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一目惚れ

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匿名
12/12/31 14:09(更新日時)






あり得ねー



こんな状況……







これって、………





運命なのか!?






No.1887050 12/12/09 12:02(スレ作成日時)

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No.1 12/12/09 12:17
匿名0 



あれから。


2年。





無事、大学を卒業したオレは、地元に帰って就職した。





卒業。と言えば、


澪夏ちゃんからも、ちゃんと卒業できたんだけど。






あの日、澪夏ちゃん追っかけて、ホテルまで行った先で。




知り合った彩矢さん。







何回か、飯食ったけど。


あっちも仕事忙しくなったり、オレも就活でバタバタしてて。


なんとなく、お互い連絡取らないまんま………






結局、オレは、地元に戻ってきた。






No.2 12/12/09 12:41
匿名0 




「お疲れッス…」


こっちに戻ってきてからは、暇さえあれば、猛先輩の店に入り浸ってる。

「ヨォ、お疲れ」


先輩には、澪夏ちゃんの式の後、電話して。話聞いてもらって。



その時先輩は、ずっと黙ってオレの話、聞いてくれてた。




戻ってきてからは、仕事のグチ聞いてもらってるワケで。



ほんと、マジで先輩には感謝してる。





会社の人間には、言えねーグチもあったりするからさ。




「寒いッスね…」



季節は、冬。



「あぁ、12月だからな。」



12月。


もうすぐ、クリスマスか…




No.3 12/12/09 13:10
匿名0 




「お前…、好きなオンナ、いないのか。」



「好きなオンナ?……」



…彩矢さん?


結局、1年以上会ってねぇし…。



「誰か、紹介してやろうか?」

グラスを拭き上げながら、カウンター越しに先輩が言う。

「え?…紹介っすか?…」



なんか、今は、そんな気になれねぇ…な。


「イヤ…」
「イイ女、知ってんだけど?」


イイ女…か…


「やっぱ、いいっす。」



「お前、なんか…老けたな。」


「ちょっと…!先輩!?オレ、まだ、23っすよ!?」

つうか、先輩の方が上だしっ!


「俺が今のお前の歳には、もう、親父になってた。」


「は…!?…知ってますよ!?」


拭き上げたグラスを棚に戻す先輩。




「時間なんて、あっという間に過ぎる。ムダにするなっつう事だ。」





No.4 12/12/09 13:39
匿名0 




時間をムダにするな。


か……




先輩の言うとおりだよな。


大学卒業して、一応、希望の会社就職できて。



それだけでも、充分幸せな事なんだっつう事は、


よくわかってる。



分かっちゃいるんだけどさ…



社会人になって、9ヵ月。


最初の3ヵ月間は。
研修期間で、余計な事考える暇なんか、全くなくて。


配属が決まってからも、仕事覚えんのに必死で。



澪夏ちゃんの事は勿論、女の子の事なんて…
考えてる余裕なかったし。




気がつくと、

今になってて……。




オレ、ムダに時間過ごしてんのか……?




彩矢さんの言葉が、ふと浮かんできた。




No.5 12/12/09 14:04
匿名0 




《社会人になってから、モノになるまで、最低でも2~3年はかかる》



2~3年。

最低でも。



オレなんて、まだまだ、だ。




だから…


ムダに過ごしてるつもりは、ないんだけど…。





こっちには、先輩もいて、何人かは、オレとおんなじように帰ってきてるやつも居て。




恵まれてる。



はずなのに


何かが、足りねぇ……



そんな気がする。




「いらっしゃいませ!」

一人、ぼーっと考え込んでるうちに、先輩の店も忙しくなってきた。


「また、来ます…」

「了解。またな。」


お互い軽く手を上げて。



オレは、先輩の店を出た。




No.6 12/12/09 18:34
匿名0 




「おはようございます!」



「オー!干潟~今日も早いな。」



「当たり前です!新人ですから~」





仕事は、楽じゃねぇ。


けど、こんな不況でも雇ってくれた会社に、オレなりに感謝してるから。



「そんな事言う課長の方こそ、誰よりも早いじゃないですか~!」




そう。
こんなオレが、頑張れる理由がもう一つ。



部署のトップで、オレの上司。
篠原亮輔。
課長なのに、朝一番に出社して、二番目に来るオレが会社に着く頃には、キーボードをたたきながら、完全に仕事モードになってる。





