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母親( eoesnb )
13/05/21 14:05(更新日時)

貴方ならどうしますか?
我が子が何か得体のしれないウイルスに感染し
我が子が感染源となり
我が子の意志とは裏腹に我が子に触れた人が感染し
死に至るとしたら

我が子を監禁しますか?

まわりに殺せと非難されたら殺せますか?

我が子と共に逃げますか?

貴方なら


どうしますか?

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No.1567596 11/04/05 01:31(スレ作成日時)

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No.201 13/05/21 14:05
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「萩野…、!!」

俺の声に萩野はギクリとしたかおをする

うかれていた自分戒めるかのように萩野は急に苦虫をかみつぶしたような顔をする


「Itsウィルス…はつかえないだろうか?」

「….なん…だって…?」

俺は萩野につめよる

「俺の…、Itsウィルスだよ!あれは…異常繁殖する細胞をとめる!」

「大丈夫か?あれは癌細胞の異常増殖をとめるものだろ?茉奈ちゃんは.…」

「あれは変異のスピードがはやい…」

「?」

No.200 13/05/21 13:40
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

Itsウィルスは…

癌対策用に俺が研究し産み出したウイルスだ

異常増殖をする細胞の増殖をとめることができる

このウイルスの特徴は

学習能力がたかいことだ

通常ウイルスは変異と増殖を繰り返し
常に変異をしているが

Itsウィルスは変異のスピードがとてつもなく早い









No.199 13/05/20 13:05
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

萩野のうかれたような様子

それはそうろう

おれも萩野の立場なら喜んでいるはず

世界初のウイルス発見となれば…

俺もそうだった

Itsウィルスの元にな抗体を見つけた時は.…


「Itsウィルス.…」

その瞬間なにかが俺の頭をかけめぐった

「.…」

まてよ.…

落ち着け.…




No.198 13/05/20 03:42
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「ウィルスの突然変異によって…考えられる…だろ?」

「そんな.…まさか…」

「そのまさか…なんだよ!!」

「…」

「まだ俺の過程の段階の話だが…」


No.197 13/05/20 03:27
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「なあ…
俺は茉奈ちゃんのナニかは新種のウイルスか何かだとおもうんだ」

「…」

「これは過程の話だが…」

「…」

「もし茉奈ちゃんがなんらかのウイルスにしらずに感染していたとして…そのウィルスがまだ発見されていないウィルスだとしたら…」

「…」

「説明がつかないか?」

No.196 13/05/20 03:15
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「俺も最大限の努力はする!お前も冷静になれ!」

萩野の怒号に俺はうなだれる

「どうして…こんなことに…」

うなだれている俺の肩に萩野がてをおく

k

No.195 13/01/17 06:01
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「溶けて…いる…?」

「そうだ…しかも…急速にそれが進んできている…」

「進行を止めることはっ?」

「原因を突き止めないことには…」

「原因って…なんだよ…」

「わからない…」

「わからないってなんだよ!」

俺は萩野につかみかかった

「もう少し時間をくれよ…そうしたら…」

「もう少しってあとどれくらいだ!?
茉奈は…細胞が…溶けてきてるんだろ?
間に合うのか?!」

「…」

「医者じゃなくてもわかるよな!?
細胞が溶けてるのをとめないと最終的にどうなるか…わかるよな!?」

「…」

「それまでに間に合うのか?!」

「落ち着けよ」

「落ち着け?落ち着けるか!」

俺は萩野を突き飛ばす

No.194 13/01/17 05:37
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

毎日のように繰り返される検査

正体のわからない症状に悩まされながら
怯える日々

自由に動くことさえ許されない茉奈

そんな日々が一ヶ月も過ぎた頃
萩野の口から信じがたい言葉が告げられた

「落ち着いて…聞いてくれ…」

萩野は言いにくそうに言葉を濁す

「なんだよ…はっきり答えてくれよ!」

「…信じられないが…」

「なんだよ…!」

「茉奈ちゃんの細胞が…」

「細胞が…?」

「何かに侵食されている…」

「!」

「侵食といか…溶けてるんだ…」

「溶けて…いる…?」

「侵食されている部分が…溶けているんだよ!」

No.193 13/01/10 03:16
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

研究者と名前につく人間は研究対象を人間なんて思ってはいない

自分の研究の成果をあげる道具としかおもっていない

それは当然だと思っていた

相手を人間だと思ってしまえば
どうしても躊躇してしまう部分が出てくる

それではキチンとしたデータが取れず
研究そのものがダメになる

それではダメなのだ

結果を出さなければ…

それをやる意味がなくなる…

それどころか
助けてやるんだ
その為に頑張ってやっているんだ
道具扱いされても文句ないだろう…

そう思っていた…

今までは…

だが立場が代わってみると
ただの言い訳にしか聞こえない

No.192 13/01/10 02:56
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「なあ…小林…」

「…」

「今のまま…原因もわからずじゃ…困るだろ?」

「…」

「お前も…研究者なら…わかるだろ?」

「…」

萩野の言葉に俺は力なくうなずくしかなかった

No.191 12/11/14 10:10
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

深いためいきをついて萩野は俺をなだめるかのように私の肩に手をおく

「なあ…冷静になってよく考えろよ」

「…」

「何もバラバラに解体するって訳じゃない
お前じゃ専門外だろ?
俺は小児専門だ
お前じゃわからないこともたくさんある」

俺は萩野の顔をマジマジと見つめた

萩野は笑顔を浮かべていた

萩野は俺に真意を悟られまいと必死で隠しているいるようだが俺は知っている…

この笑顔の意味を…

俺もよくこの笑顔を浮かべてサンプル達と話していた

『大丈夫…心配いらない…任せてくれ…


その言葉を発しながら…

No.190 12/11/14 09:53
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

萩野は鼻で笑う

「お前の今の仕事は…どうなんだよ?」

「…」

「お前と同じことしようとしてるだけだぞ?お前だって何人もサンプル扱いしてきただろ?」

「…」

「お前はよくて俺はダメっておかしいだろ?」

「俺は…結果を出した…」

「結果出せばいいのかよ?」

「俺は…保護者から許可を取ってる…わかってくれよ!萩野!俺は…」

「お前いい加減にしろよ」

「萩野…」

「お前の研究しているItsウィルス…誰の犠牲もなしに完成したわけじゃないだろ?サンプル扱いする患者の保護者にお前は今まで何て言ってた?」

「…」

No.189 12/10/27 06:14
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「研究対象にしたい…と言うことか?」

「誤解するなよ…お前だって茉奈ちゃんになにが起こってるか知りたいだろ?」

「もし…茉奈が特殊なケースだとして…そしたらどうする?」

「なあ…とにかく原因を調べないといけないだろ?それを調べるって言ってるだけだよ」

「…」

「もし特殊なケースだとしたら研究対象にはなるだろうな
当たり前だろう」

「それはダメだ」

「なんでだ?」

「茉奈をモルモットにさせる気はない」

「…」

「俺が調べて対処する」

「お前がそんなこと言えるのか?」

No.188 12/10/27 06:03
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「…」

「もしそうだとしたら…」

「…」

「これはとんでもない発見かもしれないぞ!」

「萩野…」

「詳しく調べてみてからだが…」

「萩野…」

「俺に任せてくれるよな?」

「萩野!」

「な…なんだよ」

「それは…茉奈を…」

No.187 12/10/27 05:54
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「落ち着いたか?」

萩野の声に俺は我にかえった

「茉奈は…?」

「ああ…大丈夫だ…今は…な」

ああ…そうだ…

茉奈は蘇生したんだ…

よかった…

本当に…

よかった…

茉奈がこの世からいなくなってしまうかもというあの感覚…

あの言葉に出来ない怖さ…

この怖さは同じ体験をした人でないと
わからないだろう

「だが…疑問だらけだ…」

「…」

「今回の茉奈ちゃんの件…もしかしたら…」

「もしかしたら…?」

「今まで症例のないケースかもしれない…」

No.186 12/10/24 03:11
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「ダメか!もう一度!茉奈ちゃん!戻ってこい!」

大きく動く茉奈

そうだ…戻ってくるんだ…!

行くな…ママのところには行かないでくれ…

俺と…パパと…

約束しただろう…?

明後日の…五歳の誕生日やるって…

約束しただろう?

「まな…まな…」

「戻ってこい!」

ピー…

心電図モニターの無情とも言える音

「ダメだ…!茉奈!行ったら…ダメだ!」

「くそ!もう一度…」

「まな…!行くな!行かないでくれ!やめてくれ!」

嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!!

いきなりなんでだ!

嫌だ!いやだ!いやだ!いやだ!

「まな…茉奈ー!!」























No.185 12/10/24 02:33
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「茉奈!!」

勢いよく開けたドアの先に見えた茉奈は

小さなカラダを激しく痙攣させていた

「茉奈!」

俺は茉奈に駆け寄る

「どうしたんだ!?」

「わかりません…!急に…!」

萩野の問いに看護師は悲鳴に近い声で答える

茉奈の痙攣は徐々に激しくなる

「茉奈!」

茉奈は大きく跳ね上がりそのまま動かなくなった

「まな…?」

「AEDだ!あとモニターもだ!」

萩野が茉奈の小さな体を懸命に押し始める

「まな…?」

「邪魔だ!」

萩野に突き飛ばされ俺は床に座り込み
茉奈をぼんやり眺めた

動かない茉奈

「まな…?」

「下がって!」

大きな音がして茉奈の体が一度大きく動く

「くそっ!ダメか!!電圧上げて!」

「まな…?」

もう一度大きな音がして茉奈は一瞬だけ大きく跳ね上がる

「まな…まな…」

なんでだ…?

どうしてなんだ?

なんでこうなったんだ?





No.184 12/10/24 01:53
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

その時だった

萩野の机の電話がけたましくなりだした

「はい」

電話を取った萩野の顔色がみるみる変わっていく

「すぐ行く!」

「おい どうした?」

「いいからお前も来い!」

俺は急ぐ荻野の背中をおう

「どうしたって言うんだよ?!」

「茉奈ちゃんが急変した!」

「!!」

「いいから来い!」

俺と萩野は茉奈の病室に急いだ

No.183 12/09/18 01:10
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「じゃあ…なんでこんな数値が?」

「わからん…こんな数値なら茉奈ちゃんの身体になんら変化があってもいいもんなんだが…」

「このほかに異常は見つからないのか?」

「ああ…全て正常だ…白血病も疑ってみたが…違う…」

「ならなぜ…」




「」

No.182 12/09/18 00:10
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

萩野の診察室の勢いよく開けると
萩野が難しい顔をして
俺を手招きした

「なんだ…?」

俺は恐る恐る萩野に近づき声をかける

「これなんだが…」

萩野が一枚の紙を手渡す

「これは…」

「入院したとき…血液検査しただろ?
それの結果なんだが…」

「どういうことだ?…白血球が異常な数値だ…なんでなんだ…?」

「いや…わからん…」

萩野が首を左右にふる

「食中毒の影響か…?」

「いや…そんな症例は聞いたことがない…」

No.181 12/09/16 03:52
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

研究室に戻った俺を待ち構えていたかのように俺のデスクの内線電話がけたましく鳴り出した

「小林です」

「あ…萩野だけど」

「ああ萩野か
どうした?」

萩野は医学部時代の同期で今は同じ大学病院で小児科医として勤務していて今回茉奈の食中毒を治療してくれていた

「話があるんだが…お前今これないか?」

「なんだよ…茉奈の退院のことか?」

「ああ…」

「あ~今日中にレポートまとめたいんだよなあ…明日と明後日休みとるから…
ほら明後日茉奈誕生日だろ?だからなあ…今電話じゃあダメか?」

「今すぐ話があるんだ」

萩野の有無を言わさぬ口調に俺は嫌な予感がした

「なんか問題…か?」

「こっちに来てくれ…」

「わかった
すぐいく」

俺は研究室を飛び出した

No.180 12/09/16 03:33
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )


茉奈の母親は
茉奈が一歳の誕生日を迎える前に
死んでしまった

死因は
ビルからの飛び降り自殺

自殺の原因は育児ノイローゼだった

遺書には
ごめんなさいと一言だけ

葬儀の最中
何も判らずに自分の母親を必死に探し
母親を泣きながら呼ぶ茉奈を
俺は抱き締めながら
茉奈に謝るしかなかった

不甲斐ない俺のせいで
茉奈の母親を奪ってしまった

「茉奈…ごめんな…
でも茉奈のことは…パパ…何があっても…パパが守るから…ごめんな…」

No.179 12/09/16 03:08
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「茉奈ちゃん」

病室のドアを開け看護師が入ってくる

「あ~パパ来てくれてたんだね♪」

「うん!あのね!茉奈ね明後日迄には退院できるって!それでね!おうちでね!お誕生日やるんだ!プレゼントもあるんだよ!」

「よかったね!茉奈ちゃん」

看護師は茉奈のベッドの脇にたち
点滴を見つめる

「じゃあ…そろそろパパお仕事に戻るかな」

俺は茉奈を膝からおろし茉奈のあたまをなでる

「パパいってらっしゃい!」

看護師に軽く会釈をし
俺は病室を出て研究室に戻る

明日何もなければ明日退院できるだろう

明日 明後日は仕事休もう

など考えながら…

No.178 12/09/16 02:43
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「ははっ茉奈の病気は難しい病気じゃないだろう?」

