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続・ブルームーンストーン

No.24 18/11/01 22:10
自由人
あ+あ-

「え?あの、大ちゃん?」

腕を掴まれたまま問いかける私に、

「え?」

と大ちゃんは不思議そうな声を出す。

「え?人…違い?」

よく見ると彼はかなり日に焼けており、剥き出しになった腕は浅黒く筋肉がガッチリとついていて太い。
少しクシャクシャとなった髪も肩につく程長く無造作に後ろで束ねられていた。

もしかしてこの船の船長?

咄嗟にそう思った私は慌てて掴まれた腕を振りほどこうとするが力の差がありすぎるのかビクともしない。

「………か?」

私の腕を掴んだまま、怖いくらいの真剣な顔つきで「船長」が何かを問いかけてきた。

何を言っているのか聞き取れはしないものの、私とその「船長」は初対面に間違いないと思った私は、

「この船の船長さんですか?」

と聞こうとして口を開きかけたが、

「会いたかった…」

え?

「あなたに…やっと…会えた…」

え?え?え?

突然、自分の質問とはまるで違う言葉を耳にした私は少なからず狼狽えた。

その言葉を発しているのは紛れもなく私自身の口からであり、その言葉と共に私の目から止めどもなく涙が溢れ出す。

私の言葉を聞いた船長は少し悲しい目をすると静かに首を横にふり、私を抱き上げるとお姫様抱っこの様にして歩き出した。

船長は私を抱っこしたままゆっくりと船室に繋がる階段を降りて行く。

「あの?どこに?私はどうなるんですか?」

やっと「自分の言葉」で質問をした私に、

「お前が決めろ…俺は…」

また何を言っているのかちゃんと聞き取れなかった。

この時にはもう「目覚めの時」が近づいていたのであろう。

声が聞き取りにくくなっているのと同時に周囲の景色がだんだんボヤけてきていた。

消えないで。
もう少し。
もう少しだけ。

私の中の違う誰かが必死で懇願している声が聞こえた様な気がして、すがりつくように私は船長の顔を見上げる。

船長の唇が私の唇に触れた。

柔らかい…

もう辺りの景色はほとんど無くなっている。
そして…

「私は!!」

遠くから叫ぶ様な声がし、私はその声によって眠りから目覚めた。

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