おはなしパロディ
ミクルに「小説」なんてカテゴリーがあるじゃ~ありませんか!
何か書いてみよう!と思ったけど、思い浮かばないので
誰もが知ってる童話や昔話のパロディやその後を書いてみようと思う。
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第1話
赤ずきんちゃんの母
赤ずきんちゃんが、狼のお腹から発見された事件で
赤ずきんちゃんの母親はあることに気づいた。
「うちの子、目が悪かったんだわ・・・。」
いくら何でもおばあさんと狼を見間違うわけがない。
耳や口の形どころか、すべてにおいて違うのだから。
不思議なのは、今まではちゃんとモノの判別ができていたことである。
なぜ、狼をおばあさんだと思い込んだのか・・・。
もしや、狼に魔法をかけられたのでは?
いや、しかし狼にそんな力があるのか?
やっぱり、うちの子の目が悪いだけなのかしら。
それとも、何かの病気だったのかしら?
でも元気そうに見えるし・・・。
赤ずきんちゃんの母親は、何かを考えだすと答えが見つかるまで何もせずに悩む性格であった。
その間、赤ずきんちゃんが「ママ~、お腹すいたよ~」と言っても聞こえないのだ。
おばあさんに届け物をした前の日も、母親は考え事をしていて食事の用意をしなかった。
その日のテーマは「なぜ太陽は明るいのに、月は辺りを照らせないのか」であった。
赤ずきんちゃんはお腹がすいて、森に生えていたきのこを食べていた。
そのキノコこそが、目の前のものの判別ができなくなった原因であったのだ。
食べ過ぎると幻覚も見えてしまう恐ろしい症状がでるキノコである。
赤ずきんちゃんの母親は、そんな真相を知る由もなく
何時間も考え込んでいるのだった。
第2話
桃太郎
1章 桃太郎の謎
昔話の『桃太郎』は謎の多い話である。
なぜ赤ちゃんが桃の中に入っていたのか
そもそも、そんな大きな桃がどうやって出来たのか
年寄りのおばあさんが、なぜそんな大きな、しかも赤ちゃん入りの桃を持ち帰れたのか
包丁を入れようとしたら勝手に割れたのは、一体どんなシステムなのか
なぜ鬼が島へ行くときのお供が猿・キジ・犬なのか
どう考えても多勢に無勢で、しかも3匹の動物はきび団子1つしか食べてないのに鬼に勝利できたのか
みなさんは不思議に思ったことはないだろうか。
この話は、昔話として語り継がれてはいるが、実は未来の話なのだ。
そうでないと説明できないことが多すぎる。
ということで、疑問をひとつひとつ解明していこう(`・ω・´)b
>> 2
桃太郎
2章 巨大桃の謎
ある研究所で、品種改良を重ねた巨大な桃が栽培されていた。
木に実る果物として大きくすることに限界を感じた研究者は
スイカやかぼちゃのように、地面で育てて大きくできないかと考えた。
しかし、それはもはや桃ではなく、味もスイカに近くなってしまった。
とは言え、外見は巨大な桃であった。
失敗作の巨大な桃を、なんとか有効利用できないかと
成分を調べていた研究者は、その巨大桃に備わった驚くべき栄養素を発見した。
普通の桃の中心には大きな種が1つあるが、
その巨大桃の中は空洞ができ、果汁で満たされていた。
なんと、その果汁の成分には、豊富な栄養素が含まれていたのだった。
その中で赤ちゃんを育てることは出来ないかと考えた研究者は
試験的に猿の赤ちゃんを桃の中に入れてみることにした。
実験は大成功であった。
しかも、その桃の中で育った猿は、他の猿に比べてとても丈夫で強い生命力を持っていた。
研究者は続いて、子犬で実験してみると、これも見事成功を収め、
続いて鳥の実験にも取りかかった。
どんな鳥か?
