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【黒い糸】

No.40 11/12/11 10:07
@白猫@ ( BGhZh )
あ+あ-

あれから数ヶ月が経った

堀本は警察に連行され、一連について全て話した。水戸エリの件も自白したという

伊島は警察病院へ収容されたが、とても話しができる状態ではないらしい

萩原祥子は一命を取り留めた。あと少し出血があれば、生きてはいなかったそうだ。救急隊が駆け付け、傷口を見ると焼けただれたように塞がっていたという

時を待たず、二号棟にも強制捜査が入った。罪のない多くの者が保護された。地元住民達は『街のシンボルタワー』とまで呼んでいただけに、実情を知らされると全員の顔が青ざめた。ビルは廃墟となり撤去する話しも出ていない

穏やかな日曜日の午後、威勢のよい大声が聞こえた

「ベール・エールの1pint三つね」

カウンターで里美が代金を支払い戻ってきた。このカフェ・バーは前金制で飲み終えたら、勝手に出て行ける

「はい、お待たせ」

里美が手際よくビールとナッツを冴子と涼子の前に置いた

「それでは、冴子の復活を祝して、カンパーイ!」

『カチン』グラスの触れ合う音が三人には特別なもののように聞こえた

「ぷはぁ」

一気にグラスを飲み干すと里美が至福の溜息を漏らした

冴子と涼子もチラッと周りに目を向けると、一気に飲み干した

「ぷはっ」

里美が目を丸くして見ていると、三人の目が合い破顔一笑した

救急隊が駆け付けた時に、冴子は意識がなかった。ビルから運び出される冴子に里美と涼子が駆け寄り名前を呼び続けた。周りはパトカーやマスコミでごった返していた

「里美、友達は無事か!」

「わからない!チーフ、私一緒に病院に行く!」

「よし!後は任せろ」

里美と涼子は冴子の手を握り締めた。冴子の危機を感じ取ったのは涼子だった。冴子の波長に重なった時、今までにない突き刺さるような頭痛に襲われると、窮地に追われた冴子の姿が浮かんだ。涼子は里美に連絡し、里美がこのネタを報酬に上司から、各方面へ手配してもらえるように頼んだのだ

テーブルには、いつの間にか所狭しとグラスが並んでいた。その内涼子がシクシクと肩を震わせ始めた

「ちょ、ちょっと涼子どうしたのよ」

涼子はハンカチを取り出すと下を向いて涙を拭っていたが、肩の震えが治まると堰を切ったように大声で泣き出した

「だって、だって..」

『うわぁん』とまた始めた

冴子と里美は顔を見合わせると、笑い出した。三人の顔はビールと涙で、ぐしゃぐしゃになっていた

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