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自由人
13/02/27 01:20(更新日時)

人生が残り少ないものとしたら…

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No.1886809 12/12/08 21:02(スレ作成日時)

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No.51 12/12/09 21:01
自由人0 

それからも、電話やメールは続く。


ある日、どうしても我慢できない事があり、家を飛び出した。買い物に出かけただけだった。

そこでメールがあり、
電話大丈夫だよ。と返事をすると電話がかかってくる。


声のトーンが違っていた。

『今大丈夫!? 今どこ?』
と聞かれ、居る場所を言う。

気にせず愚痴を話す。

普通に聞いてくれている。



『あのね話がある。』

『何?』と答える声のトーンは下がり、身構える。



No.52 12/12/09 21:13
自由人0 

あいつは
『そんなに構えないで、べつに別れるとかそんな話ではないから…』と。


じゃあ、何なの。
それ以外の話って。
何かがおかしい。
色々な事が頭を巡っている。

聞きたいような聞きたくないような気持ちだった。


『実はね…子供が出来てた。』

予想だにしない言葉に頭が真っ白になった。
でも、何か答えなきゃ、何か言わなきゃ…と焦る。


出た言葉は
『仕方ないよね、夫婦なんだから。』

そんな事、微塵にも思ってない。責めたかった。

『で、いつ生まれるの?』

『10月が予定。』

咄嗟に逆算する。

あいつが私に告白する前に、奥さんにせがまれて、旅行した時位か。

『じゃあ、あの旅行の時の?』

『それは違う。もっと前に。』

いつだったか、次の子供が欲しいと言われていると、こんな風になる前に話していたのを思いだした。


どうやって会話を終え、帰ったのか、それも覚えていない。
その夜、泣いたのかどうかも。

No.53 12/12/09 21:25
自由人0 

帰ってから、以前の色んな場面を思い出していた。


偶然、買い物先であいつの家族に会った。
あいつは子供連れてる所に会いたくなかったと言っていた。
普通の知人のように、ベビーカートの中の子供を、可愛いね!と言った。それは本心だった。

それより奥さんには会いたくない…。離れた所に居たけどすぐに分かった。
あいつによく似た子供と一緒に居るのが奥さんなんだと。

後ろ姿を見て、あの格好にスニーカー? しかも髪がハネている。格好を気にしない人なのか。


隠れ家からの帰りに気になった電話、お腹が痛いと言ってた。

あれもこれも、妊娠初期だったから…と。




No.54 12/12/09 21:36
自由人0 

付き合い始めてすぐに、車を買い換えると言い出した。

理由はよく分からなかったが、あいつの言ってる感じからすると、今まで生活感漂う家族が乗っていたその車を換えるという風に勝手に捉えていた。


それにしても奥さんからすぐOKが出たなぁと思っていた。


それはそうだよね。
家族が増えるからと言えば、奥さんも快諾だっただろう。


私の為なんかじゃなかった訳だ。

私と逢う為に使いたいから、早く納車して欲しいように聞いてた気がした。
勝手な思い込みだったのかもしれない。



No.55 12/12/09 21:49
自由人0 

あいつはどうして昨夜、急に告白したのか。


理由はこうだった。

次に逢うまでには言わなきゃと思っていた。



身勝手でごめん。
俺は最低だ。 と。



でも、別れないとあの時言ってたよね。



私は今のままで居たらいいの?
考えが及ばない。


次に逢う予定は決まっていた。その告白から5日後だった。



No.56 12/12/09 22:00
自由人0 

それから次の約束の日までに、どんな電話やメールをしたのか全く覚えていない。


むしろ、約束はもう無いものと思っていた。



その約束の日、メールが来る。
いきなりな感じ。


これは、来ないって事なのだろうと思っていた。


でも違った。

こっちへ向かっている。

運転中のぶっきらぼうなメールだった。


でも着くのは一体何時になるんだ。逢っている時間無いんじゃない?


