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死ぬほど愛した

レス193 HIT数 60775 あ+ あ-

自由人( ♀ )
13/11/10 15:04(更新日時)

彼は…愛しすぎた。
家庭を捨て、彼女とやり直す事に決めた。
でも………

彼の愛は…愛は……。

No.1870549 12/10/31 15:44(スレ作成日時)

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No.1 12/10/31 15:49
自由人0 ( ♀ )

出会いはいわゆる『出会い系サイト』
お互いに、援助交際を目的とした出会い。

彼は彼女に気付いていた。以前、他の『出会い系サイト』でメールや電話をしたけれど、結局会えなかった女だと。
でも、彼はそれを隠した。隠して会う約束をした。

それが…その後の人生を狂わす、大きな歯車になるとも知らずに。

No.2 12/10/31 16:18
自由人0 ( ♀ )

会わなければよかった…と、後悔する事はなかったようだ。
その実、彼はとても幸せそうだった。

No.3 12/10/31 16:21
自由人0 ( ♀ )

初めて会う約束をした時、彼女は仕事柄、早く寝るとの事で、待ち合わせが19時を過ぎるようなら、他の日にして欲しいと言われた。
しかし彼は1度チャンスを逃している。

普通に仕事をこなせば、間違いなく19時を過ぎる。今日じゃなくてもいいかも知れないが…彼はどうしてもこのチャンスを物にしたかった。

No.4 12/10/31 16:26
自由人0 ( ♀ )

彼は会社に『用事があるから』と嘘をつき、あらかた仕事を片付け彼女に連絡をとった。

彼女は19時くらいだと思っていたので、彼からのあまりの連絡の早さに準備すらしていなかった。
それはそうだ。
彼から連絡がきたのは17時過ぎ。

彼は『慌てなくていいから、気をつけて』とメールを返した。

No.5 12/10/31 16:30
自由人0 ( ♀ )

待ち合わせ場所は昼間の電話で決めていた。
けど、彼には1つ問題があった。
…通勤には軽トラを使っていた事。
まさか彼女に会えるなんて思ってもいなかったから、今日も余裕で軽トラだ。

『目印は?』
との彼女からの質問に
『すぐわかる車だよ』
と返事をした。
しかも車は他には止まっていない。

No.6 12/10/31 16:33
自由人0 ( ♀ )

彼が到着してから15分ほどで彼女がきた。
車を隣に止めた。

窓越しに彼女を見ると、彼女は少し頭を下げた。

彼は……
彼の心は、張り裂けそうなほどに高ぶっていた。

とにかく、軽トラでホテルに行く訳にはいかない。
彼は車を降り、彼女の元に歩いた。

No.7 12/10/31 16:39
自由人0 ( ♀ )

彼女は彼が近付くのに気付いて、車の窓を開けた。

『車、乗せてもらっていい?さすがに軽トラは…』
そういうと彼女は笑いながら
『いいですよ😄私の運転でよければ……ニヤリ…』

彼の気付いはもう決まっていた。
今まで他にも援助交際で会った女はいた。
『好きだな』と思って、結婚している事を隠して付き合った女もいたが、彼女は今までのどの女達とも違った。

No.8 12/10/31 16:43
自由人0 ( ♀ )

過去に結婚を考えた女は1人。
今の妻は、その女との結婚を反対され、ヤケになって見合いをして結婚した女だった。
子宝には恵まれた。
子供をかわいいとは思ったが、妻を愛おしいと思った事はなかった。

『いつ離婚してもいい』
そんなつもりで結婚した女だった。

No.9 12/10/31 16:48
自由人0 ( ♀ )

話を戻す。
彼は46歳。まさかこの年で、結婚したいと思うほどの女に巡り会うとは思ってもみなかった。
彼女には42歳だと、最初は嘘をついた。
彼女は23歳。もう別れたいと思っている彼氏がいると言っていた。

欲しいと思った。
家庭の事など頭になかった。彼は人生で2度目の…恐らく人生で最後の恋に落ちた。

No.10 12/11/02 18:07
自由人0 ( ♀ )

