香織タバコなんて吸えないでしょう?どうすんの?」
「吸った事ないけど、圭くんが吸ったるタバコの味が知りたいなぁと思っただけ」
俺は躊躇ったが結局タバコに火を付け香織に渡した。
「これ、軽いけど沢山吸い込んだら、むせるよ。ちょっとだけ吸ってムリなら止めなよ」
香織の人差し指と中指の間にタバコに目をやると薬指に指輪で指輪が光っていた。
香織はタバコを吸いこんだ。
「ゴフッ、ゲホッ、ゴホッ、…」
やっぱり、むせた。
「だから、言ったろ!ほらっ」と俺は手を出した。
咳をしながら、「やっぱりムリ」と、タバコを返してきた。
俺は受け取ったタバコを吸うと、足で揉み消した。
「じゃあ俺行くよ、元気でな」
香織は最後に、
「うん、ありがとう。じゃあ、またね」
と、手を振った。
俺は車に乗るとエンジンを掛け車を走らせた。
バックミラーを見ると、香織はまだ手を降っていた。
ドリカムの歌ではないが俺はブレーキを4回踏んだ。
歌は5回で『ア・イ・シ・テ・ル』だけど俺は『サ・ヨ・ナ・ラ』と思いを込め4回にした。
ミラー越しに香織の姿は見えなくなったが、この音が聞こえなくまで立ってるだろうな、と想像していた。
美幸の部屋へ向かう途中、小さな花屋を見つけた。
『こんな所に花屋なんて、あったっけ?』と記憶を探ったが『よし記念に花でも買っていこう』と思い車を停めた。
「いらっしゃいませ」と店主らしき親父さんが迎えてくれた。
狭い店内を見渡したが花に興味のない俺にはバラとチューリップくらいしか、分からない。
「どんな、お花をお探しですか?」と聞かれたので、
「彼女にプレゼントしたい」とだけ言ったら、いくつか質問された。
それは全て彼女、つまり美幸に関する内容だった。
聞かれた事に答える事がほとんど出来なかった。
俺は美幸について、ほとんど知らないけど時間を掛けて美幸の全てを知ればいいと思った。
最後に予算を聞かれ財布を開けた。
小銭と数枚の夏目さん。
「じゃあ、ニ千円くらいでお願いします」
先にお金を支払うと1枚のメッセージカードをくれた。
レジの横に置いてあるペンを借りたが何と書けばいいのか思いつかない。
メッセージカードには
『ずっと一緒にいような』
と書いた。
渡された花束は、かなり小さい印象だが控えめな感じで、ちょうどいい大きさだった。
店を出ると花束を助手席に置き美幸の部屋に向かった。
背中に小さな花束を隠しコンコンと扉を叩いた。
「圭吾だけど」
すぐに玄関が開いた。
料理を作っていたらしくエプロン姿の美幸が笑顔で「おかえりぃ」と迎えてくれた。
俺はすぐに「はいっ」と隠していた花束を出した。
美幸は「嬉しいぃ、綺麗だね、ありがとう」と言ってくれた。
顔を近づけ花の香りを嬉しそうに嗅いで「いいニオーイ」と俺を見てきた。
「今ね、圭ちゃんのハンバーグ作ってたけど、お花を先に移すね」
と、台所の下からグラスみたいな花瓶を出して移し変えようとした時、メッセージカードが床に落ちた。
美幸はカードを拾い俺が書いたメッセージを見ると何度も頷き泣きながら
「絶対だよ!、これはお守りにしよ」
と再びカードに目をやった。
美幸はカバンから財布を取り出すとカードをしまい財布に『チュッ』とキスをした。
「続き作っちゃうから圭くんはテレビでも見てて」と言い料理の続きを始めた。
とりあえずテレビはつけたが俺は美幸が料理を作る後ろ姿を見ていた。
「圭吾ぉ、もう出来るから冷蔵庫からウーロンだして」
「あいよ」と言うのと同時に立ち上がり冷蔵庫から烏龍茶を出した。