「俺は、暇だからな!」

そんな冗談さえ、さらっと言える篠原課長を、尊敬しない訳がなく。




まだ何にもわかんねぇ、ミスばっかりの新人のオレに仕事のノウハウを教えてくれるだけじゃなく、



社会人としての常識も、叩き込んでくれる。



No.7 12/12/09 19:54
匿名0 




「篠原課長って、結婚してるんですか?」



「は?なんだ、いきなり…」




今日は、課長と二人で居酒屋に来てる。
週末になると、よく課長が誘ってくれるから。



つい、悪のりで聞いてしまった。



「あ!いや、だって、いつも朝早いし、帰りだって、一番遅くまで会社居るじゃないですか!」



「朝早いのは、その日の仕事を早く終わらせるためだ。」


「じゃ…、帰りは?」


カウンターに、並んで座っていたオレと課長。



この質問の後、課長がちらっとオレを見た。



「お前のせいだろ。」



「へ?オレ…あ、いや…、」

「飲んでる時ぐらいは、オレ。で、構わない。」

「!…あ…、」

こういうとこも、オレが課長を尊敬できるとこなんだよな。


「俺の課じゃ、新人のお前が一番、仕事遅いからな~」


「っ…!……ですよね?」


「何、落ち込んでんだ。
お前が聞いてきたから、答えてんだろ。」


No.8 12/12/11 01:06
匿名0 




「あ…イヤ…。別に、落ち込んでは……」


「ブッ…!ほんと、お前ってわっかりやすいよな~?」

課長……!


「失礼しま~す!枝豆です!」
店員が持ってきてくれて、オレと篠原課長の間に置いた。



「お前こそ、どうなんだ。」
課長が、枝豆を一つ口にしながら、オレに話を振る。

「え?オレ?…」


そういえば、前に先輩にも同じような事、言われたな?

「彼女、いないのか!」

ほら。

「イヤ、いませんから!」


「俺が紹介してやろうか?」

え…課長まで。



「オレ。まだ別に、結婚とか考えてもいませんから!」

彩矢さんが言った言葉は、オレの中で、どんどん大きくなってるようで。



「いきなり、結婚とか誰も言ってないし。
そう、固く考えるなよ~!」





No.9 12/12/11 11:18
匿名0 




それじゃ…

先輩に《老けたな》って言われたのと、おんなじじゃね…?




まだオレ。


23なんすけど……!




「課長…こそっ、質問に答えてないじゃないですか…!」



オレは、形勢逆転のつもりで苦手なビールを片手に課長に反論してみる。



「俺?」
「はい…!」
「完全な独身だ。」


……!
「独身だったら!」
「けど。俺には大切な人がいる。」


「大切な人…?」

「あぁ。」

「……そうなんすか?」




大切な人が居るんなら。

……結婚しないんだろうか?



確か、課長って歳は32…。





オレの事より、課長。


自分の事…が、先じゃないっすか!







「俺の知り合いで。干潟に合いそうなやつがいるんだ。」

「え?…あ、……はぁ、」



オレは、手に持っていたビールをぐいっと飲む。






No.10 12/12/11 12:30
匿名0 




遠くから、


課長の声が聞こえる……?



「おい!干潟~。聞いてんのか?」



やべ……

オレ、


「すみません…課長。酔っ払ってしまった……みたいです………」


「ったく…。ほんと、弱いな。」



すみません…


「あ…。」

ん…?
課長が、オレ越しに目線を向けている。




ゆっくりと振り返った。

「ちょっと…!?」



つもりだったのに、オレは椅子から崩れ落ちそうになったみてぇ…




しっかりと、上半身を支えられたオレ。


課長にじゃなく、
振り返った先にいた人間に。



「す…すみません……」

謝ってみるも、

頭、クラクラする。



「悪いな。」

「ううん、大丈夫。」


……?