目的はあくまでも『援助交際』であり、彼女にはそれ以上の気持ちはない。

しかし…彼は割りといい男だ。
それに………
会社の名前がバッチリ入った作業服を着ている。

『あのさ…別に会社知ったからって何もしないけど、抵抗ないの?いつもそんな感じ?』
彼女はある種の親切心で聞いてみた。
『初めてだよ』
『…ふぅん……』
何気ない会話だったけれど、彼女には妙にグッとくる会話だった。

No.11 12/11/02 18:13
自由人0 ( ♀ )

待ち合わせ場所の近くに、ホテル街(ラブホ街?(笑))がある。
1番リーズナブルなホテルを選んだ。

彼はいかつい顔をしているくせに、やけに甘えん坊だ。脱がせたがるし、一緒にお風呂に入りたがる。
キスもたくさんしたがる。

顔は悪くない。
どちらかと言えば好みだ。キスも嫌いじゃない。

No.12 12/11/10 17:30
自由人0 ( ♀ )

1度目のセックスが終わって、話しをしていたら、私の携帯が鳴った。
職場からだ。

『売春斡旋出会い系ヘルス』
と言えば、想像は出来るだろうか。

出会い系で男をひっかけ、お金をもらい、それを店に売上として上納する。
それが私の仕事だった。

No.13 12/11/10 17:33
自由人0 ( ♀ )

彼には、仕事で後輩がミスをして泣きついてきた…と嘘をついた。

でも帰そうとしてくれない。もう1度抱きたいと言う。そんな顔で甘えん坊って…キャラが立たない😓(笑)

どうしても行かなきゃ、と彼を説得した。
やっと手を離して、一緒にお風呂に入る事に…

No.14 12/11/13 15:04
自由人0 ( ♀ )

彼は『また会いたい』と言った。
お金さえ払ってくれたら、私の仕事は成り立つ。
『いいよ』
そう答えると、
『とりあえず明日の夜、飯でも行こう』
と彼は言った。

私は普段ならその手の誘いは断る。
勘違いされるのも面倒くさい。

でも…
『いいよ』
私は何故かそう答えた。

No.15 12/11/20 14:28
自由人0 ( ♀ )

翌日は土曜日で、私も仕事が休みだったため、ゆっくりできた。

どんな仕事をしているのかは知らないが…結構値の張る店に連れて行かれた。


私は割り切らないと嫌なたちだ。
今日はご飯をご馳走になりにきたのだから、それ以上はキッパリと断る。
彼は、そんな意外性にも惹かれたらしい。

No.16 12/11/29 13:12
自由人0 ( ♀ )

ご飯だけ食べて、サクサク帰るのは申し訳ないし、時間もあると言うので、近くの港に行った。

港の向かい側にはコンビナートがあるため、割りと夜の暗さは感じない。
取り留めのない話しをして、私は名前と職業以外はほとんど本当の事を話した。

彼に家庭がある事は聞いた。妻子と彼の母親と暮らしていると言っていた。
が…女にこれだけお金を使う男だ…ろくな旦那、父親ではないだろうな…とは思った。

No.17 12/11/30 12:58
自由人0 ( ♀ )

日曜日はさすがに会わなかった。メールは何通かきたけど…返信していいのか悩んだ…家にいるんじゃないのか…💧
とりあえず、当たり障りない、男からの返信ともとれる感じで返信した。

No.18 12/11/30 13:03
自由人0 ( ♀ )

月曜日。
彼は朝から体調が悪いと言っていた。
今年1番の冷え込みとテレビで言っていた。
彼は心臓が悪い。
息苦しいと言っていた。
仕事は休めないから…と、目処がつくまで仕事をこなして、かかりつけの病院に行くと言っていた。
診察券は家にあるから、奥さんに持って来てもらうのだと。
『気をつけてね』とメールをすると、
『家の近くだから会いたい』と返信がきた。

いや…早く病院行け‼
仕方ないので、 家の近くにある自販機で温かいお茶を買って持って行った。

No.19 12/11/30 13:10
自由人0 ( ♀ )