キジでしょう!(`・ω・´)b
>> 3
桃太郎
3章 赤ちゃん入り桃の謎
巨大桃が栽培されていた畑は広大であった。
東京ドームほどもある研究所の畑で4分の1を占めていた。
当初は食べ物の栽培を目的としていた畑であったが
保育器代わりに使える桃容器としてのスペースに変貌していった。
最初に育成された猿の中に、人のような形相の固体がいた。
研究者は、まさか人間が混ざっているわけはないと
人間に似た猿として処理したのだが、実はこれこそが後の桃太郎である。
話は猿の実験が行われる日にさかのぼる。
ある女性が子どもをトイレで産み落とし、山へ捨てていた。
母性本能の強い雌ザルがやってきて、その赤ちゃんを自分の子として育てようとしたが
子どもはどんどん衰弱していき、今にも命が尽きようとしていた。
諦めて手放したところに、ちょうど巨大桃研究所の捕獲班がやってきっという訳だ。
>> 4
桃太郎
4章 川に流された巨大桃の謎
赤ちゃんを助けようとした母性本能の強い雌猿は、
実は諦めたのではなく、母乳の出る猿を連れてこようとしていただけだった。
赤ちゃんの元に戻ってくると、その姿はなく、遠ざかる足音を聞いた。
研究所の捕獲員が赤ちゃんを連れて行ったのだ。
雌猿は、その足音を追って研究所の畑まで来ていた。
捕獲員に見つからないように注意しながら、赤ちゃんの行方を必死に追った。
赤ちゃんは、研究チームの手に渡り、鼻に管を通され、胸には何やら機械を付けられ、桃の中に入れられていた。
すぐに奪い返したい気持ちを必死に抑え、雌猿は涙を流しながら、その情景を見守っていた。
研究員が立ち去るやいなや、雌猿はその桃に駆け寄った。
すると「ビーーービーーービーーー」と、けたたましい音が辺りに鳴り響いた。
防犯ベルである。
警備員と、さきほどの研究員が駆けつけ、桃にしがみついている雌猿を見た。
雌猿は、死んでも桃から離れない!といわんばかりに張り付いていた。
研究員は、きっと親猿なのだろうと思い、水栽培で桃の栄養を保てるように処理し
山の近くの水場に雌猿つきの桃をそっとおろしてやった。
鼻の管をはずし、空気を取り入れられるように、桃の丈夫には空気穴が開けられていた。
雌猿は、その桃に気持ちよさそうに浮かんでいる赤ちゃんを見て
この桃は、赤ちゃんにとって安全で快適な場所であることを理解した。
桃の中の赤ちゃんは順調に育っていき、赤ちゃんはよく動くようになった。
ある日、桃は赤ちゃんの動きで川のほうへと移動していき、川下へと流されてしまったのだった。
>> 5
桃太郎
5章 怪力おばあちゃんの謎
大きな桃は、どんぶらこ~、どんぶらこ~と流されていき、
洗濯中のおばあさんに発見される。
いや、あれは洗濯していたのではない。
数日後に控えたトライアスロンのため、コースの下見をしにきていたのだ。
大きな桃が流されるような川である。
そこそこの深さと流れがなければ川下まで流れつかなかっただろう。
よって、その川は洗濯向きの川ではないのだ。
というか、誰も川で洗濯せずとも洗濯機が1家に1台ある。
トライアスロンが趣味のおばあちゃんは、筋肉もりもり!
毎日、プロテインを飲み、筋トレで鍛え、ライザップにも通っているスーパーおばあちゃんなのだ。
という訳で、赤ちゃん入りの桃を担いで帰るくらい、朝飯前なのである。
>> 6
桃太郎
6章 巨大桃が勝手に割れた謎
家に桃を持ち帰ったおばあさん。
実は、その桃が品種改良の末、失敗だったことも、
後に保育器の代わりに使われていることもニュースや新聞で知っていたのだった。
本来なら警察に届けるか、研究所に連絡するべきだとは分かっているが
このおばあちゃん、好奇心も旺盛で、おじいさんの反対も押し切って桃を割ってしまった。
一般的には包丁で切ろうとしたと伝えられているが、それはデマである。
中に動物が入っているかもしれないことは分かっていたので
慎重に空気穴から手を突っ込んだら割れたというだけである。
何か入ってるとすれば猿か、犬か、キジか?と思っていたのに
人間の子どもが出てきたもんだかから、おじいさんもおばあさんもビックリ仰天!
なぜ人間の子どもが?
これは誘拐になったりするのか?
出生届けは出てるのか?
まさか!桃の中で人間の子どもを育てたなんて情報はないべ?
じゃあ孫を養子にしたってことでいいんじゃね?