飲み物を買い待っていた。

いつも逢って話した場所で。


来た。

車に乗り込む。

空気が違っていた。



No.57 12/12/09 22:16
自由人0 

変な意味で心臓が高鳴る。


その口から何と言われるのだろう。


顔色もおかしい。


いつものあいつではなかった。

窓の外を見るあいつの頭を見ていた。
白髪を見つけた。
なんだか悲しくなった。
こんなの有ったかな…。


私はあいつが別れないと言ったのを前提に話をする。

子供が生まれるのは仕方ないよ。その事は私とこうなる前の出来事の結果であって、全て含めて好きだから。
そんな事はもういいよ。
どうしてこっちに居る時に話してくれなかったの?


そう言ったと思う。


ずっと好きだった私とこうなれて幸せに思った瞬間、妊娠したと聞かされ、これが運命だったのかと愕然とした。

こっちに居る時は夢中で言う事は考えられなかったのだろう。

離れてからは、私の精神状態を考えると言えなかった。と。


No.58 12/12/09 22:31
自由人0 

あいつ泣きそうな顔だった。



納得できないまま、帰ってからもメールをしていた。


あいつはやっぱり迷っていた。明日私と逢わずに帰ろうかと。
そんなの嫌だ!
と初めてだだをこねた。


やっぱり明日は逢おう。
明日は君の行きたい所へ行こう。
今夜は1人で考えたい。
2人で過ごした場所で。
今夜はここで寝ます。

と返事が来る。


その場所の車内で寝るらしい。
それすら悲しく思え、
ごめんね。
とメールをした。


全然謝るとこじゃない、悪いのは全部俺だから。

と返事が来る。



明日が最後なんだ…となんとなく思った。



No.59 12/12/09 22:44
自由人0 

翌朝、今までと同じ感じでメールが来る。


待ち合わせしてた場所から、あいつの車に乗る。


思い出の場所に向かっていた。

でも最後だろうと思いながらあの場所に行きたくなかった。
あんなにキラキラと輝けた場所に。

不機嫌そうだったのだろう。

『どうする? あそこに行きたかったんだよね?』


(あなたが、また2人で来ようと言ったんだよ!)心の中で思いながらイライラした。


『どうでもいい!』
投げやりになっていた。


『じゃ、もうちょっと走るね。』
と言いあいつは車を走らせた。


着いた先は、先月逢ったホテルだった。


ツカツカ歩いて勝手に部屋に入る。


怒りにまかせ入ったまでは良かった。


入ったら悲しくなっていた。


今日で最後。



No.60 12/12/09 22:59
自由人0 

あいつは泣きそうな顔で、名前を呼びながら突然抱きついてきた。
子供がお母さんに夢中で抱きついてくるみたいに。


驚いた。


今までは、必ず避妊して、と言ってきた。


その時は逆の事を言った。


あいつは、そのまま私を抱いた。

でも途中から『つけるよ』と言った。


それ以上、悩むような事になりたくない理性だけは働いたのだろう。



No.61 12/12/09 23:30
自由人0 

涙が出そうだった。

抱かれてるのに、こんなに好きなのに、どうして…。


言わずにはいれなかった。

『こんなに愛し合ってるのに、別れることなんかできるの?』

『言わないで! 分かってる!』とあいつが言った。


全然分かんないよ。


あいつはまだ迷っている。



No.62 12/12/09 23:38
自由人0 

帰り道、2人とも言葉少なだった。


当たり前だ。

お互い心の中で、迷い、詮索、ぐちゃぐちゃになりながら。




別れ際、もう逢えないのかもとあいつの頬を撫でて、じゃあね、と車を降りた。


怖くて、後ろを振り向けなかった。



No.63 12/12/09 23:57
自由人0 

それからのメールは、今までと違った。


あいつは自制している感がありありと分かった。




私は気が変になりそうだった。

もう建設的な考えなどできない。


毎日、お風呂、布団の中、1人の時間だけ声を殺して泣いた。


No.64 12/12/09 23:58
自由人0 

最後に逢ってまだ1週間もたっていないある日、

会社で仕事している時に
ぷつりと糸が切れた。



涙が止まらない。
もうダメだ。
吐きそうになるまで泣いた。


親友はそんな私を見た事もなかったから驚く。
別の部屋に連れて行き理由を聞いた。

でも言えない。
嘘をついた。
主人と上手くいってないのを知ってたからそれを利用した。
もうやっていけないと。


親友は納得していた。



No.65 12/12/10 00:07
自由人0 

翌日、その親友と出掛けた。


昨日の出来事に心配していた。

大丈夫な訳がない。


いつもだったら、夜まで一緒に過ごすけれど早く家に送り届ける。

親友が心配な顔をする。

顔を見れなくなってしまった。

私が家に戻らず、どこか消えるのではないか…と感じたらしい。


家は綺麗に片付けてきた。