課長とオレを支えてくれた……人。


……………



オンナ…?




No.11 12/12/11 12:54
匿名0 




っ…


頭、いてー……








ゆっくり、目を開ける。


いつのまにかオレは、自分の部屋で寝てた。






こっちに戻るって決まった時、親は家から通えばいいって言ってくれたけど。


敢えてオレは、一人暮らしを選んだ。



母親は、ちょっと寂しそうだったけど。



何にも言わず、認めてくれた。


そんなオレは、今、自分の部屋に居るんだけど……、




あれ…?


オレ、昨日課長と飲んでて…




もしかして!




No.12 12/12/11 13:06
匿名0 




「もしもし…、課長……」


今日は、会社が休みだった。


「起きたか?」


課長に急いで電話をした。


「あ…、はい。あの…、すみません…!」


「あぁ。お前無駄にデカいからな~運ぶの、苦労したぞ。」


無駄に…って!


課長だって、オレと変わんないじゃないっすか!


「すみません…。」

「まぁ、昨日は一人じゃなかったからな~」

「え…?一人じゃなかった?」


どゆ事…



「あ?お前、覚えてないのか!?」



覚えてない?……


昨日…




「マジか…?」

課長の呆れたような声が耳に痛い。





No.13 12/12/16 16:11
匿名0 




課長の話によると。


酔っ払って、店で寝込んだオレを、



二人で運んでくれたらしい…



完全に記憶、ぶっ飛んでるけど…



「あのっ…、課長、オレを運んでくれた人って…」



確か、あの声は

女の声…?



「あぁ…、先週から、うちの会社に配属されたやつで…」



「え?…」


「って…言っても、部署は違うけどな。」




あぁ…。




「あのっ…!お礼を…」




「また、今度な。」


え…?

「ちゃんと、紹介してやるよ。」



「……?あ、…はい。」




No.14 12/12/18 11:30
匿名0 




「シケたつら、してんなぁ。」


先輩が、呆れた顔でオレに言う。


カウンターに、うなだれたように座るオレ。


課長と飲んだ日から、何事もなく、過ぎていく事に…

なんだかモヤモヤしたものを感じながら、


先輩の店でグダグダと考えていた。




「オレ…、なんか、大事な事…、忘れてるような気がして……」



「大事な事?」


「はい…」




でも、それがなんだかわかんねぇ…




「そのうち、わかんだろ?」

なんて、先輩は簡単に言うけどさ。







No.15 12/12/18 11:42
匿名0 




「先輩。おかわり…。」

「ウーロン茶か?」


「ウーロン茶っ…て!」


「冗談だ。」
そう言って、笑った先輩は。


カウンターの中で、軽めのコークハイを作ってくれた。

オレは、グイッと一口飲む。


「ウマいっすよ。」

「サンキュ。」

「なのになんでオレ…、酒よえーんだろ。」



意味不な事呟くオレに、


「酒の強い彼女、作ればいいだけだろ。」

って、先輩の一言に。





思い出した、………人。




No.16 12/12/18 11:52
匿名0 




「いらっしゃい…!」



誰か、客が来たみてぇだ…



オレの隣、一つ空けて座った客。



頭クラクラして、顔が上げらんねー…




先輩と親しげに話してる。


誰だ…?




この、声…。




「相変わらずね。」



え…?





「……ちゃんが、コイツの側にいてやったら、なんも問題ねえよ。」



え……


コイツって、オレの事?