そうすべ、そうすべ。
こんな風に、この老夫婦の養子として迎えられたのであった。
>> 7
桃太郎
7章 お供が猿・犬・キジである謎
これは、もう・・・なんとなく想像できると思うが書いておこう。
桃から生まれた・・・のではなく、
本当のところは「桃の中で育った」から桃太郎と名づけられた。
おばあさんは、トライアスロンの競技が終わっても、度々あの川へ行くようになった。
また桃が流れてくるのではないかという淡い期待があったからだ。
次に流れてきた桃から出てきた子には「桃二郎」と名づけようと決めていたが
残念ながら、もう二度と桃が流れてくることはなかった。
さて、桃太郎は順調に育っていき、
ある日、鬼が島へ鬼退治へ行くと言い出した。
度々町に来ては悪さを繰り返す強盗集団を退治した者には懸賞金が出るということで
その懸賞金が目当てである。
ならば、なぜお供が動物なのか。
もっと腕っぷしの強い人間の仲間や武器を持って臨んだほうが絶対に勝率は高いはずだ。
実は、お供の猿、犬、キジは、例の巨大桃育ちである。
しかも、桃太郎が持っていた「きびだんご」というのは、ただの団子ではない。
桃太郎が育った桃にプロテイン・筋力増強剤などを入れて作った超栄養補強団子なのだ。
桃太郎は日常的にそれを食べており、たいそう腕っ節の強い子であった。
鬼が島へ行き、いざ鬼退治!!!
と意気込んで行ってみると、そこには普通のヤンキー兄ちゃんが数人いるだけだった。
最初は意気込んでいた兄さんたちだが、
桃太郎が軽く腕をつかんだだけでしびれるような痛みを感じ
それならば動物をやっつけてやる!と飛び掛るも惨敗。
命の危機を感じた兄さんたちは「盗んだものは返すので、命だけは助けてくれ!」と
盗品を差し出した。
第3話
浦島太郎
第1章 いじめられていた亀の真実
助けた亀に連れられて竜宮城へ行ったという浦島太郎。
なぜ竜宮城は恩を仇で返すようなことをしたのか。
真相は違っていたのだ。
竜宮城が海の中にある?
それも嘘である。
そもそも人間が酸素ボンベなしで深海には潜れないのだ。
真相はこうである。
浜辺でいじめられていたウミガメは、人に飼われていた亀であった。
浜の近くにマリンワールドという水族館・温泉が一体となった大型の娯楽施設があったのだが
そこのオーナーが飼っていた亀だった。
普通のウミガメとは違い、好奇心旺盛で、すぐに水槽から脱走していた。
その日も、餌の時間に水槽へ行くと亀はおらず、オーナーは「また脱走か(笑)」と笑いながら浜のほうを見ると、子どもたちが亀をいじめているではないか!
慌てて止めに入ろうとした所に浦島太郎の登場である。
子どもたちが、蜘蛛の子を散らすように立ち去ったところにオーナーが駆けつけ、
お礼がしたいからとマリンワールドへ案内し、食事やダンサーのショーなどでもてなしたのだ。
ところが、あれこれもてなしても、浦島太郎は帰る気配がない。
大切な亀を助けてくれた恩人であり、あまり無碍にもできないが、そう何日も居座られても困る。
オーナーが、そろそろお引き取り願いたいと遠慮気味にお願いするも
「おれは亀の命の恩人なんだぜ!俺がいなきゃ、亀は死んでたってのに、その俺を追い返すのか?」
と、大きな声でがなり立てるものだから、オーナーも面倒になって
「好きなだけどうぞ」
と言ってしまったのだった。
浦島太郎は、仕事もせずに人が釣った魚を横取りするような男であった。
浜辺で亀を助けたのではなく、真相は獲物を横取りしただけである。
そこへ飼い主が現れたものだから、助けてやったことにしたのだ。