行き先、あてどもなく。


走らせた。



気がつけば、思い出の場所に向かっていた。



No.66 12/12/10 01:29
自由人0 

さっき別れた親友には、
心配しないで、とメールした。


もう1人の全ての事情を知っている親友には、
家を出た。今日は帰らない。家族に何か聞かれても知らないと通して、とメールした。


そしてあいつにも、
家を出た。とだけメールした。

もう誰も思いやる事なんてできない。


もう居なくていい。



No.67 12/12/10 01:38
自由人0 

着いた先は、あの思い出の場所。

ただただ泣いていた。
1人になったから、時間ができたからといって何も考えられない。


あいつからメールが来た。


すでに家に居るのだろう。

だからメール。


『家を出たって? どこへ行くの?』


『心配しなくても、そっちには行かないから。』と私。


『そんな事じゃなくて。俺のせいで。俺が苦しめてる。』


何、今さら…。


『君のせいじゃないよ。私が弱かっただけ。』


もう自分の殻を閉めかけている。


No.68 12/12/10 01:52
自由人0 

大きな山を見ていたら、闇に吸い込まれそうになる。


そこは、あいつが住む場所と私が住む場所の中間位の地点。


最初は全くそんな気なんか無かったのに、試したくなった。


『行けなくてごめん。』
あいつは、いとも簡単に行けないと謝った。


時々あいつが言ってたのを思い出した。

『君はまだ本当の俺を知らない』

どういう事か尋ねても言わないので、親友と、過去に犯罪でもしてるのか?と無責任な事を話した。


私があいつだったらどうしただろう…。
夜だし、明日は仕事は休みだし、彼女が心配だ。何とでも嘘をついてそこへ駆けつける。
と思った。


本当のあいつ…?
よく考えれば、知らない事だらけだ。


No.69 12/12/10 02:07
自由人0 

本当の俺…
それは意外に冷たい人間だったって事かな。


あまりいい生い立ちではなかったと聞いていた。
何か影響してるんだろうか。



いつまでも泣いた。
涙がかれるまでと言うが、涙はかれなかった。
どれだけ出るのだろう。
一晩中泣いた。




このまま死ねばいい。
死んであいつを後悔させたい。そうすれば、私を一生忘れられないだろうと、そんな事を考えてた。


No.70 12/12/10 14:36
自由人0 

泣きながら朝を迎える。

昨夜の大雨の中の様相とは違った山々を眺めていた。
雨も上がり明るくなりつつある山に問いかける。
やっぱり涙は止まらなかった。

あいつからメールが来る。

大丈夫?
今日は病院に行ってくるよ。


病院とは、奥さんの産院の事。住んでる所から少し離れた奥さんの実家の周辺の産院なんだろう。
お腹が張って痛いと言っているらしい。


私が狂言で家を出てるとでも思ったのか。

わざわざそんな報告は要らない。



私はあいつの人間性を見誤っていたのかもしれない。

No.71 12/12/10 14:48
自由人0 

心の闇って怖いと思った。

全くそんなつもりもなかったのに、引き込まれそうになった時、自分の身の回りの事も考えず死んでしまおうと思った。


それを断ち切ったのは、全てを知っている親友からのメールだった。


彼女には全て話していた。
家を出た事も。
夜になり、嫌な予感がしたのかもしれない。
間をあけずにメールをしてきた。

最初は居場所、体、心の心配。間違いなく帰ってきてくれるよね?と。



憑き物が落ちたように我にかえり、車を走らせた。


近くの道の駅のトイレで歯を磨いたらスッキリした気分になっていた。



今からどうしよう…。

No.72 12/12/10 14:56
自由人0 

親友が
お願いだから帰ってきて、
顔をみないと安心できない。

とメールをしてきた。


今から帰るよ。

と返事をして彼女の家に向かう。


私はこの一晩で何をどうしようとか結論付けられず、心の整理もつけられないまま帰っていった。


親友の部屋へ入る。

泣きながら抱きついてくる。
安堵の表情。


私は泣けなくなった。


心配をかけてしまった。
ごめんね。


No.73 12/12/10 15:12
自由人0 

その日の夕方、あいつからメールが来る。

今夜は家なの?

まだ帰っていない。
と私。


夜、少し話せる?


奥さんがお腹が痛いと寝ているらしく、子供の世話でなかなか外に出られなかったようだった。


あいつが電話をかける為に外に出る時間に合わせ、私も親友の家を出た。




No.74 12/12/10 15:13
自由人0 

電話がかかってくる。


今どこに居るの?


家じゃない事を伝える。


1時間位話したかな。
その内容は、自分が周りで色々と大変な事があったという話。


だから、今のこの私らの状況と何か関係があるのか?
それがどうしたの?
さっぱり分からなかった。

結局は、もう少し待ってと。


何を待つのか?