「そうなの?」

「そうだよ茉奈の病気は食中毒っていってね悪いバイ菌がついている食べ物を食べちゃったからお腹痛くなったりしたんだよ
でももうお腹痛くないだろう?」

「うん」

「ならもう大丈夫!明後日の茉奈の誕生日迄にはおうちにかえれる!」

「ほんと?」

「ほんとっ!プレゼントはなにがいい?」

「んっとね!茉奈はね…」

茉奈のウキウキした笑顔

幸せな時間

No.177 12/09/15 02:25
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「パパ嬉しそうだね♪茉奈が五歳になるの嬉しい?」

「それも嬉しいけど…パパのお仕事がねうまくいったんだ」

「?」

「パパのお仕事はなあんだ?」

「んっとね…お医者さん!」

「惜しい!パパはね…難しい病気の子供を直す新しい薬を作るお仕事をしているんだよ
その新しいお薬がもうすぐ出来上がりそうなんだ
そのお薬ができたら…い~ぱいの病気の子供を治すことができるんだよ」

「ふ~ん
じゃあ茉奈の病気もそのお薬で治すの?」

No.176 12/09/15 02:14
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )


俺は舞い上がりそうな気持ちを押さえ
研究室のドアをあけ長い廊下を
小走りにぎみに歩く

研究室の廊下の両脇には
いくつものドアがありその一番奥の
扉をいきおいよく開ける

「パパ!」

「茉奈!いい子にしてるかい?」

俺にいつも屈託のない笑顔を見せてくれる茉奈

俺の大事なカワイイ茉奈

「ねえ!茉奈もう退院できる?」

「ん~?どうかなあ?」

俺は茉奈を膝にのせた

「早く退院しないと!明後日茉奈の誕生日ナンだよ!」

「そうだなあ~何歳になるんだっけ?」

「五歳!」

「正解~!」

No.175 12/09/15 00:37
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

~五年前~
小林正人 (38歳)

「遂に…やった!やったぞ!」

俺の叫び声にその場にいた研究員たちが
一斉に俺のそばに詰め寄り
顕微鏡を我先にとのぞきこむ

「おめでとうございます!」

「おめでとうございます!」

「やりましたね!」

沸き上がる拍手

皆歓喜の声をあげる

当たり前だ

この研究には十年の長い年月を
費やしてきたのだから

やっと…

ようやっと…
実を結んだ…

俺達の…
イや俺の…研究が!

俺は一生忘れないだろう…

この日を…

Itsウイルスが生まれた日を…!

No.174 12/09/14 18:26
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「…はい…」

「そうだよねえ?センセイは茉奈ちゃんの為にこの親子がどうしても必要だもんねえ?」

「…」

「俺らはどっちでもいいんだけどねえ?茉奈ちゃんでもそのえっと…巧?だっけ?巧君でもどっちでも…ねえ?でもセンセイが嫌だもんねえ?」

「…」

「わかってる?」

突然の突き放したような厳しい声に
背筋が寒くなる

ちょうど五年前の光景が頭をよぎる

「わかってる…わかっている!」

自分に言い聞かせるように大声で
叫んだ

「わかってるならいいんだよ?
じゃあよろしくねえ!」

無線機から声がとぎれ俺は
鈴木仁美を見下ろした

「すまない…なんて言葉じゃすまないが…」

それ以上は言葉にできない

俺は…自分の為に…茉奈のために…

もうよそう…

俺は…決めたんだ

茉奈の為に…茉奈を守るために…

鬼になろうと…

No.173 12/09/14 17:54
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「そう言えと言ったのはお前らだろう!」

「そうだっけ?」

「っつ!」

「まあいいや」

「その女と子供別々に監視しといて
また子供殺されそうになったら困るでしょ?センセイが」

あざ笑うかのような声

「あれ?返事は?」

「…」

「別に俺らはいいんだよ?その子供が死んでも…だけどねえ?」

微かに笑いのこもった声で無線機から声が流れる

「センセのカワイイカワイイ茉奈ちゃんがねえ?」

No.172 12/09/14 10:28
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

小林 正人 (43歳)

俺はいきなり目の前で倒れた鈴木仁美に駆け寄った

「話しすぎだよ…センセ」

みみにつけていた無線機から
声が聞こえる

「何を…したんだ…!」

俺は鈴木仁美を抱えあげた

「何も…?センセが…余計なこと言いそうだったから…ね」

「何も…いってないだろう?!お前らに言われた通り…」

「あれ?もしかして…心配してる?そのおんなのこと?」

「…」

「さっきあれだけその女虐めてたくせに?」

No.171 12/09/14 10:11
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「あなたの息子は…ある意味…選ばれたんですよ!」

男の声がたからかにひびいた

「いつの時代も…犠牲から新たな進歩や発見がある!巧くんは我々人類の進歩に貢献出来るんですよ!どんな形であれ…名誉な事なんです!」

犠牲…?
進歩…?

めいよ…?

「な…」

言い返そうとしたとき
私は意識を失った

No.170 12/06/27 01:27
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「もう少し…分かりやすく言うとですね…」

男は私の耳元迄顔を近付け
囁いた

「今の巧くんは私達によって作られたんですよ」

「…?…!?」

「巧くんの身体にいるウイルスは
私達が作り出したものなんですよ」

「!」

「ん~違うなあ…偶然発見したウィルスを強化させたって言うのが正しいかなあ?」

え…
あ…

男のいっている事が理解できない

私達が…作った?

今の…巧を…?

は?

何を…

No.169 12/06/26 01:25
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「見事にウイルスを自分の物にした!」

「ちょっと…!待ってよ…!殺人ツールって…金になるって!選ばれたって!なんなの!なんなの!何が…わかんない!意味がわかんないよ!」

なに…!
なんなの…!

撰ばれた…?
金に…なる…?
殺人…ツール…?
ウイルスを…自分の…物に…?


No.168 12/06/26 01:09
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「今…世界でどれぐらいの子供が治療不可能と言われる難病と戦ってると思いますか?」

「…?」

いきなり…なんの話…?

「想像つかないでしょう?」

「何を……」

「その数えきれない子供を救うために…何が必要だと思いますか?」

「なにって…」

「金ですよ!金!」

「…!」

「いいですか!病気を研究するにも!
治療薬を作るにも!金がかかるんです!莫大な金が!」

「お…お金?…巧と…なんの関係も…」

「巧君は…お金になるんですよ」

「!」

「殺人ツールとしてね…」

「!」

殺人…ツール…?

「巧くんは…素晴らし
い!」

No.167 11/11/12 01:09
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「あなたは…本当に偶然で…自分の子ともが感染源になったと
思っているんですか?」

男がニヤリと笑う

「は…?」

「これは…ごく一部の人間しか知らないことなんですが…
巧君は選ばれたんですよ…ウィルスに…」

えら…ばれた…?ウィルス…に?

No.166 11/10/05 00:59
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「わかりませんかね?巧くんは唯一の感染源なんですよ?
巧くんは…貴重なサンプルなんですよ?」

サン…プル?

「巧くんは…」

「サンプルって!なんなの!巧は…巧は!人間なのよ?!
そんな…もの扱い…しないで!」

「もの扱いなんてしてませんよ?」

私の叫び声に男は両手をあげおどけたように薄ら笑いを浮かべる

「私はただ…あなたに勝手な行動をしてもらいたくなくて
分かりやすく説明しているだけですから
あなたはまだわかっていないようなので…ね」

「何をわかっていないって…」

No.164 11/10/02 03:04
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

私のやっとの思いで絞り出した言葉に
男は小さくさもおかしそうに笑う

「そう…ですよ?ウイルス解明のために…感染を広げない
為ですよ?ただ…」

「?」

「巧くんは治りませんがね」

「!?」

「というか…万が一治療法が見つかったとしても巧くんは
今のままの保菌者でいて貰うでしょうけどね」

「なっ!」

「当たり前じゃないですか!」

No.163 11/10/01 09:46
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「巧くんは大事な研究材料なんですよ?勝手に殺されたら困るんですよ」

男の笑いが混じった言葉に私は体が震えだした

『大事な…モルモットなんだから』

そう言われた気がした

「感染を広めない…ウイルスの解明のために…
ここにいるって…」

No.162 11/09/26 15:04
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「今…巧くんを殺されると…困るんですよ?」

男の言葉に私は耳を疑う

「なに言って…」

「まあ無理もないですがね…自分の我が子が殺人犯なんて…
手をかけたくなる気持ちもわかりますがね…」

男は独り言のように呟く

「あなたは…」

私の言葉には興味がないように男は立ち上がり
巧を見てニヤリと笑った

その笑顔はなんとも言えず私の背筋に悪寒が走った

No.161 11/09/05 14:37
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「あなたは…今…何をしようとしていたんですか?」

「…なに!」

「巧くんを…自分の息子を…殺そうと…?」

「あ…あなたに…関係…」

「ありますよ?」

「…!」

No.160 11/08/23 02:00
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「来ないで!」

私の叫びも空しく男はゆっくりと近づいてくる

私は巧を抱き抱え立ち上がろうとした

が立ち上がれない

「なん…で…?」

足に…力が…はいら…ない…

脚の感覚が…おかしい…

何で?何で?何で!

あせる私のすぐ目の前にもう男がいた

男はたちあがれないでいる私を見下ろすとゆっくりと

私と目線を合わせる為かしゃがみこんだ

そしてゆっくりと口をひらいた

No.159 11/08/22 00:25
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

巧を抱き締めながら私は必死に涙をこらえた

出来ない…!

やっぱり出来ない…!

この子を殺す事なんて…出来ないよ!

「落ち着かれましたか?」

突然の声にわたしは声のした方に視線を向けた

そこにはマスクをした男が立っていた

「誰…?」

私の問いに男は答える気がないようだ

男は無言で近づいてくる

「なんなの…!」

いいようのない恐怖を
感じ私は巧を抱き締めたま思わずあとさずる

No.158 11/08/21 01:30
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「ごめんね…まま…悪いこでごめんね…」

「巧…」

「僕…悪いこだけど…嫌いに…ならないで…いいこになるから…」

「たくみ…」

思わず巧を抱きしめる

「ここにいたら…いいこになれるって…おじさんが言ってたから…
僕頑張るから…」

「大丈夫!巧はいいこだよ!悪いこなんかじゃないよ!」

「でも…」

「嫌いになんかならないよ!!ままは巧の事絶対嫌いになんか
ならないよ!」

「ほんと…?」

「大好きだから!ママは巧の事一番大好きだから!」

「良かった…」

巧は安心したように私の胸に顔をうずめた


No.157 11/08/20 03:05
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「巧…」

「僕…知ってるよ…僕がいるから…
パパ死んじゃったんでしょ…?」

「!!」

「えりなちゃんも…由美ちゃんも…隼人くんも…」

「巧!どうして?どうして知って…」

「ままがいないとき…上から知らないおじさんが話しかけてきて
教えてくれた…」

「嘘…」

「僕が…悪いこだからそうなったって…」

No.156 11/08/20 02:48
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

「僕…悪い…こだから…?」

一瞬手の力がゆるむ

「悪いこだった…から…まま…泣いてるんだよね…

ごめんね…まま…いいこになるから…そしたら…
おうち…帰れるから…泣かないで…まま…」

No.155 11/08/20 02:33
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

うわ言のようにごめんなさいと呟きながら
少しずつ指先に力を込める

巧の首に私の指が少しずつ食い込んでゆく

巧は苦しそうに体をよじりながらうっすらと
目を開けた

そしてかすれるような声で私を呼んだ

「ま…ま…」


「ごめん…ごめんね…」

謝りながら尚も指先に力を込めようとしたときだった

No.154 11/08/20 02:04
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

>> 151 更新楽しみにしてます❤ どうなるのか気になります レスありがとうございます
お返事遅くなり申し訳ありません

これからがんばって行きたいとおもいます

ありがとうございました

No.153 11/08/20 02:02
母親 ( 30代 ♀ A9nHnb )

>> 152 更新がかなり滞ってしまい申し訳ありません

私事ですが母親が入院したりとバタバタしていて
こちらにくる時間がとれずにいました

更新を待っていて下さっていた皆様
には申し訳ない気持ちで一杯です

これからまた休み休みになってしまうことも
あるかもしれませんが
できうる限り頑張って更新させていきたいと
思っていますので宜しくお願いします

No.152 11/08/11 16:23
読み手 ( ♂ NaqMh )

もう5週間も続きを待っていますが、主さんどうされましたか?

体を壊されたりしていませんか?

みんな続きを読みたいと望んでいると思います。

もし体調不良なら続きを書くのは延期せざる得ないので仕方ないのですが、その旨をお伝え頂ければ…と思います。

横レス失礼しました。

No.151 11/08/05 20:21
ランラン ( ♀ XFnSh )

更新楽しみにしてます❤


どうなるのか気になります

  • << 154 レスありがとうございます お返事遅くなり申し訳ありません これからがんばって行きたいとおもいます ありがとうございました

No.150 11/07/09 13:52
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

手が震える

巧の首に触れている私の手に力をいれれば

全て終わる

感染も・・・

責められる事も・・

そして・・・

巧のたった五年の人生も・・・

No.148 11/07/04 23:47
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

手が巧の首筋に触れた

巧・・・

ママも行くから・・

後からすぐ絶対行くから・・

No.147 11/07/04 23:44
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

もっと・・
いっぱい!

してあげられる事があったはずなのに・・・

ママの子供に生まれなきゃこんな事にならなかったかも知れないよね・・

ごめんなさい・・・

ごめんなさい・・・!