- << 11 浦島太郎 第2章 玉手箱の真実 恐ろしく悪知恵の働く男であったため、マリンワールドになんだかんだと居座り続けて数年が経った。 当然、誰からも嫌われていた。 浦島太郎がマリンワールドを出たのは、亀の飼い主であるオーナーが亡くなってからだった。 オーナーの生前は我慢していたが、後を継いだ息子が、太郎を追い出したのだ。 浦島太郎はたち去り際「手土産もなしか?」と悪態をついた。 うんざりした息子が渡したのが玉手箱である。 開けたときに煙など出ない。 ずっと蔵にしまい込んでいたためにホコリが立っただけである。 中には真実の鏡が入っている。 どんなに綺麗な顔の人でも、心が醜くければ鏡には醜い姿が映る。 誰が何を言っても、自分の(内面の)醜さに気づかない浦島太郎に、オーナーの息子は本当の姿が見える鏡だと言って渡したのだ。 浜辺に座り、太郎がその箱をあけると、中には鏡が入っていた。 その鏡に写った顔は、とても醜いものだった。 太郎は「こんなもん渡しやがって!」と激怒していたという。 彼の辞書に「悔い改める」という文字はないのである。
>> 9
第3話
浦島太郎
第1章 いじめられていた亀の真実
助けた亀に連れられて竜宮城へ行ったという浦島太郎。
なぜ竜宮城は恩…
浦島太郎
第2章 玉手箱の真実
恐ろしく悪知恵の働く男であったため、マリンワールドになんだかんだと居座り続けて数年が経った。
当然、誰からも嫌われていた。
浦島太郎がマリンワールドを出たのは、亀の飼い主であるオーナーが亡くなってからだった。
オーナーの生前は我慢していたが、後を継いだ息子が、太郎を追い出したのだ。
浦島太郎はたち去り際「手土産もなしか?」と悪態をついた。
うんざりした息子が渡したのが玉手箱である。
開けたときに煙など出ない。
ずっと蔵にしまい込んでいたためにホコリが立っただけである。
中には真実の鏡が入っている。
どんなに綺麗な顔の人でも、心が醜くければ鏡には醜い姿が映る。
誰が何を言っても、自分の(内面の)醜さに気づかない浦島太郎に、オーナーの息子は本当の姿が見える鏡だと言って渡したのだ。
浜辺に座り、太郎がその箱をあけると、中には鏡が入っていた。
その鏡に写った顔は、とても醜いものだった。
太郎は「こんなもん渡しやがって!」と激怒していたという。
彼の辞書に「悔い改める」という文字はないのである。
第4話
森のくまさん
ある日、森の中でくまさんに出会った女の子。
くまさんに「逃げろ」と言われたり「待て」と言われたり
イヤリングを拾ってもらって一緒に踊ったり・・・。
あり得ない話である。
このお話にも語られていない真相がある。
とても恐ろしい真相が・・・。
女の子は、いつも森で遊んでいた。
その日も森で遊んでいたのだが、何やら変な物音がする。
音がするほうへ行ってみると、そこには茶色い毛皮を着た大きな男の影があった。
女の子は、咄嗟に木の陰にかくれた。
なぜか見てはいけないものを見たような、言いようのない恐怖に襲われ、
ゆっくり後ずさりをした。
そのとき、木の枝を踏んでしまい、ボキっと大きな音をたててしまった。
男が振り返った。
女の子は、一目散に逃げた。
後ろから男が追ってくる。
必死に逃げる女の子、近づく男の足音・・・絶体絶命である。
女の子の足がからまる。うまく走れない。
男はすぐ後ろに迫っている。
もうダメだ。
とうとう男につかまってしまった。
「なぜ逃げるの?」
にやけたような、余裕の表情を浮かべて男が言う。
「は、はやく帰らないと・・・ママに叱られて・・・だから私・・・」
女の子は泣きそうになりながら、そう答えるのがやっとだった。
つづく
>> 12
男は、ポケットから白い貝殻のイヤリングを出して
「落し物だよ」と言った。
女の子のものではない。
「わ、わたしのじゃないです」
男は無理やり、女の子の手にイヤリングを握らせ
「君のだよ。そうだろ。」と睨みつけた。
とても違うとは言えない雰囲気に押され
ただただ振るえながら首を縦にふるのが精一杯の女の子は
とにかく早くここから立ち去りたいという思いでいっぱいだった。
うなずいた女の子を見て、「うん」と満足そうにうなずいた男は