料理を運んでくる美幸の顔は笑顔だった。
運ぶ終わるとエプロンを外し美幸も座った。
「美味しいか、分からないけど食べて」
「うん、じゃあ頂くね。いただきます。」と言いハンバーグを食べた。
美幸は少し不安そうな顔で「圭吾さん、どう?」と聞いてきた。
「旨いよ、マジで」
美幸は笑顔に戻り「良かった~、圭吾くんにマズイって言われたら、どうしようって不安だった」
俺は腹が減っていたので、あっという間に食べてしまった。
「圭、お腹膨れたの?」
俺は腹を触り「もうパンパン」と言った。
すると美幸は「あっ、忘れてた」と言い立ち上がり袋から何かを出してきた。
「はい、タバコ吸うでしょ」
それは灰皿だった。
「吸っていいの?」
美幸は笑顔で「どうぞ、どうぞ」と再び食べ始めた。
美幸は食べながら俺が行った後の事を話し始めた。
シャワーを浴びた事、スーパーで買い物した事、100キンでコップやお皿、お箸、灰皿を買った事などだ。
全て話しの中に俺が出てきた。
俺は胸が痛くなった、美幸はずっと俺の事を想っていたのに俺は…
美幸も食べ終わり、食器を片付け始めた。
「ねぇ、圭さん。コーヒーと紅茶とお茶買ってきたけど何飲む?」
「俺コーヒーがいいな」
「片付けたら煎れるから待ってて」
俺は「うん」とだけ言い、洗い物をしている美幸の後ろ姿をボーっと見ていた。
洗い物を終えるとコーヒーの支度を始めた。
すぐにお湯も沸き、コーヒーを持って来た。
このカップも今日100キンで買ったと笑顔で言った。
小さいカップを両手で支えるように飲む仕草が妙に可愛かった。
「これ飲んだら帰るわ」
美幸は俺の言葉に驚いた表情をした。
「圭くん、帰るって、まだ18時だよ」
「でも、明日仕事だし…、美幸も明日来るでしょ?」
美幸は深刻な表情で「ねぇ、圭さん………。今夜泊まって行かない?」
「そりゃ、俺だって正直泊まって行きたいよ!、でもスーツとかないし…」
美幸は帰ってほしくらしい、笑顔で
「朝、早めに起きて支度すればいいじゃん」
俺は昔から朝が苦手だった。
「ムリ、ムリ、俺さぁ、朝弱いからギリギリまで起きないもん」
「大丈夫、私早起きだから圭吾を起こしてあげるよ」
美幸との会話の中で変な違和感があった。
『なんか、しっくりこない、なんだろ?』
考えていると美幸が「私が圭吾の部屋に泊まるのはどう?」
違和感はこれだ!
「美幸ごめん、ちょっと話し変わるけど、さっきから美幸と話してて、すごい違和感があるのね。」
「さっきから俺を呼ぶ時、圭吾とか圭くんとか色んな呼び方するのなんで?」
美幸は嬉しそうに答えた。
「それはお試し期間中だから!」
「はっ?何それ?」
「どの呼び方が1番合ってるか色々と言ってみたけど決めたよ」
「決まったんなら教えてよ」
「じゃあ、言うよ………」
美幸は勿体振って中々言わない。
「主任!」
俺は嬉しいのかガッカリしたのか自分でも分からなかったが笑顔で
「何だよ、それー」
美幸も笑顔だった。「次に名前を呼ぶ時までのお楽しみね」
その後、美幸はすぐに話しを戻した。
「さっきの続きだけど、迷惑じゃないなら私が泊まりに行くよ」
「俺はいいけど美幸が大変なんじゃない?」
「そんなの大変じゃないよ、それか、今から私も一緒に圭の部屋に行くからスーツやら荷物持ってきて、ウチに泊まるって言うのはどう?」
「俺はどっちでもいいよ」
結局、美幸が俺の部屋に来る事になり美幸は支度を始めた。
俺はタバコを吸いながら美幸の支度が終わるのを待った。
長い…、なんで?
