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🍀語りあかそうの里🍀1️⃣0️⃣
友達ってなんだろう
店員が水分補給してたら怒りますか?

幼なじみ

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自由人
14/05/01 01:08(更新日時)

昔から俺の隣にいた、笑顔の可愛い女の子。

その笑顔が消えるなんて思ってもいなかった…

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No.2081418 14/04/07 21:59(スレ作成日時)

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No.1 14/04/07 22:34
自由人0 

『悠羽』
俺の言葉に振り返った彼女は、山口 悠羽(やまぐちゆう)…俺の幼なじみだ。

俺より1つ年下の27歳。昔はよく一緒に遊んでいたけど、お互いが違う高校へ進学してからは話す機会も減り、社会人になってからは、こうやってたまに会うことがある程度。


『…慎吾ちゃん!』
呼ばれた俺が、笹木 慎吾(ささきしんご)。俺の自己紹介は特になし(笑)


『いま帰りか?』

『うん』
家が近所なので、お互いの話をしながら帰る。


『そういやさ、陽介とはうまくいってんの?』
陽介は悠羽の彼氏で俺の友達。


『ん~…別れたんだ。仕事でアメリカに転勤になっちゃってさ。私も仕事辞められないし、色々あってね』

『そっか…ごめんな、知らなかったから』
色々…?と聞きたかったけど我慢して、他の他愛もない話をしながら家まで帰る。


『じゃあまたね』
隣同士なので、別れるときはお互い玄関前。悠羽が家に入ろうとしたその瞬間

『悠羽!今度メシでも食お』

『わかった。じゃあね』
笑顔で俺に手を振り、家に入った姿を見届けてから俺も家に入る。あの笑顔は昔から変わらない。

No.2 14/04/07 22:48
自由人0 

数週間後、悠羽と約束した食事をするための待ち合わせ場所と時間をメールし、俺も待ち合わせ場所へと向かう。


待ち合わせ時間になっても悠羽が来ない。おかしいな…。まだ時間あるし、そこの本屋からなら見えるから、本屋で待つか

30分経っても来ない。時間早すぎたか?いや、そんなことないよなぁ…


携帯を見ると、着信もない。仕方なく、待ち合わせの店に向かって歩いてる途中の草わらで、イチャイチャしてる男女が見えた。
女性が男性を押し倒して…おいおい、ここでするのかよ。
ちょっと待て、よく見るとイチャイチャではなく、女性がイヤがってるようにも見えなくはない…

No.3 14/04/07 22:55
自由人0 

『ちょっ…イヤ…離して!イヤ!』
間違いない!女性がイヤがってる…よくよく聞くと、よくよく見ると悠羽の声だ。あのバッグは悠羽の…


『警察だ!』
叫びながら走って近づくと男性の逃げ足は速く、もう見えなくなってしまった。悠羽は体を起こしたものの、俺の姿が誰かわかっていないようで、這いつくばって逃げようとしていた。

No.4 14/04/07 23:15
自由人0 

『悠羽、俺だって!』
悠羽も俺の声にようやく俺に気付き顔を上げた


『慎吾…ちゃん』

『大丈夫か?』
悠羽の目線に合わせてしゃがみ、肩や腕をさすると恐怖で冷たくなっているのがわかった


『なんでこんなことに…』
自分の上着を悠羽に掛け、震えが止まらない悠羽の手を握ってみる。すると少し落ち着きを取り戻した悠羽が話し始めた。話によると、悠羽が待ち合わせの場所に向かってる途中に、男性に道を聞かれて説明してる途中に口を塞がれてこの場所に連れ込まれた。
相手にバレないように俺に助けを求めに電話したけど繋がらなくて、という状況で俺が発見したらしい。
携帯を見ると、悠羽からの不在着信があった。俺がこの場所へ向かって歩いてるときだった。
サイレント着信になんかするんじゃなかった!
俺は心の中で自分に悔やんだ

No.5 14/04/07 23:49
自由人0 

『すごく怖くて…でも…慎吾ちゃん…来てくれたから…』

『ごめんな、本当ごめんな。怖かったよな。もう安心しな、俺居るから…な?』

震える悠羽の頭を優しくなでると、悠羽は目に涙をいっぱい溜めていた。その姿を見てしまったら、俺も自然に言葉が出てしまった。何年ぶりだろう、こんなに優しい言葉を使ったことねぇな(笑)


『帰ろう。送ってくから』

悠羽を立たせると、悠羽の足元がふらつき、バランスを崩した。

『悠羽っ!』
脇を抱え込みセーフ。俺、相変わらず反射神経ばつぐん(笑)。

『ごめん、ありがと』
悠羽が離れようとしたその瞬間、俺は抱き締めた

No.6 14/04/08 00:01
自由人0 

『慎吾…ちゃん?』

『好きだ。陽介と付き合う前からずっと好きだった。もうお前のことほっとけない』
言ってしまった…。心にずっと留めてきたこの言葉を。


しばらくして悠羽をそっと離そうとした。ところが悠羽の顔色がおかしい。異変に気付き顔を覗き込むと、俺の腕を握る力が入っていない。

『慎吾ちゃん…めまいが…する』
しばらくすると悠羽の足元がまたふらつく…持病の貧血だ。

俺は急いで悠羽を抱きかかえ、近くの病院に向かった

No.7 14/04/08 00:21
自由人0 

『父さん!悠羽が貧血起こして倒れた』
診察室に座っている医師は、俺の父親、健太朗(けんたろう)。

悠羽を抱き抱えたまま点滴室へ連れて行き、ベッドに寝せると、すぐ点滴の準備がされた。


『悠羽ちゃん、綺麗になったな。お前、まだ好きなのか?』
悠羽の状態を診察しながら父さんがポツリ。

『ん~…』
心配で空返事になる。!!バレてたのかよ(笑)

『体にちょっと傷があるけど、すぐ治るから心配するな。お前ちょっと診てあげなさい』

そう言って、父さんは次の患者の診察に入った。

No.8 14/04/08 13:46
自由人0 

しばらく悠羽の寝顔を見つめてながら、今日のことを思い出していた。


俺が見つけるまでの時間、悠羽はどんなに怖い思いをしていたことか…。俺がもう少し早く見つけてやれていたら、悠羽はあんな目に遭わなかったのに…。俺が今日約束してなかったら、悠羽はこんな目には遭わなかったかもしれないのに…