名前が聞こえねぇ…




No.17 12/12/18 13:06
匿名0 




そして更に、2年が経った。




今年もクリスマスをひとり過ごす予定のオレ。



社会人になって、3年が経とうとしてる。




1年目の頃と違って、仕事もいろいろ任せられるようになったオレは。



先輩の店にも、あんまり行けなくなって、




そんなオレは、後輩もできて、たまには、指示も出したりして。






「お前も、やっと社会人らしくなってきたな。」



昼休み、課長に話しかけられる。


「あ、課長。お疲れ様です!」



「言葉遣いも、自然になってきたしな。」



「え?あ、ありがとうございます…。あ…、
そんな課長だって!来年、部長になるらしいじゃないですか!」




そう。

篠原課長が今度の人事で、部長になる。っつう噂。



No.18 12/12/18 13:18
匿名0 




「あくまで、噂だ。」



いえいえ。


「課長なら、当然ですよ。」

仕事もできて。

オレら、部下からも信頼厚くて。



「だとすれば、お前たちのおかげだな。」


「え?」


オレら…?


「優秀な部下がいるから、上の人間も頑張れる。」


「課長…」


「これからも、宜しくな。干潟。」



課長。



オレも、こんな上司になりてー。





No.19 12/12/19 19:46
匿名0 




そういえば…


前に課長、オレに紹介したいって人がいるって言ってたな……。



…ま、いっか。




「干潟。今日、時間あるか?」



え?

「あ…、はい、ありますけど?」



「どこか、飲みに行かないか?」



「…いいですよ?」


「じゃ、お前の行きつけの店で、待ち合わせするか?」




っつう事で。





オレは今、先輩の店に居る。


「久しぶりだな~」


「はい!すみません…!ずっと、ご無沙汰して。」



「ご無沙汰…って。」


「…?」


「お前が…なぁ。」


「なんですか、先輩!?」


「いやな、お前も、大人になったなって。」



先輩……。


「は!?オレ、もう、充分大人っすよ~」





分かってます。先輩。



オレ、自分でも…、
こんな言葉遣い、自然とできるようになって。



少しは、社会人として恥ずかしくないようになれたかなって。





いろんな人のおかげっすよね。






No.20 12/12/23 13:08
匿名0 




今日。


課長と待ち合わせしている事は、先輩には話していた。






「初めてだよな。お前が、会社の人間をうちに連れてくるなんてさ。」



先輩が、こんな事言うのも無理なくて。


オレはほんとに、プライベートと仕事を分けてるっつうか、…


同僚でも、先輩の店に連れてくる事はなかった。



だから、先輩に言われるまで、気付かなくて。



「あ…、そう言えば…オレ、初めてっすよね…!」

「ま、それだけその課長が、お前にとって信頼できる相手っつう事なんだろ。」



「信頼できる相手。…」





課長に、オレの行きつけの店にって言われた時…、

何の疑問も持たなかった。



それぐらい。




オレにとって課長は、大きな存在でもあるんだけど、同時にすげー身近な存在にもなってんだろうな。






No.21 12/12/23 13:36
匿名0 




「待たせたな。」


「いらっしゃいませ。」

先輩の声と、ほぼ同時に聞こえてきた声に、オレは振り返った。


「あ…、課長!お疲れ様です!」




「悪い。遅くなって。」


「いえ、大丈夫ですよ。」


「こんばんは。いつも、笙がお世話になってます。」



なんて、先輩が課長に挨拶してる。



「いえ、こちらの方こそ。干潟には、本当に頑張ってもらってますので。
頼もしいですよ。」



いや、…
た、頼もしいって…!

「課長、恥ずかしいっす…、先輩も…」





なんつうか…、見合いの席?で、紹介されてるみてぇな?