支度を始めてから30分はたつ。
美幸は狭い部屋を行ったり来たり、せわしなく動いている。
「お待たせ~、もう、いつでもOKだよ」
俺は腰を上げた瞬間びっくりした。
時間掛かるはずだ、すごい荷物だった。
俺は思わず「何、この量」と聞いてみた。
美幸は泊まりに行く事が嬉しいのか、笑顔のまま話し始めた。
明日着る服から化粧品まで揃え、足りない物はないかチェックしたらしい。
荷物はトランクに入れ出発した。
信号待ちをしている時、美幸の話しが突然変わった。
それは、朝は何か食べるのかと言う内容だった。
「俺はギリギリまで寝てるから、朝は食べないよ、美幸は食べるの?」
美幸は毎朝ちゃんと食べるらしい。
部屋に食い物がない事を話すとコンビニで調達して部屋に行く事になった。
俺はアレも買わなきゃと思い、美幸を車に残し一人でコンビニに入った。
カゴにコーヒーやお茶、パンやアレを入れた時、財布にたいして金が残ってない事に気付いた。
車に戻り美幸に金を借りようとした時、美幸が車から降りてきた。
「どうしたの?」
俺が聞くと美幸は
「読みたい雑誌が見えたから、一緒に買って行こうと思って」
「それって、エロ漫画?」
冗談のつもりで聞いたみた。
「あれば読むけど、買ってまでは見ないよ」
俺なんて答えればいいか、わからず
「へぇ、そうなんだ、やっぱりドラえも〇のがいいの?」
「ドラえも〇は昔から好きだよ」
とりとめのない会話をしながら2人でコンビニに入った。
「あっ、そうだ。美幸、少しお金貸して。」
俺は顔の前で手を合わせた。
美幸は「うん、ちょっと待ってね…、はいっ」と、俺に財布を預けてくれた。
美幸はお菓子も買って行こうと言い出し、スナック菓子やお煎餅もカゴに入れた。
美幸がお菓子をカゴに入れた時、アレの存在に気付いたみたいだ。
美幸は一瞬、俺を見て照れくさそうに微笑んだ。
コンビニでの買い物を済ませ、俺の部屋に向かった。
コンビニを出てから美幸はずっとニコニコしている。
チラっと見ても美幸はニヤニヤしていた。
上機嫌らしい。
マンションの駐車場に車を停めて部屋に連れて行った。
カギを差し込み、回すとカギが掛かっていない。
心臓の鼓動が早くなった。
ひょっとして香織?
香織にはスペアーキーを渡してあった。
俺は泥棒の心配はしなかった。
俺の部屋に金はないし、金目の物などないからだ。
それより、香織と美幸がこの場でバッティングしたら…
ますます鼓動が早くなる。
覚悟を決め玄関を開けた。
『ガチャ』
玄関に香織の靴があったら最悪だぁ。
声には出さなかったが俺は『ホッ』と安堵のため息をついた。
玄関には俺のサンダルが1つあるだけだった。
「美幸も入って」
俺は部屋の明かりをつけた。
美幸は荷物を置くと「少し片付けていい」と聞いてきた。
「俺がやるから美幸はTVでも見ててよ」、と言ったが、美幸は自分がやるからと聞かなかった。
美幸は始めにベッドのシーツから変え始め、トイレや浴室、台所まで念入りに片付けている。
片付けをしている美幸は鬼気迫るものがあった。
俺は明日の支度をしながら、この後の事を考えていた。
片付けが終わると美幸はベッドに座り「ふうー、終わったぁ」と満足そうだった。
俺はさっき買ったお茶を冷蔵庫から出し美幸に渡した。
美幸は一口お茶を飲むと「汗かいたからシャワー借りていい?」と聞いてきた。
俺は美幸の横に座った。
「部屋ありがとうね。でも、いきなり片付け始めたからビックリしたよ」
「美幸って綺麗好きなんだね」
美幸は笑顔だけど、どこか悲しげな表情で話し始めた。
「違うの、私は前の彼女のニオイや形がある部屋で抱かれたくない、って思って少しでも早く全て消し去りたかったの」
俺はそんな事、少しも考えていなかった。
「ごめんね、俺そんな事全く考えてなかった…」
「圭は悪くないよ、私がそうしないと無理だと思ったからしただけ」
美幸は立ち上がり「シャワー浴びるよ、本当に汗かいた」
俺は美幸の腕をつかみ「待って」と言い、後ろから抱きしめた。
抱きしめた瞬間、溶けるような甘い香りがしてきた。
どのくらい抱きしめといたのだろう。
あっという間の気もするし、かなり長い時間、抱きしめていた気もする。
美幸を再びベッドに座らせ俺も横に座った。
俺は美幸に顔を近づけると、美幸は少し上を向き目を閉じた。
唇が触れ合うだけのキス…
唇が離れ、見つめ合った。
美幸はまた目を閉じ俺を受け入れようとしている。
