神様…勇気をください

「その話、オレが聞いたろけ？」

これがアンタと私、始めての会話だった。

中2の春
塾の帰り道


私、岡本陽香は友達に頼まれて、同じ塾に通う彰との仲を取り持とうと必死だった。

「なあ、聞いてよ」
「……　　　」
「うちもこんな事したくないんよ」
「あっ逃げるな💦」

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チャリで逃げる彰を必死に追いかける私。

その後ろから情けをかけるように声掛けてきた人。

それがあいつ。昭二だった。

「その話、オレが聞いたろけ？」
「えっ。とりあえず彰捕まえて」


たったこれだけの会話が、焦ってた私の気持ちを和らげてくれた。


男子女子と呼ぶ年代。そんな中学生活で、ちょっかい掛けるでもなく、優しい言葉をくれた昭二。

あれからもう

20年…


お互い年だね

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それからアンタは私の視界によく入ってきた。

彰と昭二はクラブが一緒で大の仲良し。
私は彰とご近所さんでクラスも同じ。
今までも意外と近くにいたんだろうね。
それなのに全く見えてなかった。


初めての会話から少しして
昭二がモテてる男子だと

初めて知った…

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少しずつ増えていく会話…
何となく縮まってくる距離…


具体的にはいえないけれど、どこか周りの男子とは違う雰囲気の昭二。

アンタはいつも、何か守ってくれそうな安心感をくれたね。

何をやらかしても大丈夫。
それはお兄ちゃんのようでいて、バカな弟のようで…




中３の春🌸

同じクラスになった時、驚くでもなく、私は当たり前のことが起きたような感じがした。

私はアンタを意識するようになった。

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若いくせに、いつもぼーっとしてたアンタ。

みんなとはしゃいだりしないクセに友達はたくさんいて、何故かクラスの中心的存在だったよね。
未だにアンタの魅力が何なのかわからない。

でも、不思議と吸い込まれていく感じ。

それがとても心地よくて…


いつも教室の隅に腰掛け、私を見ていてくれたね。

目が合った瞬間のあの顔。

眉間にしわ寄せて、まるで「見んな💢」とでも言いたげな不服そうな顔。

「自分も見てるから目が合うくせに、アホちゃうか💨」
私はいつもそう思いながらも、あの顔が大好きだった。

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>> 6 削除されたレス 卒園式🌸

何を言いかけたん？

教室に何となくもう少し残っていたくなった私

一人机に腰掛けて、散りかけの梅の花をぼんやりみてた

そこにボーっと入ってきたアンタ

何も言わずボーっと…

ボーっとが
気まずい雰囲気にと変わっていきそうで…

何か話さないととドキドキしたその時、

「帰ろけ～」
彰がアンタを呼びにきた

アンタも口を開きかけてたよね

何言いかけてた？

私も

アンタに何て話しかけようと思ったんやろう…

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高校は別々になることに決まっていた。

受けたのは２人共、公立
だけどここは地域割で決まる学区

私たちはまず一緒になることはないだろう

そう
誰もが思っていた

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なのに…


合格発表の日

「何で一緒やねん」

普段クールなアンタの声に
遅れて見に来た私は驚いた

もう学校でジャレ合うことはない
そう諦めてたのに…





私たちはまた三年間、同じ道を通うことになった。

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