マジで、ハズい…



課長も、先輩も笑ってんだけど。






No.22 12/12/23 14:03
匿名0 




その後、課長の提案で、カウンター席からテーブル席に移った。


カウンターがいっぱいだったワケじゃない。




「あとから、人が来るんだ。」


課長のいきなりの発言に、グラスの水を吹き出しそうになる。

「はっ!?」


「前に言っただろ?紹介したい人がいるって。」



「……!」

紹介したい人。



「ここ…に?ですか?」


「あぁ。…ん?まずかったか?」


先輩が運んでくれたビールを一口飲んだ後、オレの方をチラッとみる課長。



「あ……」



「まぁ、あれから随分経ってしまったが。」



「……ですね。」


ジタバタしても、
しょうがねーか…

今さら、っつう事だよな。



それに、課長の知り合いなら。



………



No.23 12/12/23 14:49
匿名0 




「そう言えば、もうすぐクリスマスだな。干潟は、なにか予定あるのか?」


「え…!?クリスマス…ですか~」



んなもん…

「あるわけないですよ~ 」


「そうか。」

「課長こそ!誰かと、約束とか~」



課長は、未だに独身。

「俺は、ちゃんと予定ある。」


「う…!!」


ハァ…

「そうですか…。
……大切な人がいるって、前に、課長、言ってましたよね…。」




その人と、約束してんだろうな~






「いらっしゃい…!」


また、客が入ってきたみたいだ。




No.24 12/12/23 18:23
匿名0 




「彩矢ちゃん?」


え…?

先輩の声に、少し反応してしまう。


彩矢…って、今、聞こえたような?





その時、テーブルの向かい側にいた課長が、手を上げた。




課長…?




………………

……


椅子から立ち上がったオレは、





「……笙。…くん」





やっぱり…





「そんなとこ、突っ立ってないで、こっち来いよ。」



課長の声にはっとする。



「あ…、うん…」



オレは、振り返る事が出来ないまま、固まっていた。





No.25 12/12/23 18:35
匿名0 




「マスター、…久しぶり…!」



カウンターの前を通り過ぎる時、先輩に声を掛ける。……



「あ、…あぁ…」




心なしか、先輩の返事が頼りない気がして…




店内は、緩やかに聞こえる音楽と、他の客のお喋りだけが聞こえるはずなのに。

オレには、ヒールの音だけが、やけに耳に響いてきて。




切なくなる。




「…こんばんは。」




相変わらず、突っ立ったままのオレの横で。




立ち止まった………





No.26 12/12/23 18:54
匿名0 




こんな時って、




なんて、声掛けんだよ…




………




「座れよ。」

「あ…、うん…」

「干潟も。」



「…、」

課長に促されたオレは、やっと椅子に座った。





「紹介する。」


課長がゆっくりと言葉を紡ぐ。




けど。


オレは、また、……




「オレの部下の、干潟笙。…そして、」


「知ってますよっ…!」


振られんのかよ…!




課長に突っかかるように、言葉を発したオレ。


「笙…!?」


「干潟…!」







3年ぶりに。



彩矢さんに会ったっていうのに、






No.27 12/12/23 19:03
匿名0 




大切な人って…!



「課長の大切な人って……」



今頃、

気付くなんて。




「え…?干潟?」



オレが、忘れてた事……


先輩が、そのうち気付くって言ってた…事。







「笙?…」


「彩矢さん…!」



この時、


オレは初めてちゃんと見た。




3年ぶりに会う、彩矢さん。





キレイになった…




No.28 12/12/23 19:24
匿名0 




彩矢さんに初めて会った時に言われた事。





ものになるには、最低でも2~3年はかかる。



澪夏ちゃんの事、自然と忘れられたのも。



きっと、この言葉のおかげだ。



彩矢さんが言ってくれた、

その言葉を胸に。



オレは必死で、やってきた。




……何でかって?







「彩矢さんっ…オレ、…」


「…!?」


「好きですっ…」




課長にとって大切な人は、オレにとっても、大切な人で。



そんな大事な事、



今頃気付くなんてさ。






マジで、気付くの、遅過ぎちまったけど。





No.29 12/12/24 13:11
匿名0 




「紹介する前に、告白かよ。」


課長が腕を組んで、軽くオレを睨んだ。




課長…、

オレは、彩矢さんの事…前から知ってるんすよ……




「全くだ。」


………?