『大丈夫なの?』
と、とりあえずは聞いてみたけど、大丈夫ではなさそうだ…
いくら帰り道に近いからとは言え、病院に行くには少し道を外れる。

『顔見たら元気出そうだったから。嫁さんがやりくり下手でね…ホントは通院しないといけないんだけど、俺の病院代ないわけよ』

いや…こないだいいモン食ったぞ…💧病院代に回せ💦『いいから、早く病院行きな?奥さんも着いてる頃やろ?』
ほんの5分程度。

あぁ…この人は私と同じ人種だ。
5分だけでも会えるなら、2時間かけて会いに行ける。それが苦痛ではない。
そういう、恋に重さのある人種。

No.20 12/11/30 13:19
自由人0 ( ♀ )

病院終わったらメールしてね。
そう言って別れた。

あ…でも…もしかしたら、奥さんと一緒に帰るかもだな……。
あんなに具合悪そうな旦那、放っては帰らないだろうし…。
一緒ならメールはこないだろう。
とりあえず、待つだけ待とう。

1時間ほどしてメールがきた。
『今から帰るよ。心配かけてごめんね』
『え、1人で帰るの?大丈夫なの?奥さんは?』
『嫁なら診察券置いて、さっさと帰ったよ』

私には考えられない💧

『そうなんだ…💧気をつけて帰ってね。送る訳にはいかんし💦』
『大丈夫だよ。会えたから、元気出たし。あと、お茶、ありがとね』

彼の家庭を考えた。
……やめた。
深入りするべき相手ではない。私は情にほだされやすい。気をつけないと。

No.21 12/12/14 12:58
自由人0 ( ♀ )

彼は毎日仕事中には暇さえあれば電話をしてくる。
それが出来る仕事だ。
私もなるべく相手をした。特別何か…と言う訳ではなかった。
一応付き合ってる(断りきれずに付き合っただけ)彼氏はいたし、彼には家庭がある。
壊すつもりはない。
例え、奥さんとの関係が冷え切っていたとしても、私が踏み込んでいい域ではない。

No.22 12/12/17 15:03
自由人0 ( ♀ )

2度目に彼と援助目的で会う約束をした日…後輩が私の彼氏と出会い系で会った事実を知った。
まぁ、彼氏とも出会い系で知り合って、約半年。
付き合うようになってからは2ヶ月くらいだけど、それからは、ほとんどセックスをしなくなった。
浮気を仕向けたようなものだ。
別れる大義名分ができた。最近は便利だ。
メールで別れられる。
彼氏ともメールで別れた。

No.23 12/12/17 15:07
自由人0 ( ♀ )

彼に会って、彼氏と別れた事を告げると、意外にも
『大丈夫?』
と聞かれた。
てっきり喜ぶと思っていたのだけど…
浮気された…という事に、ショックを受けていると思われたらしい。

ショック受けてたら、その日のうちに他の男に会う訳ない…と伝えると、やっと嬉しそうに笑った。

No.24 12/12/17 15:14
自由人0 ( ♀ )

明日は日曜日。
彼は通勤用と自家用車を持っていて、一度家に帰って風呂に入って、車は乗り換えてくるから…と言った。自家用車はクラウンで、車には詳しくない私にも、いい車だと言う事はよくわかった。

まだ家は教えていない。
家の近くで待ち合わせした。
『給料前でね…車の中でいい?』と聞かれた。
お金さえ貰えれば別に構わない。
当時はまだ彼にそんな感情しかなかった。

No.25 12/12/17 15:23
自由人0 ( ♀ )

車で…となると場所を探すのに一苦労。
でも、その分色んな話しが出来る。
『ホントはお金あったんだけど、家に帰ったら電気止められててね…』彼は申し訳なさそうに話した。
『嫁さん、やり繰り下手なうえにパチンコにはまってて、借金もあるみたいでね…最初に生活費で10万くらい渡して、後は請求くるたびに渡すようにしてるんだけど…この前電気代渡したんだけどね💧』
彼は苦笑いしていた。

No.26 12/12/18 16:47
自由人0 ( ♀ )