『ごめんな…』

片手で悠羽の頭を撫で、もう片方の手を悠羽が点滴していない方の手の上に重ね、呟いた。数分経ち、悠羽が目を覚ます。


『悠羽?』
俺の声に気付き、目を合わせる。

『慎吾ちゃん?私、…』

『倒れたんだ、貧血で。ここは俺んちの…ほら、まだ点滴入ってるから寝てな』
体を起こそうとする悠羽をまた寝せる。まだ手握ってたかったのに起きるな(笑)

『父さんが、心配いらないってさ』

『健太朗パパが?』

『まだもう少し点滴残ってるから、もう少し寝てな。俺ここに居るから』

悠羽の手を優しく握る。

『ちっちゃい頃も、点滴してるときこうやって付いててくれてたよね』

『ん~…そうだったな』
そうやって言われると、なんだか照れくせぇな(笑)。つーか、その頃から好きだって言ったんだけど、こんな事態だし、覚えてないだろうなぁ😠

No.9 14/04/08 20:44
自由人0 

ぐっすり眠った悠羽のもとへ父さんが様子を見にきた。ちょうど点滴が終わり、静かに針を抜く。悠羽が寝ているので、俺が点滴の腕の方へ回り、止血を手伝い、父さんが血圧を計り、心音を聴く。


『帰しても大丈夫だが、起こすのも可哀相だから、起きたら薬局へ寄りなさい。会計は私が済ませてあるから心配いらん』
父さんは笑顔で俺の頭を撫でながら出ていった。いい年になった息子の頭を撫でるな…でも悪い気はしない(笑)


しばらくして悠羽が目を覚ます。

『点滴終わったけど、歩けそうか?』

『うん…ごめんね、ご飯どころじゃなくなっちゃったね』
体を起こしながら悠羽が淋しそうに呟いた。

『またいつでも行けるから。今日はゆっくり休め。俺、廊下で待ってるから、着替えたら帰ろう?』

そう促し、廊下で悠羽を待ってると、着替えを済ませた悠羽が出てくる。悠羽のバッグを持ち、薬局へ寄る。

『父さんに、ありがとうって伝えといて』
薬局のおばさんに手を振り、薬を貰って病院を出た。

No.10 14/04/08 22:16
自由人0 

悠羽の家に着き、悠羽をソファーに座らせ、キッチンに立つ。


『慎吾ちゃん、私自分でやれるから』
その言葉を聞き、悠羽のもとへ向かい、しゃがんで悠羽を見上げて悠羽の手を握る。

『病人は座ってなさい。それに今日のことは俺にも責任あるし…言っただろ?ずっと好きだったって…ほっとけないって。つーか、もうほっとかないって決めたからさ』

抱き締めたい気持ちを抑えるようにキッチンに戻る。
やっぱり俺の気持ちに気付いてなかったんだなぁ…自分のことには鈍いからなぁ。


お粥を悠羽のテーブルへ出し、悠羽がお粥を食べる。猫舌だから、出来たてより少し冷ましてから持っていった。もちろん、残さず完食できる量で。

『美味しい』
悠羽が少しずつ食べ始める。

悠羽が食べている間に、食後に飲む薬を用意し、水を持ってきた。しばらくしてようやく食べ終わり、薬を飲み終えテレビを観てると、何かが肩にぶつかる。悠羽が眠ってしまった…しかも俺の肩にもたれて。

起こさないように、お姫様だっこをし、ベッドへ寝せる。
こんなに軽いのか…さっきは俺も気が気でなかったけど、こんなに細い体で一生懸命抵抗してたんだよな…きっと。

リビングのテレビを消し、悠羽の所へ戻り、悠羽へ布団を掛ける。悠羽が目を覚ます。


『俺、帰るけど、一人で大丈夫か?』
悠羽が頷いたが、表情を見れば分かる。強がってるのが…。俺はもう自分の気持ちを抑えられなくなり、悠羽の隣に横になり、悠羽を抱き締めた。

『今日、どこまで手を出されたんだ?話せるか?』

話を聞くと、最後までされてた訳ではなく、強引に押し倒され、キスをされそうになったところで、俺に気付いた相手が逃げてったらしい。怒りが募る。俺の好きな女にそんなこと…

『なぁ、悠羽…』

『ん?』

『相手の顔、覚えてる?』

『パニック状態だったから、覚えてない…それに少し暗かったし。でもね、慎吾ちゃんのことが頭に浮かんだの。いつも私を守ってくれるのは慎吾ちゃんだったから…。』

No.11 14/04/08 22:37
自由人0 

『悠羽…』
怖がらせないように、抱き締める手に少しだけ力を込めた。

『悠羽…今日のことは忘れろとは言わない。俺は警察に届けた方がいいと思うんだ。明日一緒に警察行かないか?じゃなきゃ、いつかまた同じ目に遭うかもしれない…幼なじみとしてだけでなく、好きな女に怖い思いさせたくないんだ』

悠羽は少し考えて『分かった』と了承してくれた。


これ以上一緒に居たら食っちゃいそうになる…悠羽の頭を撫でて、明日迎えに来ることを告げて、悠羽に手を振り部屋を出て帰宅した。


俺、いつからこんな積極的になったんだろう…。

No.12 14/04/09 13:47
自由人0 

翌日、悠羽を迎えに行き警察署へと足を運ぶ。事務員に被害者届の部署を案内してもらい、悠羽が覚えてる限りの詳細を男性署員に事情を話した。署員が内容を記入し、最後に書類の中身を二人で確認し、署名・捺印をする。

『勇気を出して届けてくれる人はなかなか居ないんです…我々は届けてくれないと捜査が出来ないもんで。でも全力をあげて捜査させて頂きます。わざわざご足労頂きまして、ご苦労様でした。』