再び唇が重なり、自然に口が開いた。
互いの舌を絡ませた。
美幸の唇が少しづつ開かれ、俺の舌がくるのを待っているのが分かる。
それに応えるように俺の舌が入っていく。
美幸は俺の舌を強く、優しく吸ってきた。
美幸の心の声が、
『もっと、もっと』と言っている。
俺は服の上から美幸の胸に手を当てた。
そのまま円を描く様に優しく触っていた。
次第に乳首が硬くなってきたのが分かると優しく揉んでいった。
互いの息遣いが荒くなってきたが、まるで磁石で引き合っているかの様に唇は重なり続けている。
俺は美幸のTシャツの裾から背中に手を廻しブラジャーを外した。
そのまま手を胸に廻し、硬くなってる乳首に指で触れた。
美幸は「あんっ」と声を漏らした。
Tシャツを脱がせようと捲りあげようとした時、唇が離れた
「恥ずかしいから電気消して」
俺は一旦美幸から離れ電気を消し、ズボンとTシャツを脱いでベッドに戻った。
軽くキスをして美幸のTシャツを脱がせた。
両手で美幸の胸を揉んだ。
乳首を舐めると美幸の身体がビクっと動き同時に声が漏れた。
両方の胸を交互に揉み乳首を舌で優しく転がすと甘い声が漏れる。
乳首を舐めながら片方の乳首を摘んだり、指で弾いたりした。
美幸の乳首は両方とも硬くなっている。
手は胸を揉んだり乳首を触りながら、俺の唇はだんだん胸から腹へとキスをしていった。
左手で胸を触り、腹の辺りを舌で舐め、右手は太股をまさぐっている。
腹から太股に唇を移し舐めたり噛んだりを繰り返した。
美幸の呼吸も荒くなり官能的な声を出していた。
ショートパンツの隙間から指を潜り込ませたが、上手く触れず、すぐにボタンを外しファスナーを下ろしてショートパンツを脱がせた。
太股や膝を愛撫しつつ、足の付け根を指で何度も往復させた。
ショーツの上に手を当てると湿っているのが分かる。
俺は中指を何度も上下させた。
ショーツの中に手を入れると茂みがあり、更にその先へ指を滑をらせると、蜜が溢れていた。
割れ目を指でなぞると『アン、アッ、アン』と声が連続して出てきた。
割れ目の中に中指をゆっくり入れると美幸の声が高くなった。
ゆっくり、何度も出し入れすると美幸は声を殺そうと自分の指を口に当てた。
胸を揉んでいた手をショーツへとずらし、脱がせようとした時、美幸も脱がせ易いように少し腰を浮かしてくれた。
ショーツを脱がすと綺麗に整えられている茂みが見えた。
>> 37
足を少し拡げさせて、左手でクリを摘んだり、円を描くようにして、右手は薬指も加え中指と2本の指を入れた。
美幸は声をこらえているが「ン、アー、アッ」と、こらえる事が出来ず声がもれている。
出したり入れたりと動かしていた2本の指で、今度は蜜を掻き出すような動きに変えた。
美幸は始めて「気持ちいい」と口にした。
この濡れ具合を見れば聞かなくても分かるが、言われると嬉しくなる。
俺は更に足を拡げさせ、美幸の茂みの下に顔を埋めた。
クリを舐めながら左手で乳首を触り、右手は2本の指で再び出したり入れたりした。
美幸は声を我慢しなくなった。
「あ~、ダメ、あ~すごい、い~」
『俺も早く入れたい』
俺も我慢出来なくなり、クリから口を離し「美幸、入れていい?」それだけ言うと、すぐにクリに口を戻した。
美幸は「うん」と小さな声で言いながら頷いた。
俺は、さっき買ったアレを探した。
「美幸、コンビニの袋どこにある?」
美幸は「はい」と1つ渡してきた。
どうやら、片付けの時に用意したらしい。
俺はトランクスを脱ぎ硬くなってるモノに被せた。
俺はもう一度キスをし「じゃあ、入れるよ」と美幸の足を拡げ割れ目に当てた。
俺はすぐには入れずクリと割れ目を硬くなったモノで数回なぞった。
美幸は「はぅ、あぁ」と声にした。
少しづつキトウが割れ目の中に入って行く、美幸は「ぁあん」と声が一瞬大きくなった。
ゆっくり根本まで入れたところでキスをした。
俺は動かしたいの堪え、キスをしながら胸を揉んだ。
ゆっくり動き、浅く数回ついては根本まで入れ、再び動くすの止めた。
左右の乳首を交互に噛んだり、舐めたりすると美幸はその度、声をだす。
俺は身体を起こし、親指と人差し指でクリを刺激しつつ腰を前後に動かした。
ゆっくり動いたり、激しく動いたり、美幸は「アン、アン、アン」とほとんど『アン』しか言わなくなった。
イキそうになり、「美幸、イッていい?」と聞いたものの、もう我慢は出来ない!