私は家庭を持った事がない。昔、一緒に暮らした男とも籍を入れなかった。
お金の苦労は知っている。昔の男は働かず、趣味を仕事にしたい…と、趣味に没頭していた。
冬場はその趣味にも暇ができ、男は趣味の為のお金作りに働いた。
働けば20~30万は稼いでくる。
だけど生活費を貰った事はなかった。
そんな中で、出会い系サイトでお金を稼ぐ手段を見つけた。

No.27 12/12/18 16:51
自由人0 ( ♀ )

彼はあらかた近場をグルリとすると、場所を決めたように山道に入って行った。仕事柄、彼は色んな道、場所を知っている。

着いたのは、全く人気のない工事中の現場駐車場。
遠くにバイパスを通る車のライトが見える。
が、こちらは真っ暗。
向こうからは見えもしないだろう。

No.28 12/12/18 17:14
自由人0 ( ♀ )

車内はホテルと違って、親近感を覚える。
狭い分、より近くに相手を感じ、密着度が増す。
2倍増しくらいで興奮する気がする(笑)

事が済んでからも、半分裸のまま色んな話しをした。

彼は、その時にはすでに、私と一緒になりたいと思っていたらしい。
後に聞く、彼の重く、深い愛の始まり…だったのだろうか……。

No.29 13/01/14 17:58
自由人0 ( ♀ )

その日を境に、彼はほぼ毎日、仕事が終わってから会いに来るようになった。
私の家の近くの駐車場に車を止めて、他愛のない話をしては、名残惜しそうに帰る…
そんな生活が続いていた。

日曜日にはメールがきた。会いに行けないのが歯痒いといった内容のメールだった。

No.30 13/01/14 18:05
自由人0 ( ♀ )

そんな生活が1ヶ月くらい経った頃、ちょうどクリスマスの季節になった。
下手なモノは贈れない。
彼はいつもタオルを持っていたので、目立たないけど、そこまで安くもないタオルをプレゼントした。

『こんな物でごめんね。バレるといけないから』
と、言うと、とても嬉しそうにしていた。
『早く帰らないと、クリスマスのお祝いとかしないの?』
と、自分の実家での当たり前の生活感を持って彼に質問した。
『さぁ?もう始めてるんじゃない』
そんな冷めた返事が返ってきた。

No.31 13/01/14 18:10
自由人0 ( ♀ )

私は、実家にいる頃は、不自由なく、年間行事は普通に行う家庭で育った。
『お父さんがいないのに始めちゃうの?』
不思議でたまらなかった。『帰ってまともに飯も渡らないような家だよ』
彼はそう言った。
『知ってたらケーキくらい用意しといたのに…ごめんね』
そういうと、彼はまた嬉しそうに笑った。

No.32 13/01/14 18:13
自由人0 ( ♀ )

その日はいつもより少し長く話をした。
帰りたくなかったのか…
特別な日だから一緒にいたかったのか…
『明後日(日曜日)、時間作れる?買い物に付き合ってよ』
そう言って、帰って行った。

No.33 13/01/14 18:19
自由人0 ( ♀ )

帰り着いた彼からメールがきた
『食べかけのオードブルと、ケーキの切れ端が残ってました。後はご飯でも食べろってさ』


私の両親はお見合い結婚だけど、母は“尽くすタイプ”の女性だった。
私はそれを見て育った。
父は決して亭主関白な人ではなかった。
でも母は尽くす人だった。

No.34 13/01/14 18:24
自由人0 ( ♀ )

家庭には家庭の事情があるだろう。
私が口を出す事ではない。でも…
家庭以外に幸せを求める彼の気持ちが少しわかった。

次の日も会いに来ると言うので、近所のお菓子屋でケーキを買った。

彼にはそれだけの事がとても嬉しかったようだった。

No.35 13/01/14 18:30
自由人0 ( ♀ )

日曜日、少し遠出して、大型ショッピングモールに買い物に行った。
何を買うかは教えてくれなかった。

宝石店の前になると足を止め、ショーケースを眺めると次の店へ…
何件か繰り返した時に、やっと彼の足が止まった。

『ね、これどう?』

私は自分の為にお金はかけない。持っているアクセサリーも雑貨屋で買う安物ばかりだ。
彼が“どう?”と聞いたソレは、私が買うものとはケタが違った。

No.36 13/01/14 18:36
自由人0 ( ♀ )