「家まで送るよ」と、女の子の手を引いて森の出口まで歩き出した。
「一人で帰れます」と女の子は言った。
けれど、恐怖で声に出せず、口をパクパクしただけで
なすすべもなく男に手を引かれて引きずられるように歩いていた。
つづく
>> 13
森の入口には、1台の車が止まっていた。
男の車である。
男は女の子を抱えて車に助手席に乗せた。
怖くて抵抗できない女の子はずっと震えがとまらない。
男は「どうしたの?震えてるけど。」と言うと、ニヤリと笑ってドアを閉めた。
運転席に男が乗ると、ハンドルを握って前を見た状態で
「そうだ、さっきのイヤリング、つけてみてよ。きっと可愛いよ。」
と言うと、女の子を見た。
「おじさんが、つけてあげようか?」
女の子は震える手で、イヤリングをつけてみた。
男はまたニヤリと笑って、「やっぱり可愛いよ。よく似合ってる。」
そういいながら、ゆっくりと両手を女の子の首に近づけていった。
つづく
>> 14
一方、家で裁縫をしていた女の子の母親は、
娘の恐怖心を感じ取っていた。
この母親は、第六感が働くのだ。
ただ、何が起こっているのかはわからない。
分かっているのは、娘が森へ行ったということと、
娘が恐怖に怯えているということだ。
母親は家を飛び出していた。
「ママが必ず助ける!だから心配しないでね!」
そう心の中で叫びながら走った。
まもなく森の入口に止めてある車が目に入った。
近づいてみると、ちょうど男が娘の首に手をのばしているところだった。
母親は運転席のドアを開け、男の上着を全力で引っ張った。
ふいをつかれた男は、後ろ向けに車外へ倒れこんだ。
車のドアはロックしてあったのに、なぜ?と
あっけにとられている様子だった。
母親は「私の娘に何すんのよ!!!」と怒鳴ると、
運転席のドアを閉め、男の耳元でこう言った。
「私には何もかも分かってるのよ。あなたが森で何をしていたかも。」
つづく
>> 15
そう母親が言った言葉はハッタリである。
第六感は働くが、見ず知らずの男が離れた場所で何をしていたか分かるほどの能力はない。
男は「じゃあ、次の獲物はオバサンでいいや」と、
母親の首に手を回し、ぎりぎりと首をしめはじめた。
女の子は、助手席のドアから出ていた。
母親が首をしめられているのを見た女の子は
咄嗟に近くにあった石で男の頭を殴りつけた。
男は一瞬ひるんだが、小さな女の子に殴られたくらいびくともしない。
「おばさん殺したら、すぐにお前も殺してやるから待ってろ!」
そう言いながら女の子に平手打ちをくらわせた。
女の子は仰向けに倒れて気絶してしまった。
今度は、その隙をついて母親が反撃。
馬乗りになっている男のコメカミめがけて
思いっきり石をぶつけた。
これには、さすがの男も目の前に星が飛んだが
余計に母親に対しての殺意が増してしまったようだ。
「こ、この野郎・・・・」
しかし次の瞬間、母親は男の顔面に、思いっきり石をぶつけ
男は視界を失い
「うぁぁぁ~~目がぁぁぁぁ~~~」
と、どこぞのアニメの悪役のように目を押さえた。
母親は、男を押しのけて、娘をかかえて一目散に逃げ帰った。
つづく
第6話
3匹の仔ぶた
ある日、3匹の仔ぶたがおうちを建てることにしました。
一番上の兄さん豚は藁の家、
二番目の豚は木の家、
末っ子豚はレンガの家です。
一番上の兄さん豚が藁の家を作ろうと思った理由としては
藁は通気性に富んでいるから。
そう、このぶたくんは暑がりなのだ。
家を作るからには、設計が大事!ということで
まずは藁職人に弟子入りすることにした。
3年の修行を終えて、すっかり仔豚でなくなった豚くんは
立派な合掌づくりの藁の家を作ったのだった。
木の家を作ろうと考えた豚くんも、宮大工で修行を積んで
立派な木造3階建ての家を建てていた。
一方、レンガの家を作ろうと思った豚くん。
レンガは丈夫なんだから!
