注目の話題: 仕事を教えてもらえず放置されている; ディズニーの写真見せたら; 意味って分かりますか？

散文甲子園

レス11　 HIT数 2474 あ+ あ-

幸一（ 30代 ♂ QlqSnb ）
14/05/31 04:50(最終更新日時)

甲子園。青空の下で輝く球児たち。子供の頃からの憧れだった。いつかはあのマウンドに立ってみたいそう思うようになった。

高校に入り憧れの球児になれた。公式戦のユニフォームを着るだけで満足で幸せだった。別にプロ野球選手に憧れてた訳ではない。プロ野球中継を見る事もあったが甲子園を見る方が気持ちが昂った。公立の野球部。私立全盛だと言う事は知っていた。中学の時県大会で準優勝したとき私立から何校か話しはもらったがどこか冷めた自分が居て強豪でも出られる保証なんてないしわりと勉強を真面目にやってたので野球はそこそこにやろうみたいな気持ちだった。

奇跡はポジティブで鳥肌がたつような話しが多い。自分の場合それが逆に作用した。甲子園に出たのである。熱狂の渦の中夢中で投げた。一勝したときこんな幸せはないなって感じていた。幸せ過ぎてもう負けてもいいやって思った。それがまたよくなかった。その後も変な力みもなく気持ちも乗りストレートのキレも変化球の制球も冴えた。スポーツ紙の甲子園のコーナーに見出し付きで載ってしまった。進路は出来れば一流半位の大学に行きたいと思ったが結局熱心な誘いに負けドラフト指名を受ける事になってしまった。周りには嬉しく装ってたが不安しかなかった。

先発なんて無理な仕事をさせられ序盤に打ち込まれ泣きながら投げてた事もある。場所は甲子園だった。監督の配慮だったんだろう。翌日二軍に合流した。甲子園が嫌いになり始めた。

微妙な成績で投げ続けた。向上心はなかった。自分の底をどこか決めていたのである。高校野球のコーチか監督がやりたいと本気で思ってた。

そういうプロ野球選手には似合わない気持ちでいると本当に結果として現れる。ある年の日本シリーズだった。終盤の大事な場面で逆転弾を浴びた。それなのに何故か俺はマウンドで恍惚感に浸っていた。悔しさはなかった。フォアザチームの欠片もない自分。こんなんじゃ駄目だとそのシーズン限りで俺は俺を戦力外通告にしたんだ。

甲子園には行かないほうがいい。