店員さんが
『つけてみられますか?』と言った、ケタの違うアクセサリーは、トップがクロスになっていて、小さなピンクダイヤが6つ付いているネックレスだった。

『この人値段見たのかな⁉💦』
という一抹の不安が…

『お似合いですよ😄』
と、よく聞く店員のセリフに彼は2も3もなく
『これください』

オーイ💦💦💦
もう6万に届きそうなソレをためらいもなく💧

No.37 13/01/14 18:41
自由人0 ( ♀ )

『そのまま帰られますか?お包みしますか?』
と聞かれ
『一応プレゼントなんで包んでください』
と言う彼。
私の首からネックレスを外し、ラッピングにかかる店員さん。
別の店員さんが会計の為にショーケース越しに金額を伝えた。

大丈夫なんかな……

彼は頷くと、財布から6万出して支払った。

あ…金額は見てたんだ💧

一安心はしたけれど、そんな高価なモノ…逆に怖い💦

No.38 13/01/14 18:46
自由人0 ( ♀ )

ネックレスを買い、ご飯を済ませて帰る事にした。

『大丈夫なの?』

色んな意味で。

『誕生日と、クリスマス分だから😄』

いや…知り合った時点で誕生日過ぎてましたけど💧


不倫…という関係だったんだろうか。
私には、まだ付き合っているという意識はないのだけれど……
しかし、翌日…事態が一変する事になる。

No.39 13/01/14 18:49
自由人0 ( ♀ )

いつも通りの朝だった。

彼から電話が来るまでは。


『お袋が倒れたらしい』



でも仕事を切り上げられないと、もどかしそうだった。

No.40 13/01/14 18:53
自由人0 ( ♀ )

私には何もしてあげられない。
そんな権利はない。
ただ、電話で彼を少しでも落ち着かせてあげる事くらいしか…。


母親がどんな状態かもわからない。駆け付けられない。もしかしたら………


何とか仕事を早めに切り上げさせてもらえたらしく、今から病院に向かうと言った。

『あなたが事故ったりしないように、気をつけてね』
そう言って、連絡を待つ事にした。

No.41 13/01/14 19:13
自由人0 ( ♀ )

※今読み直して気づきました😆💦

最初『私』は『彼女』という設定でしたね😅
後、漢字変換間違いもいくつか…

いいトコで変換ミスするとププッて感じですね😆(笑)

時間ある時に、ダーッと更新するので((前の話を読み直さずに)笑)いかんせん、噛み合わない所があるかもです😅

No.42 13/01/15 16:00
自由人0 ( ♀ )

最後の連絡から2時間くらいたった頃に電話がきた。何故かとても苛立った様子だった。

『どうしたの?お母さん大丈夫だったん?』

『お袋はまだ意識戻らないよ。2、3日は気を抜けない状態だって。発見が早かったから、望みはあるって』

『そっか…で…なんでイライラしてるの?』

『え?わかる?ごめん』

あまり言いたくなさそうだったから、それ以上聞くのはやめた。

『あのさ……お願いが…あるんだけど…』
彼が突然、言いにくそうに声を出した。

No.43 13/01/15 16:05
自由人0 ( ♀ )

『何?』

『お袋の意識が戻るまで、家に泊めてもらえん?』

彼の家から、彼のお母さんがいる病院までは飛ばしても1時間。私の家からは15分ほどの距離。

『いつ急変してもおかしくないから…覚悟はしててくださいって言われてるんだ』

1度、夜勤があると言う時にお風呂を貸す為に家に上がらせた事はある。
前の彼氏も泊まった事はある。が、嫁には何と言うつもりだろうか…

No.44 13/01/15 16:11
自由人0 ( ♀ )

『病院に泊まり込む』

と嘘をついたらしい。

『毎日、しおらしく見舞いに行くような女じゃないから大丈夫』

と、3日分くらいの着替えを持ってきた。

『ごめんね。変な事はしないから』

『当たり前でしょ💧』
こんな時に。

『ご飯は?食べたの?』

『いや、食べる暇もなかったよ』

アパートの1階はお弁当屋さんになっている。
『弁当でいい?何も用意してないから』

『うん』

やっと…少し落ち着いた笑顔を見せた。

No.45 13/01/15 16:18
自由人0 ( ♀ )