No.146 11/07/04 23:40
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

側にいてあげられなくて・・

ごめんね・・

守ってあげられなくて・・
ごめんね・・

ダメなママで・・!

ごめんなさい・・・!

No.145 11/07/04 23:32
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

今はわからないかもしれないけど・・

もう少し大きくなって自分が感染源で・・自分が原因で・・人が死んでいくなんて事を知ったら・・

辛いよね・・

苦しむよね・・

その時助けてあげたいけど・・ママはもう多分いないから・・誰も・・多分味方はいないから・・

ごめんね・・・

No.144 11/07/04 23:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

震える手を巧の首筋に近づける

巧も・・嫌だよね?

パパも死んで・・

ママももうすぐ死んじゃうのに・・

これから・・・

一人ぼっちで皆に死んで欲しいって思われながら・・責められながら・・生きていくなんて・・・

嫌だよね・・?

No.143 11/06/27 21:02
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧自身がこれから私が死んだ後どういう扱いを受けるか・・・

ここに一生幽閉だけで済むんだろうか・・

もしかしたら加害者扱いされて・・酷い最後になってしまうかもしれない・・

皆巧の死を望んでいるんだから・・

巧が死ねば・・感染はこれ以上広がらないんだから・・

No.142 11/06/27 20:56
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

もう・・
答えをだすべきかもしれない・・

わかっていた・・

必死に否定したけど・・

今まで触れないように考えないようにしてきたけど・・

逆の立場なら・・そう思う・・

第一・・

私はもうすぐ死ぬ・・

私が死んだ後・・巧はどうなる?

周りは巧の死を望んでいる・・

誰も・・巧の味方はいない・・!

父親というだけで殺された旦那・・

No.141 11/06/27 20:42
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

一人部屋に取り残された私は泣きじゃくりながら部屋からでて巧の待つ部屋に戻った

涙でぐちゃぐちゃになった顔で必死に笑顔を作る

巧は眠っていた

巧の寝顔を見ながら男に言われた言葉を一つ一つ思い出す

No.140 11/06/27 20:38
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「これ以上・・話をしても・・意味はない・・」

男はそういうとフラフラとドアに手をかけた

「あんたが自分の子供を庇うのはわかるが・・今回の感染被害者の親族達は・・俺と同じ考えだと思う・・あんたも・・それはわかるだろ?」

振り向きざま男はそう言い捨てるとドアを開け部屋を出て行った

No.139 11/06/27 20:32
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

もう・・
やめて!やめて!

責めないで!

巧が死ねばよかったの?!

あの子がいなくなればよかったの?

生まなきゃよかったの?

そんな!

あの子の存在がそんなに・・?

何もしていないのに・・死ねばよかったのにって言われるの?

どうして!

どうしてよ!

No.138 11/06/27 20:23
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「俺は!俺は!受け止めようとしたよ!誰も悪くないんだと!こうなる運命だったんだと!だからあんたに頭も下げたよ!だけど・・!あんたは・・自分も被害者だと思っているだろ?!自分達は・・何も悪くないんだと思っているだろ?!」
「だって・・だって・・!」
「わかるよ!あんた達も被害者だ!悪くないんだと思うのもわかる!だが・・原因はあんたの息子なんだよ!悪意があるとか関係なしにあんたの息子がいなかったらこうはならなかったんだよ!」

No.137 11/06/21 00:17
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「あんたの息子が死んでたら!由美は死ななかった!真砂だってあんたの亭主を殺すなんて事にはならなかった!」

男はガラスにしがみつくようにしてガラスを何度も殴りつける

「わかるか!?どんな思いで俺がここにきたか!?」

No.136 11/06/21 00:09
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「やはり・・会うべきではなかった・・」

男は独り言を呟き席を立とうとした

「待って!待ってよ!どうすればよかったか教えてよ!攻めるなら!教えてよ!」

私はガラスごしの男に詰め寄った

「どうすればよかったか・・?そんな事・・!」

男は鼻で笑う様に言葉を吐き捨てた

「あんたの息子が!感染源になった時に!死ねばよかったんだよ!!」

No.135 11/06/19 00:18
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「どう・・すれば!よかったんですか・・」

私は俯きながら呟いた

「殺したっていうなら・・攻めるなら・・あの子だって!なにも好き好んでこんな事になったわけじゃない!!」

私の瞳から涙がこぼれ落ちる

ダメだ・・
とまらない・・

No.134 11/06/14 01:09
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧のせいじゃない・・!

原因は・・巧だけど・・!
巧が悪いわけじゃない!

だって!
だって!

じゃあどうすればよかったの・・?

どうすれば感染源にならずにすんだの?!

教えてよ!

巧を攻めるなら・・!
巧が殺したっていうなら!
教えてよ!

No.133 11/06/14 00:37
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧のせいで!

あんなに・・!

たくさんの人達が・・


ちがう!

ちがう!

No.132 11/06/14 00:33
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

誰も・・死ななかった・・・・?
その言葉が頭を過ぎった瞬間全身の血の気が引いてゆく

ちがう・・!

ちがう・・・!!

確かに!

確かに!

巧が!

触れた事による感染だけど!!

必死に否定しようと言葉を探す

No.131 11/06/13 01:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

苦しみながら死んでいった人達・・

もし・・巧に触れなかったら・・?

ふと私の頭に疑問が過ぎった

それは今まで考えて来ないようにしてきた疑問

頭の片隅にずっとあってだけど考えないようにしてきた疑問

答えをだすのを恐れていた疑問

巧が感染源になっていても・・誰にも触れなかったら?

No.130 11/06/13 01:11
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧が・・
殺した・・・?

なんで・・
なんで・・・
そうなるの・・?

確かに・・
感染源は巧だけど!
巧は悪くない・・じゃん・・?
なりたくて・・殺したくて・・そうなったわけじゃないじゃない・・?

そうだよ・・ね・・?
巧は・・悪くない・・よね?!

巧も・・被害者・・だよね・・間違ってないよ・・ね?

No.129 11/06/13 01:02
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「貴女の・・息子が!
殺したんだ!!」

え・・?

な・・

なに・・言ってるの・・?

「こんな!こんな事は!言いたくないが!貴女の息子が!私達の由美を・・!」

男は唇を噛み締め顔を背ける

男の横顔は泣いているように見えた

私はその横顔をボンヤリ眺めながら今言われた言葉を自分の中で消化出来ずにいた

No.128 11/06/13 00:55
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「由美は・・私達の娘は・・!死んだんですよ?!母親の目の前で!血を吐き・・苦しみながら・・母親に助けを求めながら・・いや・・助けを呼ぶ声さえ・・最後はでないまま・・!死んだんですよ・・?!」

男の言葉にまた私の脳裏に苦しみながら私に救いの手を求めながら死んでいった人達が蘇る

No.127 11/06/10 00:31
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私・・が・・反対の立場だったなら?

巧が・・

今まで巧に触れて死んでいった人達のように・・

血を吐き・・
もがき苦しみながら・・

死んでいったら・・?

そんな・・・

そんなこと・・

考えたくもない!!

No.126 11/06/10 00:21
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「そんなことはわかっていますよ?!そもそもウイルス感染なんだからだれが悪いとか・・!そんな事はわかっています!わかっていても!割り切れますか?!貴女なら・・割り切れるんですか?!」

私・・だったら・・?

「自分の子供が!ダレカに触れて死んでいったら!貴女は仕方ない・・ダレカも被害者なんだから・・なりたくてなったわけじゃないんだから・・なんて!考える事出来ますか?!」

No.125 11/06/09 01:58
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私の表情を読み取ったのか男が少し乱暴な口調になった

「家内がしたことは許される事ではないことはわかっています・・逆恨みであることも! ですが!私達は突然娘を失った!悪意がないとはいえ!貴女の息子が原因なのは事実なんです!そして・・貴女の息子は生きている! 」

「だから・・だからって!巧だって!なりたくてなったわけじゃない!たまたま巧が感染源になっただけじゃない!」

No.124 11/06/09 01:48
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私達を・・怨んでた?

なんで?

巧が感染源になってしまって巧から感染して娘が死んだから?

その巧の父親だから?

だから?

殺されたっていうの?

おかしいよね?

娘が突然死んで・・おかしくなるのはわかる・・よ?

だけどなんで・・?

怒りの矛先がこっちにむくの?

私達も被害者なのに・・!
同じ・・被害者なのに!

No.123 11/06/09 01:40
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

男の言葉がいまいちよく理解できない

なに?

旦那は・・殺されたの?

今目の前にいる人の奥さんに?

巧の同級生のお母さんに?

嘘・・でしょう?

意味がわからない・・よ!
旦那が殺されなきゃいけない・・意味がわからない!

No.122 11/06/02 01:28
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「家内は段々精神的に病んでいったんでしょうね・・私は気づいてやれなかった・・というかみて見ぬふりをしていた・・私自身家内を気遣える状態ではなかった・・そしたらある日・・包丁を持った血まみれの家内が家にいたんです・・娘の位牌を抱いて・・娘の仏壇の前でたっていたんです・・!」

「あ・・あ・・」

私は言葉がうまく出てこない

「家内が言ったんです・・後二人だよって言ったんです・・僕は家内が何をしでかしたかその時気づいてご主人の元に行ったんですが・・既に・・」

No.121 11/06/02 01:15
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 120 「私の家内が・・ご主人を・・」

そこで男は一度口をつぐんだ

旦那を何?

なんなの?

「死なせてしまいました・・」

・・・ 死なせた・・?

は・・なに・・どういう・・・事?

「娘が死んでから・・家内は貴女達親子を恨むようになり・・毎日他の今回の被害者の親御さんたちとご主人のところに言っていました・・」

男が私を無視するかの様に話し出した

No.120 11/06/02 01:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「構えなくても大丈夫ですよ・・」

力無く男が笑った

「あ・・あの!」

「・・申し訳ありません・・・」

男はいきなり立ち上がり深々と頭を下げた

いきなりの事に私は面食らう

なんで?

なんでこの人は謝っているの?

「こんな結果になってしまって・・」

男の固く握り締めた拳が震えていた

「あ・・なんの事・・でしょう?」

私の言葉に男は顔を上げた
「ご存知ない・・んですか?」

No.119 11/05/30 23:48
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「あ・・」

男の言葉に私はなんて言ったらいいのかわからない

と同時に旦那の言葉が頭を過ぎる

『お前らの子供のせいで俺達の子供が死んだ・・子供を殺してお前らも死ねって言われたよ・・』

私は服の袖をぎゅっと握り締めた

No.118 11/05/30 23:22
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「畠山です
初めてお会いします」

畠山・・

私の怪訝な顔に男は言葉を続ける

「娘がお宅と同じ幼稚園にいました」

巧と同じ幼稚園・・

その時旦那の言っていた言葉が頭を過ぎった

『巧と同じクラスの半分が死んで・・』

まさか・・

私の表情が固くなったのを男は見逃さなかった

「・そうです・・由美は亡くなりました・・感染の被害者です・・」

No.117 11/05/29 23:58
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

面会室のドアを開けると見知らぬ男性が座っていた

誰?・・

男は私に目を向けると立ち上がり深々と頭を下げた

「どちら様ですか?」

私の問いに男は顔を上げた

No.116 11/05/26 02:46
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私が目の前で倒れたら・・考えただけでゾッとする

何度もみた光景・・

人がもがき苦しみながら死んでいく・・

巧には見せられない・・

どうしたら・・

その時だった

「鈴木さん・・特例なんですが・・あなたに面会したいという方がいらしています」

いつもの声が聞こえた

面会? 誰・・?

もしかして・・旦那?!

考え直してくれたのかもしれない!

そうだよね!

だって私は捨てられても自分の子供は捨てられないよね!

「会われ・・ますか?」

声の問い掛けに私は大きく頷いた

No.115 11/05/26 02:35
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

鈴木仁美

身体がだるい・・・

目眩もする・・・

疲れた・・・

「ママ・・具合悪いの?どこか痛いの?」

巧は最近私の顔を見る度に聞いてくる

その度に大丈夫だと笑顔を見せるがそろそろ限界が近いのかもしれない・・

No.114 11/05/24 13:40
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「誰も悪いなんて言ってないよ・・運が悪かっただけ・・あなたの子供がたまたま運悪く感染源になって・・たまたま運悪く由美が感染して死んだの・・だから・・感染源の親のあなたも死ぬべきよね・・たまたま感染源の親なんだから・・だって本人いないもの・・あなたから死ぬべきよ・・」

なんだこいつ!
頭おかしいのか?!

「だっだれか!だれか助けてくれ!」

「・・・」

女は無言で近づいてくる

そして俺の頭上に包丁を振りかざした

「た・・たす・・」

目の前を刃物が通り過ぎた瞬間胸に鈍い痛みを感じ俺の意識がぷっつりと途切れた

No.113 11/05/21 13:30
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「お・・俺は!悪くない!」
咄嗟に口から言葉が出た

「だって・・そうだろ・・俺は・・悪くないだろ?!」

俺の言葉に女がぴくりと反応する

「悪く・・ない・・?」

No.112 11/05/21 13:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「それなのに!なんで生きてんの?!死んでよ!あんたもあんたの子も母親も!由美は死んだのに!苦しみながら死んだのに!何も悪い事してないのに!なんで由美が死ななきゃならなかったのよ!!」

女は髪を振りみだしながら俺にまたもや近づいてくる
「く・・来るなよ・・」

俺は四つん這いになりながら女から逃げようとする

この女は頭がおかしい
娘が死んだのは同情するが憎しみをぶつける対象がなんで俺なんだ?!