署員に頭を下げ、悠羽と二人で警察署をあとにした。


『大丈夫か?』
不安げな表情の悠羽に声を掛ける。悠羽は黙って頷いた。

悠羽が買い物したいと言うので、近くのデパートに寄る。すぐ終わるから待っててと言われたが、心配なので付いて行き、悠羽と一緒に見て回っていた。


買い物を済ませると、腹が減ってきた。

『悠羽…ちょっとご飯付き合って。少しでも何か食わないと、まだ薬もあるでしょ?』

悠羽と二人で食事をとった。悠羽はミニサイズの物をようやく完食し、薬を飲んだ。

No.13 14/04/09 21:15
自由人0 

辺りも薄暗くなり、悠羽と帰路を歩く。
いつもは悠羽と俺が同時に入るのだが、悠羽が心配で、家に入る姿を見送ろうと一緒に立っていた。

『慎吾ちゃん帰らないの?』
いつもと違う別れ際に、不思議そうに悠羽が尋ねてくる。

『心配だから、ちゃんと家に入るまで見てるから』

『昨日から慎吾ちゃんに迷惑掛けちゃってるね…』
悠羽がまた俯く。

『心配は掛けたけど、迷惑は掛けてないだろ。俺が迷惑って思ってないんだし。早く入って休みな。疲れたろ?』

昔のように悠羽の頭を撫で、悠羽が手を振り家に入る。その姿を見届けて自分も家に入った。

No.14 14/04/09 21:47
自由人0 

それから1カ月の間、悠羽とは時々メールや電話をし、時々ご飯を食べたりしていた。悠羽が望むときだけ…。あまりガツガツ行くのも良くないと反省したからだ。悠羽の笑顔は、あの日以来ない。無理して微笑むことはあっても、昔のような可愛い笑顔はまだ見れていない。


ある日、悠羽の友達の翠(みどり)に会った。

『慎吾くん!』

『おぉ…翠』

話を聞きたくて、近くのコーヒーショップに入ることにした。


彼女は悠羽の昔からの親友だ。あの日、病院の廊下で待ってる間、彼女に電話して詳細を話し、警察署に行くつもりでいること・俺が傍に居れないときは悠羽のことを頼むとお願いしていたのだ。

『悠羽、大変だったね…ビックリしちゃった』
彼女には、笑顔を見せているんだろうか…

『翠…あいつ、あれからどうしてた?』

『ん~…私に心配かけないように元気っぽくはしてるけど。あんまり笑わなくなったかな。悠羽には気持ち伝えたんでしょ?でなきゃ私にあんなお願いしないよね?』

やっぱり笑わなくなったか…悠羽を好きなの気付いてたか(笑)、昔から鋭いもんなぁ

『言ったよ、あの日。昔から好きだったって…でもあんまり積極的になりすぎんのも良くないなって思ってさ、警察署行った辺りからちょっと距離置いてみてた』

『そっかぁ…。でも、慎吾くんが傍に居てくれて心強かったって悠羽言ってたよ?コクられたとは言わなかったけどね(笑)』

しばらく話をし、翠の分も払って店を出た。

『ありがとう、ご馳走様。悠羽のことさ、慎吾くんのせいじゃないと思う。元気出して。悠羽が傍に居てほしいと思うのは、やっぱり私より慎吾くんだと思う。そろそろ積極的に行かないと、誰かに取られるよぉ』
ニヤニヤ笑いながら翠がまたねと手を振り去って行った。

他の男…?

No.15 14/04/09 22:00
自由人0 

悠羽の声が聞きたくて、電話をした。何コールか鳴り、悠羽が電話に出る。

『悠羽?』

『慎吾ちゃん…?』
今にも泣きそうな悠羽の声の向こうから、風や波のような音が聞こえる。

『一人なのか?あの海に居るのか?なぁ、そうなんだろ?』
悠羽が泣いている声で頷く。小さい頃、悠羽が泣いてるときに悠羽を連れて行った海がある。あの場所に違いない…

『慎吾ちゃん…』
泣いている声で悠羽が俺の名前を呼んだ。

『今から車で行くから、そこから動くなよ?俺行くまで必ず待ってろ、すぐ行くから』

急いで家に帰り、車に乗る。海なら体が冷えてると考え、部屋へバスタオルやら布団やら、暖を取れる物を後部座席に積み、悠羽の居る海まで車を走らせた

No.16 14/04/09 23:04
自由人0 

海に着き、車を停め、悠羽のもとへと歩いて行く。


『悠羽!』
俺の声に気付き、悠羽が振り向いた。

『慎吾ちゃん…』
悠羽の言葉を遮るように近づき、悠羽を抱き締めた。

『良かったぁ、ちゃんと居て。こんな所で何やってんだよ…』
悠羽を見つけられた安心感に、自分の声も弱くなる。

一度離れ、悠羽の涙を俺の指で拭い、その指で悠羽の頬を覆った。

『お前がここで泣いてんの知ったら、ほっとける訳ないだろ?』
優しく話しかける。

『だって、慎吾ちゃんが、泣きたいときはここで泣くと、海が涙も悲しいことも持ってってくれるんだよって…』

『確かに昔言ったけどさ…だったら、泣きたいとき、今までずっと一人でここに来てたのか?』
頬を覆われた悠羽が頷く。

『悠羽…』
あの日以来、時々悠羽が出掛けて行く姿を見かけていた。出掛ける元気が出たんだと思っていた。でも、ここへ『泣きに』出掛けていたのかよ…

あまり長い時間立たせると、また貧血を起こしかねないと思い、砂浜に悠羽を座らせ、俺もしゃがみ、悠羽を抱き締め、背中をさする。昔泣きやむまでしていたように…


『悠羽?泣きたいときは…ここに来る前に俺んとこに来い。俺の前でうんと泣け。お前が泣きたいときは、俺が傍に居る』
悠羽が首を横に振る。


『昔の悠羽はもっと素直だったぞ?』
冗談混じりに言うと、悠羽がまた泣き出した。

『分かった分かった、もう泣くな。な?』
抱き締めたまま、片方の手で背中に手をやり、片方の手で頭を撫でる。

体を離し、悠羽の顔を見つめる。俯く悠羽の顔を自分の手で覆い、悠羽もやっと俺を見つめてくれた。

『もう我慢できねぇわ、ごめんな』
そのまま悠羽にそっとキスをする。悠羽の唇と体が俺を拒み気味に震えているのが分かり、一度唇を離し、悠羽を見つめる。


『俺のこと、怖い?』
悠羽が首を横に振る。

『体も唇も震えてる。ゆっくりでいいから、忘れていけるようになろう?』
しばらく考えたまま、悠羽が静かに頷いた。

No.17 14/04/09 23:20
自由人0 

『もう帰ろ。体冷えてる』
震える悠羽の手を握り、悠羽を立たせ、スターターを発信し、手を繋いで車へ向かって歩く。


助手席へ悠羽を座らせ、後部座席から布団をくるませ、悠羽の手を握り、片方の手でハンドル操作をし、車を走らせた。
途中でコンビニに寄り、温かいお茶を渡し、再び車を走らせる。