兄さんたち、バカだな~。
藁の家とか木の家とか、狼が来たらすぐ壊れちゃうってのに。
そう言いながらレンガを積み上げていた。
しかし、家を作る技術がない末っ子豚くん、
周りの壁は作れても、屋根をどうすればいいのか分からない。
でも、壁さえ丈夫ならいいや。狼だって、わざわざ登ってこないだろ。
と、家の中で落ち着いたところに、狼が入ってきた。
豚の背ほどの壁など、簡単に飛び込めてしまうのだ。
第7話
鶴の恩返し
罠にかかっている鶴の鶴子をおじいさんが助けました。
鶴子は命の恩人のおじいさんになんとかお礼がしたいと思い
鶴の長老に相談することにしました。
長老は「人間に恩返しするには、まず人間の姿になって、人の言葉を話す必要がある」と言いました。
鶴の姿で、鶴の言葉を話しても、おじいさんには伝わりません。
家に入れてもらうことすらできないでしょう。
鶴子は、自分の羽根の美しさに自信がありました。
その羽で反物を織れば、きっと高く売れると思っていたので
どうしても機織り機のある部屋まで通してもらわねばなりません。
どうすれば人間の姿と人間の言葉を習得できるのか長老に聞いてみました。
方法はいくつかありますが、どれも一長一短ありました。
>> 22
ひとつは、たぬき派の木の葉流変身術専門学校へ通う方法。
ただ、その専門学校では人の形に変身する術は習得できても
人の言葉を話すまではできないので、言葉の習得は別の方法が必要です。
もうひとつは、山奥の魔女に頼む方法。
これは人に変身でき、人の言葉も話すことができますが
一生、その魔女に使えなくてはなりません。
あの時に死んだと思えば、それでもいいかと思ったのですが
なかなかの悪名高い魔女です。
正直、めちゃくちゃ怖いです。
もうひとつは、きつね派の妖術入門があります。
これは通信教育で、若干うさんくさいです。
きつねの妖術で変身した気持ちにさせられているだけで
まったく姿が変わっていないという噂もありました。
こちらも言葉を話すまではできませんが
相手に錯覚を与えられるので、実際に話さなくても
伝えたい内容をイメージさせることはできるかもしれませんが
やってみないと分かりません。
別の生き物の言葉を話す場合、
九官鳥のQ先生や、オウムのO先生や、
インコのピーコ先生に習うという手もあります。
一番クオリティーが高いのはQ先生でしょう。
- << 25 迷った末、鶴子はたぬき派、木の葉流変身術専門学校へ通いつつ 九官鳥のQ先生に人の言葉を習おうと決めました。 しかし、よくよく調べてみると、 その両方を習うとなると、かなり費用がかかることが分かりました。 とても鶴子に用意できる金額ではありません。 とくにQ先生はフリーで教えている人気講師であるため 受講料が払えず言葉を習得する前に辞めてしまう生徒も多いようでした。 となると、やっぱり魔女に頼むしかないか・・・でもなぁ・・・ 悩んでいる鶴子のそばを通りかかったボーイフレンドの鶴太郎が声をかけました。 「つ~るちゃんっ!どぉ~したのぉ~?便秘ですかぁ?(笑)」 鶴太郎くん、昭和のCM風におどけてみせました。 (彼がなぜそんな古いCMを知っているのかは謎である) 悩んでいる鶴子は、それにツッコミを入れることもせず 真顔で「違うよ」と答えました。 鶴太郎は、いつものように「何言ってんのよ、も~!」とクチバシで突っつかれる覚悟で 身構えていたのですが肩すかしをくらいました。 鶴子の深刻な態度を見て、鶴太郎もふざけるのをやめ 「どうしたの?」と鶴子の隣に寄り添いました。
>> 23
ひとつは、たぬき派の木の葉流変身術専門学校へ通う方法。
ただ、その専門学校では人の形に変身する術は習得できても
人の言葉を話すまでは…
迷った末、鶴子はたぬき派、木の葉流変身術専門学校へ通いつつ
九官鳥のQ先生に人の言葉を習おうと決めました。
しかし、よくよく調べてみると、
その両方を習うとなると、かなり費用がかかることが分かりました。
とても鶴子に用意できる金額ではありません。
とくにQ先生はフリーで教えている人気講師であるため
受講料が払えず言葉を習得する前に辞めてしまう生徒も多いようでした。
となると、やっぱり魔女に頼むしかないか・・・でもなぁ・・・
悩んでいる鶴子のそばを通りかかったボーイフレンドの鶴太郎が声をかけました。
「つ~るちゃんっ!どぉ~したのぉ~?便秘ですかぁ?(笑)」
鶴太郎くん、昭和のCM風におどけてみせました。
(彼がなぜそんな古いCMを知っているのかは謎である)
悩んでいる鶴子は、それにツッコミを入れることもせず
真顔で「違うよ」と答えました。
鶴太郎は、いつものように「何言ってんのよ、も~!」とクチバシで突っつかれる覚悟で
身構えていたのですが肩すかしをくらいました。
鶴子の深刻な態度を見て、鶴太郎もふざけるのをやめ
「どうしたの?」と鶴子の隣に寄り添いました。
>> 25
鶴子は、ぽつりぽつりと事の次第を話しはじめました。
うん、うん、とうなずきながら聞いていた鶴太郎は、
しばらく考えこんだかと思うと、こんなことを言いました。
「その恩返しってさぁ、どうしても人間の姿と言葉が必要なの?