ただの逆恨みじゃないか!
俺は何もしていない!

ただ感染源の親っていうだけだろ!

巧の父親ってだけで俺はこんな目にあわなきゃいけないのか!

No.111 11/05/19 00:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「だって知っちゃったんだもん!あなたの子が原因だって知っちゃったんだもん!悪意がないとか不可抗力だとか・・そんなの関係ないもの!あなたの子が原因で由美が死んだ事にはかわりないもの!」

女がまくし立てる

No.110 11/05/19 00:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ホントはわかってる・・」
「おい・・お前・・」

「誰も悪くない・・そんな事わかってる・・」

「だけど・・だけど・・!」
女は包丁を両手で持ち前に突き出した

包丁は紅く染まっている

「あなた達が!あなたの子供が!いなかったら!由美は死ななかったかもしれない!」

「何言って・・」

俺は激痛に堪えられず床に膝をつく

No.109 11/05/18 23:58
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

苛立ちながら鍵をガチャガチャと回してやっと鍵が開いた音がした

と同時に背中に鈍い痛みを感じた

「?」

俺は後ろを振り向いた

女が俺の背中にピッタリと張り付いていた

女は泣きながら笑っていた
ヨロヨロと女が俺から離れた

俺は痛みを感じた背中に手で触れてみた


血・・・ だ・・・


「わかってる・・」

女がブツブツ話し出した

No.108 11/05/18 23:51
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

鍵を開けようとしたが手が震えて旨く鍵が鍵穴に入らない

毎日毎日恨み言を言いにきやがって!

俺が何をしたっていうんだ!

俺の子がたまたま感染源になってしまっただけだろ?!

俺だって被害者だ!

俺は何もしていないのに!
なんで俺が責められてんだ?!

いい加減にしてくれ!!

No.107 11/05/16 23:41
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

声の方に目をやると女が立っている

「またあんたか・・」

毎日俺の家の前に立ってる女だ

巧と同じクラスの死んだ子の母親だ

たしか 畠山 とか言ってたな・・

「人殺し!」

女は叫びながら俺に走り寄ってきて俺の襟をつかんだ
「やめてくれ!」

俺は女を突き放す

女が倒れたすきに俺は家に入ろうとした

No.106 11/05/16 00:11
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

もう新しいアパートは借りてある
荷物を持てるだけ持って今日中に新しい部屋に引っ越そう

そう思いながら仁美と巧と過ごした家の前に車を止める

車のドアを開けた瞬間だった・・

「人殺し!」

女の罵声が響いた

No.105 11/05/16 00:06
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

だが毎日の嫌がらせに疲れた

もう終わりにしたい

そう思ってしまうのはいけないだろうか?

俺の人生だ

俺の好きな様に生きる

当たり前じゃないか!!

俺はそう自分を奮い立たせ家路を急いだ

No.104 11/05/16 00:01
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

鈴木正史(35才)

俺は仁美に別れを告げセンターを後にした

車の中で巧と仁美との生活を思い出す

俺はいい父親ではなかった・・

なかったと過去系ではなく今もいい父親とは言えないだろう

俺は自分の保身の為に我が子を捨てたのだ

責められても仕方がない

No.103 11/05/11 23:54
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私と巧はまた同じ毎日の繰り返しで日々を過ごした

毎日の時間毎の採血
自由に動く事すらできない生活

巧は段々と元気をなくし生気を感じない

当たり前だ

大人でもおかしくなる

私も最近体調が悪い

死が迫っているのだろうか
感染してから発症するまでの時間は個人差があると言われたけど

私は後どれぐらい生きられるのだろうか

後どのくらい巧のそばにいてあげられるのだろうか

No.102 11/05/11 00:03
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 101 海外ドラマですか?

なんてタイトルのドラマですか?

みた事ないですが・・

一様思いつきで書いているオリジナルなんですが

かぶってるドラマあるんですか?!

タイトルとストーリー教えてくれますか?

見てみます

No.100 11/05/10 23:19
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

いつかは真実を知る日がくる

だけどその日まで嘘ついていたい


そう思ってしまう事は
間違っているだろうか・・

No.99 11/05/10 23:16
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「あのね・・巧・・」

私は静かに話し出す

「巧は今病気なんだ・・だから・・」

巧のまっすぐ見つめる瞳に私は胸がつまった

「今は帰れないけども少ししたら帰れるからね・・パパも待ってるって・・だからいい子にして病気早く直そうね・・」


これが精一杯だ

正論では期待をさせ後で真実を知った時の落胆を考え最初から話してやったほうがいいのだろう

だけど・・

今は言えない・・

言えないよ!!

だって言える?

あなたは人に触れただけで人を殺してしまう病気で・・一生監禁される・・そしてその病気のせいで幼稚園のお友達が死んで実の父親に関わりたくないと捨てられたんだよ・・
なんて言えないよ!

この子に罪はないんだから!!

No.98 11/05/09 00:32
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ねえ!まま!帰れる?パパに会える?」

どう答えればいいか?

私は言葉がうまく出てこない

ここから出ることも出来ず父親からも捨てられた

その事実をこの幼い子にうまく伝える言葉がわからない

伝えるべきなのか・・

小さいけれど・・
今自分に起こっている事 これから起こる事を知っていたほうがいいのか・・

それとも・・
伝えて絶望させるよりいつか帰れる パパにも逢えると叶えられない希望を持たせたほうがいいのか・・


私は巧の為にどちらを選択した方がいいのだろうか

No.97 11/05/09 00:22
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「まま!!まま!!」

巧のいる部屋に戻った私を巧がベッドの上から必死に呼ぶ

私は巧に走り寄り巧は私にしがみつく

ベッドの上で拘束されている巧は必死に身をよじりながら私にしがみつく

私は巧を抱きしめた

「まま!どこに行ってたの!」

巧の質問に声がつまる

「ちょっと大事なお話だったから違うお部屋ではなしてたんだ・・ごめんね・・怖かったよね・・」

「もう・・行かない?どこにも・・行かない?」

「うん・・うん・・お話終わったから・・大丈夫だよ・・」

「お家・・帰れる?もうお話終わったなら・・帰れる?」
「お家帰りたいよね・・」

「帰りたい!パパにも会いたい!」

「!・・そうだよね・・」

No.96 11/05/09 00:10
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

旦那が出て行ったドアを見つめた

もう少ししたらまたドアが開いて・・旦那がまた部屋に入ってくる様な気がした
「やっぱりオマエラを捨てられない」

っていいながら泣きながら入ってくると思いたい!

だがいくら待ってもドアが開く事はなく私はいつもの声に誘導され部屋を出た

No.95 11/05/09 00:05
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私は立ち上がる事が出来ずその場に座り込んだままだった

嘘だよね・・?

私達と縁をきりたい・・なんて・・

嘘だよね・・・・

簡単に・・そんな事・・出来ないよね・・?

だって・・巧は息子だよ?
自分の子供だよ?
私を捨てる事があっても自分の子は簡単には捨てられないよね?

今は回りに責められてつい言っちゃっただけだよね?

冷静になったらわかるよね?

てか気づくよね?

そうだよね?!

No.94 11/05/03 00:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「なに・・それ・・」

「勝手だし最低だって事はわかってるよ・・だけど俺はもう無理なんだ・・」

「ちょっと待ってよ!」

私は立ち上がる

「ねえ!私も感染してるの!死んじゃうの!私が死んだら巧の支えになってあげられるのはあなたしかいないんだよ?!我が子だよ?!一生監禁されて一人ぼっちで生きていくかもしれないんだよ!あなたが支えになってやろうって思わないの!?」

「・・・」

「ねえ!ねえ!」

「・・ごめん」

「ごめんじゃなくて!待ってよ!世間に責められてる巧を守ろうって思ってくれないの?!親でしょ?!あなたの子!親がどんな時でも味方になってあげるべきでしょ!ねえ!」

「・・ごめん・・」

「なんで!なんでよ!ちょっと言われたぐらい何よ!そんなに世間が怖いの?!巧よりそんなに世間に責められないようにいきていくのが大事なの?!」

「離婚届け・・出しておくから・・」

そう言い残して旦那は部屋を出た

「ねえ!待って!嘘でしょ!ねえ!」

ドアが閉まり私の声が虚しく部屋に響いた

No.93 11/05/03 00:09
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「もう無理だ・・!」

「無理って・・!ねえ!巧のせいになってるの?!」

「巧のせいだろ!」

「巧だってなりたくてなったわけじゃないのよ?!これから一生監禁されるかもしれないんだよ?!それなのに!巧だって被害者じゃない!」

「被害者じゃないんだよ!あいつらには巧は加害者なんだ!逆ならお前どう思う?!どう思うよ?!」

「わかるよ・・!わかるけど!」

「巧が・・死んだら!誰かにウイルスうつされて死んだら!お前いえんのかよ!感染源も被害者なんだからっていえんのかよ!!」

「!」

涙が・・止まらない

確かに逆なら私も責める
被害者なんて!って思うよだけど!!

「母さんも・・巧のせいなんだよ・・」

旦那の言葉にはっとする

「これから毎日・・罵られ非難されて生きていく勇気は俺にはないよ・・母さんの事も・・多分頭から一生離れないだろう・・」

「なに・・」

「俺はもうやめたい・・オマエラと家族をやめたいと思ってる・・」

No.92 11/05/02 23:55
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

鈴木仁美(続き)

「それから・・俺は何もわからず何も教えて貰えずに家で待機しているように言われたんだよ・・」

旦那はぽつりぽつりと話す
「母さんの遺体も戻って来なくて・・お前達も帰って来なくてずっと待ってた・・そしたら・・いきなり家に・・感染センターからきたって奴らが来て・・巧が・・感染源だから・・とか言われて・・」

旦那はゆっくり思い出す様に話している

「血液採取する・・感染の疑いがあるって言われて・・それから・・」

旦那はぶるぶると震え出した

「幼稚園の同じクラスの友達の親だって奴らがきて・・・!」

「・・?」

「お前の子供のせいで・・俺達の子供が死んだ・・って・・子供を返せ・・許さないって・・」

「そんな・・!」

「毎日毎日くるんだ・・泣きながら返せって言われたり・・子供殺してお前も死ねって言われたよ・・」

「嘘・・!」

「俺は感染してなくて・・それも気に食わないらしいけど・・俺もう・・限界だ・・!」

No.91 11/05/02 22:10
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「あなた・・」

私達は選択を間違ったのだ
こうなる事はわかっていたはずなのに・・・

No.90 11/05/02 22:08
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「あなたは・・由美がいなくなって・・悲しくないの?寂しくないの?悔しくないの?!」

私も叫んだ

「仕方ないって・・なんなの?その子がいなかったら由美が死ななかったのは事実でしょ!?由美が感染源になったかもしれないって・・そうかもしれないけど違うじゃない!!由美は死んだじゃない!その子のせいで死んだじゃない!」

私の言葉に主人は思い切りハンドルを殴る

「その子を怨んじゃいないって頭ではわかってるよ・・だけど・・その子のせいって思うのは仕方ないでしょ・・怨んじゃうのは仕方ないでしょ・・なんでって思うのはダメな事・・?」

「俺だって・・!」

主人が泣きそうになりながら答える

「俺だって!怨みたいよ!むかつくよ!その子に悪いけどしんで欲しいよ!だけど・・それは・・思っちゃいけないだろ!」

「そうだけど・・」

「まだ5才の子だ・・由美と同じ歳の・・責めたいけど・・責められないだろ・・・」

No.89 11/05/02 21:56
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

主人が怒鳴り散らす

「怒鳴らないで!」

私の言葉も耳に入らないのか主人は怒鳴るのをやめない

「なんでなんて思ったってなんにも変わらないだろ!由美は事故にあったようなもんなんだ!」

事故・・・?

それは違う!!

「違うよ!事故なんかじゃ・・」

「そう思うしかないだろ!未知のウイルスに感染して死んだ!防ぎようもなく治療も出来ずに死んだ!仕方がないだろ!」

仕方が・・ない・・の?

由美が死んだのは
仕方がない・・事・・なの?

