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【黒い糸】

No.41 11/12/11 11:15
@白猫@ ( BGhZh )
あ+あ-

エピローグ


冴子は郷里へ戻り、両親の営む民宿を手伝っている

両親は涙を流しながら喜んでくれたが、次の朝には溜まりに溜まったお見合い写真をドサリと笑顔で冴子の前に山積みにした

冴子は、『まな板の上の鯉..か』と呟くと、乗り気ない表情でペラペラと捲り始めた

里美は相変わらず、のらりくらりとスポーツ記者をしていたが、ここぞと言う場面では、なかなかの手腕を発揮する事を見込まれ、父親のように慕っていた上司が退職すると、後釜としてチーフに抜擢された。イヤイヤながらに就いたポストであったが、部下にも慕われ業績も順調だという

涼子は勤めていた派遣会社の事務員を辞め、『のんびりやっていこう』と、昔ながらの辻占いを始めたらしいが、『ここの占いは当たる』と評判になり、毎日、引きも切らぬ行列にフラフラになっていた。涼子の持つ類い希な能力からすれば、占いなど稚戯にも等しかったが、開店当初から、この盛況ぶりは不思議に思っていた。実は里美が親切心から、小さな記事に取り上げていた事を涼子は知らない





機内放送が天候不順を告げた

「社長..ロスまで後、二時間です」

アルマーニに身を包ん隣の男に理沙子は低い声をかけた

「そうか」

目を擦ると小さな窓に顔を寄せた。朝陽が地平線に曲線を覗かせていた

「伊島のプロジェクトが壊滅し、警察やマスコミが騒いでいますが..処理はどう致しますか」

囁くように理沙子が耳元へ口を寄せた

「フンッ、お前に任せる。金はいくらでも使え」

「承知しました」

理沙子の左肩から黒い糸が、ほつれたようにゆらゆらと漂っている





優しさとは何だろう。思いやりとはなんだろうか..愛する人や大切な人だけに与える優しさ、思いやりは本物なのだろうか..信じていいのだろうか..分け隔てなく与えられる者こそ、真の優しさを持つ人間ではないだろうか..

しかし誰も真の優しさを探そうとはしない..自分に与えられる優しさだけが本物だと信じているのだから..


それぞれの宿した黒い糸が、ゆっくりと空へと昇っていく..自らの命と引き換えにして..





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