『俺、お前が俺のこといつか好きになってくれるまで待ってるから。』
悠羽が俯く。

『もう何年も想ってんだから、いくらでも待てるから』
優しく問いかけると、悠羽は静かに頷いた。


悠羽の家に着き、悠羽が降りるのを待っても悠羽が降りる気配がない。

『悠羽、どした?』
すると悠羽は俺の手を震える手で握り返した。

『もうちょっと一緒に居たい…』
俯きながら悠羽が呟く。

『なら車置きに行くよ?』
車をガレージに納め、悠羽と二人で悠羽の部屋に行った。

No.18 14/04/09 23:54
自由人0 

リビングで悠羽とコーヒーを飲むことにした。


『なぁ…今日ずっとここに居ていいか?怖がるようなことはしないから』
本当は今すぐ食っちゃいたいけど、我慢我慢(笑)

悠羽も頷き、しばらく二人で座っていると…やっぱり寝てる(笑)
昔からよく寝る子だよ(笑)

『風邪引くからベッドに行こ』
手を引き、ベッドに悠羽を寝せて、俺は床に座りベッドに顔を置き、悠羽の頭を撫でた。

『慎吾ちゃん…また泣きそう』
悠羽が呟いた。その言葉に慌てて悠羽の隣に寝て、悠羽を抱き締める。

『どした?思い出しちゃったか?』
悠羽が頷き、悠羽の頭を撫でる。

No.19 14/04/10 00:00
自由人0 

『今日はもう寝よう。俺がずっとこうやってっから』

だんだん震えも収まり、色々な話をし、悠羽が眠りにつく。
寝ている悠羽の額にそっとキスをし、悠羽の寝顔を見ながら俺も眠りについた。


夢の中には小さな頃の俺と悠羽が居た。夢の中の悠羽は俺に笑顔をくれていた。
あの笑顔が早く見たい…

No.20 14/04/11 19:53
自由人0 

それから数日、数ヶ月が経ち、俺の職場も繁忙期に入り、悠羽も仕事に忙しく働いていた。

悠羽のこと全てではないが、今まで何度か相談をしていた友達・巧(たくみ)との飲み会があり、悠羽の話題になった。


『しかしお前も、一途だなぁ』
一途すぎるくらい一途ですけど、何か(笑)

『あいつの両親さ、小さい頃に離婚してて、親父さんに引き取られたじゃん?けど、その親父さんもあいつが中学生んときに女作って出て行っててさ…。家だけ残してさ。高校時代まで親父さんの仕送りはあったらしいけど、そんなのに頼りたくないって、大学進学を諦めて働いてさ。だから尚更ほっとけないっつか、ほっときたくないっつか…』

『陽介とも別れたしな』
冗談混じりに俺をからかう巧。

『俺はさ、てっきり、あの時お前が悠羽ちゃんにコクって付き合うんだとばっかり思ってたけどな』
陽介と悠羽が付き合う前に、陽介に悠羽のことを相談されていた。親友と同じ女性を好きになってしまったけど、自分の気持ちを抑えて陽介を応援し、二人が付き合ったのだ。

No.21 14/04/11 20:05
自由人0 

『お前も人がいいからなぁ…』
呆れた様子の巧。

『今は、悠羽のこと守ってやりたい。幼なじみとしてじゃなく、一人の男として悠羽を支えてやりたい。あんなことがあったら尚更…』

『翠から聞いてたけどさ。毎日、あの家に一人で居るんだよな。心細いだろな』
巧が俺の気持ちを諭して言った。そこへ悠羽からメールが来る。犯人らしき男性が見つかったと警察から連絡が来たらしい。という内容だった。

『悠羽ちゃんからか?』

『犯人らしき男が見つかったらしいって…』

『…行ってやれば?』

『…ありがとう。ごめんな、今度埋め合わせする』

巧が首を横に振り、早く行ってやれと見送ってくれた。
悠羽に今から行くとメールをし、悠羽の家へと急ぐ

No.22 14/04/11 20:40
自由人0 

悠羽の家に着きインターホンを鳴らし、悠羽が出て来る。

『上がるぞ』
悠羽の手を引き、リビングへと歩き、悠羽を俺の隣へ座らせ、経緯を聞く。


『さっきのメールだけど、本当か?』
悠羽が黙って頷く。
『慎吾ちゃんにメールする少し前に、連絡があった。違う現場でも同じようなことしてたのを逮捕したらしくて、自供させたらあの場所でも一度だけやったって』
俯いたままで悠羽が呟く。体が震えているのが分かった。

『明日行くの?』

『無理にとは言わないって言われたけど…。踏ん切りを付ける意味では行った方がいいのかなって思ってる』

『俺一緒に行こうか?』
悠羽が首を横に振る。一人で行きたいと言われ、俺も了承した。

悠羽の目に涙がたくさん溜まっていた。
今までの悔しさがあるのだろう…俺は悠羽の気持ちを知りたくて、悠羽をためした。

『俺、泣きたくなったらなんて言ったか覚えてるか?』
悠羽が頷く。

『今日は俺からは何にもしない。悠羽の今の気持ちが知りたい。幼なじみだとしても、男としてだとしても、俺のことが必要なのかどうか』
悠羽と目があった。戸惑う悠羽、悠羽を信じ、悠羽を黙って見つめる。

しばらくして悠羽の震える手が俺の手と重なった。俺も手を握り返す。今すぐに抱き締めたい気持ちを抑えて、悠羽が来るのを待つことにした。

『悠羽、おいで』
隣り合わせに座っていて、おいでと言うのも変だが、悠羽から来てほしい…

しばらく俺に抱き付こうとする➡怖くてその体を戻す…を繰り返す。繰り返す度に俺の目を見る。俺は『大丈夫』『怖くないから』と悠羽を待つ。

何度も繰り返し、ようやく震える体が俺の胸の中に入ってきた。

No.23 14/04/11 21:48
自由人0 

震える体をそっと迎え入れる。悠羽の背中に片手を回し、もう片方の出て悠羽の頭を撫で、抱き締める。


『時間かかりすぎ』からかうと悠羽が離れようとした。俺は腕に力を込め、悠羽を逃がさないようにした。

『やっと来てくれたのに、簡単になんか離さないよ(笑)。二度とないかもしれないんだし』
背中をポンポンさすり、悠羽の気持ちを落ち着かせようと、力を抜いて優しく抱き締めた。悠羽も震える手を俺の背中に回し、俺の服を掴む。