「そんな言い方・・」

「じゃあ感染源の子を怨んで死んでほしいって思えばいいのか?!一歩間違えたら由美が感染源だったかも知れないんだぞ!たまたま由美が被害者だった!その状況でその子に全部の責任は押し付けられないだろ!」

No.88 11/05/02 21:25
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

鈴木・・巧・・・

あまり記憶にない名前だ

由美からもあまり聞いた事がない名前だ

そんなに親しくない子供によって由美は・・・

ぎゅっと唇を噛む

「なんで・・・」

何度この言葉を思っただろう

私の言葉に主人が荒々しく車を止めた

「もう何も言うな!」

主人の怒鳴り声

「由美の死因はわかった!由美の遺体ももう少しで帰ってくる!これ以上何もいうな!」

No.87 11/05/02 21:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

結局私達は名前を聞いてしまった

名前を聞かずに部屋を後にした人は隼人くんママ達以外いなかった

多数決ではないけれど多数の親達が私と同じ考えな事に少し安堵した

自分達だけではないんだという安心感

それは時に間違った選択をしたとしても正論になる





帰りの車の中で何度も何度も頭の中で一つの名前が浮かぶ

No.86 11/05/02 02:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私達は無言で隼人くんママ達を見送る

わかるよ

隼人くんママ達は正論だ

知ってしまったら
その子を必ず怨んでしまう
怨んだところで子供は帰ってこない・・

知らずにいる方が幸せな事もある・・

「皆さんはどうしますか?」

萩野の言葉で私達は選択を迫られる

知って我が子をなくした気持ちをその子にぶつけ怨むか・・
聞かずにこの場をさりただ我が子に起こった悲劇を嘆くか・・

正しい選択はどちらなんだろう・・・

No.85 11/05/02 02:06
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私の気持ちを察したのか
主人が私の手を握ってきた
「感染源の氏名についてですが・・」

萩野の言葉に私達は息を飲む

「もういいです!」

泣きながら叫んだのは隼人くんママだった

「いまさら・・誰が原因だとか・・どうでもいい!息子を・・私は隼人の遺体を返して欲しいだけなんです!!」

机に突っ伏した隼人くんママの肩を抱きながら隼人くんパパも口を開く

「その子の名前を聞いたところで・・悪意のない子に逆恨みしても隼人が帰って来るわけじゃない・・私達は遺体が帰ってこればいいんです!返してください!」

「わかりました・・後一日待って頂けますか?あちらで手続きを・・」

萩野はスーツの男に目で合図し隼人くんママ達はスーツの男に案内され部屋を出て行った

No.84 11/05/02 01:52
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

その子に罪はない

当たり前だ

そんな事はわかっている

なりたくてなったわけじゃ無いこともわかってる

その子がたまたま感染源になってしまった事も

だけどその子が私の子供を殺した

それも事実

その子がいなかったらしんでいなかったかも知れない
いや死ぬ事なんてなかった
私の子を死に追いやったのにのうのうと生きている

苦しみもせず!

許せないと思うのはおかしい?

人道的に考えたらおかしいだろう

わかってる!

逆恨みに近い感情だということは

わかってるけど!

思ってしまう

苦しめばいいのに

死ねばいいのに

由美が死んだんだから
その子も死ねばいいのに!

No.83 11/05/02 01:34
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「感染源についてですが・・原則お答えする事は出来ません」

萩野の言葉に皆立ち上がる
「ですが!」

萩野は声を張り上げる

「皆さんがどうしてもというのならお教えいたします・・」

萩野はゆっくりと一人一人の顔を見るように部屋を見渡す

「感染源は皆さんのお子さんと同じ幼稚園のクラスの子供です」

「!」

同じクラスの子・・・

「その子供が何故感染源となりえたのか理由・経緯はわかりません」

「・・!」

「 今センターで保護していますのでこれ以上の感染拡大はまずないと考えています」

「その子は・・生きているんですか?」

えりなちゃんママが初めて口を開く

「はい・・ウイルスに感染しているということ以外は健康ですね」

「苦しんだり・・してるわけではないんですね・・」

えりなちゃんママは唇を噛み締めている

「おい・・」

えりなちゃんパパがえりなちゃんママを諭している

「だって!」

えりなちゃんママが泣き崩れる

えりなちゃんママの気持ち・・私にはわかる

No.82 11/05/02 00:59
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

その時先程出て行ったもう一人の白衣の男がもう一人連れて部屋に戻ってきた

新しく部屋に入ってきた白衣の男は主人を見て頭を下げる

「このセンターの一部を任されている萩野と言います」

「まずは皆様に今までの非礼をお詫び申し上げます」

萩野はそういって深々と頭を下げた

「皆さんきちんと説明しご質問にもお答えいたしますのでどうかお座りになって下さい」




皆が席に戻ると萩野はゆっくりと話し始めた

「今回の事は・・」

「感染なんだろ!」
「さっき聞いたよ!」
「感染源は誰なのか教えろ!」

No.81 11/05/02 00:50
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「席に戻ってください!」
スーツの男の制止もあまり意味がない

「ですから!」

「はっきりしろよ!」
「いい加減に言えよ!」

「俺達は子供が死んだんだぞ!」

ひときわ大きい声が響いた
主人だ

「感染源はわかっているんだろう?もうそっちでオマエラが保護してるんだろう?」

「・・・」

「俺達は知りたいだけだよ・・なんで死んだのか・・なんで死ななきゃならなかったのか・・」

「・・・」

「教えろよ・・教えろ!」

主人は泣きながら叫ぶ

「言えません!言えません!」

白衣の男は半泣きになりながら首を振り拒否をする

No.80 11/05/02 00:34
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「いや・・」

「違うのか?!」

「いえ・・違わなくないんですが・・」

「どっちなんだよ!!」

白衣の男はチラチラと主人を見る

「混乱を招くのを防ぐ為にこれ以上は・・」

「混乱はもう起こってるだろう!」

「もしかして・・私達も感染しているの?!」

部屋の中の空気が一瞬にして変わった

「どうなんだ!」
「はっきりしろ!」

鬼気迫る表情で白衣の男に詰め寄る人達

「おち・・落ち着いて! 大丈夫! 感染されていません! 大丈夫!」

白衣の男は必死に話している

「なんでそう言い切れる?!」
「感染源が誰がわからないのにそんな大丈夫なんて信用出来ないだろ!」

詰め寄られ白衣の男は逃げ場が無くなっていく

No.79 11/04/29 01:05
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

白衣の男達はコソコソと話し一人が部屋を出て行った
残った男はゆっくりと話し出した

「大変残念な事ですが・・」
先程とは打って変わった口調

「今回の事の原因は・・」

白衣の男は言葉に詰まったが主人をチラ見し意を決したように続けた

「ウイルス感染によるものだと考えられます」

ウイルス・・感染・・?

「今まで発見されていなかったウイルスで・・」

部屋の中がざわつく

「感染源に接触し感染します 発症すると発作を起こし死に至ります 発症するまでの時間は個人差があります」

「感染源・・はなんなんですか?!」

「それは・・お答え出来ません・・」

「わからない・・ということ?!」

「いや・・そうではなくてですね・・」

男の歯切れが悪くなってきた

主人をチラチラと見ながら主人の顔色を伺っている

「はっきりしろよ!」

親達の罵声にしどろもどろになりながら男が口を滑らせた

「個人の情報を流す事は・・」

個人の情報?

男は自分が言ってはいけない言葉を口にしたことに気づいた

「いえ・・あの・・」

「個人って・・感染源は人間って事なのか!!」

No.78 11/04/29 00:44
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「こちらも今調査中なんですよ
わかりますよね?
お子さん達の死に方が普通じゃないって事ぐらい」

男の言葉で私の脳裏に昨日の光景がいきなり蘇った

酷い・・

私は手を固く握りしめた

「原因を調べる為に・・」

男が淡々と話していると主人がいきなり立ち上がり男の胸倉を掴み背後の壁にたたきつけた

「な・・」

「自分の子が・・死んだんだぞ!いきなり・・何の前触れもなく!原因を知りたいと思う事がそんなにおかしいか?迷惑か?遺体もオマエラに連れていかれて・!理由を知りたいと思うことがそんなにダメな事か?!」
「そんな・・事」

「やめなさい!」
スーツ姿の男が主人に詰め寄る

「マニュアルな回答を聞きにきたわけじゃないんだ」

主人は小さく男の耳元で何かを呟く

男の顔色がみるみる変わる
「知っていることを全て教えて欲しい」

主人の言葉に男は小さく頷く

主人は男を離し席に戻ってきた

白衣の男はもう一人の白衣の男に何かを伝えた
耳打ちされた方の男の顔色もみるみる変わる

No.77 11/04/27 22:39
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「息子の遺体を返してください!」

一番に口を開いたのは隼人くんママだった

白衣の男は隼人くんママをチラッと見て口を開く

「残念ながら今の段階では・・」

もう一人の白衣の男も口を開く

「ここは感染センターです
こちらに運び込まれたということはどういうことかお分かりですよね?」

人を小ばかにしたような口調

いかにも私達が迷惑といったような口ぶりだ

No.76 11/04/27 22:29
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

制服の男に促され私達は門をくぐる

「こちらへ」

制服の男に私達は無言でついていく

建物に入ってすぐのホールは天井がガラス張りになっていて日差しが真上から降り注いで眩しく外からの印象と全く逆の空気を醸し出していた

ホール脇の会議室とかかれた部屋に男は私達を誘導した

その部屋は正面に大きなスクリーンが置かれスクリーンを見る形でテーブルと椅子が置かれている

私達はそれぞれ椅子に座って待っていた

それほど待たされる事なく部屋のドアが開き
白衣をきた男三人とスーツ姿の男二人が入ってきた

No.75 11/04/27 22:15
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

出てきた制服の男はもう一人の制服の男に何かを伝え私達一人 一人に 入館許可書とかかれた名札を渡し始めた

いきなりの事に私達に疑問の色が浮かぶ

「中で説明すると今連絡が入りましたので」

男は私達の空気を読んだように言った

名札が全員に行き渡ると門がゆっくりと開いた

No.74 11/04/26 22:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「そんな説明で帰れるわけがないだろう!」
「中にいれろ!」

「ですから!」

制服の男と親達の怒声が飛び交う

ずっとこのまま押し問答が続くとおもわれた矢先に門横の警備員の休憩所の様な小屋からまた一人制服の男が姿を現した

No.73 11/04/26 00:53
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「皆さん!皆さん!落ち着いて!」

制服の男一人が声を張り上げる

「いいですか?!ここは民間の施設ではありません!国の施設です!ですから民間人が入る事は許されていないんです!」

「なんだよ!それ!」
「子供の遺体を返してください!」
「説明しろ!」

「こちらでお答えできるのはここまでです!これ以上お答えする事はできません!お帰り下さい」

「息子の遺体は?!」
「責任者を出せ!」

「お答え出来ません!お帰り下さい!」

制服の男は同じ言葉を繰り返す

No.72 11/04/26 00:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

一人の男が制服をきた男にくってかかっている

「由紀ちゃんママ!」

男の近くにいた女が走り寄ってくる

「隼人くんママ・・」

今回亡くなった同じクラスのまま友だ

「ここに隼人がいるって聞いて・・だけど入れてくれないの・・」

隼人くんママは揉めている集団を振り返った

「ちょっと聞いてくるよ」

主人が揉めている人達の中に入って行った

「息子の遺体を引き取りたいだけなのに・・」

隼人くんママは泣き崩れている

No.71 11/04/26 00:10
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

感染センターへの道のりは途方もないぐらい長くかんじた

二人とも一言も交わさずに車のエンジン音だけが聞こえる

感染センターは山の中にひっそりと立っていた

しかしその建物はそこにあるだけで見るものに威圧感を与える

私達は息をのんだ

自分達が知らない世界がその中にあるのだ



建物へは巨大な門を通らずには入れない

門の前で制服をきた男二人が三台の車を止めている
なにやらもめているらしい
私達は車を止め揉めている人達に近づく

「なんではいれないんだ!」

No.70 11/04/23 00:59
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「わからない・・」

「今日これから感染センターに行ってみよう・・由紀の遺体もそこに運ばれてるはずだ」

主人が肩を震わせながら消え入りそうな声で呟く

「せめて・・せめて・・由紀がなんで死んだのか・・それぐらい・・親の俺達が調べてやらなくちゃ・・」

No.69 11/04/23 00:21
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「感染研究センターのやつらだ・・間違いない」

「感染研究・・センター・・・」

「センターの奴らが動くって事は由紀はナニカに感染したって事なんだろう
それであんな事に・・」

主人は頭を抱えこんだ

「何に感染したのか感染源がなんなのかそれはわからないが・・」

No.68 11/04/23 00:12
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「幼稚園の関係者と警察に話を聞いてきた」

「・・・」

「由紀と同じクラスの半分が同じ症状で亡くなったらしい・・」

「・・・」

「警察は何も教えてくれない・・調査中としか言わない・・そして白い服の奴ら・・おかしいと思って調べたんだよ・・そしたら・・」

主人が続ける

No.67 11/04/22 23:48
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

ママ つらいよ・・
嫌だよ・・・
由紀がいないなんて・・

涙でぬいぐるみがグチャグチャになる

「今・・いいか?」

主人だ
いつの間に帰ってきたんだろう

私が何も言わず黙ってぬいぐるみを抱きしめていると主人が私の目の前に座り話し出した

No.66 11/04/22 23:38
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「・・いや・・よそう・・」
主人は私の肩から手を離しそのまま何も言わず車を走らせはじめた

主人が何を私に伝えたかったのか

それは翌日知る事になる



昨日の出来事から時間が止まったようだ

私は由紀の大好きだったキャラクターのぬいぐるみをずっと抱きしめていた

主人は昨日帰ってきてから何も話さずどこかへ出かけて行った

外がすっかり明るくなりいつもなら由紀を起こす時間だ

私が起こしに行くと由紀はいつも眠い目を擦りながら・・

「ゆき・・・」

ぬいぐるみを抱きしめると由紀を抱いているようで・・・

No.65 11/04/22 23:10
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

主人が車に戻ってきた
かなり興奮している
勢いよく車のドアを閉め
ハンドルを強く握りしめている

「・・・・」

何か呟いている

「・・聞いているのか?」

主人の苛立っている声

私は窓をむいたまま

「おい!!」

主人はわたしの肩を掴み無理矢理振り向かせる

私は主人にされるがままにおぼろげに主人の顔を見た
何を怒っているの?