あいつの考えがまとまるまで返事を待ってという事だった。


もう期待なんかしていない。




No.75 12/12/10 15:17
自由人0 

来る日も来る日も、あいつからは

『おはよう。』

『おやすみ。』

のメールだけ。


わざと素っ気ないメールを送ってきてるとしか思えなかった。

そんなメールだったら要らない。




No.76 12/12/10 22:17
自由人0 

あれから随分と時間は経った。

たまに内容があるメールが来るのは、お酒を飲んでる時だけのようだった。

仕事の事。


後は、『ごめんなさい。』



何に対しての“ごめんなさい”なのか全然分からない。


ごめんなさい…ばっかり聞き飽きた。


謝って済めばどんなに楽か。

『謝る事は君の自己満足だよね』

と意地悪な事を書いた。

『そうだね…自己満足なのかもしれないね。』

開き直るんだ。



No.77 12/12/10 22:25
自由人0 

私はこのまま別れを告げられるのも、はっきりしないのも嫌だった。


苦しい。苦し過ぎる。


私は、会って欲しいと言った。

あいつは、時間を作ると言った。


離れてからは、あいつが私の元まで来ていた。

今度は違う。
私があいつの元に行く。


でも、会ってなんと言おう…。
運転をしながら考えるが、考えがまとまらない。

もし、向こうで別れを告げられたら帰ってくる時辛いよね。


でももう走り出した。



No.78 12/12/10 22:36
自由人0 

あいつは休みだったが、仕事で出ていた。
家を出る口実にはちょうど良かったようだった。


その足で迎えに来る。

車に乗り込む。


会話はたどたどしい。


周りは人がたくさん歩いていた。
人目も気にせず抱きついた。
もしかして、横を通る人は、あいつの顔を知る人かもしれない。でもそんなの私の知った事ではない。

あいつも私を抱きしめていた。

それから意味もなく車を走らせる。

でも、それから手も握らない。
たわいのない事を喋る。

時間だけが過ぎて、核心に触れないまま、タイムオーバーを待っているように見えた。



No.79 12/12/10 22:44
自由人0 

『どうしてここまで来たか分かる?』


『うん。俺の気持ちがはっきりしたのかを聞きたくて来るんだろうと思っていた。』

『本当だったら俺が君の元まで行って話すべきだった。でも時間がなかなか取れなかった。』

時間が無い…。
確かにあいつは相当な時間を仕事に費やしていた。
毎日クタクタになっていたと思う。
来るのも1日がかりの行動になる。


でも、時間が無い、は冷めた者の定番の言い訳。



だんだん答えも見えて来た。



No.80 12/12/10 22:51
自由人0 

私が車を置いた場所がまずかった。
移動させなければ行けない。


でもまだハッキリ言葉も聞いていない。
ここまで来て何も確かめずに帰る事なんかできなかった。



とりあえず、あいつの走る方向へついて車を走らせる。


バイパスの駐車スペースに車を停めた。


あいつの車に私が乗るのではなく、私の車にあいつが乗った。

どうでもいい話をしている。

そんな事今はどうでもいい事!とイライラした。



No.81 12/12/10 23:03
自由人0 

核心に触れなければ…。

何か問い詰めなければ。


でも心の中では、もう聞いても無駄だ。答えは出てる…と思った。


ねぇ、2年も私の事を好きだったんだよね。
あの時のあの情熱は、何に負けたの。
絶対に負けないと言ってたよね。
初めから分かって始まった事だったのに、罪悪感て何。

心の中で呟いていた。


また抱き合っていた。
変な気持ちだった。
私を抱きたいだけなんだ…。


でも私はそれでも良かった。
名前を呼んだ。
『来て…』って。


No.82 12/12/10 23:09
自由人0 

車の中、ガラスは真っ白に曇っていた。



もうタイムリミットを過ぎていた。


『ここからこう行って、そこから帰るんだよ。気をつけて。』


体を重ねるのも、これが本当の最後になった。




No.83 12/12/10 23:36
自由人0 

あの夜帰り着いてから、親友にメールをする。


ダメだった。

その一言。



翌日、あいつからメールが来ていた。

あんな事になってごめんなさい…。
友達以上の感情があったからあんな事になった。
でも、君の気持ちには応えられない。



どれだけ身勝手な人だろう。
そんな事、途中から気付いていたはずだ。


それでもいい…と思う程、好きだったのに。




No.84 12/12/10 23:42
自由人0 


それから少し音信不通になる。


家で飲んでいたのか、メールが突然来る。


最近どう?


どうだったら気が済むの?