悠羽の体を離し、悠羽の顔を覗く。

『やっぱり泣いた顔も可愛いな』

『慎吾ちゃんそうやっていつもからかう』
悠羽が怒って目線をそらす。

『ごめんごめん』
優しく頭を撫でる。

『俺、やっぱり明日一緒に行くわ。お前を苦しめてる奴を俺も許せない』
悠羽が俺に目線をやる。

『慎吾ちゃん…』

No.24 14/04/11 22:15
自由人0 

翌日、二人で警察署に到着し、以前対応してくれた署員に案内され、取調室へ向かう。

小窓を開けると、取調室からこちらは見えないし聞こえないが、小窓の外からは取調室の様子が見える造りになっていた。


『悠羽…』
悠羽の肩に手をやり、悠羽が恐る恐る向こうを見た。

署員が以前の届の中に、悠羽の記憶を辿った特徴の欄の、髪型と一致し、右肩に傷跡のある男という特徴から断定されたという経緯を話してくれた。その相手が壁越しに座っている。


しばらくすると、悠羽の体が震え、悠羽が頷いた。悠羽の背中をさすり、悠羽をなだめる。

その様子に、署員も小窓を閉め、別室へ案内されお茶を出され、同類の事件の話を法律の許す限りで話してくれた。


悠羽の顔色が良くないことに気付き、俺が悠羽の顔を覗いた姿たに気付いた署員が『早く休ませてあげて下さい』と声を掛けてくれたので、二人でお礼を言い、俺たちは帰ることにした。


帰りの車の中、悠羽を助手席で休ませ、悠羽の家に向かった。

No.25 14/04/11 22:55
自由人0 

悠羽の家に着き、悠羽とリビングに入り、二人でソファーに座る。


『犯人捕まって良かったな』
悠羽は黙ったまま頷いた。

『本当はさ、殴ってやりたくて付いてったんだけど、普通に考えたら取調室なんて入れねぇもんな』
俺が静かに笑うと、悠羽が俺に目線をやった。

『慎吾ちゃん、ありがとう』
悠羽が少しだけ作り笑いを見せた。


『悠羽…』
悠羽を優しく抱き締め、キスをする。体を離し、悠羽の顔を覗くと、悠羽の頬には涙が伝っていた。


『慎吾ちゃん…』

『ん?どした?』
悠羽の涙を指で拭い、優しく問い掛ける。すると悠羽から意外な答えが返ってきた。



『抱いて欲しい…』

No.26 14/04/11 23:20
自由人0 

『抱いて』が悠羽の答え…?俺を好きになってくれたという答えなのだろうか。


『私、やっと分かったの。昔からずっと、私の傍に居てくれたのは慎吾ちゃんだった。』
震える悠羽の手に自分の手を重ねる。

『親が離婚したときも、お父さんが出て行ったときも、陽介と喧嘩したときも、あの日も…そのあとも…』
悠羽の言葉を遮って抱き締める。


悠羽の頭を撫で、悠羽の額にキスをする。悠羽の涙をキスで拭う。お互いの額をくっつけ、静かに目を閉じる。悠羽の気持ちがやっと自分に向いた事実を実感する。


体を離し、悠羽の顔を覗く。

『本当にいいのか?』
悠羽も静かに頷く。

『慎吾ちゃんに抱いてほしい…忘れさせてほしい』

震える悠羽に優しくキスをする。

『好きな女にそんなこと言われたら、本当に抱くぞ?』
悠羽をお姫様だっこをし、ベッドへ連れて行く。

No.27 14/04/11 23:35
自由人0 

悠羽を静かに倒し、しばらく悠羽を見つめる。顔を撫で、指を絡める。


『今日は何されてもやめないからな』
優しく話しかけると、悠羽が目を閉じる。唇に、頬に、額に、優しくキスをする。指を絡め強く握る。悠羽も震える手で握り返してくる。


優しく何度もキスをする。少しずつ舌を絡めると、やっぱり悠羽は拒んだ。

『怖がらないで…』優しく囁き、再びキスをし、舌を絡めると唇の震えが少しずつおさまってきた。

悠羽の体の震えがなくなるまで、愛撫をしながら少しずつ服や下着を脱がし、自分も服を脱いだ。

悠羽の手を俺の胸にあてる。


『分かる?俺、すげぇドキドキしてる。』
悠羽が少しだけ微笑んだ。

No.28 14/04/11 23:46
自由人0 

『悠羽をやっと手に入れた』
指を強く握り、気持ちを伝える。


『俺のこと好き?』
悠羽が静かに頷いた。

『好き…慎吾ちゃん好き』
悠羽も震える手を握り返す。


『抱く間だけでも、忘れてほしい。俺のことだけ考えて』


悠羽の体に優しく愛撫をする。震えがなくなるまで、体全部に愛撫をする。
悠羽が一瞬だけ甘い声を出した。

『もっと聞きたい』
悠羽に愛撫を続けると、悠羽の震えもやっとなくなり、悠羽が慌てて体を隠し、俺に背中を向ける。

No.29 14/04/12 00:00
自由人0 

背中に愛撫をすると、また甘い声を出した。

背中も感じるのかよ…可愛い(笑)


『悠羽、愛してる』悠羽をこちらへ向け、再びキスや愛撫を続ける。体は震えたりほぐれたり繰り返しではあるが、拒んではこなかった。



『慎吾ちゃん…』
悠羽が俺を呼ぶ。愛おしくて何度もキスをする。悠羽の体がピクッとし、悠羽の頬に涙がつたる。


『怖い?』
悠羽が『ちょっと怖い』と答えた。

『これ以上はしないから。俺のことだけ考えて…』
悠羽の涙をキスで拭い、悠羽に下着を着けさせ、自分も下着を着け、悠羽を抱き締めた。

No.30 14/04/12 21:17
自由人0 

最後までは出来なかったけど、悠羽の口から俺を『好き』という言葉が聞けただけでも嬉しい。

悠羽が俺の腕の中で寝息を立てている。いつ見ても可愛い寝顔だ。

何の夢を見ているのか、俺の指を握って寝ている。


悠羽をそっと抱き締めて眠りについた。

No.31 14/04/12 21:58
自由人0 

もうすぐ、悠羽と付き合って1カ月になる。二人で記念になる物がほしいと考え、アクセサリーの店を何軒か見て回ることにした。

これは悠羽のイメージじゃないな…。
あれは悠羽が嫌いなタイプだ。

次の店でいい物を見つけた。
お、これなら悠羽に似合いそうだ。指輪のサイズはチェック済だしと思い、ペアリングを買って店を出た。街を歩いていると、偶然にも悠羽を見つけた。

悠羽に声を掛けようとした瞬間、悠羽が男と歩いていることに気付いた。その相手は…

『たく?』
巧だ。悠羽と…どーゆーことだ?