美幸は「いいよ」と言った後、再び『アン』と連続して言っている。
俺は更に激しく腰を動かした。
「イクよ、あーイクっ」
イク寸前、美幸の中のモノが硬さを増し、ドクッ、ドクッ、ドクッと脈打ちし、美幸の中で果てた。
息を切らしながら、そのままキスをした。
長いキスが終わると「気持ち良かったよ」と、美幸は言い枕元にあるティッシュに手を伸ばした。
美幸はティッシュを「はいっ」と俺に渡した。
俺は受け取ったティッシュで美幸の濡れている部分を拭き取った。
美幸は「ありがと」と言い、再びティッシュを数枚取り、俺に渡した。
俺は白い液がこぼれない様にゴムを取り息子を拭いた。
俺はベッドを離れ電気をつけタバコに火をつけた。
部屋が明るくなると「恥ずかしいじゃん」と、言い美幸は毛布に包った。
毛布から顔だけ出して俺がタバコを吸うのを見ている。
目が合うと「シャワー浴びてくるよ」と言い服を着てベッドから出てきた。
美幸はカバンの中からタオルと着替えを出し浴室に入って行った。
シャワーカーテンを閉める音が聞こえ、すぐにシャワーの音も聞こえてきた。
俺はドアノブが音をしない様に、そっと開けシャワーカーテンを一気に開けた。
美幸は驚き「キャア」と悲鳴をあげ身体を隠した。
「もう~、止めてよ~、ビックリしたじゃん」
明るい場所で美幸の裸を初めて見た、俺は素直に
「美幸の身体綺麗だね」
と言った。
美幸も「でしょ!」と言い、隠していた手を頭と腰に当てモデルの様なポーズをした。
美幸はすぐに身体を隠し濡れた指先を俺の顔の前で弾き「エイッ」と笑顔で言った。
>> 40
「ほらぁ、恥ずかしいから、あっち行ってよぉ」
美幸の申し出を無視して俺も浴槽に入りカーテンを閉めた。
「俺も一緒にシャワー浴びるよ」
「本当にイヤだって明るいから恥ずかしいじゃん」
「大丈夫だって恥ずかくないって」
俺はボディーソープを手に取り美幸の背中をさする様に洗った。
お尻は円を描く様に洗い、股に手をやった。
美幸は身体をくねらせ「くすぐったいよ~」と言って、さっきまで恥ずかしいと言っていたのを忘れているのか、続きを期待しているのか、どちらかだと思った。
後ろから両手で胸をわしづかみし、乳首を人差し指で撫でると美幸は無言になった。
乳首が立ってきたので耳元で小さく囁いた。
「おっぱい感じるの?乳首立ってるよ!」
美幸は壁に手をつき「うん、感じる」
と言った。
俺は美幸の尻に再び硬くなったモノを押し当てた。
美幸を振り向かせキスをしながら胸を揉んでいると美幸の手が俺のモノへと延びてきた。
美幸は軽く握ると、ゆっくり手首を回転させながら上下に動かしてきた。
「美幸、気持ちいいよ」
美幸は「ホント?」と俺の顔を覗き込んだ。
再びキスをし、左手で胸と乳首を触り、右手で割れ目をなぞった。
割れ目の上にある膨らみに触れると「あっ」と声が漏れた。
人差し指と薬指で割れ目を拡げ、中指で中心を触り、しっとり濡れているのを確認すると、指を中に入れた。
「ああん」
俺は少し腰を落とし美幸の胸に顔を移した。
二つの乳首を舐めたり軽く噛んだりした。
さっきと同じ様に薬指も入れ、美幸を持ち上げる勢いで激しく動かした。
「あぁ、ダメ、もう立っていられない」
「あっ、あっ、あっ、あっ、」
美幸の声が浴室内で反響し一際大きく聞こえる。
「何がダメなの?」
「あぁん、イヤ、ダメ」美幸は首を振りながら言った。
「イヤなら止めちゃうよ!いいの?」
「イヤ、イヤ、ダメ」美幸は再び首を振った。
俺は指の動きを弱め「何がダメなの?イヤなら止めるよ」
「イヤ、お願い」
「お願いって何?」
「あっ、いじわるぅ」
「美幸がちゃんと言わないと俺分からないよ!」
美幸は小声で「きて」と言った。
「ん?聞こえないよ」
美幸の片足を浴槽の縁に上げ壁にもたれさせた。
