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怪婆の執

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ライター( ♂ )
19/07/15 23:45(最終更新日時)

岡田良介が島村美智子と出会ったのは半年前の事だった。知人の紹介で知り合い、美人で気立ての良い美智子を岡田は一目で気に入り、美智子もまた、誠実で真面目な岡田に惹かれ、二人は結婚を意識するようになっていた。

岡田は大学を卒業し、出版社に勤めるようになって4年、美智子は岡田の3歳下で、短大を卒業後、事務用品店に勤めている。

秋晴れの空の下、岡田と美智子は街路樹を歩いていた。
「僕は君と結婚したいと思っているんだが、君はどうだろう?」
岡田は美智子に尋ねた。
「えぇ、私もあなたと結婚したいと思っていますわ」
「そうか。嬉しいよ。じゃあ今度、僕の家に来てくれないか?母に会ってもらいたいのだ」
「はい、喜んでお伺いしますわ」
「ありがとう」
岡田は優しい笑みで美智子に言った。

「この前も言ったけど、僕が5歳の時に両親が離婚して以来、母は女手一つで僕を育ててくれたんだ。僕は一人っ子だし、苦労した母を一人残す訳には行かないから、結婚したら君には同居してもらいたいんだ」
「もちろんですわ」
「父は僕と母を捨ててすぐに再婚したらしい。養育費は一銭もなかった」
「ではお母様は相当なご苦労をなさったのでしょうね」
「そうなんだ。だから余計に母が哀れで仕方がないんだ。君には我慢させてしまうかも知れないが、どうか理解して欲しい」
岡田は美智子に頭を下げた。
「そんな…止めて下さい。私、我慢だなんて思っていませんわ。私だってあなたの立場になれば同じように思うはずですもの」
「そうか。ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「どうぞお気になさらないで下さい。それよりお母様にお会いするの、いつにしますか?」
「あぁ、そうだね。では今週の日曜辺りはどうだ?」
「えぇ、大丈夫よ」
「そうか。じゃあ一時頃、迎えに行くよ」
「分かりました、待っています」
そう約束すると、岡田は美智子を送り届け、帰路に着いた。

「ただいま、お母さん」
岡田が居間に入ると、母は裁縫をしていた。
「お帰り。遅かったわね」
「お母さん、ちょいとお話があるんです」
母は手を止め、岡田の方を振り向いた。
「なぁに?」
「今お付き合いさせて頂いてる美智子さん…ほら、何度かお話していたでしょう?」
「あぁ、島村美智子さんね。はいはい、存じてますよ」
「僕、美智子さんと結婚したいと思ってるんです」
「まぁ!本当なの?」
母は驚きと嬉しさに満ちた顔で言った。
「はい。それで今週の日曜、お母さんに会って頂きたいんです」
「えぇ、もちろんお会いしますよ」
「良かった。では一時頃に美智子さんを迎えに行って、二時頃にお連れしますから、宜しく頼みます」
「二時ね、分かりましたよ。楽しみにしています」
母の嬉々した反応に岡田はホッとしていた。

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No.2274135 15/11/13 00:17(スレ作成日時)  

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