たとえば、機織り機を調達する方法を考えるとか
別のことで恩返しすることも視野に入れるってのはどうかなぁ?」
それを聞いた鶴子は、確かにそうだと思いました。
姿を変えずとも、何か他の方法を考えたほうが
授業料を稼ぐための労力もすべて恩返しにつぎ込めるではないか!と。
悩んでいた鶴子の顔は、急に明るくなりました。
それから2人は、どんな恩返しにするか
あーでもない、こーでもないと日が暮れるまで話し合いました。
ときどき鶴太郎くんは、ふざけて昭和ギャグを炸裂させ
鶴子にくちばしでつつかれました。
鶴子のくちばし攻撃は痛いけど、
いつもの鶴子に戻ったことが嬉しい鶴太郎なのでした。
>> 27
ところが、まったく効果はありませんでした。
そもそも、この地域では鶴の求愛ダンスはそれほど珍しいことではないのです。
鶴太郎は「もう少し続けてみようよ」と言いましたが
鶴子は、これではダメなんじゃないかと思っていました。
でも他に良い方法も思いつかないし、しばらく続けることにしました。
そんなある日、友達の鶴夫が近くを通りかかり、2羽を冷やかしました。
「ひゅーひゅー、お前らそうゆう関係なのか?」
鶴子が怒って、くちばし攻撃をしかけようとしたその時、鶴太郎が叫びました。
「あ!いいこと考えた!!
求愛ダンスじゃなくて、もっとたくさんでダンスすれば見に来てもらえるんじゃね?
なぁ、鶴夫も一緒に踊ってくれる奴、一緒に探してくれないか?
当然、お前はメンバーな!」
まったく想像もしなかった展開に、鶴子も鶴夫も一瞬ポカーンとしてしまいましたが
鶴子は「そうね、それなら珍しいし来てもらえるかも!」と言い
ノリのいい鶴夫も「なんだか知らねぇけど、おもしろそうだな!」と賛同しました。
>> 30
おじいさんが山を下っていると、後ろから1羽の鶴がついてきます。
いつもダンスをしに来てくれる鶴だということはすぐ分かりました。
最初はみんな同じに見えた鶴も、毎日見ていると特徴が分かってくるものです。
おじいさんは「いつも真ん中で一番張り切って踊っている鶴だな」と気づき
「いつも見事な舞を見せてくれて、ありがとなぁ」と言いました。
見送ってくれていると思っていた鶴が、いつまでも着いてくるので
おじいさんは「いつまで着いてくるんだろう?もうすぐ町にさしかかるが・・・」と心配になってきました。
とうとう町の入口までやってきました。
おじいさんは鶴子に言いました。
「見送ってくれて、ありがとなぁ。この先は危険じゃから、もう郷にお帰り。」
そう行って、戻るよううながしましたが、鶴子は言うことを聞きません。
「困ったなぁ・・・。仕方ない、今日は戻るかの。」
鶴子が戻らないので、おじいさんは自分も一緒に戻ろうとしました。
>> 31
おじいさんが引き返したので、鶴子は慌てました。
手伝うつもりが邪魔をしてしまったのだから。
慌てて翼をばたつかせたとき、鶴子の羽根がふわっと舞い、
おじいさんのわらじの上に落ちました。
それを見たおじいさんは
「こりゃ良いあんばいの羽根ぞうりができた」
と笑いました。
それを見て、鶴子はいいことを思いつきました。
おじいさんのワラジに鶴子の羽根を飾ってみてはどうかと。
でも、それが町の人に受け入れられるかどうかは分かりません。
試しに落ちた羽をくちばしでワラジに差し込んでみました。
おじいさんは、鶴子の気持ちを知ってか知らずか
「こりゃ高く売れるやもしれん」
と、にこにこしました。
鶴子は、あまりおじいさんの足を止めては申し訳ないと思い
その日は郷へ帰ることにしました。
>> 32
羽根飾りのワラジは好評で、いつもより高く売れました。
普通のワラジは何足か売れ残ってしまったけれど、
