～今でも観てるよ～ここに居るからね

知り合って二か月。


貴方は私の何処を好きになって
くれてたのかな。
そんな事も聞いてなかったね。


彼の家は電車で一時間程のところ。

仕事が休みの日曜日は彼に会いに。
土曜、日曜が少年野球の為、
デートと言えば野球をしている監督の彼の姿を観てること。

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彼の家でお母さんが作ってくれた晩ご飯食べて
彼の部屋で少しだけ休憩して
帰りは彼の車で～


二人の時間と言えばこの時だったかな。
信号待ちが嬉しかった。
いつも一緒のコンビニ寄ってくれた。
特に何も無いんだけど、
その時間が嬉しかった。


～A.M.1：00～


　彼からのメール。
「…今着いたよ。今日も来てくれてありがとね。…」

「…お帰り～ こちらこそ
野球で疲れてるのに
いつも送ってくれてありがと。
明日も仕事頑張ってね！…」

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こんな喧嘩をして～って
書きたかったけど、喧嘩もしなかった。
あの日からまだ二人の時が続いてれば
いっぱい喧嘩もしたんだろうね。


野球以外は不器用だったけど、
自分が野球ばかりで
私に満足に何もしてやれないという、
貴方の気持ち、ちゃんと伝わっていたよ。

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～八月の休みの日～

　休みが一緒の日。初めてのお出かけは映画。
楽しかったね。
夏の暑い日、館内の冷房がちょっとキツくて
彼が自分の着ていたシャツを
二人の膝の上にそっと掛けてくれた。
そして初めてそっと私の左手を握ってくれて

ありがとう。

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「…おはよう…」
「…仕事行ってきます…」
「…お疲れ様。今日は疲れたよ…」

休みの日、
「…今日は野球観に行けなくてごめんね…」
「…いいよ、いつも来てくれるばかりで ワルィっ…」


そんなメールだったけど、貴方は必ず返してくれた。

そんなメールばかりだったけど、
ちゃんと繋がってるんだなって
私は貴方のことを想ってました。

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そして
～十月五日 私の誕生日～


その日の仕事を終えた彼からのメール。

「…あと10分で着くからね…」


P.M.23：20

彼が誕生日プレゼントを渡しに
私のマンションの下まで車で
来てくれた。

彼は車から降りていて

「はいっ プレゼント。」

彼は照れくさそうに言った。
「ありがと。」

沢山話したいことはあったけど
お互いまだ知り合ったばかりの様に話していた。

「あまり時間なくて…
　ごめんね。」彼。

「ぅぅん、ありがと。」私。

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「ｷｽ… しよっか…」
彼が小さな声で言った。

「ｳﾝっ…」
ちょっと恥ずかしい私。

　私は彼からもらったプレゼントを持ったまま。

彼は両手を私の肩にそっと置き、
私の唇にｷｽをした。

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　誕生日のこの日のｷｽが
彼との最初で最後のｷｽになりました。


「じゃあなっ。」
と彼は私の頭を撫でた。

「うんっ。ありがとね。帰り道気を付けてよ。」

もっと長い時間一緒に居たかった私のあの時の顔、
きっとバレてたよね。

もっと一緒に居たかったよ。

あと五分、私が引き止めておけば良かったかな。

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彼からのプレゼント。

白い砂浜に青い海～
夏の海に雪が降っているようなそんなｽﾃｷなオルゴール。
今でも大事にもってるよ。


「…今日はありがと。疲れてるのに来てくれて。
オルゴール大事にするね。
　そろそろ帰ったかな？」


彼からの返事が来ることはありませんでした。

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　彼は私を送った帰り道、彼の車の後ろを走っていたトラックに追突され

　天国に行きました。


「…ごめんね、
ごめんね、あの時私ともう少し話していれば…」

返って来るはずの無い宛先に何度もメールした。


もっと一緒に居たかった。
ずっと二人の時間が続くと思っていた。

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ねぇ、今でも観てるよ少年野球。私はここに居るからね。




　 短いですが終わりです。
私と彼の半年間の短いけど大切な大切な思い出でした。

読んで頂いた方々、ありがとうございました。

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