「イヤ、恥ずかしい」
「何が恥ずかしいの?」
俺は再び激しく指を動かした。
「あぁぁ、ダメェ、いいぃ」
美幸は乳首を吸っていた俺の頭に腕を廻した。
「圭、お願い!もうダメ」
「何がダメなの?」
「んふっ、あぁ、入れて」
「もう指入ってるよ」
美幸は首を振り「違う、あっ、圭の入れて」
「何を入れてほしいの?はっきり言ってごらん」
「ん、あっ、圭のオチンチン入れて」
「いいよ、じゃあ向こうむいて、お尻だして」
美幸は反対に身体を廻し尻をだした。
立ちバックで入れようとしたが、狭い浴槽内で上手く入らず、美幸の片足を浴槽の縁に持ち上げた。
割れ目に押し当て、ゆっくり奥まで入れた。
「ああん」
自由の利かない体制で緩急をつけ、動いた。
美幸の尻に当たる度パン、パンと音が響く。
俺は無我夢中で腰を振った。
「美幸イキそうだよ…」
「あっ、ダメ」
俺は美幸の腰を掴みラストスパートを掛けた。
「イクよ」
「おね…がい、外に…」
「あぁ、あん、出して」
「あー、もうダメ、イクよ」
俺はイク寸前、美幸の中から抜き、尻に出した。
美幸はハア、ハアと身体全体で息をしている。
生でした事に満足した俺は美幸の尻に出した精子が1本の線になって太股を伝って行くのを眺めた。
再びボディーソープを手に取り俺達はお互いの身体を洗った。
俺が先に出て美幸はしばらくしてから出てきた。
美幸は頭を斜めにし、濡れた髪を乾かしていた。
その姿に見とれながら俺はタバコを吸っていた。
「なんか飲む?」
俺が聞くと美幸は「何でもいいよ」と返事をしたので烏龍茶を出した。
俺達は自然とペットボトルで廻し飲みしていた。
テレビをつけたがお互い見たい番組もなく、画面を見ていた。
「今日はもう寝ようか?」
俺は眠たい訳ではなかったが
「そうだね、寝よっか」
と、言って烏龍茶を飲み干した。
ベッドに入ると枕カバーも新しくなっていた事に気付いた。
美幸は前の彼女、つまり香織の事を全て消し去り自分の居場所を確保しているようだと思った。
美幸は自分の目覚まし時計も持ってきていた。
「目覚ましくらいあるのに」
美幸は時間をセットしながら「違う音で起きれなかったら私も圭も遅刻するかもしれないしさ、念の為だよ」
「ねぇ、明日何時に起こせばいい?」
「8時でいいよ」
「了解、そしたら私は6時かな」
「会社まで30分もあれば行けるし、そんな早起きしなくてもいいじゃん」
美幸は俺の顔を見て「さすがに一緒に行くのはマズイでしょ!?」
「そうだね」
「でしょ!私は地下鉄で行くよ、起こしたら出るね!」
美幸は頭の上に目覚ましを置いた。
違う枕が一つしかないので枕は俺が使い、美幸は腕枕で寝る事になった。
腕枕と言っても俺の肩の下に頭を載せている。
「今日、2回もしちゃったね」
「嫌だった?」
「ううん、嬉しかったよ、気持ち良かったし」
「美幸がセクシーだったから、いけないんだよ」
美幸は突然「ずっと一緒にいてね」と言ってきた。
「ずっと一緒にいるよ」
「ホントに?絶対だよ!」
「仕事場も一緒だし、これから時間のある時は常に一緒にいようね!」
「約束ね」
「うん、約束するよ」
「ねえ、美幸、眠い」
「ううん、眠くないよ」
「じゃあさ、もう一回する?」俺は美幸の胸に手を当てた。
「……………」
「美幸?」
「……………」
美幸はスースーと寝息をたてていた。
俺は一人でツッコミを入れた。
『お前、今、眠くないって言わなかった?もしも~し』
この後、美幸と結婚する事になるとは、この時の俺には知る由しもなかった。
「………よ」
「……てよ」
「起きてよ」
美幸が起こしているが眠い。
「あと5分」
「遅刻しちゃうよ!」
やっと目が覚めて時計を見たら8時35分だった。
「うわっ、やっべ遅刻する」
俺はベッドから飛び起きた。