「先輩……?」



先輩が、彩矢さんの前にビールを置く。




「……?なんすか……」




そんなオレの疑問なんて、聞く耳持たねーみたいに

「彩矢ちゃん、久しぶり。」


なんて、彩矢さんに話しかけた。




………え?

「久しぶり…?」



どういう意味だ?

ますます、意味わかんねぇ…






いや、……


まてよ…さっき、彩矢さんも先輩に、久しぶりって……





No.30 12/12/24 13:42
匿名0 




「ごめん!私が悪いんだ…。」



いきなり。

彩矢さんが謝ってきた。



「え…?え…、彩矢さん…!?」




「ちょっと待て。事情説明するのもいいけど、まず始めに、俺と彩矢との関係を説明しろよ。」



課長…



………彩矢って、呼び捨てかよ…



でもな、

確かにそこが、オレにとっても、一番大事なとこなんだ…

けど。……




「あの…、課長と、……彩矢さんの関係って…」



聞いてしまった……





「きょうだい。」


「え…?きょうだい?」

「ヘ~、そうなんだぁ!」


先輩も、驚いてるけど。


オレの驚きの方が大きくて…






No.31 12/12/24 14:08
匿名0 




ちょっ!

「ちょっ、待って!課長と彩矢さん、名字違うよね…!?」



課長は、篠原亮輔。
彩矢さんは、成田彩矢…


「あぁ…、きょうだいって言っても、血は繋がってないの。」


「え…?血が繋がってない?」



「もしかして、義理のきょうだいって事?」



彩矢さんの横にいた先輩が、オレの疑問に答えを出す。



「え…!?義理の…」


課長…、独身って言ってたよな…



「あぁ、…干潟には、俺、独身って言ってたよな?」

「あ…、はい……」


「正確に言うとな、独身。…だった。」


「だった…?」


No.32 12/12/24 17:46
匿名0 




え…

って事は、……



「あぁ。彩矢は、妻の妹。」



妻の妹……


妻の………?







「お姉ちゃん、死んだの…」


彩矢さんが、ぽつりと呟く。





「死んだ……?」





一瞬、時が止まったような気がした。








No.33 12/12/24 18:19
匿名0 




「もう、10年も前の話だ。」




「課長…」


「干潟、お前がそんな顔するな。」





穏やかな顔で、オレを見ている課長。



10年の月日が、課長を慰めてくれたんだろうか。

それとも……、







大切な人がいるって言ってた課長…



それって。…






「変な誤解、しないでよっ…?」


「あ…、いや、っ…」



彩矢さんのするどいつっこみを否定しようとして、言葉に詰まるオレ。





「もうっ…!確かに、私、お兄さんの事好きだし、尊敬もしてるけど!」



ウワッ…!

好きって…


「澪夏たちにも、ずっと言われてた。ブラコンだって!」



ブ、ブラコン!


澪夏ちゃんの名前に驚くより、ブラコンってセリフに反応してしまう。





No.34 12/12/24 18:35
匿名0 




情けねぇ……




どっちにしろ、オレは、課長には勝てねー





そう思った……。



「笙!」


え…?



突然、名前を呼ばれて。


彩矢さんの方を見る。







あぁ…


彩矢さん。

初めて会った時と変わんねーよ。






その勝ち気で、整った顔立ちとは裏腹に。



色気もあって。





オレより、3つ上だから、29か…




でもさ。




全然、キレイだ。





オレは、



この人のために、


この3年間、頑張ってきたんだよな。






No.35 12/12/25 11:50
匿名0 




「ねぇ…、」


「……?…」


「私、…おばさんになった?」


ん!?

「そんな事ないよ?」

「ほんと?」

「うん…。3年前と、全然変わってねぇし。いや…、あ…、また、その…、キレイに、なったよ…」

「笙……」



なんか、オレ、キモいかも…

こんなクサイ台詞、言うなんて……



でも、嘘じゃねぇ。




「正確に言うとね。2年前にも会ってんだけど、」



「え…?………」


2年前、……





「お兄さんと居酒屋で飲んでた時と、…ここ。」




え…!?