そんな簡単な言葉さえ主人にかける気にもならない

「ちゃんと聞け!」

主人が泣きながら私の肩を揺さぶる

「由紀は・・由紀は・・」

言葉に詰まる主人

No.64 11/04/21 12:41
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

そのあとの事は余り記憶がない
覚えていることは
主人が来て私を車に乗せ抱きしめ何か言っていた事と
主人がくる前に白い服を着ている人達がどこからともなく表れ由紀を初め動かなくなった子供達を運びさってしまった事だけ

主人は園舎に残っている白い服の人と話している
由紀がどこに連れていかれたか聞いているのか
もうそんな事いいよ
由紀はもう帰ってこない
帰ってくるのは由紀の抜け殻の身体だけ・・・

その事実はかえられないのだから・・

車の中で私はぼんやりと外を眺める
いつもと変わらないようにみえる
園舎から私の姿を見つけた由紀が今にも走ってきそうだ
由紀がいなくなってしまったなんて信じられない
さっきまで息をしていない由紀を抱いていたのにリアルな感触は残っているのに
あれが嘘に思えてならない
いや 嘘であって欲しい

No.63 11/04/21 12:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「まま・・まま・・まっ・」
由紀の様子がおかしい!

「由紀!!」

「あ゛ぁ゛ ま゛ぁ゛ 」

「由紀!」

由紀が喉を掻きむしりながら床を転げ回る

「由紀!」

私は由紀を抱き抱えようとする

「た・!たす・・ま゛まぁ」
「由紀!!」

悲鳴に近い声で娘の名前を呼んだ瞬間

由紀は動かなくなった

「ゆ・・」

私が由紀を再び抱き抱えた時由紀の腕がダランと垂れさがった

開いてはいるが何もみていない目

「・・由紀・・?」

まさか・・まさか・・まさか・・

「由紀?」

話し掛けても何も答えてくれない

口に耳を近づけてみても呼吸が感じられない

瞬きもせずに見開いた目

突然起こった出来事に頭がついていかない

由紀は・・・

「いやぁぁぁぁぁ」

嘘だ!嘘だ!嘘だ!嘘だ!
私は動かない人形の様な由紀を抱きしめる事しかできなかった・・・・

No.62 11/04/21 11:46
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

畠山 真砂 30歳
私は幼稚園から連絡を受け幼稚園に急いで向かっていた

娘がいきなり吐血したらしい
詳しい事はわからないがすぐ来て下さいといわれ不安に駆られながら道を急ぐ


幼稚園に着いた時辺りは騒然としていた
園庭には救急車が何台も止まり同じクラスの子がタンカで次々と運び込まれている

「えりな!えりな!」
子供の名前をよびながら抱き抱える母親

私は一瞬夢かと錯覚した

いやこれは現実だ

一体何が・・・

「由紀!由紀!」

娘の名前を呼びながら騒然としている辺りを探す

「由紀ちゃんのお母さん!」
保育士の声

「由紀!」

保育士に抱かれながら由紀は小刻みに震えている

「由紀!」

由紀を抱き抱えると由紀は小さく

「まま」

とだけ呟いた

「何が・・一体何が・・!」
「わかりません・・急に・・皆が・・聡君も愛ちゃんも隼人君も・・急に・・」
保育士は首をただ横にふりながらそう答えた

その時

遠くで悲鳴に近い声が上がった

「はやと!!」

声の方をみると隼人君が奇声をあげながらのたうち回っている

「!!」

私はあまりの光景に釘を刺されたように身動き出来ずにただ見つめていた

「隼人!はやと!」

母親の叫び声が悲痛に辺りに響く

ただ事ではない
誰もがそう直感した

No.61 11/04/21 11:18
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

頭がパニックになる

「どうして・・何かあったの・・?」

旦那が鼻で笑いながら言葉を吐き捨てる

「何か?何もなく俺がこの一週間ただボケッとしてたと思うのか?」

旦那は頭を掻きむしる

「死んだんだよ・・巧の幼稚園のクラスの半分が・・」

旦那の言葉に私は息を呑んだ

「オマエラが病院から姿が見えなくなって・・」

旦那がぽつりぽつりと話しはじめた

No.60 11/04/21 02:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「主人に・・主人に逢わせて下さい!」






私の願いは2時間後に叶えられた

私は声に促されるまま壁のボタンを操作し一週間前に通ったドアをくぐり抜けた
一週間前に歩いた長い廊下を横目に 目の前のドアの扉を開けた

部屋は真ん中がガラスで仕切られていてガラスの向こうには一週間ぶりの旦那の顔があった

「あなた・・」

私はガラス越しの主人に走り寄った

無言の旦那

私はせきをきったようにはなし出した

巧の今おかれている状況
私が感染していること

話ながらまた泣いてしまいそうになるのを堪えて



「俺には何も出来ないから」
私が話終わると旦那は吐き捨てるように言い放ち席から立ち上がった

旦那の予想外の言葉に私は一瞬旦那の言った言葉の意味がわからなかった

「なんて?」

私の言葉に旦那はいらついたように声を荒げる

「オマエラともう関わりたくないんだよ!」

No.59 11/04/21 01:48
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

絶望感が私を支配する

立っている事すら苦痛になり私は座りこんでしまった

放心状態の私を哀れんだのか 声が再び話し掛けてきた

「何か希望があれば・・」

希望?
希望は巧が完治してここから出て家族仲良く暮らす事・・

家族・・ 旦那がいた!

もし旦那が感染していないなら巧の側にいてあげられる!
感染を防ぐ為にガラス越しになるかもしれないけど
少しはマシだ!

少しでも巧の支えになれる!

「主人・・主人は感染してるんですか?」

私の問いに声は答えた

「ご主人は感染されていないです」

No.58 11/04/21 00:52
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

たった五歳の子供が一人きりで孤独に堪える事などできるはずがない

だけどどうする事もできない

私は無力な母親だ

私が死んだら巧は一人で壊れていくだろう

私何もしてあげられない

溢れ出る涙が止まらない

No.57 11/04/21 00:36
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「辛い決断でしょうが・・」
「待って!待って下さい!」
「・・・」

「私も感染者なんですよね?」

「そうですね・・発症は個人差があるのでなんとも言えませんが・・」

「私が発症したら巧はこの部屋で一人ぼっちって事・・ですか?」

「・・そうなります」

声の答えに絶句する

私が死んだらこの部屋で巧は一人ぼっちに・・・

堪えられるのだろうか?
大人でも堪えられないかもしれないのに
あの子が堪えられるのだろうか?・・・

No.56 11/04/21 00:06
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「では巧君を自由にさせるのがよいと思いますか?」

声が話し掛けてくる

「巧君が今のまま以前の生活に戻れば確実に感染者が出ます
感染者は確実に死亡しますそれでもよいと思われますか?」

「そんな事・・!」

良いわけないじゃない!

だけど・・だけど・・!

正しい事はわかってる

巧が隔離される事が1番な方法だということも

もし感染源が巧ではなく他の人間なら隔離するべきだと素直に思うだろう

その感染源の人が一生隔離されモルモットみたいな扱いを受けても気の毒には思うがそれが当たり前だと思うだろう

運が悪かった

同情するがそう思って終わるだろう

何も考えずに・・
その人の事など・・・

No.55 11/04/20 23:50
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「今の医療では対処できないとの結論が出ました」

「・・対処できない?」

「今の技術では治療法・予防策・巧君への感染経路・ウィルスの正体全て解明出来ないのです」

言葉が出ない私を無視するかの様に声は続ける

「巧君が感染源であるかぎり巧君を隔離するしかありません 巧君は可哀相ですが治療法が見つからない限りこの部屋から出ることは出来ないと思っていてください」

私はガラス越しに巧を見た
巧は私を不安そうに見つめている

「・・治療法はみつかるんですか?」

私の問いかけに声は少し間を開けて答えた

「見つかるとも見つからないとも言えません
もちろん全力を尽くします」
あやふやな答えに苛立ちを覚える

「なんなの!巧に一生ここで過ごせっていうの!」

「今の現状ではそれが1番の方法なんです」

冷静に声は続ける

「もちろん治療法は引き続き研究します
巧君には辛い検査もあるかも知れませんが・・」

「巧にこれ以上何をする気なの!」

私は叫んでしまった

ベッドに縛り付けられ歩く自由さえ奪われ狭い部屋から一生でる事を許されないかもしれない巧にこれ以上辛い事をさせるの?

まだ五歳だよ?

あの子はこんな辛い思いをするために生まれてきたの?

私はあの子にこんな辛い思いをさせる為に産んだの?

No.54 11/04/20 23:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

この日は採取の指示がなかった

ベッドから降りられずぐずる巧を私は一生懸命あやしていた

突然部屋の隅のスピーカーから声が聞こえた

「お話があります
隣に移動してください」

声と同時にガラスの隙間が開く

私が立ち上がると巧は嫌がり私の服の袖を引っ張る

「まま・・行かないで・・」
泣き叫びすぎて声がかすれている巧は弱々しい声でお願いする

「すぐ戻るから・・」

私は巧の頭をなで

「大事なお話があるからね」
と優しく諭しガラスの隙間を潜った



ガラスの隙間が閉まったと同時に声が再び話し掛けて来る

「結論から申し上げます」

「結論?」

予想と違う言葉に少し戸惑う

なんの結論?

No.53 11/04/20 12:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

治療法が見つからないなら無駄に痛い思いはさせたくない・・・

いや!巧だけじゃなく他の人の為にも必要なんだ!
例え巧が治らなくても人に感染させた時の治療法だけでもわかるかもしれない・・・
でも巧が他人の為に不自由な生活して痛い思いさせられて・・巧だけがつらい思いをすればいいの?
他人の為になんで巧が・・・! 何もしていないのに!


でも巧が治らないと決まったわけじゃない!
医学は進歩しているんだから!その為にも検査はしなくちゃ!


否定と肯定を私は何度も心のなかで繰り返した

肯定が全面否定になったのは監禁されてから一週間たった後だった

No.52 11/04/20 11:49
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

しなくちゃいけないことはわかっている

これ以上感染を広げない為にも 感染した場合の治療法を見つけ出す為にも
そしてなにより巧が治る為にも

巧が感染源で巧に命の危険はないと言われたが未知のウィルスだ この先何か変化があって巧の体に異変が起こらないとはかぎらない
その為にも必要な事なんだ! 巧が可愛いなら心を鬼にして・・!

私は1時間おきにそう心を奮い立たせるが
巧の泣き声と巧の助けを求める目が私に 突き刺さる

こんなにつらい思いをさせて 治療法なんて見つからないかもしれない
そしたら巧のこのつらい思いは無駄になるんじゃないのか・・・

No.51 11/04/20 11:36
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

翌日からのこの部屋に監禁されての生活は苦痛以外の何物でもなかった

つねに監視され巧はベッドに右手以外を固定されている
血液採取と組織採取の指示が出てから
1時間事にある 血液採取 と組織採取のせいで
巧と私の手足は内出血で青く腫れ上がっている

採取は人間が来ておこなうのではなくベッドの横にに血圧計とよく似た採取する機械が置かれていて
1時間起きにそこに腕を差し込み機械が腕に針を刺し採取するまで我慢しなければならない

腕を強く圧迫される痛みと針で何度も腕を刺される痛み

巧は泣きながら嫌がる
嫌がる巧を無理矢理押さえ付けるようにして腕を機械に差し込む

こんな検査は必要なんだろうか
巧をこんなに泣かせてやらなくちゃいけないことなんだろうか
なんでベッドに縛られたままなのか
この子には自由がないのか

1時間おきに繰り返される巧の泣き声

自由に動けない苛立ちと恐怖

泣き叫びすぎて声がかすれてきている

差し入れされる食事にも一切箸をつけない

食べさせようとするもすぐ吐き出してしまう

巧は指しゃぶりをしながら泣きつかれて眠ってしまった

でもあと30分後にはまた採取しなければいけない

嫌がり泣き叫ぶ巧の腕をとり・・・

No.50 11/04/17 03:25
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧は眠っていた

寝顔もいつもと変わらない
私は巧の頬を撫でた

いつもと変わらない感触

頭も撫でた

なんら変わらない

いつもの巧・・

私は涙が止まらなかった

No.49 11/04/17 03:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ウィルスの解明の為と国内の安全とテロ対策によりあなた方親子はこの部屋で当分暮らしていただきますこの部屋は24時間監視されています
不自由かも知れませんが
ご理解下さい
壁のもう一つのボタンを押してください 巧君がいる部屋に通じるドアが開きます 巧君の部屋も監視されています どちらにいようと構いませんが 巧君を動かす事は許可しません
なにかご質問は?」

私は力無く首を横に振る

「では」

声が聞こえなくなる

私はフラフラとボタンがある壁に近寄りボタンを押した
するとガラスの壁が動き人が通れるぐらいの隙間ができた

その隙間を通り巧の側による

No.48 11/04/17 03:00
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「もし巧君がテロ組織に連れ去られた場合最悪な結果を生み出す事はわかりますよね?」

テロ組織・・?!