美幸が笑っているのを見て俺は腹がたち文句を言おうとしたら美幸の一言で怒りが笑いに変わった。
「こんちはチンコ!」
トランクスの前穴、いわゆる社会の窓から元気な息子が飛び出ていた。
美幸は笑いながら
「朝から元気やねぇ」と冗談を飛ばした。
怒りたくても、つい笑ってしまい何も言えなかった。
「ソッコーで支度して出るわ、美幸も遅刻するから先に行ってて」
「私は今日休むから大丈夫だよ、それより鎮めてあげようか?」
美幸はニコニコしながら言ってきた。
魅力のある申し出に悩んだが「こんなんションベンすれば治まるから大丈夫だって」
俺はトイレに行って小便をした。
小さいキッチンで歯を磨いて顔を洗って着替えようとした時
「圭、まだ立ってるよ」
美幸は何故か嬉しそうに言った。
俺は携帯を取り会社に電話して休む事にした。
モラルや常識より理性に勝てなかった。
電話の最中、俺は美幸を見ていた。
電話を切った後、美幸がバイトを休んだ理由を聞いた。
理由は3つあった。
1つ目は俺が起きないから、俺を無視して自分だけ行けない。
まあ、これが1番大きな理由だった。
美幸はきちんと8時から俺を起こしていたが、『あと5分』の繰り返しで全く起きない、あと5分を何回聞いたか分からない。と、少し呆れていた。
2つ目は、部屋の片付けが理由だった。
昨日かなり片付けはしたが、前の彼女の物は全て無くしたいから片付けをしたかった。
3つ目は理由は買い物だった。
足りない物を買いに行き、より快適にしたいらしい。
美幸の希望を受け入れ、午前中に買い物をして、午後から片付けと模様変えする事になった。
俺の着替えが終わると、すぐに部屋を出た。
ショッピングモールに着き、始めにカーテンを買い、次に食器類を買い、最後に食品を買った。
部屋に戻ると美幸は食品を冷蔵庫にしまい、片付けが始まった。
俺は美幸に言われカーテンを交換した。
『そういえば、このカーテンも香織と買いに行ったなあ』
外しながら、あの時の事を考えていた。
交換も終わり、一服した時、俺の腹がなった。
時計を見るとピッタリ12時、これも何故か嬉しかった。
「ねえ美幸ぃ、何でもいいから何か作ってぇ、俺腹減って死にそう」
「ちょっと待ってね、すぐ作るから」
美幸は片付けを中断して、カバンからエプロンを出し料理をはじめた。
美幸が作ってくれたのは焼きそばだった。
「おまたせ~」
「うわっ、うまそ~」
「食べて食べて」
「いただきます!」
「超うまいよ!」
「良かったぁ」
俺は冷蔵庫からマヨネーズを出し焼きそばにマヨネーズをかけた。
「えっ、マヨかけるの?」
「うん、焼きそばにマヨって最高に合うよ!」
美幸はマヨネーズをかけて食べるのを嫌がった。
後々、その理由がわかる事になった。
「マヨかけたら味が変わるし、私はかけないよ」
「食った事ないなら一口食ってみ」
美幸は眉をしかめ、一口食べた。
「マヨネーズの味が強すぎる!焼きそばの味がしないよ」
「でも、焼きそばにマヨはやめられないよ」
「お茶だすね」
美幸はそれ以上何も言わず冷蔵庫から烏龍茶を出し、俺が食べるのを見ていた。
食べ終わり一服すると美幸はすぐに食器を洗い、片付けを再開した。
「俺、何すればいい?」
「じゃあ、掃除機かけてほしいな」
「うち掃除機ないよ、いつもコロコロだもん」
その時、携帯がなった。
画面に『香織』と出ている。
携帯を置きコロコロを取ろうとしたら美幸が「出ないの?」と聞いてきた。
「うん、いいや。たいした話しじゃないと思うし、美幸が気分悪くしたらヤだしさ」
ここで電話が切れたが、すぐにメールが来た。
メールを見ると、『私の荷物一応取りに行くね』と言う内容だった。
美幸は少し不安そうな顔で聞いてきた。「見ていい?」
「うん、いいよ」
内容を見た美幸は