決まっている。
まだ私には気持ちが残っている。

情けない。
どれだけ自分を傷付けてくのだろう。


No.85 12/12/10 23:53
自由人0 

何が本当で、何が真実なのか分からない。




あの時の君へ気持ち、言葉は本物だった。嘘はなかった。

でも、奥さんへの罪悪感でいっぱいになった。自分でもまさかこんな気持ちになるとは思ってもみなかった。
気持ちはどうしようもない。

俺は子供を選んだ。
一緒に居るべきだと思った。

俺に言う資格なんかないけど、気持ちには応えられない。

許してなんか言わない。
むしろ一生許さないで。




日に日に大きくなるお腹を見て、心が動いたんだろうね…。




No.86 12/12/11 00:47
自由人0 

私には生まれて初めての感情だった。
絶対に運命だと信じていた。

だから忘れる事ができなかった。



今まで付き合った人との別れは、結構あっさりしたものだった。


それなのに今の自分は何?
未練の塊。
醜い。
醜いと思われても手放したくなかった、あいつの事。




No.87 12/12/11 00:53
自由人0 

こんなに私の気持ちを動かした、気持ちを変えた人は居なかった。



私は、思い出したように、
あいつに気持ちを伝え続けた。


どこかで繋がって居たかった。


気が向いたら返事が来る。


あいつも完全に想いを断ち切れてはいないと文面から分かった。


それが分かると余計に辛くなった。



No.88 12/12/11 01:03
自由人0 

君は俺の人生の中で特別な存在。


そんなメールも来た。


ずるい。
ずるいけど、私は2番目でも良かったから、私を寄り添わせて欲しかったよ。



紡いだはずの赤い糸は、細くなってしまっていたけど切れてはいなかった…と思う事になる。



体がどこかおかしい…。



No.89 12/12/11 01:14
自由人0 

気持ちを確かめに行ったあの夜の事。



愛し合ったけど、実は最後まではいけなかった。


だから妊娠する確率なんてほぼ無いはず。


心配もしていなかった。


でも100パーセント大丈夫か?というとそうでもない。



調べる。クロだった…。

No.90 12/12/11 01:27
自由人0 

自分にとって今世最大の運命はまだ空回りしていた。



どうしていいのか分からない。

あと3ヶ月もすると奥さんのお腹から出てくるあいつの子供。


私だって生みたい。


でも今の状態ではあってはならぬ事。
修羅場になるのは目に見えている。



だけど、もう少しだけ。
この幸せを感じさせて欲しい。
その後は私1人で罪を背負うから…。



No.91 12/12/11 01:31
自由人0 

『幸せ』をこんな形で受け取るとは思いもしなかった。


誰にも言えない。
あいつにさえも。



ひとり、先の無い幸せを静寂のまま噛みしめていた。



No.92 12/12/11 01:48
自由人0 

まだ体にこの子が居るうちに、あいつの顔が見たくなった。



親友を説得する。
事情を話さず。
ただ顔が見たい。連れて行って欲しい。と。
運転も任せ1日がかりのドライブだった。



もしかすると会えないかもしれない。
賭けに近い。


会えた。

良かった。
良かったね。