足がすくんでしまい、声を掛けられないまま二人が消えて行くのを黙って見ていた。

No.32 14/04/12 22:40
自由人0 

1カ月記念日の当日、一緒に過ごす約束をしていた為、悠羽の家に行った。

『慎吾ちゃん、待ってたの。入って』
悠羽に言われるまま上がり、リビングを見るとテーブルには悠羽がケーキを用意して待っていた。


『今日は記念日だから、コンビニのだけどケーキ買ってきたんだ。それでね…』
悠羽の言葉を遮り、真相を問いただす。

『こないだ、たくと何やってたんだよ』

『…え?』
悠羽の表情が曇る。

『見たんだ、俺。二人で歩いてたとこ…』

『慎吾ちゃん。それは…』

『何が違うんだよ。悠羽がやっと立ち直り始めて。俺たち付き合い始めたばっかだよな?そんなに軽い女だったのかよ!なんでよりによって、たくなんだよ』

『慎吾ちゃん、私の話も聞いて?巧くんとは…』

『もういい、帰るわ。あいつに話聞いた方が早いから』

『慎吾ちゃん待って』

バタン!

その足で巧に電話し、『話があるから』と時間を作ってもらい、巧の家に向かった。

No.33 14/04/12 22:57
自由人0 

巧の家に着き、中に入る。

『ごめんな、来るの分かってたら酒でも用意したんだけど…』
巧が冷蔵庫を見ながら飲み物を探している。

『悪いな、たく。突然来て』
ジュースを出してくれて、巧も座る。

『何だよ話って』


『俺と悠羽が付き合い始めるって報告したとき、たくも自分のことみたいに喜んでくれてさ、俺すごく嬉しかったんだよね。』
巧も真剣に俺の話を聞いている

『親友って思ってたの俺だけか?』

『なんだよ、いきなり。俺も慎吾のこと親友だと思ってるよ?』

『親友に女を取られるなんて思ってもいなかったよ…』

『どーゆーことだよ、慎吾』
不思議そうな顔をしている巧

『俺さ、たくと悠羽が一緒に歩いてるとこ見ちゃったんだよね…』
ガッカリした表情で巧に訴える

すると巧が『あの日かぁ』と笑った

No.34 14/04/12 23:11
自由人0 

『笑いごとで済まねぇだろ』
静かに呟いた


『悠羽ちゃんに言うなよ?』
俺は何が何だか分からない状態になってしまった


『悠羽ちゃんに、慎吾と付き合って1カ月になるから、記念日に何か渡したいって相談されて、俺と慎吾がいつも行くような店に連れて行ってほしいって言われたんだよ。』
更に巧が続ける

『慎吾はずっと自分のこと支えてくれてたから、付き合った最初の記念日は慎吾に何かプレゼントしたいって言われて、買い物に付き合ってただけだよ』
あの日、俺が見た姿は浮気現場じゃなかったんだ…呆気にとられた


『本当か?』

『俺が慎吾に嘘ついてどーすんの(笑)…慎吾?』

『俺、悠羽にヒドイこと言っちまった』
自分に失望してしまう

『あれ、記念日って今日じゃなかった?悠羽ちゃん今日だって言ってたけど…お前まさか』

『ん~、そのまさか』

『何やってんだよ。悠羽ちゃんのとこ早く帰れ』
巧が俺を促した

『行くわ。疑ってごめんな』
巧は首を横に振り、俺を見送った

No.35 14/04/12 23:44
自由人0 

急いで自宅に帰り、悠羽に渡すハズだった指輪をポケットに入れ、悠羽の家に走る。

インターホンも鳴らさずドアを開けると、リビングで一人で泣いている悠羽の背中を見た。


『悠羽』
悠羽を背中から抱き締める。
俺が入ってきたことにも気付かなかったらしく、体が震えていた

『慎吾ちゃん?』

『悠羽、疑ってごめん。たくから聞いた』

『巧くんに会ったの?』
震える手で、抱き締める俺の手に自分の手を回す

『あの日のこと聞いたんだ。ヒドイこと言ってごめん』
悠羽が首を横に振る

『私も慎吾ちゃんに黙っててごめん』
悠羽が俺から離れ、俺と向かい合い、テーブルの下から袋を取り、テーブルにその袋を差し出した

『これね、巧くんに付き合ってもらって買ったの』
差し出された袋の中身を開けると…ペアのマグカップが入っていた。

『本当は一緒に買い物行きたかったんだけど、二人で開けたくて…』
悠羽の手を引き寄せ悠羽を抱き締める

『慎吾ちゃん?』
悠羽は震えていたけど、強く抱き締めた
『俺…最低だよな』悠羽が首を横に振る
『記念日に女泣かすなんて情けないよな。』

『慎吾ちゃんあんなに強い口調で言ったの初めてだったから、ビックリした』
悠羽の体を離し、ポケットから指輪のケースを取り出し、中を開ける

『あの日、俺もこれ買いに行ってきた』
悠羽に渡す方を取り出し、悠羽の右手の薬指にハメる。

『左はいつか、ちゃんとしたやつ渡すから』
悠羽が指輪を見つめて『可愛い』と喜んだ

『慎吾ちゃんありがとう』
悠羽が微笑んだ。悠羽がもう一つの指輪を取り出し、震える指で俺の指にハメる
『ペアだね』
悠羽がお互いの指輪のデザインを見て、また微笑んだ