さっき、イライラしていた原因を少し話してくれたが、彼はイライラするとうまく言葉に出来ない性らしく、あまり伝わらなかったけど、
『そうなんだ』
と、相槌をうちながら話を聞いていた。

かい摘まんで話すと、彼の妻の身内も数人駆け付けたらしいが、そこで何らかのお金の話で口論になり、
『今ここでする話か💢』
と、彼が言った所、彼の妻がその身内の肩を持つような発言をしたため、さらにキレたらしい。

まぁ、うちに来たがったのも、嫁の顔を見たくなかった…と言う事もあるのだろう。

No.46 13/01/15 16:26
自由人0 ( ♀ )

『私が先に仕事出るから、カギ閉めて出てね』

合い鍵を渡した。

『仕事終わったら、とりあえず、お袋の所に寄ってから来るから』

いつもより寝る時間が遅くなった。

布団は1つしかない。
ソファーベッドはあるけれど、固くて寝れたもんじゃない。
ま、今さら照れるような仲でもない。

久しぶりに、人肌に触れて眠った。
朝、アラームで起こしてしまった。
『俺もあと1時間くらいしたら起きるとこだったから大丈夫だよ』

人に見送られれて仕事に行くのもとても久しぶりだ。

No.47 13/01/15 16:33
自由人0 ( ♀ )

とりあえず、彼のいるであろう3日間は、ヘルスの仕事も早く切り上げ、ご飯を作って待つようにした。

1日目は、まだ意識が戻らないと少し伏せっていた。

いつ呼び出されてもいいように…と、お酒は飲まなかった。…買ってもなかったし。
彼は私の作った料理を驚くほど食べた。

『普段からそんなに食べるの?』

『いや、美味しくて』

自分で言うのもなんだけど…私の料理の腕前は、人並みだ。
ビックリするほど美味しく作れる事はない。
が、彼はビックリするほど食べた。

No.48 13/01/15 16:46
自由人0 ( ♀ )

2日目、私は朝の仕事が休みだったので、軽く弁当を作ってあげた。
朝は基本、コンビニのおにぎりとかになる…(朝が早いのでそれが普通らしい)との事だったので、混ぜ込みご飯に昆布と梅干しを入れたおにぎりを作ってあげた。

何故か…とても感動していた。
前にも書いたが…私は尽くすタイプの母を見て育った。

『行ってきます』

『いってらっしゃい』

誰かを見送るのも久しぶりだ…。
玄関の外まで送り出したら驚かれた。

『寒いからいいよ💦』

『ん?うん。気をつけてね~』

階だんを下りて、近くの駐車場に車を止めて、それが動き出すまで見ていた。
まだ暗い。彼から私は見えないだろう。
私も彼の動きまでは見て取れない。
車が見えなくなって、部屋に戻った。

『さむっ』

布団に戻ってもう一眠りする事にした。

No.49 13/01/15 16:51
自由人0 ( ♀ )

ヘルスに行く準備をしている最中に彼から電話が鳴った。

『ずっと見てたやろ』

アパートの廊下には電気があるから、向こうからはうっすらと私が見えていたらしい。

『寒いからいいって言ったのに』

と言う割りには声が嬉しそうに聞こえる。

『おにぎり、すっごいおいしかった!何が入ってたの?』

『昆布と梅干しだよ』

『へ~料理上手だね』

おにぎりごときで⁉
ホントに…どんな生活してんだろ💧

No.50 13/01/16 12:39
自由人0 ( ♀ )

お母さんの事は心配だけど、他愛のない会話で少しでも気が紛れてくれるなら、それでいいと思った。

『おにぎりくらいでよければ作ってあげるよ?』

『毎日?』

『うちにいる間はね』

お母さんの意識が戻るまでの間。
少しでも幸せを感じてくれる時間があるならそれでいい。

『嬉しいね』

彼は…普通の幸せに飢えているんだと感じた。

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