「まずその様な事態を防ぐ事 そしてウィルスの解明 これ以上の感染を防ぐの三点を行わなければなりません」

「ちょっと・・ちょっと待って!」

「・・なんですか?」

「巧は・・本当に・・?」

「信じがたいかもしれないですが事実です 目の前に死体があるでしょう?」

私の問いに声は呆れた様に話し出す

「さて・・さっきの続きですが・・」

No.47 11/04/17 02:43
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「・・誰?」

私の問いに声が答えた

「素性は明かせませんがあなたと巧君を監視し処分を決めるものです」

「・・処分・!」

「巧君は未知のウィルスに感染していてそのウィルスがなんなのかどこに棲息しているものなのかもまったくわかっていません」

声は淡々と続ける

「致死率百パーセントと接触感染ということ以外何もわかっていないということは対処法ももちろんわかっていないということで」

「・・・」

「巧君は世界各国に対し十分過ぎるほど驚異になりえます」

声は一旦そこで止んだ

驚異・・・
世界各国・・・
何が言いたいの・・・

No.46 11/04/17 02:28
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私は頭を壁に何度も打ち付ける
壊れてしまいたい!

なんで?
なんで?
なんで!?

「たくみぃ・・」

壁に頭をぶつけたままその場に座り込む

「落ち着かれましたか」

いきなり頭の上から見知らぬ声が響いた

「・・・」

答える気力もなく私は無気力に声のしたほうを見る

誰もいない

辺りをゆっくり見渡すが私と男の死体だけだ

まさか!

生きてる?

私はおそる恐る恐る立ちあがり男の近くに近寄ろうとした

「その男は死んでますよ」

またしても声が聞こえた

No.45 11/04/17 02:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

狂ってしまいたい

発狂できたならどんなに楽か

目の前で苦しみ倒れ死んでいく人間・・
原因はわが子・・・

「わぁぁぁ!」

頭を抱え叫び声をあげる

嘘・・嘘でしょ・・
こんなこと・・
ありえない!

No.44 11/04/16 00:50
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ごぁ!」

男が苦しみだしたのだ

「いや・・いや・・嫌ぁ!」
私は叫びながら後ずさる

「がぁ・・!」

男は自分の喉元を両手で掻きむしる様にして倒れた

倒れた後も男は小刻みに揺れ続けそして静かになった
私はその光景から目を背ける事が出来ずにいた

「なんで・・どうして・・」

No.43 11/04/16 00:42
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「苦しむ間もなく」

男は吐き捨てる様に呟いた
「私も巧君に接触しました」
「!」

「私も感染していました・・・」

「・・・」

私は足の震えをとめる事が出来ずにいた

イマイチ理解出来ない
というか理解したくない

巧が・・感染源・・?

他人にふれただけで人を死なせてしまう?

そんな馬鹿な!

あの子はどこにでもいる普通の子だよ?

そんなウィルスになんて感染するわけないじゃない!
だって だって !

否定する言葉が頭の中をぐるぐる回る

私はガラスの向こうの巧に目を向けた

「巧・・」

その時だった

No.42 11/04/16 00:31
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「林田医師 長井看護師 お義母さん 鈴原医師 佐久間看護師・・巧くんと接触した後不可解な発作を起こし死亡
遺体解剖の結果未知のウィルスが判明しました

巧君の血液からも少し変化したウィルスもみつかりました
事実なんです」

「血液検査はしました!鈴原先生はなんも問題ないって・・!」

「従来のウィルスなら一般の血液にも反応は出たでしょう ですが今回巧君から見つかったウィルスは世界で初めてなんです
感染経路もわかりませんし何もわかっていません
わかっていることは
巧君が感染源であり巧君と接触した生物は発症し死亡する という事だけです」

「そんな・・!」

「我々としても信じがたいですが・・先程巧君の血液を猿に与えてみました
猿は死にましたよ
五体とも・・ね」

No.41 11/04/16 00:15
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「検査の結果巧君に触れた人間が感染し発症していることがわかりました」

「・・!?」

「残念ながら貴方も感染されています」

男は続けた

「巧君がどこでウィルスに感染したかはわかりませんが巧君は何故か耐性があり巧君は発症しても風邪程度の症状しか変化はないみたいですが」

「何?・・何?」

「他の人間が感染した場合発症するのに要する時間は個人差はありますが発作を起こし死亡します」

「は・・?」

「巧君は・・つまり感染源なのです」

「ちょっと待ってよ!」

私は声をあげた

「あなた・・いきなりなにいってんの?」

フラフラする

「意味わかんないんだけど・・・ウィルス?感染?感染源?なにそれ?」

「理解しがたいのはわかりますが・・」

私は男の声を遮る

「巧は普通の子供です!いきなり感染源?ってなんなの?なんかの間違いだよ!ドラマじゃあるまいし・・現実にそんな事になるわけないでしょ?!」

「事実です」

私の言葉を男はピシャリと遮る

「嘘みたいですが真実なんです」

「だって!」

No.40 11/04/15 23:47
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

長い廊下を男の後に続いて歩く

男があるドアの前で立ち止まり映画でよくみる装置に男の手をかざした

ドアが左右に開く

「こちらへ」

男は少し振り向きながら私を誘導する

少し躊躇したがドアの向こうに見覚えのあるものが少しだけ見えた

「!」

巧の靴!

私は足早に駆け寄る

間違いない!巧の靴だ!
靴を握りしめ男に詰め寄る
「巧は?!」

男は無言で壁についたボタンを操作する

すると目の前の白い壁が左右に開きガラスの壁が現れた

そのガラスの壁の向こうにあるベッドに巧は寝かされていた

色んなチューブと色んな機械に繋がれている巧

「巧!」

私はガラスにしがみついた
「何があったの?!なんで巧は繋がれているの?向こうに・・巧の近くに行かせて!」

頭が混乱し言葉がうまく出てこない

「落ち着いて聞いて下さい」
男はゆっくりと話しはじめた

「巧君は」

「・・・」

「未知のウィルスに感染していて」

「・・・」

No.39 11/04/15 23:27
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「落ち着いて!」

「お・・落ち着いて?」

男の言葉に怒りが込み上げる

「落ち着けるわけないでしょ!?巧・・巧は?」

男の衿元を揺さぶる

「きちんと説明しますから!」

男は私の手を振り払う

「ついて来て下さい」

男はそう言うと部屋を出た
私は男の言葉に従うしかない

怒りと不安に駆られながら私は男の後に続く

No.38 11/04/15 23:18
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

どれぐらい泣いていたのだろう
ドアの向こうから靴音が聞こえてきた事に気づいた

私はドアに耳をつけ靴音に耳を澄ます

靴音がドアの前で止まった
私は咄嗟にドアから離れベッドの影に隠れた

鈍い音とともにドアが開く
誰かが部屋に入ってくる

靴音が私に近寄ってくる

私はベッドの影から立ち上がる

目の前には巧を連れさった男!

「!」

私は男につかみ掛かった

No.37 11/04/15 22:52
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 36 お返事ありがとうございます

それは貴方がお子さんを手にかけるって事ですよね

参考にさせて頂きます

ありがとうございました

No.36 11/04/15 22:43
他人 ( 20代 ♀ k4w7nb )

子供と一緒に死にます。

No.35 11/04/14 00:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私は閉じ込められている


その事実に私は笑ってしまった

「ははっ」


なんで?

なんで?

私が何したの?


巧を連れさって私閉じ込めて

誰がなんのためにこんなことしてんの?

「なんでよ!」

叫びながらドアを力任せに何度も殴る

「なんなの?!」

「巧に会わせてよ!出して!」

叫び声が段々泣き声に変わる

「お願いだから・・」

ドアに縋り付くようにその場に座り込む

「巧・・・」

あの子は今どうしているだろうか

お腹空いてないかな
寒くないかな
私がいなくて寂しくて泣いてないだろうか
あの子は少し甘えん坊だから・・

考えながら涙がこぼれる

あの子が生まれた時
小さい手が私を握りしめた時 思ったのに
この子は私が守るって決めたのに ・・・

「ごめんね・・・巧・・・ごめんね・・・」

No.34 11/04/14 00:03
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

誰かの声が頭の中から聞こえてくる

「・・・」
聞き取れない

「まま!」

「巧!」

私は叫びながら飛び起きた 「巧?」

辺りを見回す

四方を白い壁に囲まれた四畳半程の部屋

私以外に誰もいない

巧の声だと思ったのは幻聴だったのか

「巧・・」

何故私はこんなところにいるのか

巧は誰に連れて行かれたのか

何故こんな事になっているのか?

頭が混乱する

ベッドから立ち上がり部屋のドアに近寄る

ドアのぶに手をかけたが回らない

鍵がかかっているようだ

No.33 11/04/10 23:45
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

どれぐらいその場にいただろう

「鈴木仁美さん?」

ふいに声をかけられ顔を上げる

見知らぬ男が目の前に立っていた

「?」

私が頷くと男は私に立つように促した

「この子が巧君かな?」

巧が頷くと男は静かに語りだした

「お母さんには申し訳ないんですが」

「?」

「巧君をこちらでお預かり致します」

男はそういうと巧の腕に手をかけた

「!?」

何?

何言ってるの?!
私は巧に伸びた男の手を振り払った
「あなた・・だっ誰なんですか!?いきなり巧を預かるってなんなんですか?!」
「後でご説明します」

男はまたも手を伸ばし巧の腕を掴もうとする

「やめて下さい!だれか!」
私の叫び声を聞き付けてくれたのか人影が見えた
安堵したがそれは直ぐに恐怖に変わった

明らかに病院スタッフではない男二人が近寄ってきた
「?!」

男二人に私は押さえ付けられ巧は抵抗虚しく男に抱え上げられた

「巧!」

「まま!まま!」

巧の泣き叫ぶ声に私は必死に抵抗するが男達に押さえ付けられ身動きが取れない
「まま!まま!ままぁ!」

巧の叫び声が小さくなっていく

「巧!巧!」


その時いきなり右腕にナニカを刺されたような感覚

その瞬間私の意識が途切れた

No.32 11/04/10 23:24
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

巧を抱きしめたまま私はそこから動けない

診察室から悲鳴があがる

巧は何も言わずに私にしっかりとしがみついている


何故?

何故こんな・・

No.31 11/04/10 00:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「先生!」
看護師の悲痛な声

「せん・・ごふっ」

突然医者の体の上に看護師が倒れ込んだ

「!」

「がっ・・ごっ・・」

声にならない声を出しながら看護師は私に必死に手を伸ばしてきた

私は巧の手を引き診察室を飛び出した

「助けて!先生達が!」

通りかかった看護師に縋り付く

看護師が診察室に飛び込む
私は診察室のドアの前で巧を抱きしめ座り込んでしまった

看護師と医者の苦しむ顔が頭から離れない

No.30 11/04/08 20:24
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 29 お返事遅くなりすいません
実話ではありません

実話ではないので話の展開が無理矢理な時がありますが
ご容赦下さい

読んで頂いてありがとうございます

No.29 11/04/08 00:21
さよ ( 30代 ♀ tMn9h )

主さんすみません。
実話なんですか?すごく気になります。


更新待ってます。

No.28 11/04/07 23:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「なんでそんな・・・」

いいようのない不安が私の中に漂いはじめる

「とにかく病理検査をしますので・・お母さんよろしいですか?」

私が頷くと医者は巧にニッコリと笑いかけた

「お注射したいんだけど巧君頑張れるかな?」

「うん!」

巧は元気よく返事をする

巧の服の袖をまくりあげ医者は巧の腕を消毒し注射針を刺す

「偉いね!」

我慢している巧を褒めた時だった

注射針が微かに震え出した
「?」

私が先生の顔を見上げると先生の顔がおかしい

「先生?」

「ごっ・・ごがっ!」

医者はいきなりうめき声をあげ椅子から転げ落ち苦しみだした

「先生!!」

看護師が医者に駆け寄る

私は巧を引き寄せる

医者は直も苦しんでいる

No.27 11/04/07 23:11
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ウイルス?それはインフルエンザとかそういう?」

私の問い掛けに医者は困った顔をする

「世の中にあるウイルスは多数にあります 全て解明しているわけではないので未知の物なのかそうでないかは病理検査をしてみない事にはなんとも・・」

なんだ?

何を言っているんだ?

この医者は


未知のウイルス?

なにそれ?

No.26 11/04/07 02:01
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

翌日
検査結果を聞くために入った診察室には昨日と違う医者がいた

「鈴木巧君かな?」
医者はニッコリと笑顔をみせる

「あの?昨日の先生は?」
「あぁ・・山本先生は今日お休みで・・」
私の問い掛けに医者は歯切れが悪い

「?」

少し不安を覚えながら
医者と言葉を交わす

「検査結果ですが」
「はい」
「アレルギーはありませんでした」

「・・・?!」

医者の言葉に一瞬耳を疑う
「ないというか・・」

医者は言葉を続ける

「全くないというわけではないですがどれも許容範囲のレベルで・・発作が起きるレベルのものは見つからないんです ただ」

「ただ?」

「巧君は異常に免疫力というか抗体が・・強いと言うか・・・昨日の発作はアレルギーに反応したわけではなくナニカに激しく反応したと思います」

ナニカって何?
そのナニカが何なのか知りたいんだけど

「ナニカって何なんですか?」

「考えられる物としてはウイルスなどだと思います」

「ウイルス・・」

No.25 11/04/07 01:10
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

一日入院することになり
病室のベッドの上で私に甘えて来る巧

私は今まで時折我が儘をいう事もあるけれど我が子が笑顔で目の前にいる事が当たり前だと思っていた

そんな当たり前の事が さっきまではもう叶わないのかもしれないと思った瞬間気が狂いそうになった

本当によかった

もうあんな思いはしたくない
「ままぁ今日病院にお泊りだよねっ!?」

無邪気に喜ぶ巧を抱きしめる

「よかった・・・」

でも油断はできない
明日にならないとアレルギーの原因はわからない

また発作が起こったら・・
いや不安になったらダメだ
私が強くならなくては!