体の壁を透しての対面だったけど、あいつとこの子を会わす事ができた。




別れる時間が近くなる…。




No.93 12/12/11 01:58
自由人0 

あいつにとっての大事なものは、子供達だった。


自分の生い立ちが不幸だったから、同じ思いをさせるのが辛いから…と私の前を去って行った。


それと、もう一つ大事だったのは『自分』だったのかもしれない。あいつは自分で気付いていなかっただろうけど。



私はその大事なものを壊さない為に、誰に言う事もなく、生まない決断をするしかなかった。



今でも、誰にも言わないまま…。




No.94 12/12/11 02:15
自由人0 

こんなに辛い事はなかった。



麻酔、覚めなくても良かったのに。


でもそんな事が起きたら、あいつの事を守れない。


私をこれほど傷付けているのに何も知らないまま。
悔しい。
だけど私だけしかあいつを守れない。
そんな錯覚を起こしていた。



スーパーで買い物をする妊婦が居るのがやたらと目につく。
グラグラと目眩がした。


赤ちゃんを抱いたあいつ位の男の人を見ると吐き気がした。


No.95 12/12/11 02:31
自由人0 

気持ちを繋げていたかったから、思い出した時だけメールをしていた。



返事もほとんど無くなった。

あいつも思い出したように返事を送ってくる事があったが、何て言っていいのか分からない。と書いてくる事が多かった。



価値観がどうのこうのと書いたメールを最後に着信拒否をされたようだった。


すごく惨めだった。




No.96 12/12/11 02:40
自由人0 

それから何年も経った。

あいつの事が好きなのは、今も変わりない。
憎しみに変わる日を待っていたのに。


子供を見ると、この位だな…。居たらどうだっただろう。




体調が悪くても病院には行かなかった。
いつかは、なくなる命。
早いか、遅いか、それだけの話。
何も怖くなかった。



体調が悪い。
それもそのはず。


ある病を発症していた…。



No.97 13/02/27 01:08
自由人0 

いつ死のうが怖くはない。

思い残す事、本当にない!?


やっぱり…最期にあいつに会いたい。


2人で過ごした別世界の幸せな時間。
その記念日は明日だった。





でももう会える事もないだろう…。



No.98 13/02/27 01:12
自由人0 


あの時の選択は間違ってなかったんだよね。


私は産むべきではなかった。

子供を不幸にするところだった。





でも、本当は2人の子供見たかった。




No.99 13/02/27 01:16
自由人0 


神、仏なんて信じてなかった。
それなのに、勝手なご身分。


『どうか、この世から居なくなる前に一度でいいから、彼と会わせて下さい…』
誰にお願いしているのだろう。

都合が良すぎる。



No.100 13/02/27 01:20
自由人0 


人の命も…


人の繋がりも…


こんなもの。

儚い。



あいつは、私との事、記憶から消し去りたいと思ってるのかもしれない。



もう連絡をする術もない…。



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