居酒屋…


「ああー!!!」



え…!?じゃ…


あの時、課長と一緒にオレを部屋まで運んでくれた人って……



「あ!あれって、彩矢さん!?」

「そう。」






マジ!?…





No.36 12/12/25 12:21
匿名0 




あ…、


そういえば、…


「さっき、ここって言ってたけど…、」




「このお店の事は、あなたに聞いて知ってたから、一度来てみたいって思ってて。」



あ…、思い出した!

就職が決まって、こっちに帰ってくるってなった時。


彩矢さんに、先輩の店教えてた…



「珍しいって思ったぜ~お前が、人にうちの店教えるなんてさ。」



あ…

オレ……



…………課長にだって、この店教えたの3年かかってたのに。


彩矢さんには、もうそんなに早いうちに教えてたのか…。



正直。

オレと彩矢さんは、付き合ってたって感じじゃなかった。



初めて会ったホテルであんな事した後だって。



その後は、なんつうか…


お互い、仕事の話とか、オレの将来の夢とか。



そんな話ばかり、してたっけ。




だからって、冷めてたってワケじゃなくて。……




いや…、むしろオレは、


彩矢さんの事。




本気で



信じてたんじゃねぇのか…。



だから、オレは


彩矢さんに先輩の店、教えたんじゃないのか…?





No.37 12/12/25 12:59
匿名0 




「でも、ここで笙に会ってからは、もうずっと来てなかったから。……」



「え…、あ、だから、さっき久しぶりって…」



「うん…。」




「ちょくちょく来てくれてたのにさ~」


先輩が、軽くオレの頭をつついた。



イテッ…



………あ!



「え…!?オレと会う前、そんなに来てたの!?…つうか、オレと会ってから、来なくなったって…!?」




何がなんだか、ワケわかんねー……






「笙に紹介してもらって、初めて来た時から。
凄く気に入って。」


横で、先輩がニコニコ笑ってる。



「笙の事、いろいろ聞いてた。でも、マスターには私の事、黙っておいてって頼んでたんだ。」


「?……なんで?」



「お兄さんにも、笙の事聞いてて…」


「?…」


「仕事の事で悩んでたり…。でも、自分はまだまだだって、言ってたり。
笙は、必死なんだって思った。」



彩矢さん…?




「居酒屋で笙に会った後、偶然、ここでまた、会って…。
正直、…名乗り出たかった……。けど、……
笙が、大人として、一社会人として…やっていけるようになるまで、見守っていこうって…」




「彩矢さん…。」




No.38 12/12/25 18:51
匿名0 




「お兄さんに、言われたの…」


「課長?」




課長を見ると、にやりと笑った。


「干潟も、頑張ってる。それは、俺が認める。だから、もう、いいんじゃないかって言ったんだ。」



課長……



「オレ……まだ、半人前です…!」



「当たり前だ。」



「…はい!」


「でもな…」


「……?」




彩矢さんは、黙ったまま聞いている。




「彩矢とふたりで、1人前になってもいいんじゃないか?」





「課長……?」
「お兄さん…」





あ、あれ!?


「課長……、」

「なんだ?」



「大切な人がいるって、……前に、…」




「あ…!」
「あぁ…」



課長と彩矢さんが、同時に発した。






No.39 12/12/29 16:50
匿名0 




?…


「俺の大切な人、……」


「………!」





「娘だ。」

「え…、娘?」

「あぁ。死んだ妻が残してくれた、忘れ形見。
俺にとって、娘以上の存在は無い。」




「…………課長。」



課長にとっての、大切な人って…





オレ…


「すみません…、課長。オレ、…その、誤解してて…」



「謝る相手、間違ってんだろ。」


「!」



オレは、彩矢さんを見る。




No.40 12/12/30 10:04
匿名0 




「ごめんね…」


彩矢さんが謝ってきた。


「えっ…?なんで、彩矢さんが謝るわけ!?」





「私…が、ちゃんと自分の気持ち伝えなかったから…、笙に余計な心配?かけちゃったから……」



彩矢さん……



「私ね…、笙の事、好きだよ…。」




え……

「彩矢さん?」


「澪夏の結婚式で会った時から…、ずっと好きだった…。」




「彩矢さん、…」








初めて会ってから…


5年…。





その間、ずっとオレの事、想ってくれてたの?