とりあえず明日・・

明日になれば・・・!

No.24 11/04/07 00:20
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ままぁ?」

救急からでてきたストレッチャーから巧の声が聞こえた

「巧!」

私は巧に走り寄り頭を撫でる

巧は頭を撫でるわたしの手を両手でぎゅっと握り返す
あぁ 本当によかった!

「アレルギーの検査結果が出るのに一日かかりますので今日はこのまま入院して頂いて明日検査結果がでてからまたお話しましょう」

「本当にありがとうございました!」

No.23 11/04/07 00:07
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「アレルギー体質は遺伝する確率が否定できず」

医者が続ける

「お母様と同じアレルギーとは考えにくいのですが何にしても特例もありえますので」

義理母と同じアレルギー?

「はっきりとは解剖を終えお子さんのアレルギー検査の結果をみてみないとなんとも言えませんが」

黙って話を聞いていた旦那が口を開いた

「解剖をお願いします
さっきは気が動転していて・・すいませんでした」

「あなた・・・」

「巧に関わりがあるかもしれない事なら・・母さんも許してくれるだろ・・」

「・・・」

死んでいるとはいえ自分の母親をあれこれ切り刻まれる
一度は解剖を勧めたがやはり現実となると躊躇してしまう
だけど巧に関わる事なら・・・
力無く笑う旦那に私は何もいえなかった

No.22 11/04/06 23:49
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 21 ありがとうございます

更新楽しみにして頂いてうれしいです

無理なく更新していきたいと思います

No.21 11/04/06 23:45
るい ( 30代 ♀ L986h )

>> 20 はじめまして。泣きそうになっちゃいました💧更新を楽しみにしています。無理しないで続けてください

No.20 11/04/06 02:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「ご主人のお母様も同じ症状で運ばれてきまして」

医者は続ける

「お子さんの今回の発作の原因をより深くしるためにもお母様の解剖の許可をいただきたいのですが」

No.19 11/04/06 02:06
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「先生!」

ドアの隙間から巧が見えた
あぁ今すぐ巧の側に行きたい!

「お母さん大丈夫です」
医者の言葉に我に帰る

「発作みたいですね お子さんアレルギーかなにかお持ちですか?」

発作? なんの?

「なんらかのアレルギーに強く反応したようです 一時は危なかったですがいまは落ち着いています」
医者の言葉に私は安堵感でよろめいてしまった

「なんのアレルギーかわかりませんが検査したほうがいいですね」
「ありがとうございます!」人生でこれ程ありがとうを心を込めていった事はない

No.18 11/04/06 01:54
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

どれぐらいまてばよいのか
巧は無事に帰ってくるのか
あの無邪気な笑顔を思い出しながら私はひたすら待つ
救急のドアが開くのをただじっと待ち続ける





どれぐらい時間がたったのか
救急のドアが開いた!

私は直ぐさまドアに駆け寄った

No.17 11/04/06 01:49
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「仁美」
ふいに後ろから声をかけられ振り返ると旦那が呆然と立っていた

「大丈夫・・だよな?」

旦那の言葉に涙が出てきてうまく喋れない

「母さんが死んで巧まで・・・」

「そんな訳ない!」
自分でも驚く程の声が出た
「仁美・・」

思わず旦那の衿をつかむ

「だってだってだって・・・さっきまで元気だったじゃん!咳は少ししてたけど元気だったでしょ!人間咳ぐらいで死なないでしょ!?」
自分に言い聞かせているように泣き叫ぶしかない
「・・・」

「死なないって言ってよ・・・大丈夫って・・お願いだから!」

旦那が無言で私を抱きしめる
「俺も辛いんだよ・・」

旦那の言葉でまた涙がこぼれる

二人でひたすら救急のドアが開くのを待つしかない

時間の流れが今までの人生で1番遅く感じらるだろう

No.16 11/04/06 01:30
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「お母さん!お子さんをこちらへ!」
「巧!巧!」
「君!救急に!急いで!」

医者に抱き抱えられカウンセリングルームを出ていく巧

私は医者の後を必死に追う
「お母さん!?お子さんはなにか病歴が!?」
「いいえ!いいえ!」
半ば泣きそうになりながら答える

「お母さんはこちらでお待ちください」
看護師に救急受付のドアの前で制止されその場に立ち尽くす
巧は医者と共にドアの中へ消えて行った

「巧・・」

昨日から咳がでてたぐらいなのに!
なんで?!
ただの風邪じゃないの?
あの様子は尋常ではない・・・
あぁ! 神様!
神様なんか今まで信じていないけど!
もしいるのなら!
助けて!
無事に巧を私に戻してください!

No.15 11/04/06 01:15
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

私の膝にのっている小さな手がふるえているのに気がついた

「巧?」

私は巧の顔を覗き込む

この場の空気が怖くて震えているのか?

巧の顔は顔面蒼白になっている!

「巧!」

私の呼びかけと同時だろうか
巧の体が大きく揺れだす

「巧!巧?!」

目の前にいた医者が異変に気づいた

No.14 11/04/06 01:08
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「戻らないんだ!」

旦那の怒鳴り声で巧の顔に不安の色が浮かぶ

「ままぁ?」

巧に大丈夫だよと小声で告げ旦那に諭すように問い掛ける

「とりあえず落ち着こう?」

旦那は母子家庭で育った
いきなりの母親の死で気が動転しているのだろう

「いましかないんだよ?
お母さんの死因をはっきりさせる事 解剖断ったらもう一生わからないんだよ」

「・・・」

「あなたがいいなら口は出さないけど 後で後悔しないの?」

医者がわざわざ解剖したいと言い出すのにはナニカあるんだろう

旦那はまだ黙っている

その時だった

No.13 11/04/06 00:56
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

解剖?

何故?

医者の言葉に旦那が食いつく

「解剖ってなんですか?」

医者は頭をかきながら旦那に告げる

「お母様の死因がはっきりしないのです」

「はっきりしないって・・・」

「正直解剖してみないことには」

「不審死ということ・・ですか?」

「死因を明らかにするためにもお母様の解剖を・・」

医者の言葉を遮るように旦那が立ち上がった

「解剖はしません」
半ば吐き捨てるように旦那が呟いた

「解剖したところで母さんは戻ってこない」

No.12 11/04/06 00:45
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

>> 11 ありがとうございます

読んで下さる方がいてうれしいです

拙い文章ですが勘弁してください

ぼちぼち更新していきます

No.11 11/04/05 23:58
えω ( yeDsnb )

主さん、はじめまして。
読ませて頂いています。 わたしも男の子の母親です。更新、よろしくお願いいたします。

No.10 11/04/05 03:55
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「医者として最善を尽くしましたが私達の力が及ばず・・・」
医者から説明があると言われカウンセリングルームで医者の話を聞く
どっかで聞いたようなセリフを聞き流していると医者が一枚の紙を取り出した
「お母様の解剖をしたいのです」

No.9 11/04/05 03:45
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「処置がありますのでこちらでお待ちください」
と看護師に言われカウンセリングルームに入りそこのソファーに深く腰をかけた
お義母さん死んじゃった

なんで急に?

巧は私の膝に頭をのせしきりに指しゃぶりをしている
巧も不安なんだろう
そりゃそうだ
私もなにがなんだか・・

「仁美!」
カウンセリングルームのドアが開き旦那が慌てて入ってきた
「母さんは!?」
旦那の言葉に私は首を振った
「嘘だろ?」
旦那はその場に座り込んでしまった
無理もない

No.8 11/04/05 03:30
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

病院につくと
巧が私の姿を見つけはしりよってくる
「ままぁ!」
泣きじゃくりながら私にしがみついて離れない
無理もない いきなり大好きなおばあちゃんが倒れた事はショックだろうから

「鈴木仁美さん?」
わたしが頷くと看護師がICUまで誘導してくれた

ICUのドアを開けたと同時ぐらいだろうか
義理母の心臓が停止したことを知らせる音が鳴り響いたのは

医者達が懸命に忙しく蘇生させようと頑張るも心臓が停止したことを知らせる音はなりやまなかった
義理母は息を引き取ったのだ

No.7 11/04/05 03:13
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

「もしもし」
「鈴木仁美さんですか?」
知らない声だ
「そうですけど・・」
「鈴木道子さんご存知ですね?」
「!義理母ですが」
「こちら××病院ですが先程道子さんが救急で運ばれてきました 意識がない状態で大変危険です
仁美さんはいまどちらにおられますか?」
危険? 救急で運ばれた?
「事故ですか?!」
「いえ自宅で急に倒れられたようで」
「あっあの!巧は?五歳の男の子が一緒なんですけど!」
「お孫さんですか?いまこちらにいらっしゃいます すぐこちらに来ていただきたいのですが」
「わかりました!すぐいきます」
私はすぐさまタクシーをつかまえ××病院に急いだ
タクシーの中で旦那に連絡しようにも旦那の携帯は圏外 旦那の会社に連絡し状況を伝えた
どうしてこんな事に・・・

No.6 11/04/05 02:57
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

調べるって何を?

女の噂と思い込みって凄いなぁ と感心しながら
私は受付を後にした

でも防護服ってほんとかな?
そう言われると怖いような
そんな事を考えている時だった
私の携帯がけたましくなりだした

しまった!
マナーモードにするのを忘れた!
参列者の冷たい視線を浴びながら部屋の出口を探す

謝りながら出口にたどり着き携帯を開く

知らない番号だ

知らない番号に不審に思いながら通話ボタンを押した

No.5 11/04/05 02:50
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

葬式当日

雨が降りしきる中
葬儀は滞りなく進んでいる
沢山とはいえない参列者からは時々啜り泣きのような声が漏れていた

受付で香典を渡すと受付の女が声をかけてきた

「患者さん?」
「はぁ」
私の返事に女は小声で耳打ちした
「ここだけの話なんだけど」
「はぁ」
「貴方大丈夫?」

大丈夫ってなにが?

「林田先生ねなんか普通の死に方じゃなくてね」
女が小声をさらに小さくする
「ナニカに感染して亡くなったみたいなの」
「?」
「私見てたんだけどね」
女は回りを気にしながら続けた
「先生と看護師の遺体が病院から運びだされた後に病院立ち入り禁止になったのに防護服みたいなの着た人達が何人も出入りしてたのよ!」
「防護服?」
「そうよっ!私近所だから見ちゃって!防護服の人達になにかあったんですかっ!聞いても何もないっていうし でも何もないなら防護服なんて変でしょう? だからナニカ病原菌がいてそれに不注意で感染してなくなったんじゃないかって噂なのよ 病院だもの 」
「いやぁ話が飛躍しすぎじゃ」
「でも防護服ってへんよ 先生が亡くなってから毎日出入りしてるわ 私近所だからうちにまでなんか変な菌がこないか心配で 」
「大丈夫じゃ」
「なにかあってからじゃ遅いのよ 貴方も患者であそこいっていたのなら感染していないか調べた方がいいわよ!」
「はぁ」

No.4 11/04/05 02:26
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

お葬式とかあるならいったほうがいいのかしら
などと考えていると
玄関から声が聞こえた
「パパだ!」
巧が玄関に跳んで行った
旦那が帰宅したらしい

お帰りなさいと旦那に告げ中途半端な夕飯の支度にとりかかった



「そんな事があったんだ」
夕飯時林田先生が亡くなった話をすると旦那はあまり興味なさそうな返事をしたいつもそうだ
私の話には対して興味を示さない
わかっていたことだけどね
「葬式ぐらいいってこれば?巧は母さん預かってくれるだろ 巧咳もうしてないみたいだから大丈夫だろ」

やっぱり葬式ぐらいいったほうがいいよね
お世話になったし原因も知りたいし なにか聞けるかもしれないし やじ馬根性かもしれないけど何故急に?って気になるし

香典いくら包めばいいかしら なんて軽く考えながらその日は終わった

No.3 11/04/05 02:04
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

林田先生は今日巧をみてもらった先生だ
先生がいきなり何故?

私の疑問にはテレビは答えてくれずもう違う話題になっている

呆然としながらふと巧に目を向けた

無邪気に遊んでいる
時折咳がでるが元気なようだ

No.2 11/04/05 01:54
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

その時ニュースから見たことがある映像が飛び込んできた

今日行った病院が移っている

なにがあったんだろう

一時夕飯作りの手を止めテレビに集中する

レポーターがけたましく話し始める

『○○市立病院から中継です
先程病院内でこの病院に勤務している医師の林田昌三さんと看護師の長井智美さんが倒れているのが見つかりました
二人共に発見時には意識不明でしたがまもなく死亡しました
死亡原因はわかっておらず警察は事件として調べる模様です
詳しい事がわかり次第お伝えいたします』

林田先生が死んだの?
私は気が動転した

No.1 11/04/05 01:42
母親 ( 30代 ♀ eoesnb )

事の始まりはいつもと変わらないはずだった日常の一部から始まった

私の一人息子(五歳)巧が朝から咳をしている

ただの風邪だと思いながら病院に連れて行くと診断はやはり風邪

やっぱりね

ただ巧は小さい頃から体が弱い

主治医は念の為に血液検査をするといった

30分後白血球の数が少し多いが問題ないだろうということで帰された

私は安堵し巧と共に帰宅

夕方まで巧と家で過ごし夕方のニュースに目をやりながら夕飯の支度をする

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