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次世代カラオケに関する特許申請書

レス6　 HIT数 3380 あ+ あ-

匿名
14/06/08 20:05(最終更新日時)

　以前、出会い系のWebサイトを運営する合資会社で「魅惑的なOL」のサクラとして勤しんでいた際、次のような確信めいたものに囚われた。
　　インターネットやブロードバンドと　いった誘い文句でこれ以上新たな利用　者を呼びこもう、獲得していこう、囲　いこもうとしてもそれは困難な課題で　あり時代錯誤も甚だしい。
　　…………（中略）…………
　1日に付き200送信ノルマ、システムプログラムを無断で変更した場合は損害賠償請求する、サクラネームは多様化させ目先を変えろ、内部資料等の勝手な持ち帰りは厳禁、各班のチーフは戦況の集約、分析そしてウエスト意識を徹底させろ、従業員は新たな就業者を紹介した場合紹介料を金一封支給する、飲料の持ち込みはキャップ付きの水筒かペットボトルのみとする。
　社内規定の抜粋を書き込みされたA4のプリントがキーボード上にある。オフィス内部は分厚い電磁波がすっぽり覆い、空調はあまり機能していない。このオフィスが終日ブラインドで幽閉されているさまはもはや3階ではなく地下室だ。周囲の不穏な環境に臆することのないサクラの役割を任された可憐な面々は思い思いの恰好で早番遅番それぞれ契約を忠実に履行し都会にひっそりと佇む老朽化した雑居ビルへ足繁く通っている。
　魅惑的なOLは新人研修の担当者にしばしば叱責された。既に研修期間30分を呆気なく経過していたにも拘わらず、担当者は魅惑的なOLに睨みを利かした。サクラネームとフィッシングのマニュアルに対する飲み込みが遅かったからだ。サクラネームは日々コンスタントに3つ以上編み出さなくてはならない。如何せん魅惑的なOLはどういう訳か「魅惑的なOL」以外思い浮かばず、また何故「魅惑的なOL」なのか「魅惑のOL」では駄目なのか「寡黙なOL」「淑やかなOL」は採用されないのか「ただ只管OL」は誇張しすぎか、そもそも何故OLでなければならないのか。そういった詳細について何故言葉を濁すのか記憶のメカニズムをつぶさに分析するための悠長な時間は大幅に制限されていてただ「優柔不断なOL」だけが残留した。新人研修の担当者のプレッシャーは圧倒的で「魅惑的なOL」のネーミングについて激しく詰め寄った。
　「なあ、いい加減にしろよ。お前さあ、普段携帯持ってメールとかチャットでどんなやりとりしてんだよ。お前、俺の事おちょくってんだろ」「あのな。魅惑的なOLのこの魅惑的なってやつ。これ凄いアバウトすぎ。ファジーすぎ。例えば年上のとか丸の内とか元某有名女学院大生のとか具体性、ファッション性を持たせてよ。ね。ね。ね」
　箸の上げ下ろしにもうるさい担当者のコンサルティングを神妙な面持で受けながらネット使い放題という前提は嘘だったのか。出会い系とは一体何なのか。出会い系イコール図書館というのは魅惑的なOLの先入観であって実際は交渉、交際、出会いの場を提供するということなのかと頭を回転させると顎が鳴り始めた。