No.36 14/04/13 00:03
自由人0 

悠羽が指輪を見て微笑んでる表情を見たら、抱きたくなった。
久々に悠羽が微笑んだ。昔のような笑顔ではないけど、自然に微笑んだ。


悠羽をお姫様だっこをし、ベッドへ連れて行き、悠羽を倒す。

『え、ちょっと、慎吾ちゃん?』
悠羽が俺を見つめる

『抱きたい』
俺も悠羽を見つめる

『悠羽のこと泣かせちゃったし、悠羽のこと傷つけた。俺が悠羽のことどれだけ想ってるか悠羽にちゃんと伝えたい』
優しく話しかけると、悠羽が目を閉じた。

悠羽にキスをし、怖がらせないように少しずつ愛撫していく。震えをほぐしていく。

震えがほぐれると、悠羽が甘い声を出した。

『もっと聞かせて』
悠羽を見つめ、少しずつ激しくキスをする。悠羽の体と唇が震える。指と指を絡め強く握り、唇から少しずつ下へ愛撫をする

No.37 14/04/13 15:21
自由人0 

悠羽の体が震える。悠羽の額と自分の額をくっつける。


『今日は絶対やめないよ?優しくするから』
悠羽は戸惑いながら頷き、震える手を俺の腕を掴んでいる。


たくさん愛撫をし、悠羽がとろけてきた所で、いよいよ一つになる。自分も体が震えてきた。悠羽が俺の震えに気付く。
『私、大丈夫だから』


悠羽の言葉を信じ、悠羽と一つになった。何年も想い続けて手に入れた女と一つになれることが、こんなに幸せなんだ…。悠羽の甘い声を聞くと、愛おしくてたまらなくなる。

No.38 14/04/13 16:03
自由人0 

甘いひとときが終わり、悠羽を抱き締める。

『悠羽…大丈夫か?』
頭を撫でながら話し掛けると、悠羽は頷いた。

『待ってた甲斐があったわ(笑)』
からかうと悠羽が体を離そうとしたので、俺も必死に食い止める。

『もうちょっとこうしてたい』

悠羽も抵抗をやめ、素直に腕の中でおさまった。


悠羽の顔を覗くと…やっぱりだよ、ウトウトしてるよ(笑)

No.39 14/04/13 22:28
自由人0 

悠羽が目を覚ました。


『悠羽…』

『ん?』
目をこすり、眠そうにしている。

『うちの病院で働かないか?』
驚きを隠せない様子の悠羽。

『うちの病院で、事務探してるんだ。募集はするつもりない。父さんは人事は俺に任せるって言ってる。』
悠羽は黙って考えている。

『今の職場よりうちの病院のが、人間関係もラクだろうし』

『…ありがとう。考えてみる』

『分かったよ』

No.40 14/04/13 23:05
自由人0 

あれから1カ月が経ち、悠羽はうちの病院で働くことになった。


朝礼でみんなを集め、俺が紹介する。

『今日からうちで経理事務員として働くことになった山口悠羽さんです』

『知ってますよ~。慎吾くんの幼なじみの』
ニヤニヤしながら看護師が言った。

『悠羽ちゃん、こーゆー職場だからみんな仲良くやりましょう』

『ありがとうございます』

『俺タイプかも~』とレントゲン技師が言った。するとさっきの看護師が

『ダメよ、慎吾くんが昔からずっと好きで、やっと手に入れた彼女なんだから』
知ってたのかい(笑)

『知ってる~。悠羽ちゃんはずっと気付いてなかったよね~』
レントゲン技師が言うとみんな爆笑する。頭をポリポリしながら悠羽を見ると、悠羽は苦笑い。すると父さんが

『慎吾、お前のことはみんなお見通しだ』
みんな更に爆笑。
父さんまで…

No.41 14/04/13 23:34
自由人0 

悠羽は経理事務だが、俺はこう見えてもカイロプラクター兼事務長なので、患者が来ればカイロの仕事をし、ヒマな時間帯は事務長としての仕事をする。俺の科は予約制なので、ヒマな時間帯が多い。だから今まで、悠羽に何かあったときはすぐ駆けつけることが出来ていたのだ。
一日仕事を終え、悠羽と二人で帰り悠羽の家で過ごし、翌朝自宅に帰り着替えて二人で出勤するのが日課になっていた。


『仕事慣れた?』

『うん、お陰様で』ご飯を食べながら仕事の話をする。二人で居るときは仕事の話を控えたい所だが、いつも少しだけ話題に出てしまう。


悠羽がくれたマグカップは、悠羽の家に置いて二人で使うことにした。食後にコーヒーを飲む。


『今日、慎吾先生の彼女なんでしょって患者に言われた』
悠羽が照れながら言った

『みんな知ってる顔ばっかだし、隠す必要はないでしょ』
コーヒーを口にしながら、俺は正直に言った。


『お互い仕事とプライベートは分けて接してるから大丈夫っしょ』
悠羽が照れながら頷いた

No.42 14/04/13 23:58
自由人0 

数ヶ月が経った朝。


『悠羽、本当に大丈夫か?』
悠羽の額に手をやる俺。悠羽が昨夜から風邪気味なのだ。

『大丈夫だよ、薬も飲んだし。早く仕事行こ』
悠羽の言葉を信じ、二人で出勤する。



忘れ物を取りに事務室へ歩いていると、看護師と会った。

『慎吾くん。悠羽ちゃん顔色良くないみたいだけど』

『今朝も休むように言ったんだけど、薬飲んだから大丈夫だって聞かなくて…』
『あとで手が空いたら診察来るように伝えててね』
手を振り、看護師が去って行った。

そこへ悠羽の後ろ姿を遠目に見た。やっぱり壁伝いにフラフラ歩いている。

悠羽のもとへ向かって歩いていた次の瞬間、悠羽が壁にもたれてしゃがみ込んだ。

『悠羽?』
俺も駆け寄ってしゃがみ、悠羽の両肩を掴むと…真っ赤な顔をして息切れをしている。俺の声に気付いた看護師が駆け寄って来てくれた。

『悠羽!』

『どうしたの…すぐ行きましょ』
急いで悠羽を担ぎ、看護師と診察室へ向かった。

No.43 14/04/14 13:46
自由人0 

『点滴室に行きましょう』

点滴が必要と判断し、院内用の携帯で父さんに電話をする。看護師の指示通りに点滴室のベッドへ悠羽を寝せ、応急処置をする。看護師が検温すると…39度もあった。

『いま院長が診断してくれるけど、インフルかもね…まだ流行ってるし』

寝ている悠羽の頬に手をやると…熱い。父さんが来て、看護師の申し送りを聞き触診をする。

『インフルの検査キット。それから点滴。中身は…』
看護師が手際よく準備をし、検査キットで検査をし、腕に点滴の針を差す。点滴の落ち具合と脈を診ていた間に検査の結果が出た…やっぱりインフルAだった。