羽根ワラジが高く売れたので、おじいさんは喜んで帰ってきました。
鶴子は、あのワラジが売れたのか気になって
おじいさんが帰ってくるのを今か今かと待ちわびていました。
おじいさんの家の屋根に鶴子がいるのを見つけて
手をふりながら駆け寄ってきたおじいさん。
鶴子は屋根から降りて出迎えました。
「あのワラジは高く売れたよ、ありがとなぁ~。」
おじいさんが嬉しそうに報告してくれるのを見て
鶴子も嬉しくなり、喜びの舞を踊りました。
(注)
喜びの舞と言っても、某旅人のへっぴりダンスとは訳が違います
それからは、おじいさんがワラジを売りに行くたびに
鶴子は羽根で飾りをつけるようになりました。
>> 35
狼は、絵本でしっかり学習し、
声も手も、やぎのお母さんそっくりの仕上がりで挑みました。
もちろん、子やぎが7匹いるというのも調査済です。
俺様は昔の狼みたいにバカじゃないから最初から完璧だぜ!
と自信満々でやぎの家のドアをノックしました。
「子どもたち~、お母さんよ~」
子どもたちはそろって言いました。
「おかえり~」
ところがドアは開きません。
狼は内心、さっさと開けろ!とイラっとしながらも
「開けてちょ~だ~い」
と、優しい声を出しました。
すると家の中から意外な返事が返ってきました。
「お母さんじゃないな!」
- << 38 狼は一瞬うろたえましたが、気を取り直して言いました。 「ど、どうしたの?子どもたち。お母さんの声でしょ?手だって、ほら!」 と、小窓から白い手を差し入れました。 それを見ても、子やぎたちは納得しませんでした。 「だって、お母さんは家の鍵持ってるもん。」 いつのまに鍵なんかつけやがったんだ! 「今日は忘れちゃったのよ~。だから開けてちょうだい。」 「嘘だい!なら最初からそう言うはずだし、いつも鍵がかかってる所にないから、絶対お母さんは持って行ってる!!お前はお母さんじゃないっ!」 「えーっと、どこかに落としちゃったのかもしれないわ。」 「じゃあ、お母さんの一番大事にしている物を3つ言ってみて! 本物ならすぐ答えられるはずだよ!」 「え~っと、そりゃ子どもたちでしょ・・・あとは・・・」 「違う!ボクたちは物じゃないから! お前はお母さんじゃないっ! 早く帰らないと、犬のおまわりさんに通報するぞ!」 こんなやりとりの末、狼は一旦退散することにしました。
>> 36
狼は、絵本でしっかり学習し、
声も手も、やぎのお母さんそっくりの仕上がりで挑みました。
もちろん、子やぎが7匹いるというのも調査済で…
狼は一瞬うろたえましたが、気を取り直して言いました。
「ど、どうしたの?子どもたち。お母さんの声でしょ?手だって、ほら!」
と、小窓から白い手を差し入れました。
それを見ても、子やぎたちは納得しませんでした。
「だって、お母さんは家の鍵持ってるもん。」
いつのまに鍵なんかつけやがったんだ!
「今日は忘れちゃったのよ~。だから開けてちょうだい。」
「嘘だい!なら最初からそう言うはずだし、いつも鍵がかかってる所にないから、絶対お母さんは持って行ってる!!お前はお母さんじゃないっ!」
「えーっと、どこかに落としちゃったのかもしれないわ。」
「じゃあ、お母さんの一番大事にしている物を3つ言ってみて!
本物ならすぐ答えられるはずだよ!」
「え~っと、そりゃ子どもたちでしょ・・・あとは・・・」
「違う!ボクたちは物じゃないから!
お前はお母さんじゃないっ!
早く帰らないと、犬のおまわりさんに通報するぞ!」
こんなやりとりの末、狼は一旦退散することにしました。
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