「この部屋に入れないで!荷物なんて送ればいいじゃん」
「家はしってるけど住所しらないし」
「えっ、なんで知らないの?付き合ってたんでしょ」
「そうだけど、手紙書いたりとか、何か送るとかした事ないもん」
「じゃあ、どうするの?部屋に入れるのは絶対反対だからね」
「そしたら届けるしかないじゃん」
お互い口調が少し荒くなってきた。
「とりあえず、返信だけしとくわ」
俺は香織にメールを送った。
『荷物はまとめて香織の家に持って行くよ』
美幸は俺が香織と会うのを嫌がっているが他に方法がない。
住所を聞いて送るのは気が引けた。
「どっかで段ボール貰ってくるよ」
「うん、気をつけてね。私は片付けしてるよ」
俺は歩いてコンビニに向かった。
香織からまたメール来た。
『圭くんの部屋で・・・・と思ってたんだけどなぁ』
俺は・・・・が気になった、なんの事はすぐわかるが美幸の手前、普通に返信した。
『今、コンビニに香織の荷物を入れる段ボールを貰いに行く途中。まとまったら連絡するから』
コンビニで段ボールを貰い部屋に帰ると美幸はシャワーを浴びていた。
今回は覗かず香織の荷物をまとめ始めた。
香織の小説や雑誌、CDから片付ける事にした。
段ボールに入れるスペースはあるが、次の段ボールに衣類を入れようとタンスを開けた。
洋服は少なくパジャマやスエットをしまい。下着をひとつずつ懐かしむようにしまっていた。
香織の下着は必ず上下お揃いで下はTバックしか履かなかった。
ひとつ、ひとつに仕舞う度、香織の下着姿を思い出していた。
想い出しながら、ボーっとしていると美幸が怒ってきた。
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皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 128HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 142HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1398HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 513HIT 旅人さん
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まだ10時すぎなのにw
友達2家族と家で遊んでて別れ際に外で少し喋ってたら 近所の人に、喋るなら中で喋って子供も居るようだ…
69レス 4413HIT おしゃべり好きさん -
女性が座ったところに物を置くのはマナー違反ですか?
27歳の男です。 僕は昔から椅子に物を置く癖があり、仕事でもよくやっています。 最近、1年後輩の…
10レス 314HIT 教えてほしいさん -
保育園の先生は、保護者から旦那の愚痴を
保護者から旦那に関する愚痴を聞かされたら嫌ですよね? 旦那に関する愚痴というか、家庭内の状況が特殊…
8レス 234HIT 相談したいさん -
母とうまくやっていく方法
自分が何よりも1番正しいと思っている母と話をするのが苦手です。 母は話し合いをしようと言っても…
9レス 200HIT おしゃべり好きさん (20代 女性 ) -
🔥理沙の夫婦生活奮闘記😤パート1️⃣😸ニャン
きゃは(*≧∀≦*) 結婚生活のスレットからこちらにお引っ越し💨 皆さん初めまし😊 結…
121レス 1245HIT 理沙 (50代 女性 ) 名必 年性必 -
温度感のある恋愛
付き合い始めたばかりの彼なのですが、温度感が私とかなり違っていて、どうしたら良いか悩んでいます。2つ…
10レス 217HIT 恋愛好きさん (30代 女性 ) - もっと見る