『何かあったらすぐ呼びなさい』
父さんは次の患者を診に診察室へと戻る。

『目が覚めたら診断結果伝えて帰してね。5日間仕事は休ませること。無理させないように』

看護師がニヤニヤしながら診察室へと戻る。最後『無理させないように』が強調されてるけど(笑)

No.44 14/04/14 23:15
自由人0 

悠羽が目を覚ました。

『悠羽…』

『慎吾ちゃん?』

『倒れたんだよ、インフルAだってさ。点滴終わったら送ってくから。仕事は当分休みなさい』
悠羽は自分の事態に驚いていた。


点滴が終わり看護師に連絡をし、針を抜いてもらった。

『診察室で特効薬の吸入をしましょう』
父さんのもとへ行き、悠羽に吸入をしてもらい、うがいをし、診察室をあとにする。


『慎吾』
父さんが呼び留め、俺が返事をする。

『無理させないように』
父さんも看護師も…同じこと言ってんなぁ(笑)

『はい。失礼します』

No.45 14/04/14 23:34
自由人0 

悠羽をベッドに寝せ、検温すると少し熱も下がっていた。

『冷蔵庫に色々入れてあるから。ご飯は帰って来てから俺が作ってやるから、来るまで休んでるといい』

『ありがとう。ごめんね、慎吾ちゃん仕事あるのに…』
悠羽が申し訳なさそうに謝る。

『病人は素直に寝てなさい。一旦病院帰るけど、何かあったらすぐ連絡して』
悠羽の頭を撫で、一旦仕事へと戻る。


忘れ物を取りに事務室へ行こうとしてたんだった…
事務室で忘れ物を探し、自分の科へと歩いていると、看護師に呼び留められる。

『悠羽ちゃんどう?』

『熱は少し下がったみたい…』

『吸入してるから、明日にはだいぶラクになるハズだけど』
少し話をし、看護師が戻って行った

No.46 14/04/15 21:51
自由人0 

自分も予防に吸入をしてもらい、仕事が終わった。
急いで帰り鍵を開け悠羽の部屋へ戻る。


『ただいま。悠羽、具合どう?』
マスクをして寝ている悠羽の額に手をやり、検温すると…37.8度に下がっていた。

『坐薬使ったから、少しラクだけど…ダルイ。水分は摂ってたけど、汗がすごくてさっき着替えて洗濯干した』
ポカリとプリンでしのいでたらしい。

『遅くなってごめんな。うどんかお粥くらいなら少し食べれるか?』
悠羽が、うどんなら少し食べると言い、買い置きのうどんを作って悠羽と一緒に食べ、薬を飲ませた。

悠羽が『慎吾ちゃん、うつしたら困るから』と言うので、同じ部屋だけどベッドから少し離れた所に布団を敷き、別々に寝ることにした。

『寝るまでならいいよな?』
悠羽からくっつき禁止令が出たので、ベッドの近くに座り、悠羽の看病をする。

『病院の中もインフル流行ってるから、慎吾ちゃんも気を付けてね?』
俺も素直に頷き、悠羽に不意打ちのキスをする。

『もう今日は寝なさい。何かあったら起こすんだよ?』

悠羽の頭をポンと撫で、布団へ戻りお互い眠りに就いた

No.47 14/04/15 22:07
自由人0 

数日後、悠羽も治まり出勤し、みんなにお詫びやらお礼の挨拶をしていた。

『慎吾くん病人に無理させなかったでしょうね~』
看護師が言うと、悠羽は苦笑いしながら『大丈夫です』と返していた。


今日はカイロが休診なので、事務室で仕事をしていた。室内では一緒に居ても、仕事とプライベートはお互いに切り替えて仕事をしている。

そこへ看護師が来た。

『慎吾くん、お客さん』
目線の先には以前俺の患者だったご老人が居た。近くまで来たので顔を見に寄ってくれたのだという。事務室に通そうとすると、これから用事があると言い、ご老人が去っていった。

No.48 14/04/15 22:29
自由人0 

それから半年が経った。悠羽の様子がおかしい。


『悠羽、どうかしたのか?』
顔を見ると、顔色が良くない。

『何でもないよ』
こいつ、嘘ついてるな…

『正直に言いな』
真剣に言うと、悠羽から思いもよらない答えが返ってきた。

『今回まだ生理が来ないの…』
悠羽の話には、生理の予定日から3週間も経っているのだという。避妊はしてるハズだけど、万が一っていうこともある。

『明日休みだから一緒に病院行こ』

『でも…』

『結果はどっちでも、悠羽にとっては大事なことだから』


翌日、産婦人科に向かう。

No.49 14/04/15 22:40
自由人0 

受付をし、問診を取り検尿をし順番を待つ。妊婦さんがたくさん居る。自分が場違いかなと思いつつ空いてきた所で順番になり、悠羽が診察室へ入った。


妊娠してるんだろうか…していたら、父さんにもちゃんと言わないとなぁ…


悠羽が出てきた。聞くのは出てからにしようと思い、悠羽が会計を済ませるのを待ち、二人で産婦人科をあとにした。


『妊娠はしてないって。ストレスからくる生理不順だってさ。薬もらって帰るから』
処方箋を見せながら悠羽が言った。近くの薬局で処方箋を出し、薬をもらって会計をし、悠羽の部屋に着いた。

No.50 14/04/15 23:01
自由人0 

リビングのソファーに座り、悠羽の肩を抱き頭を撫でる。


『慎吾ちゃんごめんね、心配かけて』
悠羽が静かに呟いた

『俺は正直、出来てたら嬉しかったけどね。ストレスかぁ…』
俺とセックスする度、次の生理まで不安な気持ちで居たと話してくれた。確かに女の子は不安だよなぁ…。

『俺、悠羽のこと遊びじゃないから。妊娠が先でも後でも、悠羽と結婚するつもりで一緒に居るから、俺の気持ちは分かっててほしい』
悠羽と向き合い、素直に気持ちを伝えると、悠羽が泣いてしまった。付き合っていてもずっと不安だったと言った。

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