……………







No.41 12/12/30 12:02
匿名0 




「最初に言ったけど、…一目惚れだったの…。
だから、このお店にも何度も通った……。あなたに会えなくても…、笙の大事にしてるものに触れたくて…」




彩矢さん……





一目惚れ…。か…


そういえば、そんな事、言ってたな…






ん?

「何度も通ったって…彩矢さん?…2時間もかけて……?」



「前に俺、言っただろう?」



不意に課長が投げかけた言葉に、視線を向けるけど。




「違う部署だけど、移動になったヤツが居るって。」



課長の答えに、記憶を手繰り寄せるオレ。




…………


…………………






「え…、えぇーーーー!!!」


そんな事って…!



「まぁ、驚くのも無理ないな~。」



課長!
「イヤ!……!?オレっ…、っつう事は、彩矢さんと同じ会社に就職したっていう事?だよね…?」


「笙に就職先聞いた時は…、ほんとにびっくりした…。私の移動の話は、その時、もう決まってて…。
でも、笙にとって、これからが大事な時だって思い直して。黙ってたの…」

こんな偶然……




アリなのか…?










No.42 12/12/30 12:29
匿名0 




いや、


これって。








「オレの方がずっと、好きだった。」



「……笙…?」


「オレは、…彩矢さんと違って、自分の気持ち気付くの…遅くて。
でも、ずっと気になってたんだ…。この、気持ちがなんなのか…
今さ、やっとわかったよ。」







きっと、普通は



あり得ねー事なんだろうけど。






オレと彩矢さんの出会いって、ある意味、最悪だったから。




こんな事になるなんて…考えもしなかった。





だからこそ。



これって、運命なんじゃね?



そう思うんだ。



澪夏ちゃんとの事がなかったら、出逢わなかったオレたち、





これも、やっぱ、運命だろ?







ねぇ?



赤い糸ってさ、






信じる?










終。




No.43 12/12/30 12:46
匿名0 




★一目惚れ、読んでくださった方々へ。


番外編のような形で書いたものでしたが、やっと、終える事ができました(笑)


12月に入り、体調崩したり、職場の忘年会などで多忙を極め、なかなか更新ができませんでした。

短編として書き始めたので、長くなる予定は元々ありませんでしたが。


思ったより時間がかかり、もう一つの話を進める事ができませんでした(^_^;)


もう多分、誰も見てはいないと思うので、そちらはストップしようかと…。




とにかく。


ここを覗いてくださった方々には、素人の気分転換にお付き合い頂いた事。

感謝します。



ほんとに、ありがとうございました!




最後に…



皆様、よいお年を♪





主より。






No.44 12/12/31 14:09
匿名0 


☆クーさん、そしてレスして下さった方へ


今、スレに気付きました!

そちらのスレに書き込ませていただくか…
かなり、迷いましたが。

小心者の自分には、皆様とやり取りする勇気はなく…。
ましてや、素人の息抜きに書く、小説とは言い難いお話にスレまで立てていただき…
正直、本当に驚いています。




なので、まだこんなお話に付き合っていただける方がいらっしゃった事。

感激です☆




ただ年末年始は、仕事とプライベートで多忙を極めるため、更新は難しいかと…。(^_^;)




クーさん、レスして下さった方々。


想い。受け取りました(^_^)v


もうしばらく、お待ち下さい。



本当に有り難うございました♪






主より。




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